一汁一菜の読書歳時記No2   01年4月〜02年3月

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 読書歳時記 2000年4月〜2001年3月へ(45冊)
 読書歳時記 2002年4月〜へ

目次

2001年 4月チーズはどこへ消えた?老人読書日記嫁と姑
              5月 アメリカ映画の暗号を読み解く保育所への企業参入-どこが問題か-
        □
桜の花が咲くまでは
             □
天国のれい君へ
              6月昭和の子ども 田舎のくらし男を読む映画京都の恋
     
7月映画で世界を読む宇宙からの贈り物
     8月 楽々理解ハンセン病埋立地からの叫び風の組曲
     
9月 じいさん・ばあさんが町をおこした加藤周一、高校生と語るいま「靖国」を問う
       
映画の自由 映画の真実
    
10月ながい二人の道仕事が人をつくる外務省激震公共政策と住民参加
          
  11月60歳からのティーショットメディアの内と外
    
12月医者井戸を掘る私とカレーの幸福な関係日本語力崩壊大学生の学力を診断する
2002年01月山の郵便配達こんなふうに生きている
    
02月私の脳科学講義イギリスを語る映画先生は勝った!
    
03月平成サラリーマン川柳10貫目 

 

 

80 『平成サラリーマン川柳傑作選十貫目』 山藤章二他選 講談社 2000年12月6日発行 1000円 2002.3.5 読了

 ご存知第一生命相互会社が毎年末に募集している「サラリーマン川柳」の中から、傑作を選りすぐって紹介している本。10冊目ということ。今年で15回目の募集となっていますが、この本は10回募集までが掲載されています。

 目次

哀  楽  嘆  耐  呆  超  第1集ベストテン〜第9集ベストテン

 この本を職場のコラムで紹介しました。

第一生命の『サラリーマン川柳』があります。今年で十五回目。すっかり定着した感がありますが、今年の作品は現在選考中ですので、過去十年間の当選作品から、私撰分類して紹介します。当世世相気質をお楽しみください▼会社 『ああいえばこう言う奴ほど偉くなり』『上役の命令ファジー僕ビジー』『ようやった!事情が変ったなぜやった!』『コストダウンさけぶあんたがコスト高』『仕事しろ残業するな成果出せ』▼夫婦 『未だ寝てる帰ってみればもう寝てる』『いい家内十年経ったらおっ家内』『耐えてきたそういう妻に耐えてきた』『できるなら女房初期化してみたい』『プロポーズあの日にかえってことわりたい』▼生活 『一戸建手が出る土地は熊が出る』『宝くじ馬鹿にしながら根は本気』『ゴハンよと呼ばれて行けばタマだった』『貯金なし証券もなし被害なし』『妻だから運転できる火の車』『気分良く100円ショップでムダ遣い』▼風俗 『SMAPをどこの地図だと聞くおやじ』『Tバック俺にもくれと湯飲み出す』『ナタ・デ・ココどこを切るのと聞くオヤジ』『胃じゃなくてチョーがムカツク女子高生』▼最後に駄句を一句『外務省わだちクッキリ・ムネオカー』(M) 2002.3.6掲載

非常に楽しめます★★★★☆ 一句作りたくなります★★★★☆ 推薦度★★★☆☆

 

79 『先生は勝った!』 支援する会編 ふくのとう書房 2002年1月25日発行 1,200円 2002.2.8 読了

 所沢高校教諭処分問題 父母・教職員のたたかい と副題にあります。その名のとおり、埼玉県教委が所沢高校の先生に対しておこなった「戒告処分」を撤回させるまでの記録です。

 目次

第1章 所沢高校で問われたこと
     〇所沢高校の歴史が動いた 〇処分はこうしておこなわれた 〇争点とその決着
第2章 それぞれの取り組み
     〇支援すす会はこのように運動をすすめてきた 〇PTAの取り組み 〇教職員の取り組み
第3章 3年半を振り返って
     〇教育はいかにあるべきかを考えて(中山福ニ) 〇私の所沢問題(林量淑)
     〇共同と自治の学校づくり(浦野東洋一) 〇子どもたちのたたかいにふれて(津田玄児)
     〇幸いなことをありましたが(竹永公一) 〇たたかいの成果と教訓(谷村勝彦)
資料編

 1998年の春、校長による入学式の強行開催と、在校生と教員による「入学を祝う会」の開催との話し合いが途中のの段階で、新入生とその保護者を前にして、その間の話し合い経過説明を行った一年学年主任に対して、「校長による入学式に反対した」との理由で、埼玉県教委が「戒告処分」を行ってきたことに対して、在校生やOB、教職員、PTAなどが「それはおかしい」「所沢の自主・自由に対する攻撃だ」として、その後3年半にわたる「戒告処分」撤回のたたかいをすすめ、人事委員会において「処分不当」の撤回採決を勝ち取るまでの各々の立場のたたかいの記録です。

 非常に冷静な説得力のある文章で綴られています。校長の異常とも言える「指揮・管理権」の行使、職務命令は話し合いの無視であり教育とは無縁です。読んでいると、生徒と教職員がいつまでも冷静で、校長だけが1人でヒステリックに叫び浮き上がっている気がします。所沢高校の生徒が生き生きしている様子がよく見えます。

 マスコミを通じて「卒業式」の「混乱」のみがクローズアップされてそのことだけはちょっと知っていましたが、こういう事件があったとは知らず、再認識しました。

生徒と教職員・PTAはえらい★★★★☆ 所沢高校の自由・自主の校風に★★★★☆ 推薦度★★★☆☆

 

78 『イギリスを語る映画』 三谷康之著 スクリーンプレイ出版 2000年3月8日発行 1,500円 2002.2.7 読了

 三谷康之 埼玉大学卒 現東洋女子短期大学教授 1975年〜76年イギリスにてフィード・ワーク。

 目次

1 『静かなる男』  2 『落ちた偶像』  3 『ガス燈』  4 『心の旅路』  5 『ミニヴァー婦人』
6 『メリー・ポピンズ』  7 『哀愁』  8 『秘密の花園』  9 『断崖』  10 『三十九夜』
11 『赤い靴』  12 『ロブ・ロイ』

あとがき

 脳目次のとおり、少し取り上げられている映画は古いものの、往年の名画を題材にして、イギリスという国の伝統や習俗、民族性や地域性などを掘り起こしている、映画を取り上げたとはいえ、ちょっと変わった観点の本です。

 いわば、映画のバックグラウンドとなっているイギリスの風景を解きほぐしてみようという試みです。

 取り上げられているのは、〇巨大なチェス盤ともいうべき石垣 〇エアリアと呼ぶ地下の明り取りのスペース 〇テラスハウス 〇エンドウ豆スープとは 〇教会の中の配置 〇煙突掃除人の話 〇カントリーハウス 〇マナーハウス 〇反り橋 〇窓 〇タータン模様 などです。 それらが映画のどの場面で登場し、どう言う役割を果たしたか、を説明していきます。イギリスの習俗が名画にどう映し出されたかを振り返って思い出す契機になる本です。

イギリスの習俗を知ろう★★★★☆  映画名場面集★★★★☆ 推薦度★★☆☆☆

 

