平成27年9月改正後の労働者派遣法の概要

 平成24年10月1日より、派遣労働者の保護と雇用の安定を図るため、主な内容として以下の義務が課されました。
   ◆ 事業に関する事項
    ➣ 派遣期間が30日以内の日雇派遣の原則禁止 (例外あり)
    ➣ 派遣会社と同一グループ企業に派遣する場合は、全体の8割以下に制限
    ➣ 離職後1年以内の労働者を元の勤務先に派遣することを禁止 (例外あり)
    ➣ マージン率等の情報提供の義務化
   ◆ 労働者の待遇に関する事項
    ➣ 待遇に関する事項等の説明の義務化
    ➣ 派遣先社員との均衡に向けた配慮の義務化
    ➣ 派遣労働者への派遣料金の明示の義務化
    ➣ 無期雇用への転換推進措置の努力義務化
    ➣ 派遣先の都合で派遣契約を解除する場合の措置
    ➣ 労働契約申込みなし制度 (平成27年10月1日施行) 等

 そして今回派遣労働者の一層の雇用の安定、キャリアアップ等を図るため、改正法が成立し、平成27年9月30日施行
 となりました。ここでは、派遣先企業の対応についての改正点を明示します。

 Ⅰ 派遣労働者と派遣先労働者との均衡待遇の推進
    均衡待遇の実現に向けて以下の点で配慮義務が課され、具体的な行動を行う必要があります。
    ※配慮義務とは、目的の実現に向け具体的に取り組むことが求められ、努力義務よりも強い責務が課されるものです。
  1、派遣元事業主の求めに応じて、派遣先労働者に関する賃金水準や当該業務に従事する労働者募集に関する事項の情報提供。
  2、派遣先労働者の業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合は、派遣労働者にも実施する。
  3、派遣労働者に対し、派遣先労働者が利用する一定の福利厚生施設(給食施設・休憩室・更衣室)の利用の機会を与える。

 Ⅱ 派遣期間制限のルールの変更
    施行日以後に締結/更新される労働者派遣契約は、すべての業務に対する派遣期間に、派遣先事業所単位と派遣労働者
    個人単位の期間制限が適用されます。
    (業務区分として専門26業務とその他に分けられていたものが廃止されました。)
  1、派遣先事業所単位の期間制限
    同一の派遣先事業所において派遣労働者の受入れ可能期間は、原則3年が限度となります。
    ただし 事業所単位での派遣可能期間の延長については、以下の手続きを履践すれば新たに3年間の期間延長が可能です。
    ① 派遣可能期間抵触日の1ヶ月前までに事業所単位の過半数労働組合等(いわゆる過半数労組や過半数代表者)の意見聴取
      の手続きが必要。
    ② 意見聴取において異議が述べられた場合は、派遣可能期間が経過する日の前日までに、延長理由等について説明するこ
      とが必要 (意見聴取であり、合意までは不要)
  2、派遣労働個人単位の期間制限
    同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(課単位)で就労させることができる期間は、3年が限度とな
    ります。組織単位を変更すれば同一人の受入が出来る場合があります。(意見聴取が必要)

     ある事業所において有期派遣労働者を最初に受入れた日が、起算点となります。
     (途中で派遣契約が全員終了となった場合は、新たに受入れた日が起算点となります。)


 ◆ 過半数労組等への意見聴取をしない場合
   ➣ 派遣労働者BをAに引続いて受入れすることはできません。
   ➣ 派遣労働者C・Dの場合は、個人単位の抵触日前に事業所単位の抵触日が来るため、事業所単位の抵触日までが派遣契約
     期間となります。
 ◆ 過半数労組等への意見聴取をした場合
   ➣ 派遣労働者Aは3年を超えて受入れすることはできません。
     ただし 同一事業所の別組織単位で受入れすることはできす。
   ➣ 派遣労働者BをAに引続いて同一業務に受入れすることができます。
   ➣ 派遣労働者Cは、個人単位の抵触日まで受入れすることができます。

   派遣期間制限は、派遣元での無期雇用労働者や60歳以上労働者等には適用されません。

 Ⅲ キャリアアップ支援
    派遣元から求めがあった場合は、派遣元によるキャリアアップ支援に資するよう、派遣労働者の職務遂行状況や能力の向上
    度合等の情報を提供する努力義務があります。

 Ⅳ 労働契約申込みなし制度 (平成27年10月1日 施行)
    派遣先が以下に掲げる違法派遣を受入れた場合は、その時点で派遣労働者に対して、派遣元における労働条件と同一の労働
    条件とする労働契約の申込をしたものとみなされます。
    ① 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
    ② 無許可の事業主から労働者派遣を受入れた場合
    ③ 派遣可能期間を超えて労働者派遣を受入れた場合
    ④ 請負等の名目で、実質は労働者派遣を受入れた場合(偽装請負)等
    違法派遣については、派遣先が善意無過失である場合は除かれます。

  改正法施行日前にすでに行われている労働者派遣については、改正前の法律の労働契約申込義務が適用されます。

  以上が派遣先企業の対応についての概要でした。


新たに働き方改革関連法の1つとして、平成30年6月に改正されており、派遣労働者・パート・有期雇用者と
正規雇用者との不合理な待遇差を禁止しています。


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