星の起源・・・ファーストスター

 

 

星の起源・・・はじりの星

 

 

HD140283 メトシェラ星

HE 1327-2326

HE 0107-5240

UDFj-39546284

MACS0647-JD

 

ULAS J1120+0641(クエーサー)

 

星の種族

ハロー

銀河の回転曲線問題

宇宙マイクロ波背景放射

超大質量ブラックホール

ハッブルの法則

プラズマ

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HD 140283 メトシェラ星

2013年までで、宇宙で最も古い天体です。

 

年齢は、136.6億年から152.6億年(144.6億年±8億年)で、最も古い恒星と推定されています。

年齢の下限値に近い値をとれば、

現在推定されている宇宙の年齢である1371300万年から1383100万年の範囲に収まります。

 

UDFj-39546284や、MACS0647-JDと比べても古いです。

 

地球から見て、てんびん座の方向に190光年離れた位置にある恒星です。

 

スペクトル分類がsdF3の恒星です。

直径や質量、光度は不明です。

 

表面温度は5777K (5504) と、太陽とほぼ同じ温度と推定されています。

 

視等級は約7.21等級であり、絶対等級は約3.38等級と推定されています。

 

青方偏移をしており、169.0km/sで、地球に近づく方向へと動いています。

 

固有運動は非常に大きく、

銀河系内を361.3km/sで移動していると考えられています。

そのため、元々銀河系に属していた天体ではないと考えられています。

かつては、銀河ハローの中にある矮小銀河に属する恒星でしたが、

120億年前に銀河系に衝突し、吸収されたと考えられています。

 

金属量の値が−2.40と低い値を持つ低金属星です。

 

金属を含んでいるので、種族IIIの恒星ではない可能性があります。

 

これは、この星が形成された時代には、既に別の恒星が超新星爆発を起こし、

それによって生じた重元素で「汚染」されている事になります。

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HE 1327-2326 2MASS J13300595-2341497

最も金属量の少ない恒星です。

 

うみへび座の方向にあります。

 

距離は、4000光年以内と考えられています。

 

太陽より軽い恒星であり、太陽の80%以下です。

 

年齢は130億年と推定されており、1個の恒星として観測された中では最も古い恒星の1つです。

 

視等級は13.5等級と暗く、絶対等級でも3.1等級以下です。

 

 [Fe/H]の値は-5.4で、金属が太陽の25万分の1しか含まれていません。 種族III

 

HE 0107-52401.5分の1です。

 

HE 1327-2326は、HE 0107-5240と共に、

炭素と窒素の量が多いという、他の低金属量の恒星とは違う特徴があります。

CH分子の吸収線から推定される炭素量は、太陽の10分の1ですが、

この量は、金属量から推定される炭素量と比べると多量であり、

通常の低金属星の生成方法ではあり得ない元素比率です。

 

また、HE 0107-5240と比較すると、

鉄と炭素以外の元素組成比に無視できない違いがあり、

特にMg/Feと、Sr/Feが高いです。

 

その他、ニッケルの弱い吸収線が認められています。

 

検出可能な量のリチウムは発見されていません。

これは、表面でリチウムを消費するような元素の枯渇が見られるためと考えられています。

 

[O/Fe]OHの値から推定される[O/Fe]の値は、2.52.8ですが、

これは準巨星の値である、[O/Fe] < 3.0と矛盾しない値です。

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HE 0107-5240 HE 1327-2326 

金属が、太陽20万分の1しかない恒星です。

 

金属量[Fe/H]は、-5.2 +/- 0.2です。 種族III

 

太陽系から3.6万光年離れている、太陽の80%程度の質量を持つ恒星です。

 

最も古い恒星の一つで、ビッグバンの直後の、130億年前にできたと考えられています。

 

この星は、初期の宇宙にできた星としては、小さいサイズです。

これは、大きい星ほど寿命が短いため、小さいため生き残ったとも言えます。

 

また、かつて連星の片割れであったため、小さいとも考えられています。

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UDFj-39546284

最も遠い可能性がある天体(銀河?)です。

地球から2番目に遠い場所にあります。

 

ろ座の方向にあります。

 

赤方偏移zの値が、10.3 ± 0.8 68%の確かさ)です。

 

地球からの距離は、3167400万光年で、

時代は、1336900万年前の天体です。 HD140283

これは宇宙の年齢の3.3%、宇宙誕生から約45100万年に相当します。

 

