太   陽
た い よ う ・ S U N


地球の生命に恵をもたらす太陽は太陽系の中心星で、全恒星の中では中位の大きさと明るさを持っている。約46億年前、巨大なガス雲の中の物質が凝縮して中心部の温度と圧力が上昇して核融合が始まり、太陽が輝き始めた。
 非常な高温・高圧の中心部では、水素が核融合反応を起こしてヘリウムに変換されて毎秒400万トンのエネルギーが作り出されている。太陽は中心の温度が1500万℃、表面温度が6000℃の巨大なガス球である。太陽の圧力は地球の2330億倍もある。
 太陽の直径は、139万2000kmで、赤道上には地球が110個余り並ぶ。質量は地球の33万個分に相当するが、密度はわずか1/4である。

年齢 46億年(寿命は約100億年とされている)
半径 69万6000km(赤道)
質量(地球=1) 330,000
密度(水=1) 1.41
地球からの距離 1億4960万km(1天文単位)
赤道での自転周期 25地球日(極での自転周期:35地球日)
光度 3.9x1020メガワット(1メガワット=1000キロワット)
表面温度 6000〜10000℃   (黒点 4500℃)

太陽内部
太陽の中心部は、半径69万キロメートルの輻射層と対流層を含む核から成り、その上層に500キロメートルの光球層、さらにその表面に採層があります。そこから外部に向かって、日食時に見られるコロナが放射されています。太陽の中心は1500万K(絶対温度)の高温で、水素と水素が溶け合って、ヘリウム原子をつくる核融合反応を起こし、膨大なエネルギーをつくり出しています。中心部でつくられたエネルギーは、輻射層、対流層を経て表層にたどり着き、ほとんどは可視光線や、赤外線になって放射されています。
中心核
 太陽の半径の0.25倍を占める高圧、高密度、高温の領域。中心核では、毎秒400万トンの水素が核融合によってエネルギーに変換され、温度と圧力が保たれている

幅射層

 核融合で生じた高エネルギーの光子が電子やイオンと衝突し、光や熱となって再放射される。

対流層
 熱せられたガスが上昇流となって表面に達し、光としてエネルギーを放出すると再び下降して熱せられる還流現象が起こっている。この現象は太陽の表面に粒状組織という斑模様を生じさせる。


光球
厚さ約500kmの大気層で、我々が光として見る太陽の表面である。温度は約6000℃。この中では、巨大な磁場である黒点や爆発現象であるフレアのような活動が起こる。フレアによって、太陽から放出される高速のプラズマは惑星空間を通り抜けて地球に達し、オーロラ、北極光、磁気嵐、電波障害などを引き起こす。

彩層
厚さ1〜1万5000kmの、コロナと光球の表面に挟まれている大気の下層部である。光球より光が弱いため通常は肉眼では見ることはできないが、皆既日食のときにはアーク状に赤く輝いて見える。彩層からコロナに向けて噴出するスピキュール(針状構造の鋭く尖った高温ガスの噴流)やプロミネンス(紅炎とも呼ばれる様々な形をした赤色の炎状現象で、しばしばループ状の模様を描く)は、彩層の中の爆発現象である。

コロナ
一番外側の最も薄い大気層である。コロナは皆既日食の際にのみ白いハロー(光輪)として観測される。太陽の上空2500kmあたりから太陽の半径の何倍も外側ヘ広がり、惑星間物質の中へ呑み込まれて行く。

太陽風
 太陽は地球の公転軌道面に対し、自転軸を7度傾斜させて左から右へと回転している。この動きは一様ではなく、赤道付近が速く動いている。このため強力な磁場が生じて猛烈な太陽風が発生する。太陽風は陽子や電子のような電気を帯びた粒子の高速の流れで、秒速900kmの速度で太陽から吹き出す。

太陽の放射する電磁波
 太陽はガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、電波を放射をしている。可視光線は虹の色となって我々の目に映り、紫外線は我々の肌を日焼けさせる。

太陽黒点
光球より低温の暗い領域(黒い斑点)のこと。黒点は太陽の強い磁場により生ずる。黒点の中央の温度は約3700℃で、周囲の光球(6000℃)より低い。最初、黒点は極の周辺に現れ、数を増やしながら赤道に近づき最盛期に達する。これは太陽の自転が均一でないためと考えられている。黒点の数は11年の周期で変化する。

太陽活動の周期
11年を周期とする太陽活動の程度、特に黒点の数における周期的変化をいう。画像は、文部省宇宙科学研究所(ISAS)が打ち上げたX線太陽観測衛星「ようこう」が撮影した、1992年の活動極大期から1996年までの静隠期までの変化を数ヵ月おきに撮影したものである。

太陽圏
太陽の勢力が及ぶ領域のことでヘリオスフェアとも呼ばれる。太陽を中心に半径100AUの距離に広がっている繭の形をした宇宙空間で、太陽系の天体はすべてこの中をまわっている。このヘリオスフェアにより、惑星は宇宙線から守られている。太陽圏の勢力が終わる境界領域をヘリオポーズという。

太陽の寿命
 今から50億年後、水素を使い尽くした太陽は膨張して赤色巨星となる。赤色巨星はやがてその中心部に白色矮星を残し、外層部だけが膨張を始める。最終的に太陽は冷え切り、黒色矮星の燃えかすとなってその一生を終える。

太陽探査
太陽の観測は近年飛躍的に進歩した。肉眼では観測できなかった彩層やコロナの領域の高温のガスの動きも、人工衛星に搭載した紫外線望遠鏡やX線望遠鏡で観測できるようになった。プロミネンスについても、特殊な装置により皆既日食の時以外でも観測できる。
 代表的な太陽観測衛星には、1990年、NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)が打ち上げたユリシーズ、1991年に文部省宇宙科学研究所(ISAS)が打ち上げた「ようこう」、1995年にESAが打ち上げたソーホーがある。
 ユリシーズは、1994から1995年にかけて太陽の両極や磁場の観測を行なった。「ようこう」の主な目的は、太陽の活動をX線やガンマ線で観測することである。ソーホーは太陽大気、日震、コロナ、太陽風などの観測を行ない、太陽の表層、内部構造や加熱構造を解明する。


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