安全週記
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2017年12月23日記(コンベヤの事故)
 
大阪労働局発表の書類送検事例を考えてみましょう
 ベルトコンベヤの運転を停止させずに清掃作業を行わせた
 http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H29/soken/291218-yodogawa.pdf
 ベルトコンベヤで砂・砂利などの粉体を運ぶと、折り返しの場所でベル
トコンベヤは向きが変わるので、ベルトコンベヤに付いた砂などは下に落
ちてしまいます。これが堆積するとコンベヤを止めてしまうなどの支障が
あるため、落ちた物を掃除しなければなりません。当然、コンベヤを止め
てから作業しなければなりませんが、停止せずに作業して、巻き込まれて
死亡しました。
 ベルトコンベヤの構造上、下に砂などが落ちるものですから、過去から
この作業をしていたと思われます。おそらく作業服に接触し、巻き込まれ
たのでしょう。コンベヤはゆっくり動いていても人間の力では止めること
ができません。
 コンベヤを止めていれば事故は起こらないでしょうが、コンベヤを止め
てはならないという意識があったのでしょう。
 コンベヤを止めたくないのであれば、掃除の際に接近しないように方法
を検討すればいいのです。こぼれ落ちる砂を受け止めて、コンベヤの横の
方に流れるようなガイド板を取り付けるなどいろいろな方法があるはずで
す。
 掃除の際にはコンベヤを止めて掃除することを指導することも必要です
が、掃除をしなくてもいい構造を検討することも必要だと感じます。

                        ご安全に!

2017年12月16日記(スマホ自転車運転)
 12月7日、大学2年の女子学生(20)がスマートフォンを見ながら電動自
転車を運転し、女性(77)に衝突して死亡させる事故がありました。驚いた
ことに、女子学生は左手にスマホ、ハンドルに添えた右手に飲料カップを
持ち、左耳にイヤホンをしていました。事故後、ぶつかってから人が居る
ことに気が付いたということですから、視線はスマホの画面に集中してい
たと考えられます。スマホと飲料カップの両方を持っていたことは、ハン
ドルを手で押さえていたが、ブレーキレバーは握れない状態でした。もし
被災者に気が付いても、ブレーキを掛けられないからぶつかるのは当然で
しょう。こんな状態で運転すること自体が考えられないことですが、この
女子学生だけの問題ではないのかもしれません。自転車による事故を無く
すために2015年6月に道路交通法の改正で規制が厳しくなりましたが、危
険な運転は全く減少していません。
 歩きスマホをしている人も多いです。きっと、危険を自覚していなので
しょう。今まで事故していない経験から、自分は大丈夫と考えているので
しょう。それは安全というのではなく、たまたま事故にあっていないだけ
です。自転車保険に加入していなければ、女子学生には多額の賠償責任が
課せられることでしょう。
 ちなみに、大阪府自転車条例では平成28年7月1日より自転車保険の加入
が義務化されています。


2017年12月16日記(15歳の少女が転落死)
 茨城県古河市下大野の鉄工卸売会社「中央鋼材」古河工場で12月14日
午前11時ごろ、アルバイトの女性(15)が屋根から約13m下のコンクリ
ート床に落ち、搬送先の病院で死亡する事故がありました。
 女性は屋根に設置された太陽光パネルを点検、清掃する仕事をしており
屋根の上を歩いていたところ、天窓が割れ、転落しました。
 屋根の上で歩いていい場所と危険な場所を教えていなかったのか、理解
できていなかったのかもしれません。
 労働安全衛生規則第524条では、踏み抜きを防止するため、30cm幅以上
の歩み板を設ける決まりがあります。
 年少者労働基準規則では、高さが5m以上の場所で墜落により労働者が
危害を受けるおそれのあるところでの業務を禁止しています。傾斜のある
屋根の上を歩いていたので、年少者労働基準規則違反になるかもしれませ
ん。(年少者労働基準規則第8条の24号) 

                        ご安全に!

2017年12月9日記(ホルモン屋でのダクト火災)
 ホルモン焼きの店舗でのダクト火災が多発しているという報道がありま
した。私は、ホルモン苦手なので食べませんが、ホルモンから滴る油が七
輪の炭にかかり、激しく炎が上がるのを見ながら食べるのが美味しいらし
い。その炎が排気ダクトまで達すると、ダクト内の油などが燃え、ダクト
火災が発生します。排気ダクトには吸引気流が流れているため、酸素は十
分ありますので、ダクトの中でも激しく燃えてしまいます。
 フードは、室内に煙が充満するのを防ぐために七輪にできるだけ接近し
ていますので、ダクト内に炎が入りやすい状態になっています。
 「ダクト内の掃除が不十分」などの報道がありましたが、ジャバラのダ
クトの場合は、掃除が難しいでしょう。
 ダクト火災防止のためには、熱感知器・炎感知器を組み込み、防火ダン
パーや自動火災消火設備を連動させることが必要です。
 報道では、「ホルモンなど炎が上がりやすいものは少しづつ焼きましょ
う」と言っていましたが、店にみんなで集まってワイワイガヤガヤして食
べるところに楽しみがあるのですから、対策は難しいですね。
 ガスで焼けばダクト火災の可能性は低いのですが、やはり炭で焼いた方
が美味しい。
 火災のリスクを知り、防火ダンバーや自動火災消火設備を導入すること
が必要です。ダクト内は清掃口を設け、定期的に清掃してください。掃除
しやすくするために、ジャバラダクトは極力使わないようにしましょう。

                          ご安全に!

2017年12月2日記(笹子トンネル崩壊)
 2012年12月の笹子トンネル崩落事故は9人が死亡する大事故になってし
まいました。県警は、中日本高速道路会社の前社長、責任者だった社員ら
8人を書類送検しました。前社長と当時の役員および子会社の役員は子会
社や部下に詳細な点検を指示しなかった過失を認め、点検責任者はボルト
を叩いた音で異常の有無を調べる打音検査を目視中心の検査に簡略化した
過失責任があると判断されました。
 点検に関する事故は数多くあります。1989年の美浜原発での配管破裂事
故や2007年エキスポランドのジェットコースターの脱線事故などがありま
す。点検項目を決めて実行するだけでは不足することもあります。長年使
用すれば、金属疲労や摩耗などが発生しますので、点検項目の細分化、点
検範囲の拡大が必要になるでしょう。

 
2017年12月2日記(睡眠負債)
 先日、今年の流行語大賞の発表がありました。トップテンの中には「睡
眠負債」が入っていました。
 睡眠負債とは、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影
響を及ぼすおそれのある状態ということです。日本人の4割は睡眠時間が6
時間未満で、睡眠不足状態と言われています。
 作業ミスなどの労働災害も睡眠負債が背景にある場合があるかもしれま
せん。労働災害が発生した際の原因分析の中で、作業者の睡眠時間を分析
することも必要かもしれません。

                        ご安全に!
2017年11月25日記(扉につけるお知らせライト)
 
ある会社に訪問したら、防火扉のドアノブのところに光る物を発見しま
した。KING JIMの「扉につけるお知らせライト」でした。
 http://www.kingjim.co.jp/news/release/detail/_id_21569
 会社の防火扉などは、窓ガラスがないために、ドアの反対側が見えませ
ん。そのため、開けようとした時に、反対側からドアを押し開けてドアに
ぶつかったり、ヒヤッとした事は多くの方が経験したと思います。多くの
会社ではドアに「開閉注意 ドアの向こうに人がいます。ドアの開閉には
注意しましょう」などステッカーを貼っているでしょう。しかし、ドアの
向こう側にいつも人が立っていることはなく、ステッカーを貼っても、あ
まり効果が無いかもしれません。その点、この“お知らせライト”は人が
居ない時は消灯し、人が居たら光るので、効果的です。さらにドアノブの
近くにあるので、ぼんやりしていても気が付きます。
 とても良い製品だと思うのですが、欠点もあります。電池がなくなれば
人が居ても光らないのです。メーカーでは電池寿命は6カ月となっていま
すが、ドアを開閉する人だけでなく、前を素通りする人も感知しますので
1日に200人も接近すると、1ヶ月も持ちません。これを付ければ“大丈夫”
と安心せず、メンテナンスをしっかりしてください。
 会社の中の歩行で危険なところはドアだけではありません。交差する通
路でも接触の危険はあります。カーブミラーを設置したり、左側通行を徹
底する会社もあります。カーブミラーも良いのですが、カーブミラーは湾
曲していると、通行の際にぶつかるので、2mぐらいの高いところに設置
することになり、視界に入りにくい欠点があります。そこでお勧めするの
は、コミー㈱のFFミラーです。平面型のミラーでありながら、視野角は
広いので、とても判りやすいです。
 https://www.komy.jp/
 コミー㈱では、無料貸し出し制度を設けていますので、取り付けて効果
を確認できれば購入。死角が解決できなければ返品も可能です。

                        ご安全に!