より遠い、MACS0647-JDが発見されましたが、

UDFj-39546284の赤方偏移の値が11.9である可能性が示され、

再び最も遠い天体になる可能性もあります。

この場合、見かけの距離は1345100万光年、実際の距離は3266000万光年となります。

 

直径は、1000光年と、銀河系の100分の1の大きさです。

これは、150万年前〜250万光年違う距離で観測された銀河の、わずか20分の1の大きさです。

 

質量は、銀河系の1万分の1と推定されています。

 

銀河の最も初期の形態と考えられていますが、銀河であるかどうかは確定していません

 

非常に複雑な形をしていますが、

これは、宇宙がまだ小さかった時代に、他の銀河との複雑な重力相互作用によって形が変形しているためとされます。

 

通常の銀河で一般的にイメージされるような、渦巻き構造を持つには小さすぎると考えられています。

 

は、赤方偏移によって非常に暗い赤色をしていますが、実際には青色(紫外線)です。

 

宇宙誕生から間もない銀河の星形成は速いと考えられていますが、

この天体の時代から1.7億年後の銀河と比較すると、

銀河内部で星が作られる速さが10倍も加速している事が判明しています。

 

地球からの見かけの距離 1336900万光年ですが、

宇宙が膨張している事から、実際の距離は、3167400万光年です。

 

後退速度は、295133 km/s光速の98.6)ですが、

空間の膨張を考慮すると、実際には652330 km/sです。

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MACS0647-JD 

最も遠い天体(銀河?)の1つです。 UDFj-39546284

地球から見て、きりん座の方向にあります。

 

観測された赤方偏移の値が、10.7+0.60.495%の確かさ)です。

 

この天体までの距離は、319億光年で、

134億年前の宇宙(ビッグバンから約4億年後)にある天体であることになります。 HD140283

 

この天体は、極めて初期の形態を持つ原始銀河と考えられています。

 

直径は、600光年以下です。

 

この天体に含まれる恒星のみの質量は、太陽1億倍から10億倍と推定されており、

銀河系の100分の1から1000分の1しかありません。

 

見えないダークマターを含めた質量も、100億太陽質量と言われています。ダークマター

 

は深い赤色をしていますが、これは赤方偏移によって光の波長が引き伸ばされた結果です。

 

宇宙初期の天体であるため、

この天体を構成する恒星は、大質量星であることが予想されます。

このため、実際の色は、紫外線に富んだ青白い色と考えられています。

 

後退速度は、295444km/s(光速の98.6%)に達し、

空間の膨張を考慮すると、実際には657890km/s(光速の2.32倍)です。

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ULAS J1120+0641

最も遠いクエーサーです。

 

方角は、しし座σ星に近いです。

 

赤方偏移は7.085で、地球から288.5億光年の距離(共動距離)に相当します。

 

今日地球に届いているこのクエーサーからの光は、

ビッグバンから77,000万年以内のものです。

 

クエーサーの光度は、太陽光度の6.3×1013倍と推定されています。

このエネルギーは、太陽質量の2+1.5-0.7×109の質量を持つと推定される、

超大質量ブラックホールによって生み出されています。

 

ブラックホールがクエーサーにエネルギーを与えていますが、

光はブラックホール自体から来ている訳ではありません。

 

「超大質量ブラックホール自体は暗いが、周囲にガスか塵のディスクを持っていて、これが熱くなり、

銀河全体の恒星よりも明るく輝く(モートロック氏)」という説があります。

 

遷移過程の前のクエーサーは、再イオン化の過程で重要なエネルギー源です。

 

ULAS J1120+0641からの光は、再イオン化されたとされる時期より前に放出されたもので、

スペクトル中に、大きな中性水素の吸収画分(推定10%から15%)がみられるようです。

 

尚、その他のクエーサーの中性水素画分は、わずか1億年若いものであっても、1%以下です。

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星の種族

星の分類の一種です。

 

星は、種族I種族II2つに分けられます。

 

分類の基準は、

その星の空間速度、銀河の中での位置、年齢、化学組成、HR図上での分布の違いによります。

 

種族Iの星は、

ヘリウムより重い元素金属)を多く含みます。

 

重元素は、より以前の世代の星で作られ、超新星爆発によってまき散らされたものです。

種族Iの星は、銀河系のディスクによく見られます。

 

太陽は、種族Iの星です。

 

種族IIの星は、

ビッグバンの後に作られた最初の長寿命の星で、含まれる金属量は少ないです。

 

