BY 月華美心  
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〜ブルーベリーの味がする U〜



もう随分アメリカに帰っていない。 
数々の行き詰まりと、どうしても捨てきれぬ夢が原動力となって
ロスを飛び出したのは、昨日の事のようだけれど・・・
今さらと言う思いがありながら、 もしかしたらという希望も合間って
僕は終りのない旅をし続けている。

ヨーロッパへ渡り鉄道を使って様々な国境を越えながら、好きな絵を書き、売り、
その日暮らしに慣れてしまってもう8年になる。
ずっと執着していた富や名声は徐々に薄れ、 もしかしたらただの綱渡りを
しているだけかもしれない。

この頃の作品といえばどれも淋しさや儚さを表現したものばかりで
二度と見たくない作品ばかりだった。

   しかしそれがよく売れる。 

素直な表現は受け入れられると言うことか・・・

exciteな米国で育ちながら、silentな欧州の一部を持ち合わせていた僕は、
母の故郷であるあまり好きにはなれなかったフランスを最後に、
アジアへと拠点を移し、中国、中東、インド、ネパール、ベトナム、タイ、香港、
それに地図にも載っていないような島々を転々と放浪し続けていた。
その頃、経済大国と呼ばれる日本には、全く興味がなく、
正確な地理位置さえ僕は知らなかった。

アジアでのカルチャーショックはいつしかワクワクに変わっていて、
旅はとても楽しくジャカルタに着いた頃には南国らしく、僕の絵も
温かくなっていた。

人物は描かない。描いたことがない。
自然が対象だ。 自然は ―

  嘘をつかないから・・・ 

真実を描きながら、バリへと下り、神秘の国でエルサレムでも
考えはしなかった“神”について考えていた。
三次元的には絶対に見えないし、触れない、所詮感覚的なものなのだと思う。
特定の人物や思想にとらわれるから争いが起こるのだ。

  神について語るのは好きじゃない。

クタのビーチで物売りに断れないでいる日本人から目をそらし、
僕はamericanで良かったと苦笑しながら平和を感じていた。

と、同時に
砂浜で、バイオレットの夕暮れに 水平線に落ちて行く夕日に
木陰で愛し合う恋人たちに そして 僕の鼓動に・・・
―神を感じていた。

8年の間に分離していたマインドは、少しづつある方向へと答えを
見つけ出そうとしているような気がする。
オーストラリアに着いたのはそんな29のワイルドフラワーの時期・・・。
世界で最も美しいと呼ばれているパースに入り、 cityに着くと“ヨーロッパ通り”という欧州のミニチュア版のような通りが おもちゃみたいで僕を笑わせた。
あまり好きにはなれなかった自身の一部を許せるような・・そんな 気分。
今はもういない、母を・・思い出していた。

通りを抜けて少し歩くとswan riverが見える。
河を挟んだその向こうにあるsouth parthにバリで感じた感覚が疼く。
さっそくjettyに行って船に乗り向こう岸に向かう。
昨日は雨だったのか、こんなに空気が澄んでいるのに河は濁っていた。

小さな船の上で感じる河の風は、海とは違う心地よさを持つ。
丁度五感が研ぎ澄まされてきた時、辺りから漂ってきた甘い香りが僕を包んだ。
桟橋近くなるとその甘さはどんどん強くなっていき、反射的にくんくんしながら
首を傾げていると、boart manが言った。
 
“降りてすぐの所にパン屋ができたのサ、 おいしいって評判だよ。
特にブルーベリージャムのドーナツが最高!”

そう言って親指を立てて突き出し頷いた。
でっぱったお腹はブルーベリージャムのせいか、あらゆる種類のビールのせいか 
オージーの人の良さとのんびりさを象徴している。

船が着き彼に軽く手を上げて礼を言い、僕はそのパン屋とやらに足を運んだ。
新しく出来たと言われていたのに、ペンキ臭さを消してしまうほど甘さが充満していて疲れがほどけていった。
ブルーベリーのドーナツを3つ、それにミートパイを2つ買って川沿いの輝く芝生を目指した。

長い長い旅の途中の昼下がり、swan river を背景に
ブルーベリーの香りに包まれて
僕達は―

      ・・・・

           始まった。

 

 

<まりんの処方>

うふっ。あの子に逢ったんです(^^)
ロマンを持った自立の男
正義や真実に忠実で“愛”をテーマに生きている。
だからこの世に絶望が多い。
個性的といおうか、社会に適応出来ないアウトローというか---
孤独で、傷ついてて、美しくて、 きっと 男前・・・
( だったら まりんが ハマる・・・・(^^ゞ )

こんな彼に飲ませたい おすすめエッセンスは 
トール・イエロー・トップ/ エンジェル・ソード/ フランネル・フラワー

 

 

 

 

 
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