第7回サマーコンサート

インフォメーション

第7回 サマーコンサート

平成18年6月25日(日)    
ひこね市文化プラザグランドホール
指揮 高谷光信
  ベートーヴェン     フィデリオ序曲
  ベートーヴェン     交響曲第5番「運命」
  ストラヴィンスキー   火の鳥 1919年版



第1回 ルッチプラザコンサート

平成19年6月18日(日)    
ルッチプラザホール       
指揮 高谷光信 バイオリン独奏 高岸卓人
  ベートーヴェン     フィデリオ序曲
  ビバルディ        四季より
  ベートーヴェン     交響曲第5番「運命」

高谷光信 指揮者プロフィール

   京都市立堀川高等学校音楽科(現・京都堀川音楽高等学校)を経て大阪音楽大学音楽学部器楽学科卒業、キエフ国立チャイコフスキー音楽院指揮科首席卒業。また国家演奏家資格を最優秀の成績で修了。ディプロマを取得。指揮を小松一彦、伊吹新一、田中良和、藏野雅彦、V.プラソロフ、E.ドゥーシェンコ、N.スーカッチ、また2011年よりローマン・コフマン(元ボン・ベートーヴェン管弦楽団音楽監督)に師事する。2003年、キエフ国立チャイコフスキー音楽院卒業時、ウクライナ・チェルニーゴフフィルハーモニー交響楽団に客演指揮者として招かれ、ウクライナにてプロデビューを果たす。楽団員の大きな支持により首席客演指揮者(2003~2007)に就任。2007年より第2指揮者に就任。現在も定期演奏会や各国の音楽祭、マスターコースなどで共演を続けている。

これまでに同楽団の招致により『シベリア国際音楽祭』『ウクライナ国際音楽祭・キエフ夏の音楽の夕べ』、またウクライナを代表する国際音楽祭である『バルトケーヴィッチ国際音楽祭』などに出演している。「高い音楽性でソリストを支え音楽祭を成功に導いた。」(kievPost)と紙面でも高く評価された。また2010年より『ウクライナ国際サマーアカデミー』の指揮者に就任し世界中の若きソリストと共演している。また、この模様は全国放送されている。現在までにウクライナ・チェルニーゴフフィルハーモニー交響楽団、ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団、キエフ音楽院管弦楽団、大阪交響楽団(旧・大阪シンフォニカー交響楽団)、セントラル愛知交響楽団、テレマン室内オーケストラ、瀬戸フィルハーモニー交響楽団、東京室内オーケストラ、愛知室内オーケストラ、エウフォニカ管弦楽団、神戸市室内合奏団、ナゴヤディレクターズバンド、ブラスパラダイス大阪、大阪市音楽団、東京混声合唱団など、数多くのオーケストラ、吹奏楽団、合唱団を指揮。

大学・アマチュアオーケストラ・合唱団との共演も多く、早稲田大学グリークラブ、関西シティーフィルハーモニー合唱団、コープこうべ第九合唱団、大正フロイデ第九合唱団、新居浜市民合唱団、京都府厚生年金基金合唱団など多くの演奏会に出演している。これまでにヴァイオリニストのエレーナ・ケシャーエバ、豊嶋泰嗣、沼田園子、ピアニストの近藤嘉宏、江口玲、塩見亮、崔理英、池本三太、アンドレイ・イエーメッツ、ドミトリー・オニシチェンコ、テノール歌手の秋川雅史、田原祥一郎、松本薫平、竹内直紀、小餅谷哲男、バリトン田中勉、ウズベキスタン音楽集団『SHOD』など国内外の著名な演奏家と多数共演している。現在ウクライナ・チェルニーゴフフィルハーモニー交響楽団第2指揮者。ニコライ・バセリーヴィッチ国際指揮マスターコース(ウクライナ)専任講師、審査員。名古屋芸術大学音楽学部、武庫川女子大学音楽学部、仁愛女子短期大学音楽学科、京都市立芸術大学音楽学部音楽教育研究会、各非常勤講師。
    