銀河系のハローの中にある球状星団バルジに存在します。

 

種族IIの星は、固有運動が非常に大きく、銀河内を高速で運動しています。

これは銀河形成の初期に生まれた星であるため、

銀河を作ったガス雲が収縮する前の運動状態を残しているためと考えられています。

 

 

種族IIIも、

提唱されていますが、現在の所、未発見です。

 

クエーサーのスペクトルに重元素が見られることや、

宇宙初期に宇宙全体が再電離された理由を説明するために考えられたものです。

 

種族IIIの星は、宇宙で最初に誕生した第1世代の星であり、金属量は0です。

 

金属量の指標として一般的な[Fe/H]で、理論上 -6.0という値を持ちます。

 

初期の宇宙の元素組成は、

ビッグバン時の元素合成で生成した、水素ヘリウム

痕跡量のリチウムとベリリウムのみで構成されていたと考えられています。

それ以上の重元素は、恒星内部での核融合によって生成されたと考えられています。

そのため、金属量の少ない恒星は、初期に近い時代で生成された恒星と考えられています。

 

極めて金属量の少ない恒星(超低金属星(HMP, hyper-metal-poor star))には、

HE 0107-5240-5.2)やHE 1327-2326-5.4)があり、

金属量は、太陽の20万分の1以下です。

 

種族IIIの星は、極端に大きく、質量は太陽の数百倍に達していたとされ、

高温で、寿命が短かったと考えられています。

 

質量が大きい恒星は、寿命が数百万年と、極めて短い時間で寿命を迎え、

超新星爆発を起こしてしまうため、発見は困難です。

 

しかし、質量が小さな恒星は、寿命が長いです。

 

これまでの理論では、太陽質量程度の軽い恒星は生成しないと考えられてきましたが、

HE 0107-5240と、HE 1327-2326のような、軽い恒星も生成されている事が判明しました。

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ハロー

銀河全体を包み込むように、希薄な星間物質や球状星団がまばらに分布している球状の領域です。

 

銀河系のハロー

我々が住む、天の川銀河系は

太陽質量の数百万倍という、超巨大ブラックホールが存在するとされる、中心核(バルジ)と、

それを取り巻く、直径10万光年(銀河中心から5万光年)の渦状腕の、銀河円盤(ディスク)からなり、 星の種族

この部分には、恒星や星間物質の大半が存在します。

 

ハローは、その外側に球状に広がっており、

銀河中心からの重力が距離に応じてほぼ均等に働き、少数ながら天体も存在している領域です。

 

ハローの一番内側には、

球状星団が、直径30万光年(銀河中心から15万光年)ほどの球状に分布しています。

一般的に、ハローに存在する天体は、円盤のものと比較して、恒星の年齢が古く、金属量が少ないです。 HD140283

 

外側には、電離したガスが、 プラズマ

更に外側には、暗黒物質が、直径60万光年(銀河中心から30万光年)ほどの球状に分布しています。ダークマター

暗黒物質は、内側の領域にも分布しています。

 

重力のみが働いていると考えられる暗黒物質を考慮に入れると、銀河系の質量のほとんどはハローに存在します

 

銀河系のハローの恒星分布には内部構造があり、

金属量の比較的多い、内側のグループと、

金属量の少ない、外側のグループがあります。

 

内側の恒星は、銀河円盤の回転と同じ方向に公転しているのに対し、

外側のグループは、全体の平均としては逆行回転しており、

それぞれ異なった過程で形成されたことが示唆されています。

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銀河の回転曲線問題

分光観測によって、銀河の回転曲線を求めてみると、

銀河の「目に見える」物質分布から想定される回転速度とは大きく異なり、

銀河の周縁部でも回転速度が低下せず、平坦な速度分布をしています。  →銀河の渦とコリオリの力

 

これは、現在知られている通常の物質(バリオン)とは異なり、

光を出さずに質量エネルギーのみを持つ未知の物質が、

銀河の質量の大半を占めていると仮定する事で説明されます。

この未知の物質を、暗黒物質ダークマター)といいます。 ダークマター

 

MACHOは、

電磁波を放出してはいるものの、暗すぎて現在の観測能力では検出できないとされる暗黒物質の候補です。

褐色矮星、惑星、中性子星、白色矮星といった、

恒星になれなかった、または恒星の成れの果ての存在と考えられています。

WIMPは、

電磁気的な相互作用をほとんど起こさず、

電磁波では検出できない粒子からできているとされる、冷たい暗黒物質です。

 