77 『私の脳科学講義』 利根川進著 岩波新書 2001年10月19日発行 700円 2002.2.2 読了

 利根川進 1939年愛知県生まれ 京都大学理学部卒業 ソーク研究所 バーセル免疫学研究所 現マサチューセッツ工科大学教授 分子生物学 1987年ノーベル生理学医学賞受賞

 目次

T私の歩んだ道
 分子生物学者になりたい サンディエゴへ留学 免疫学上の大ミステリーを解く MITで脳研究を始  める
U脳科学の現在と可能性
V学習と記憶のメカニズム
 私たちの研究戦術 長期増強は記憶の基盤か CA3野の機能を調べる 
C科学者とは、研究者とは
X日常生活から見た脳 

 脳の機能・ノーベル賞受賞の対象となった研究などの専門分野のところは非常に難しいですが その他の文章自体は平易な言葉で綴られています。言いたいことがはっきりしている文章ということでしょうか。

 私の歩んだ道のところでは、京都大学で卒業論文を書かなかったこと、日本で分子生物学を学ぶことはできないと、アメリカへ留学したこと、そしてスイスのバーゼル免疫学研究所にいた10年間でノーベル賞の対象となった研究が進んだことなどが語られています。

 人間の遺伝子・能力・記憶にはそれぞれ「臨界期」があって、その時期を過ぎると段々と退化しているという考え方が非常に面白いと思いました。対談で池田理代子氏が40才を過ぎてから音楽大学の声楽科へ入学した、そのためにイタリア語を勉強し始めてモノになるまでになったというのは大変に稀なケースだと力説されていました。よほどその分野で優れた遺伝子をもっていいないとそうはならない。40までには退化してしまうと言うことです。臨界期を知ることが例えば乳幼児に対する保育のあり方とも関わって大変重要なポイントになると思いました。

 利根川さんの話はわかりやすい★★★★☆  対談が面白い★★★★☆ 推薦度★★★☆☆

 

76 『こんなふうに生きている 東大生が出会った人々』 花伝社 2001年12月1日発行 1980円 2002.1.17 読了

 監修 川人博(かわひとひろし) 1949年生。東大経済学部卒。 弁護士。東京弁護士会。過労死問題などに取り組む。1992年より東京大学教養学部「法と人権」ゼミの講師を務める。

目次

T君たちへ-学生達へのメッセージ-
 鳥越俊太郎・山田洋次・池上彰・佐高信・江川紹子・折口雅博・辛淑玉・鳥井一平・伊藤千尋・岡本 潤子・川人博・福原義春
U人権の現場から-フィールドワークで出会った人々-
 水谷修・森本美代次・河野義行・高橋シズエ・堀口暁子・小谷栄子・横田滋・藤枝直美・片山徒有・  木元康弘
Vこんな風に生きている-先輩達に聞く-
 20代後半が中心の東大卒業生17名のインタビュー
 

 目次を見て明らかなように、東大の教養学部の1ゼミに講師に来た人やフィールドワークで出会った人々などの面々は、その道に一流のひとばかりです。そのことに先ず驚きました。人気ゼミとはいえ、贅沢な布陣です。そして、ゼミのフィールドワークを中心にした「現場主義」のゼミというのも、大変魅力的です。

 全体は386ページもある大部で、インタビュー記事を中心に、ゼミ生が聞き役に回って相手の人柄や仕事の姿勢、情熱の源泉、若者へのメッセージなどが個性をもって語られています。学生の感想も載っていて、彼等の感じ方、文章のまとめ方に、「東大生」を読み取ろうとしたりして読了しました。

 東大卒業生(20代)の今がよく分かる★★★★☆  著名人の学生へのメッセージト★★★★☆ 推薦度★★★★☆

 

75 『山の郵便配達』 キネマ旬報社 フォトストーリーブック 20018月4日発行 1143円 2002.1.10 読了

 中国映画で昨年日本で公開され、好評を博した『山の郵便配達』をフォトストーリーとしてまとめてありました。未見の映画ですが、非常によく内容が伝わっています。

中に書かれている言葉から

○この物語の舞台は中国湖南省西部の山岳地帯。土岐は1980年代初めである。
○私の郵便配達の仕事がその朝から始まった。目がさめると昨夜整理した郵便物を父が  揃え直している。
○「初めだから地図を書いておいた。40キロ歩くと天車峰、それから望風坑、次の九半竜  で1泊、翌朝は寒姿幼へ、揺掌山を越え大月嶺まで40キロ。3日目は一気に下り、また  40キロ歩く」

 中国の山岳地帯の家々に郵便物を届けることを業とする公務員の父を継いで、息子が同じ道を歩こうとする、父と息子の触れ合いの物語です。きっと、映画では親子が歩いていく山岳地帯の山々の四季が綺麗に彩りを放っているように思います。尋ねた村での歓迎、村のお祭り、母の出迎えなど、静かな中に人々の触れ合いが暖かく描かれていることが本の中から伝わってきます。

 内容がよく分かる★★★★☆  きれいなフォト★★★★☆   映画の推薦度★★★☆☆

 

74 『大学生の学力を診断する』 岩波新書 戸瀬信之他著 2001年11月20日発行 700円 2001.12.19 読了

 戸瀬信之氏の略歴
 1959年富山県生まれ。東京大学理学部卒業。現在慶応義塾大学経済学部教授 代数解析学を専攻『経済数学』『分数ができない大学生』などの著書あり。

目次
  
第1章 私立文科系大学生の数学力
  第2章 国立大学の文科系は大丈夫か
  第3章 国立文科系と私立大学文科系
  第4章 理工系学部での数学力調査
  第5章 数学力の国際比較
  第6章 大学院生の数学力
  第7章 教育養成系学部の学力調査
  第8章 学部全体で学力調査を実施した大学
  第9章 何が学力の低下をもたらしたか

 1998年〜2001年に渡って全国の大学を調査した「戦慄の結果」が図示・表示され、コメントが入っています。内容はかなり深刻で、日本の子どもたちの数学力はどこへいってしまったのか。本書では、1980年頃よりはじまった「ゆとり教育」の実践が結局、授業時間を減らせる結果となって、薄い教科書で懸命に「ゆとりのない」授業になってしまっていることを数字的にきちっと裏付けて告発しています。今すぐに「新学習指導要領」を廃止すべきだと。
 25問の例題を解いてみましたが、私で23問正解。計算間違いがあったということで分からない問題はなかった。この問題を受験をくぐった大学生が解けないとは、本当に深刻だと実感しました。

 正解率にビックリ★★★★☆  韓国・中国との差は深刻★★★★☆   推薦度★★★☆☆

 

73 『日本語力崩壊』 中公新書 樋口裕一著 2001年10月25日発行 680円 2001.12.12 読了

 樋口裕一氏の略歴
 1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。フランス文学、アメリカ文学の翻訳。通信による文章指導塾「白藍塾」を主宰。東進ハイスクール小論文講師。『ホンモノの文章力』などの著書あり。

目次
  
第1章 間違いだらけの「ゆとり教育」
  第2章 国語教育の惨憺
  第3章 国語・現代文の試験を廃止すべし
  第4章 好ましい小論文試験のために
  第5章 子どもの日本語力をつけるために

