しわの研究 (2)

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1、折れ線が出来る仕組み

ラシャ布の類は、軟性で弾力がない(腰がない)ためにとてもしなやかである。
力を受けてもほとんど抵抗せず、しわが出来ない。

逆に板などは硬性で弾力はあるが、受ける力に耐え切れないと折れるもろさがある。

上の二つは、組織が強く結びついているものと、そうでないものの違いであるように
考えられる。そしてこれらにはしわが出来ないのである。

しわが出来る条件は、この両者に見られる組織の中間の構造持つことである。

紙は細かく粉砕された木の繊維が互いに手をつなぎ(絡み)合っている構造になっている。
そこにしわが出来る仕組みが見えてくる。

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目次

紙を曲げると、片面は手をつなぎあった繊維の手が
伸び、もう片面は手を縮めて力を吸収する。

力がその限界を超えると、耐え切れなくなった手が
離れ、近くの繊維と手を結んでしまうのだろう。
(実証していないが)

こうなると紙はもとの形に復元することなく、いつまで
も折れ線となって残り続けるのである。

2、複雑なしわの法則性

紙袋についた複雑なしわから、そのしわが出来た経緯を我々はどの程度推し量ることが出来るだろうか。

そのしわは明らかに、それまでに紙袋が受けた様々な力を記憶している。
復元できる小さな力は残らないが、それを越えた力は何らかの形で紙の形体を変化させているからである。

中に入れられたものの記憶。荒っぽいか優しいかなど、受けた扱いの記憶。
紙袋にはそのような記憶が表情を作っている。そしてそれは人との関わり合いを暗示しているといえるのである。

それが分かれば、しわに対する想いもまた様々に深めることが出来ると思うのである。

その理解を深めるため、
以下次のような実験を通して考察を進める。

NO2

                
 実験2(力と紙のしわの関係を調べる)

..........

1、10cm角の紙(0.2mm)の紙を用意する。 .....................................
   
     2、紙に、上の図のように力を加える力点と方向を示す矢印記入する。.....

    3、力点を指か万力で固定し、矢印の方向に力を加えてしわをつくる。
このとき矢印以外の力を加えてはならない。.........................

    4、出来たしわを観察し、デッサンして記録に留める。............................. ..
 

この実験を土台にして、以下様々な力としわの関係を見ていくことにする。

一つは単純な、2点間の力としわの関係のバリエーションを観察し、

次いで折り目のついた紙が引き起こすしわの面白い現象を見ていくことにしたい。