しわの研究 (10)

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1、 4辺に閉鎖線がある紙面のしわ

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NO10

 4辺を閉鎖された紙面はしわの力が逃げる場所がない。そのため紙面全体が緊張している。

紙面はあたかも一枚の板のようで、力を加えても、部分的にたわむことがない。
しわの力をその面全体で受け止めており、しかも柔軟性がないため、限界を超えると、紙面は
一気にこわれてしまう。


結果上の図でも分かるとおり、不規則なしわと、閉鎖線を越えたしわをはっきり見ることが
出来る。
不規則なしわが現れるという意味は、すなわちこの実験結果はいくつもバリエーションがある
ということである。これは閉鎖線のない紙面の実験とは異なる現われだということが出来る。

ただその中でも、いくつか共通する表れを観ることが出来る。
一つは細かいしわがいくつも出来ることであり、今一つはしわの進んだ方向の閉鎖線が必ず
破られているということである。そもそもそこがこのしわの生まれた発端なのである。
上の図では閉鎖線bcの中央を垂直にしわが突き抜けている。

さらに共通の表れとしては、上図abcdの角から、それぞれの対角線に沿って谷折れのしわが
出来ていることも見逃せないだろう。
これは隣り合う閉鎖線が互いに力を及ぼしあって生まれたしわだと考えられる。

しわの力に対して、紙面が四方の閉鎖線で抵抗するが、力の一番強い点でその抵抗が破られ、
一気につぶれるようにしわむ。この実験結果は、まさにその物語を如実に伝えているのである。



この実験結果は下の通りであった

四辺を閉鎖した紙面に力を加える実験は、しわの進む方向にある閉鎖線を破り
そこに現れるしわは細かく複雑なものが現れた。

これは

の実験結果と似ている。

この場合は、閉鎖線が一本のつっかえ棒のような形で力に対抗し、
やがて砕けるように折れ曲がったのであった。

他方、

の場合は、閉鎖線が四方にあり、その面は板にたとえることが出来るだろう。

すなわち、四辺を閉鎖した面は、どの方向から力が加わったとしても、
常に力に対抗するつっかえ棒が存在するともいえるのである。

いずれの場合でも、そのまま押しつぶせば、砕けるようにしわむのである。
しわはくっきりと複雑な形になって現れ、そこに加えられた力の大きさを示している。

2、 閉鎖線の効用

言うまでもないことだが、閉鎖線の強さを応用したものとして箱がある。
立方体の箱では、一つの方向に対して図のようにつっかえ棒として働く閉鎖線が4本あり、

円筒形では閉鎖線は無数に存在すると考えられる。
この場合、円筒全体が一つのつっかえ棒と考えることが出来る。