new 成年後見制度の事務

 マーク    身上監護と財産管理

マーク 成年後見制度の勉強を始めたのは、1999年でした。

 当初は成年後見制度について話しても「青年の貢献」といわれ、いい制度ができまし
たねと言う方が多くいました。10年を経過し殆どの方が言葉の理解ができるようになり
ました。
 成年後見制度の大きな仕事は身上監護と財産管理と言えると思います。
その実務について私なりに述べてみます。


 もう一つ、専門家後見人という言葉を多く聴きます。
専門家の後見人等とは・・・どのような方々を指しているのか私見を述べてみます。
この意見は全て私個人の意見です ※(NPO市民後見ひょうごとは関係ありません)
           (ご意見その他異論がある方のメールをお待ちしています)
マーク 身上監護
  
・認知症を病んでいる方と30分会話を楽しむことができますか?
   ・相手(被後見人等)の話を聴くことができますか?

 残存能力の活用及び自己決定の尊重が理念として謳われていますが、話を聴くことが
出来なければ残存能力も知ることはできません。
特別養護老人ホームに通い始めて十数年、近隣の高齢者と話し合いの場をもち数年にな
ります。
 最も大切なことは相手の話すことを聴き、その話の裏側を知ることです。
認知症高齢者のこころを知らずして残存能力を活用することは出来ないでしょう。
身上監護は、本人の身上に関する全ての事項に配慮することです。
後見人等が管理的な監護では、自己決定の尊重とはいえないと考えています。
一人で十数人もの後見を担当している方を知っていますが、本当に被後見人の方の意思
を尊重できるのでしょうか。何時も疑問に思っています。

 介護保険の利用にしても、現場を理解せずに介護サービスの利用計画が可能でしょう
か。施設利用にしても、カンファレンスに参加して意見を述べることが出来るでしょう
か。意見を述べるということは本人を理解しよく知っていなければ意見を述べることも
出来ないと考えています。

 介護保険の利用契約にしても、被後見人を知らずしてサービスの善し悪しを判断する
ことはできないと思っています。
障がいのある子どもさんの親は物凄く真面目に、愛情を持って自分の子どもたちの
将来を心配されていることはよく理解できます。
NPO法人市民後見ひょうごには、そのような親御さんが数名います。
法人後見の場合にはチーム力を生かして対応できると考えています。

 若い方の後見を担当する場合には、その方との相性が最も大切と考えています。
先ずはじめは、親御さんに後見を担当して頂き(NPO市民後見ひょうごへ入会して
頂き)親御さんと一緒に後見事務を行いながら本人と相性の合う後見人を選びます。

後見を担当している親御さんに不都合が発生した場合には相性の合う後見人が変わって
担当するようにしたいと考えています。
契約が契約通りに実行されているかどうかも大切な事務でしょう。一人であまり多くの
後見を担当してそれが実行で来るでしょうか。施設に月1回位の見守りでは判らないと
思います。

 後見は、市民の手で、近隣の住民の手で、被後見人の声が聴こえる人々が後見を担当
するようになれば身近な支援者として後見事務が実行できると考えています。


マーク 財産管理

 財産管理とは、被後見人の幸せのために如何に財産を生かすかということだと思いま
す。身上監護と財産管理は切り離して考えることはできません。
よりよい身上監護の為にいかにして有利な財産管理が出来るかが大切なことです。

 高齢者(81歳)の方の話・・リスクを伴う投資を進める銀行・・どう思いますか?

 私達の回りを見渡しても本当に支援が必要な高齢者はお金がないと言われている方々
です。そのような方々には誰が手を差し伸べるのでしょうか。高齢社会の大きな問題点
と考えています。

 不動産や株券など多く所有している方はそれなりに後見人等がつきやすいものです。
金銭については、後見人等の財産と被後見人等の財産をしっかりと区別することです。
金銭的な不正がみられますが寂しい限りです。

「静的な管理」と[動的な管理」と言われていますが、元本に支障をきたすような動的な
財産管理は慎むべきと思っています。静的な管理においても日常生活に即した計画的な
管理が必要でしょう。
 マスコミに時々出る不正についても、不正を犯した後見人等が罪になればいいという
ものではなく、被後見人等が元の生活が出来るようにするためには何をすべきかは今後
の検討課題と考えています。
 財産管理の大切さは、誰に何時見られても堂々として開示できることだと考えます。
どのような小さいお金であれ、そのお金は被後見人等の大切なものであることと常に頭
にいれておく必要があります。


マーク 専門職後見人とは

 専門職後見人とはよく判らない言葉です。
何故なら弁護士・司法書士・社会福祉士などの先生方が専門職後見人と言われているよ
うですが・・・。

 専門職後見人とは多くの被後見人を担当している先生方のことでしょうか。
私の知っている限りにおいては、素晴らしい司法書士の方・社会福祉士の先生を知って
います。そのような方々は専門という称号をつけてもいいと思いますが、 身上看護・
財産管理両方とも勉強し、実行している先生方を専門職後見人と思っています。

 被後見人を訪問もしない、ただお金の支払いだけの先生もいるように聴いています。
特に、任意後見受任者は、契約通りに(見守り条項通り)実施していないという話を
持ち込まれます。
 市民後見人が、勉強し、手を差し伸べる必要がある方々が利用できる成年後見制度に
したいものです。
 成年後見制度は、一旦引き受けるとその被後見人と一生を共にすることが求められて
います。大変で重要な、これからの社会にとってなくてはならない制度です。
法の下の平等を目指して頑張りましょう。

 財産管理ができ、身上監護(認知症の対応・知的障がい者の対応)ができてこそ
 専門家後見人と言えるのではないでしょうか。
 「冷静な眼と温かいこころ」が後見人等に要求されている条件と考えています。

                     シニア ライフ アドバイザー  岡島 貞雄


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