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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』        平成20年1月号


労働力不足が深刻化

 

◆高齢者雇用

少子高齢化の進展、高年齢者の雇用の安定に関する法律の改正を受け、

高齢者活用が、企業の大きな課題となっています。

今回紹介するのは、厚生労働省「平成19年度高齢者雇用開発コンテスト」最優秀賞を受賞した

「部品工業梶vは、定年のない、勤務形態も自由に設定できるエージレス雇用を実現した事例です。

 

◆弱者に優しい改善策が奏効

建機車体部品の製造を主とする部品工業株式会社は、少量多品種注文への対応力と製品精度の高さにより

メーカー各社からの厚い信頼を得ています。これを支えているのがエージレスで働く高齢熟練社員です。

同社は、全社員137人のうち、50歳以上が6割近くを占め、60歳以上の比率は33%と3人に1人以上が高齢者と

いう状況です。また、70歳以上者も6人在職しています。

背景には、新卒者の採用・育成が困難ななか、即戦力確保のため中途採用を活発化させてきたことがあります。

技術者の高齢化は深刻で、3040歳代の熟練工の採用は困難な状況にあったのです。

そこで、退職した高齢者で再就職を希望した者を積極的に採用して、これに伴い退職金制度を廃止し、

退職金原資は月例給与に組み入れるということを行いました。

雇用形態については、正社員(月給制)と準社員(パートかフルタイムの時給契約社員)があり、

60
歳代の8割は準社員となっています。また、不足する労働力を確保するためには、高齢者を準社員として採用し、

高度熟練者から高齢一般工へOJTによる技術指導を実施することで、労働力不足と人件費上昇の問題を

同時に解決しています。60歳以降も、いずれも定年とは無関係に、身分を維持できますが、

正社員が60歳以降に短時間就労を希望した場合には準社員へ転換できるようにしています。

 

◆エージレス雇用とは?

勤務形態については、フルに働きたいか年金併給で余裕を持って勤めたいかなど、ライフスタイルの違いにより

選択できる
ものになっています。

月間所定労働時間を正社員=173時間、準社員=173時間もしくは130時間未満から選べ、

130
時間未満の場合は、週35日勤務、月50時間以上〜130時間未満という自由度の高い勤務シフトが組めます。

エージレス雇用の推進で大きなポイントを占めるのが職場改善の取組みです。

治具・工具をそれぞれの持ち場で工夫したり、ロボットの導入などにより作業能力・スピードアップをもたらし、

作業の省力化と安全性と同時に高齢者の働ける職場を拡大しました。

熟練者の作業に余裕が出てきたことによって、若手への技術伝承機会も確保できるようになってきました。

 2030年までは、若年者、女性、高齢者などが労働市場参加を実現することで、

労働力減少を一定程度緩和できますといわれていますが、

同年以降は現在の少子化の影響で若年人口が「激減」する見通しで、

今後ますます「熟練労働力」の不足が懸念されます。

 

女性上司が部下を誘惑。

セクハラでは?

 

20代の男性会社員が女性の上司から度々飲みに誘われ、体を触られたうえ交際を求められています。

誘いを断ったところ残業を押しつけるなど仕事上厳しく当たるようになったような場合、

セクハラ(性的嫌がらせ)として訴えられるのでしょうか。

 

◆法改正で男性も保護対象に

従来は女性による男性へのセクハラの法的扱いは明確ではありませんでした。

平成194月施行の改正男女雇用機会均等法でセクハラの範囲が男性にも広げられ、調停対象となりました。

問題は男性へのセクハラの認定基準が確立されていないことにあります。

女性へのセクハラに比べ男性への事例はまだ裁判例が蓄積されておらず、

平均的な男性が性的羞恥心(しゅうち)心を感じるか否かで判断されているのが現状です。

 

