しわの研究 (7)
1、 閉鎖線の効果 (実験結果から)
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NO7
紙面を図のように閉鎖すると、しわはそれから先に進まなくなる。
そればかりか、閉鎖線はしわを反射する働きをするのである。
前のページで作図でその理屈を見てきたが、以下実験結果に基づいた考察を試みる。
の実験は
となった。
しわは閉鎖線を右斜めから入り、
閉鎖線からの反作用が↑のように三角形を作っている。
さらにそのしわが両側に反射しているのが観察できる
↑
の実験は
閉鎖線に対して左の方向にしわが進んでいる。
上の図に比べると↑の反射している点がはっきり現れていない。
これは、斜めに入るしわの角度が浅いために反射する力が閉鎖線
に沿って吸収されてしまったためである。
しわの角度がさらに浅くなると、実験した紙面の上ではほとんど反射
のしわは観察できなくなる。
の実験は
2本の閉鎖線の間を、それどれに垂直にしわが走ったもの
である。
このしわを眺めていると、あまりにも規則正しくしわの連鎖
が起こっていることに目が奪われる。
これは2方向を閉鎖することで、しわの力の逃げ道が完全
にふさがれてしまったために起こったものである。
この現象はしわの重要な意味を物語っているので、
以下図解して説明を加えてみよう。
上の実験結果を図解すると次のようになる
(実線は山折れ、点線は谷折れを示している)
@ 2点A・Bから矢印の方向に力を加えると、
A abに伸びていくしわが出来る。
B aに向かうしわはxの抵抗を受けてc-c'に分かれてしまう。
C さらにc点のしわの力を追うと、xから反射してdに向かう。
D d点はBを抑えた指で阻まれるために、ここでも反射が起こる。
E dで反射したしわは、再び閉鎖線xとぶつかり、e点で反射する。
F eで反射したしわは紙の外に向かって力を解放する。
この同じ流れが、規則正しくそれどれ4隅に現れたのである。
ここで一つ気付く点がある。
それは反射の形態についてである。
よく観察すると、閉鎖線で反射する場合、入射するしわと反射するしわはいずれの場合でも
例外なくしわの山と谷が反転しているのである。
上の図のc.e.で反射するしわは山折れで入って谷折れで出て行く。
しかしその間のdでは、逆に谷折れで入って山折れで出ている。
つまりしわは反射するたびに山折れ谷折れを逆転させていることが分かるのである。
さらに入射角と出射角はほぼ等しい。これは論理的に、ベクトルで説明したとおりだと言えよう。
しわは進むにしたがって、山または谷の曲がりが緩やかになる。上の図のeで反射したしわは
ほとんど曲がりがなくなって途中で平面に吸収されている。これはしわの力が次第に分散して
弱まるためである
の実験が
の実験に比べて発生するしわが倍以上に多いのは、
2面を閉鎖することによって、力の分散が少なかったためであろう。
ちなみに閉鎖しない紙で、
の実験を試みれば
となり、
力を加えた部分はくっきりとしたしわになるが、その両端は急激に力が分散して紙に吸収されて
緩やかなしわになってしまうことからも、閉鎖線の持つ意味は分かるであろう。
ところで、