 翻訳家で塾を主宰する著者の「小論文」による試験の勧めの書。国語力こそが学力の基本であるとして、2000年のセンター入試の問題を上げ、解答が複数あって5問選択のどれもある意味では正解ではないか、と解説する。そういう問題で振り分けられた生徒は浮かばれないとしています。
 小論文は「イエスあるいはノー」の判断を求められる文章にする必要があって、それが作文との違いであると説明しています。訓練によって論旨をつかむ、「ホップ・ステップ・ジャンプ・着地」の文章の書き方などのノウハウも語られています。
 国語力崩壊の警告のでした。

 国語力が学力の基礎★★★★☆  本人の主張がいろいろある★★★★☆   推薦度★★☆☆☆

 

72 『私とカレーの幸福な関係』 角川書店 小椋 桂著 2001年10月31日発行 1,400円 2001.12.9 読了

 小椋 桂の略歴
 1944年東京生まれ。東大法学部卒業後、日本勧業銀行に勤める。「シクラメンのかおり」の作詞(日本レコード大賞受賞)。主な作詞「俺達の旅」(中村雅俊)「夢芝居」(梅沢登美男)。49歳で銀行退職。2000年11月よりデビュー30周年記念コンサートを全国64箇所で公演。その旅中に書き綴った初エッセイがこの本。

目次
  
コンサートツアーを始める前に
  甘いカレー
  カレーライスで歌創り事始め
  バンカー、シンガー、カレーライス
  バイと先でも立ち喰いカレー
  アメリカ留学、カレーのおかげ
  カレーライス合併噺
  レコード大賞より、カレーライス
  カレーライスからミュージカル
  病院のカレーライスは涙味
  カレーより演歌への手紙
  カレーライス的今昔考、2題 
  再び大学生、またまたカレーライス
  カレーライスのごとき琵琶歌論
  コンサートツアーの終わりに
  アンコール

 シンガー・アンド・ソングライターである小椋桂氏の自伝的な色彩を帯びたカレーにまつわるエッセイです。現在56歳。人間ドックで胃ガンが発見されて4分の3を切除する手術を受け(その際に、副腎の腫瘍を取るために一方を摘出、胆石を取るために胆嚢を摘出)たということが、本書の直接のきっかけではないか、と思っています。

 49歳で銀行を「早期退職」というのも、ミュージカルを手がけ、コンサートツアーを行いとバイタリッシュに活動していまるところからして、したいことが沢山あったから、というのが理由だろうと思う。退職後すぐに、再び大学生になる、というのも小椋桂ならではのこと。東大に戻って勉強。

 詩を大切にする小椋さんがよく分かります★★★★☆  自伝的にもなっている★★★★☆   推薦度★★★☆☆

 

71 『医者井戸を掘る』 石風社 中村哲著 2001年10月20日発行 1,800円 2001.12.4 読了

     この本の感想をコラムに書きました。

 『医者井戸を掘る』と中村哲氏    2001.12.5(水)
『医者井戸を掘る』(石風社)を読みました。昨年アフガン一帯は史上最悪の干魃(かんばつ)に襲われました。川は干上がり、井戸は枯れました。田畑と牧草地は砂漠になり、廃村が続出、飢餓と水不足で約百万人が餓死寸前と報告されました。日本NGOであるPMS(ペシャワール会医療サービス)はパキスタン北部に二カ所、アフガン北東部に三カ所の診療所を持ち、年間十八万人の診療を行っている医療機関です。そのPMSが未曾有の旱魃対策として、命の水である「井戸」を掘るために悪戦苦闘する一年間の記録です。六六八井戸を掘削し、五六二が利用可能という大変な成果を上げています▼著者は中村哲氏。医師。一九八六年よりアフガン無医地区で活動を展開しています。PMS院長。日本で今、最もアフガンの現地事情に詳しく、耳を傾けるべき思想と言葉を持った発言者といわれています。過日の衆議院テロ対策委では『自衛隊派遣は有害無益だ』と参考人発言して注目されました▼その中村哲氏が八日(土)十九時から『アフガンは今』と題して講演されます。高槻現代劇場大ホールです(主催・北摂無所属女性議員ネット・事前申込不用)アフガンの実情を知るところから全てが始まる(M)2001.12.5掲載

 アフガンの実情がよく分かる★★★★★ 真に必要な援助の内容★★★★☆   推薦度★★★☆☆

 

70 『メディアの内と外』 岩波ブックレット 筑紫哲也 他編 2001年10月19日発行 440円 2001.11.27 読了

 

 

 良心的から良心の行使へ★★★★☆    推薦度★★★☆☆

 

69  『60歳からのティーショット』 NHK出版局 古市忠夫著 2001年9月25日発行 1200円 2001.11.8 読了

古市さんの略歴

 神戸市長田区若松町で昭和43年よりカメラ店を営む。1995年1月阪神淡路大震災によって全てを失う。鷹取商店街を区画整理によって復興させようと東奔西走する。2000年9月にPGAプロゴロファーに合格。その時59才。
「70才には70才のゴルフと人生がある。どちらか一つだけ良くても駄目や」

古市流ゴルフ上達法

@ 素振りは誰でもシングルプレーヤー
 スイングの音を聞き分ける 右耳か左耳か。理にかなったスイングはエネルギーに無駄がない。

A 基本中の基本であるグリップ
 グリップは生きている。自分の握りやすい方に変わって行く。常にチェックを。

B 基礎のアドレス
 「インパクトはアドレスの再現」 重心はつま先(楽な姿勢だと踵側になる) お腹で打って背中でフィニッシュ

C スイングの4つの基本
 ・ スイング軸(二つの軸 かっては一つの軸) 振り上げてトップにいくまでの軸とダウンスイングからフォロースルーまでの軸 重心の取り方が右足  ―右足―左足となる 「インパクトはアドレスの再現」
 ・ スイング軌道 脇の下から腕に沿ってボールまで斜めに板を置き、それに沿った形で振っている感覚
 ・ スイングアーク(クラブヘッドの弧は円運動ではなく、楕円となっている) ボールを捉える瞬間を点で捉えるのではなく、線で捉えるようにイメージ  する  フォロースルーを大きく 音の聞き分け インパクトを追いかけるとボールを打ちにいってしまう 頭は動かさない
 ・ スイングリズム 切り返しのリズム トップの部分でためができる スイングは「スローアップスローダウンが基本」 息を吐きながらスイング

D ラウンドに臨む前の心構え
 3時間前に必ず起きる 入念なストレッチを行う

E 一打一打の重み
 ナイスとミスの幅を狭めるのが上達のコツ 「ドライバーはマアマア スコアはパーパー」「アプローチから先はパーパー」   息は吐きながら打つ  「アプローチは王手 次の1手でとどめを刺す」 カップではなく詰める感覚 しっかり歩測する

F パッティングの最大の技術は自信
 あきらめた瞬間に敗者になる トータルでなんぼのスポーツ 強さはどんな場合でもあきらめない勝負強さ

 以上、本から主な内容をピックアップしました。ゴルフの実践にとってとても有用な話ばかりでいちいち納得しながら読みました。特に高齢者ゴロファーにとっては、いいアドバイスになっています。彼の行き方も含めてとても素敵な本です。

