第8回ひこね市民手づくり第九演奏会

インフォメーション

日時 平成17年12月18日(sun)  
場所 ひこね市文化プラザグランドホール
指揮 井崎正浩 
ソプラノ 尾崎比佐子 アルト 福原寿美枝 
テノール 竹内公一  バス 萩原次己

ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
リスト 前奏曲 「レプレリュード」
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2003/10/16
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 もう肌寒い10月の半ばから井崎先生の練習が始まりました。練習場の市民会館は暖房があまり効かないのですが、先生は必ず半そでで指揮をされました。無 駄な動きはなく、指揮にも力みがなく、とくにリストでは、大変にデリケートな演奏を要求されました。力みがないということは、一層にお互いの音を聞きあっ て、音楽のつながり、流れを大切にした演奏を目指すことにつながります。それだけ精密な集中力が必要です。
  
 例えば、リストの冒頭のピチカートは4拍子の3拍目から始まるのですが、ふたつの休符に奥深いものを感じさせるということが、情熱一辺倒の演奏スタイル では、理解が難しいものがありました。リストはハンガリー人であるということから、いっそう先生のハンガリーで修業された深い思い入れを感じさせるものが ありました。

井崎正浩 指揮者プロフィール
a  1960年福岡市生まれ。 '95年5月のブダペスト国際指揮者コンクールに優勝以来、一躍注目を集め始めた指揮者。これまでにハンガリー国立交響楽団、 ブダペスト交響楽団、 MAV(マーヴ)交響楽団、ハンガリー国立歌劇場管弦楽団等を指揮し、どれもが高い評価を受けている。またコンクール中の演奏をハンガリー国立オペレッタ 劇場総裁に認められ、同年11月同劇場に招かれレハール作曲「メリー・ウィドゥ」を指揮してデビュー。それまでの伝統を踏まえた上での新鮮な音楽作りに、 聴衆だけでなく演奏者からも圧倒的な支持を受け大成功を収め、この模様は国営テレビによってハンガリー全土に生中継された。また、'96年1月の同劇場初 の日本公演にも指揮者の一人として同行し成功に導き、その手腕を絶賛され、「音楽の友」誌の特集「コンサート・ベストテン'96」にも選ばれた。加えて特 筆すべきは、これまでのハンガリー国内での演奏の全てが国営テレビ・ラジオで中継あるいは放送されており、現在ではハンガリーで最も有名な日本人のひとり となっていることである。“ヨーロッパの精神を持った指揮者”(マジャール・ヒールラップ紙)、“日本人離れをした才能と感覚”(読売新聞)等の評価が高まる一方、ミューヴェス・ハーズ社(ハンガリー)と契約し、オペレッタCDがこれまでに2枚リリースされた。
  日本では '96年1月に東京シティーフィルのニューイヤーコンサートを指揮してデビューを飾って以来、これまでに読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽 団、九州交響楽団等を指揮し、どれもが高い評価を受けている。テレビ朝日「題名のない音楽会」、日本テレビ「深夜 の演奏会」等にも出演し、一層の注目を集めており、今後もハンガリー国内での多くのオーケストラや、ドイツ、ルーマニア、スイスでのデビューを控え、大き な期待が集まっている。 指揮法を安永武一郎、カール・エスターライヒャー、ギュンター・トイリング、湯浅勇治、遠藤雅古、伊藤栄一の各氏に師事。福岡教 育大学音楽科卒業、東京学芸大学大学院(作曲・指揮法講座)修了、オーストリア国立ウィーン音楽大学(オーケストラ指揮科・合唱指揮科・作曲科)に文部省 派遣給費留学。

2003/12/18
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本日の第九演奏にあたって
指揮者 井崎正浩

 ひこね市民手作り「第九」演奏会」も今回で第8回目を迎えるそうで、これまでたくさんの方がご来場され毎回の第九演奏をお楽しみになられたことと思う。 私は指揮者として今回の第九演奏に招いて頂き、これまでずっと演奏してこられたオーケストラ、合唱団の皆さんに、ベートーヴェンの演奏について再検証して 新しい印象を持って頂きたく、今回は『ベーレンライター新校訂版』による演奏をご提案した。

そもそもこの『新校訂版』とは何か? 今回使われる楽譜は、従来各オーケストラでずっと使われ続けてきたブライトコップフ社のものでない、ベーレンライ ター社が1996年に出版したスコアとパート譜、合唱譜である。ベートーヴェンが今から180年以上も前に作曲したこの偉大な作品、これまで日本では年末 になると日本中のオーケストラがこぞってプログラムに取り上げていたこの大交響曲の楽譜が、なぜ最近になって見直されるようになったのか不思議に思われる 方も多いだろう。これには生前のベートーヴェンの時代からの複雑ないきさつがある。