2017年11月18日記(墜落・転落災害防止対策強化キャンペーン)
 厚生労働省は「建設業における墜落・転落災害防止対策強化キャンペー
ン」を12月~1月に実施します
 http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=238139
 先日、ある会社に伺った際、窓が大きく、窓の一番下は床面から75㎝ほ
どしかありませんでした。「この窓は危ないですね?」と聞いてみると、
「何が危ないのですか?」と逆に聞かれました。「窓から下に転落します
よ」と答えると、「そんな人は居ませんよ」と即答されました。もちろん
開いた窓に接近する程度なら落ちることはないでしょう。しかし、窓に接
近した時に、他の人と接触したら弾みで落ちるかもしれません。また、歩
いていて足元の何かに躓いたら、倒れそうになる勢いで落ちる場合もある
でしょう。担当の方には、手すりを付けてもらうようお願いしました。
 安全担当の方は、手すりなどの高さをすぐ分かるように、自分の身体を
物差しにしておくと便利です。私の場合は、腰骨の一番上のあたりが踵か
ら90cmです。腰骨の位置と比較するだけで、手すりの高さを知ることが
できます。
 開口部や足場などでは、手すりの高さだけでは不十分です。作業では、
中腰になったりすることもあります。手すりの高さが90cmあっても、
その下に何もなければ、中腰の状態では転落を防ぐものがありません。そ
のため、手すりだけでなく、中さん、下さん(幅木)などで転落を防ぐ必
要があります。
 中さん、下さんがあっても、たった30cmでも隙間があれば、人間は落ち
る可能性があります。墜落・転落事故は死亡災害につながることがありま
す。
 現場で高所作業があって、防護柵がなくても、安全帯を着用しているか
ら大丈夫です。という方もおられますが、安全帯はフックを掛けなければ
意味がありません。いくら安全帯のフックを掛けるように指導しても、人
間ですから忘れることもあります。監督者も常に全員の安全帯のフックだ
けを監視することも困難です。先日の緑十字展でも、安全帯のフックの装
着状態を見える化した製品をPRしている会社もありましたが、人間の信頼
性に頼る安全管理は無対策と同じかもしれません。
 作業者が安全帯のフックを掛けず転落した場合、作業者の過失で、会社
は関係ないとはいえません。高所で作業中に鳥や蜂が飛んでくる可能性や
地震が発生するかもしれません。
 安易な安全帯での墜落防止ではなく、ハード面の対策を第一に考えてく
ださい。

                        ご安全に!
2017年11月11日記(ドライブレコーダー)
 11月8日は全国産業安全衛生大会の緑十字展に行きました。いろいろ新
しい情報をいただきました。
 その中で一番注目したのは、デンソーテンの通信型ドライブレコーダー
でした。安全運転管理テレマティクスサービスは、単に記録するだけでな
く、ドライバーの運転傾向をデータ化することができるので、運転管理の
PDCAが進めやすくなります。
 https://www.denso-ten.com/jp/biz-recorder/g500lite/
 P:安全運転を行うための計画
 D:走行データの記録
 C:ドライバーの注意点の自動解析
 A:自動解析をもとに教育に展開する
 従来のドライブレコーダーは事故があった時に、その瞬間の運転状況を
確認できますが、事故時以外の状況を確認するためには、画面を全部見な
ければならず、運転時の問題点や、ヒヤリハットを抽出するのはとても困
難です。
 しかし、このシステムは、車間距離や速度の状態がデータ化されます。
さらに、急ブレーキ等の状況からヒヤリハットの状況を数値化できるので
いつ危険な状態になったかが判り、その時の映像をすぐに探し出すことが
できます。また、運転記録を元に、KYの教育資料作成を作ることができ
ます。さらに2カメラ(前方および後方)にも対応しているので、スマホ
運転もしっかり記録されてしまいます。
 ドライバーにとっては、常に運転適性検査を受けているようなもので、
導入には消極的になるでしょうが、運転管理をする立場の方にとっては、
いいシステムだと思います。

                        ご安全に!
2017年11月4日記(ギロチン)
 大阪労働局の送検事例に、安全装置のないシャーを使用させたとありま
す。“シャー”とはあまり馴染みのない名前ですが、刃を押し当てて切り
落とす機械をシャーと呼びます。いわばギロチンみたいなものを想像する
と判りやすいでしょう(スライドして切るものもシャーといいます)。
 そのシャーでの送検事例がありました。
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H29/soken/291027-sakai.pdf
 資料にはイメージ図も入っているので事故の状況が判りやすいと思いま
す。
 金属などを切断できるのですから、手を入れると危険な事は誰でもわか
ります。しかし、このような機械でも手の切断などの事故は何度も発生し
ています。
 (例)
 ・左手で加工物の位置を調整しているときに、右手が無意識に起動ボタ
  ンに触れる
 ・起動ボタンを押す時に、左手の位置に注意しなかった
 など、作業を繰り返しているうちに、無意識にやってしまうのでしょう。
 事故を防ぐためには、両手が刃に触れることの無いように、両手起動ボ
タンを採用するのが一般的です。
 ただ、両手起動ボタンだから事故は起こらないとは限りません。片方の
ボタンのすき間に爪楊枝などを差し込んで、常にONの状態にして、片方の
ボタンだけで起動するようにするかもしれません。そのため、1回切断す
ると、両方のボタンから手を離さなければ次の切断ができないような回路
にしなければなりません。また、両手起動ボタンの距離も注意する必要が
あります。片手で指をいっぱいに広げたら両方のボタンを同時に押せるよ
うでは距離が足りません。
 また、加工物をセットして、防護カバーをセットしなければ起動できな
い構造も有効です。
 安全対策をしても頭の良い部下は安全対策を無効にして作業するかもし
れないということに注意する必要があります。

                        ご安全に!

2017年10月28日記(ビフォー・アフター)
 厚生労働省は、脱毛や脂肪吸引などの「美容医療」を巡るトラブルが続
出する状況を受け、10月25日、医療機関のホームページ(HP)などで、
患者の手術前と後の写真を掲載することを原則禁止する方針を固めたと報
道がありました。理由は、美容手術は個人で結果が異なることも多く、加
工や修正を加えた写真も多いということでした。
 ビフォー・アフターの手法を5S活動に取り入れている会社も多いと思
います。やはり画像は見て判るので効果的です。「品物を倉庫の棚にきっ
ちり戻せ」と指示するだけでは、どのように置けば良いのか分かりにくい
こともあります。写真などで示すと一目瞭然です。
 職場巡視をした時、整理整頓が悪いと指摘しても、良い状態と悪い状態
を理解させるのは難しいでしょう。悪い状態の写真と良い状態の写真を掲
示しておくと、誰が見ても、悪い点・良い点が見えてくると思います。
 整理整頓の良い状態を維持するのは難しいかもしれません。毎日作業し
ていると“今の状態が普通”と考えてしまい、だんだん悪化してくるもの
です。最初に良い状態を写真に撮って掲示すれば、職場巡視の際の基準が
判りやすく共有されます。
 しかし、そのような写真を掲示しても、悪い状態になっている職場も多
く経験しました。それはチェックする機能がない場合です。良い状態の写
真を掲示しても、だんだん悪くなってしまうものです。最初に良い状態を
作り、写真を掲示し、従業員に周知したら、それが継続できているか定期
的にチェックすることが必要です。そして、生産の変化があれば当然、収
納状態も変わりますので、新たな基準を定め、新しく写真を掲示しなけれ
ばなりません。継続をするためには、PDCAのCとAが必要です。


                       
 ご安全に!

2017年10月21日記(ドライブレコーダー)
 今年6月東名高速道路で進路をふさぎワゴン車を停止させ、大型トラッ
クに追突されて夫婦が死亡する事故で、25歳の建設作業員が過失致死傷と
暴力容疑で逮捕されました。この報道から、あおり運転や通行妨害運転が
報道され、関心を集めています。それらの報道からドライブレコーダーの
売れ行きが激増しています。
 ドライブレコーダーは事故等があった際の状況を再現することができ、
また、記録が残ることから、運転者の安全運転意識につながるので搭載を
お勧めします。
 昔のドライブレコーダーは衝撃の前と後を記録するものが多かったので
すが、最近は常時録画が主流になっていますので、前の車の進路妨害も記
録できます。また、最新では360度撮影が可能になり、運転席も車の左右
のような死角も記録できます。
 中でも運転席が映るのがお勧めです。居眠り運転、スマホ運転も証拠が
残るのでより運転に集中するでしょう。
 私自身、後ろを走る運転手に怒鳴られ、怖い思いをしました。ある日。
走行していたら、後ろの車がクラクションを激しく鳴らしました。理由が
判らないまま運転している時、対向車が右折しようとして、渋滞になって
いたので、停止して道をゆずったら、激しくクラクション鳴らされ、その
時「もっと早く走れ!」と急かされていることに気が付きました。その直
後に信号待ちで止まったら、後ろの運転手が降りてきて、怒鳴りまくられ
ました。このまま後ろに付けられて家まで来られては大変なので、進路を
変えて帰りました。制限速度で走行しても怒鳴られる。右折車に進路を譲
ると怒鳴られる。世の中にはいろんな運転手がいます。
 もし、そんな事があったら、ドライブレコーダーを向けるようにしよう
と思っています。
 たとえば、「後方監視ドライブレコーダー搭載」「360度監視ドライブ
レコーダー録画中」などのステッカーを後ろに貼ると効果あるでしょう。
  (ステッカーはいろいろ市販されています)
 360度撮影ドライブレコーダーはフォークリフトに搭載するのもいいの
ではないでしょうか。後進時の後方確認や指差し呼称の状況も記録される
ので、オペレーターの意識も高くなるでしょう。

                        ご安全に!
2017年10月15日記(ヘリマシステムがすごい)
 10月9日TBS系列で放送中のがっちりマンデーで紹介されたヘリマシ
ステムがすごい。フォークリフトや重機を使っている事業所では是非、導
入を考えていただきたいと思うほどの製品です。
 建設現場や製造業、物流など多くの事業所でフォークリフトや重機を使
用しています。これらの作業でもっとも注意しなければならないのは、人
との接触です。
 オペレーターは十分注意して、周囲の確認をしていますが、人間だから
見落としもあります。たとえば、
 〇作業に焦って、周囲の確認を怠る
 〇死角に人が居た
 〇人が居たけど、離れていったと思い込んだ
 〇人が飛び出してきた
 〇物影に人がいて気が付かなかった
 このシステムの良いところは、オペレーターにも作業者にも接近を知ら
せることができます。
http://www.tiock.co.jp/movie/movie.html
 ただ、これを導入すれば対策は完璧だとは言えません。
  ・スイッチを入れ忘れる
  ・バッテリーが切れる
  ・ヘリマシステムの装着を忘れる
  ・想定外の装着していない人が接近した
  ・システムの故障
  ・スピードオーバーで、検知してもブレーキが間に合わない
 このヘリマシステムを導入しても従来通り、周囲の確認や、歩行者側
でも気を付けなければなりません。使う際には必ず、点検・動作確認を
してください。
 試してみたいという場合には、レンタルがあります。
 (機械レンタルネット)
 http://www.y-rental.net/news/new/5671.html