 生き方を学ぼう★★★★☆  ゴルフのノウハウもばっちり★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

68  『公共政策と住民参加』 公人の友社 宮本憲一講演 1999年7月30日発行  1100円 2001.10.26 読了

 北海道町村会(大阪府で言えば大阪府・市町村課)が企画して、地方自治土曜講座を開催した記録をブックレットとして刊行しています。過去にも何冊か読んだ覚えがあります。80ページくらいの講演集となっていてちょうど読みは安い長さになっています。

 はじめに
 1 転換点に立つ公共政策
  @公共政策の理念
  A日本の公共政策の現実  (公共投資偏重の財政構造・中央集権と官僚主義の行政システム)
 2 21世紀の公共政策を展望する
  @分権福祉社会から維持可能な社会のための公共政策
  Aイタリアの環境再生の事例
  B公共政策の手段と手法の改革(財源と権限 「社会的総合事前評価制度」の導入)
  C公共政策における主体の革新

 宮本さんは今年、滋賀大学の学長に就任されました。3年任期とか。琵琶湖を持つ環境県の滋賀県に社会資本論-公共政策の第一人者である宮本氏が着任されたことは喜ばしいことです。独立行政法人化など大学を巡る情勢はきびしいですが、学部長の成瀬氏(元・滋賀自治体問題研究所理事長)と一緒に、個性ある滋賀大学に成長させて欲しい、と願っています。

 さて、この本では、公共政策の必要性から、ヨーロッパにおける環境をめぐる新たな試み、自治体労働者に期待するものなど、示唆に富んだ話でした。蜷川さんの言葉に「コーディネータ」を付け加えているところは、私流に解釈すれば、「住民と対話し共同する能力」と読みました。

 市場経済と公共政策必要性の理解★★★★☆  自治体労働者の使命★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

67  『外務省激震』 読売新聞社会部  中公新書 2001年9月25日発行  660円    2001.10.24 読了

 大変に面白い本で、一気に読ませてくれます。読売新聞社会部といえば、かっては黒田清さんなどが「巨悪を許さない」報道で腕を振るった、その意味では「社会の悪」を追及するペンの力では定評のあるところである、と見ました。

 第1章 暗闘(口座番号1797623 なぜ捜査はストップしたか 霞ヶ関の地下水脈 賭けに出た警察幹部 スクープ         が捜査を後押しした)
 第2章 ノンキャリアの悲哀(幻の北米2課 異動は突然白紙に戻った いつかダブルのスーツを着てみせる 父親         譲りの生きざま ハーバードボーイ) 
 第3章 キャリアの傲慢(上司は我が家の食事も出せと言った 封印された告発 逃げ出した外交官 南の島の首         脳外交 金のないときは松尾に頼め)
 第4章 伏魔殿・外務省(怪文書の衝撃 権力の裏金 成功した田中外し)
 エピローグ
 あとがき

 外務省の職員・松尾克俊事件をきっかけにして、伏魔殿・外務省の泥沼の腐敗体質が次々に明らかになりました。その意味で、2001年元旦朝刊のスクープ『外交機密費流用か 外務省幹部 口座に1億5000万円』はまさにスクープでした。松尾事件を中心にして、外務省のノンキャリアとキャリアの問題、田中大臣と外務省首脳との確執など、人物とのインタビューを試みながら人物を追い、記事が展開していっています。推薦度の高い本です。

 外務省は本当に腐っている★★★★☆  膿を全て出さないと駄目★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

66  『仕事が人をつくる』 小関智弘著  岩波新書750 2001年9月20日発行  680円    2001.10.6 読了

 著者は東京大田区の町工場でNC旋盤を駆使するこの道50年の『旋盤工』。いわゆる職人です。そのかたわら作家活動を続け、ものづくりにこだわった作品を発表しています。10月から開催されるNHKの『人間講座』はものつくりがテーマで、小関智弘さんが進行役を務める、と新聞にありました。

 第1章 研磨仕上げがライフワーク 児玉繁光さん   第2章 真似のできない深絞り 岡野雅行さん
 第3章 望遠鏡から宇宙へ 中村義一さん        第4章 瓦工場の上仕 小久江豊さん
 第5章 染色のデシタル化に挑む 久保下信夫さん   第6章 義ばに銘は打てないものか 石井三男さん
 第7章 棟梁は故郷のやなを見る             第8章 寝心地のよい布団をつくる 松尾浩光さん
 第9章 デパートのオーダー椅子をつくり続けて 長谷川清一さん 第10章 東京の空師三代 飯田清隆さん

 以上の目次のとおり、10人の「職人さん」が話に登場してきます。作者がこれらの職人の仕事場へ訪れて、話を聞き、それを綴っていく、という構成になっています。

○工作機械を作る安田工業株式会社で働く児玉さん。岡山県の従業員250名ほどの工場。0.5ミクロン以下という精度で研磨する技術を持つ。
○東京・墨田区向島の町工場岡野工業株式会社は従業員7名、その1人が岡野さん。一枚の金属板を金型を使用してプレスする際に「深絞り」技術で箱型をつくる(例、携帯電話のリチウム電池ケース)。そのプレス機械も開発。
○三鷹光器。天体望遠鏡と超精密測定機器。特殊カメラ。手術用顕微鏡などをつくる会社。非接触測定機器の分野ではナノメートルの単位まで読めるようになった。

 以上で3名の簡単な紹介です。このように工場の中で自らを鍛え、研究・努力して、日本や世界の一流品といわれるものをつくっている、10名が登場しています。
 全部は紹介できませんが、次回、コラムで取り上げようと思っています。

 この道何年といえる一流の職人ばかり★★★★☆  道のりの語りが楽しい★★★★☆  推薦度★★★★☆

 『コラム動点』に以下の文章でこの本を紹介しました。

携帯電話の電池ケースは一枚の金属板から作られています。その技術は岡野工業(株)という東京・向島の六人の町工場から生まれました。金属板をプレスで絞る際にメッキがはがれず箱型に深く絞ることの出来る金型とプレス機の開発。しかも自前の特殊な潤滑油を使用するため熱することも不用です。代表社員・職人岡野さん▼F1レースの名門フェラーリ社が車の心臓部のシリンダーラインに使用している安田工業(株)の工作機械。「YASUDA」マークは製造工場のステータスシンボルとも。岡山県・里庄町にある従業員二五〇名余の工作機械をつくる工場です。工作機械を仕上げる研削工の児玉さんは〇・五ミクロン以下の精度をこなしています▼他には、三鷹光器という望遠鏡から超精密測定器・医療機器の工場の話、瓦職人、染色技術のデジタル化に挑む染色工、歯科技工士、大工の棟梁、椅子作り職人、高木剪定師など十名の職人が紹介されています。「ものづくりは大学では教えてくれない」と本のコピーにありました。ものづくり技術の習得と向上、そして継承という課題を職人の立場から語っています▼読書の秋の参考に、『仕事が人をつくる』(岩波新書)の紹介でした(M)。2001.10.10掲載

