銀河について

 

 

銀河 :

銀河の種類: 楕円型・渦巻型(渦巻・棒渦巻)・その他(リング・レンズ状・不定形)

矮小銀河、相互作用銀河、スターバースト銀河、活動銀河

銀河の起源

銀河の進化

大規模構造

銀河の未来

 

ボイド銀河

 

クエーサー

トップ

 

 

銀河

銀河の種類: 楕円型・渦巻型(渦巻・棒渦巻)・その他(リング・レンズ状・不定形)

矮小銀河、相互作用銀河、スターバースト銀河、活動銀河

銀河の起源

銀河の進化

大規模構造

銀河の未来

 

恒星やコンパクト星、ガス状の星間物質や宇宙塵、暗黒物質等が、

重力によって拘束された巨大な天体です。

  

1000万程度の星で成り立つ矮小銀河から、

100兆個の星を持つ巨大な銀河まであります。

 

星々は、恒星系、星団等を作り、

その間には、星間物質や宇宙塵が集まる星間雲、宇宙線が満ちています。

 

ほとんどの銀河では、質量の約90%を暗黒物質が占めます。

 

銀河の中心には、超大質量ブラックホールが存在するとされます。

 

観測可能な宇宙の範囲だけでも、少なくとも1700億個の銀河が存在すると考えられています。

 

銀河の直径は、1,000から10万パーセクで、

数百万パーセクにもなるような巨大なものもあります。

 

銀河系間空間は、1m3当たり、平均1個未満の原子が存在するに過ぎない、

非常に希薄なガス領域です。

 

ほとんどの銀河は、階層的な集団を形成し、

銀河団や、

多くの銀河団が集まった超銀河団として知られています。

 

更に、大規模な構造では、

超空洞と呼ばれる、銀河が存在しない領域を取り囲む、

銀河フィラメントを形成します。

銀河

 

銀河の種類

銀河は、主に楕円型渦巻型(渦巻・棒渦巻)・その他(リング・レンズ状・不定形)、があります。

 

ハッブル分類は、包括的に記述した分類です。

しかし、あくまで外観上の特徴を捉えた分類であるので、

銀河の重要な特性を反映していないという指摘もあります。

 

矮小銀河相互作用銀河スターバースト銀河活動銀河もあります。

 

一般的な形態は、楕円銀河です。

種類

 

楕円銀河

ハッブル分類では、楕円銀河は楕円率によって区分され、

正円に近い E0 から始まり、

高楕円率の E7 までがあります。

 

この区分は、視角による見かけの形状ではなく、

銀河そのものが、どの程度の楕円体であるかによって評価されます。

 

楕円銀河の内部には、何らかの構造がほとんど見られず、

比較的小さな星間物質で構成されています。

 

従って、この銀河は、散開星団の下限に含まれ、星形成が活発ではありません

多くは古く寿命を経た星が、任意の方角にある重心を回っている状態にあります。

 

このような特徴は、銀河よりも遥かに小さな球状星団と似た部分があります。

 

知られている最大の銀河は、楕円銀河で、

衝突や合体等の、銀河同士の相互作用により形成されたと考えられています。

しばしば大規模な銀河団の中心近くで発見され、

渦巻銀河等と比較すると、大きさにかなりの開きがあります。

 

天の川銀河と、M87(おとめ座銀河団の中心にある巨大楕円銀河)を、

中心部にあるブラックホールの質量を、太陽質量と比較すると、

天の川銀河は400万倍で、M87のものは30億倍以上にもなります。 超大質量ブラックホール

 

銀河団の中心に存在する、巨大な楕円銀河は、cDタイプ銀河に分類されます。

 

楕円銀河へ成長する過程の一つと捉えることができるのが、スターバースト銀です。

種類

 

渦巻銀河・棒渦巻銀河

薄い円盤状の回転する星々や星間物質で構成され、

通常は、中心部に近くなるほど古い星が多くなります。

 

中央の銀河バルジから、比較的明るい渦巻き腕状の構造が伸びています。

 

渦巻銀河は、ハッブル分類では、S で示され、

小文字( a, b, c )で、腕の粗密やバルジの規模を表します。

 

Sa は、湾曲度合いが大きく、個別の識別が不明瞭な腕を持ち、大きなバルジを持つ銀河です。

 

