社会保険労務士・行政書士 田村事務所トップへ




個別労働紛争解決基準としての労働判例シリーズ


                                                         年休の繰り越し



1.ポイント



(1)未取得の年休は、翌年度まで繰り越すことができる。


(2)年休権は、発生してから2年間で時効となり、消滅する

(権利がなくなって請求できなくなる)。




2.モデル裁判例


  国際協力事業団(年休)事件 東京地判平9.12.1 労判729‐26

(1)事件のあらまし


 原告労働者Xら2名は、開発途上国への技術協力を行う

被告事業団Yに語学講師として勤務し、雇用期間1年の契約を数年に

わたり更新されていた(1名は提訴時点でも勤務)。


 Xらは、平成7年度中に、12日または13日半の年休を取得したが、

Yは、2日または3日半についてXらを欠勤扱いにしてその分の賃金を

差し引いた。


 平成6年5月20日付のYの通達における有給休暇に関する条文は、

次のように規定されている。


 「(有給休暇)第26条 語学講師は、

採用の日から起算して6箇月継続して勤務し、

その6箇月の全勤務日の8割以上について勤務をした場合は、

採用の日から起算して6箇月を経過した後に10日の有給休暇を取得できる。」


 Xらは、平成6年度の年休残日数が翌年に繰り越され

(平成6年度からの繰越日数は、X1については6 日、X2については2日)、

平成7年度において実際に取得した年休日数は、繰り越された日数と

平成7年度に新たに取得した日数(X1については17日、X 2については13日)の

合計を越えるものではなく、欠勤扱いによって賃金を差し引いたことは

違法であるとして、差し引かれた賃金の支払いを求めて裁判を起こした。


 Yは、賃金を差し引いた理由を、Xらの雇用期間は最長1年間で毎年

新たに締結されるものであり、年度を超えて継続雇用しているわけではなく、

また、年休は翌年度へ繰り越されることはない、などと主張した。



(2)判決の内容


労働者側勝訴


 事業団側の欠勤扱いを違法として、

差し引いた賃金の支払い請求を認めた。


 Xらは、労働基準法(以下、労基法)39条の適用の上では、

継続勤務したものと考えるべきで、

Xらには、各年度ごとに労基法39条2項の規定に基づいて算出される日数の

年休が与えられなければならない


 年休権を得た年度に消化されなかった年休については、

その年度中に権利を行使すべきことを定めた法律などの定め

ないので、

未取得の年休は、翌年度に繰り越され

時効によって消滅しない限り

翌年度以降にも取得することができる

3.解 説



 行政解釈(昭22.12.15基発501号) は、未取得年休の繰り越しを認め、

その年休は労基法上の2年間の時効(115条) にかかるとしている。

モデル裁判例の事案は、時効に関して言及していないが、

年休権の繰り越しを認めていることから、行政解釈にしたがったものと

思われる。


 なお、未取得の年休を日数に応じて買い上げたり、手当を支払うことは

違法ではない。しかし、年休の買い上げを事前に予約して、予約された

日数について、年休を実際に取ることを認めないことは違法である


(昭30.11.30基収4718号)。









   行 政 書 士 田村事務所
     社会保険労務士田村事務所
               
       〒531-0072     大阪市北区豊崎三丁目20−9 (三栄ビル8階)
   
     TEL(06)6377−3421         FAX(06)6377−3420
  
     E−mail tsr@maia.eonet.ne.jp URL http://www.eonet.ne.jp/~tsr   


                                         行 政 書 士
               所長  特定社会保険労務士 田村 幾男

                     

           お問合せは、下記メールをご利用下さい
     
                                             





            

                      行 政 書 士 田村事務所
                                            社会保険労務士田村事務所の営業区域

     (大阪府)
      大阪市(北区・中央区・西区・浪速区・天王寺区・都島区・旭区・鶴見区・城東区・東成区・生野区・平野区・東住吉区
       全区
            住吉区・阿倍野区・西成区・住之江区・大正区・港区・此花区・福島区・西淀川区・淀川区・東淀川区)
     
      豊中市・吹田市・箕面市・池田市・茨木市・摂津市・高槻市・枚方市・交野市・寝屋川市・守口市・門真市・大東市

      四条畷市・東大阪市・八尾市・藤井寺市・柏原市・羽曳野市・松原市・富田林市・大阪狭山市・河内長野市・和泉市

      堺市・高石市・泉大津市・岸和田市・貝塚市・泉佐野市・泉南市・阪南市・
     
       島本町・美原町・忠岡町・熊取町・田尻町・岬町  

    (兵庫県)

      神戸市・尼崎市・伊丹市・川西市・宝塚市・芦屋市・三田市・西宮市・明石市・加古川市・高砂市・姫路市・
      
      播磨町・稲美町・猪名川町


社労士に委託するメリット      トピックス      トピックス(2)     国民年金・厚生年金保険      健康保険制度
社会保険労務士業務  取扱い法律一覧      個人情報保護方針      就業規則    社会保険労務士綱領の厳守      
助成金概要      助成金診断について      リンク集へ       報酬額表     最新NEWS  サービス提供地域
田村事務所へようこそ   田村事務所運営理念  社労士業務(その二)  特定社会保険労務士    産業カウンセラー
代表者プロフィ−ル   田村事務所アクセス   大阪の社労士からの、発信    お問合せ
     キャリア・コンサルタント

 あっせん代理      改正雇用保険法    メンタルヘルス対策      中小企業労働時間適正化促進助成金

短時間労働者均等待遇推進等助成金         均等待遇団体助成金   外国人雇用状況届出制度      常用雇用転換奨励金

                                                                           社会保険労務士・行政書士田村事務所トップへ

本ページトップへ



          お願い:当事務所のホームページの記載事項に関しましては、充分に細心の注意を払い記載しておりますが、

           万が一記載内容により、発生した損害につきましては、責任を負い兼ねますので、ご留意・ご了承下さい。
          

             copyright(c)2007-2008 Ikuo Tamura All Rights Reserved 社会保険労務士・行政書士田村事務所