BY 月華美心  
| ←Back | Top | Next→ |
Home
  ■ INDEX ■
  6月の雫
  HELP
  温かい朝
  初夏のシチュー
  そこに居続けるということ/battlefield
  そこに居続けるということ/cave
  生きていくということ/choice
  黄金色の陽
  leave me alone
  ブルーベリーの味がするT
  ブルーベリーの味がするU
  ブルーベリーの味がするV
  Time lag
  20010911
  〜my dear〜(20010901完結編)
  悲しみの海に降る
  悲しみの海に降る愛(完結編)
  5年2組の女の子
  恋人未満
  不透明な構図
  転嫁
  Hug〜ブルーベリーの味がする完結編〜
  くつ下
  スケープゴート(犠牲の山羊)
  視線
  不実
  102号室
 
 
 
  Let It Be
 

黄金色の陽



大きな窓が気に入っていた。
キッチンに朝日が射すという理由だけで私はこの部屋を選んだ。
ベランダの緑と生成りのエプロンは、太陽の光ととても相性がいい。
ハーブたちは喜んで増え続け、毎朝私を待っている。

早起きをし始めたのは、少しあたたかくて少し眩しいここから見える
サンライズのおかげ。
思いきり外で深呼吸のできるおいしい朝に顔がほころぶ・・・。

紅茶で染めたテーブルクロスを広げ、朝摘みのレモンバーベナに
熱い御湯を注いで抽出を待つ。
カットの多いガラスの一輪挿しが小気味よく光を散らせて、
朝食の白い皿やミネラルシャワーを浴びたサラダ菜を演出してくれる。
採れたてのプチトマトは氷で冷やす事にしよう。
器を覆う水滴が更に輝きを増すに違いない。
愛しのキッチンはディナー時よりも活気づいていく――。

やっと手に入れた、私だけの空間。
やっと手に入れた理想の朝・・・


彼を・・起こす時間だ・・・。


私は決して友哉を揺り動かしたり、無情な目覚ましのベル音を
聞かせたりは
しない。
午前7時に不機嫌な顔をしている男を、愛したいとは思わないから――。

カーテンが開かれるレールの音から始まって、歩くスリッパの音、
皿が擦り合う音、お茶を立てる音、ガスレンジのスイッチの音、
果物を砕くミキサーの音。
そうやって友哉の寝返りをさりげなく誘う。

“ ん ・・ ん・・・ ”

喉の奥から漏れてくる友哉の甘い声が聞こえたら、フライパンに卵を落とす。
サラダ油よりバターを使うのは、音がやさしくなるから・・・。

「おはよう・・・」

朝の友哉はとても Sexy だ。
ベッドの中から両手を広げて濡れた瞳で視線を絡めてくる。

「おはよ・・・」

朝食が冷める覚悟で友哉の両手を受けにいく。
友哉は 朝も 抱きしめることを 忘れない。

軽いHugの後、キッチンに戻ろうとすると、MDがONになった。
昨夜セットしておいたアルジャロウは、今朝の友哉にとても響いたようで
一度離したはずの身体をもう一度引き寄せられた。

「どした?」
「・・・ 懐かしすぎる ・・・」
「つきあおっか?」

入り混じる朝の香りに扉をしめて、私は私の知らない友哉の思い出の中に
同化していた。

過去も含めて 友哉を愛している。

だけどもう、結婚は二度としない。

 

 

 

 

<まりんの処方>

「結婚」という言葉に反応しているうちは、「結婚」が問題です。
せっかく自分のライフワークを手に入れたのだから
一旦結婚を手放して、ただ楽しむというのは
どうでしょう?

「結婚をしたい」という執着も辛いですが、
「結婚をしない」という執着も辛いものです

自分が何に向かい、今すべきことは何かを
ちゃんとわかっていれば、
否定的な発言はあまり出ないもの

信頼関係の上で嫉妬や不安を越えているのなら
いいパートナーシップの築きですが、
諦めからの嫉妬や不安の蓋は
いつか必ず感情に歪みが出ます

結局パートナーは自分の鏡ですから、平穏な心で接すれば
平穏となって返ってくるだけのこと。
毎朝、“不機嫌ではない男”をつくるのはあなたです。

お勧めエッセンスはエンジェルソード/マウンテンデビル

 

 

 

 
Copyright (C) 2001-2009 月華美心. All Rights Reserved.