Sc に分類される銀河の腕は開放的で、バルジは小さいです。

 

渦巻銀河のうち、わずかな腕だけの銀河を、羊毛状渦巻銀河毛ふさ状渦巻銀河)、

逆にしっかりと識別可能で、湾曲具合が激しい腕が観察できる銀河を、グランドデザイン渦巻銀河と言います。

 

渦巻銀河の腕は、銀河を一様に回転する星の相互作用から、対数ラセンに近似した形状を持ちます。

 

星々と同様に、腕はバルジを中心に回転し、角速度は一定です。

渦巻く腕は、高密度の物質が集まる領域、または密度波と考えられています。

 

星が、この腕の領域に入ると、恒星系の宇宙速度が影響を受け、

腕部分を抜けると、元に戻ります。

これは、自動車が道路で渋滞になると速度が落ち、抜けると速くなる現象と似ています。

この高密度な状態が、星形成を促進するため、腕は輝いて見えます。

つまりは、腕部分には、若い星が多く存在します。

 

渦巻銀河の大多数は、バルジから両方向に伸びる直線的な棒状の星の帯を持ち、

渦巻構造と接続しています。

 

棒渦巻銀河は、ハッブル分類では、SB で表し、

小文字( a, b, c )は、渦巻銀河と同様に、腕の粗密を表します。

 

天の川銀河があります。

 

棒構造は、バルジ部分や他の銀河から寄せられた銀河潮汐力による密度波によって作られた、

一時的なものと考えられています。

 

多くの棒渦巻銀河は、棒構造に沿ってガスがバルジに流れ込むため、活動的です。

種類

 

その他

他の銀河との相互作用によって、変わった特性を持つ異形の銀河があります。

 

リング銀河車輪銀河)は、

環状の星々が露出した中心部を取り巻いている構造を持ちます。

これは、比較的小さな銀河が、渦巻銀河の中心部を通過することで生じると考えられています。

 

レンズ状銀河は、

楕円銀河と渦巻銀河双方の特徴を有する中間型に位置します。

ハッブル分類では、S0 で示されます。

レンズ状銀河は、不明瞭な渦巻き状の腕がありながら、楕円形状のハローを持ちます。

ガスの量に乏しく、星形成は盛んではないと考えられています。

 

不規則銀河という、

分類困難な銀河もあります。

何らかの構造を持ちますが、ハッブル分類には当てはめられない種類は、Irr-I

構造を持たない種類は、Irr-II と識別されます。

不規則銀河は、近くの銀河から引力の影響を受けて、形を崩したものです。

ガス成分が多く、星形成は活発と考えられています。

種類

 

矮小銀河

宇宙のほとんどの銀河は、規模が小さく、矮小銀河と言います。

天の川銀河の1/100程度に当たる、数10億個の星を持つにとどまります。

 

多くの矮小銀河は、大きな銀河を周回していると考えられています。

 

矮小銀河の区分には、

矮小楕円銀河・矮小渦巻銀河・不規則銀河といったものがあります。

 

矮小楕円銀河の形状は、大きな楕円銀河とかけ離れているため、矮小楕円体銀河とも呼ばれます。

種類

 

相互作用銀河 スターバースト銀河

集団の中にある銀河は、直径と比べると、互いの距離が近いです。

そのため、銀河間には相互が頻繁に働き、銀河に変化を与えます。

 

銀河同士が接近すると、銀河潮汐力によって、ひずみや曲がりが生じ、

ガスや塵を交換させるようになります。

 

2つの銀河が互いに近づく際、

通り抜けるのに充分な相対的速度を持つ場合には、合体ではなく、衝突が生じます。

 

この過程で、中の星々がぶつかり合うことは希で、

一般的には、やがて2つの銀河は通り過ぎていきます。

 

しかし、ガスや塵の合体が起こります。

これが星間物質をかき混ぜ、圧縮させると、爆発的な星形成に繋がります。

 

衝突は、棒や環、または尾のような構造を、銀河にもたらします。

 

相互作用の極端な例は、銀河の合体です。

これは、銀河の接近速度が遅く、徐々に重なり合いながら、単一の大きな銀河へ成長します。

形は、合体前と大きく変貌する場合があります。

 

銀河の大きさが極端に違う場合は、銀河の共食いと呼ばれ、

小さな銀河は形を崩し、大きな銀河には比較的変化が生じません。

種類

 