 この作品が完成されてから、すぐに出版のために浄書師が筆写をしたそのスコア(オーケストラの全ての音符が書かれた総譜)に、ベートーヴェンは膨大な加 筆修正を加えている。そのため新たに筆写師が加わり作業が進むが、その中にも多くの見落としやミスが含まれており、スコアはそのまま出版。その後演奏用に パート譜(各楽器ごとの音符だけが書かれた楽譜)も完成されるが、ベートーヴェンはそれにも訂正を指示。演奏会前の実際の練習に立ち会った際には、その現 場でさらに変更。さらにはこの頃に発明されているメトロノーム(演奏速度を表示・測定する器具)によるテンポを甥っ子に伝え、そのメモを出版社に送らせ る・・・・。お分かりになるだろうか? この作品は出来上がってからも細かな修正が加えられ続け、あらゆる場面で異なる楽譜が存在したことになるわけで、 しかも統一される前にベートーヴェンはこの世を去っているのである。

 時を経て現代に至るまでに、この交響曲はあらゆる巨匠や名楽団によって演奏され続けてきたが、作曲者の生前にはそれまで構造上の制約で決まった音しか出 せなかった楽器が発達を続け、楽団の中の演奏者の数は初演の頃の倍の人数にも膨れ上がった。ベートーヴェン以降の、例えばワーグナーのような後世に影響を 与えた作曲家が「第九」の(不完全と思われる)楽譜に手を加えて演奏するようになったものだから、そうすることが当たり前のような伝統が延々今日まで生き ているのである。したがって我々が一般的な「第九」演奏会で耳にする演奏は、(ある意味ではそういう伝統?!に則ったとも言える演奏だというわけで)それ が本当にベートーヴェンの思い描いた演奏なのか?というのが研究者によって疑問視され続けてきたのである。3

 しかし、もちろんそれは研究者だけの問題ではなく、実際の演奏者にとっても大きな疑問である。明らかに演奏不可能なくらい速いテンポの指定(メトロノー ム速度)はともかくも、このオケではここはメロディーにホルンを足して演奏するかしないかとか、トランペットを木管とダブらせるかどうか?という楽譜の指 定外のことが問題になり、指揮者の気分や勝手な理論で理不尽な「間」をとったり演奏上の変更が行われたりなど、独自の「○○版」があまりにも多いのであ る。こうした多くの??に対して、ひとつの答えを見出すきっかけになったのが、新しく出版された「ベーレンライター社新校訂版」なのである。

この版を用いて今回オケの皆さんと取り組んだ演奏は、それはただ新しい楽譜をそのまま演奏するだけでは済まされない、<演奏解釈>上の数多くの新たな疑問 をはらむものだと考えている。現代の発達した楽器で演奏した場合、この音符の取り扱いはどうする? ベートーヴェンの生きていた時代の音楽はバロック音楽 時代の古楽から来たもので、ロマン派以降の演奏スタイルではない? テンポの設定や声楽との関係は …従来のスタイルでのオーケストラ演奏経験の多い団員 の皆さんにとっては、その解釈で演奏すること自体にかなり抵抗感のある挑戦だったと推察している。しかし今日皆さんの持つ技術や合奏能力といったものを最 大限に発揮しながら限界に挑戦する中で、私はその真を今日の演奏を通して披露し、来場のお客様に問いたいと思っている。これまでの第九を聴き慣れた方に とっては、その響きや雰囲気の違いに驚かれる方もおられるに違いない。しかし、その新鮮な驚きこそが作曲者ベートーヴェンが求め続けた(従来になかっ た!)革新性や前衛性だと私は考えている。
(いざき・まさひろ)

リスト 前奏曲 楽曲紹介
 『前奏曲』(ぜんそうきょく、Les Préludes(レ・プレリュード))ハ長調は、フランツ・リストにより1854年に作曲された交響詩。13曲あるリストの交響詩の代表作である。「人生は死への前奏曲」という考え(アルフォンス・ド・ラマルティーヌの詩による)に基づき、リストの人生観が歌い上げられている。 ファンファーレは非常に有名だが、ナチス時代にテーマ音楽同然の扱いでイベント等で繰り返し演奏されたため、今日でも映画や演劇などでナチスの場面に用いられることがある。

練習日程
第8回第九練習計画
  9月   4日(日)午後+夜練     彦根市民会館 指揮 三好孝市
  9月 25日(日)午後+夜練     彦根市民会館 指揮 三好孝市
10月 16日(日)午後+夜練     彦根市民会館   
10月 22日(土)夜のみ       ひこね市文化プラザ第1リハーサル室 
11月   6日(日)午後3時から+夜練 彦根市民会館 
11月 13日(日)午後+夜練     彦根市民会館  
11月 23日(祝)午後+夜練     第1&2リハーサル室  
11月 27日(日)午後+夜練     ひこね市文化プラザメッセホール 
12月 10日(土)夜のみ       第1&2リハーサル室 
12月 11日(日)午前+午後+夜練  メッセホール 合唱合わせ
12月 17日(土)夜のみ       グランドホール 
12月 18日(日)午前 GP 午後2時  本番


