プライマリ・ケア(総合臨床・全人的医療)を専門とする総合内科専門医として、
最新の医療知識を維持できるよう努めています。そのため、従来の治療法の
妥当性をたえず振り返り、日本内科学会や米国内科学会が更新している医学情報を取り入れ、
より有用な治療を提供できるよう心掛けています。
当院での内科疾患への取り組みの例を以下に述べます。
急性上気道炎・急性胃腸炎などのウイルス性感染症が中心です。 これらはほとんどが、自然に治癒しますので、ヒトが持つ自然治癒力を できるだけ引き出すことが治療の目的です。細菌感染の合併が明らかでなければ、 抗生物質は処方しません。ウイルス感染に抗生物質は無効 であるばかりでなく、耐性菌の増加を助長するだけです。
糖尿病、肺気腫、高血圧、骨粗鬆症、慢性肝炎、慢性関節リウマチ、認知症などの慢性疾患は、 さまざまな合併症をもたらします。その合併症を最小限に抑えるには、 薬物治療のみでは不十分です。 食習慣改善、栄養療法、有酸素運動、禁煙、ストレス緩和 などへの積極的とりくみをサポートします。
健診では検査値が標準値からはずれると、二次健診を勧められます。 これを機械的に行うのは、一方で不要な検査を多くし、他方で異常検査値に過度に不安な 患者さんを作り出します。逆に基準値以内でも確実に異常がないとは言い切れません。 検査の値だけでなく、年令、性、嗜好品、基礎疾患などの疾患危険因子 を考慮した検討が重要です。
多くの薬は肝臓または腎臓で代謝されます。従って、薬物治療ではこれらの臓器への障害の 可能性を考慮し、薬の相互作用や有効性について細心の注意を払うことが 重要です。 当院では、なるべく少ない薬による治療を診療の基本としています。副作用をおさえるために 別の薬を追加することは極力避けます。
高齢の方はしばしば、複数領域にわたる症状を同時に患っておられます。 これらを症状別に常にそれぞれの専門家が診ることは、必ずしも効率的ではありません。このような 患者さんを臓器別異常の集合と診るのでなく、一個の人間として包括的に診るのは、プライマリ・ケアの 専門性のひとつでもあります。