しわの研究 (9)

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1、閉鎖された紙面のしわ

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NO9

この実験は下のような結果となった

この図を見ると、明らかに閉鎖線を越えたとところが見られる。
図のAとBである。
図の下辺、閉鎖線Y上にあるBとB'のしわはすでに一度見てき
たしわの形をしている。
すなわち、下方向に伸びたしわが閉鎖線Yに阻まれ、BとB'に
分かれて三角形を作っている。

しかしよく見ると、B'にはBのように反射したしわが見当たらない
のである。そしてBには反射したしわの他に、かすかに閉鎖線Y
を越えたしわが認められる。
これは閉鎖線Zの影響と考えられるだろう。
すなわち、本来B'から左に反射してゆくしわの力が、閉鎖線Zに
よって阻まれたのである。
そしてその力がBの方に過剰に流れたために、Bでは反射した
しわだけでなく、閉鎖線Yを越えるしわとなったのであろう。

他方、上辺のしわAとA'にいたるしわには、閉鎖線Xを破るくっき
りとしたしわが出来ている。
これはBに比べてより大きな力が加わったことを意味している。

aとbのちいさなしわに注目すると、aはK'からのしわの反射をくい
とめるべくして発生したしわである。
他方bは、B'からの反射するしわの方向に順じている。
これは明らかに閉鎖線Zからの抵抗が下辺よりも上辺の方で
大きかったことを意味している。

Aでは閉鎖線Xが途切れてしまうほど大きく、しかもAから突き
抜けた力は、二方向に分かれて分散しているのである。

上と同じこの実験では次のような結果が得られることもある

上の結果と違った現れ方だが、この違いは、
2つの力点を指で挟んで矢印の方に押すという、
原始的で遊びの多い実験のためであろう。
ただしそのために素人実験の思わぬ発見というのもあって、面白い。

またしわの寄り方は、紙の繊維の目の方向によっても変わってくるし、
押す力の変化もある。
とにかくこのように、微妙な条件の違いによって、
この場合上辺の閉鎖線は進んでくるしわの力に耐え抜いたのである。

しわの上部の弧になった部分に力が凝固しているのが一目で
分かるだろう

この部分のaからb沿った谷折れの線が、しわの力と、閉鎖線の
反作用の拮抗する最前線なのである。

それを可能にしているのが、
aから出ている斜めの折れ線である
この線は最初の実験結果の方にも見られるが、これほどはっきりと
は現れていない。
つまりこの結果ではしわ力が迫ってきた弧の部分と、
aからの斜線
がしっかり連結されダブルハッティングした部分が一枚の面として
働き、閉鎖線の壁となってしわの力を受けた結果である。

このため力は他に進むことが出来ず、反射も起こっていない。
紙はこのように、形によって力が完全に拮抗しあって打ち消しあうよう
なことが起こる。

その代表例が折り紙であろう。
しわの力が合理的につり合わせることが出来るならば、
一枚の紙はどんな形にも折りたたむことが出来るのである。