                        ご安全に!
2017年10月7日記(魔法の水:液体ガラス)
 9月30日、TBSのニュースキャスターに魔法の水(液体ガラス)の紹介が
ありました。
 http://www.woodrescue.co.jp/
 テレビでは文化財などの焼失を防ぐために、木材に木材・繊維の防炎処
理材“ファイアーカットを塗ると、ガソリンをかけて火を付けても燃えな
いというものです。
 http://akira-100p.xyz/news-caster-mahounwarter/
 火災は事業継続の大きな障害になります。火災発生にはヒューマンエラ
ーだけでなく、放火や隣家からの延焼など、防護が難しい面もあります。
保険を掛けるだけでなく、このようなものも必要だと感じます。

2017年10月7日記(プレス機の事故)
 
9月29日、大阪労働局の送検事例が公表されました。
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H29/soken/290929-osakaminami.pdf
 プレス機は両手操作式の安全装置が取り付けられていましたが、足スイ
ッチの切り替えが可能でした。両手操作はプレス稼働時に両手が操作盤に
あるため、プレスに手を挟まれることはありません。昔の両手操作式には
ボタン部に何か部品を挟みこんで、いつも押している状態を維持して、片
手で操作できるものもありましたが、今のものは両手をボタンから離さな
ければ次の起動ができません。
 加工物が長尺や安定性が悪い場合には、両手で支えて、足で稼働する方
法もありますが、その場合は、光線式安全装置(光線による監視エリアに
手などが侵入すると停止するもの)を設けなければなりません。
 事故のあったものは両手操作と足スイッチの切り替えキーが付いていた
ようです。しかし、勝手に切り替えたために発生したのでしょう。
 現場指導をすると、切り替えキーをさしたまま使用しているプレス機を
よく見ることがあります。本来は、管理者がキーを保管し、作業員による
切り替えを禁止しなければなりません。
 20~30年前には、「プレス機で指を落としたら一人前」なんという怖い
話があったものですが、今は数々の安全装置ができ、正しく作業していた
らプレス機は安全な機械です。しかし、作業者が勝手に設定を切り替えた
り、点検をおろそかにすると、このような事故が発生します。

                        ご安全に!

2017年9月30日記(屋根からの転落)
 大阪労働局のホームページに書類送検事例がありました。屋根の塗装工
事で地上から6mの高さから作業員が転落し、事業主が書類送検されまし
た。(下記の報道記者発表資料)
 http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/
 塗装などのリフォーム工事では足場を組まなかったり、足場を組んでも
転落防止に十分な手すり等を設けないことも見受けられます。
 書類送検資料にも斜面のある屋根での安全帯の取り付け方法が記載され
ていますが、実践しているところは少ないのかもしれません。
 事故を起こした事業所は個人事業所でした。斜面屋根の安全帯の使用方
法など知らなかったのかもしれません。 
 安全帯といえば、先週、私が訪問した事業所に安全帯がたくさんありま
した。しかし、安全帯を使うような場所はありません。メンテナンスをす
るために上に上がるようなところには、全て柵があり、手すりの高さも十
分あり、中さん・下さんもありました。私が、「あそこなら安全帯を使わ
なくてもいいですね」というと、そこの社長は、柵が十分であっても人間
は何をするか判らない。安全帯不要だとは分かっているが、全員に安全帯
使用を義務付けている。と説明してくれました。
 そこの会社は創立以来、8年間無事故です。“安全”というのは、社長
の意識の差が大きく影響するものでしょう。

                        ご安全に!

2017年9月23日記(ピンポイント風速予測)
 TBSのがっちりマンデー9月10日のテーマは「お天気ビジネスでした」
 http://www.tbs.co.jp/gacchiri/
 その中で紹介された、エコモットのピンポイント風速予測“サインロイ
ド2”がとても素晴らしいと感じたので紹介します。
 https://www.ecomott.co.jp/press/470/
 建設現場は強風のために作業を中止する決まりがあります。(クレーン
則第31条の2)クレーン等の重機の作業は強風(10分間の平均風速が10m/s
以上)時には作業を中止しなければなりません。自然の風ですから予測が
困難です。気象庁の風速予測は20km四方のため、その現場で活用できると
は限りません。強風が吹いて作業を中止すると、クレーン以外の作業にも
ロスが生じます。この規制はクレーンだけではなく、鉄骨組立作業、足場
の組立等、建設関係に大きく影響します。
 サインロイド2は、6時間先まで10分単位で工事現場での風速を予測で
きるのです。
 気象予報会社のライフビジネスウェザーと共同で開発したもので、ライ
フビジネスウェザーのデータと現場のセンサーのデータを分析して、現場
の風速を予測できるのです。サインロイド2が数時間後の強風を予測した
ら、先にクレーン等作業を行い、数時間後に風が弱まると予測したら、ク
レーン等の作業を後回しにできます。これによって、現場監督者は常に風
に注意して、急な作業内容変更をする必要がなくなり、効率よく作業がで
きます。

                        ご安全に!

2017年9月16日記(荷役災害防止講習会)
 陸上貨物運送事業の労働災害の70%は、トラックの荷台等からの墜落・
転落等の荷役作業中に発生しています。さらにその70%は荷主等(荷主、
配送先、元請事業者等)の事業場で発生しています。このため、厚生労働
省では平成25年3月に「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガ
イドライン」(以下、「荷役ガイドライン」といいます。)を策定し、陸
運事業者の実施事項、荷主等の実施事項を示しました。この荷役ガイドラ
インに示された荷役災害防止担当者に対する安全衛生教育(荷主等向け)
講習会を全国47か所で開催します。
 http://jashcon.or.jp/membersite/archives/714
 この講習会は厚生労働省の委託事業であり、どなたでも無料で受講する
ことができます。
 荷役作業はどの業種でも行われており、運送業者が納品・引き取り等で
構内で作業することにより、激突、挟まれ、接触、転落、転倒等の災害が
発生しています。
 大阪での開催は11月21日です。多くの方のご参加をお待ちしています。
 また、日本労働安全衛生コンサルタント会のホームページでは「荷役災
害防止のための好事例と改善アドバイス」を公開しています。
 http://www.jashcon.or.jp/contents/niyaku-advice


2017年9月16日記(小田急電車火災)
 9月10日、小田急線の電車が線路沿いの建屋の火災に巻き込まれ、電車
の上部が燃えている報道をご覧になった方も多いでしょう。
 なぜ電車が燃えてしまったのでしょうか?初期行動に問題はなかったの
でしょうか?
 警察が消防からの指示により、非常停止ボタンを押しました。これは、
列車を止めるためではなく、線路側から放水するためでした。踏切の非常
停止ボタンは、踏切の前で電車を止めるものであり、近くを走行している
電車を止めるものではありませんでした。警察も消防も非常停止ボタンを
押せば、火災現場に電車は来ないと考えたのでしょう。
 その結果、火災現場に電車が停止し、車両の上部が燃えました。燃えた
のは、漏電時に車内を守るための絶縁目的のウレタン塗装でした。
 もし、非常停止ボタンを押して、消防隊が線路から放水していたらどう
なったでしょう。電車は踏切の手前までは走行しますので、消防隊に電車
が激突する可能性もありました。
 あの場合は、非常停止ボタンを押すのではなく、小田急線の指令センタ
ーまたは駅に連絡するべきだったのでしょう。
 (火災現場の上り側と下り側の両方の踏切で非常停止ボタンを押す方法
も有効です。2つの踏切の間には車両が侵入できなくなります)

                         
ご安全に!

2017年9月9日記(リスクアセスメント)
 9月7日に労働安全衛生調査の結果が公開されました
 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h28-46-50b.html
 調査項目は、安全教育、リスクアセスメント、ストレスチェック、受動
喫煙防止、長時間労働、高齢者の安全対策、熱中症予防等があります。
 この調査は無作為に抽出した14000事業所の安全衛生活動等の結果です。
 (調査対象13,884社、回答数9,564件、回答率68.9%)
 リスクアセスメントを実施している割合は46.5%で半数に達しません。
これは調査協力した会社の割合で、無回答の会社が約3割あり、安全衛生
に関心の薄い会社は調査協力をしないことを考えると、リスクアセスメン
ト実施率は4割に満たないかもしれません。
 リスクアセスメントは災害防止には最も有効な方法と言えます。なぜな
ら、考えられる不安全行動や不安全状態を想定し、その結果発生する災害
を把握できるのです。その中で対策の順番を決めて、順次対策していきま
す。対策できなくても、危険性を教育して、作業方法を決めれ、それを実
行すれば必ず災害は減少します。
 評価方法などが判らなくても、リスク(危険な状態)を列挙するだけで
もいいです。KYミーティングやヒヤリハット活動も有効な方法です。
 リスクアセスメントは労働安全衛生法で努力義務になっているから実施
しなくてもいいという考え方はやめてください。努力義務であっても労働
契約法の安全配慮義務に含まれるものです。事故が発生して、民事裁判で
高額な損害賠償を請求されても、裁判で“予見は可能”と判断し、その対
策をしていなければ安全配慮義務違反として裁判では負けてしまいます。


2017年9月9日記(スマホの騒音計)
 スマホの騒音計アプリが進化していました。
 以前も安全週記で紹介したと思いますが、スマホの騒音計アプリがあれ
ば、職場の騒音レベルを簡単に知ることができます。しかも無料です。
 (購入した時にはインストールされていないので、ダウンロードする必
要があります)
 以前の騒音計アプリは、瞬間的な騒音レベルと最大と最小を表示するも
のでしたが、今回見つけた騒音計アプリは等価騒音レベルが計れるのです。
等価騒音レベルは、ある時間内の時間平均値を算出するものであり、作業
環境測定法でも等価騒音レベルを計ることになっています。
 等価騒音を計れる騒音計は20万円ほどしますが、スマホのアプリは無料
で、職場の騒音の目安を知るには最適だと思います。
 もちろん、スマホを校正することができませんので、法で定める作業環
境測定記録としては使えませんが、職場パトロールや日常の点検には十分
です。私の所有している普通騒音計とスマホで等価騒音を測定しましたが、
やはり誤差はあるものの、職場巡視には使えます。自分の耳で判断するよ
りはるかに合理的です。誤差を見込んで、スマホの等価騒音で80dB以下で
あれば、第1管理区分と考えてもいいでしょう。80dBを超えるようであれ
ば、定期に作業環境測定を行いましょう。
 誤差の原因は、マイクの性質が大きく影響しています。スマホのマイク
は指向性があり、普通騒音計は指向性がありません。使う時にはマイクの
向きにご注意ください。
 ちなみに、私が使っているアプリは、“Sound Analyzer App”と“騒音
測定器”です。名前だけでは特定することが困難だと思います。興味があ
れば一度試してください。
 なお、アプリの中には周波数分析ができるものもあります。おおよその
周波数が分かれば、騒音の性質が判り、騒音レベル低減対策にも役立ちま
す。“FrequenSee”(スペクトラムアナライザー)を使っています。
 スマホの騒音計の数値は、「参考値」として使用してください。

                         
ご安全に!

