リソソーム・・・細胞の消化器官

 

 

リソソーム

 

エンドサイトーシス

エキソサイトーシス

エンドソーム

クラスリン

 

オートファジー

 

液胞

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リソソーム・・・細胞の消化器官

 

リソソームの起源

エンドサイトーシスの謎

オートファジーの起源

 

 

リソソームライソソーム

真核生物が持つ細胞小器官で、細胞内消化の場です。

 

内部に加水分解酵素があり、

エンドサイトーシスや、オートファジーによって、膜内に取り込まれた生体高分子を加水分解します。

 

分解された物質のうち、

有用なものは、細胞質に吸収されます。

不用物は、エキソサイトーシスによって細胞外に廃棄するか、

細胞内で残余小体として残ります。

 

植物細胞では、液胞が、リソソームに相当します。

 

単細胞生物では、リソソームが消化器として働いています・・・

リソソームは、もともと、消化器官だったようですね。

 

リソソームの形成

一次リソソーム一次水解小体)という、

分解する対象を含まないリソソームがあります。

 

リソソームは、ゴルジ体のトランスゴルジネットワークから、

クラスリンにコートされた被覆小胞として出芽した小胞からなります。

 

分解する物質を含んだ小胞に融合したものは、

二次リソソーム二次水解小体)といいます。

 

二次リソソームは、異なった経路で形成されます。

 

エンドサイトーシスに由来する経路

ファゴソームや、ピノソームという、

一重の生体膜からなる構造と、一次リソソームとが融合し、

ファゴリソソーム食込融解小体)となり、取り込んだ物を分解します。

 

オートファゴソームに由来する経路

オートファゴソームは、

ミトコンドリア等の細胞小器官が古くなった場合や、

細胞が飢餓状態に置かれた時に、

小胞体に由来するとされる二重の生体膜が、これを包むことで形成されます。

オートファゴソームに一次リソソームが融合し、一重膜の構造体である、

オートリソソーム自家食融解小体)となった後、同様に分解が行われます。

 

二次リソソームは、一次リソソームと同様にンドソーム等に融合し、

分解酵素の供給源となると考えられています。

 

リソソームに含まれる加水分解酵素は、酸性条件下で、効率よく働く性質を持っており、

リソソーム内部の水素イオン指数は、プロトンポンプの働きによって pH5 程度と酸性に保たれています。

そのため、中性状態の他の細胞内区画では、

リソソームが含む加水分解酵素は不活性となり、不必要な反応を防いでいます。

 

これらの酵素群は、グリコシダーゼ、リパーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ等、様々な加水分解酵素からなります。

これらは、粗面小胞体で合成された後、マンノースが付加され、

ゴルジ体のシスゴルジネットワークに輸送された後に、マンノースにリン酸基が付加されます。

その結果生じた、マンノース6リン酸は、リソソームに運ばれるシグナルとして、

膜受容体である、マンノース6リン酸レセプターに認識されます。

 

マンノース6リン酸レセプターは、膜タンパク質であり、

マンノース6リン酸を持つ分子を結合させ、これを輸送小胞へ取り込むことで、リソソームへのタンパク質輸送を行っています。

 

被覆小胞は、一次リソソームと融合し、その酸性環境下で、レセプター結合タンパク質を乖離します。

その後、レセプターは、更なる分子輸送のために、トランスゴルジネットワークへと戻ります。

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エンドサイトーシス リソソーム

細胞が、細胞膜の一部から小胞を形成し、細胞外の物質を取り込む過程です。

 

エキソサイトーシスとは反対の現象です。

 

細胞に必要な物質のあるものは、極性を持ち、かつ大きな分子であるため、

疎水性の物質からなる細胞膜を通り抜ける事ができません。

このため、エンドサイトーシスにより、細胞内に輸送されます。

 

エンドサイトーシスは、取り込む物質の種類やその機構の違いから、

飲作用と、

食作用に大別されます。

 

飲作用によって形成された小胞を、エンドソームといいます。

 

