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自己決定の尊重
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人権擁護の最も大切な基本は、誰にも影響されずに自分のことは自分の意思できめること
と考えています。成年後見制度も理念にも謳われています。しかし、この自分の意思で自 分のことを決定することは大変に難しいことです。 特に、法定後見を利用している判断能力が定かでない方々は特に難しいと思います。 好意のつもりが被後見人に対して知らず知らずに押し付けになったり、強制したりすること になりかねません。最近の相談事例からその難しさを痛感しました。 (1)被後見人の施設変更(住居移転) ○さんは、現在有料老人ホームで生活しています。
後見人が、日常の生活費を調べたところ有料老人ホームでの経費に不信をもちました。
この先○さんの生活費が続くかどうか不安となり、また、有料老人ホームの対応が不信感で
一杯となり、○さんの住居移転を考えました。
有料老人ホームから特別養護老人ホームへの移転を検討していますが、
その問題点につき考えてみたいと思います。
<問題点その1>
○さんは、本当に移転を考えているのでしょうか。
<問題点その2>
特養ホームに移転後、その待遇につき○さんはどのように思うでしょうか。
サービスの違いと経費の関係が判断できるでしょうか。
<問題点その3>
認知症(後見類型)に影響する環境の変化
<問題点その4>
この先○さんの財産がどのくらい続くか(どれだけ生命が続くか)は判断が非常に難しい。
皆様は、このような場合後見人等としてどのような対応を考えますか。
相談者は、非常に優しくて素晴らしい人です。自分のことのように考えて対応しようと
しています。
法律とはある面冷たいものです。成年後見人として
「冷めた目で冷静に判断し、暖かいこころで対応」が私のモットーです。
家庭裁判所・法律専門家・社会福祉士(特に認知症専門家)等に相談し、最後は後見人自身
の決断が必要でしょう。 最後の決断を自分がすることは特に求められます。他人の意見を採用することも大切ですが、
それがいい方向にでればいいのですが、悪い方向に出た場合他人の意見に責任を求める
場合がよくあります。
私の話したこと
○さんの日常経費を調査し、お金が動くと言うことは法律行為であり、
過去の契約書(おそらく契約書などは存在しないでしょう)の調査と今後の新しいサービスは
後見人が代理人として契約する筈ですから、医師の意見等を参考にして十分な配慮をする
ことではないでしょうか。 後見人としての行動を慌てない。○さんの生活状態をよく観察して有料ホームの日常で
改善できる点を調査すること。
○さんが、有料老人ホームと特別養護老人ホームの違いが判断できる状態ならいいのです
が、そうでない場合は、特養の欠点ばかり目につき、後見人が無理やり移転させたことに なりかねません。
自己決定の尊重は大変難しい。被後見人を後見人が常に接して被後見人の残存能力の
把握が求められています。後見人は、施設にお金を支払うだけが仕事ではありません。
シニア ライフ アドバイザー
岡島 貞雄
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成年後見制度のむずかしさ |