2017年9月2日記(クレーンの合図)
 クレーン操作の合図について現場で感じたことを紹介します。
 その現場では作業指揮者がクレーン操作者に指示していました。合図を
手で行いながら声もかけていました。その声は、荷を「上げ(あげ)」・
「下げ(さげ)」でした。このように声を掛けている会社も多いのではな
いでしょうか。
 指示は正確に相手に伝える必要があります。
 「上げ」と「下げ」。たった二文字でも間違える可能性があります。
 漢字で表記すると違いは明確ですが、音で示すと「A・G・E」と
「S・A・G・E」となり、よく似ています。
 さらに声に出すと、「GE」の方にアクセントがあるので、
「A」と「SA」が同じように聞こえるかもしれません。また、周囲の騒
音が大きいと、聞こえにくく、間違える可能性もあります。間違いは事故
につながることがあります。
 どうすれば良いでしょうか。
 ある会社では「上げ(あげ)」と「降ろせ(おろせ)」としていました。
声による情報伝達は、指示を受ける方が「次は上げる」と思い込んだら、
「SAGE」と言っても「AGE」と誤って聞き取る可能性があります。
騒音などが加わるとさらに間違う可能性は高くなるでしょう。
 これは言葉ですが、文字でもよく似た例はあります。
 バルブなどの開閉を表す「開」「閉」。音は全く違いますが、漢字とし
て見るとよく似ています。よく似ているということは間違える可能性があ
ります。漢字については何十年も接しているので見間違いは無いと断言す
るかもしれませんが、高齢者・暗い・視力の衰え、急ぐなどの条件が加わ
ると、「開き」だろうとか、「閉まり」だろうと考えてしまう可能性があ
ります。開・閉の文字だけでなく、色分けをする例もあります。また、
「通・止」と表記することも有効でしょう
 指示や表示は聞き間違い、見間違いが起こる可能性があります。どのよ
うに指示、表記すれば間違いの可能性が下がるかを考えましょう。

                         ご安全に!

2017年8月26日記(ボタンの形状)
 今年4月、岐阜県可児市の食品会社で、ひき肉を作るミンチ機の清掃を
していた派遣社員がミンチ機に左手を巻き込まれるという大きな災害があ
り、食品会社と社長が書類送検されました。
 派遣社員は精肉作業終了後、ミンチ機の清掃のために、スクリュー刃を
本体から外そうとして手を差し込んだ際に、身体の一部が起動スイッチに
当たり、手が巻き込まれました。
 起動スイッチは誤操作を防止するために埋頭型でなければなりませんが
突出型(キノコ型)だったために、触れただけで起動してしまいました。
ミンチ機は当初は埋頭型の起動スイッチでしたが、修理に出した際に、業
者が突出型のボタンを付けたものです。
 修理業者の過失ではありますが、修理業者も食品会社もボタンの形状に
規制があることを知らなかったのでしょう。
 起動ボタンは埋頭型、停止ボタンは突出型(キノコ型)でなければなり
ません。


2017年8月26日記(洗剤の誤飲)
 8月19日、秋田市の飲食店で、洗剤を誤って日本酒として客に出してし
まい、客2名が飲んだという事件がありました。客は、喉・食道の痛み、
口腔内のただれの症状があり、救急搬送されました。
 原因は、日本酒の空き瓶に洗剤を小分けし、それを冷蔵庫に保管して
いたのです。
 今回の事件は飲食店ですが、産業の現場でも考えられます。飲料用の
瓶やペットボトルに溶剤等を入れることで誤って飲んでしまう可能性が
あります。
 私もいろんな会社でペットボトルに溶剤等を入れているところを見て
指導してきました。
 その会社では、「ペットボトルは使っているが、ちゃんと表示してい
るから間違うことなど無い」などといいます。ところが考えてみてくだ
さい。喉が渇いた時に、ボトルの表示を毎回確認して飲みますか?、裏
側に貼ってあるラベルをわざわざ見ますか?、ラベルが剥がれたらどう
なりますか?
 麦茶のペットボトルを置いていると思い込んでいたら、ラベルを見る
ことはしません。色が違っても気が付かないでしょう。ふたを開け、臭
いを確認することもなく、口に運んでしまうでしょう。
 ペットボトルやコーヒーのスクリューキャップボトルは手軽な容器か
もしれませんが、飲料以外のものは入れないでください。
 ある会社では灰皿の横に消火用の水を入れたペットボトルを置いてい
ました。その会社の方は「水ですから間違って飲んでも大丈夫です」と
答えましたが、何か月も経過していたらどうなるでしょう。
 もし、間違えて飲んだ時にはどのように対策しますか?「飲む時には
しっかり表示を見ろ」と指導しますか? それより、飲料用のボトルの
再使用は不可と徹底する方が良いでしょう。

                         
ご安全に!

2017年8月20日記(水の事故)
 毎年のことですが、夏になると、池、湖、川、海での事故が多発してい
ます。
 私自身何年も泳いでいません。5年ぐらいでしょうか。その時はジムの
プールで泳ぎました。泳ぎというのは不思議なもので、何年たっても、普
通に泳ぐことができます。小学校の時は、泳ぎが苦手で、苦労したのが嘘
のようです。
 さて、泳げるというのと、泳いで助けに行くというのは全く違うと言わ
れます。泳ぎが得意な人であっても溺れてしまいます。水泳の時と違って
服を着ていますし、溺れた人に抱きつかれて身動きができないということ
もあります。
 救助が困難な例として、ため池での溺死があります。ため池は流れもな
く、容易に助け出せるようにも見えますが、ため池の周囲は人が昇るため
の設備がないため、無理に昇ろうとして、力を使い果たすことがあります
(ため池の周囲は滑りやすい)。
 万一溺れた時には、背浮きで助けが来るまで待つことが有効です。安易
に助けに行くと、一緒に被災してしまいます。
 背浮きは、仰向けになって、鼻口を水面から出して呼吸するだけです。
力を抜くと、自然に浮くものです(特に海は塩分があり、浮きやすい)。
 溺れた人を発見した際にも安易に助けに行ってはいけません。空のペッ
トボトルを投げて渡したり、ロープや長い棒で掴ませることが重要です。
 以前、勤務中に、溺れた人を発見して、助けに行って溺死したという労
働災害もありました。救助は必要ですが、無謀な救助はしてはいけません。
 川遊びだけでなく、釣りに行く時にも、救命胴衣を備えてください。
 2011年8月17日、静岡県の天竜川の川下りで船が転覆して5人が死亡した
ことがありました。真夏の暑い時期に救命胴衣を着させるのは暑いし、も
っとも、流れが緩やかで危険と判断しなかったことが背景にありました。
 備えあれば患いなし。といいます。水に入る予定がなくても、落ちるこ
とがあったり、溺れた人を助けようと咄嗟に飛び込むことがあるかもしれ
ません。川遊び、釣りなどの時は救命胴衣を使いましょう。

                         
ご安全に!

2017年8月12日記(連休中の事故)
 8月11日、東京都千代田区の東京会館ビル建替え工事で、3人が転落死し
た事故が発生しました。30階建ての5階にエレベーターを通す縦穴の上に
置いていた敷鉄板が外れ、その上で作業していた社員が地下3階部分まで
落下し、2階付近で作業していた2名が巻き込まれて転落したということで
す。
 原因は不明ですが、鉄板の固定ができていなかったのか、鉄板を支える
強度が無かったのかもしれません。
 また、大分県別府市の城島高原パーク(遊園地)では、コース上で点検
をしていた作業員がテスト走行中のコースターにはねられて死亡する事故
がありました。
 原因は点検作業員と運転操作員の連絡ミスなのでしょうが、コース上に
作業員が居る状態でコースターを起動するのでしょうか。気になるのは、
死亡したのはメンテナンス会社の作業員で、もう一人は運行管理者だった
ようです。業務内容の事前打ち合わせが不十分だったのでしょうか。
 連休前半ではこの二つの事故が気になりました。両方とも、このような
事故が発生することは予測しにくいものかもしれません。この二つの事故
には、作業手順の検討、作業手順書の作成、作業手順書の承認と周知がで
きていなかったのではないかと感じます。 

                       
  ご安全に!

2017年8月5日記(マッサージ器の事故)
 厚生労働省は電気マッサージ器の使用について注意喚起を出しました。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000048807.html
 7月には北海道で、足用のマッサージ器に衣服が巻き込まれ、窒息によ
る死亡事故が発生しました。同様の事故が過去に何度も発生しています。
 マッサージ器にはいろいろ種類があります。振動するもの、低周波によ
るものなど。事故が多発しているのは、ローラーの回転式です。高速回転
というほどではありませんが、人の身体を乗せても回転するのですから、
トルクはとても強いです。人の力でその回転を止めようとしても無理です。
そのため、衣服や髪の毛が巻き込まれたら大きな事故になることもありま
す。今回のマッサージ器には回転部分に布製のカバーがありましたが、長
期間使用していたため、破れてしまい、カバーを外して使っていました。
カバーで覆われたところには、刺激を与えるための突起物があり、そこに
衣服が引っかかると巻き込んでしまいます。慌てず、マッサージ器を停止
させれば良いのですが、パニック状態になったり、寝ていたら停止操作が
できない場合もあります。
 現在もローラーが回転するマッサージ器は販売されていますが、巻き込
むなど過負荷がかかった時には止まるような安全装置が付加されています。
安全装置は付いていますが、布製のカバーが破れているものは使わないよ
うにしてください。
 安全装置が付いているといえども、過負荷を検知する機能が故障するこ
ともあります。
 家庭で使う電気機器としては、扇風機があります。これは羽にカバーが
付けられています。もし、カバーを外して使用して巻き込まれたとしても
大きな力はありませんので、ひっぱれば、回転を止めることができます。
 このように機械の安全化を図るには、
 ①回転部分を無くす(ハザードの除去)
 ②回転部分に触れないようにカバーをする(隔離)
 ③回転部のトルクが小さい(ハザードの低減)
 ④触れてもケガをしないような材質にする(ハザードの低減)
 などが必要になります。

                        
 ご安全に!

