石川虚舟
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『悟真庵』
2021
 
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石庭内経図
 
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玉兔
 
随風庵研山
 
 
 

石川虚舟《鉤深致遠》2021

2021年10月12日、平安神宮前のフリーマーケットで発見したオブジェ。一週間の「時熟」期間を経た後、「HyoNenAn」の玄関先に展示。その間に、「鉤深致遠」(こうしんちえん)の四字熟語に到達し、作品名とする。
その典拠は『周易繋辞上伝』第11章の次の一節。
 
 ・・・、深賾策隠、鉤深致遠、・・・ 
 
 書き下し文は、「賾(せき)を探り隠を策(もと)め、深きを鉤(と)り遠きを致し」。
cf. 高田・後藤訳『易経』(下)、岩波文庫、pp.241-245
 

 漢和辞典によると、「賾」は物事の奥深い所。奥深い道理。「策」は縄で、動詞で「探求する」意味。鉄を縄状にしたものが「鉄策」。「致」は、「引き寄せる」。 つまり、「深奥を探り、隠れたものを求め、深みにあるものを釣りあげ、遠きにあるもの引き寄せる」という、「易」の効用を説く。
 
因みに英訳は、
.... ; to explore what is complex, search out what is hidden, to hook up what lies deep, and reach to what is distant, ; ….
cf. James Legge, THE I CHING, 1882; 1990, p.373 
 
 
 
 

悟真庵/資料展示   
photo by DAN DENGAKU, 2022.11.10
 
2021年10月、『悟真庵』を京都東山の青蓮院近くに開設。名称は、マルセル・デュシャンの造語「アンフラマンス」(infra mince)の典拠である張伯端 『悟真篇』に由来する。 デュシャンの提唱する「網膜芸術ではなく、灰白質のための芸術」を思索する場。
 
小田部胤久氏(東大教授/美学)は、デュシャンの《泉》(Fountain, 1917)に感じる「快」について、「この快は便器をある別のものに、すなわち、形態上は類似しているが、観念上は対照的であるようなものに擬えるところに生じる」と論じる。
cf. 小田部胤久著『美学』東大出版、2020、p.59
 
実は、デュシャンは《泉》を『老子』第4章の「無源」に擬える。「無源」は、それに先立つ源は無く、道(タオ)こそが源という意味。1891年のJ. レッグの英訳では、「無源」は「The Fountainless」。つまり、「源」の英訳が「Fountain」。デュシャン芸術は道(タオ)を源とするが、《自転車の車輪》(1913)の場合は、『易経』の卦「旅」に擬える。そして・・・
 
   ⇒    デュシャン・コード
   ⇒ 『老子』第4章「無源」
   ⇒    如拙《瓢鮎図》
   ⇒    アンフラマンス  (玄妙)