スターバースト銀河 楕円

星生成が非常に活発な銀河です。

 

恒星は、銀河内の巨大な分子雲で作られる、冷たいガスから生成されます。

 

銀河によっては、通常の100-1000倍規模の星が生まれ、

この過程で発せられる、強い赤外線を観測できるものを、超光度赤外線銀河といいます。

 

しかし、このような状態が続くと、銀河内のガスが急激に消費されるため、

スターバースト状態は、銀河の寿命から考えれば非常に短い、

1000万年程度しか持続しないと考えられています。

 

初期の宇宙では、スターバースト銀河は一般的だったと推定され、

現在でも、すべての恒星生成の15%を占めています。

 

スターバースト銀河は、塵やガスが豊富で、大質量の星々が電離した雲で囲まれたHII領域を持ちます。

 

大質量星が起こす超新星爆発が、超新星残骸を撒き散らし、周囲のガス等に強い作用を与えます。

そして、ガス領域のいたる所で、新しい星の生成を、連鎖反応的に起こします。

これは、利用可能なガスのほとんどが消費されるか、広く分散してしまうまで続きます。

 

スターバースト銀河は、しばしば相互作用銀河と関係します。

この一つの例がM82であり、近接する、より大きな銀河M81からの影響を受けています。

 

不規則銀河の存在は、宇宙におけるスターバースト活動のかたまりを示している場合があります。

種類

 

活動銀河 ボイド銀河

銀河から放出されるエネルギーの大部分が、星やガス・星間物質とは異なる銀河です。

 

エネルギー発生源は、

銀河中心に存在する、超大質量ブラックホール周囲に形成された降着円盤です。

 

活動銀河中心核の放射現象は、

降着円盤の物質がブラックホールに落ち込む際の、銀河潮汐力に由来します。

この物質のうち、約10%が、中心部から双方向に1組の宇宙ジェットとなり、に近い速度で噴出します。

ただし、このメカニズムは詳細不明です。

 

高エネルギーの放射線を発するものがあり、

Xが検知される種類は、光度によって、セイファート銀河クエーサーと呼ばれ、

特に、宇宙ジェットが地球の方向へ放たれているのものは、ブレーザー

あらゆる周波数の電波を放出する銀河は、電波銀河と呼ばれます。

 

これらは、観察者の視角に基づいた活動銀河の分類です。

 

活動銀河は、スターバースト銀河と同様に、低電離中心核輝線領域 ( LINER ) との関連が指摘されます。

 

LINERタイプの銀河から放たれる放射は、弱くイオン化された物質です。

近隣に存在する銀河のうち、約1/3は、LINERタイプの中心部を持っていると考えられています。

種類 銀河

 

銀河の起源 星の起源・・・ファーストスター

ビッグバン発生から30万年後

ビッグバン原子核合成といわれる現象により、水素とヘリウムの原子核が合成され、

更に、自由電子を取り込む再結合を経て、元素が形成されたとされます。

 

この時点では、ほとんどの水素はイオン化されておらず、光子の運動に干渉しなかったため、

まだ星は形成されず、宇宙は「暗黒時代」と呼ばれる時期でした。

 

この状態に変化を与えたのが、原始的物質の密度の変動(異方性)で、

これにより、コールドダークマターのハローの中で、バリ凝集が開始されました。

 

このように、初期段階では、暗黒物質が先に凝集を始め、

そこにガスが集まった構造物が、現在の銀河となったと考えられています。

 

2006年、赤方偏移6.96の銀河、IOK-1が発見されました。

ビッグバン後7.5億年に相当し、発見当時、最古の銀河の一つでした。

 

尚、2016年に、z = 11.09 の銀河、 GN-z11 が発見されています。

 

初期の原始銀河は、

宇宙が暗黒時代にあった頃から成長を続けていたとされますが、詳細不明です。

 

トップダウンモデルと、ボトムアップモデルがあります。

 

トップダウンモデルとは、

エデン・リンデンベル・サンデージ (ELS) モデルのように、

宇宙誕生から1億年経過頃に、大規模なガスの収縮が起こり、

それが分裂しながら、超銀河団が形成された、という考えです。

 