 

65  『ながい二人の道 乙羽信子とともに』 新藤兼人著  東京新聞出版局  1996年8月24日発行    1,650円 
    2001.10.01 読了

 1912年(明治45年)生まれだから、89歳にして、未だ現役の英G監督としてメガホンをとっているということ、その一点ですでに尊敬に値すると思う。新藤兼人のひととなりを理解するのには、乙羽信子さんとの出会いと映画での共同制作の40年にわたる歩みが最もよく表れていると思う。その意味で、本書は非常に「新藤」カラーの出た本人の筆による生い立ちの記です。

 第1章 乙羽信子との42年   第2章 溝口健二を師として  第3章 出会い  第4章 ピカ・ドンとわたし
 第5章 人間模様         第6章 映画監督を夢見た頃 第7章 わが独立プロの浮沈
 第8章 戦中戦後         第9章 人間を見つめる    第10章 乙羽さんと姉
 第11章 再び原爆のこと    第12章 「老い」を生きる

 新藤さんの歩んできた道が「近代映画協会」(創立50周年を迎えています)という独立プロとともにあったことがよく分かります。脚本家から、映画監督にもなった新藤さんが歩んだ道が、脚本なり製作映画なりに大なり小なり反映していることもよく分かりました。

 新藤兼人さんが監督した映画でよく知られている映画を列挙すると、「原爆の子」(1952年)「第五福竜丸」(1959年)「裸の島」(1960年)「鬼婆」(1964年)「ある映画監督の生涯・溝口健二の記録」(1975年)「竹山ひとり旅」(1977年)「北斎漫画」(1981年)「さくら隊散る」(1988年)「墨東騎たん」(1992年)「午後の遺言状」(1995年)「三文役者」(2000年)などでしょうか。

これとは別に脚本の数は監督の4〜5倍くらいはありそうです。すごい制作意欲です。今の日本の監督の中で最も尊敬する監督の1人です。

 新藤兼人さんを理解しよう★★★★☆  一徹50年の道のりはすごい★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

64  『映画の自由 映画の真実』 映画の自由と真実ネット編 シネフロント社   2001年8月25日発行    571円 
    2001.9.25 読了

 とても関心のある内容が詰まっていて、じっくりと読むことができました。

 発刊に寄せて 高橋邦夫

 第1部 映画の自由
    日本国憲法と映画の自由 清水英夫(青山学院大学名誉教授)
    人間の自由、文化の自由 辻井 喬(作家)
    日本映画界を襲ったレッドパージとは 山田和夫(ネット代表委員・映画評論家)
    私のレッドパージ体験 若杉光夫(映画監督)
    追放された映画人・黒田清巳のこと 新藤兼人(映画監督)

 第2部 映画の真実
    東京裁判 内海愛子(恵泉女学園大学教授)
    日本のインドネシア占領と独立運動 藤原 彰(歴史研究者)

 映画の真実ネットとは

 東条英機らの戦犯を美化する映画『プライド-運命の瞬間』が製作上映され、またアジアへの侵略戦争をアジア解放のたたかいと描く映画『ムルデカ 17805』が製作されるなど、日本の歴史的事実をゆがめてしまおうとする勢力の動きが目立っている、として、映画の自由・真実を守るために、活動を続ける「同ネット」が編集した本です。講演集に資料をつけてテーマがよく分かるように、展開されています。どれも興味のあるテーマばかり。

 映画を愛する全てのひとへ★★★★☆  辻井喬・黒田清己を知ろう★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

63  『いま「靖国」を問う』 平和遺族会編 かもがわブックレット137   2001年8月25日発行    571円 
    2001.9.25 読了

 遺族会は自民党の後援会のように考えられています。事実だと思います。そうした遺族会の活動に疑問を持つ人たちが別団体として「平和遺族会」を作っていて、アジア諸国との真の連帯を求めて活動している、ということを、過日の日本母親大会の分科会である、古屋和夫・羽仁未央さんの対談の中で、羽仁未央さんが紹介していました。彼らには中国や韓国、朝鮮との人たちとの間に連帯のルートを持っている、それが大事なんだ、と。この本は、その平和遺族会が編集した本です。

 第1部 私にとっての「靖国」 戦没者遺族の手記

 第2部 「靖国」その歴史と現在 そしてこれから

 戦争から半世紀たって日本国民の中に、太平洋戦争の記憶が薄れてきたことをいいことに、「靖国」に参拝して何が悪い、と居直る首相が登場するに至りました。
 この本は、再度、遺族の立場から、日本の太平洋戦争は何であったのか、を家族史、具体的な体験を語ることで明らかにしています。戦前は、侵略戦争の精神的支柱として紛れもなく軍事施設であったことが語られています。

 靖国を知ろう★★★★☆  遺族の話は具体的★★★★☆  推薦度★★★☆☆

 

62  『加藤周一、高校生と語る』 京都教職員組合・京都教育センター編 かもがわブックレット138
     2001
年8月25日発行    571円      2001.9.17 読了

 加藤周一さんといえば、戦後の日本を代表する国際的な教養人として、「知性の代表」のような人です。最近では日本母親大会が草津市の立命館大学で開催されて加藤修一さんの講演がある、というので聴きに行きました。

 その加藤さんが5人の京都の高校生とトークをするという企画が京都教職員組合の手で実現して、その様子を文章で再現したのが本書です。

 第1部 茶髪をどう見る?

 第2部 戦争責任をめぐって

 最初は入りやすいテーマから、ということで茶髪の問題をめぐって討論。加藤さんの意見は「他人に迷惑をかけるか」が判断の基準と明快でした。

 戦争責任については、「小林よしのりの戦争論」が出てきて議論が白熱しました。意見に賛同しているとも読める高校生の発言が議論の的になりました。@日本と同じように欧米もアジアで悪いことをしたのに何故日本だけが謝る必要があるのか。A日本の教科書に日本が侵略したとばかり書くのはおかしい。他の意見も書くべきだ。Bアジアは日本の侵略のことを教え過ぎている。C打算から日本に謝罪を要求している。ざっとこんな意見でしょうか。別の高校生が発言していたように、アジアの諸国への蔑視の思想が見えて仕方ない意見です。

 唯一、「意見の違う人たちと討論する、話し合うことができることが何よりも大切」と加藤さんが締めくくられて、さすがといったところ。

高校生気質がよく分かる★★★★☆  討論内容が明確★★★★☆  推薦度★★★☆☆

 

61 『じいさん・ばあさんが町をおこした』 上田昌弘 著  近代文芸社    2000年11月20日発行 1,500円 
2001.9.15 読了

 日本大正村とは、岐阜県恵那郡明智町が町おこしのために、町の全体から大正時代の雰囲気を体験してもらって、大正という時代を味わってもらおう、という取り組みです。編集長も一度訪れたことがあります。パビリオン中心ではなく、町の散策と街角、佇まいに大正時代を感じてもらおうという意欲がよき感じられました。

 編集長は隣の市である恵那市の出身ということもあって、方言などは懐かしく読みました。 

 (目次)
1.旅立ち 2.誕生 3.奮闘 4.村長と議長 5.ボランティア 6.世直し、国おこし 7.開村式 8.立村10周年 9.ボランティアのメッカ 10.青春広場 あとがき

