素粒子について

 

 

素粒子

ボソン           : ゲージ粒子(光子ウィークボソンWボソン・Zボソン)・グルーオン重力子)、スカラー粒子(ヒッグス粒子

フェルミオン      : クォーク(上系列( アップ・チャーム・トップ)・下系列(ダウン・ストレンジ・ボトム))、

                         レプトンニュートリノ( νe ・νμ・ντ )・荷電レプトン( e電子)・μ・τ ))

 

基本的相互作用(力): 大統一理論弦理論 電磁相互作用弱い相互作用強い相互作用重力相互作用

 

参考              : ハドロンバリオン<陽子中性子>メソンカラーチャージ(色荷)クォークの閉じ込め

電磁波ガンマ線放射性崩壊(アルファ崩壊・ベータ崩壊・ガンマ崩壊)スピン角運動量特殊ユニタリ群

ボース=アインシュタイン凝縮ディラック方程式グロス=ピタエフスキー方程式

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素粒子

物質を構成する最小単位です。

 

ビッグバン直後の宇宙は、エネルギーしか存在しない世界だったとされます。 元素合成

 

100万分の1秒後に、温度が10兆度まで下がり、素粒子が誕生しました。

 

素粒子より小さな存在はなく、

内部構造を持たず、空間的な大きさを持たない、または、

空間・長さ自体が、最小単位の大きさ(プランク長1.6×1035m重力が量子力学の影響を示す距離)等)であるものとされます。

 

しかし、超弦理論においては、

全ての素粒子は、有限な大きさを持つひもの振動状態であるとされます。

 

素粒子は、それが従う統計によって、二種類に分類されます。

ボース統計に従う粒子を、ボース粒子ボソン)、

フェルミ統計に従う粒子を、フェルミ粒子フェルミオン)といいます。

 

尚、反粒子は、

時間を逆行する粒子、とも定義できるそうです。

 

ボース粒子には、

ゲージ粒子と、ヒッグス粒子があります。

ゲージ粒子には、

光子ウィークボソンWボソン・Zボソン)・グルーオン重力子(未発見)があります。

 

フェルミ粒子は、

クォークとレプトンに分類されます。

クォークには、

上系列( uc t 下系列( dsb があります。

レプトンには、

ニュートリノ( νe 、νμ、ντ )、

荷電レプトン( e 、μ 、τ )があります。

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ボソン メソン ボース=アインシュタイン凝縮 GP方程式

ボース統計に従う粒子です。

 

スピン角運動量の大きさが、

エイチバープランク定数 h を 円周率πの2倍で割った量、h/2πディラック定数)の整数倍の量子力学的粒子です。

 

ゲージ粒子

素粒子間の相互作用(力)を伝達する粒子です。

 

それぞれの相互作用に応じて、以下の種類があります。

 

光子(フォトン)

電磁相互作用を媒介します。

スピン1、質量0、電荷0です。 ヒッグス粒子

ガンマ線という電磁波の正体であるため、γで表されることが多いです。

 

ウィークボソン

弱い相互作用を媒介します。

スピン1で、質量を持ちます。

Wボソン: 質量80.385±0.015 GeV/c2。電荷±1をもちます。W+Wで表され、互いに反粒子の関係にあります。

Zボソン: 質量91.1876±0.0021 GeV/c2。電荷をもちません。Z0ともいいます。

 

グルーオン

強い相互作用を媒介します。

スピン1、質量は0、電荷は中性です。

色荷(カラー)という量子数を持ち、カラーSU( 3 )の下で8種類存在します。

他のゲージ粒子と違い、通常の温度・密度では、クォーク同様単独で取り出すことは不可能とされます。 クォークの閉じ込め

また、グルーオン自身が色荷を持つため、グルーオン同士にも相互作用が働きます。ハドロン

 

重力子(グラビトン)

重力を媒介します(未発見)。

スピン2、です。

標準模型には含まれません。

 

スカラー粒子

スピンがゼロのボース粒子です。

 

ヒッグス粒子

ヒッグス機構における、ヒッグス場に対応するスカラー粒子で、

素粒子に質量を与える粒子です。

質量125.3 GeV/c2CMS)、126.0 GeV/c2ATLAS)、電荷0です。

質量の大きさは、

真空期待値が生じたヒッグス場と物質との相互作用の強さで、

ヒッグス場に物質があるため、質量を獲得できるとみなします。

 

