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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』        平成20年10月号

 

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働きながら年金を満額もらうには?

◆在職老齢年金制度

厚生年金は働きながら受け取ることもできますが、

「在職老齢年金制度」により、賃金・年金額に応じて受給額が減額されてしまいます。

これには釈然としない人も多いようですね。

厚生年金を満額受け取って働くにはどうすればよいか、対策を考えてみます。



 

◆対策その1:個人事業主になる

在職老齢年金の仕組みでは、給料と年金を組み合わせた収入が多い人について、

厚生年金の支給額が減額されます。

ポイントは、これらの計算対象となる収入とは、あくまで「給料と賞与」である、ということです。



減額制度は、厚生年金に加入し続けて働く人が対象です。

個人事業主として独立すれば、雇われて給料をもらうことはないので

厚生年金から外れ、支給される年金が減額されることも年金保険料を負担する必要もなくなります。

また、勤めていた会社で働き続ける場合でも、

個人事業主として業務委託契約を結べば、満額もらうことができることがあります。

 

◆対策その2:厚生年金に加入しなくても済む形態で働く

独立できるだけの専門的知識と技能がない場合、

最も現実的なのは、厚生年金に加入しなくても済む、非正規のパートやアルバイトとして働くことでしょう。

原則、勤務日数か勤務時間のどちらかが正社員の4分の3未満であれば、厚生年金の加入義務はありません。

また、従業員5人未満の個人事業所に就職することも1つの方法です。

業種にもよりますが、勤務先の事業所が厚生年金に加入しなくてもよいので、

働く人も減額の仕組みから外れます。

 

◆気をつけたいポイント

厚生年金に加入せずに働く場合、落とし穴もあります。

妻が専業主婦の場合、夫が厚生年金保険から外れれば、妻も国民年金の第1号被保険者となります。

60
歳未満であれば国民年金保険料を支払う必要が生じ、保険料負担が増えて世帯収入が減るおそれも

あります。

また、厚生年金保険料を支払い続ければ、当然退職後に受け取る年金総額が増えます。

目先の年金額に目を奪われすぎると、かえって損につながる恐れもあるのです。

満額支給にこだわって手取り総額の減少を我慢するか、

減額されても手取り総額を増やすか、

あるいは満額受給しつつ起業に挑戦するか、様々な選択肢が広がります。

年金の受取り方は、働き方やライフスタイルといった、老後生活全体を考えることにつながりますので、

よく考えて選択するべきといえます。

 

非正社員雇用の現状は?

 

◆非正社員雇用が頭打ち

景気停滞局面の中、拡大が続いてきた派遣やパート・アルバイトなどの非正社員の雇用に、

頭打ち感が強まってきました。

企業は中長期的な人材確保のための正社員採用には積極的ですが、

非正社員については絞り込む傾向が強くなっているようです。

 


◆非正社員の雇用の現状

総務省「労働力調査」で、雇用者数の内訳をみてみましょう。



正社員などの「常用雇用」は今年6月まで3年4カ月連続で前年同月実績を上回りました。

しかし、その一方で、

日雇いを除く1年以内の有期雇用を示す「臨時雇用」は、

今年に入り6カ月連続でマイナスとなっています。

これは、原材料の高騰や米国経済の低迷など経営環境の急速な悪化を受け、

派遣社員や期間従業員の数が減らされたことによるものと考えられます。

昨年の10月まで1.4倍台を維持していたパートの有効求人倍率は

今年6月には1.25倍(季節調整値)にまで低下し、約6年ぶりの低さとなっています。

アルバイトも頭打ち傾向です。求人広告などから集計された

6月の全国平均時給は968円で、前年同月を2%下回りました。

人手不足を反映して上昇が続いてきたアルバイトの時給ですが、これで3カ月連続でのマイナスです。



 

◆人材派遣業界の現状

また、人材派遣業界も転機を迎えています。

人材派遣業界は、固定費の増加を避けたい企業の需要拡大により急成長を続けてきましたが、

日本人材派遣協会が107社を対象に集計している人材派遣の平均実稼動者数は

今年4〜6月で前年同期比1%増にとどまり、


比較可能な2003年以降で最も低い伸びとなりました。

 

◆柔軟な雇用環境の確保が大切

正社員採用については、「団塊の世代」の大量退職が始まり、

長期的にも少子化の影響で人手不足が続くことが予想されることから、

中長期的な人材確保のため、企業は積極的な姿勢を維持しています。


一方で、非正社員については、改正パートタイム労働法の施行や

日雇い派遣の原則禁止といった規制強化の動きも重しとなり、

雇用が頭打ちになっていると考えられます。

非正社員の待遇改善はもちろん大切ですが、待遇改善を目指す法律が

かえって企業の慎重姿勢を強めてしまうことのないよう、柔軟な雇用環境を確保していくことが


大切であるといえます。

 

「最低賃金」時給700円台に突入へ

 

2008年度の引上げ額の目安は?

原則としてすべての労働者に適用される「最低賃金」。

その額は都道府県ごとに決められており、現在の全国平均額は687円です。


2008年度の引上げ額の目安を議論していた中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は、

全国平均で時給を15円程度引き上げることを決定しました。この結果、全国平均の最低賃金額は、

初めて700円を超えることになる見通しです。

 



◆都道府県別最低賃金額の引上げと生活保護政策

今回の最低賃金額の引上げに関する議論では、7月に施行された

改正最低賃金法の趣旨を、引上げ額にどう反映するかが焦点となりました。

同改正法では、生活保護並みの時給を求めています。

地域によっては最低賃金が生活保護費を下回り、「働く意欲をそぎかねない」との批判が強かったため、

現時点で生じている生活保護との大幅な差を解消することになりました。



地域ごとの引上げ額は、中央最低賃金審議会が定めた目安を受けて、

都道府県ごとに正式な金額が決定され、10月中に適用される予定です。

これに加えて、最低賃金額が生活保護を下回っている12の都道府県については、

生活保護との差を「原則2年(引上げ額が例を見ないほど大幅な場合は3年)」で

解消することを求められました。

例えば、生活保護との差が時給80円あるとされる東京都の場合、3年で差を埋めると

すると1年当たり25円超の引上げが必要となるなど、逆転解消のためには

前年度以上の大幅な引上げが必要となります。



 

◆引上げ反対の声も

最低賃金額の大幅な引上げは、低所得者の生活の下支えとなります。

しかし、原油や食料の価格高騰の影響などで物価も上昇しているため、

消費拡大効果は限定的とみられています。

人件費の増加は中小企業の存続に関わるとして、最低賃金額の大幅引上げに

反対する声もあります。最悪の場合は中小企業の倒産を誘発し、

かえって中小企業の雇用に悪影響を与えることも懸念されています。

生産性向上や価格転嫁が進まなければ、中小・零細企業の雇用には悪影響を与えます。

生活保護との差を解消するため、来年度以降も最低賃金額は2ケタの引上げとなる

予定ですが、今後の経済・雇用情勢によっては、方向性が変わる可能性もあるかもしれません。


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