社会保険労務士田村事務所 事務所便り 『のぞみ』 平成20年11月号
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あなたの年金は大丈夫?
厚生年金記録の改ざん問題
◆標準報酬月額の改ざん事実が明らかに
厚生年金の標準報酬月額(月収水準)の記録が大量に改ざんされていた問題に関して、
次々と事実が明らかになっています。当初、「社会保険庁による改ざんへの関与の疑いが高い」と
言われていましたが、関係者(社会保険事務所職員や事業主など)の証言により、組織的な関与が
あったことはほぼ間違いないと見られています。
◆なぜ改ざんが行われたのか?
記録の改ざんは、経営状態の悪い事業主にとっては保険料負担が軽くなる(またはなくなる)という
メリットがあり、社会保険事務所の職員にとっては保険料の徴収実績を上げることができるというメリットが
あります。
方法としては、社会保険事務所職員が標準報酬月額の引下げを事業所に指導したり(または事業所に
無断で標準報酬月額を引き下げたり)、保険料を滞納している事業所に「全喪届」の届出を勧めたりと
いったものです。
ひどいケースでは標準報酬月額が5等級以上も引き下げられていたようであり、これらの改ざんにより、
年金額が本来より減額されて支給されているケースがすでに出てきているようです。
◆何件の改ざんが行われたのか?
舛添厚生労働大臣は、9月中旬に「改ざんされた可能性の高い記録が6万9,000件あると」表明していました。
その後、10月初旬に、これまで社会保険庁が説明していたよりもはるかに大きな規模による改ざんが行われていた
事実が明らかになっています。
改ざん事例の総数は100万件を超えるのではというマスコミ報道もなされていますが、実際の改ざん件数が何件ある
のかは、依然として不明のままです。
◆自分の年金記録を確認するには
同大臣は、厚生年金の記録改ざんに関する直属の調査チームを設置する方針です。調査チームは弁護士などの
外部有識者などで構成され、関与が確認された社会保険庁職員やその管理職には「厳正な処分を行う」と明言
しています。
また、社会保険庁の職員や事業主などからの情報提供を求める方針も示し、年金受給者への個別訪問なども
行っていくとしています。
全容解明はまだまだ先のことになりそうですが、心当たりがある場合(勤務していた事業所の経営状態が悪かった場合や
倒産があった場合)には、まずは自分の年金記録を確認してみる必要があります。
確認の方法としては、社会保険事務所で「被保険者記録照会回答票(資格画面)」を出してもらうか、
インターネットの年金記録照会(社保庁ホームページにある「年金個人情報提供サービス」)を利用するかのどちらかが
一般的です。
厚生年金・健康保険の
未加入事業所が10万超に
◆前年同時期と比べて約3,000カ所増加
厚生年金や健康保険に加入義務があるのに加入していない事業所が、今年3月末の時点で約10万カ所
(前年同時期比約3,000カ所増)あることが、社会保険庁の調べで判明しました。未加入のままでは、従業員が
将来年金を受け取ることができなかったり、医療費の自己負担額が増えたりするおそれがあります。
◆未加入事業所の実態は?
