 |
太陽から6番目の惑星。木星に次ぐ巨大なガス状惑星である。直径は地球の9.4倍、質量は95倍あるが、密度は水の0.7倍に過ぎない。太陽系で密度の最も低い惑星で、巨大な海洋があれば浮くであろう
表面は木星と同じで、大部分が水素とヘリウムでできている。中心部には岩石の核があり、これを包む高圧の水素が金属の振舞いをしており、その上を液体水素が覆っている。
土星の大気の厚さは1000kmで、その半分は濃い大気の層である。この大気の頭頂部の雲の層が、観測される表面の模様を作っている。通常土星の雲の模様にはあまり特徴はないが、30年周期で大白斑が発生する。
ボイジャー1号と2号の観測により、この模様は木星の大赤斑同様、複雑な環状気流であることがわかった。土星の内部では重いヘリウムが滴となって下に沈み、その摩擦で太陽から受けるよりはるかに多量の熱を発している。
|
太陽からの平均距離 |
14億2940万km |
半径 |
6万260km |
質量(地球=1) |
95.2 |
密度(水=1) |
0.74 |
表面重力(地球=1) |
0.93 |
平均軌道速度 |
秒速9.6km |
公転周期 |
29.46地球年 |
自転周期 |
10.40時間 |
軌道面の傾き |
2.5度 |
自転軸の傾き |
26.7度 |
大気の構造
(厚さ1000km) |
透明な大気の下層,水とアンモニアの雲,氷の雲,
透明な大気層,水硫化アンモニウムの氷の雲,
アンモニアの氷の雲,雲の層の最上層部 |
雲の最上層の温度 |
−180℃ |
大気の組成 |
水素(大部分)、ヘリウム |
衛星 |
34 (土星の衛星の詳細はこちらから) |

宇宙開発事業団提供
|
土星内部
核(岩石または岩石と氷の混合物)・金属水素・液体水素からなっている。
木星の内部構造とよく似ています。外部は液体水素で、中心には岩石と鉄・ニッケル合金からなる核があり、その中心核と液体水素が接する部分が、液体金属水素になっています。内部は熱エネルギーを十分蓄えています。中心核の温度は、約1万5000度です。中心核の直径は約3万キロメートルで、液体金属水素からなる内部マントルの厚さは約1万5000キロメートルです。
|
環
 |
環は土星からD、C、B、A、F、G、E環の順番に展開している。A〜C環が地球から見える環である。現在のAとB環を最初に発見(1610年)したのは、イタリアのガリレオ・ガリレイであった。しかし、観測に使った手作りの望遠鏡の分解能が低かったため、これ等が環であることに気付かず、ガリレオは「耳のような物体」と呼んだ。1655年になって、オランダのクリスチャン・ホイヘンスが環であることを発見した。20世紀までA、B、C環が土星の環と考えられていたが、1969年に地上の観測でD環が、1971年にパイオニア11号によりF環が、1980年にボイジャー1号によりE環とG環がそれぞれ発見された。
|
|
A環
地球から見える一番外側の環である。幅は1万4600kmあり、土星の赤道表面上空6万1870kmの距離から広がっている。ドイツのヨハン・フランツ・エンケが発見した幅320kmのエンケの間隙がある。この中を羊飼い衛星のパンとアトラスがまわっている。
|
B環
 |
一番幅が広くて明るく、粒子の密度も濃い環である。環の幅は2万5600km、土星の赤道表面上空3万1570kmの距離から広がっている。
ボイジャー1号(1980年11月)の観測で、B環に自転車のスポークのような黒い影(Spokes
Ring)が発見された。分析の結果、これは非常に細かい粒子の集合であることが分かった。B環とA環の間には、有名なカッシニの間隙(幅2600km)がある。
|
|
C環
クレープ(ちりめん)環とも呼ばれる。名付けたのはイギリスのウィリアム・ラッセルである。一番青い環で、地球からは最もかすかに見える。幅は1万7500kmで、土星の赤道表面上空1万4170kmの距離から広がっている。幅270kmのマクスウェルの間隙がある。1838年、ベルリン天文台のヨハン・G・ガレにより発見されたが、1850年のW・C・ボンドとG・P・ボンドの父子さらにW・R・ダウエスの観測によって正式に認められた。
|
D環
最も内側にある非常にかすかな環で、土星に触れんばかりの近さにある。1969年5月の地上の観測により、C環の内側にある極めて薄い環が発見されD環と名付けられた。土星の赤道表面上空1万2000kmの距離から2170kmの幅に広がっている。
|
E環
最も外側の非常に見えにくい環である。1980年11月12日、土星に12万4200kmまで最接近したボイジャー1号により発見された。E環は、土星の赤道表面上空12万7670kmの距離から29万kmもの幅に広がっている。E環を構成する氷の粒子は特に細かく、密度も非常に希薄である。 |
F環
明るく見える細い環である。1979年9月1日、土星の赤道表面まで2万900kmに最接近したパイオニア11号(史上初の近接観測)が、A環の外側にあるF環を発見した。赤道の表面上空7万9880kmから490kmの幅で広がっている。1980年11月12日、土星に75万kmまで接近したボイジャー1号の観測で、よじれた2本の小環があることが分かった。これは、羊飼い衛星のパンドラとプロメテウスの重力によって、環を構成する粒子が羊の群のように追いやられたために生じたと考えられている。
|
G環
E環と共に見えにくい外側の環の一つである。1989年11月12日、ボイジャー1号の観測により確認された。土星の赤道表面上空10万5470kmの距離から8000kmの幅に広がっている。
|
カッシーニの間隙
 |
1675年、イタリア生まれのフランス人天文学者で当時パリ天文台長のジョバンニ・ドミニク・カッシニがA環とB環の間にある幅2600kmの間隙を発見し、カッシニの間隙と呼ばれるようになった。当時は、二つの環を隔てるすき間であると考えられたが、1980年のボイジャー2号の観測により、5本の細い環(小環)があることが分かった。 画面内側の広く暗い部分がカッシニの間隙である。右側の暗い部分がエンケの間隙である。
|
|
大白斑
1980年及び1981年の探査機ボイジャー1号と2号の観測により、大白斑は木星と同じ複雑な環状気流であることがわかった。
この現象は30年に一度の周期で発生している。
|
土星の風
土星は非常に風の強い惑星の一つで、赤道地帯の風速は毎時1800kmに達する。
|
土星探査
1977年8月に打ち上げられた探査機ボイジャー1号は、木星を接近通過した後の1980年11月12日、土星に12万4000kmまで接近した。ほぼ同時に打ち上げられた探査機ボイジャー2号は、1981年8月25日、土星に1万100kmまで接近した。
1997年10月、NASAは15年の年月と総費用4000億円をかけた土星探査機カッシーニを打ち上げた。電源がプルトニウムであるため、環境団体の激しい抗議活動があり、また重厚長大型の金喰い虫の探査機であったため、何度か中止の危機にさらされた末での打ち上げであった。カッシーニは1999年地球の近くに戻り、その重力を利用したスイングバイにより加速して、2004年7月に土星に到着する予定である。カッシーニの本体(オービター)は、土星を周回して土星の観測を行うほか、ESA(欧州宇宙機関)のホイヘンス・プローブを分離して、衛星タイタンに到着させる。
カッシーニ・ミッションは土星系を対象にした初めてのミッションで4年間続けられる予定である。特に、衛星タイタンは「厚い氷に閉ざされた原始地球」かもしれないと考えられており、大きな期待が寄せられている。 |