- 構成生薬:威霊仙・甘草・羌活・牛膝・地黄・芍薬・生姜・川キュウ・陳皮・当帰・桃仁・白シ・白朮・茯苓・防已・防風・竜胆
- 陽陰区分:太陰病
- 治 方:去風勝湿
- 適 合:虚証、関節の腫れや痛みで特に左側の症状が強いもの
経・血を活性化することで風湿を除去する処方で、血行の阻害などにより経絡の働きが乱れて関節部が痛むものに使用します。
もう少し具体的に例示しますと、酒や美食によって悪血(血行障害による滞血)や水毒(循環していない湿)の傾向がある者が、過労や外感によって神経痛や関節痛を発症した場合です。
経絡が関与する場合は朝の動かす前に症状が強く、血が関与する場合は朝よりも夕に症状が強いとされますが、本処方はどちらにも対応しています。
適合で左側にこだわっていますが、昔から血の疾患は左半身に多いとされるためで、右側には効果がないというわけではありません。
右足と左足の静脈走行に違いがあり、左足静脈は直腸を経由して門脈に入るという迂回経路をとるので、もしかするとこれが関係しているのかもしれません。
下肢静脈瘤には、本処方かキュウ帰調血飲第一加減が第一候補に上がります。
坐骨神経痛のように腰に不調があって足に痺れや痛みがある場合や、体・下肢関節の屈伸に不調がある場合は、最初に考慮すべき処方です。(肝・腎の不調が関与している場合は独活寄生丸を検討します)
また、風寒・血虚血オに対応している処方ですから、寒がある状況での打撲や捻挫にも優れた効果があります。
痛風は風寒湿から熱化してオ血を生じた状態ですので、本処方が最適です。
ただし、熱化による痛みが甚だしいリウマチのような疾患では、温によって痛みを強くする可能性がありますので注意が必要です。(清熱作用のある桂枝芍薬知母湯を検討します)
血行促進作用に優れますので滞血による痛みには効果的ですが、湿による症状には効果が弱く、血行不良に伴う二次的な場合にしか使用しません。(関節部に水が溜まるような状況では、他処方を検討すべきです)
夜に痛みが強くなるのは滞血の特徴ですが、痛みが強い場合は本方単独よりも還元清血飲などのオ血対応薬を併用します。
なお、寝違えによる痛みには、本処方の倍量と地竜を頓服すると奏効するケースがあります。
慢性的な腰痛や、ぎっくり腰を繰り返すような場合は、腎虚が加わっていることが多いので、八味地黄丸などの併用を検討します。
アルドースリダクターゼ阻害作用・ソルビトール蓄積阻害作用は桂枝加朮附湯に次ぐ強さで、糖尿病性神経痛にも効果が期待できます。
牛膝の配合量は少ないものの、通経作用がありますので、妊婦には使用しない方がよいと思います。