■ 公正証書の意義 |
● 私文書(私人間の契約書等)を公文書にするもの
公証人(法務大臣が裁判官,検察官,弁護士等の有資格者の内から
公募,採用試験を経由して任命する国の公の機関)が作成するもの
で,文字どおり「公」「正」が「証」される書類です。
● 公正証書は法律の専門家である公証人が民法等の法律に従って作成
する公文書ですから高い証明力を持ちます。従って,後になって法
律に違反したり,公序良俗に反して無効になることは極めて低いと
いえます。
● 金銭債権のついては,裁判所の判決を待たないで直ちに強制執行手
続に移ることを可能にする文言(執行認諾約款)を入れることがで
きます。
■ 公正証書が必要な契約 |
1 任意後見契約
本人が判断能力が不十分になったときに備えて,あらかじめ財産管
理や身上看護等を依頼する任意後見人を決めておく契約です。この
契約の発効する時期は,後見が必要な段階に入り,一定の者の請求
により家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときである。
※ 法務省民事局の詳細な説明はこちらをご覧下さい。
2 事業用定期借地権契約
新借地借家法(平成4年8月1日施行)により,事業用借地権の制
度(平成20年1月1日以降,「事業用定期借地権」と変更)が設
けられた。これは,専ら事業の用に供する建物を所有する目的で設
定される借地権で,契約期間が終了すれば確定的に契約を終了させ
るものです。

■ 代表的な公正証書の作成注意 |
● 金銭消費貸借契約公正証書
@ 契約後抵当権の設定,公正証書完成後すみやかに金銭の交付
A 利息の有無及び利息の利率の明記
B 遅延損害金の約定
C 弁済の場所
D 割賦弁済の場合には,期限の喪失約款は必須事項
E 保証人があるときは,連帯保証
F 強制執行認諾文
● 債務弁済契約公正証書
@ 弁済すべき債務の承認を得る
A その他は金銭消費貸借契約公正証書と同じ
● 遺言公正証書
@ 遺言事項の確認 遺言Q&Aをご参照下さい
A 相続人へは「相続させる」の文言を記載
B 遺留分への配慮
C 遺言執行者の指定
D 財産処分は全て網羅(漏れがある場合は遺産分割協議が必要)
E 予備的遺言の考察
● 離婚給付契約公正証書
@ 強制執行認諾約款と引渡履行関係の明示
財産分与は,金銭以外の現物の給付(不動産等)もあるが,その
際には目的物の引渡履行関係を明示
A 慰謝料と財産分与の区分明確化
両要素の合計金の場合は,他には債権債務がない旨明記
B 分割弁済の場合
一括払いが理想的だが,現実は分割返済が圧倒的に多い。十数年
に亘る支払いの継続は大変困難と思われる。従って,分割返済と
するにあたっては,連帯保証人の要求や担保を付ける等の履行確
保の方策を講ずることができれば最善

■ 公正証書の勧め |
● 遺言公正証書の場合
自筆証書遺言や秘密証書遺言は相続発生時(遺言が発効するとき)
に家庭裁判所に検認手続の申立が必要となります。
公正証書があればこの検認手続は不要となります。従って,直ちに
遺言事項が履行できます。
● 金銭債権の場合(離婚給付契約公正証書も該当)
強制執行認諾文言があれば,裁判を経ることなく強制執行ができる
のが強みです。順当な支払いが履行されれば問題はないのですが,
諸般の事情により,それが滞った場合を想定することが重要です。
※ 日本公証人連合のページはこちらをご覧下さい。

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