光子は、ヒッグス場からの抵抗を受けないため、

  相転移後の宇宙でも、自由に動きまわることができ、質量がゼロと考えます。

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フェルミオン ディラック方程式

フェルミ統計に従う粒子です。

 

スピン角運動量の大きさが、エイチバー半整数倍の量子力学的粒子です。

 

物質を構成する粒子です。 陽子

 

クォークレプトンがあります。

 

更に、それぞれが二系列に分けられ、

三世代ずつの6種類が発見されています。

 

傾向として、世代数が大きいほど質量が大きいとされます。

 

クォーク  クォークの閉じ込め ベータ崩壊

強い相互作用をするフェルミオンです。

スピン1/2、で、色荷を持ちます。

ハドロンバリオンメソン)の構成要素とされます。

 

上系列クォーク: 電荷+2/3を持ちます。

アップクォーク ( u )

チャームクォーク ( c )

トップクォーク ( t ) 、があり、それぞれに反粒子が存在します。

 

下系列クォーク: 電荷−1/3を持ちます。

ダウンクォーク ( d )

ストレンジクォーク ( s )

ボトムクォーク ( b ) 、があり、それぞれに反粒子が存在します。

 

レプトン

強い相互作用をしないフェルミオンです。

スピン1/2、です。

 

ニュートリノ

電荷をもちません

ニュートリノは、強い相互作用と電磁相互作用がなく、

弱い相互作用と重力相互作用でしか反応しません。

 

更に、質量が非常に小さい(電子の質量の100万分の1以下)ため、

重力相互作用もほとんど反応しません。

(尚、標準理論では、ニュートリノの質量が 0 とされていました。)

このため、他の素粒子とほとんど反応せず、透過性が非常に高いです。

 

ニュートリノ振動は、

ニュートリノが電子・ミュー・タウの型の間で変化するもので、

ニュートリノが質量を持つ証拠となります。

ちなみに、他のレプトン(電子等)の振動も、予測されています(荷電レプトン混合現象)。

尚、ハドロンの振動は、既知の現象です(クォーク混合)。

 

電子ニュートリノ (νe)

ミューニュートリノ (νμ)

タウニュートリノ (ντ) 、があり、それぞれに反粒子が存在します。

電荷を持たない粒子であるため、それ自身が反粒子である可能性もあります。

 

荷電レプトン

電荷−1を持ちます。

 

電子( e )

ミュー粒子 ( μ )

タウ粒子 ( τ ) 、があり、それぞれに反粒子が存在します。

 

電子は、

原子の構成要素として有名です。

 

電荷は−1で、大きさは電気素量に等しいです。

 

ほとんど全ての化学反応を司り、物質の化学的性質と密接に関わっています。

 

電子は、ベータ崩壊で、原子核から放出されますが、

原子核中に存在していたわけではなく、弱い相互作用の結果、発生したものです。

 

電子の反粒子は、陽電子です。ガンマ線

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基本相互作用(力)

素粒子の間に相互に働く、基本的な相互作用です。

 

電磁相互作用

弱い相互作用

強い相互作用

重力相互作用

があります。

 

現代素粒子論は、素粒子の半径を無限小として扱う理論です。

この理論では、二つ粒子が衝突する可能性は、粒子同士が引きあうことなしにはゼロです。

 

粒子が動力学的な衝突を起こすためには、粒子同士の間に相互作用力が働いている必要があり、

この相互作用力が、粒子の運動を支配しています。

 

粒子の運動は、を記述する数学で正確に扱うことができます。

 

「場」と「粒子」は、同一のものと見なされており、

が存在するということは、

その場が記述する粒子が存在しているということになります。

これが、ゲージ粒子です。

 

場の理論においては、

これらの相互作用は、ゲージ粒子の交換により発生すると考えられています。

 

また、素粒子の対称性から、これらの相互作用は、

高エネルギー状態10兆度?)においては、挙動に違いはなくなると考えられています。相転移

 

重力を除く、三つの相互作用を統一して説明づける、大統一理論が探求されています。

 