演奏会に寄せて ルッチ講演 バイオリン独奏 高岸卓人
 僕は「ひこね第九オーケストラ」に小学校二年生から参加し、ドイツベルリン公演も含めると、ベートーベンの「第九」を8回演奏してきました。このオーケストラに育てていただき、オーケストラの魅力も知ることができました。いつも一緒に演奏している方々との共演で、とても安心して弾くことができます。高谷先生は、僕のやりたいことを尊重して下さり、数々のアドバイスは、とても勉強になりました。テンポ設定、ソリストとしての心構え、合図の出し方、音楽の受け渡し方など、演奏に活かしたいと思います。
5歳よりバイオリンを始め、福田みどり氏、塩沢まり子氏、戸澤哲夫氏に師事。地元、ひこね第九オーケストラ、彦根JOYジュニアオーケストラに参加する傍ら、かずさ弦楽セミナー、クフモ室内音楽祭ミュージックコースに参加。昨年末には、ルッチプラザライブラリーコンサートに出演。現在、滋賀県立河瀬高等学校1年生。
 
楽曲紹介
フィデリオ序曲

 ベートーヴェンは、皆さんもご存知のとおり、数多くの作品を作曲していますが、歌劇に関してはただ1つしか手がけませんでした。それが、歌劇『フィデリオ』です。この歌劇については、序曲が4曲もかかれ、今日演奏する「フィデリオ序曲」は、その最後、第4番目の序曲となります(他3曲は「レオノーレ」第一番~第三番)。最初の初演は1805年であり、この最終版『フィデリオ』の上演は1814年。実に約10年もの歳月をかけて完成させた作品といえるでしょう。
 歌劇自体の内容は、不当に投獄された夫を助けるために、妻であるレオノーレが男装してフィデリオと名乗り、危険をかいくぐって夫を救い出すといったものです。この題材は、夫婦愛、ことに女性の深い愛情や、勇気などを謳歌したものであり、そこにベートーヴェンは強く惹き付けられ、何回も書き直すほどの執着をみせたのではないでしょうか。また、前に3曲、特にレオノーレ第三番という優れた作品がありながら、彼が新たな序曲を書いた背景の一つには、第三番では序曲として重過ぎるのではないかという懸念があったからだと言われています。そのため、この「フィデリオ序曲」は、4曲の中で最も短く、かつ歌劇の内容を直接的にではなく、象徴的に暗示しています。

火の鳥(1919年度版)

 「火の鳥」と聞いて、一番に心に思い描くのはどんな鳥でしょうか?調べてみますと、この「火の鳥」伝説は、世界のあちこちで存在します。エジプト神話にも登場するフェニックス、中国では朱雀や鳳凰が火の鳥とされ、ヒンドゥーの神話にもガルーダという神鳥が登場します。人の心は民族、地域、宗教などを超えて通じるものがあるのでしょうか。それとも、これらの伝説の源は一筋の流れから来ているのでしょうか。とても興味深い事柄です。
 さて、このストラヴィンスキーの「火の鳥」は、ロシアの民話をもとにしたバレエ音楽です。ストラヴィンスキーは、この「火の鳥」で音楽界に鮮烈にデビューすることになりました。「火の鳥」は、彼の出世作でもあり、また祖国ロシアの色が最も濃く反映されている作品とも言えるでしょう。その後、「ペトルーシュカ」「春の祭典」など、次々と作品を発表し、まさに革命児として名を刻むことになります。その後、第一次ロシア革命を機にフランスに亡命、第一次世界大戦時にはスイス、第二次世界大戦時にはアメリカに渡り、亡命以降80歳になるまで祖国に帰ることはありませんでした。

1 序奏~カスチェイの魔法の庭園~火の鳥の踊り~火の鳥のヴァリエーション
 狩に出たイワン王子は、獲物を追うのに夢中になった余り、魔王カスチェイの支配する庭の中に迷い込みます。イワン王子は、黄金の実をつけた樹のまわりを飛んでいる火の鳥を見つけ、その美しさに魅せられ、何とか捕らえます。火の鳥は逃がしてくれと嘆願し、王子は火の鳥の「魔法の羽」を1本もらい、再び放してあげます。

2 王女たちのロンド
 まもなく魔王に捕らわれた13人の王女たちが現れ、黄金の実と戯れながら踊り、王子はその中の一人、ツァレヴナと恋に落ちます。夜が明け、捕らわれの身の王女たちは魔王の城に戻らねばならず、救出を誓った王子は城に潜入を試みます。曲中、オーボエとハープで奏される印象的な主題は、ホロヴォードと呼ばれる古いロシア舞曲です。

