土地家屋調査士試験では、関数電卓の持ち込みが認められていますので、書式問題を解くためには、電卓を有効に活用して座標計算や面積計算をする必要があります。
このページでは、土地家屋調査士の書式問題を解くために必要となる関数電卓(カシオ)の使い方について解説します。
※ 複素数計算は使用しません。ノーマルな計算方法で解説しますので、ご了承ください。
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』がおすすめです。
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おすすめの関数電卓
まずは、当ページで使用する関数電卓と、おすすめの電卓についてご紹介します。
カシオ fx-JP500
土地家屋調査士試験のおすすめの関数電卓は、カシオのfx-JP500という機種です。
東京法経学院やLEC、アガルートもすべて、カシオの「fx-JP500」の使用を推奨しています。
現在、fx-JP500は、それまでのfx-991シリーズとは一線を画す新型電卓として、土地家屋調査士の定番の電卓となっていますね。
なお、fx-JP900という上位機種もありますが、土地家屋調査士試験では、JP500で十分です。
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カシオ 関数電卓 fx-JP500 (高精細・日本語表示 関数・機能500以上) サイズ: 16.7 x 8.2 x 1.8 cm 参考価格: 3,168円 |
当ページで使用する関数電卓(カシオ fx-991MS【絶版】)
当ページで使用する関数電卓は、CASIOのfx-991MSという機種です。
現在、この機種は絶版となっていますが、基本的な操作方法は、最新の機種でも同じです。
ただし、キーの配列や、SHIFTを押すか押さないかなど若干の違いがありますので、キーの読み替えについては、下表を参考にしてください。
fx-991MSとfx-JP500のキーの読み替え表
fx-991MS | fx-JP500 |
---|---|
RCL | SHIFT+RECALL |
SHIFT+STO | STO |
SHIFT+Pol( | SHIFT+Pol |
SHIFT+Rec( | SHIFT+Rec |
Pol(・Rec(の記憶先がE・F | Pol・Recの記憶先がx・y |
, | SHIFT+, |
また、JP500では、初期設定が分数表示になっているため、SHIFT→SETUP→1→4 と押して、少数表示に切り替える必要があります。
こんな読み替え表を作るぐらいなら、さっさと本文を書き換えろ!と言われてしまいそうですが。。
関数電卓の使い方(座標計算/カシオ)
それでは、実際に事例を使って、座標計算のためのカシオ関数電卓の使い方を解説していきます。
座標計算の事例
「土地」に関しては、下記の座標値を使用します。(H19 本試験問題)
筆界 | X座標 | Y座標 |
F | 218.55 | 215.11 |
E | 207.51 | 220.79 |
D | 205.68 | 216.45 |
C | 204.73 | 211.98 |
G | 216.88 | 208.43 |
M1 | 200.00 | 200.00 |
M2 | 206.10 | 224.47 |
※ 上記の筆界の並びが、FEDCGとなっていて、CDEFGとなっていないことについては、下記の(3)をご参照ください。
(1) 2点の座標値から距離と方向角を求める
まずは、M1点とM2点の座標値が与えられた場合に、その2点間の距離と方向角を求める方法です。
M1(200.00 , 200.00) M2(206.10 , 224.47)
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と電卓をたたくと、「25.21886001」という値が出ます。 ← M1点、M2点間の距離
※ この時点で、メモリーに2点間の距離、メモリー
に2点間の方向角が記憶されています。
次に、メモリーに記憶されている数値を呼び出すため、
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とたたくと、「76.00232841」という値が出てくるので、これを60進数(度分秒)の表示に切り換えるため、
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とたたくと、「76°0°8.38」となります。 ← M1点からM2点への方向角
(2) 2点間の距離と方向角から座標値を求める
次は、M1点の座標値は与えられているが、B点の座標値が与えられていない場合で、M1点からB点への距離と方向角が与えられているときの、B点の座標値の求め方です。
M1(200.00 , 200.00) B( , )
距離 11.21m 方向角 67°0′8″
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とたたくと、「4.379695729」となります。 ← M1点からB点へのX座標の増分
※ この時点で、メモリーにX座標の増分(儿)、メモリー
にY座標の増分(兀)が記憶されています。
次に、M1点のX座標に、B点までの増分(儿)を加えるため、
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とたたくと、「204.3796957」となるので、四捨五入して 「204.38」 ← B点のX座標
次に、メモリーに記憶されている数値を呼び出すため、
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とたたくと、「10.31902928」という値が出ます。 ← M1点からB点へのY座標の増分
そして、M1点のY座標に、B点までの増分(兀)を加えるため、
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とたたくと、「210.3190293」となるので、四捨五入して 「210.32」 ← 点BのY座標
【注意!】 上記の
と押しただけでも、メモリー
の数値は呼び出されますが、その後、
を押さずに、その数値を次の計算に使用すると、計算結果がおかしくなってしまうので、メモリーを呼び出した後は、必ず
を押す習慣をつけておくのがよいと思います。
(3) 座標値から地積を求める
次は、多角形FEDCG の各点の座標値が求められた場合の、地積の計算方法です。
筆界 | X座標 | Y座標 |
F | 218.55 | 215.11 |
E | 207.51 | 220.79 |
D | 205.68 | 216.45 |
C | 204.73 | 211.98 |
G | 216.88 | 208.43 |
ここで、筆界の並びが、FEDCGとなっていて、CDEFGとなっていないのは、面積を計算するときの計算方法の違いによって、計算結果がマイナス表示となるか、プラス表示となるかの違いが出てくるためです。