今回、社会保険庁が雇用保険などのデータをもとに、未加入が疑われる事業所を抽出して調べたところ、
3月末時点で10万470カ所が政府管掌健康保険に未加入でした。そのほとんどが厚生年金保険にも未加入です。
従業員規模が小さいほど未加入の事業所が多い傾向がみられ、未加入事業所のうち、従業員数が5人未満の事業所は
約8万2,000カ所、5〜9人の事業所は1万4,000カ所と、大半を占めました。
なお、2007年3月末に政管健保と厚生年金に未加入とされたのは約9万7,000カ所でした。
1年間でこのうち2万4,000カ所が加入するなどして、未加入は約7万3,000カ所になったのですが、
今回の調査で新たに約2万7,000カ所が未加入であることが判明し、未加入事業所は差し引き3,000カ所増えています。
◆未加入をなくすためには調査・把握が必要
社会保険庁が未加入事業所対策に力を入れ始めたのは、2004年度以降のことで、それ以前は実態の調査も行わず、
加入の呼びかけにも消極的でした。現在は、まずは文書や電話で加入を促し、従わない場合には社会保険事務所への
呼出しや戸別訪問で加入を求めています。それでも応じなければ、従業員数が多い事業所から順に、職権による立入り検査で
強制加入手続に移ります。
中小企業には、新規開業や廃業、休眠会社も多いため、実態を十分に把握するのは困難です。
また、今回の調査で把握できなかったものも含めれば、相当多くの未加入事業所があることも予想されます。
今後、加入率を上げられるかどうかは不透明です。2007年度に強制加入手続で加入したのは73カ所
(被保険者数483人)であり、今後の加入促進策による加入率上昇が期待されます。
まずは未加入事業所の徹底的な調査と把握、そしてその後の粘り強い働きかけが必要でしょう。
厚生労働省
「サービス残業解消指針」の内容
◆なくならないサービス残業
サービス残業があったとして2006年度に労働基準監督署から是正指導を受け、
支払額が合計100万円以上となった企業は1,679社に上り、対象労働者数は182,561人となっています。
支払われた残業代は総額で227億円1,485万円(企業平均1,353万円、労働者平均12万円)です。
◆指針パンフレットをホームページに掲載
サービス残業を放置することは、内部告発等をきかっけに労働基準監督署の是正指導等を受け、
不払賃金を支払わなければならないリスクを抱えていることになります。
厚生労働省は、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月策定)に
ついて、よりわかりやすく解説したパンフレットのホームページへの掲載を10月から開始しました。
同指針は、賃金不払い残業(サービス残業)は重大な労働基準法違反であるとの考えのもと、
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等に加え、各企業における労使が労働時間の
管理の適正化と賃金不払残業の解消のために講ずべき事項を示」すことを目的としています。
ここでは、同指針に記載されている内容を改めて見てみましょう。
◆指針が示すサービス残業解消のために取り組むべき事項
(1)「労働時間適正把握基準」の順守
使用者は、「労働時間適正把握基準」を遵守することが必要です。
また、労働組合(労働者)も、労働者に対して同基準を周知することが重要で
あるとしています。
(2)意識・職場風土の改革
サービス残業の背景に、「サービス残業もやむを得ない」という労使双方の意識
(職場風土)がある場合には、これをなくすための取組みを行うことが望まれるとしています。
(3)適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備
サービス残業の実態を把握したうえで、関係者が行うべき事項や手順等を具体的に
示したマニュアルの作成等により、「労働時間適正把握基準」に従って労働時間を適正に
把握するシステムの確立が重要だとしています。また、サービス残業の温床となっている
業務体制や業務指示のあり方にまで踏み込んだ見直しも必要であり、「サービス残業是正」と
いう観点を考慮した人事考課の実施等により、適正な労働時間管理を意識した人事労務管理が
望まれています。
(4)労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制の整備
事業場ごとに、労働時間管理についての責任者を明確にしておくことが必要であるとされています。
また、労働時間管理とは別に、相談窓口を設置するなどしてサービス残業の実態を積極的に把握する
体制の確立が重要であり、実態を把握した場合には、労働組合(労働者)としての必要な対応を行うことが
望まれるとしています。
11月の税務と労務の手続
[提出先・納付先]
10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
[公共職業安定所]
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している
場合>[労働基準監督署]
15日
○ 所得税の予定納税額の減額承認申請の提出[税務署]
30日
○ 個人事業税の納付
<第2期分>[郵便局または銀行]
○ 所得税の予定納税額の納付
<第2期分>[郵便局または銀行]
○ 労働保険料の納付
<延納第3期分>[郵便局または銀行]
○ 健保・厚年保険料の納付
[郵便局または銀行]
○ 日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
行 政 書 士 田村事務所
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行 政 書 士
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