他に、修正ニュートン力学 (MOND) や、

プラズマ宇宙論による説明があります。

 

プラズマ宇宙論は、ビッグバン理論と比べて、

銀河の回転曲線問題や、巨大すぎる宇宙の大規模構造を、矛盾なく説明できます。

しかし、宇宙マイクロ波背景放射の観測事実を説明できないため、

現時点では、標準的な理論とみなされていません。 プラズマ

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宇宙マイクロ波背景放射 CMB3K背景放射)

天球上の全方向から、ほぼ等方的に観測されるマイクロ波です。

スペクトルは、2.725K黒体放射に極めてよく一致しています。

 

標準的な宇宙論によると、

CMBは、宇宙の温度が下がって電子と陽子が結合して水素原子を生成し、

宇宙が放射に対して透明になった時代の名残と考えられます。

 

これは、ビッグバン38万年後で、この時期を、宇宙の晴れ上がり等といいます。

この頃の宇宙の温度は、3,000Kでした。

 

その後、輻射の温度は、宇宙膨張によって約1/1,100にまで下がりました。

 

宇宙が膨張するに従って CMBの光子は赤方偏移を受け、

宇宙のスケール長に比例して波長が延び、輻射は冷えました。

 

CMBが放射された時期に、中性水素原子が作られましたが、

銀河の観測から、銀河間物質の大部分は電離しています。

このことは、宇宙の物質が再び水素イオンに電離した、

再電離の時代があったことを示唆します。 宇宙は誕生5.5億年後に再電離

初期宇宙で生まれた大量の大質量星からの光(紫外線)によって再電離が起こった、とする説がありますが、

再電離自体は、宇宙に恒星が大量に存在する時代より昔に始まったという証拠もあります。 星の種族 トップ

 

 尚、現在も、全宇宙の質量の99%以上プラズマのようですが。

 

CMBが放射された後、最初の恒星が観測されるまでの間、観測可能な天体が存在しないことから、

暗黒時代と呼ぶことがあります。

 

特徴

CMBのエネルギー分布は、黒体放射と非常によく一致しています。

 

CMBは、等方的で、地球CMBに対して370km/sで運動しているようです。

 

ごくわずかな非等方性は見られますが、インフレーション理論によれば、

この変動の起源は、量子ゆらぎがインフレーションによって引き伸ばされたものであり、宇宙の初期ゆらぎそのものです。

 

観測実験

COBE衛星ミッション1989-1996年)によって、非等方性が検出されました。

 

その後の観測により、宇宙における構造形成の理論として、

宇宙ひもを考える説は棄却され、インフレーション宇宙が正しい理論であることが示唆されました。

 

また、我々の宇宙は平坦であるという結果が示唆されました。 宇宙の形

 

WMAP2001-)によると、

宇宙年齢は137±2億年、

宇宙の物質・エネルギーの組成はダークエネルギー73%、ダークマター23%、バリオン4%です。

 

プランク衛星2009-)による初期観測結果(2013年)では、

宇宙年齢は138億年、

宇宙の物質・エネルギーの組成は、ダークエネルギー68.3%、ダークマター26.8%、バリオン4.9%です。

ダークエネルギー

ダークマター

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超大質量ブラックホール 

太陽105倍から1010の質量を持つブラックホールです。

 

天の川銀河を含む、ほとんどの銀河の中心には、

超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。

 

質量の小さいものと比べると、平均密度が低い可能性があり、

地球の大気よりも低密度の可能性もあります。

 

ブラックホールの質量の分布には、ギャップがあります。

恒星の崩壊によって作られるブラックホールは、太陽質量の33までですが、

最も小さい超大質量ブラックホールは、太陽質量の10万倍です。

 

天の川銀河のバルジにあるブラックホールは、太陽質量の数百万倍です。 ハロー

 

ULAS J1120+0641という、最も遠いクエーサーが出す光のエネルギーは、

太陽質量の2+1.5-0.7×109の質量を持つと推定される、

ブラックホールによって生み出されています。

ビッグバン直後の大質量ブラックホールの存在は、

非常に大きな初期質量が存在していたか、

数千の小さなブラックホールが融合したことを示唆します。

 

連星系ブラックホールでもあるOJ 287のものは、太陽質量の180億倍です。

 

また、NGC 4889の中心には、太陽質量の210億倍

事象の地平面の直径が、約1300kmのものがあります。

 