食作用によって形成された小胞は、(ヘテロ)ファゴソームといいます。

 

エンドサイトーシスは、タンパク質のような大きな細胞外物質(リガンド)が、

細胞膜上の受容体(レセプター)に結合することにより始まります。

 

尚、植物も、エンドサイトーシスにより、有機物を取り込むことができます。

植物の細胞壁は、セルロース等で構成された硬い構造を持ちますが、水溶性の物質を通すことができます。

有機物が、細胞壁を通って細胞膜に触れると、細胞膜に部分的に切れ込みが入り、大きな分子を取り込みます。

エンドサイトーシス

 

飲作用ピノサイトーシス

細胞外液を取り込むエンドサイトーシスで、細胞外液を満たした小胞(エンドソーム)を形成します。

 

食作用とは異なり、食細胞以外の細胞でも発達した機構であり、

細胞外液を細胞質に取り込むことで、細胞に必要な水溶性の栄養分を取り込む、

細胞の生存に必須の機構と考えられています。

 

液体だけでなく、やや大きめの対象を取り込む機構もあります(マクロピノサイトーシス)。

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食作用ファゴサイトーシス) オートファジー

死んだ細胞や、バクテリアの様な大きな対象を、細胞が取り込む過程のことで、

大きな小胞に対象を封じ込めます(ファゴソーム)。

 

この小胞は、リソソームと合体し、物質を加水分解酵素により消化します。

消化後は、細胞質に放出されます。

 

白血球のうち、好中球、単球、マクロファージは、食細胞とも呼ばれ、食作用が発達しています。

 

尚、食作用は、食細胞が、病原微生物や異物を分解し、排除するための機構を指すことも多く、

免疫システムの一端を担っています。

 

食細胞が食作用によって取り込むには、対象を異物として認識する必要があります。TLRファミリー

この認識には、

適度な大きさ(µm程度)であること、

表面が正に荷電しているか、疎水性であること、

等が条件ですが、抗体による選択的な認識に比べて極めて緩いです。

 

このため食作用は、体内に侵入した異物を、ある程度非選択的に排除することが可能であり、

免疫による生体防御の最初の関門として機能しています。

 

感染の初期には、侵入した微生物を、好中球マクロファージが貪食することで、病原体が排除されます。

 

また、マクロファージは、貪食して細胞内で分解した異物の断片を、細胞表面に提示(抗原提示)し、

それをヘルパーT細胞が認識することによって、その抗原(異物断片)に特異的な抗体の産生が促進されるという、

抗原提示細胞としての役割を担っています。

 

一方、食作用から逃れるための機構を発達した病原体も存在します。

ウイルス等の偏性細胞内寄生体や、

宿主細胞内に寄生する一部の細菌(細胞内寄生体)は、

増殖の場となる細胞内部に侵入する際に、エンドサイトーシスを利用します。

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エキソサイトーシス開口分泌

細胞外への分泌形態です。

 

エンドサイトーシスとは反対の現象です。

 

細胞内で合成された物質(タンパク質等)は、分泌顆粒内に貯留され、開口分泌によって分泌されます。

 

分泌顆粒は、細胞内線維群の働きによって細胞質内を移動し、細胞膜へと接近します。

 

分泌顆粒膜外層が、細胞膜内層と、

分泌顆粒膜内層が、細胞膜外層と融合します。

 

これにより、分泌顆粒内腔が細胞外界と連絡し、顆粒内容物は、細胞外へと遊出します。

細胞膜と融合した顆粒膜は、そのまま新たな細胞膜となるか、細胞内へ再び戻ります。

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エンドソーム

ピノサイトーシスによって形成された、一重の生体膜からなる小胞です。

 

ファゴサイトーシスによって形成された(ヘテロ)ファゴソームは、エンドソームに含めません。

 

ほぼ全ての真核細胞が持ち、細胞外の分子の取り込みや、細胞表面の分子のソーティングに関わります。

 

