つ   き ・ M O O N
        現在の月
     (月齢って何?)
  地球唯一の衛星であり、地球に最も近い天体である。他の惑星の衛星は、冥王星の衛星カローンを除き対母惑星比では小さいが、月は地球の1/4あまりの太陽系を代表する衛星である。ケイ酸塩の岩石からなる地殻とマントルが鉄の中心核を包んでいる。中心核の外側は部分的に溶解しているので、月震が起こる。月は空気が無い水星に似た熱くて寒い世界である。昼間の気温は134℃に達するが、夜は−170℃に下がる。
 月の起源は、火星大の天体が原始地球に衝突して形成されたとする「巨大衝突説」が有力である。激しい衝突により、地球軌道に放り出された破片が再び結合して現在の月が形成されたと考える説である。しかし、月は地球と似たところはほとんどなく、水も大気もないクレーターだらけの不毛の世界である。アポロ計画で地球に持ち帰られた岩石の分析の結果、月の形成時期は46億年前であることが分かった。

 当初月は、高温のどろどろした天体であったが、冷却して形成された地殻に隕石が衝突して無数のクレーターができた。巨大隕石の衝突は海を造り、溶けた玄武岩がその地表を覆った。直径91kmのコペルニクスや直径87kmのティコは、巨大衝突クレーターの代表例である。これらのクレーターは、光条クレーターの代表例でもある。光条とは、隕石の衝突で飛び散った明るい色の岩石の破片である。
 地球を向いた月の表側は、明るい高地(テラ)と海(マーレ)に大別される。海は水の無い固まった溶岩の海で、衝突クレーターで満たされた不規則な深い凹地である。海の輪郭が円に近いのは、初期の大衝突のためである。インブリウム・ベイスンやオリンタレ・ベイスンは代表的な円形衝突構造地形である。海はまた、山脈により縁取られている。晴れの海を縁取るヘームス山脈は、高さが数千mもある。月の裏側は表面とは異なり、海はなく、クレーターが多いのが特徴である。なかでも、直径が180kmのツィオルコフスキは月の裏側では最も目立つ地形である。

 月・地球間の平均距離は、38万4400kmである。しかし地球と月の潮汐摩擦により月は年間3.8cmずつ地球から遠ざかっている。引力の相互作用で、月と地球は二重惑星として回転しているので、月が地球を一周する間に月の位相は一連の変化をする。また、地球と同じ周期で自転しているため、月の裏側は地球からはほとんど見えない。1959年になり、旧ソ連の月探査機ルナ3号が初めて月の裏側の撮影に成功した。
 長い間、月には水は無いと信じられてきたが、1996年、アメリカの月探査機クレメンタインが初めて水の存在を示唆した。1998年に打ち上げられた同じアメリカの月探査機ルナ・プロスペクターの観測により、月の両極の地下40cmに60億トンの純粋水の氷が存在することが示唆された。この氷は月面から40cmまでの深さにある純粋の水でできているらしいこともわかった。1999年7月31日、南極の永久に日陰となった地域に探査機を衝突させたが、水の氷の存在を示す証拠は得られなかった。
地球からの平均距離 38万4400km
半径 1738km
構造 中心核(鉄?) 外核(珪酸塩岩石が部分的に溶けている層)
マントル(珪酸塩岩石) 地殻(珪酸塩岩石)
質量(地球=1) 0.0123
密度(水=1) 3.34
表面重力(地球=1) 0.17
平均軌道速度 秒速1.012km
地球を回る公転周期 27.3日
自転周期 27.3日
軌道面の傾き 6.67度
表面温度 −155〜105℃

宇宙開発事業団提供
月の内部
 月の地殻の厚さは約60キロメートルあり、それより深い部分がマントルです。マントルの厚さは約1000キロメートルで、最内部は中心核です。表面から深さ20キロメートルは斜長岩、20から60キロメートルはりゅうせん岩または玄武岩と推定されています。マントルの主要物質は、かんらん岩と考えられていますが、中心核の主要物質が何であるかはわかっていません。