 著者は、大正村ができていく過程と設立10周年記念イベントなどを、大正村自体の資料と体験者との対談で、町おこしの観点から、綴っていっています。綴り方も筆者が大正村を訪れていく過程て見聞する人や物や自然から説き起こしてはその誕生の経過などに迫っていく手法の本となっています。従って、電車に乗りながら、町を歩きながらその過程を知っていくことができます。

 大正村が高齢者のボランティアで支えられていて、また、高齢者にとって大変な生きがいになっているという点がよく分かるように構成されています。事実だろうと思いました。生きがいのあるまちづくりとは、結局高齢者が安心して生き生きと働き、集うことのできる生活空間をいうのでしょうが、こういった大正村立村という、観光客を呼んで町おこしをする流れに見事乗って、その中で自分の居場所を見つけて、「青春」している、というあり方がとても素敵だと思いました。

高齢者が生き生きしている★★★★☆  大正村に一度どうぞ★★★★☆  推薦度★★★☆☆

 

60  『風の組曲』 俵 万智 著      2001年1月20日発行 1,200円  2001.8.10 読了

 二部構成になっていて、最初は本職である『和歌』に関する評論を集めています。そして、後半は著者がいろいろなところで発表した「書評」を集めています。個人的には、和歌についてはあまり解らないこともあって、第二部の書評に関するところが興味深く読むことができました。 

 T 前奏 31文字のメロディ

 U 風の組曲 私の愛する作品たち

 あとがき

 二部には、全部で19の作者と作品の紹介がなされています。多いのは文庫本に編集されなおした時の後ろについている「解説」に相当する文章とのことです。
 何とかレジまで本を運ぶ力のある文章を、と念願して書いているとか。著者と面識がある作品の紹介が多いことから、著者と会った時の印象や関わりから入って、作品を独特の切り口で紹介しています。

 個人的に面白いと思ったのは「ホン」ではありませんが映画『萌の朱雀』の感想。最低の日常ことばだけで物語が進行していく不思議(監督の力量)に呆然として、しばしことばがなかったと言う印象を述べているくだりです。私も同印象を受けました。映像の描写力の前には言葉はいらない。逆にいえば言葉が要らないほどの表現力で、画面構成している映画です。となると言葉を手段に「作品」を作り上げる作家にとっては確かにショックなのではないか、と。 

著者の感性がよく分かる書評★★★★☆  短歌がわかる人は一部も面白い★★★★☆  推薦度★★★☆☆

 

59  『埋立地からの叫び』 高谷 清 著  技術と人間社    2001年7月31日発行 2,100円  2001.8.15 読了

 硫化水素が致死量の20倍を越える濃度で噴出して大問題となった滋賀県・栗東町の産業廃棄物処理場。その産廃業者が開業(1978年)してよりガス化溶融炉の運転をあきらめ、解体するまで(2001年2月)の住民運動20年間の記録。運動の流れも経過も問題点もよくまとまっていて、非常に分かりやすく編集されています。作者の冷静な知性と情熱が伝わってくる本です。 

 第1章 加害と被害
 第2章 硫化水素の発生と運動の発展
 第3章 原動力 推進力
 第4章 住民の手による解明
 第5章 問題別叙述
 あとがき

 栗東町の産業廃棄物問題は、ガス化溶融炉の解体によって、大きな山を越えたことは確かですが、決して解決されたわけではありません。何故なら、依然として20年余に渡って「埋立ててきた」産業廃棄物が異臭を放ち、地下水を汚染している恐れが非常に高いからです。「「覆土」による解決、が示されていますが、「汚染の全容解明と汚染物質の撤去」がない限り、地下水が汚染され、やがて琵琶湖まで流れ着くことが考えられます。

 著者は医師です。化学名にも強そうで、何ゆえ危険かがわかりやすく説明されています。栗東の市民運動が止むにやまれぬ「生活の場」でのぎりぎりのたたかいであることがよくわかります。連帯の拍手を送ります。

栗東町の産廃問題を理解しよう★★★★☆  完全解決まで怒りを持とう★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

58  『楽々理解ハンセン病』 武村 惇 編  花伝社    2001年6月1日発行 800円  2001.8.8 読了

 ハンセン病国家賠償訴訟を支援する会 熊本 が中心となって編集した本です。

 判決による全面勝訴と国の控訴断念」が明らかになる直前に出版されたごく最近の本です。ハンセン病問題の現状を理解するために、簡便な入門書として編集されたとあります。そのとおり、読みやすく、一気に読み終えました。

 1.ハンセン病、ご存知ですか?
 2.ハンセン病は遺伝病なのでしょうか?
 3.原告証言から
 4.ハンセン病の歴史
 5.ハンセン病 Q AND A
 6.裁判の情況
 7.特別報告 ハンセン病国家賠償弁護団 弁護士 内山 寛
  あとがき
  資料編

 1953年に「らい予防法(新法)」が制定されて、この法律が廃止されるまでに50年を要しました。法廃止後に、「らい予防法違憲国家賠償訴訟」が13人の原告で提起され、今700人を越える原告となったとあります。 
 証言集の中では、収容所の長が「法の執行人」として自らの手中に権力の全てを集中させて「人権抑圧」の先頭にあったという意味では、収容所の所長たちの責任が「全容解明」の重要な内容として当然に入るべきである、という主張はよく分かりました。

 ハンセン病を理解しよう★★★★☆  国に怒りを持とう★★★☆☆  推薦度★★★☆☆

 

57  『宇宙からの贈り物』 毛利 衛著  岩波新書    2001年6月20日発行 740円  2001.7.28読了

 毛利 衛さんの略暦
 1948年生まれ北海道。1972年北海道大学大学院理学系研究科修士課程修了 北海道大学工学部助教授
 宇宙開発事業団 現在−日本科学未来館館長 宇宙開発事業団非常勤宇宙飛行士

 アメリカが打ち上げる宇宙飛行船に乗って既に2回、宇宙に飛び立って帰還している筆者の、体験に基づいた大変に分かりやすい「宇宙への誘い」の書です。

 1.これが宇宙空間だ
 2.憧れの宇宙飛行士に
 3.宇宙暮らしも悪くない
 4.宇宙で科学実験
 5.地球を見る、そして帰還
 6.国際宇宙ステーションの可能性
 7.ユニバソロジの世界観
 付 2度目の宇宙飛行から帰って
 あとがき

 大変に平易な文章ながら、語っているコトは貴重な初めての体験の報告です。特に、宇宙での実際の暮らしぶりを紹介した「3.宇宙暮らしも悪くない」と、無重力状態で物質はどのような新しい変化を見せるのか、を実験で確認した「4.宇宙で科学実験」は大変に興味深いことがらが沢山書かれています。是非、メモを取ってもう一度読みたいと思いました。

 それと、宇宙ステーションという「人口自然」に生活し、そこから地球に帰還して、何と地球の自然はよくできているか、と実感したというところ。毛利さんのメッセージは確かです。