2017年7月29日記(アスクル書類送検)
 今年2月に発生した、物流拠点のアスクルの火災はまだ記憶に新しいと
思います。その関係者が書類送検されることになりましたが、それは火災
の発生ではなく、危険物貯蔵の消防法違反でした。アスクルの倉庫で保管
していた危険物は一般に広く使用されているエタノールを含む消毒液など
でした。消毒用エタノールはインフルエンザ予防で広く使われていますが、
アルコール類の指定数量は400リットルなので、1本500ミリリットルと仮
定すれば、800本あれば、指定数量を超えてしまいます。アスクルではそ
の指定数量の4倍以上を無届で保管していた疑いでした。一般消費者が使
用するようなものであっても、無届で保管してはなりません。
 気になる火災の出火原因が特異なものだったようです。出火原因は、エ
ンジン付きのフォークリフトに段ボールが接近し、それが発火したと考え
られています。エンジンに段ボールが接近したことによって出火する事故
は初めて聞きましたが、内燃機関も火気であり、火災が発生しても不思議
なことではありません。


2017年7月29日記(海上保安庁特殊警備隊の熱中症)
 7月12日に海上保安庁特殊警備隊の訓練中に25歳の男性が熱中症になり
26日に死亡しました。この事故では対応が問題があったと考えられます。
 12日の午後1時から訓練を開始し、1時間後、意識がもうろうとしている
隊員を見つけました。すぐに休ませ、水を飲まそうとしましたが、飲むこ
とができませんでした。しばらく休ませましたが回復しないため、病院に
搬送しましたが、すでに重篤な状態であり、病院では対応が不可能と判断
され、救急車を要請して救急搬送しました。救急搬送したのは最初に気が
付いた時から2時間も経過していました。最初に気が付いた時には、すで
に意識がもうろうとしており、水を飲めない状態でした。その時に、すぐ
に救急搬送していれば助かったかもしれません。なぜ救急搬送が遅れたの
かが問題だと感じます。熱中症予防も重要ですが、初期対応も重要です。
 私も仕事がら「救急車を呼ぶか休ませるかの判断のポイントはどこです
か」と、よく聞かれるのですが、まず、自力で水を飲めない場合は、一刻
も早く救急搬送してください。また、水を飲むことができても容態が回復
する兆しがなければ、救急搬送してください。

                         
ご安全に!

2017年7月22日記(ジェットコースター事故)
 7月16日、富士急ハイランドのジェットコースター「ド・ドドンパ」の
タイヤがパンクして、コースの途中で停止してしまいました。そのわずか
2日後の18日には営業を再開しました。
 富士急ハイランドのHPには、単に「安全が確認できました。営業を再
開します」というお知らせだけでした。
 https://www.fujiq.jp/news/
 パンクの原因は何も書いていません。パンクの原因をたった2日で解明
して対策できたのでしょうか。
 タイヤを交換して、人間に相当する重りを乗せて試験走行を繰り返した
だけのように思えます。
 このド・ドドンパは、わずか1.5秒ほどで最高速度は時速180kmに達し
ます。そんな速度で、気温が高い環境で、1日に何回も運転していたら、
パンクするのが当然なような気がします。
 トラブルのあと、お客様は無事に地上に降りたようですが、どのように
降ろしたのでしょうか。メンテナンス用の足場や垂直の梯子を降りたので
しょうが、転落防止が施されていたのでしょうか。その脱出手順は事前に
定めていたのでしょうか。とても気になります。


2017年7月22日記(新国立競技場 過労自殺)
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会場となる新国立競技場
建設の下請け業者で現場監督をしていた23歳の男性が、1ヶ月に200時間程
の残業を強いられ自殺しました。
 男性は昨年4月に入社し、その年の12月から新国立競技場の現場に配属
されました。そして、2017年3月に「今日は休む」と連絡したあと失踪し
自殺しました。
 入社1年で現場監督になり、同じ現場の人はみんな年上、その上、工期
短縮を強いられ、長時間の労働が続きました。
 長時間労働による自殺といえば、その頃、電通事件が明らかになり、新
聞等で大きなニュースとして取り上げられていましたので気にならなかっ
たのでしょうか。友人は厳しい状態であることを聞いていながら「あいつ
は大丈夫、この状況を乗り越えられる」と思ったのでしょうか、また、両
親も厳しい状況であったが乗り越えられると信じていたのでしょう。
                         ご安全に!

2017年7月15日記(エスカレーター事故)
 香川県のショッピングセンターのエスカレーターで車いすが転落し、後
ろにいた女性が巻き込まれて死亡する事故がありました。
 そもそもエスカレーターに車いすを乗せることが間違っているのですが
エレベーターが無い場合や遠い時には車いすを乗せてしまうことも考えら
れます。空港などではカートを使うことが多いのですが、エスカレーター
の前にはポールゲート等を立てて、カートが入らないように対策されてい
ますが、空港以外ではあまりポールゲートを見ません。
 エスカレーターで危険なものは車いすやカートだけではありません。大
きなスーツケースもあります。大きなスーツケースが上から転がってきた
ら死亡事故になるかもしれません。まだエスカレーターが上りであれば、
上の方(前の方)が視界に入りますので、いざという時には避けたり、手
すりを持って、巻き込まれを防ぐことが可能かもしれませんが、エスカレ
ーターの下りの時には、後ろからスーツケースが落ちてくる場合も考えら
れます。特に、下りエスカレーターではスーツケースを持っている人の横
を歩いて降りる時に足をスーツケースに引っ掛けて落としてしまうことも
考えられます。
 「エスカレーターは立ち止まって手すりを持ちましょう」と注意書きが
ありますが、守らない方は多いです。
 万一の事故に巻き込まれないようにするためには、エスカレーターを使
わないことしかなさそうです。 


2017年7月15日記(新幹線 エアセクション)
 6月21日に高槻市で新幹線の停電があり大きな影響がありました。原因
は同相エアセクションという、二本の架線が重なる部分で、通常の走行に
は問題ありませんが、その場所で停止し、発車する際に二本の架線が短絡
してしまうのです。この同相エアセクションでの停電事故は以前から何度
も発生しています。しかし、新幹線の線路内にはエアセクションの場所を
示す表示が無かったということで、本当に驚きです。事故を受けて、今後
190カ所に標識を新設することになりました。
 以前からエアセクションでのトラブルはありながら、新幹線では過去に
無かったということで標識を付けなかったのでしょう。
 過去の事故に対する対策が水平展開できていなかった。リスクを過少評
価した例といえます。 


2017年7月15日記(空調服)
 今週、空調服を購入しました(空調服とは、作業服に送風ファンが取り
付けてあり、送風と発汗の際の気化熱で温度上昇を防ぐものです)。
 https://ec.midori-anzen.com/shop/contents1/coolfan.aspx
 初めて使いましたがとても快適です。この記事を書く時も使っています。
現在私の事務所の室温は33℃ありますが、空調服のおかげでクーラーも必
要ありません。
 この空調服を購入したのは、今月・来月と暑い職場の巡視を予定してい
ます。作業者は熱に順化しているので耐えられるでしょうが、私は熱に順
化していないので、とても厳しいです。コンサルタントが現場に出向いて
熱中症になるわけにいきません。
 熱中症は梅雨明け後に多発します。皆様、ご注意ください。

                        
 ご安全に!

2017年7月8日記(線状降水帯)
 今週は台風3号が過ぎ去ったと思った5日から福岡県などに非常に大量の
雨が降り、多くの被害が出ました。この大雨は線状降水帯と呼ばれ、次々
と発生した発達した雨雲が襲ったものでした。過去には、平成26年8月の
広島市の土砂災害、平成27年9月関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊したなど
記憶に新しいと思います。
 気象庁は大雨特別警報、土砂災害警戒情報等を発し、これまでに経験し
たことがないような異常事態をアピールしましたが、多くの人命が失われ
てしまいました。福岡県朝倉市では24時間に544ミリもの雨が降ったとい
うことでした。
 自治体が作成している防災危険(ハザード)マップなどの情報をもとに
十分警戒してください。


2017年7月8日記(スマホのカーナビ)
 埼玉県草加市で今年2月、38歳女性と男児をトラックではねて死傷させ
た事故がありました。運転者は、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)な
どの罪に対し、さいたま地裁は禁錮2年6月(求刑・禁錮5年)の実刑判
決を言い渡しました。
 当時(2/8)、被告はスマートフォンのカーナビ機能を使い、画面を見
ながらトラックを運転。赤信号を見過ごして交差点に進入し、左から来た
トラックに衝突した弾みで歩道に乗り上げ、母子を死傷させました。
 判決では「スマートフォンの画面表示に気を取られ、赤信号になって約
20秒もの間、一切注意を払わず事故を起こした。通常の見過ごしと一線を
画しており、過失の態様は非常に悪い」と断じました。
 一般に車載カーナビは、運転中のテレビ視聴や設定等を運転中に行えな
いようなシステムになっています。シフトレバーをPにしなければ一部の
操作ができないようになっています。しかし、スマホのカーナビはそのよ
うな操作制限がありません。
 20秒もの時間にスマホ画面に集中するということは、300メートルを前
を見ずに走るようなものです。
 スマホのカーナビは便利かもしれませんが、車載用のカーナビと違う危
険があることを知っていただきたいと思います。

                         ご安全に!

