しわの研究 (13)

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1、紙袋のしわ 

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NO13

2、包み紙についたしわ

紙袋の角の折り目が典型的な閉鎖線の役目を果たしている。
そこには大小のしわの反射が見られる。
真ん中を横に走る折れ線やその周辺に見られる直線は、紙袋が折りたたまれたときについた線であり、その山折谷折を見ることで紙袋がどんなふうにたたまれていたのかが分かる。

両角から中央に向けてのしわが大きくくっきりしているのは、袋一杯にかさばるものが入れられたのだろう。
底辺があまりゆがんでいないので、入れられたものは底辺が平べったいものだったと考えられる。

この紙袋のしわは緩やかで、買い物袋によく見られるものである。
よく見ると閉鎖線の効果や、三角形の唇のようなしわが随所に見られる。
そして全体に広がるちいさなしわは、何度も使ったために出来たもので、しわみと復元を何度も繰り返した紙のくたびれた様子が見える

横に走る2本の線は閉鎖線として働いているが、aはその効果が弱く、bは強い力を受けた痕跡が見える。

a→

b→

無造作に丸めうようにものを包んだ紙である。
自然に出来たしわを、さらに押しつぶすような力が加わっている。
複雑なしわであるが、しわの形からその受けた力を想像することが出来るだろう。

このしわは雑巾を絞るようにして丸めた紙を広げたものである。
紙が緩やかな力を受けて、紙の弾力や閉鎖線の力と拮抗する形で出来るしわとは違ったしわの形が見られる。
細かな4角形のしわなどがそうであり、これは圧倒的な力によって紙が捻じ曲げられたことを物語っている。
面白いのは、何も知らないままでしわを見たとしても、そのしわの表情を見ただけで、そこに与えられた力が伝わってくると言うことである。
紙はしなやかさと、繊維質の適度な硬さを持っていて形を記憶する。
この性質が見事な紙の表情を作り出すのである。