Tresure Chest of Musty Dusties 第9号  1983年春発行

定価800円・全56頁第9号

TCMD09 ■特集:The Nutmegs Special
■West Coast Group編 第3回 The Cadets・The Jacksの関係をひもとくと
■Flamingo Room 70年代前半のヴォーカル・グループ 第1回:座談会
■ラッツ・アンド.スター・コーナー
■Tresure Magazine Best Selections R&B Alubum
■My Collection
■RELIC Records "The Golden Groups" new seriesを聴く その3
■ルイードからこの夏登場! The Moondogs vs The Dovells
■編集部から

今号は地味だけど根強い人気のあるThe Nutmegsの特集です。権藤編集長が愛情たっぷりに執筆しています。副題に「その複雑なるグループ史の謎を解く」とあるようにメンバーの成り立ちは、人物関係が入り組みややこしいお話ですが、音楽を聴く分には関係ないですよ。特集を読んでいくとリーダー的存在のLeroy GriffinがあのJames Sheperd(The HeartbeatsやShep & The Limelitesを結成したシンガー)とイメージかさなってきました。どちらも才能にあふれた若者で、けっこう我を通し、早くに世を去ってしまったところ等共通点が多いせいでしょうか。本誌では初めての試みですが歌詞の対訳が5曲掲載されています。ほとんどが失恋を歌っているというのもこのグループを象徴しているかのようで興味深いです。この当時でアルバムは7枚、といっても公式なものはリリースされていません。RELICからのものを含めて紹介されています。なかでも76年にStrawberryから出た「Street Corner Soul」というLPがあるのですが全編が新録のアカペラという内容です、ご存知でしたか。もっとも中心的人物のLeroy Griffinはすでに死去しているのである意味"新生The Nutmegs"ともいえそうです。West Coaste Group編の3回目の両グループはもうご存知ですよね、同じグループです。もちろんメンバーも活動時期も同じです。スローとダンスナンバーを、あるいはオリジナルとカバーを、あるいはリードをAaron CollinsとWillie Davisをということでグループ名を使い分けたらしいものの厳密という訳ではありません。販売の都合で適当というのもあります(ある意味フレキシブルに対応した??)。ということで彼等の正式アルバムは2枚あります。Jumpin' with The Jacks(RPM-3006)・Rockin' 'n Reelin' with The Cadets(Modern-1215)、60年代にはいってからThe Jacks(Crown-5372)とThe Cadets(Crown-5370)がリリースされています。オリジナル盤と重複する曲もありますが未発表も含まれているので持っていても良さそうです。Flamingo RoomはテリーさんのFlamingo Studioのみなさんによる座談会です。今回のテーマ「70年代前半のヴォーカル・グループ」というのが当時の皆さんが最も熱を入れているジャンルだったようです。このあたりは私も大好きなので楽しく読ませていただきました。ラッツ・アンド・スターに改名後初のとうじょうです。改名にあたってのグループとしての決意がかかれています。テリーさんからは応援として「デビュー当時に比べてテクニック的の上達したがソウル・ファンとしてはグッとこなくなった」と辛口なコメントおよびエールを送っていました。前々回くらいから紙面デザインがだんだんと整いつつありSoul Onっぽくなってきましたが、クォリティはキープされているところはさすがです。今読み返しても古さはほとんど感じられず、やっぱり良い本だな、とつくづく思います。