更に、実証可能性すら未知数ですが、

四つ全ての相互作用を統一する試みとして、弦理論があります。

 

 

電磁相互作用 特殊ユニタリ群

電場または磁場から、電荷が力を受ける相互作用です。

 

電磁気学によって記述されます。

 

電磁相互作用で発生する力は、電磁気力といいます。

 

尚、電磁気力は、電気力磁気力を理論的に同じものとして統一したものです。

 

電荷には、プラスマイナスがあり、

同じもの同士で斥力

異なるもの同士で引力が働きます。

 

ゲージ場理論より、相互作用を媒介する粒子が存在し、

電磁相互作用は、光子が媒介します。

 

また、電磁相互作用と弱い相互作用は、

ワインバーグとサラムによって統一されました(ワインバーグ・サラム理論)。

 

電磁相互作用による力は、マクロな系では、電気力と磁気力として現れます。 マクスウェルの方程式

 

電磁気力の強度は、距離の逆二乗に比例し、

クーロンの法則(電気力)として定式化されています。

 ボソン

 

 

弱い相互作用 (弱い力、弱い核力

ベータ崩壊のような、粒子の種類を変える相互作用です。電子

 

電磁相互作用と比較して、力が非常に弱いです。

 

電弱統一理論によって電磁相互作用と統一されます。

これは、宇宙の初期では、電磁相互作用と、弱い相互作用が区別できなかったことを示しています。

 

重力相互作用や電磁相互作用が、無限遠まで作用する力であるのに対し、

弱い相互作用は、素粒子レベルの非常に近い範囲にしか作用しません。

 

引力・斥力がある、他の基本相互作用とは異なり、

質量0の素粒子にも作用することから、引力・斥力に分類する力ではありません。

ただし、標準模型では、質量0とされたニュートリノは質量をもちます。

 

弱い相互作用は、パリティ対称性や電荷対称性を破る唯一の力です。

 

クォークの世代が3つ以上の場合は、CP対称性の破れも起こります。

 

また、媒介粒子ウィークボソンWボソン・Zボソン)は、

自発的対称性の破れによって、非常に大きな質量を持ちます。

 

ニュートリノは、弱い相互作用しか感応しないので、

他の物質に与える影響が非常に少ないため、検出することが困難です。

 

保存される量は、弱アイソスピンハイパーチャージです。

 

ゲージ群は、SU( 2 )×U( 1 )です。

自発的対称性の破れによって、そのうちの一部が電磁力、電荷、U( 1 )として分離します。

 ボソン

 

 

強い相互作用強い力、強い核力) クォークの閉じ込め 殊ユニタリ群

ハドロン間の相互作用や、原子核内の各核子同士を結合している力(核力)です。

 

電磁相互作用に比べて、102倍の強さがあります。

 

強い相互作用の、重力相互作用との相対的強さは、1040と桁違いに大きいですが、

影響範囲は、10-15mと小さいです。

 

力を伝達するゲージ粒子は、グルーオンです。

 

強い相互作用が伝わる平均時間は、10-24秒です。

 ボソン

 

 

重力相互作用

重力子が媒介する相互作用とされますが、

現在の所未発見です。

 

素粒子間の重力相互作用は、無視できるほど小さいですが、

素粒子と地球との間の重力を考慮する必要があることもあります。

 ボソン トップ

 

 

参考

ハドロン

バリオン

メソン

 

陽子

中性子

 

カラーチャージ(色荷)

クォークの閉じ込め

 

電磁波

ガンマ線

 

放射性崩壊

 

スピン角運動量

 

特殊ユニタリ群

 

ボース=アインシュタイン凝縮

 

ディラック方程式

グロス=ピタエフスキー方程式

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ハドロン ニュートリノ

強い相互作用で結び付いた複合粒子で、

クォーク(と反クォーク)とグルーオンによって構成されます。

 

つまり素粒子ではありません

 

バリオン

メソン中間子)、

があります。

 

バリオンは、

3つのクォークから構成され、スピンが半整数のフェルミ粒子(フェルミオン)です。

 

メソン(中間子)は、

クォークと反クォークのペアによって構成され、スピンが整数のボース粒子(ボソン)です。

 

更に、バリオンの反粒子として、3つの反クォークからなる反バリオンがあり、これもハドロンに含まれます。

 