 宇宙の日常の暮らしがよく分かる★★★★☆  無重力実験が楽しい★★★★☆  推薦度★★★★☆

 

56  『映画で世界を読む』 山田和夫著  新日本出版社    2001年2月25日発行 1,800円  2001.7.16読了

 映画評論家山田和夫氏の評論を久しぶりに読みました。1928年生まれとありますから、73才になっていることになります。今回のは、実際に旅した世界の映画の舞台となった国々の歴史を語りながら、取り上げた映画の魅力を語っています。最新の映画もとり上げられていて、近親感の持てるものでした。

 プロローグ 映画で読む世界の旅へ          1.ピアニストはなぜ船を降りなかったか。
 2.「遠い空の向こうに」ある夢と悪夢          3.ウエールズの「山」は「丘」ではない!
 4.シェークスピアが恋に落ちたのは?         5.アポリジニは爆心地「グランド・ゼロ」にいた
 6.タンゴ発祥の地、マルコが訪ねた国         7.「みつばちのささやき」に耳をすますと
 8.「ユリシーズの瞳」が見たもの             9.「猿の惑星」と”猿の裁判”
10.ナチ戦犯はなぜ南米に逃げたのか。        11.キューバ チャプリンとマルクスの国
12.農業科学者となった中国映画学者         13.韓国映画は今「恨(ハン)」の丘を越える
14.イラン映画の子どもたち、その生命の輝き     15.インド映画で世界は踊る しかし。
16.”無人の野”を生きぬいた人間の力         17.ホロコーストの過去とイスラエルの現在
18.戦艦は本当に帰還できるのか            19.核とアメリカが地球を救うとは
エピローグ 日本映画、二十一世紀のはじめに

 ほとんどの国が取り上げられています。イギリスの歴史はよく説明されていて、理解できた。

 映画からその国を見る★★★★☆  映画を観る目が広がる★★★☆☆  推薦度★★★☆☆

 

55  『京都の恋』 黛 まどか著  PHP研究所    2001年6月6日発行 1,600円  2001.6.24読了

 女流俳人の句集。女性だけの俳句結社【月刊ヘップバーン】代表者。

春      夏      秋        冬・新年       白日傘のお嬢さん       あとがき
家族愛とセラピー        旅と旅立ち        SFワールド      男のファッション学     音楽と映画

 気に入った句 7集

     京扇子はるかな風を呼びにけり      天神の空まぶしくて梅ひらく

     花ひとひらふたひら君を忘れない     詩仙堂秋の添水となりにけり

     まんじゅさげ撫でて真っ赤な風となる   鴨川に片足かけて冬の虹

     この寺の冬が好きだと聞いたから

写真がとにかくきれい★★★★☆  京都が絵になる★★★★☆  句集は久しぶり★★★☆☆  推薦度★★★☆☆

 

54  『男を読む映画』 木村奈保子著  リバティ書房    1998年12月16日発行 1,200円  2001.6.20読了

 かって読んだ『女を読む映画』の姉妹編。著者は、映画評論家で、木曜映画劇場の解説をしているとのこと。

前書き      ヒーロー資質      男の悲劇        アメリカ式男女関係       性をめぐる傾向
家族愛とセラピー        旅と旅立ち        SFワールド      男のファッション学     音楽と映画

 この本のなかには100本以上の映画が取り上げられています。彼女の独特の語り口で映画が紹介されると、そうかなあ、と納得してしまうから不思議です。中でも、家族愛とセラピーのところは、取り上げられている映画16本のうち、11本がが観たことのある映画だったこともあって、十分に納得できた内容でした。

映画鑑賞の参考になる★★★★☆  映画を一言で表すのが上手★★★★☆  デニーロが好きな俳優らしい(よく出てくるから)★★★☆☆  推薦度★★★☆☆ 

 

53  『昭和の子ども 田舎のくらし』 新田鉦三著  平凡社新書    2001年4月18日発行 700円  2001.6.4読了
 

 著者は、岐阜県生まれで、41年間恵那地方で教職にあって、恵那の生活綴り方教育の一翼をになって来られた方と紹介にありました。書いてある内容は大部分が、編集長の生活体験として、追体験してきたことがらのように思えました。大変に親しみやすく、感銘を受けた本となりました。

第1章 ぼくのヒバリ
第2章 梅の実、桑の実、木いちごの実
第3章 月遅れの雑誌
第4章 レントゲン眼鏡
あとがき
解説 「ひとなる」ということ 大田 尭
昭和初年の値段一覧表

 書いてあることは、生活場面と遊びと家の生産の手伝いと伝承行事と生まれた村の様子などです。生活綴り方教育は『恵那の教育』として、資料集も出ているとか。「ありのままに、詳しく」が合言葉だったとあります。

 著者の教育方針を自ら実践して、本書で「ありのままに、詳しく」当時の様子を再現しています。

生活の様子がよく分かる★★★★☆  貴重な記録だと思う★★★★☆  大切な何かを教えてくれそう★★★☆☆ 

 

52  『天国のれい君へ』 中山真由美著  悠飛社     2001年3月15日発行 1400円  2001.5.24読了
 

 サブタイトルとして、「医療過誤で我が子を失って」とあります。この本もそのタイトルのとおり、我が子を『医療過誤』で失った母親がその無念の思いを綴っています。

目次  はじめに
第1章 誕生
 赤ちゃんを待ちこがれて 妊娠の喜びと悲しみと 玲君、こんにちは
第2章 運命の日曜日
 救急外来へ 30分も、お尻を押さえたまま 42度の熱で病院をあとに 心肺停止 蘇生術開始 ついに
 死因はあなたです わが子の葬儀
第3章 豹変した医師
 別人のような態度に 医者を止めてください 木村医師の本心
第4章 組織の壁は厚く
 心の通わない話し合い ただただあきれるばかり 口を閉ざす木村医師 ゼロ査定 死亡の文字に涙あふれて
第5章 提訴
 でたらめなカルテ 久能医師のアドバイス 一年目の謝罪 幕引き前
第6章 交わされていた示談
 納得できない示談の中身 こんなおわり方はいや 最後の話し合い 空欄のある最終文書 なぜ帰したのですか
 素人の声にも耳を傾けてください 第2の玲をつくらないで 
あとがき

 目次を見て大体内容は推察できると思います。2歳の子供が日曜日に緊急外来で診察を受けたのですが、その国立病院の日直の先生があいまいな診察で帰してしまったために、家に着いて病状が急変し、ついには死に至ったのです。外科医の子どもということ、しかもかっては父親が勤めていた病院ということでも、専門家としての無念さも人一倍であろうと想像しました。起こってはならないことが起こってしまったという感じです。

無念さを象徴するできごと★★★★☆   子どもにかける親の愛は無限★★★☆☆   推薦度★★☆☆☆ 

 

51  『桜の花の咲くまでは』 三浦真理子著  扶桑社     2001年1月20日発行 1238円  2001.5.22読了

 サブタイトルとして、「俳優三浦洋一 食道ガンと闘った日々」とあります。そのタイトルのとおり、妻である三浦真理子さんが、夫である俳優三浦洋一さんに食道ガンが発見され、闘病を続けた最後の日々を綴った手記です。

