年金記録が消えてしまった人を救済するための
総務省の「年金記録確認第三者委員会」に申し立てた
約1万6000人のうち、記録回復に結びついたのは
190人(9月28日現在)にとどまっていることが7日、分かった。
審査受け付けからの2カ月半で、わずか1%弱しか救済されていない計算だ。
第三者委が認定基準をあいまいにしたため、「証拠」の収集に手間取っているのが大きな要因だ。
総務省はスタッフ増などの対策に乗り出したが、思うような効果は上がっていない。
第三者委の審査は、7月17日から全国の社会保険事務所で受け付けが始まり、
9月30日時点で1万5976人(厚生年金6337人、国民年金9639人)が申し立てた。
昨年8月から今年6月までの社会保険庁の年金特別相談で、記録の全部もしくは
一部が確認できなかった人は計3万5786人に上り、申し立てする人は今後さらに増える見通しだ。
だが、受け付け後の審査は難航している。社会保険事務所で受け付けた申し立ては、
まずは社会保険庁で記録確認をしたうえで、地区ごとの地方第三者委に移送される。
これまでに移送されたのは約6300件で、申し立ての4割程度だ。
移送後に最終的な記録回復の可否が判断されたのは中央、地方両第三者委を合わせて202件。
このうちの12人が記録の回復を認められなかった。
審査が遅れている最大の要因は、認定基準が「申し立て内容が明らかに不合理ではなく、
一応確からしい」などとあいまいなことだ。
どれだけ状況証拠を集めれば記録回復が認められるのか不確かなため、
先例の積み重ねで判断することになるが、
「その状況証拠を集めるスタッフが不足している」(第三者委関係者)という。
中でも判断が難しいのは記録回復を認めないケース。
認定基準では「裏付けが全くなくても性善説に立ち、
本人の人柄や態度を見て総合的に判断する」などとされたため、
「制度上、保険料を支払うことができない場合などを除き、なかなか申し立てを却下することができない」(第三者委関係者)と
いった事態に陥っているのだ。
スタッフ不足を解消するため、第三者委は中央委で70人、地方委で400人の増員を計画し、
すでに社会保険労務士などの募集を開始した。
申し立て件数の多い都市部の地方委の中には、
小委員会を複数設置して審議の迅速化を目指すところもある。
第三者委は「だいぶ先例が積み重なったので、これからはスムーズに審査できるはずだ」と強調するが、
約1万6000件の審査は完了のめどは立っておらず、
総務省幹部は「1件1件処理していくしかない」としている。
注意: 本トピックスは、は、MNS産経ニュースより引用しています。 2007/10/08
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