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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』               平成19年11月号

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1,「日雇い派遣労働者」にも雇用保険を適用

 

◆厚生労働省が方針決定

厚生労働省は、1日単位で日払いの仕事に派遣される「日雇い派遣労働者」「スポット派遣労働者」に対しても「日雇い雇用保険」を適用し、日雇い労働者向けの失業手当を支給する方針を固めました。

 

◆「日雇い雇用保険」とは

もともと「日雇い雇用保険」は、建設作業員など、日替わりで複数の事業所で直接雇用される日雇い労働者の失業対策として始まった制度です。

派遣会社に雇われる日雇い派遣労働者については、職場に直接雇用されるわけではないことから、「制度創設時に想定していない働き方」としてこれまで適用対象となっていませんでした。

 

◆日雇い派遣労働者の実態

いま、この日雇い派遣が、ワーキングプアの温床となっているといわれています。不安定な雇用実態のため、低収入からいつまでも抜け出せないのです。

日雇い派遣労働者の多くは、前日に携帯電話やメール等で仕事を予約し、直接派遣先に出向いて就労し、日給を手にしています。仕事は毎日保証されず、収入は不安定です。また、多くの仕事は日給が6,000円程度、1カ月フルに働いても月収は1213万円程度にしかなりません。こうした人々が、現在、家賃が払えないためにインターネットカフェ等に寝泊りする「ネットカフェ難民」としてクローズアップされています。

今回の雇用保険の適用は、不安定な日雇い派遣労働者のセーフティーネットの役割を果たすことになると期待されています。

 

◆失業手当をもらうには

実際に手当が支給されるためには、1.複数の派遣会社に登録し、職場を転々として不安定な雇用状態にある、2.ハローワークで求職しているなどの条件を満たし、職業安定所で勤務実態が日雇い労働者並みに不安定であると認められる必要があります。受給月の直前2カ月間で、複数の派遣会社から派遣されて26日以上仕事をしていれば、仕事がない日に、勤務状況に応じて日額4,1007,500円の失業手当を受け取ることができます。

 

◆今後の課題は?

雇用保険の適用が広がったことは、これまで不安定な雇用状況に置かれていた日雇い派遣労働者にとってよいことでしょう。しかし、このまま不安定な日雇い派遣労働者のままでいてよいのか、という問題は未解決です。

厚生労働省では、「安易な給付は不安定就労を定着させるおそれがある」として、失業認定の際には安定的な職業の紹介にも力を入れていく考えです。







 

「2,男女共同参画社会」の理想と現実

 

◆内閣府が調査結果を発表

内閣府では、「男女共同参画社会に関する世論調査」を行い、その結果を発表しました。

この調査は、男女共同参画社会に関する国民の意識を把握して今後の施策の参考とすることを目的としたもので、男女の地位に関する意識、女性の社会進出に関する意識、家庭生活等に関する意識、男女共同参画社会の形成に関する意識、の4点について調査されています。

 

◆「夫は外、妻は家庭」反対が半数超える

今回の調査で特筆すべきは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」との考えに反対する人の割合が52.1%と、1992年の調査開始以来、初めて半数を超えたことです。もっとも、男性は賛成が51%、反対が46%と、いまだに古い考えを持っている人の割合が多いようですが、女性では賛成が40%、反対が57%となりました。「反対」と答えた人を世代別にみると、40代が59%で最高、最低は70歳以上の38%でした。

内閣府では、「男女の役割分担を固定的に考える傾向に変化がみられる」と分析しています。

 

◆しかし現実は…

それでは、実際に、妻が外で働きやすい環境は整いつつあるのでしょうか。

残念なことに、理想と現実は大きくかけ離れているようです。分野によっては男女の平等感は強まっているようですが、固定的な意識は依然として強いのが現実で、家事分担については食事の支度も後片付けも掃除も、実際の家庭では「妻の仕事」になっている率が非常に高いのです。

また、男女の仕事と家庭に対する考え方にも依然開きがあります。「仕事と家庭のどちらを優先するか」という調査項目では、「仕事を優先する」のは女性の17.3%であるのに対し、男性では40.2%。これも、「家庭を守るのは妻の仕事」という固定的な意識の現れでしょうか。

 

◆社会全体での男女の地位

もっとも、これは、家庭内の意識の問題にとどまらず、社会全体の問題ともいえます。

社会全体での男女の地位について、「男性が優遇されている」と答えた人は、「非常に」「どちらかと言えば」を合わせて73.2%、「女性が優遇されている」は4.2%にとどまりました。男性のほうが外で仕事をしやすい状況にあるのは明白なようです。

 

◆男性の家庭内への参加のために

女性が外で働きやすい環境をつくるためには、まず、男性が家庭内の仕事に積極的に参加することが必要です。そのためにはどのようなことが必要なのか、「夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること」を挙げた人の割合は60%にのぼります。