エンドソームに取り込まれた一部の分子は、再利用され、小胞輸送によって細胞膜へと輸送されます。

不要な分子は、エンドソームがリソソームと融合することで分解されます。

 

エンドサイトーシスは、細胞外物質(リガンド)が、細胞膜上の受容体(レセプター)に結合することで始まります。

 

細胞膜上の受容体(レセプター)が、細胞外物質(リガンド)と結合すると、

クラスリンに覆われた穴は深くなり、細胞質に陥入して、被覆小胞となります。

 

受容体は、細胞膜表面のクラスリンタンパク質に関連するようです。

 

細胞膜から離れた被覆小胞は、すぐにクラスリンを脱離させ、初期エンドソーム融合します。

 

初期エンドソーム内部も、リソソーム同様に、プロトンポンプの作用によって酸性に保たれています。

被覆小胞の膜内側に結合している受容体タンパク質の多くは、

再利用されるために、細胞膜へと回帰する経路に乗ります。

一方、受容体に結合して、エンドソーム内腔に取り込まれたリガンドは、

酸性条件下で、受容体のコンフォメーションが変化するに伴い、離れます。

残りのタンパク質や、その他膜構成物質等も遊離し、大半は再利用され、再び細胞膜の形成に関わります。

 

初期エンドソーム内部には、細胞質に取り込まれた所とは別の細胞膜領域に運ばれる分子もあり、

これらは、トランスサイトーシスと呼ばれる経路で運ばれます。

 

初期エンドソームは、ゴルジ体近傍へ移動していくに従って、多数の小胞を内部に含んだ、後期エンドソームへと成熟します。

 

後期エンドソームに成熟した後、リソソームと融合したり、ゴルジ体からの小胞と合体したりし、

取り込まれたリガンドの消化等が行われます。

 

このままでは、細胞表面の膜は取り込まれて減る一方なので、逆の経路もあります(エキソサイトーシス)。

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クラスリン

細胞外マトリクスの分子を、エンドサイトーシスにより取り込まれる際に形成される、

エンドソーム外側を形作る骨格となるタンパク質です。

 

クラスリンは、細胞膜表面を覆い、くぼみを作っています。

 

エンドソーム形成時は、

複数のクラスリンが重合して格子を作り、サッカーボールの様な構造を形成します。

 

細胞分裂中期においては、

有糸分裂紡錘体の動原体繊維(微小管または微小管結合タンパク質)と結合し、動原体繊維の配向を制御しています。

 

更に、p53タンパク質と結合し、p53の転写活性化能を制御します。

 

クラスリン分子は、三つの足を持ち、三脚巴構造を取っています。

それぞれの足は、クラスリン重鎖と、クラスリン軽鎖からなります。

 

クラスリン重鎖は、ヘリックス・ループ・ヘリックス構造をとり、6つのドメインよりなります。

Terminalドメインは、β-プロペラ構造を取っており、

被覆形成時には骨格の形成には関与せず、被覆の内側に配向しています。

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オートファジー (自食

真核生物にみられる、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みです。

 

細胞内での異常タンパク質の蓄積防止、

タンパク質を過剰に合成した時や、栄養環境が悪化した場合の、タンパク質のリサイクル、

細胞質内に侵入した病原微生物排除、

により、生体の恒常性維持に関与しています。

 

マクロオートファジー(広義)

ミクロオートファジー

シャペロン介在性オートファジー

 

分解する対象によって、

ペキソファジー : ペルオキシソームを選択的に分解します。

マイトファジー ミトコンドリアを選択的に分解します。

ゼノファジー  : 細胞内に侵入した細菌を分解します。

と呼ばれることもあります。

オートファジー

 

マクロオートファジー

細胞が、ある種のストレス(アミノ酸飢餓の状態や、異常タンパク質の蓄積)にさらされると、

細胞質中の一部で、過剰に作られたタンパク質や異常タンパク質と共に、リン脂質が集まります。

 