 マーレとも呼ばれる広大な暗い地域(クレーター)のことで、大昔、月の暗い部分に水があると信じられたことからこの名称がつけられた。実際は溶岩が固まった平坦な窪地で、約30億年以前の月の火山活動が活発であった時期に、隕石の衝突で出来た孔(ベイスン)に流れ込んだ溶岩が冷えて固まって出来た地域である。
 月の表側の最大の海は「嵐の海」である。この他、人類が最初に着陸した「静かの海」、「晴れの海」、「雨の海」、「危機の海」、「豊かの海」などがある。月の裏側には、「モスクワの海」、「東の海」、「天才の海」などがある。

「静かの海」の表面
アポロ11号の月着陸船から見た「静かの海」。表面のあちこちにクレーターが見える。一番右の大きなクレーターは、直径23kmのマスクリーンで、月の北緯2.2度、東経30.1度に位置する。アポロ11号の着陸地点は、画面右角の明暗の境目である。


インブリウム・ベイスン
最大で最新の円形衝突構造である。形成後溶岩によって埋められて出来た暗い地域は、直径1300kmの「雨の海」 として知られている。インブリウム・ベイスンは三つの同心円状の山脈に囲まれている。一番外側のカルパチア山脈、アペニン山脈及びコーカサス山脈で形成される同心円構造がはっきりしている。画面は直径115kmの地域で、月の北緯26.7度、西経13.1度の周辺にあたる。

オリエンタレ・ベイスン
地球から見て月の西縁ぎりぎりにある巨大な衝突構造である。画面中央のクレーターの周囲には、三つの同心円構造が見える。一番外側の同心円は、直径900kmのコーデリア山脈である。



ツィオルコフスキー
幅180kmのクレーターで、暗い平坦部があるためよく目立つ地形である。この名前は宇宙旅行の父と呼ばれるコンスタンチン・エドアルドヴィッチ・ツィオルコフスキー(1853〜1935)に因んでつけられた。このクレーターは裏側にある。 月の裏側には、ツィオルコフスキーを宇宙旅行の想像に駆り立てた有名なSF小説「地球から月へ」の作家ジュール・ベルヌや初めて有人宇宙飛行に成功したユーリ・ガガーリン(1934〜1968)の名前がつけられたクレーターがある。


コペルニクス
放射状の光条を持つ比較的新しいクレーターの代表格で、約8億年前にできたものである。光条は隕石が落ちた衝撃で飛び散った明るい色の岩石の破片である。この名前は、地動説を唱えたニコラス・コペルニクス(1473〜1543)に因んでつけられた。



二重惑星
月と地球に対する大きさの比率は、冥王星と衛星カーロンの比率に次いで大きい。また、月は27.3日とほぼ地球と同じ周期で自転しているので、常に同じ面を地球に向けている。月と地球は、カーロンと冥王星と同様二重惑星の関係にある。



月探査
月の探査の先陣を切ったのは旧ソ連であった。1959年から1976年まで、合計24機の月探査機を打ち上げ数々の新しい発見をもたらした。
ルナ20号と24号
は月のサンプルを地球に持ち帰った。
 旧ソ連の月探査に対抗すべく、1961〜1965年にレインジャー、1966〜1968年のサーベイヤーそして36代大統領ジョン F.ケネディの号令で開始された人類初の月有人探査のアポロ計画に結び付いた。アポロ計画では、合計382kgのサンプルが持ち帰られた。
 しかし、1972年12月を持って終了した月探査は、1996年のクレメンタイン及び1998年のルナ・プロスペクターまで約20年間停止されたままとなった。これらの探査で月の両極の地表下に水の氷が存在することが示唆されたが、発見には至っていない。
 日本の月探査は、2002年宇宙科学研究所が打ち上げるルナーA計画と、2004年度に宇宙科学研究所と宇宙開発事業団が共同で打ち上げるセレーネ計画が予定されている。



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