■ 遺言の必要性 |
● 遺言がない場合は,原則として故人の遺産は法定された割合で相続人
へ承継されます。遺言がない場合の相続の流れをご覧下さい
* 遺言がない場合のリスク
1 遺産分割協議が円満に進められ,スムーズな相続がなされれば全く
問題はないのですが,相続人間で特別受益や特別寄与等で主張が食
い違ってくると紛争となります。実に70%以上の割合で何らかの
トラブルが発生すると言われています。
2 子供の中に問題児がおりますと,まとまらずに紛争が長期化する可
能生があります。お互い譲らず,長期間の裁判となり,多額の費用
や労力を費やし疲れ果ててしまうことになります。
3 親が生存中はまだしも,亡くなると歯止めがきかず「骨肉の争い」
となります。親が思っているほど兄弟の仲が良くない悲しい現実が
あります。
4 行方不明者がいる場合は面倒な手続も必要となります。家庭裁判所
に不在者財産管理人選任の申立等面倒なことになります。
■ 遺言の普通方式 |
● 下記の三方式の中より選択します。少々費用がかかりますが,検認手
続が不要な公正証書遺言をお勧めします。
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● 他にも「特別方式」による遺言方式があります。これは船舶が遭難
している船舶の中や伝染病棟内での特殊な方式です。
* なお,遺言に関する民法の条文はこちらよりご覧下さい。

■ 遺言作成のポイント |
1 遺言は,故人の最終の意思表示であり,慎重な配慮が必要です。遺
言が発効するときは遺言者は生存しない。
2 遺言があるために,かえって紛争が起こるケースもあります。自分
財産ですから自由に分配を指定できますが,相続人間でなるほどと
納得できる内容にしたいものです。
3 遺留分権利者(故人の兄弟姉妹以外の相続人)の遺留分を侵害する
遺言を残す場合は,特に配慮が必要です。その理由を付言事項等で
申述しておくことをお勧めします。
4 公正証書以外の場合は,法律で定められた方式に反すると,その遺
言全体が無効となるので注意が必要です。
5 全ての財産について遺言することが最善です。何故ならば,指定し
ない財産は相続人全員の協議が必要となるからです。(実印での押
印及び印鑑証明書の添付)
6 受遺者が遺言者よりも先に死亡(同時死亡含む)するケースも想定
し,その場合の意思表示も必要な場合があるでしょう。
* 遺言が有効になる場合は遺言者の死亡後です。できれば我々専門
家にご相談下さい。
■ 遺言が特に必要な方は? |
● 夫婦間に子供がいない場合
● 配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人と想定される場合
● 先妻の子と後妻の子に異なった分割を希望する場合
● 特定の相続人に生前贈与を行った場合(内縁の配偶者もこれに該当)
● 相続人の中に行方不明者がいる場合
● 子供がいるが疎遠である場合
● 息子の嫁に世話になっているので財産を分けてあげたい場合
● 離婚歴があり,前配偶者との間に子供がいる場合

■ 遺言執行者指定の薦め |
● 遺言内容実現のために遺言執行者の指定は最善策
● 遺言執行者の主な職務は以下のとおりです。
@ 財産目録の調製
A 相続人への財産目録の給付
B 財産目録に基づく財産管理
C 遺言執行者の指定がある場合は,各相続人は相続財産の処分権を失
う。
D 相続人の廃除,廃除の取消及び死後認知の手続は遺言執行者の専管
事項です。
* 遺言執行に関する民法の定めはこちらをご覧下さい。
■ 付言事項(法定外事項) |
● 法的な効力はないが,遺言者の最期の意思が尊重され,結果的に遺
言者の希望等が実現されることがある。
● 付言事項の主なものは以下のとおりです。
@ 葬式・法要の方法や遺体の処置法の指定
A 死後の角膜・腎臓等の献体
B 家訓・遺訓や事業の発展,家族の幸福祈念
C 親族・兄弟姉妹の融和祈念等

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