BY 月華美心  
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温かい朝 



いつも 男より先に目覚めてしまうのは私。
}どうしようもない孤独と結局誰ともつながれない事実を突きつけられる朝。
昔はそんな “二人で迎える一人ぼっちの朝” が大嫌いだった。
例えば仮に彼が先に目覚めて私の寝顔を見つめ、思わず鼻先にKiss・・・。
なんていうのは少女の頃なら顔を赤らめて許されたはず。
そしてそんな朝なら ひとりぼっちを感じる事もなかったかもしれない。

私は温かい朝を知らない。

貴之は私の彼ではない。後輩の峰子の男。
もう男に本気になることもないからこういう奴のほうが楽でいい。
不安も迷いもいらない、有難い関係。
彼が眠っている間にかっこ良く情事の幕を閉じ、部屋を出て行くつもりだった。
30を過ぎた女の起き抜けの顔を見せる程の勇気はもうない。
男より先に目覚める習慣に今では感謝さえしている。
なのに ――

おろしっぱなしのブラインドは 私の身体の時計を狂わせていた。
情熱的な彼が折りなした夜の波は、
若さだけじゃなく、峰子への復讐もあったのかもしれない。
溺れ、沈み、めんどくさい感情を持つ人間を忘れ、私達は本能に逃げた。
深い深い眠りに陥っていた私は、鼻先に舌の感触を感じて、
陶酔から目が醒めた。

「起きた?」
彼の顔が目の前にある。

“ え? ・・・ え!? ” 

窓のシェイドの隙間から、わずかな光線が漏れて、朝なのだと気づく・・・。

「美奈子さん・・ 子供みたいな寝顔 ・・・ 」

ゲームの勝敗を問うならば完全なる敗北。
くしゃくしゃに乱れた髪の毛とスッピンをいったい彼はどのくらいの時間
眺めていたのだろう。
スライドされた朝に戸惑い、うろたえている私は もうだだの弱い女。
やっぱり若い娘の方がいいと彼は改めたに違いない。
傷つかない為に防衛線をはり続けていた “かっこいい女” は、
自分がもうどれくらい年を重ねているのかわからなくなっていた。

腕枕をしていた腕を外し、貴之が口を開いた。
「俺・・人を好きになったこと ないんっすよね」
身体を合わせなおしながら、彼は笑う。
「だから俺ら・・気ぃ合うと思いませんか?」


涙が出てきた。

同じ種類の淋しさはそれを持ち合わす者にしか理解できない。
身体の時計は狂ったまま、動き出していった。

温かい朝が始まる・・・

偽りでないことを願いながら・・・

 

 

まりんの処方 

sexualityに嫌悪を感じる女性と、sexualityに溺れ乱用する女性とは、
全く対極にいながらも、同じ場所で思いを抱いています。
「愛情が恐い」のです。
一方は否定することで、かかわりを拒み、
一方は自分を粗末に扱うことで無価値に陥ます。
どちらもsexualな事に関して、本気になる事に目を伏せているのです。
これが男と女になると、不思議に共鳴しあって惹かれ合うことがあります。

純粋な女と遊び人風男、風俗に携わる女性と純情青年。
両極がそれぞれの中に存在し、対極を嫌い抑圧するが為に、
表立って魅力に化けて現れてくるのです。
そして、自分の中の対極を認めざるを得ない状況の中で
認められなかった二人には別離、
認められた二人には愛情が生まれるのです。

sexualityに関する罪悪感は多かれ少なかれ誰にもあります。
これは思春期時代、幼少時代、或いは胎児の記憶としての
トラウマの影響が多くとても根深いものです。
それを癒す一番の必要さは心と身体の成熟度。
過去のトラウマを癒して恐れを乗り越え、sexualityを自分の魅力に
まとえば輝きが満ちてきます。
もちろん、この問題は二人で昇華するのが、早道。
ステキなパートナーシップを得て下さい。

お勧めエッセンスは トール・イエロー・トップ、
スタート・デザート・ローズ/フランネル・フラワー

 

 


 
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