目次
第1章 波乱に満ちた7年
第2章 15年におよぶ持病との闘い
第3章 ガン宣告、そして最後の舞台
第4章 末期ガンとの闘い
第5章 運命への抵抗
第6章 突然の幕切れ
終章  彼の残したメッセージ
あとがき

 電車の中で一気に読み通しました。平易な文章で感情を抑えて書かれています。俳優三浦洋一は最後まで俳優であろうとしたというメッセージが伝わってきます。リーゼントの俳優は最後までそのスタイルを通したことが伝わっていきます。47歳というのは若すぎるのは確かですが、太く生きたとは言えないでしょうか。

俳優も人間であり悩み苦労する★★★★☆   妻の献身的協力が支えた★★★☆☆   推薦度★★☆☆☆ 

 

50  『保育所への企業参入-どこが問題か-』 保育行財政研究会著  自治体研究社
     2001
年4月5日発行 1143円  2001.5.3読了
目次
第1章 企業が経営する保育所
  〇初めて株式会社が保育所を経営 〇ビジョンが経営する保育所 〇三鷹市立保育所の運営を委託したベネッセ   コーポレーション 〇保育所経営で大もうけする人 借金漬けになった人 〇企業戦略から見た保育への参入
第2章 公的保育制度、変質への道筋
  〇公的保育制度の変質とは何か 〇児童福祉法の改正と各種の規制緩和 〇企業参入の現段階をどう評価すべ   きか 〇次の段階は企業の収益確保 〇公的保育保変質
第3章 コスト論を考える
  〇コスト論とは何か 〇コスト差を理由にした民営化は何をもたらすか 〇効率保育所の民営化は社会的に必要な   コストの削減である 〇企業がもたらす新たなコスト差
第4章 ニーズ論を考える
  〇ニーズ論を考える 〇市場原理とは何か 〇事業原理の行き着く先 アメリカの保育事情 〇ニーズ論の根本的   誤り
第5章 今、真にが必要か
  〇公的保育で待機児はすぐに解消できる 〇柔軟な対応の原則 〇効率保育所での市民ニーズを受け止める
  〇保育士の専門性を発展させる
あとがきにかえて

 読みながら納得できる本です。その分非常に説得力があると言うことだと思います。ノートを取りながらじっくり読んだら保育事情をつかむのに絶好の本だと思いました。

 

保育の現段階をしっかり理解する★★★★☆   企業参入の問題点の整理★★★☆☆   推薦度★★★★☆ 

 

49  『アメリカ映画の暗号を読み解く』 越智道雄著   アルク新書   2000年9月25日発行 780円  2001.5.2読了
         目次
第1章 アメリカ大統領に何が起こったか?
 『アメリカンプレジデント』『ニクソン』『クリントンを大統領にした男』『エアホースワン』
第2章 戦うアメリカ
  『フォレストガンプ』『7月4日に生まれて』『狼をさらば』『許されざる者』

第3章 高度管理社会アメリカを映す
 『トウルーマンショー』『ウワサの真相』『サマーオブサム』
第4章 先取りされたアメリカSFアメリカ
 『インデペンデンスデー』『スターウオーズ』『スターウオーズ帝国の逆襲』『スターウオーズジエダイの  復讐』『スターウオーズエピソード1』『ジュラシックパーク』『ゴジラ』
第5章 ワスプ 迷走するアメリカ
 『シティースリッカーズ2』『ザマスク』『フォーリングダウン』『メトロポリタン』『アイズワイドシャ  ット』『バファロー66』『アメリカンビューティー』
第6章 60年代の革命に依拠するカウンターアメリカ
 『買うガールブルース』『ラリーフリント』『裸足で散歩』『きっと忘れない』
第7章 司法・警察のアメリカ
 『殺人課』『チェンバー処刑室』『表決のとき』『NY刑事局』

 取り上げられている映画は90年代中心に40本強。7割は見ている映画で、それをどう解説しているか興味がありました。著者は大学の講義にこれらの映画を活用して「アメリカの文化摩擦」の話をしているとか。
 興味のある方、読まれたし。アメリカを多民族国家の観点で人種の側面から切って解説している気がします。

映画の解説が独特★★★★☆   少し難解★★★☆☆   推薦度★★☆☆☆

 

48  『嫁と姑』 永 六輔著   岩波新書   2000年 月 日発行 700円  2001.4.25読了

またいつか書きます。しばし、待ってくれ!

 

 

 

 


 
味わいながら読む★★★★☆   話術に感心する★★★☆☆   推薦度★★★☆☆

47  『老人読書日記』 新藤兼人著   岩波新書   2000年12月20日発行 660円  2001.4.13読了

 
 書籍の帯びのところに「88才のスーパー独居老人の読書エッセイ」とコピーがありますが、全くその通りの無いようです。まさしく新藤兼人さんはスーパー老人です。88才にして映画監督の現役というのも驚きですが、この本を読んだら分かるように、読書欲は衰えるどころか、好奇心旺盛に難しいテーマを何とも簡単に解いていく読解力には恐れ入ります。

〇はじめに        〇西田幾多郎からシェークスピアへ

〇ラスコーニコフ         〇荷風の断腸亭日乗
〇漱石と子規の「私」      〇テネシー・ウイリアムズの「私」
〇チェーホフの「私」       〇芸リー・ギルモアの「私」
〇棄民たち「私」         〇あとがき


 驚嘆しながら読む★★★★☆   読書の一つの見本★★★★☆   推薦度★★★★☆

46  チーズはどこへ消えた? スペンサー・ジョンソン著   扶桑社   2000年11月30日発行 838円  2001.4.10読了

  目次
  〇ケネス・プランテャード博士による裏話
  〇ある集まり シカゴで
  〇物語 チーズはどこへ消えた?
  〇ディスカッション その夜

 この本について、コラムを書きましたので、以下に紹介します。

 
昨年末発売以来ベストセラーになっている本に『チーズはどこへ消えた?』という本があります。スペンサー・ジョンソン著、門田美鈴訳で扶桑社から出ています。94nの小書で、寓話とその前後の会話からなっています。何故読まれるのか、探ってみました▼登場人物は「チーズ」を探し求めるネズミ二匹と小人二人。二匹と二人が食料としていた「チーズ」が突然無くなってしまいます。二匹はチーズが無いことがわかると、すぐさま次のチーズを求めて迷路へ探しに出ます。しかし小人二人は「チーズはどこへ消えた」と叫んで事態を検討しては失望して腹を立てています。「チーズ」がない状態は一向に変わりません。そのうち、一人が余りの空腹に一歩迷路に足を踏み出します。そして次の「チーズ」を探し始めます。そこから色々なことが分かってきます……▼「チーズ」は私たちが人生で追い求めるもの、仕事・家族・お金・自由・健康などを象徴しているといい、迷路はチーズを追い求める場所、会社や地域社会や家庭などを象徴しているといいます。時代の急激な変化に如何に順応・適応していくかが今風に説かれている気がしました▼教訓話以上のパワーがあるかは読者が判断を(M)2001.4.11掲載

 教訓話として読む★★★☆☆    ちょっと説教気味★★☆☆☆   推薦度★★☆☆☆

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