集積したリン脂質は、隔離膜という脂質二重膜を形成し、

細胞質成分やオルガネラ等を、二重のリン脂質の膜で取り囲み、オートファゴソーム(オートファジー小胞)が形成されます。

小胞形成には、Atg ( autophagy )タンパク質が関与しています。

 

オートファゴソームは、

酵母(単細胞)や植物細胞では、液胞と膜融合し、異物等を分解酵素によって分解します。

動物細胞では、リソソームと融合します。

リソソームと融合したものを、オートリソソームといいます。

 

この結果、オートファゴソームに取り込まれていたタンパク質は、アミノ酸やペプチドに分解されます。

この時、オートファゴソームの二重膜のうち、内側の脂質膜も同時に分解されます。

オートファジー

 

ミクロオートファジー

異常タンパク質を、直接液胞やリソソームに取り込み、内部で分解する機構です。

オートファジー

 

シャペロン介在性オートファジー

シャペロンが、異常タンパク質に結合することによって、

液胞やリソソームへの取り込みを行い、内部で分解する機構です。

オートファジー

 

タンパク質分解

オートファジーは、細胞が作ったタンパク質が不要になった場合に分解する役割があります。

他に、ユビキチンプロテアソーム、があります。

ユビキチン−プロテアソーム系では、個々のタンパク質ごとの分解が行われます。

オートファジーでは、一度に多くのタンパク質が分解されます(バルク分解)。

 

栄養飢餓

飢餓状態となり、アミノ酸が供給されなくなると、細胞の生死に関わります。

しかし、オートファジーが働くことで、細胞は一時的にこのダメージを回避することが可能と考えられています。

 

オートファジーが起きると、細胞内に常に存在しているタンパク質(ハウスキーピングタンパク)の一部が分解されて、

ペプチドやアミノ酸が生成され、それが細胞の生命活動にとって、より重要性の高いタンパク質を合成する材料にあてられるようです。

 

しかし、飢餓状態が長く続いた場合には、オートファジーが過度に進行することで、

細胞が自分自身を食べ尽くしてしまい、死に至ると考えられています。

 

プログラム細胞死

高等生物の個体発生の過程では、分裂によって生じた細胞が、

自発的に死んでいくことで様々な形態形成が進みます。

この時に見られる細胞死は、

生物が遺伝情報にあらかじめ含んでいる(プログラムされている)という意味から、プログラム細胞死といいます。

 

プログラム細胞死は、

1型:アポトーシス

2型:オートファジーを伴う細胞死、

3型:ネクローシス型プログラム細胞死、

3型に分類されています。

 

オートファジーを伴う細胞死は、2型プログラム細胞死です。

オートファジーに関連する遺伝子の働きを抑制すると、個体発生の過程で異常が起こります。

 

感染防御

オートファジーの機構とよく似たものに、ファゴサイトーシスがあります。

しかし、リステリア属の細菌は、内部からファゴソームを破壊して貪食の機構から逃れ、

細胞質内に感染(細胞内感染)しようとします。

オートファジーは、細胞質内に逃れた細菌を、再び捕えて分解する働きもあります。

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液胞 オートファジー

生物の細胞中にあり、植物では発達していますが、

動物では非常に小さく、リソソームが発達しています。

 

液胞は、細胞内にある液胞膜という膜に包まれた構造であり、その内容物を細胞液といいます。

 

主な役割として、

ブドウ糖のような代謝産物の貯蔵、

無機塩類のようなイオンを用いた浸透圧の調節、

不用物の細胞内消化、

不用物の貯蔵、があります。

 

ちなみに、秋頃の紅葉が赤や黄色をしているのは、液胞内に色素が詰め込まれているからです。

蜜柑等の酸味や花の色も、液胞中にある色素(アントシアン等)に由来しています。

 

若い細胞では小さいですが、細胞の成長につれて次第に大きくなります。

これは、成長する過程で排出された老廃物をため込むためです。

よく育った細胞では、細胞の中央の大きな部分を液胞が占めます。

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