2017年7月1日記(新名神高速工事中の事故2)
 6月19日、大阪府箕面市の新名神高速の工事現場で、作業員が鉄板の下
敷きになって死亡するという事故の続きです。
 落下物の災害防止には、落とさないことが一番ですが、どんなに点検し
ても、どんなに慎重に作業しても完全に防ぐことはできません。やはり吊
り荷の下に人が居ないことが重要です。
 今回の事故は、地面の強度(重機の沈み込みを防ぐなど)のために、鉄
板を敷く作業でした。当然、鉄板を敷く場所は平にしておかなければなり
ません。事故は、鉄板を吊り上げた状態で、作業者が鉄板を敷く場所を平
にしている時に発生しました。これは、決して許されない行為があり、作
業指揮者、クレーン操縦者、作業者等の連絡(作業指示・安全確認)が不
十分だったと思われます。
 敷き鉄板は何枚も繰り返し作業するため、だらだらと作業を繰り返して
いたのでしょうか。同じ作業の繰り返しでは、繰り返しが多いほど、危険
意識が低下するものです。しかし、同じ作業であっても、まったく同じ作
業ではありません。場所が変わると、敷き鉄板を置く場所の状態、クレー
ンの位置、アームの角度、吊り具の状態、作業者の疲労度などが作業の都
度変わっていくのです。同じ作業の繰り返しであっても、点検・確認→指
示→作業→点検・確認・・・の手順を省いてはなりません。


2017年7月1日記(スキーバス転落その後) 
 昨年1月15日、長野県軽井沢でスキーバスが転落し、15人が死亡した事
故を覚えていると思います。
 長野県警は、社長や元運行管理者は、土屋運転手が大型バスに不慣れで
あることを知りながら、安全対策を怠ったり適切な指導をせずに乗務させ
たということで書類送検することになりました。
 事故車両の検証時、バスのギアはエンジンブレーキが利かないニュート
ラルの状態になっていました。高速から低速に無理に変えようとするとニ
ュートラルになるよう電子制御されており、県警は運転手がギア操作をミ
スした可能性が高いとみています。
 先日、ある会社で脚立の使い方について勉強会をしました。参加した人
に、「脚立の使い方を教えてもらった人は居ますか?」と聞くと誰も居ま
せんでした。脚立の使い方は教えなくても誰でも使える物と考えてはなり
ません。

                        
 ご安全に!

2017年6月24日記(新名神高速工事中の事故)
 6月19日、大阪府箕面市の新名神高速の工事現場で、作業員が鉄板の下
敷きになって死亡するという事故がありました。トラックのクレーンで重
さ約800キロの鉄板(縦約3m、横約1.5m、厚さ約2cm)をつり下げて
地面に敷き詰める作業をしていたところ、フックから鉄板が外れて下の作
業員が挟まれました。
 新名神高速道路の事故といえば、昨年4月には1300トンもの橋桁が落下
し、10人が死傷する事故があり、橋桁落下により2か月以上も通行止めが
ありましたので覚えていることと思います。
 今回の死亡事故の詳細は不明ですが、吊り上げた鉄板の下に人が入って
いなければ誰もケガをしなかったでしょう。
 吊り荷の下に入ってはいけないということは、クレーンを扱う人、玉掛
けをする人にとっては当然のことです。しかし、今回事故が発生してしま
いました。
 このように事故が発生すると、再発防止策をとる必要がありますが、ど
のように対策をするでしょうか。多くの方が「荷の下に入ることを禁止」
として周知するのではないでしょうか。
 しかし、荷の下といってもどの範囲なのかを説明しているでしょうか。
荷が落ちてその衝撃で、周囲の物が壊れて、倒れかかるかもしれません。
荷を吊り上げる時に、立入禁止エリアの大きさを指導することが必要です
吊り荷からの安全な距離を個人の判断に任せるようではいけません。それ
は、作業者の個人の経験から判断されるものであり、全員が荷の落下を経
験しているとは限りません。
 また、なぜ、被災者は吊り荷の下に入ったかを分析しなければなりませ
ん。さらに、荷が落ちた原因究明も重要です。

                         
ご安全に!

2017年6月17日記(ハーネス型安全帯)
 国際基準に適合するフルハーネス型の墜落防止用保護具を原則とする
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000167504_1.html
 一般に安全帯は胴ベルト型のものが使われています。しかし、墜落した
時に生命を守れるとは限りません。胴ベルト型は腰骨にしっかりと装着し
なければなりませんが、位置がずれると、墜落の際に内臓を痛めたり、内
臓破裂で死亡することもあります。腰骨は丈夫な骨ですが、少し上側にず
れて装着すると、骨のないところに強烈な過重がかかります(落下の加速
度が加わった体重による衝撃がかかる)。フルハーネス型は墜落時の衝撃
を胴体、足、尻などに分散するので、安全性が高いです。
 さらに、墜落時に安全帯で助かったといえども、救助されるまでには時
間がかかります。その間、胴ベルトだけでぶら下がるので、とても苦しい
です。数十秒でさえ苦しいのに、救助まで、何分、何十分と我慢しなけれ
ばなりません。しかし、フルハーネスであれば、ダメージも少ないので、
1時間を超えても耐えることができるでしょう。
 厚生労働省や労働局ではフルハーネスの普及をPRしていますが、なか
なか広がりません。多くの労働者が転落しないから、高価なフルハーネス
は必要ないと考えているのでしょう。
 猿も木から落ちると言われる通り、誰でも落ちる可能性があります。万
一の時に備えて、フルハーネス型安全帯を導入しましょう。


2017年6月17日記(バス事故とシートベルト)
 6月10日の東名高速のバス事故で、バスの乗客は一人も犠牲者が出てい
ません。これは、バスの強度の高いところに乗用車が当たったということ
と、乗客がシートベルトをしていたことが幸いしていました。
 大けがをしたバスガイドが会見で、バスの発車時と、高速道路に入る時
に呼びかけ、装着を確認したということでした。もし、乗客がシートベル
トしていなかったら、もっと悲惨な事故になったことでしょう。
 2020年9月以降は全ての座席についてシートベルト未装着時の警告ラン
プが転倒する装置(シートベルトリマインダー)の装備が義務化されます。
これによってさらに交通事故による死亡者・重傷者が減ることが期待され
ます。

                         
ご安全に!

2017年6月10日記(内部被爆)
 6月6日、茨木県大洗町にある日本原子力研究開発機構の核燃料の研究施
設で、袋の中から放射性物質の粉末が漏れ出し作業員5人の手袋や服など
が汚染されたトラブルで、このうち1人の肺から最大22000ベクレルの放射
性物質が計測されました。
 作業は、ドラフトチャンバー(透明な扉で覆い、手だけが入るスペース
だけ開けた囲い式の局所排気装置)の中で行われました。ドラフトチャン
バーの中は陰圧状態でしたが、破裂の勢いで、放射性物質が外にも飛び出
した。作業員は半面型の防じんマスクを装着していましたが、飛散した放
射性物質を吸い込んでしまいました。
※なぜ、破裂を予測できなかったか?
  作業員は密閉してある蓋のボルトを外す際に、蓋が膨らんでいる状態
  を見ていたが、そのまま作業を継続してしまいました。
※なぜ、防じんマスクを装着していたのに粉じんを吸引したか?
  防じんマスクは完全なものではありません。ある実験結果では漏れ率
  の平均が15%というデータもあります。
  有害性の高いものであれば、わずかな漏れも危険です。電動ファン付
  き呼吸用保護具を使っていれば、マスク内を陽圧に保つことができる
  ので、吸引は防げたかもしれません。
  また、作業者は事故のあった部屋から数時間も出ることが許されず、
  長時間吸引してしまったことも吸引の原因だと考えられます。
 リスクアセスメントで破裂を予測できなかったこと、異常を発見した際
の手順を定めていなかったこと、危険な物質に対して不完全な保護具を使
用したことがあったと思われます。

                         ご安全に!

2017年5月27日記(発注者の責任)
 下記の記事をご覧ください。
  工事中に足切断、津市に8900万円賠償命令 津地裁
  津市が発注した道路の工事中に建設会社従業員の男性が左足を切断す
  るけがを負ったのは、市が工事の安全を確保する義務を怠ったのが原
  因として、男性が約1億300万円の損害賠償を市に求めた訴訟の判
  決で、津地裁は29日、8900万円の支払いを命じた。
  岡田治裁判長は判決理由で、工事を監督する津市の職員は現場にあっ
  た石積みの擁壁が崩落し、作業員の安全が脅かされる危険性を認識で
  きたと指摘。「安全が確保されるまで工事の一時中止を指示すべき義
  務を怠った」と結論付けた。
  判決などによると、男性は平成24年3月、深さ約1.4メートルの側溝の
  中で掘削作業に当たり、掘削で支えを失ったため近くにあった高さ約
  1メートルの石積みの擁壁が崩れ、左足を切断するけがを負った。
           (2017.5.29産経ニュースより引用)
 この裁判では、工事を受注した建設会社ではなく、発注した市に責任が
あると判断されました。
 発注者である市が工事を監督していたということですが、実際の作業に
ついては、受注した建設会社が指示命令をしていたはずですが、市の監督
者が事故を予見でき、中止させる責任を有していると判断されたのです。
 発注者が現場を監督する場合も多いでしょうが、監督者は工事は建設会
社に任せっきりだったのかもしれません。監督というのは工事の進捗確認
だけではなく、工事の安全も監督しなければならないということです。


2017年6月3日記(熱中症) 
 平成28年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」が公表され
ました。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166428.html
 昨年の熱中症による死亡者は12人、死傷者は462人でした。この死傷者
というのは、休業4日以上の人数であり、救急搬送したけど、3日以内に復
帰した人は含まれていません。多くの熱中症は、体調悪化で休ませただけ
で済むことが多いので、軽症を含めた熱中症の数はこの10倍、100倍かも
しれません。熱中症をもたらす原因は高温多湿の作業環境には違いありま
せんが、作業者の体調が結果を左右することが多いのです。熱中症防止の
ために、水分・塩分を摂取しようと声掛けしますが、どのくらいの量が必
要なのでしょうか。それを会社が適切に指導することは困難です。作業員
一人一人が失った水分・塩分を知り、それを補う必要があるのですが、作
業者本人も分からないでしょう。
 そこで体重をチェックすることをお勧めします。作業開始前と昼休み前、
昼休み後と作業終了後の4回。トイレの回数や食事の量も関係するので、
正確な量は分かりませんが、どのくらいの水分が失われたかは見当がつく
でしょう。おのずと水分摂取量の過不足が判ってくるでしょう。また、体
重を計ることで熱中症防止の意識向上にも期待できます。さらに前日との
差や、週初めとの差も比較することをお勧めします。

                         
ご安全に!