ボトムアップモデルは、

サーレ・ズィン ( SZ ) モデルのように、

最初は銀河系質量の1/100程度に相当する、比較的小規模なガスのかたまりが生じ、

そこから生じた球状星団の集まりが、段々と集まりながら、

大きな銀河を形成するようになった、というものです。

 

初期銀河の観測結果はほとんどなく、銀河誕生モデルは謎のままです。

 

しかし、星を構成する元素のほとんどが、水素ヘリウムだけのものが発見されはじめ、

これらが宇宙初期の1世代天体とされています。

 

銀河の先駆体が収縮を始めた後、

その中に、種族IIIの恒星による銀河ハローが現れるようになります。

これらは、ほとんどが水素とヘリウムからなる巨大な星で、

比較的早く超新星爆発を起こし、重金属を星間物質にまいたと考えられます。

 

また、巨大な星々からの強い輻射によって、

周囲の水素元素は電離(宇宙の)され、泡状に広がったと考えられています。

銀河

 

銀河の進化

宇宙誕生から10億年の間に、鍵となる銀河バルジが現れるようになります。

 

中でも、超大質量ブラックホールの発生は、

総物質量に制限を加えることで、銀河の進化を促す重要な役割を果たしました。

この頃、銀河では盛んに星が形成されます。

 

次の20億年にかけて、蓄積された物質は、銀河円盤を形成するようになります。

 

銀河は、一生を通じて、星間雲や矮小銀河との合体を通じて、物質を吸収し続けます。

この物質は、ほとんどが水素やヘリウムですが、

恒星の誕生と死が繰り返されるうちに、重元素が増えてゆき、

その中に、惑星を持つようになります。

 

銀河の発展は、相互作用衝突が、大きな影響を与えました。

 

初期宇宙では、銀河の合体は一般的な出来事でした。

それらは、変わった形ばかりでした。

恒星同士程度の距離があれば、銀河衝突による惑星系への影響はほとんどありません。

しかし、渦巻銀河の腕を取りまとめる、星間ガスや宇宙塵等の重力がはがされると、

触角のような長い腕が伸びた状態になります。

NGC 4676触角銀河が知られます。

 

時間が経過するとともに、同規模の銀河が衝突する事例は少なくなります。

 

ほとんどの明るい銀河では、頻繁に衝突が発生した時期は100億年前であり、

過去数10億年間にわたり、抱える星の総数は、大きく変化していないと考えられています。

銀河

 

大規模構造

最近の10億年では、孤立した銀河は少なく5%程度しか見つかっていません。

 

これらも、過去には合体を経験していたり、小さな伴銀河を持っていたりする可能性があります。

 

孤立銀河は、他銀河との相互作用でガスが取り去られる事がないため、

標準的な銀河よりも、星形成の割合が高いです。

 

巨視的には、宇宙は膨張しており、個々の銀河の間隔は、広がっていると考えられています。

 

しかし、局地的には、銀河相互に働く引力によって、拡張に逆らっています。

この銀河の群集は、暗黒物質の集まりが銀河をひきつけて、宇宙の初期には形成されていました。

更に、群集が集まり、大きな集団を形成するようになりました。

この集合が進展する過程で、ガスも集まり、銀河内部の熱量を高め、30 - 100メガケルビンにまで達します。

 

このような集まりの質量のうち、

70-80%を暗黒物質が占め、

10-30%が熱いガスであり、

銀河を構成する物質は、残りのわずか数%です。

 

宇宙のほとんどの銀河は、他の多くの銀河から重力の影響を受けています。

その形は3-50個ほどの銀河が集まった、銀河群と呼ばれる小規模な集団に始まり、

フラクタル状の階層的段階の集団を構成します。

 

200万光年程度の、狭い領域にまとまった銀河群は、コンパクト銀河群と呼ばれます。

 

最も一般的な集団は、50-1000個の銀河が集まった銀河団であり、

宇宙、そして銀河中のバリオン物質がつくる主な構造です。

 

このような状態を維持するために、

銀河群は、ビリアル定理で示されるように、

飛び出さない程度の速度を保ち、重力でつながっていなければなりません?