一方、中間子は、反粒子もまた中間子であり、反中間子というものはありません

 

バリオンは、

原子核の構成要素である、陽子中性子が有名です。

陽子を除いて、ハドロンは不安定で、粒子崩壊を起こします。

中性子は、原子核の中では安定です。

 

中間子は、

宇宙線の中に観測される、パイ中間子K中間子が有名です。

 

クォーク模型に従って、ハドロンの性質は、主に価クォークによって決定されます。

 

陽子は、二つのアップクォーク (電荷+23) と、一つのダウンクォーク (電荷−13) によって構成されます。

これらを足し合わせると、陽子の電荷+1が算出されます。

 

クォークは、色荷(カラー)も持ちますが、

クォークの閉じ込めという現象のため、ハドロン全体としては色荷が0となる必要があります。

つまり、ハドロンは、無色または白となります。

 

全ての亜原子粒子と同様に、ハドロンには、量子数が割り当てられています。

その一つは、JPC( m )です。

Jは、スピン量子数、

Pは、固有パリティ(Pパリティ)、

Cは、荷電共役(Cパリティ)、

mは、粒子の質量です。

 

ハドロンの質量は、その価クォークにほとんど関係しておらず、

質量とエネルギーの等価性により、

質量のほとんどは、強い相互作用に関連する、エネルギーから生じます。

 

また、ハドロンは、

アイソスピン(Gパリティ)や、ストレンジネスのような、フレーバー量子数を持ちます。

 

全てのクォークは、バリオン数 (B) という量子数を持ちます。

 

クォークは、+13

反クォークは、13のバリオン数を持ちます。

 

クォーク3つからなるバリオンは、B = 1で、

クォークと反クォークからなる中間子は、B = 0となります。

 

ハドロンは、共鳴として知られる励起状態を持ちます。

各基底状態ハドロンは、いくつかの励起状態を持ちます。

共鳴は、強い力を介して一瞬(約1024 秒以内)にして崩壊します。

 

自由粒子のハドロンは、陽子(反陽子)を除いて不安定です。

参考 フェルミオン

 

 

バリオン重粒子) クォークの閉じ込め

3つのクォークから構成される亜原子粒子で、

メソン中間子)ともに、ハドロンを構成します。

 

バリオンは、強い相互作用をするフェルミ粒子です。

 

バリオンは、構成するクォークの組み合わせの他、

アイソスピン I

アイソスピンのz成分 Iz

全角運動量のパリティ成分 JP

等の量子数で区別されます。

 

尚、クォークの色は、グルーオンの交換により頻繁に交代するため、

個々のクォークの色では、バリオンを区別できません。

 

アップクォーク、ダウンクォーク、ストレンジクォークからなるバリオンは18種類あり、

JP = 1/2 のバリオン8重項と JP = 3/2 のバリオン10重項に分類されます。

 

それらは、最も軽い核子 N 陽子 p 中性子 n)を始め、

デルタ粒子 Δ、ラムダ粒子 Λ、シグマ粒子 Σ、グザイ粒子(カスケード粒子) Ξ、オメガ粒子 Ω といいます。

参考 フェルミオン

 

 

メソン中間子クォークの閉じ込め

一つのクォークと、一つの反クォーク、から構成される亜原子粒子で、

ボース粒子ボソン)です。

 

バリオンとともに、ハドロンを構成します。

 

中間子は、バリオン数が0です。

 

不安定で、半減期はナノ秒単位です(陽子のような長い寿命を持ちません)

 

最も軽い中間子(パイ中間子)は、約140MeV(約2.5×1028 kg、電子の約270倍)の質量を持っています。

 

最もエネルギーの低いメソンは、擬スカラー粒子(スピン 0)で、

クォークと反クォークは、反対向きのスピンを持ちます。

 

ベクター粒子(スピン 1)のメソンの場合は、

クォークと反クォークは、同じ方向のスピンを持っています。

 

ほとんどのメソンの質量は、

構成要素のクォークの質量からではなく、束縛エネルギーから生じます。

 

パイ中間子

強い相互作用を媒介する、ボソンです。

湯川秀樹氏が、その存在を中間子論で予言しました。

 

π中間子は、スピンが0で、第一世代のクォークからなります。

π0、π+、π3種類あります。

 