現実を理想に近づけていくために、まずは家庭に帰った後にゆっくり家族と会話をすることから始めてみてはいかがでしょうか。








 


3,社会保険加入手続を怠った会社に賠償請求できるか

 

◆将来受け取る年金額が少なくなる

会社が社会保険の加入手続をしていないことがあります。労働者がそのことを知らないでいると、その期間は保険料を納めていないことになりますから、退職後に受け取る年金も少なくなってしまいます。

こういった場合、加入手続をとらなかった会社に対して、損害賠償を請求できるのでしょうか。

 

◆「社会保険」とは

健康保険と厚生年金保険を合わせて「社会保険」と呼びます。健康保険法と厚生年金保険法の「適用事業所」に該当する会社の事業主は、雇用者のために社会保険の加入手続を行うことが義務付けられています。

社会保険料は労働者と会社が折半で支払うため、労働者にとって加入のメリットは大きいものです。一方、経営状態が苦しい会社には大きな負担となります。そのため、保険料の支払いを免れようと、加入手続をとらない会社があるのです。しかし、社会保険庁に対して労働者の「被保険者資格取得」の届出をしなかったり、ウソの届出をしたりした会社は、健康保険法と厚生年金保険法の罰則対象になります。

 

◆損害の立証が難しいことも

では、未加入によって、会社側は民事上の賠償義務を負うのでしょうか。事業主が届出を怠ることは、労働者の法益を直接に侵害する違法なもので、労働契約上の不履行とされる場合もありえます。

ただ、若い労働者の場合、提訴時点では年金受給資格を得られるまで働き続けるかわからず、損害立証が難しくなります。退職して年金を受給している場合は、受けられたはずの年金額の計算ができ、損害額算定が比較的容易です。

 

◆自ら確認を

「確認しなかった労働者の過失」とされないように、加入手続がとられているかどうか確認することが大切です。社会保険事務所に問い合わせれば、「誰が」「いつから」社会保険の被保険者として届けられているか確認することができます。

また、「年齢制限がある」等の虚偽の説明をして、「社会保険への加入資格がない」と言う会社もあります。おかしいと感じたら社会保険事務所や社会保険労務士に相談することが大切です。





 

4,4分野を1枚に統一する

「社会保障カード」

 

◆様々な履歴を一元管理

厚生労働省は、社会保障の履歴を一元管理する「社会保障カード」の導入を議論する有識者検討会の初会合を開き、年金・医療・介護・雇用の4つの制度の被保険者証を1枚のICカードに統一することで合意しました。将来は健康診断の結果などの医療情報も閲覧できるようにすることでも合意しています。この社会保障カードは、2011年度をメドに導入される予定です。

 

◆年金・医療・介護・雇用の4分野

これまで、社会保障カードでどの制度の情報を一元管理するかがあいまいでした。会合では、まず年金・医療・介護・雇用の4分野を管理対象にする方針を確認しました。

社会保障カードは原則国民1人に1枚発行し、年金手帳や健康保険証、介護保険証などの役割を兼ねます。これまで何種類もの証書が必要だったところ、1枚のICカードを持ち運ぶだけでよくなりますから、便利になります。また、パソコンで年金の加入履歴などを確認できるようになるため、公的年金の納付記録漏れなどの不祥事が起きても、加入者が自ら発見できるようになります。

また、将来はICカードで自分の医療情報を見られるようにするなど、柔軟な制度設計にすることとなっています。

 

◆今後の焦点は?

今後の焦点は、4つの社会保障制度が個人にそれぞれ割り当てている番号の統一の問題です。基礎年金番号や住民票コードを使う案、新しい番号で統一する案が浮上していますが、会合では意見がまとまりませんでした。番号を統一せず、1枚のICカードに4つの個人番号を併記する案も出ています。

また、雇用保険が被保険者資格の管理に氏名・生年月日・性別を使っているのに対し、年金ではこれに住所も加えるなど、制度によって必要な管理情報が異なっています。これをどう統一するかも課題となります。

さらに、セキュリティー面の問題もあります。情報管理が甘いと、膨大な情報が一気に流出する危険があります。この点については、内閣官房情報セキュリティーセンターと協力し、セキュリティーを強化するとのことです。







 

11月の税務と労務の手続

[提出先・納付先]

 

10

    源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

    雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]

    労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]

15

    所得税の予定納税額の減額承認申請の提出[税務署]

30

    個人事業税の納付<第2期分>

[郵便局または銀行]

    所得税の予定納税額の納付

<第2期分>[郵便局または銀行]

    労働保険料の納付<延納第3期分>

[郵便局または銀行]

    健保・厚年保険料の納付

[郵便局または銀行]

    日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]

    労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]





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