2017年5月27日記(階段の表示)
 階段での事故はかなり発生しています。階段が濡れていたり、人とぶつ
かったり、滑り止めが浮き上がって、それに躓いたり、荷物を持っていて
前が見えずに踏み間違えたりいろいろな転倒事故が発生しています。事業
所の中には、階段を「左側通行」と表示して、接触の防止に努めていると
ころもあります。手すりが両方に無い場合は、手すり側が「下り側」とし
ているところもあります。
 先日、ある事業所に指導に行った際に、階段の蹴上げ(けあげ)のとこ
ろに意識向上のために「安全第一」「歩きスマホは危険」「身だしなみを
整えよう」などいろいろな表示がありました。階段を上がる際にはどうし
ても目に入るので有効な方法だと思います。しかし、その表示を貼る人は
どのような態勢で貼っているのでしょうか? 階段にしゃがみ込むような
姿勢だと思います。足を前後に開いて階段の上に立てば比較的安定状態を
保てますが、両足が同じ段にあると、立ち上がる時に「ふらっ」とした時
に後ろ向きに階段を落ちるかもしれません。古い表示を剥がそうとして引
っ張った時に後ろに倒れるかもしれません。押しピンが転がり落ちて、そ
れを拾うときに転倒するかもしれません。
 階段に掲示物を貼るのは危険だから止めなさいとまでは言いませんが、
掲示をさせる際には、危険性を教え、安全な作業姿勢などを教えてくださ
い。

                       
  ご安全に!

2017年5月20日記(平成28年労働災害発生状況)
 厚生労働省は平成28年の労働災害発生状況を公表しました。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000165073.html
 死亡災害は928人となり、前年に比べ44人減少となり、第12次労働災害
防止計画(平成25~29年)の死亡災害を15%以上減少させる目標に近づい
ていますが、死傷災害は目標に遠く及ばない状況です。
 死亡災害で気になる点は交通事故が増えていることです。毎年警察庁が
発表する交通事故死亡数は昨年3,904人と減少しているにも関わらず、業
務上の交通事故は増加傾向にあります。携帯電話を使用する頻度が増えた
のではないでしょうか。その他の要因としては、宅配の増加や介護福祉の
車利用が増えていることもありそうです。
 死亡災害は減少傾向にありますが、死傷災害は平成24年よりわずかに減
少しただけでした。社会福祉施設、小売業、飲食業、陸上貨物運送事業は
増加傾向にあります。これらの業種は、小規模での事業が多く、安全対策
の遅れがあるでしょう。
 また、高齢化も関係しているかもしれません。年齢別災害発生状況を見
ると60歳以上が最も多く24%を占めています。

 
2017年5月20日記(駅のホームから逃走)
 
最近のニュースで、駅のホームから線路内に逃走することが目立ちます。
逃走中に転落死したと思われるものもありました。痴漢がバレたから逃げ
たのか痴漢と間違えられたから逃げたのかは判りませんが、その多くは首
都圏で発生しています。私も東京へ出張することがありますが、とにかく
人が多い。ぎゅうぎゅう詰めの中では女性に当たらないようにすることは
困難かもしれません。痴漢でなくても、痴漢と思われるような状態になる
こともあるでしょう。女性が「痴漢!」と声を出すと、犯人と決め付けら
れ、無実を訴えても証明することができず“逃げるが勝ち”と考えるので
しょう。ホーム上はいつも人が多く、逃げられません。そのため、線路に
降りて逃げてしまうのです。線路を走るのはとても危険です。
 これから暑くなり、女性の服装も薄く露出も増えるので、痴漢に間違え
られる可能性も高まるでしょう。間違えられないように気を付けてくださ
い。間違えられないようにするためには、女性の近くを避けることです。
避けられない場合は、両手で吊り革を持つことです。

                         
ご安全に!

2017年5月13日記(労働基準関係法令違反事案)
 厚生労働省は「労働基準関係法令違反事案」を公表しました
 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
 これには、事業者名とその内容が掲載され、改善されない限り1年間表
示されるそうです。厚生労働省は毎月掲載するそうです。
 件数は334件、そのうち211件が労働安全衛生法に関するものです。
 211件の中で一番多いものは墜落・転落に関するもので63件ありました
 次に多いものは労災隠しで28件あり、労災等の報告で虚無の報告をした
事案も11ありました。
 〇 墜落・転落に関する事案:63
 〇 労災隠し事案:28
 〇 機械の安全装置の不備等、機械に関する事案:19
 〇 技能講習等無資格運転に関する事案:19
 〇 虚偽の報告等、偽りに関する事案11

 
2017年5月13日記(安全帯)
 大阪労働局淀川労働基準監督署が書類送検した事例は興味深いので紹介
します。
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H29/soken/290508-yodogawa.pdf
 墜落・転落に関する送検事例は数多く紹介してきましたが、それらは
「転落防止の柵等が無かった」「安全帯を使用させていなかった」という
ものが多いのですが、この事案は、安全帯を着用していたが、安全帯のフ
ックを掛け替える際に転落したものです。送検事例の文面の中には
「安全帯のフックを掛け替える必要がある場所で労働者に作業を行わせる
場合には、フックが2つある2丁掛け安全帯を使用させる必要があるが、
災害発生時には被災者は2丁掛け安全帯を着用していなかった」とありま
す。
 書類送検は厳しいと感じる方も多いと思いますが、安全帯のフックを外
して、次に掛け替える間は、安全帯を装着していないと同じことですから
[高所=安全帯の使用]ではなく、[高所=作業に適合した安全帯の使用]と
考えなければなりません。
 作業で安全帯を使用する作業がある場合は、安全を確保できる安全帯が
必要です。皆様の職場で安全帯を使う場合は、作業に適合した安全帯を使
っているか確認してください。
 もちろん、作業に適合した安全帯を着用していても、フックを掛けてい
なければ同じことです。さらにフックを掛けることを指導するだけでは責
務を果たしたとは言えません。フックを掛けて作業していることを確認し
てください。

                         ご安全に!

2017年5月6日記(ポカリスエットのCM)
 ポカリスエットのCMをご覧になりましたか?
 (CMのタイトルは「踊る始業式」) 
 https://www.otsuka.co.jp/adv/poc/
 私は驚きました。なぜ?このような撮影をしたのだろう。
 その理由は、2015年6月27日、台湾でおこったカラーパウダーの粉じん
爆発を思い出したからです。あの粉じん爆発では500名を超える人が負傷
し、15人が死亡しました。原因はトウモロコシから作るコーンスターチを
着色した微細粉末を噴霧した際に何らかの点火源があり、粉じん爆発を起
こしました。まだ点火源の特定には至っていないようですが、夜間の音楽
イベントであり、照明や音響設備などが考えられます。
 CMでは数百人の男女が踊っており、万一、何かの点火源があれば、一
瞬にして、大惨事になったことでしょう。
 台湾の事故以来、カラーパウダーを使ったイベントは全て中止されいる
と思ったのに驚きでした。
 CMの企画から撮影まで多くの人が関わっていると思いますが、誰一人
として危険と感じなかったのでしょうか。
 大塚製薬様には、上記の内容でメールしましたが、「担当宣伝部に伝え
る」と回答があっただけでした。
 あのような大きな事故が2年も経たないうちに忘れられたのでしょうか。
思い出したくないものであったとしても、忘れてはいけません。


                         ご安全に!

2017年4月29日記(2015.10.8広島雑居ビル火災)
 1年半前、広島のメイドカフェなどが入った雑居ビルで火災が発生し
3人が死亡した事故を覚えているでしょうか。
 当時は放火ではないかと言われていましたが、呆れるような原因がわ
かってきました。
 別の飲食店の店員がゴミ置き場付近でゴキブリを駆除するために、ア
ルコールスプレーをまいて、ガスバーナーで火を付けて駆除したことが
原因と考えられています。
 ゴキブリを駆除する方法まで教育することはあまりないかもしれませ
んが、このような方法を取ることは考えにくいですね。殺虫剤がなかっ
たのかもしれませんが、ゴミ置き場ですからゴミが燃えることは考えら
れなかったのでしょうか。
 これに関連するかもしれませんがエタノールの火災はちょっと厄介な
ことになる場合があります。2013年8月4日に滋賀県で消火訓練中に爆発
炎上して、10人が火傷する事故がありました。これは、消防団員が火が
ついているオイルパンにエタノールを継ぎ足したのです。なぜそんな危
険な行為をしたかというと、エタノールの炎は赤くないので、屋外では
目立たず、消えていると判断してしまったのです。
 なお、飲食店や一般家庭で、コンロの周辺でゴキブリを見つけて、殺
虫剤を噴霧して、コンロの火で引火する事故も発生しているようです。
 暖かくなると害虫が現れてきます。同じようなことをしないでいただ
きたいです。


2017年4月29日記(ラベルでアクション)
 今週は私が執筆した雑誌の記事を紹介します。

テーマ「化学物質を扱うときは“ラベルでアクション”しましょう」
■化学物質に関する規制強化で求められる適切な管理
 化学物質は、一般家庭で使う洗剤などであっても、「混ぜるな危険」
という表示があるように、取り扱いを誤ると、死亡事故が起こり得ます。
そのため、平成28年6月に施行された改正労働安全衛生法により、ある
一定の危険性・有害性が確認されている化学物質について、リスクアセ
スメント(危険性または有害性などの調査)の実施が事業者に対し義務
づけられました。これは事業所の規模を問わず、すべての業種が対象と
なります。
■まずはラベル表示で危険性を把握し、適切な対策を
 化学物質を安全に取り扱うには、まずはその物質の危険性・有害性を
知ることが大切です。危険性の有無をすばやく知るには、製品の容器や
包装のラベル表示を確認します。なかでも絵表示を見れば、どのような
危険性があるかがひと目でわかります。それぞれのマークの意味や注意
点を、従業員に周知しておきましょう。
 また、ラベル表示がある製品については、事業者は、リスク低減措置
の検討・実施が必要です。納入元やメーカーなどからSDS(安全データ
シート)を取り寄せ、リスクアセスメントを行いましょう。その結果を
もとにリスク低減策を講じ、従業員に周知してください。
 SDSとは、化学製品を現場で安全に取り扱うための情報です。リスク
アセスメントを実施するうえで重要な情報源となりますので、参考にし
てください。なお、SDSは法改正や新たな知見により、内容が予告なく
更新されます。毎年1回は必ず最新版を取り寄せて使用するようにして
ください。
 事故を防止するには、従業員に危険性・有害性を正しく説明し、安全
な取り扱いを理解・実行させることが最も重要です。「ラベルでアクシ
ョン」をモットーに、化学物質を取り扱う人すべてに対して適切な管理
を促しましょう。
※ラベルでアクションの詳細はこちらをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135046.html

                         
ご安全に!

