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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』        平成22年6月号

「雇用」や「賃金」に対する企業の考え方

 

◆「企業経営と賃金に関する調査」

独立行政法人労働政策研究・研修機構では、平成2012月に「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」として、

全国の従業員50人以上を有する企業約15,000社(有効回答2,734社)を対象として大規模な調査を行い、その結果をまとめました。

調査内容としては、賃金の構成要素や賃金制度のあり方、制度見直しの方向で、経営環境や雇用に対する考え方についても

含まれています。

 

◆雇用・賃金体系に対する考え方

雇用に対する考え方としては、できるだけ多くの社員について「長期安定雇用」を維持したいと回答した企業は約7割に上り、

「従業員の生活を保障するのは企業の務め」と回答した企業は9割近くとなっています。


賃金体系については、過去5年程は年齢・勤続・学歴を重視する「個人属性重視型」が40.5%で最多でしたが、今後は職務遂行

能力を重視する「職能重視型」が33.2%と最も多くなっており、成果主義賃金の典型である「短期成果重視型」は8.6%にとどまっています。


賃金制度を見直すにあたって重視する点については、以前・今後のいずれも「個々の職務遂行能力」、「個々の成果」を把握して

賃金に反映させることがそれぞれ6割強となっています。

 

◆「職務遂行能力」を重視へ

ここ数年の不景気下で、非正社員だけでなく、正社員でも「雇用の安定」を求めにくい状況となっていますが、企業サイドとしては、

以前同様「長期安定雇用」を目指していることがうかがえます。

しかし、その際に重視するのは、以前は「従業員の年齢や学歴」が中心となっていましたが、今後は「職務遂行にあたっての能力」で

あるということがこの調査により明確になっています。


今後は、職務遂行能力を向上させるための教育制度やその補助に関する充実がより求められるのではないでしょうか。

 

健康診断で「うつ病検査」を義務化へ

 

◆うつ病などの労災請求・認定件数

2008年度のうつ病を含む精神障害などの労災請求件数は927件(3年で41.3%増)、認定件数は269件(3年で111.8%増)と

なっており、増加傾向にあります。

そこで、厚生労働省では、企業が実施している健康診断において、うつ病などの精神疾患に関する検査を義務付ける方針を

明らかにしました。

2011年度からの実施を目指すとしており、同省が1月に設置した「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今後まとめる報告書に

盛り込まれる予定で、労働安全衛生法の改正(または厚生労働省令の改正)により対応していくものと思われます。

 

◆高い自殺率の背景にうつ病などの精神疾患

日本では、平成10年から12年連続で毎年3万人を超える人が自殺しており、人口10万人当たりの自殺死亡率(自殺による死亡率)は、

欧米の先進諸国と比較して突出して高い水準にあります。

また、うつ病の患者数は2008年には100万人を超えています。これらうつ病をはじめとする精神疾患の増加が、高い自殺死亡率の

背景にあると言われているため、自殺防止対策とあわせて、うつ病・メンタルヘルス対策への対策が急務とされていました。

 

◆一体となった取組みが必要

健康診断における「うつ病検査」の実施が、うつ病などの精神疾患の減少につながることが期待されていますが、政府・厚生労働省の

対策に頼るだけでなく、職場・地域・家庭におけるうつ病・メンタルヘルス対策への一層の取組みが期待されるところです。



 

「ワークルールチェッカー」の診断結果

 

15万アクセス突破

連合は、今年2月に開設した、労働条件簡易診断Webサイトの「ワークルールチェッカー」(http://www.work-check.jp/)の

アクセス数が15万件(4月13日時点)に達したと発表しました。診断結果が「ひとまず安心」(チェック項目がゼロ)だったのは全体の

約2割で、雇用形態を問わず、法令違反の可能性が示唆される結果が目立っているそうです。

 

◆寄せられた回答の多くに労働法令違反の可能性

この「ワークルールチェッカー」は、Webサイトにパソコンや携帯電話からアクセスし、9つの設問(派遣労働者は14問)の中から

該当する項目にチェックを入れることで、職場の法令遵守度合いを点検できる仕組みです。

9つの設問は次の通りです。

(1)労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない。

(2)給与明細に「厚生年金保険料」「健康保険料」が載っていない。

(3)給与明細に「雇用保険料」が載っていない。

(4)残業したのに、残業代が全部または一部支払われない。

(5)有給休暇がもらえない、あっても取りづらい。

(6)会社で健康診断を受ける機会がないか、自腹で健康診断をしている。

(7)仕事上の病気・ケガをしたら、会社から「自分で治せ」と言われた。

(8)会社の都合で仕事が休みになったのに、賃金補償がない。

(9)仕事中にミスをしたら、罰金をとられる。

 

有給休暇や残業、労働条件の書面明示などに問題が

設問ごとにみると、利用者の約半数が「有給休暇がもらえない、あっても取りづらい」にチェックしており、

次いで「残業したのに、残業代が全部または一部支払われない」、「労働時間・休日・賃金・業務内容などの

労働条件を書面でもらっていない」がともに約35%となっています。

派遣労働者のみの設問では、「『打合せ』、『見学』の名目で派遣先と事前に会ったことがある」をチェックした人の

割合が約53%で一番高かったようです。

設問の内容は基本的なものが中心ですが、チェック項目がゼロの「ひとまず安心」が全体の2割ほどしかなかったと

いうことを考えると、労使トラブルが発生する可能性がある企業の割合は高く、その対策が急がれます。

 

新規株式上場に関する意向調査

 

新規株式上場意向に関する調査結果

帝国データバンクでは、「新規株式上場意向に関するアンケート調査」の結果を発表しました。今年で13回目の調査実施と

なっています。

調査対象は、調査開始時点で未上場であり、前回までの調査等において新規株式上場の意向を示していた企業4,473社です。

この中で回答のあった企業は1,621社で、このうち具体的な上場予定・計画のある「予定企業」および具体化はしていないが上場の

希望がある「企業希望」を合わせた631社を「株式上場予備軍企業」と位置付け、具体的な上場計画等のデータを集計しています。

 

◆調査結果の概要

株式上場予備軍企業のうち、上場予定時期は2013年が14.4%91社)と最も多く、次いで2015年が11.3%71社)となっています。

「未定」と回答した企業は45.5%287社)で、予備軍企業の約半数を占めています。

上場予定市場としては、複数回答の結果、大証ヘラクレス、JASDAQ、ジャスダックNEO市場が今年10月に統合して誕生する

予定の「新JASDAQ」が266社と最多で、次いで「東証マザーズ」が245社となっています。

上場に際し希望する株価水準(日経平均)については、「具体的に希望を持たない」あるいは「わからない」と回答した企業が49.6%

313社)でした。具体的な株価水準を回答した企業では「15,000円台」とした企業の12.7%80社)が最多です。

株式上場を目指す理由(複数回答)としては、「知名度や信用度の向上」が470社、「資金調達力の向上」が365社と

なっています。

 

◆短期的な予測

景気は「回復の兆し」と言われていますが、株式市況や企業業績の回復には長い時間を要するとみている企業が多いということが

わかります。 また、大半の企業では上場の理由として「資金調達力の向上」を挙げていますが、株価低迷で十分な資金調達が

望めないことが予想されます。

以上の状況から、上場の希望がありながらも実際に上場する企業は低い数字にとどまるのではないかと予測されます。


株式上場傾向が高まるには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。





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