アンケートに寄せられた声を紹介します
2例 年より少し早めの雪の世界と素晴らしい演奏会少し早めのクリスマスプレゼントを同時に頂きました。(50代女性)初めて来ましたが本当に素晴らしかったで す。感動しました。また来年も聞きに来たいと思います。(20代男性)これまでにない『第九』で新鮮な印象でした。(60代男性)

とてもよかったと思います。毎年『第九』を聞かせていただけるとは幸いです。ずっと続けていただきたいと思います。(50代女性)サブ曲(リスト)のパーカッションが曲の雰囲気を盛り上げていて素敵でした。S.D.のきざみがよかったです。(10代女性)

男声が数段レベルアップした。ソロ陣も熱気に負けまいとがんばった。バスのゆくっりした出だしが非常に良かった。(40代男性)リストは初めて聴きました が楽しめました。1楽章の中間でCbのキザミとTimの連打がすごくかっこよかったです。2楽章が一番好きなんですが感動しました。3楽章は眠らずに聴い てステキな曲だと思いました。鳥肌が立ちました。4楽章はひたすら気持ちよかったです。(20代女性)毎年素晴らしいコンサートで楽しませて頂いてます。 ソリストも加わってのアンコール曲も感動的でした。(50代女性)

初めて聴かせて頂いて迫力のある演奏会にて何よりでした。機会に感謝です。中に親子で頑張って居られるご家族をみつけ今後とも楽しみにしております。(50代女性)合唱が大変素晴らしかった。ソプラノのバイオリンと同じような音程のハーモニーがいい。(10代男性)

月初めの加納先生の突然の訃報には驚きました。素晴らしい演奏会が今後もずっと続いていきますよう、皆様のご活躍をお祈りします。(30代女性)大変すば らしい演奏会をありがとうございました。『第九』の演奏会を実際に聴いたのは初めてだったのでとても感動しました。機会があれば私たちもぜひ参加させてい ただきたいと思っています。(10代男性)

バイオリンがかっこよかったです。最後のアンコールのシンバルも。合唱が入ってきて迫力があり、すごいなと思いました。トランペットの演奏を参考にしたいです。(10代女性)第九の第4楽章のコンバスチェロだけでひいている、メロディーが大好きです。(10代女性)

ホルンかっこよかっです。(10代女性)名指揮で感動しました。(60代男性)きらびやかなるステージ、いかめしきベートーベンの演奏、力強い格調高ベー トーベンの音楽に加え貴楽団の美しいひびきのメロディーに心打たれ感動しました。特筆すべきは思春期の少年らしき幾人かの演奏者に貴楽団の力強い未来を感 じました。貴楽団がいつまでも存続されることを願い更なる発展と輝きを功に願います。(50代男性)

素晴らしかったです。鳥肌が立ちました。何かすっとしました。(20代女性)ホールに早く着きましたが、寒いのに中に入れてもらい大変助かりました。始め の追悼の曲は大変よかった。ベース音も良い響きでよかった。前奏曲はまとまっていてよかった。後列の4番目のCb.の引き方が大変よかったと思う。指先の かろやかさも。前列の黒いベースの人も一生懸命で大変よかった。みんなまとまっていて素晴らしかった。コーラスも大変よかった。アンコール曲は初めてです が大変よかった。(60代女性)

全体的に見ると精神面豹が明るいですし。よかったと思います。特にベ-スの後列の4番目の人がうまかったです。(20代女性)年末の素敵な音のプレゼント ありがとうございました。今後益々のご活躍を楽しみしています。(50代女性)今年は指揮の方が素晴らしく、それに合わせたやわらかい音色で聴いていて聴 きやすかった。合唱もよかった。アンコール大地讃頌もよかった。(40代女性)

第8回おめでとうございます。これだけの演奏会を企画し実行した実行委員の皆様、本当におつかれさまでした。アマチュアのベーレンライター版、初めて聴き ました。おそらく過去にも第九の演奏を数多くこなしている皆さんだけに過去とは違う新鮮さが大変だったと思います。ここまでよく練習されたと思います。と てもフレッシュな第九を楽しませて頂きました。(30代女性)

オケはすごく迫力があったのに荒々しくなくてすごく綺麗で感動しました。合唱が入ったら、鳥肌が立つくらい素敵でした。(10代女性)
あっさり、さっぱり、すばらしい感動ものでした。次回はこてこてに期待しています。(20代男性)合唱団が入ると迫力があってよかった。Fgとてもよかっ たと思います。(20代男性)素晴らしかったです。第九を聴き終わった後は感動しました。大地讃頌は中学の卒業式で歌った曲なのでうれしかったです。 (10代男性)

ベーレンライター版の演奏は初めて聴きました。よかったです。前奏曲のクラリネットの一番の人はうまかったです。第九のフルートの1番の人もうまかったで す。(30代男性)昨年に比べて演奏のレベルは格段に向上した。今後もぜひ研究を。(60代男性)感動した。格調高い音楽に接することができて!オーケス トラも合唱団もすばらしかった。聴衆も聴き入っていた。彦根市が益々音楽を愛する人が増え豊かな文化の香り高い町になるように望みたい。(50代女性)

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