ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています

項目 後見と保証人


 ・一人暮らしの高齢の方から、入院時の保証人はどうしようという電話がありました。

 ・以前には介護保険を利用しようとしたのですが、「引受人(保証人)がいなくて断られ
ました」  どうすれば利用できるかとの相談がありました。

一人暮らしの高齢者が今後益々増加すると色々なデーターが示しています。
一人暮らしの方々は憲法で決められている「法の下の平等」からも見放されている現状が
あります。「後見」とは、どのようなことでしょうか。

 子供が親の後見、第三者が他人の後見、親族後見など色々な後見があります。
親族間でも、それら後見を法的に可能にしたのが「成年後見制度」ですが、まだまだ、
社会的に認知されていません。
「市民後見ひょうご」は、成年後見制度に取り組んでいるNPOですが、最も厄介なことは
保証人と医療的な代理権の問題です。
今回は、保証人について私なりの意見を述べてみます。多くの法律専門家の方々のご意見が
欲しいものです。




 「一人暮らしで入院する場合に保証人を求められますが、私は、一人暮らしです。
親族も遠く、いざという時には間にあいません。どうすればいいのでしょうか」と相談
されました。
 「今すぐ入院の必要があるかどうか」お聴きしましたところそうでなく、今後の安心の
ためにとのことでした。
法的な成年後見人等でも「保証人とはならなくともよい」「保証人までも後見人等に求め
ることはできない」というのが一般的です。
入院時・介護保険利用時保証人について行政・病院・介護施設を訪問し質問してみました。

 「行政」・・ほとんど回答らしい回答はありませんでした。
日常自立生活支援事業のチラシを下さいましたが、それがどのように保証人に繋がるのか
判っていません。一人暮らしの方は、「救急車を呼び、否応なしに病院にゆけばいいのです
か」と、思うわず言ってしまいました。
 「病院」・・病院では、ソーシャルワーカーの方が対応してくれました。
       緊急の場合は、「何とかします」が大半の返事でした。少し安心です。
       入院の場合は、手術などの判断が必要な場合があり可能ならば・・・・。
       病院の中には、入院補償金を求めるという病院もあるようです。

私の意見ですが、入院の場合にはソーシャルワーカーと相談することをお勧めします。
保証人には、医療費の支払いを保証してくれるかどうかが一つの求めですから、治療費の
支払いも合わせて相談しておくと良いと思います。
ただ、独居の方は、一人では相談も不可能な場合があります。
人権擁護の意味からも何とかお力になりたいと考えていおます。
 「高齢者施設」・・相談内容・・奥様が、デイサービスを利用している。
                夫が引受人(保証人)
  保証人の夫に認知症が発症し判断に狂いが出てきました。
  奥様の介護保険利用(デイサービス)を受け入れることはできないと施設から通告
  されました。どうすればよいでしょうか。

  真実困りました。成年後見制度の利用を進めましたが、申立人・費用・時間的な問題
  等があり、また、成年後見人等には保証人までは求めることができなということです。
  結論からいいますとこの問題は、素晴らしいケアマネジャーが対応をして二人の
  デイサービスを受けて頂けました。
  想像ですが、この夫の方は、「法定後見」の「補助類型」に当たると考えて本人申し
  立てとするようにケアマネジャーの方にお願いし、補助人となる方に事情をよく話し
  て、施設との対応をよく話し合うことをお願いしました。
  結果は非常に満足するものでした。

高齢者施設を訪問してみました。約半分の施設は受け入れるとのことでした。
ということは、半分の施設は、引受け人がいない方は受け入れたくないようでした。
受け入れない雰囲気の施設に「一人暮らしで引受け人がいない人は、介護保険料を支払う
義務はないということですか」と質問しますと、、、返事がありません。
引受け人がいないと、病気の場合・入院の場合・死亡時・器物破損の保証など全て施設が
対応する必要が出てくるから嫌うのでしょう。

ある成年後見人が「施設入所は、問題なくできましたよ」と話してくれましたが、それは
施設側は当然に成年後見人が保証人と思っているからでしょう。後見人等は、利用時に施設
とよく話し合っておくべきと考えます。

 施設の実情(内緒の話)・・引受け人がいない人でも受け入れるが、どんどんと後回し
 になる可能性があるかもしれないとのはなしです。
 「市民後見ひょうご」でも入院の際の対応は、大切であり、独居(最も後見人等が必要)
 の方に対してスマートな行動がとれるような研修を積み重ねたいと考えています。
 メンバーの対応に決して過ちがないように、考えておきたいものです。
 NPO法人というチームの力で対応できる強さがあります。
 NPO法人は、継続性が大きな力です。「親亡き後の後見」「費用の捻出が難しい後見」
 「高齢者のこころが想像の世界より実感できる後見人」等々尽きぬ理想を求め解決する
 ための努力を積み重ねてゆきたいと考えています。



 次の機会には「医療問題と成年後見制度」について考えてみたいと思います。

                シニア ライフ アドバイザー 岡島貞雄

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