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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』        平成20年12月号


適年制度廃止に向けて規制緩和の方針

 

◆給付を設計しやすく

厚生労働省は、10月の企業年金研究会において、

「確定給付企業年金」と「厚生年金基金」について、

給付を設計しやすいように規制緩和を行う方針を打ち出しました。

これにより、職種や加入期間ごとに給付内容に格差をつけたり、

給付額を従来よりも抑えたりすることが認められるようになります。



 

◆適年からの現在の移行状況は?

2001年の確定給付企業年金法の成立に伴い、

2012年3月末に適格退職年金は廃止されます。

適格退職年金の受託件数は、2002年3月末時点(73,582件)と

2008
年3月末時点(32,826件)を比べると、4万件以上の減少となっています。

他の制度に移行するか、廃止するか、まだ方向性の決まっていない企業は

残り3年半ほどの間にその選択を迫られています。


現在の移行状況としては、厚生年金基金が70事業所、確定給付企業年金が

4,475事業所(いずれも今年6月1日時点)となっています。

また、確定拠出年金は4,931事業所、中小企業退職金共済制度は15,064事業所

(いずれも今年8月末時点)です。



今回の規制の緩和は、確定給付企業年金や厚生年金基金の使い勝手を良くすることで、

適格退職年金の受け皿とすることが狙いです。

 

 

◆移行促進のための規制緩和

年金給付の設計としては、加入期間に応じて一定額を与える「定額制」、

給与に応じて給付額が決まる「給与比例制」などがあります。

従来は1つの給付設計の中で違うメニューを用意することはできませんでした。

今後は、給与比例制を選んだ場合でも一般職と専門職で給付計算の乗率に差をつけるなど、

職種ごとに異なる給付の算定方法を用いることができるようになります。


また、給付額に上限や下限を設けることも可能になります。

給与比例の給付設計の場合、高い給与の従業員には高額の年金を払わねばならず、

これは基金にとって財政的な負担となります。上限を設ければ負担が減るため、

複数の企業で年金基金を運営しやすくなります。また、他にも給付額の改定方法の弾力化

(一定の額へ改定することを認める等)や、休職期間中の者の掛金非拠出を認めることなども

定められる見通しです。

 

◆適年制度廃止に向けて環境が整備

適格退職年金の廃止に向けては、確定給付企業年金や確定拠出年金の制度を整備し、

また、中小企業退職金共済制度も緩和するなど、制度廃止に向けての環境は、すでに

かなり整ってきていると思われます。さらにこの規制緩和となれば、
確定給付企業年金や

厚生年金基金などに移行へのはずみになるのではないでしょうか。

 

深刻な「下請けいじめ」「下請けたたき」の実態&対策

 

◆急増する「下請けいじめ」

東京都は、2008年4月から10月の間に「財団法人 東京都中小企業振興公社」に

寄せられた下請け取引に関する相談件数(親事業者と下請け企業に関する禁止事項を

定めている「下請代金支払遅延等防止法」に抵触する可能性のあるもの)が214件となり、

2007年度の通年実績(80件)の約2.7倍に達したと発表しました。景気の後退を背景として

不当な事例が増加しているとみられ、過去最高のハイペースで推移しています。



相談の内容は、「売上金回収時に一方的に値引きを迫られた」などといった代金回収に関するものや、

「予告なしに突然取引中止を告げられた」などといった取引契約に関するものが多いそうです。


以前から「下請けいじめ」は問題となっており、中小企業庁は「下請代金支払遅延等防止法」に

基づいて下請け取引が適正かどうかを調査して改善指導を行っていますが、これまでに他にも様々な

対策を打ち出しています。

 

◆原油高対策としての下請け取引適正化

中小企業庁では原油高となっていた今年8月に、下請け取引の適正化を促進するための対策を

発表しました。

これは、原油高を理由とする価格転嫁が難しい中小企業が多いため、大企業による不当な

下請け取引の強要を防ぐのが狙いでした。

具体策としては、原油高の影響が大きいと考えられる建設・自動車などの業種を中心として、

代金の支払遅延など問題のある行為があるとみられる大企業から事情聴取を行い、特別立入検査も

行うとするもので、8月下旬から実施されています。


 

◆「下請けたたき」通報制度

また、厚生労働省では今年の7月に、労働基準監督署が賃金不払い等を把握した場合、

その原因がいわゆる「下請けたたき」であると認められるときには、公正取引委員会や経済産業省に

通報する制度をつくるとの方針を発表しました。同省では、中小企業の労働者保護のためには下請け

問題への対策が必要と判断したものです。

また、同省では、同省が発注する公共工事について、元請業者と下請業者との間に契約等に関して

トラブル(原価割れ受注を強要された、割引困難な長期手形を交付された等)があった場合の下請け業者の

ための相談窓口

(「下請けに関する相談窓口」http://www.mhlw.go.jp/sinsei/chotatu/dl/02.pdf)を設けています。

 

養育費を受け取れない母子世帯の自立支援策

 

◆養育費が受け取れない

離婚した夫から子供の養育費を受け取れない母子世帯を減らすことを目的として

厚生労働省が設置した

「養育費相談支援センター」(http://www1.odn.ne.jp/fpic/youikuhi/)の事業開始から、

今年の10月で1年を迎えました。

同センターには相談は多く寄せられているものの、その効果は小さいとの指摘があります。

離婚母子世帯のうち養育費を受け取っているのは約2割にすぎない現状を改善するためには、

次の一手が必要なようです。



 

◆「誰にも養育費の相談をせず」が約43

厚生労働省の全国母子世帯等調査2006年度)によると、離婚時に養育費の取決めをしている

母子世帯は38.8%だそうです。しかし、「現在も養育費を受けている」のはそのうちの約半数の

19.0%にとどまっています。

母子世帯の平均年収は213万円と全世帯の平均年収564万円を大きく下回り、生活に困窮する

家庭が多いのが現状です。養育費の取決めをしない理由として、47.0%が「相手に支払う意思や能力が

ないと思った」と回答し、23.7%が「相手とかかわりたくない」と答えています。また、42.9%は離婚の際、

養育費について「誰にも相談していない」と答えています。養育費問題についての知識が少ないことの表れと言えそうです。



◆「養育費相談支援センター」の役割

養育費相談支援センターは、養育費に関する問題を含め、母子世帯の自立支援策の一環として

厚生労働省が設けた組織で、全国の母子家庭等就業・自立支援センターや自治体などで行う

養育費相談の中心的存在となっています。


相談は電話と電子メールに限られますが、開設以来、「離婚した夫から養育費の支払いがない」などの

声が次々と寄せられ、その数は2008年8月末で約2,700件に上っているそうです。

 

貧弱な支援体制に課題

同センターの問題点は、来所相談を受け付けず、相談員に弁護士がいないなど限界があることです。

弁護士の不在は、仲介に直接乗り出せないことを意味し、可能なのは助言にとどまります。相談の追跡

調査もしていないため、実際に養育費を受け取れたという報告も少ないようです。


今後の対策として考えられるのは、欧米各国のように、国や自治体による立替払いや徴収代行制度を

設けることや、不払いに対してある程度の罰則を設けることではないでしょうか。政府には、これらの新たな

施策についての検討と同時に、「養育費の支払いは離婚した親の当然の義務であること」を広める啓発活動なども

望みたいところです。

 









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