3 魔王カスチェイの凶暴な踊り
 城に踏み込んだイワン王子は、手下の魔物どもにとらえられてしまいます。魔王は王子を石にしようとしますが、王子は火の鳥からもらった「魔法の羽」によって難を逃れます。そこに、火の鳥が恩返しに現れ、魔王とその魔物どもに激しい踊りを強要する魔法をかけます。息もつかせぬ激しいリズムとともにエネルギーが炸裂します。

4 子守歌
 狂ったように踊ったあげく、疲れ切った魔王たちは倒れこんだあげく、火の鳥の子守歌(ファゴットとオーボエのソロ)によって、眠り込んでしまいます。その隙に、王子は魔王の生命の卵を見つけ、打ち砕いてしまいます。魔王は死に、全ての呪いは解き放たれます。
 
5 終曲(フィナーレ)
 魔王の魔法は全て解け、石となった捕虜たちも、捕らわれの王女たちも、皆、元通りになりました。弦楽器の静かなトレモロにのり、ホルンが平和の訪れを告げます。宮殿から出てきた王女ツァレヴナとイワン王子はお互いを見つけて駆け寄り、抱き合います。金管楽器の登場とともに、婚礼の場面となります。全員が、永遠の愛を誓う王子と王女を祝福し、輝かしい終わりを迎えます。そして、火の鳥は彼方に飛び去って行くのでした。



交響曲第5番 運命

 この交響曲は、ベートーヴェンの交響曲のみならず、おそらく全ての交響曲の中で最も有名なものの一つと言えるでしょう。第一楽章の冒頭、あの「タタタターン」という動機。「かくのごとく運命は戸をたたく」とベートーヴェン自身が説明した、とその弟子シンドラーによって伝えられ、この交響曲そのものが「運命」と劇的な題で呼ばれるようになっていることも、人気を高める原因の一つとなっているのではないでしょうか。(もっとも、一般にシンドラーの記述は今では信頼がおけないとされ、また日本以外の国では「運命」のタイトルが当たり前には使われてはいませんが)。この「運命の動機」、たった4つの音符の動きは何の変哲もない、どこにでもあるリズムです。これだけでは何の感動も生み出しません。しかし、「運命の動機」は実に見事な計画によって、全曲を通しての中心とされ、完璧な構成を示しています。曲が進むにつれ、この動機は、その時間・その場所に存在する意義を刻々と変化させていきます。そして、一見価値のなかった動機が、劇的で壮大な音の広がりとなり、わたしたちを深く感動させてくれるのです。この作品は、1808年、ベートーヴェンが33歳の時の作品です。「暗黒から光明へ」というテーマが、全楽章を通してみごとに貫かれており、約200年の時を越えてなお輝きを増す、まさに不滅の傑作といえるでしょう。

第一楽章:Allegro con brio ソナタ形式
誰もが知っているあの動機から始まり、このリズム形が無限に続いて全曲を貫いていきます。

第二楽章:Andante con moto 自由な変奏曲
自由な変奏曲の形をとっており、主題は第一楽章の緊張感あるものに対して、たいへん美しく優雅なものです。

第三楽章:Allegro スケルツォ
チェロとコントラバスにより静かにかつ厳かに始まります。すると、ホルンがffで「運命の動機」を吹きまくり、そこから動機が繰り返されます。トリオも、チェロとコントラバスから始まり、活発で軽やかな旋律を奏でます。トリオの後、再びスケルツォに戻りますが、これは単なる繰り返しではなく、しかも終わりはありません。そのまま、第四楽章に休みなくはいっていきます。

第四楽章:Allegro ソナタ形式
行進曲風の凱歌。前楽章からの緊張感のあるpp、そして長いクレッシェンドの末、壮大に始まります。この楽章でこれまで休んでいたピッコロ、トロンボーン、コントラファゴットが加わり、全体としてさらに重圧な響きになります。一度クライマックスに達したところ、再びスケルツォが行れ、主題が全楽章を通して鳴り響き、最後は輝かしい栄光の響きとなるのです。

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