                                     

一方で、運動エネルギーに欠けていると、やがて合体し、

brightest cluster galaxyが、時とともに潮汐力で周囲の銀河を破壊し取り込むように、

単一の巨大な楕円銀河に組み込まれやすいです。

 

超銀河団は、万単位の銀河を含む、直径1億光年にも達する銀河の集まりです。

これらは、宇宙の大規模構造を形成します。

この規模からみると、銀河分布は等方性と均質性があるものとみなせます。

銀河

 

銀河の未来

現在、星形成が盛んに行われる場所は、

小さく、冷たいガスがあまり消耗されていない銀河です。

 

渦巻銀河では、

星間に漂う水素の分子雲が密集するような場所でしか、新しい恒星は生まれません。

 

楕円銀河では、

ガスがほとんど消費されているため、新しい星が生み出される事はほとんどありません。

 

星形成の材料は有限であり、恒星が水素を重い元素に変換し続ければ、

やがて尽きて、新たな星は誕生できなくなると考えられています。

 

1000億年ほどが経過すると、超巨大楕円銀河にまとまってしまうと考えられています。

 

そして、宇宙の膨張は続き、

他の銀河は、見かけ上光速を超える速度で遠ざかるため、観測できなくなってしまいます。

 

10兆から100兆年後

「星の時代」が衰え、小さく、より寿命が長い赤色矮星ばかりが銀河系の中心要素となり、

恒星が誕生しなくなるとされます。

 

星の時代末期は、

コンパクト星、褐色矮星、白色矮星や黒色矮星、中性子星、ブラックホールによって、

銀河が作られている状態となります。

 

最終的に、重力の緩和時間を過ぎれば、

全ての星は超大質量ブラックホールに飲み込まれるか、

衝突を繰り返して、銀河間空間に放り出されるようです。

 

一方、ダークエネルギーが将来増加すれば、

加速的な膨張により、銀河が引き裂かれる事も考えられています(ビッグリップ)。

銀河 トッ

 

 

ボイド銀河 (空洞銀河)

超空洞(ボイド)の内部に存在する銀河です。

 

現在の所、全てうしかい座ボイドに存在しています。

 

銀河の大部分は、銀河フィラメントを形成する、超銀河団の内部に存在します。

 

銀河フィラメントが囲む内部の空洞が、超空洞です。

 

超空洞は、物質がほとんどない領域ですが、

極めて少数ながら、銀河が発見されています。

これが、ボイド銀河です。

 

現在では、数十個発見されています。

 

ボイド銀河は、超空洞の中で、全く孤立しているわけではなく、

銀河間ガスでできた、ボイドフィラメントという構造で接続し、銀河群を形成しています。

 

しかし、異なる銀河同士は、かなり離れているため、

ボイド銀河は、他の銀河の物質と混ざり合わず、

純粋な銀河間物質によって、生成・進化していったと考えられています。

 

ただし、うしかい座ボイドの銀河は、

ボイドを貫くチューブ状の構造を作っており、

うしかい座ボイドの前身となる、複数の小さなボイドの合体によって残された、

銀河フィラメントの名残である可能性があります。

この場合、現在発見されているボイド銀河は、

元々は、通常の銀河フィラメントにあった銀河ということになります。

 

通常の銀河は、

銀河フィラメントからの物質供給によって、

銀河中心部の超大質量ブラックホールが活発化し、

銀河内の星形成が促されたと考えられています。

 

ボイド銀河に接続している、ボイドフィラメントは、

銀河フィラメントと同じ質量を持つ、ダークマターによって作られていると考えられていますが、

ボイド銀河は、銀河間が離れているため、銀河同士での物質の奪い合いがなく、

より多くの物質が、銀河に流れ込むと考えられています。

 

そのため、ボイド銀河は、星形成がより活発で、明るい銀河と推定されており、

活動銀河で、X線で発見されたボイド銀河もあります。

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クエーサー

非常に離れた距離に存在し、極めて明るく輝いているために、

光学望遠鏡では、内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える天体です。

 

クエーサーという語は、準恒星状( quasi-stellar )の、短縮形です。

 

非常に遠方にある、活動銀河核を持つ銀河の一種とされます。

 

尚、クエーサーAPM 08279+5255に、地球上の海水の、100兆倍のが存在することが発見されました。

 

強い電波源である、QSS(準恒星状電波源)と、

比較的静かな、QSO(準恒星状天体)があります。

 

クエーサーの放射は、

相対論的ジェットや、ローブと呼ばれる構造を持つものもあります。

クエーサーは、電波・赤外線・可視光・紫外線・X線・γ線の、あらゆる電磁波で観測されます。

 

