■ 生前贈与の意義 |
● 通常贈与といえばこの生前贈与を指します。
● 遺言の作成または死因贈与契約等と締結していない場合は,死亡と
同時に自分の財産は自らの意思に関係なく相続人へ承継されます。
生前,自分を大切にしてくれた人もそうでなかった人にも原則とし
て同じ割合で相続されます。
● これに対し,生前贈与は贈与者と受贈者の間で,「あげるよ。」「
いただきます。」で成立します。必要な時に必要なものを贈与する
時,あげた方も貰った方もどれ程満足する財産の引継ぎになるでし
ょうか。ただ,安心して任せることのできる人の選択や相続発生時
に「争族」や「骨肉の争い」にならないように細心の配慮が必要で
あることは言うまでもありません。
■ 暦年贈与制度と相続時精算課税制度 |
● 財産の贈与を受ける場合の選択(平成15年1月1日以降)
● 特定の贈与者と受贈者において一度選択すると生涯,変更は不可
* 暦年課税制度と相続時精算課税制度の比較は以下のとおりです。
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■ 暦年課税制度選択者の節税対策 |
1 贈与税の基礎控除の最大利用
・ この基礎控除枠を利用して行う生前贈与は,相続税対策として
最も効果のあるものです。
・ 相続財産を減少させる上,年間110万円以下の少額なら贈与税は
ゼロです。
・ 相続税のかかる人は是非実行するようお勧めします。
2 長期的な計画を立て実施
・ 相続開始までの期間が長いほど有利に贈与ができます。
・ 相続開始の時期が比較的短期と予想される場合は,ある程度贈与
税を納めてでも思い切って贈与を実行することをご検討下さい。
3 受贈者をなるべく多くして贈与
・ 例えば,1000万円を1人に贈与した場合の贈与税は
(1000-110)*0.4-125=231 万円となります。
次に,1000万円を4人に贈与した場合の贈与税は贈与税は
((250-110)*0.15-10))*4=44 万円となり
(231-44)=187 万円の負担が軽減される勘定です。
■ 婚姻期間20年以上で配偶者に無税で自宅を贈与 |
1 制度の概要
・ 婚姻期間が20年以上の夫婦間で,居住用不動産または居住用不動
産を取得するための金銭の贈与が行われた場合,基礎控除110万円
のほかに最高2000万円まで控除できる特例です。
2 特例を受けるための適用要件
・ 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎていること
・ 配偶者から贈与された財産が,自分が住むための不動産であるか
又は居住用不動産を取得するための金銭であること
・ 贈与を受けた配偶者が翌年3月15日までに居住していること
3 その他の税制上の優遇措置
・ 夫婦間での贈与の場合も贈与税の対象となり,贈与後3年以内に贈
与者が死亡した場合は相続税法上の「生前贈与加算」が適用され
ますが,この配偶者控除を受けた部分は例外として適用されない。
※ この制度は贈与税も相続税も課税されることなく,配偶者に渡せる
ことができる上に,相当の節税対策効果も得られ,長年連れ添った
配偶者へのプレゼントとなります。
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