◆「行動や発言に性的な要素が含まれるか」がポイント

例えば性交渉を持ちかけたり、身体に触れてきたりする場合、セクハラと認定される傾向にあります。

一方、単にしつこく酒席に誘ったり、恋人の有無を聞いたり、というケースでは、

女性への場合と異なり認定されない公算が大きいといわれています。

裁判例もまだ多くないため認定基準を見極めるのは難しいのが現状です。

防犯パトロール中の女性職員が、同僚男性がいる浴室に入った行為がセクハラかどうかについて争われた訴訟では、

一審では女性のセクハラ行為を認定しました(大阪地裁2004年9月3日判決)が、

二審は女性に職務上の目的があったとして男性側の訴えを棄却しました(大阪高裁 2005年6月7日判決)。

セクハラとして認定されない場合は「パワー・ハラスメント」として対処することになりますが、

パワハラには法的規制がないため裁量権を大幅に逸脱した事例でない限り救済は難しいようです。

均等法改正で男性へのセクハラについても相談窓口を設置するなど、防止に必要な措置が企業に求められる

ようになりました。企業がこうした措置をとらないと違法とされ、裁判で使用者責任が問われます。

男性へのセクハラはあり得ないと企業側が放置していると、手痛いしっぺ返しを食うことになります。

「男性へのセクハラも、女性へのものと同様と認識することが必要」で、企業はさらにセクハラ防止の意識を

とぎすませる必要がありそうです。

 

◆ポイントは?

@ 女性へのセクハラに比べ、認定基準が不明確な面もある。

A 男性に対するセクハラも企業の防止処置が必要である。

 

混合診療めぐり賛否

病院などで治療を受けるとたいていは保険がききます。会社員の場合、自己負担は治療費の3割で

残り7割が保険から出ます。このような治療を「保険診療」といいます。

ただ、すべての治療に保険がきくわけではありません。

国が認可していない医療技術や薬を使う治療は「保険外診療(自由診療)」といって全額が患者の

自己負担になります。

 「混合診療」とは、保険診療と保険外診療を組み合わせた医療行為のことです。

1人の患者が、保険のきく治療とともに保険がきかない新薬の治療も受けたような場合が該当します。

 

◆国は原則として混合診療は認めず

厚生労働省は禁止の理由を「安全性や有効性が確認されていない医療行為が安易に使われてしまうから」と

説明しています。「医師に比べて専門知識に乏しい患者がだまされて不要な医療を受ける不安もある」とも

指摘しています。

禁止といっても罰則はありませんが、厚生労働省は混合診療が広まらないよう、ある措置を取っています。

混合診療を受けたら保険診療の分も含めて全額が患者の自己負担になるという仕組みです。

「安全性に乏しい医療行為を横行させない心理的ハードルにするため」(厚生労働省)です。

一方、混合診療に保険を適用せず、患者に全額負担を求める国の制度の是非が争われた訴訟では、

「国の健康保険法の解釈は誤り」と指摘し、混合診療の原則禁止を違法とする初の判断

(東京地裁2007117日判決)を示しましたが、国は判決を不服として控訴しています。

 

◆混合診療が認められている特例

混合診療の中には特例として認められている(保険診療の部分には保険がきく)治療もあります。

将来保険の対象になる可能性が高い先進医療や患者の選択で特別の費用を負担する差額ベッド代などです。

しかし国は全面解禁する考えではなく、今後も賛否をめぐる議論が続きそうです。

 

評価療養…先進医療(将来、保険の対象になる可能性が高いもの)

 ・医薬品や医療機器の治験

 ・薬事法の承認後で保険の承認前の医薬品や医療機器の使用

 ・将来、保険対象となる可能性が高い未承認の医薬品

選定療養…特別室の利用など差額ベッド代

・歯科の金合金など、金属床の総義歯、子どもの虫歯の指導管理

・予約診療、時間外診療、大病院の初診、大病院の再診

 ・180日超の入院、制限回数を超える医療行為

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