π+は、アップクォークと反ダウンクォークからなり、

πは、ダウンクォークと反アップクォークからなります。

この二つは、互いに粒子・反粒子の関係となっています。

 

π0は、自分自身が反粒子です。

 

荷電π中間子は、質量が約139 MeV/c2、寿命が2.6 × 108 秒です。

主な崩壊モードでは、反ミュー粒子とミューニュートリノに崩壊します。

 

π0は、質量が約135 MeV/c2、寿命が8.4 × 1017秒です。

主な崩壊モードでは、光子2つに崩壊します。

参考 フェルミオン

 

 

カラーチャージ(色荷) ハドロン

強い相互作用を記述する、量子色力学に関連するチャージです。

 

強い相互作用を受けるクォークと、

強い相互作用を媒介するグルーオンがカラーを持ちます。

 

クォークは ゲージ群 SU( 3 ) 3次元の基本表現であり、

象徴的に、光の三原色の赤、青、緑と対応付けられています。

 

尚、色荷とは、光の三原色を混ぜると白色に見える、という現象との類似性から名付けられたものであり、

実際のクォークに、光学的な意味での色はありません

 

クォークの反粒子である反クォークは、

クォークと逆の性質をもち、それぞれの補色(反赤、反青、反緑)と対応付けられます。

 

色荷は、赤、青、緑の3色の混色、または補色との混色で、白色となった時に安定になります。

 

クォークから構成されるハドロンは、色荷が必ず無色になっています(カラー(クォーク)の閉じ込め)。

 

クォーク3つで構成されるバリオンは、赤、青、緑の3色の混色に、

クォークと反クォークで構成されるメソンは、色と補色の混色に対応しています。

参考

 

 

陽子(プロトン、p) β崩壊

原子核を構成する粒子のうち、正電荷をもつ粒子です。

原子核は、陽子と中性子(核子)によって構成されます。

 

陽子は、2個のアップクォークと、1個のダウンクォークで構成されるバリオンです。

 バリオンの中では、最も軽くて安定です。

 

陽子は電荷+1、スピン1/2フェルミ粒子です。

 

水素(軽水素、1H)の原子核は、1個の陽子のみから構成されます。

 

電子が離れてイオン化した水素イオン1H+ )は、

陽子そのものであるため、水素イオンをプロトンともいいます。

 

 

標準模型においては、陽子の寿命は無限とされていますが、

大統一理論は、非常に長い時間をかけて崩壊することを予言しています。

参考

 

 

中性子 n ) ボース=アインシュタイン凝縮

原子核を構成する粒子(核子)のうち、無電荷の粒子です。

 

2個のダウンクォークと、1個のアップクォークで構成されるバリオンです。

 

平均寿命は15で、β崩壊を起こして、陽子と電子、反電子ニュートリノになります。

 

尚、超新星爆発の後、残った芯の質量が、

太陽の2-3倍程度なら、中性子星となります。

それ以上なら、ブラックホールになります。

 

中性子星より密度の高い、クォーク星も提案されており、みなみのかんむり座の星が候補です。

参考

 

クォークの閉じ込め ハドロン

クォークを単独では取り出すことができない、という物理現象です。

 

クォークは、色荷を持っており、強い力の作用によって、

全体として、無色となるような色荷の組み合わせ、

すなわち、赤・青・緑、反赤・反青・反緑のような、3個のクォークの組み合わせ(バリオン)、

または、赤・反赤、青・反青、緑・反緑のような、2個のクォークの組み合わせ(メソン)、

でしか存在することができません

 

クォークの閉じ込めが起こるのは、

強い力を媒介するゲージ粒子であるグルーオンも、色荷を持つことが原因です。

 

強い力の場合、二つのクォークが離れるに従って、

グルーオン場は、細い色価のチューブストリング)を形成し、

そのため、クォークの受ける力は距離にかかわらず、一定の値にとどまります。

 

エネルギーは、力と距離の積であるので、

二つのクォークが引き離されると、それらの持つエネルギーは距離に比例して増大します。

 

更に、二つのクォークが引き離されていくと、

単純にそれ以上引き離すよりも、

その間の真空から、新たにクォークと反クォークの対を生成し、

2つの無色の粒子になる方が、必要なエネルギーが低くなってしまいます。

参考

 