クエーサーのスペクトルは、大きな赤方偏移を持ち、

0.16 から 7 付近にまでにわたっています。

 

つまり、クエーサーは、宇宙誕生後、10億年も経たないうちにでき始め、

宇宙が20億〜30億歳の頃に、最も多く形成された天体です。

 

また、600Mpc から 4000Mpという遠距離に存在していることになり、

多くのクエーサーは 1000Mpc 以上の距離にあります。

 

現在最も遠いクエーサーは、

ULAS J1120+0641で、赤方偏移は z = 7.085 に達しています。

 

クエーサーは、非常に遠方にあっても、明るく見えるため、

実際には、宇宙に存在する天体の中で、最も明るいと考えられています。

 

クエーサーの明るさは、1038 W(最も明るい電波銀河の光度)から 1042 W に達し、

平均的には 1040 W の規模です。

 

これは、銀河系の明るさの1000倍、太陽10兆倍です。

 

クエーサーの中には、明るさが急激に変化しているものがあります。

これは、クエーサーの本体が非常に小さいことを示唆しています。

 

OVV光学的激変天体)と定義されたものは、ブレーザーに分類されます。

 

放射の発生機構

クエーサーは、大質量ブラックホールをエネルギー源に持っている、という説が有力です。

 

クエーサーの強力な光度は、

大質量ブラックホールを取り巻く、降着円盤のガスや塵が、

ブラックホールに落ち込む時の摩擦によって、生み出されていると考えられています。

 

この物理過程では、落ち込む質量の約50をエネルギーに変換することが可能で、

非常に変換効率が高いです(核融合では、質量の数%)。

 

1040 W という、クエーサーの平均的な光度を生み出すには、

大質量ブラックホールは、1年あたり恒星を10飲み込む計算になります。

 

また、クエーサーは、周辺の環境によって、スイッチが入ったり、切れたりすると考えられています。

 

上記の割合で、100億年も、「餌」となる物質が、供給され続けることはないと考えられています。

つまり、降着円盤によるエネルギー生成は、

大質量ブラックホールの周囲の物質が、全て消費し尽くされると、停止します。

このメカニズムは、なぜクエーサーが初期の宇宙にのみ見られるのか、という問題にも、うまく説明を与えます。

 

このことから、我々の銀河系を含む、ほとんどの銀河は、過去にクエーサーの段階を経験し、

現在は、中心のブラックホールに質量が供給されていないために、

エネルギー放射活動をしない、平穏な状態にある、とも考えられます。

 

活動銀河や大質量ブラックホールによる、エネルギー放射活動は、現在でも見られますが、

クエーサーが活動していた時期に比べて、非常に少なくなっている、と解釈されています。

 

クエーサーと初期宇宙

クエーサーは、ビッグバン後に、宇宙の再電離が始まった時期についても、手がかりを与えています。

 

宇宙の再電離とは、冷えて安定な中性元素となった水素が、

星からの高エネルギーを受けて、再び電離水素となったことを指し、

これが、宇宙に最初にが現れた時期と考えられています。

 

中性水素に、ライマンα線より短い波長の光があたると、

その光をすべて吸収して、連続した吸収領域をもったスペクトルとして観測されます。

 

電離水素に、高エネルギーの光があたっても、吸収されません。

 

遠い天体からのスペクトルの観測では、

天体から地球までの宇宙空間にわずかに残る中性水素によって吸収され、所々に鋭い吸収線が密集する、

ライマンαの森と呼ばれるスペクトルが観測されます。

このような機構は、ガン・ピーターソン効果と呼ばれています。

 

z = 6 付近のクエーサーから、この効果による吸収域が発見され、

このクエーサーは、再電離前のクエーサーと考えられました。

これは、時期にして128億年前に相当します。

 

理論上は、宇宙誕生から1億年後、

観測結果からは、遅くても10億年後には、第1世代天体が誕生して放射を始め、

宇宙の再が起きていたことを示唆します。

 

更に、クエーサーは、

ヘリウムより重い元素を含みます。

このことは、ビッグバンの後、

最初のクエーサーが生まれるまでの間に、

銀河が、恒星(種族IIIの星)を、大規模に生成する時期があったことを示唆します。

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