社会保険労務士田村事務所 事務所便り 『のぞみ』 平成22年7月号
「協会けんぽ救済」で多くの健保組合が負担増に
◆改正法が可決・成立
全国健康保険協会(協会けんぽ)の大幅な保険料上昇を抑制するための「医療保険制度の安定的運営を図るための
国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議で可決・成立しました(5月12日)。
◆改正の主な内容
改正の主な内容は次の通りです。
(1)後期高齢者支援金で年収比例の仕組みを一部導入
(2)協会けんぽの国庫補助率を引上げ(13%→16.4%)
(3)会社員に扶養されていた高齢者の保険料負担の軽減措置を継続
(4)保険料の滞納世帯でも高校生以下に短期被保険者証を交付
◆健保と共済が「肩代わり」
新制度は7月から実施となり、財政が悪化する「協会けんぽ」の再建を支援するため、後期高齢者支援金の負担を軽減するとともに、
保険給付の国庫補助率を16.4%(現行は13%)に引き上げます。
また、大企業の会社員らが加入する「健康保険組合」と公務員などが加入する「共済組合」に負担増を求めています。
これにより、全国平均で9.9%に上がるはずだった「協会けんぽ」の保険料率(2010年度)は9.34%に抑えられることとなります。
◆国庫補助率も引上げへ
国庫補助率の引上げにより、国は協会けんぽへ2010年度に610億円、2011年度に920億円の公費(税金)を投入するとしています。
厚生労働省では、1,478組合ある健保組合のうち、6割強の922組合で負担増になると試算しており、556の組合においては逆に
負担が減る見込みとされています。「協会けんぽ」の救済策は2010年度から3年間適用となり、2013年度からは「後期高齢者医療制度」を
廃止し、新しい高齢者医療制度に移行する方針です。
改正法による影響は大きく、特に大企業の健保組合においては2010年度に約5億円の負担増となると試算されている組合もあります。
2010年度の健保全体の予算は6,600億円の赤字になる見通しで、3期連続赤字となります。
このような厳しい状況の中、高齢化社会に対応した高齢者医療制度を含む医療保険制度の立直しを一刻も早く行う必要がありそうです。
高い日本企業の税負担率
◆海外先進国との比較
新聞報道によれば、国際的に比較した日本企業の税負担の重さが改めて浮き彫りになっているようです。「日経株価指数300」の
構成企業(銀行・証券・保険を除く)を対象に、2009年度の連結決算を集計したところ、法人税・事業税・住民税などの企業の税負担額を、
税引き前利益で割って会計上の税負担率を計算すると「49.1%」に達するとのことです。
同様の計算方法で先進国の主要企業の比率を求めると、アメリカ「29.9%」、ドイツ「34.4%」、イギリス「36.0%」となっています。
また、国税、地方税を合わせた法定実効税率について、日本は「40.7%」となっていますが、ドイツ「約29%」、イギリス「約28%」で、
アメリカの「約40%」を超えて世界最高水準となっています。
◆国際競争率の低下
先進諸国に比べて日本だけが突出して法人税が高いということは、日本企業が国際競争力を失ってしまうということです。
先進諸国の企業は税率が低い分、資金を設備投資や研究開発費に投じることができます。
一方、日本企業はたとえ同じ利益を上げたとしても、諸外国企業と同様に設備費や開発費を投入することができず、
後れをとってしまうこととなります。このままだと、日本の有望企業が、税負担の低い国に流出してしまうおそれがあると
言われています。
◆法人税の引下げの検討
国家財政が悪化をたどる中、法人税の引下げには反対論もあります。しかし、このままでは、日本の企業は競争力を失い、
業績の悪化から税収は低下し、さらなる財政悪化という悪循環に陥ることも予想されます。
世界を見渡すと、台湾が法人税率を25%から17%に引き下げるなど、引下げの流れが加速しています。世界情勢に倣い、
まずは企業競争力を強化することが必要だと思われます。
◆法人税と消費税
しかし、法人税を引き下げると、企業が活力を取り戻すまでの間、一旦は税収が落ちることとなり、その分をどこかで
補填しなければなりません。
そこで考えられるのは、消費税の引上げです。現在、消費税は5%と決して低率ではありませんが、ドイツやイギリスの
17%前後と比較すれば引上げの余地はあるのかもしれません。
しかし、消費税引上げは国内の景気に大きく影響することから、十分に慎重な検討が求められます。
「勤務間インターバル規制」とは?
◆IT企業などで導入
最近、長時間労働が恒常化しているIT関連企業などにおいて、「勤務間インターバル規制」を導入する動きが見られるそうです。
このインターバル規制は、1日の仕事が終了してから次に仕事を開始するまでに、一定時間の休息を義務付けるものです。
なぜ今、導入する企業が増えているのでしょうか。
◆EU指令では「連続11時間の休息」
上記の規制に関しては、EU(欧州連合)が加盟国の法律に関する基準を定めた「EU労働時間指令」の中で、
「最低連続11時間の休息」を規定しています。なぜ、このような規制が定められているかというと、「ワーク・ライフ・バランス」に
配慮するためであり、労働者の健康を守るためです。
仮にEUの基準でこの規制を導入した場合、例えば午後11時まで勤務した日の翌日は、午前10時までは勤務が免除されることに
なります。
日本の情報労連(情報産業労働組合連合会)では、昨年の春闘において、「導入が可能な組合においては、インターバル規制の
導入に向けた労使間協議を促進する」という方針を掲げました。
◆ワーク・ライフ・バランスに向けて
厚生労働省から発表されている「労働経済白書」によれば、25〜44歳の男性のうち週に60時間以上働いている人の割合は
20%以上になっており、週5日勤務した場合、1日に12時間も働いている計算になります。
この「働き盛り」世代の健康を守り、「ワーク・ライフ・バランス社会」を実現させるため、今後、日本でもこのインターバル規制に
ついてさらに議論されていくかもしれません。
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