 

電磁波 ガンマ崩壊 ガンマ線

空間の電場と磁場の変化によって形成される波です。

 

電磁波は、波と粒子の性質を持つとされ、

波長の違いにより、様々な名前や性質を持ちます。

 

電磁波は、波であるので、

散乱や屈折、反射、また回折や干渉等の現象を起こします。

 

微視的に、粒子としては、光子です。

参考

 

 

ガンマ線γ線

波長が、10 pm よりも短い、電磁波です。

 

透過性が高く、電荷を持たない放射線です。

 

ガンマ線は、の中で、最もエネルギーが大きいです。素粒子

 

尚、光のエネルギー E )は、hν = h × λ/ c、で決まります。

 

h:プランク定数、ν: 振動数、λ: 波長、c :光速

 

Xとは、波長領域(エネルギー領域)の一部が重なっており、

ガンマ線とX線との区別は、波長ではなく、発生機構によります。

 

原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とするものを、ガンマ線と呼び、

軌道電子の遷移を起源とするものを、Xといいます。

 

1.022MeV以上のエネルギーを持つガンマ線が消滅する時、

電子と陽電子が対生成されることがあります。

 

逆に、電子と陽電子が対消滅する際、

ガンマ線が発生し、反対方向に0.511MeVのガンマ線が2本放出されます。

 

放射性核種が崩壊して、質量や陽子・中性子の比率が変わっても、

原子核には、過剰なエネルギーが残存している場合があります。

この時、残存しているエネルギーを、ガンマ線として放出することで、

原子核は安定に向かいます(ガンマ崩壊)。

 

放出するガンマ線のエネルギー領域は、核種によって様々です。

一般的には、複数領域のガンマ線を出します。

 

同じ元素でも、同位体によって異なります。

 

アルファ粒子(ヘリウム4の原子核)ベータ粒子(電子または陽電子)と比べると、

透過能力は高いですが、

電離作用は弱く、

放射線荷重係数が小さいです。

参考

 

 

放射性崩壊

不安定な原子核が、

放射線(α線、β線、γ線)を出すことで、他の安定な原子核に変化する現象です。

 

放射性物質が放射線を出す原因です。

 

アルファ崩壊

放射線として、アルファ線(α線)を放出する、放射性崩壊です。

 

ある原子核がアルファ粒子(陽子2つ、中性子2つの、ヘリウム4の原子核)を放出し、

原子番号と中性子数が2減る(質量数が4減る)ものです。

 

ベータ崩壊

放射線として、ベータ線(β線)を放出する、放射性崩壊です。

 

ベータ粒子(電子または陽電子)を放出し、中性子陽子に変化します。

ベータ粒子と同時に、ニュートリノも放出します。

 

クォークのレベルでは、

ダウンクォークが、電子ニュートリノと(大きさがある場合)衝突し、弱い相互作用によって、

ダウンクォークが、アップクォークに、

電子ニュートリノが、電子に転換した、と考えることができます。

更に、弱い相互作用で相互転換する、2つの素粒子は、

同じ素粒子の、電荷や質量が異なる状態とみなし、

弱い相互作用によって、その状態間の転換が起こったもの、と考えることができます。

この状態を表すパラメータは、弱アイソスピンです。

 

ベータ崩壊には、

中性子が、電子(ベータ粒子)と反電子ニュートリノを放出して陽子になる、β崩壊(陰電子崩壊)、

陽子が、陽電子(ベータ粒子)と電子ニュートリノを放出して中性子になる、β+崩壊(陽電子崩壊)、

陽子が、軌道上の電子を捕獲して中性子に換わり、電子ニュートリノと特性X線を放出する(ベータ粒子は放出しません)、電子捕獲

原子核内の2つの中性子が、ほぼ同時に陽子になる、二重ベータ崩壊

原子核内の2つの陽子が、2つの電子を捕獲して2つの中性子を生じ、ニュートリノが2つ放出される、二重電子捕獲があります。

 

尚、いずれも、原子番号は変化しますが、質量数は不変です。

 

ガンマ崩壊

励起された原子核が、電磁波の一種であるガンマ線を放出して崩壊する放射性崩壊です。

 