超大質量ブラックホールの質量と、

それを含む回転楕円体(渦巻き銀河のバルジや楕円銀河の全体)の

質量速度分散には、相関があります。

 

ブラックホールとそれを含む銀河は、

ビッグバンの後、3億年から8億年は、クエーサーの時代等を経て共進化し、

相関する性質をもってきたとされますが、

ブラックホールが銀河の形成を引き起こしたのか、

その逆か、という因果関係で、モデルは変わります。

 

暗黒物質が、これらのモデルの不可欠の変数です。 ダークマター

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ハッブルの法則

天体が我々から遠ざかる速さと距離が、正比例することを表す法則です。

この法則によって、宇宙が膨張しているという事実がわかりました。

 

v を、天体が我々から遠ざかる速さ(後退速度)、

D を、我々から天体までの距離、とすると、

v = H0D

となります。

ここで比例定数 H0 は、ハッブル定数と呼ばれ、現在の宇宙の膨張速度を決めます。

 

ハッブル定数は、時間の逆数の次元 T1 をもち、

キロメートル毎秒毎メガパーセク( km/s/Mpc )が単位として用いられます。

 

2014年現在、最も正確な値は、プランクの観測による 67.15±1.2 ( km/s )/ Mpc です。

 

銀河は、実視等級20等程度までスペクトル観測が可能ですが、

いずれの銀河も、スペクトルがのほうにずれています(赤方偏移)。

これがドップラー効果とすれば、

銀河までの距離と後退速度の間に、一定の法則性を発見したものといえます。

 

観測上、遠方の天体ほど、ハッブルの法則に従わなくなります。

これは光速が有限なため、観測上遠方の天体が過去の距離(宇宙論的固有距離)と速度を表し、

かつ過去のハッブル定数が、現在のハッブル定数と異なるからです。

 

ハッブル定数の逆数は、T(時間)の次元を持ち、ハッブル時間と呼ばれます。

 

ハッブル定数の値を使うと、ハッブル時間は138億年です。

 

宇宙の年齢は、

宇宙膨張が加速も減速もしないミルン宇宙では、ハッブル時間に等しいですが、

実際は加速や減速があるので、ハッブル時間とは異なります。

 

観測で得られた宇宙論パラメータを使うと、実際の宇宙は加速と減速を繰り返した結果

宇宙の年齢は、ハッブル時間とほとんど同じ137億年となります。

 

ただし、ハッブル時間そのものに、物理的意味はありません。

 

光速度をハッブル定数で割った値、つまり、光速度とハッブル時間の積を、

ハッブル距離といい、138億光年です。

 

ハッブル距離そのものも、物理的意味はありませんが、

光速度と宇宙の年齢の積の137億光年は、宇宙の地平面(宇宙の果て)までの光路距離です。

光学的距離: 実際の距離に、屈折率をかけたものです。

 

ただし、地平面までの共動距離(通常の意味での距離)は、465億光年で、かなり異なります。

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プラズマ 再電離

固体・液体・気体に続く、物質の第4の状態です。

 

プラズマは、荷電粒子群と電磁場が相互作用する複合系です。

粒子の運動は、電磁場を変化させ、

電磁場の変化は、粒子の運動にフィードバックされます。

 

狭義のプラズマは、電離した気体に相当し、

気体を構成する分子が電離し、陽イオンと電子に別れて運動している状態で、

プラズマの3要件をみたします。

 

広義のプラズマは、

プラズマの3要件の一部をみたさず、非中性プラズマ、強結合プラズマ等を含みます。

強結合プラズマは、プラズマ粒子が自由に動けず、液体や固体に似た振る舞いをします。

 

プラズマ中では、電流や磁場に沿ってフィラメント状の発光領域が観測できる等、特有の構造が形成されます。

 

また、プラズマ波動、プラズマ不安定性、発光現象等の特有な物理現象がみられます。

 

プラズマは開放系であることが多く、自己組織化に伴って散逸構造が生成されます。

 

宇宙 プラズマ宇宙論

宇宙空間では、全宇宙の質量の99%以上がプラズマであり、

プラズマは、最もありふれた物質の状態です。

 

太陽は、

プラズマ状態です。

 

クォークグルーオンプラズマは、

高温・高密度状態において存在すると予想されている、

クォークとグルーオンからなるプラズマ状態です。

 

その他の宇宙におけるプラズマに、

磁気圏太陽風、ヴァン・アレン帯、彗星の尾、星間物質、降着円盤、星雲等があります。

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