私の計算方法では、多角形の筆界を、時計回りに記載していくと、計算結果がプラス表示となるため、このようにしています。
下表の一番右の欄の値を、上から順に算出していきます。
218.55 ![]() ![]() ![]() |
とたたくと、「2701.278」と表示され、独立メモリーに記憶されます。 ←下表@の数値
以下、同様にたたいていくと、独立メモリーに加算されていきます。
207.51 ![]() ![]() ![]() |
とたたくと、「278.0634」 ←下表Aの数値
205.68 ![]() ![]() ![]() |
とたたくと、「-1812.0408」 ←下表Bの数値
204.73 ![]() ![]() ![]() |
とたたくと、「-1641.9346」 ←下表Cの数値
216.88 ![]() ![]() ![]() |
とたたくと、「678.8344」 ←下表Dの数値
ここまでで、メモリーへの加算は終わりましたので、加算の結果を呼び出します。
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とたたくと、「204.2004」 ←下表Eの数値(2A:倍面積)
これは倍面積なので、面積を求めるため、
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とたたくと、「102.1002」 ←下表Fの数値(A:面積)
これが宅地であれば、地積は102.10uとなります。
(4) 辺長を求める
上述の「(1) 2点の座標値から、距離と方向角を求める。」の計算方法を活用します。
まず、計算を始める前に、小数点以下の桁数の設定をします(解答の指示で、「辺長は、小数点以下第3位を四捨五入する」となっている場合)。
ボタンを5回たたき、Fixの「1」をたたき、2桁の「2」をたたきます。これで、計算結果は、小数点以下第3位を四捨五入した値となります。
まず、FE間の辺長を求めてみます。F(218.55 , 215.11) E(207.51 , 220.79)
2点間の距離と方向角を求める要領で、
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とたたくと、「12.42」という値が出ます。 ← FE間の距離 (少数第3位で四捨五入)
次に、ED間も同様に、E(207.51 , 220.79) D(205.68 , 216.45)
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とたたくと、「4.71」となります。← ED間の距離
この要領で、順に求めていけばよいです。
なお、小数点以下の桁数を元に戻すには、 ボタンを5回たたき、Normの「3」をたたき、「1」をたたくと、元に戻ります。(または、設定をリセットする。→
3
)
(5) 2直線の交点を求める
冒頭の事例の中には書ききれませんでしたが、直線IGと直線BDという2直線があったときの、その交点の座標の求め方です。(この事例では、直線IGの延長線と、直線BDとが交わります。)
I(226.66 , 205.57) G(216.88 , 208.43)
B(204.38 , 210.32) D(205.68 , 216.45)
直線の方程式は、Y=aX+b と表されます。 この直線の傾き「a」は、上述の「(1) 2点の座標値から、距離と方向角を求める。」の計算方法を活用して求めます。
まず、IG間の方向角を求めるため、
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とたたくと、メモリーには2点間の方向角が入っているので、
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とたたくと、「-0.292433537」となります。 ← 直線IGの傾き「a」
これを、メモリーに記憶させるため、
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とたたきます。
次に、切片「b」を求めるため、式を変形します。 b=Y−aX
I点でもG点でもどちらでも構いませんが、例えば、G点の座標値を代入するとして、
208.43 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
とたたくと、「271.8529857」となります。 ← 直線IGの切片「b」
これを、メモリーに記憶させるため、
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とたたきます。 ここまでで、直線IGの方程式は、Y=X+
となっています。
次に、直線BDの方程式についても同様に、メモリー と
を使って、Y=
X+
となるようにします。(メモリー
には「4.715384618」、
には、「753.4103082」が入ります。)
この方程式の解は、
で求められるので、 まず、 −
を求めるため、
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とたたくと、「-4.715384618」となり、これを、メモリーに記憶させるため、
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とたたきます。
次に、 −
も同様にして、メモリー
に記憶させます。(「961.8403082」)
これで、上記(ア)の式が、0=X+
となったので、式を変形して、X=−
/
とし、
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とたたくと、「204.7325326」となるので、四捨五入して、「204.73」← 交点のX座標
これを、Y=X+
の式に代入すれば、
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「211.9830675」となり、四捨五入して、「211.98」となります。← 交点のY座標
関数電卓の使い方(床面積の求積/カシオ)の解説
土地の座標計算については以上です。
次は、建物について、カシオ関数電卓の使い方を解説します。
建物の書式問題を解く際は、土地の座標計算のような特別な電卓操作は求められませんので、床面積を求める方法のみ記載しておきます。
2つの四角形に分けて床面積を求める
上図のような場合、四角形2つに分けて面積を求めますので、
求積
12.50×10.00=
8.00×12.50=
として、メモリーに加算しながら、計算をします。
12.50 ![]() ![]() |
とたたくと、「100」となるので、「100.0000」と書き込み、続いて、
8.00 ![]() ![]() |
とたたくと、「125」となるので、「125.0000」と書き込みます。そして、メモリーを呼び出すため、
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とたたくと、「225」と出るので、計 「225.0000」となります。
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