転落という言葉が一番しっくりきた。
失業の援助はとうに終り、貯蓄も食いつぶし底をつき、
なのに私は何もする気が起こらなかった。
どんなに頑張ったってちっとも良い事ない。
正直に生きれば生きるほどバカを見る。
夢?希望?それが何?
叶ったところでそれが何?
手に入れたいものなんて何もない。 もう何もかもがめんどくさい。
息をするのも 食事をとるのもめんどくさい。
生きる意思がないのも同然。 でも死ぬのもめんどくさい。
目に見えてどんどん痩せこけていく自分に
私は密かにエールを送っていた。
心配してくれる人もいなければ、喜んでくれる人もいない。
私がずっと “ココ” にいることを誰かが知る由もなく、
よって “ココ” にいなくても 誰も知る由はない。
こんな孤独が他にあるだろうか・・・。
働く気がない。 金がない。 恋人もいない。
両親には憤りを抱いたまま、 趣味も忘れた。 友達は誰だっけ?
地球の裏で何が起こっていようと 私には関係ない。
だってめんどくさいんだもん。
だってやる気がないんだもん。
だって・・ だって・・ だって・・
あぁ 今 朝なのだろうか 夜なのだろうか?
いつしか部屋から出なくなり、電話線を抜き 人を絶ち、
ごろごろとベットの上で
絶望や転落と戯れている。
悪魔達が内臓を噛んでいく・・・。
痛い・・ とても痛い・・ 。
いっそ食いつぶして 空っぽにして欲しい。
自室という墓の中で やすらかに眠るということもなく、
ただ支離滅裂に思い出される記憶や醜態に、刻々と襲われていた。
何をすれば? どこへ行けば?
私 ・ ・ 助かる?
毎日同じ痛みの中にいると、それは慣れに変わり、
無気力も淋しさも空虚感も麻痺していった。
また明日もこんな1日なのだろうか?
目が覚めて奈落の感覚を味わい、逃避の為に眠り、
また目が覚めて絶望に向き合い、泣きながら疲れて眠り・・・。
1週間後も1ヶ月後も半年先も・・・。
私は転落したまま―
夢もないし 希望もないし やる気もない。
人の愛し方も忘れてしまった。
でも ・・ なぜ?
――― 死ねないんだろう ・・・
<まりんの処方>
失業が引き金にはなっていますが、
多分この思いは失業前から無意識の中でうごめいていたもの。
ハードワーカーによく見られるケースです。
職を失った事を言い訳に絶望と戯れています。
決して死にたいのではありません。
どうやって生きたらいいのか、生き方がわからないのです。
一人で考えていてもいつまでたっても答えは出てきません。
人は人や物を通じて様々な事に気づきを得ます。
ちゃんとした大人になれない、臆病である、怠け者、意志薄弱、
そんなものを治す薬も心理療法もありません。
もし、あったとしても治療したがる人はいないそうです。
なぜなら、治ってしまうと自分の弱さに
どっぷりと浸れる口実がなくなってしまうからです。
自分自身がなんとか変わりたいと心の底から強い意志を持って
行動を起さない事には何も変わらないのです。
自分を埋葬するのを辞め、とにかく人と会い、話をするのが特効薬。
人の口を通して教えられる事、気づける事、感じる事が沢山あるものです。
洞窟の中でうずくまっていては光なんて見えません。
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