冥  王  星
め い お う せ い ・ P L U T O
2006年8月の国際天文学連合の総会で、冥王星は1930年以来維持してきた惑星の座を失い、惑星でない矮惑星に位置づけられた。冥王星は、新たに海王星以遠の天体の重要な典型例(an important prototype of trans-Neptunian Object)に認定され、今後発見される巨大氷天体のリーダーとしての地位を与えられた。太陽からの平均距離は約59億kmと非常に遠いため、冥王星から見ると太陽は小さな点に過ぎない。
 冥王星発見のきっかけは、海王星が発見された時その質量は、天王星を予想の軌道からそらせるには十分でないことが分かり、天文学者による9番目の惑星Xの探索が始められた。特にアメリカの天文学者パーシバル・ローエル(1855〜1916)は熱心であった。しかし、新しい惑星を発見できないままこの世を去り、彼の夢は友人に引き継がれた。1930年2月30日、その友人が採用したクライド・トンボー(1906〜1996)が発見し、プルート(冥王星)と命名した。
 冥王星の軌道は黄道面に対して17度と大きく傾斜していて離心率(楕円軌道の程度)はどの惑星よりも大きい。近日点は44億4220km、遠日点が73億8810kmと非常に細長い楕円軌道になっている。従って、太陽を一周するのに248年もかかる。この間、冥王星は近日点の領域を移動する20年間は海王星の軌道の内側に入るため、冥王星と海王星の太陽からの距離は逆転する。1979〜1999年がその期間にあたった。
 1978年、衛星カロンが発見されると冥王星の直径が2274kmに訂正された。質量は地球の1/500とされているが、これは、衛星カロンが冥王星の周りをまわるときに起こる食(カーロンが冥王星を隠す現象)の解析により求められたものである。表面温度は−230〜210℃でメタンの氷で出来た極冠が存在するかもしれない。平均密度は水の2.21倍であることから、冥王星は、木星や土星の氷衛星に近いと考えられてれていた。
太陽からの平均距離 59億1510万km
半径 1137km
質量(地球=1) 0.002
密度(水=1) 2.21
表面重力(地球=1) 0.07
平均軌道速度 秒速4.7km
公転周期 248地球年
自転周期 6.4地球日(逆行)
軌道面の傾き 17.1度
自転軸の傾き 120度
表面温度 −230〜−210℃
大気の組成 窒素(主成分)およびメタン
衛星 カーロン

宇宙開発事業団提供
冥王星内部
核(岩石)・マントル(水の氷)・地殻(珪酸塩)からなっている。冥王星は、木星型惑星の領域にありますが、ほかの木星型惑星のようにガスの惑星ではなく、地球型惑星のような固体表面をもつ惑星です。表面の組成さえ明らかでなく推測の域を出ませんが、その内部には氷の混じった岩石質のコアがあり、それをおおうように氷のマントルが存在するのではないかと思われています。
冥王星の表面
1994年にハッブル宇宙望遠鏡がとらえた冥王星の画像である。表面の明暗は地形、地表の組成、霜の層、及び大気に含まれる窒素とメタンの相互作用によるものらしい。

二重惑星
地球と月のように、冥王星と衛星カーロンは「二重惑星」となっている。この二つの天体は距離が非常に近いので、それぞれの引力によって互いに潮汐力が働き、向き合った面は固定されたままである。地球から月の裏側が見られないように、冥王星からカーロンの裏側を見ることはできない。

カイパーベルト天体
 1992年、太陽から約60〜72億km離れた冥王星の外側の領域をまわっている、1992QB1という直径250km程度の天体が発見された。その後同じような大きさの天体が次々に発見され、1999年現在174個の存在が確認されている。これ等の天体は、この領域の存在を予測したエッジワースとカイパーベルトにちなんで、エッジワース・カイパーベルト天体と名付けられたが、通常カイパーベルト天体と呼ばれている。

冥王星探査
無人探査機「New Horizons」(ニューホライゾンズ)が2015年夏には冥王星へ到着する予定になっている。



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