ガンマ崩壊は、アルファ崩壊やベータ崩壊と違い、核種が変わらない、

つまり、原子番号や質量数が変わらない崩壊です。

 

エネルギーをもらう等して励起された原子核や、

アルファ崩壊やベータ崩壊等で、崩壊した娘核種がすでに励起した状態であった場合は、

高いエネルギー準位から低いエネルギー準位に遷移する際に、

その準位間のエネルギー差に等しいエネルギーを持つガンマ線を放出して、安定な原子核へと移行します。

 

励起状態の核が、γ線を放出するまでの時間は極めて短く、10-10秒以下です。

 

ガンマ崩壊は、その崩壊において、角運動量とパリティの違いから

電気的遷移E遷移)

磁気的遷移M遷移)

に大別されます。

 

超大質量の恒星が一生を終える時に、極超新星となって爆発し、

これによってブラックホールが形成されるとともに、

ガンマ線バーストが起こるとされます。

元素合成 ・・・物質の起源について

参考

 

 

スピン角運動量(スピン:s

素粒子や複合粒子が持つ、量子力学的な自由度です。

 

粒子が回転運動をする時、

全角運動量は、軌道角運動量と、スピン角運動量が寄与します。

軌道角運動量は、粒子の運動量と位置によって与えられますが、

スピン角運動量は、量子力学的な粒子が本来持っている角運動量です。

 

スピンは、粒子の「自転」のようなものですが、

量子力学的粒子は、大きさがない質点として扱うため、

自転のような運動を考えることはできません。

そのため、量子力学では、粒子が持つ、

内部自由度(固有角運動量、内部角運動量)」として、スピンを基本変数に付け加えます。

 

スピン角運動量は、3 つのエルミート演算子 sx, sy, sz で表される物理量です。

各成分 ( sx, sy, sz ) は、パウリ行列 (σ = (σx, σy, σz)) で表されます。

 

スピン角運動量の大きさの二乗

s2 = sx2 + sy2 + sz2

と定義すると、これは、各成分 sx, sy, sz のいずれとも交換します。

 

一方、各成分同士は交換しないので、s2 と各成分 sx, sy, sz のうち、いずれか一つと同時に対角化できます。

同時対角化する成分は、 sz が多いです。

s2 の固有値は、 s (s + 1) hbar 2

sz の固有値は、 ms hbar (ms = - s, - (s - 1), ..., s - 1, s) となります。

ms を、スピン磁気量子数といいます。

 

s は、0 以上の整数または半整数の値をとります。

 

s = 1/2 の場合は、

s2 の固有値は、 3/4 hbar 2 であり、

sz の固有値は、 1/2 hbar )、-1/2 hbar )の、 2 つ存在することとなります。

従って、対応する固有状態も 2 つであり、

それぞれ、上向きスピン、下向きスピンと言うことが多いです。

 

s が半整数の値をもつような粒子は、フェルミ粒子であり、

s が整数値をとる粒子は、ボース粒子です。

参考

 

 

特殊ユニタリ群 グルーオン

n次の特殊ユニタリ群SU ( n ) とは、

行列式が1の、nユニタリ行列がなす群です。

 

演算は、行列の積で与えられます。

 

SU( n ) は、ユニタリ群 U( n ) の部分群です。

 

素粒子物理学において、

電磁相互作用のワインバーグ=サラム理論や、

強い相互作用の量子色力学、

それらを統合した標準模型や、大統一理論等でみられます。

参考

 

 

ボース=アインシュタイン凝縮ボース凝縮) GP方程式

多数のボース粒子1つの量子状態を占めることで現れる物質の状態です。

 

この計算を、ボース統計といます。

 

ボース=アインシュタイン凝縮体は、

すべてのボソンが同じ量子状態(波動関数)をとる、ボソン気体です。

 

ボース=アインシュタイン凝縮は、

外部ポテンシャルによって閉じ込められた、弱く結合しているボース粒子の希薄気体が、

絶対零度 ( 0 K = 273.15 ) 近くの低温まで冷やされた時に生じます。

 

尚、極超低温は、

地上では、レーザー冷却により、200ナノケルビン 1K2,000億分の1 )を達成しています。

宇宙(国際宇宙ステーション)での実験で、1ピコケルビン( 1K1兆分の1 にまで達する予定です。

 

