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マルセル・デュシャンとしてのタオイスト 近代美術の伝統からの脱却 フランスでは19世紀後半に、中国学(chinologie)が隆盛する。 マルセル・デュシャン (1887~1968)は、19世紀末の ニヒリズム の余波を受け、 中国のタオイズムに傾倒し、西洋近代美術の伝統からの脱却を企てる。 『老子』を J. レッグの英訳(London,1891)で読み、 《泉》( 1917 ) を着想したデュシャンは、それ以前に 岡倉天心(覚三)著『東洋の理想』の原著(London,1903) に接していた可能性もある。 因みに、 フランス語訳『東洋の理想』 は1917年にパリで出版される。 同世代のドイツの哲学者、マルティン・ハイデガー (1889~1976)もまた、 タオイズム と 禅仏教 に依拠したことが指摘され、 九鬼周造 を介する岡倉天心の著作との関係に言及される。 Reinhard May; Heidegger's hidden sources, 1996 (First published 1989 in German). 彼らの活動を、西欧モダニズムに対する同一の警鐘として把握する必要がある。 タオイズム (老荘思想と道教) は、唐末から宋の時代に 『易経』 を取り込んでいた。 《階段を降りる裸体、No.2》(1912) は『易経』の卦「漸」に、 《自転車の車輪》(1913) は『易経』の卦「旅」に依拠している。 《彼女の独身者達によって裸にされた花嫁、不二》 (又は《大ガラス》、1915-23) は『易経』に深く根差すとともに、その構図は北京・白雲観の 『内経図』 に一致する。 《与えられたとせよ 1.落ちる水 2.照明用ガス》(又は《遺作》、1946-66) は、道教の教典『黄庭経』を典拠とする。 以上のデュシャン芸術に一貫するテーマは、「時が熟して起こる」(時熟)である。 |
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