社会保険労務士田村事務所 事務所便り 『のぞみ』 平成19年12月号
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「メンター制度」を、上手に活用するには?
◆語源はギリシャ神話
入社した新入社員が早々と職場に見切りをつけて離職するのを防ぐため、「メンター制度」を導入する企業が増えているようです。
「メンター」はギリシャ神話の老賢人「メントル」を語源とし、仕事面だけでなく、人生の師となる人の意味も持ちます。しか
し、制度を導入して効果的に活用しようとしても、現実的には教育係と何ら区別のない会社が多いようです。
◆メンターに魅力なし!?
メンターがやるべき役割を果たそうとしても、若手がメンターを必要としないこともあります。あたかもOJT(職場内訓練)の一部のように、キャリア的機能のみを重視している企業も少なくありません。
メンターには、仕事面をサポートする「キャリア的機能」と、人生の相談相手となるような「心理・社会的機能」が求められます。OJTの教育係なら、仕事に限った付き合いとして、多少そりが合わなくとも我慢できます。しかし本来、それ以上の役割が求められるメンターを会社が指定する場合は、相性や指導体制の整備不足が問題になりやすいのです。
メンター制度を有効なものとするためには、メンター(指導する側)とメンティー(指導を受ける側)の信頼関係の構築が第一です。信頼関係の構築なしには、転職など人生コースの変更も含めたアドバイスは難しく、そこにメンター制導入の難しさがあります。
◆社外で自ら探す若手社員も
本来の趣旨からすれば、メンターは何も社内だけで探す必要はありません。若手社員の中には、社内外を問わず「これぞ」と思う人にメンターを頼む人もいるようです。
メンターには、若手が自分のキャリアをどう構築するか、個人の視点に立った相談相手としての役割が求められます。労働市場の流動化だけではなく、組織環境自体も変わりやすい今日では、従来のように職場の教育係が組織の価値観や文化を教えれば済む時代ではなくなっています。
制度に頼るだけではなく、メンターには「若手の師となろうとする自覚」、メンティーには「自らメンターを探すような能動的な姿勢」が必要なことを忘れてはいけないでしょう。
特定年齢層の募集・採用は、「在籍者数2分の1以下」が条件
◆改正雇用対策法の告示・通達
10月1日に施行された改正雇用対策法では、労働者の募集・採用における年齢制限禁止を義務化し、年齢制限が認められる例外規定を必要最小限に限定しました。
これに対し、厚生労働省は運用に関する告示と通達を明らかにしました。
◆改正の背景
これまで、労働者の募集・採用に係る年齢制限を行う求人が相当数あり、年長フリーターや中高年齢者など、一部の労働者の応募機会が閉ざされているのが現状でした。
こうした状況を踏まえ、これまで募集・採用に関しては年齢制限を受けていた労働者に対し応募の機会を広げることを目的として雇用対策法が改正され、労働者の募集・採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととなりました。
◆「例外規定」の条件
例外規定のうち、「技能・ノウハウ継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」が最も多いケースと予想されています。
この規定において、その「年齢層」を「30〜49歳」に限るとともに、「相当程度少ない」を「同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が1/2以下である場合」と具体的に定めました。例えば、「○○社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集」する場合、「○○社の電気通信技術者は、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、40〜49歳が8人」であることが条件となります。
◆提示拒否には求人受理保留も
年齢制限の理由を示さない事業主の求人に対しては、受理を保留するとしています。
また、求人の内容などについては、公共職業安定所から資料の提出や説明を求められることがあり、雇用対策法10条に違反する場合などには、助言、指導、勧告等の措置を受ける場合があるとともに、職業安定法5条の5但書に基づき、公共職業安定所や職業紹介事業者において求人の受理を拒否される場合があります。
次世代育成支援法の認定企業が、増加中
◆届出の状況は?
次世代育成支援対策推進法に基づいて「一般事業主行動計画」(行動計画)を策定・届出し、当該計画の目標を達成したことなど一定の基準を満たした企業の認定が開始されてから6カ月が経過しました。
平成19年9月末現在の認定企業は366社で、行動計画の届出企業2万772社うち301人以上の企業が1万2,961社、300下以下の企業が7,811社となっています。301人以上の企業の届出率は97.6%となっています。
◆次世代育成支援対策推進法とは?
次世代育成支援対策推進法は、次代を担う子供を社会全体で支援していくため、企業や自治体に子供を育てやすい環境づくりの行動計画の策定を求めた法律です。2015年3月31日までの時限立法で、2005年4月に施行されました。
これまで、少子化の主たる原因は「晩婚化」や「非婚化」とされてきましが、最近では結婚した夫婦が子供を持つことが少ないことも指摘されています。そのため、育児と子育ての両立支援が中心であった対策に、国は男性を含めた働き方の見直しをすすめています。
◆行動計画の内容
行動計画の期間は2年以上5年未満とする企業が多くみられます。国では、女性の育児休業取得率を7割以上、男性の育児休業取得率を0.5%や1人以上といった目標を設定しています。
その他では、勤務時間に柔軟性を持たせることや、育児サービスの費用の助成等、社内に行動計画を周知することによって、従業員に自然に受け入れられ、働きやすい職場環境に理解がされやすくなってきている傾向もみられます。
◆300人以下の企業の届出も増加
行動計画の届出が「努力義務」とされている300人以下規模の企業でも、年々届出数が増加しています。本来ならば、企業規模を問わず次世代育成支援対策の取組みが行わなければならないもので、今後より多くの中小企業での取組みが期待されます。
12月の税務と労務の手続
[提出先・納付先]
10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]
15日
○ 勤労青少年旅客運賃割引証交付申請書の提出<12月15日〜1月25日>
[労働基準監督署]
31日
○ 固定資産税<都市計画税>の納付<第3期分>[郵便局または銀行]
○ 健保・厚年保険料の納付
[郵便局または銀行]
○ 日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
本年最後の給料の支払を受ける日の前日まで
○ 年末調整による源泉徴収所得税の不足額徴収繰延承認申請書の提出[税務署]
○ 給与所得者の保険料控除申告書<生命保険・損害保険・社会保険>兼給与所得者の配偶者特別控除申告書の提出[給与の支払者]
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