このような条件下では、多数のボース粒子からなる集団は、外部ポテンシャルの最低の量子状態を取ります。

 

この時、個々の粒子の微視的な量子状態の効果が、

巨視的なスケールの粒子集団の凝縮現象として発現します。

 

これは、固体、液体、気体、プラズマ等と同様に、物質の相の一つと捉えられます。

 

類似した現象として、超伝導超流動があります。

 

超伝導(超電導)

電子の対であるクーパー対を、ボース粒子とみなして、

ボース=アインシュタイン凝縮(電子対凝縮)が起きているとすることができます。

 

偶数個フェルミ粒子から構成される原子は、ボース粒子とみなすことができます。

この原子からなる集団(中性原子気体)を、

マイクロケルビン以下の極超低温に冷却すると、ボース=アインシュタイン凝縮します。

ボース原子ボース粒子である原子87RbNa )は、

最低エネルギー状態を占有するようになります(コヒーレントな状態)。

 

尚、液体窒素の沸点である−196 (77 K) 以上で超伝導現象が生じるものは、

高温超伝導物質といいます。

 

超流動

ボース粒子であるヘリウム4による超流動現象において、

超流体部分は、ボース=アインシュタイン凝縮していると考えられています。

 

その他

フェルミ粒子であるヘリウム3の超流動は、

超伝導の場合のように、ヘリウム3原子の対が凝縮対を作って、凝縮状態となっています。

 

フェルミ粒子である中性子対をなすため、

同様なことが中性子星の内部でも起こっている可能性が指摘されています。

 

光子フォノンでも、凝縮現象を考えることができます。

参考

 

 

ディラック方程式

フェルミ粒子を記述するディラック場が従う基礎方程式です。

 

ディラック氏により、

(特殊)相対論的量子力学として導入され、

場の量子論に受け継がれています。

 

非相対論的なシュレーディンガー方程式を、

相対論へ対応するための拡張として、

最初、クライン-ゴルドン方程式が考案されました。

これは、負のエネルギー解と負の確率密度の問題が生じました。

また、スピンが出てこない問題もありました。

 

ディラック方程式からは、

負の確率密度は生じず、スピンの概念が自然に現れます。

しかし、自然界には存在しないような、負のエネルギーの状態が現れるという問題がありました。

 

そこで、「真空とは、負エネルギーの電子が完全に満たされた状態である」

とするディラックの海の概念空孔理論)が考案されました。

ディラックの海の空孔は、正のエネルギーを持ち、反粒子に対応します。

光による電子と陽電子の生成は、

真空中の負エネルギー電子が、光を吸収して正エネルギー状態へ遷移し、

あとに空孔を残す現象として説明されます。

 

後に、陽電子が発見されました。

 

その後、ファインマン氏等により、

拡張、解釈の見直しが図られました(相対論的な場の量子論)。

その結果、電子と陽電子を対称に扱うことができるようになりました。

参考

 

 

グロス=ピタエフスキー方程式GP方程式

ボソン相互作用が、

擬ポテンシャルとして表される理想的なボソン多体系の、

ハートリー=フォック近似?の下での基底状態を記述するモデルです。

 

この方程式は、ボース=アインシュタイン凝縮体の、

一粒子波動関数に対するモデル方程式となっています。

  

非線形シュレーディンガー方程式として言及されることも多いです。

 

自由粒子の運動は、一粒子のシュレーディンガー方程式によって記述できます。

 

一方、実在気体での、粒子間の相互作用は、

多体のシュレーディンガー方程式を扱う必要があります。

気体粒子間の平均距離が、散乱長より大きい場合(希薄極限)、

粒子間の相互作用ポテンシャルを近似することができ、擬ポテンシャルで置き換えられます。

 

GP方程式の非線形性は、粒子間相互作用に起源を持ちます。

 

GP方程式は、シュレーディンガー方程式相互作用項を加えた形をしています。

 

時間に依存しないGP方程式より、

調和トラップ等、様々なトラップポテンシャル中での、

ボース=アインシュタイン凝縮体の振る舞いを見ることができます。

 

時間に依存するGP方程式は、

ボース=アインシュタイン凝縮体の動力学を記述します。

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