2017年4月22日記(大津市内の信号トラブル)
 滋賀県大津市内の交差点で昨年8月、信号の変わる周期が急に速まっ
て交差点内で乗用車同士が衝突し、1人が首に軽傷を負う事故が起きて
いたことが分かりました。滋賀県は信号の不具合が事故の原因と認め、
事故の当事者2人に損害賠償金計150万円を支払うことになりました。信
号の制御機は導入してから19年経過し、老朽化によるものとして交換し
ましたが、その後もトラブルが続いているようです。
 運転手は信号を常に注目しているわけではありません。経験上、信号
が変わるタイミングは大体分かりますから、青信号に変わって、数秒で
赤に代わることはないのですから、何も気にしないで交差点に進入して
しまいます。そこで交差する側が青信号に変わると、よほど注意しなけ
れば事故になるでしょう。
 いまだに原因が不明ということです。
 トラブルの原因は違法電波かもしれません。
 消防庁の報告では、違法電波が原因で石油ストーブの点火回路に影響
し、無人の場所でストーブが点火し、火災になった例もありました。
 http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/re/info/huhou/ 
 信号機の故障は特殊なのかもしれませんが、スマホ運転など前方を見
ずに運転したり、暴走自動車もあります。信号が青になっても、左右を
確認してください。


2017年4月22日記(3億8千万円強奪事件)
 福岡県で4月20日に3億8千万円が強奪される事件がありました。
 そんな大金を一人で運ぶことに疑問を感じた方も多いのではないでしょ
うか?
 こんな事件に関連した、ちょっと面白い商品を見つけたので紹介します。
 「TrackR bravo」
 https://plusstyle.jp/shopping/item?id=33
 500円玉と同じぐらいの大きさで、これをカバンに付けておくと、盗ま
れてもスマホで追跡できます。高齢者の徘徊防止や、犬猫等のペットの
捜索にも役立つかもしれません。
 ある事業所で、台車にチェーンの鍵を付けているところがありました。
他の部署の人が勝手に使うので、いつも行方不明になるということです。
そのため、鍵を付けているということでしたが、これがあると台車がどこ
にあるかすぐ判るかもしれません。

                          
ご安全に!

2017年4月15日記(自動ブレーキ)
 
千葉県で、昨年、自動車販売会社の試乗中に、自動ブレーキ機能を過信
し、試乗に来た男性に「ブレーキを踏むのを我慢してください」と伝え、
運転手は前の車が停止して、止まらなければならないことを認識していま
したが、店員の指示を聞き、ブレーキを踏みませんでした。その結果、前
の車と衝突し、その結果、2人にケガをさせました。事故当日は雨のため
ワイパーを作動させており、危険を検知するカメラの視認状況が悪かった
ことと、日暮れ時で見通しが悪かったこと、停車中の車が黒かったことな
どが自動ブレーキ機能が作動しなかった要因と考えられています。
 千葉県警は、追突事故の原因を作ったとして、業務上過失傷害容疑で店
員と店長を書類送検しました。
 警察庁は、「現在実用化されている自動運転は、あくまで『支援技術』
で完全ではなく、責任は原則として運転手が負う」と改めて注意喚起しま
した。
 http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/jidounten/kouhou/290414kotsukyoku.pdf 
 自動ブレーキは運転支援アシストであり、公道で客に体験させるのは危
険です。事故防止には有効な装置ですが、完全なものではありません。過
信しないようにしてください。

                        
  ご安全に!

2017年4月8日記(剪定作業の安全)
 大阪労働局のニュースリリースに書類送検事例がありました。
 生垣の剪定作業中に墜落
 (報道発表資料)
 http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/news_topics/houdou.html
 昨年11月3日に生垣の剪定作業中に転落死があり、安全帯等の墜落防
止措置ができていなかったということです。
 造園業では三脚脚立(3本足の脚立)が良く使われます。枝と枝の間
に潜り込みやすいように1本の脚があり、あと2本は普通の脚立のように
ステップが付いています。
 ニュースリリースを読むと、「安全帯を使用させる等墜落防止措置を
講じていなかった」とありますが、造園業で安全帯を装着して作業をし
ているところを見たことがありません。
 三脚脚立は足が三本しかないので、不安定です。幹に脚立を固縛して
固定する必要がありますが、それも見たことがありません。
 職人の方に脚立を幹に固縛しろと言っても「幹を痛めるからダメ」安
全帯を付けろといっても「掛けるところがない。幹を痛めるから幹には
掛けられない」というでしょう。さらに、剪定場所が変わるたびに面倒
なことはできない。そんなことをしなくても、落ちない。というでしょ
う。職人の方に保護具を付けろと言うのは簡単ですが、それを守らせる
のはとても難しい問題です。
 対策としては、脚立は1.8メートルまで。その脚立で届かない場合は、
高所作業車を使用することが望ましいでしょう。しかし、高所作業車を
所有していない場合は、レンタル料などでコストが上昇します。
 造園業の墜落防止はとても厄介な問題です。
 少なくても、墜落しても致命傷を避ける必要があります。例えば、走
高跳などで使うクッションを下に敷いておくという対策もあります。
 工場などで植木の剪定を業者に委託する場合は、墜落防止について検
討してください。
 類似災害(職場のあんぜんサイト) 
 http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101186

                         
 ご安全に!

2017年4月1日記(那須スキー場での雪崩)
 3月27日那須スキー場付近で雪崩により高校生など8人が死亡した事故
がありました。
 事故後に、多くの問題点が指摘されました。
 ①訓練計画はあったが、登山のみであり、悪天候などの場合の代替計
  画はなかった。ラッセル訓練の具体的な計画はなく、その場で決定
  した。
 ②雪崩注意報が発令されていたが、現場の教員の過去の経験から危険
  な ところは避けてラッセル訓練した。
 ③国有林に入る際の入林届は提出されていなかった。
 ④ビーコン※を携帯していなかった(ビーコンとは電波を発信するこ
  とによって、埋まった際の被災者の場所を知らせるものであり、電
  波受信モードに切り替えると、被災者の発見につながるもの)
 ⑤通報手順が定められておらず、通報が遅れた。
 今回の雪崩は表層雪崩とみられており、その雪崩のスピードは時速
100キロを超えることもあり、逃げることはできません。また、前兆も
なく、予測は困難です。
 2016年にはスポーツ庁が「高校生以下は原則として冬山登山を行わな
い」と通知を出していたそうですが、「冬山」の定義がなく、今回の計
画も春分の日以降ということで通知には該当しないと判断もされていま
した。
 今後、生徒の安全確保のために規則が整備されていくのでしょうが、
自然環境では何が起こるか分かりません。2014年に御嶽山の噴火で、58
人が死亡する事故もありました。だからと言って、すべての登山を禁止
することも現実にはできません。
 危険は冬山に限らず、職場でも街中にもあります。過去の経験則で安
全と判断して行動することも多いでしょう。
 特に今回の場合、訓練として多くの参加者を集めており、雪崩注意報
が出たからといって、何もせずに帰るわけにいかなかったのかもしれま
せん。

                          
ご安全に!

2017年3月25日記(シロアリ対策ロボット)
 積水ハウスはシロアリ対策にロボットを導入しました。
 http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1703/15/news037.html
 我が家もかなり年季の入った家であり、シロアリには頭を悩まします。
去年はフローリングの傷みがあったので、床を剥がした際に一緒に防蟻
剤を噴霧したのですが、その前は、化学防護服を着て、防毒マスク・ヘ
ルメットを着用して床下に潜って噴霧しました。業者に委託すればよい
のですが、自分でやれば薬剤代だけでできるので、やってみましたが、
とても苦しい作業です。床下をほふく前進するのですから移動も大変で
すし、防毒マスク着用なので息苦しい。暑いことは予測したので、寒い
くらいの時期にやったのですが、それでも汗はかなり出ます。慣れない
ことですから、時間もかかりました。
 夏であればとてもできません。しかし、業者の方は年中しているので
すから過酷な作業です。
 カメラの性能も向上し、遠隔作業で可能になります。作業を安全に行
うことも重要ですが、楽に作業できることも重要です。


2017年3月25日記(森永乳業で死亡事故→書類送検)
 森永乳業の神戸工場で昨年、機械に挟まれて死亡する事故が発生し、
会社とアシスタントマネージャーが書類送検されました。
 機械の不具合を修理する作業でしたが、機械を停止させずに作業した
ことにより挟まれました。機械が止まったので、機械の中に入って修理
していたのです。機械は止まっていたので、危険と感じなかったのでし
ょうが、機械が止まったのは何かの原因があるから止まったものですか
ら、その原因を取り除いたら動くのは当然です。修理等の作業では、機
械の主電源を落として、主電源にはカギを掛けるなどして、他の人が操
作できないようにする必要があります。そのようなことはメンテ作業者
なら当然実施しますが、この事故では機械の危険をよく知らないライン
作業者が対応したのだと感じます。
 機械トラブル時の原則は「止める」「呼ぶ」「待つ」です。機械安全
の知識がない人には決して作業させてはいけません。
 下記は、3月24日の時事通信社の記事の引用です。
 神戸市灘区の森永乳業神戸工場で昨年8月、男性作業員が作業中に機
械に体を挟まれ死亡した事故で、兵庫労働局は24日、労働安全衛生法違
反の疑いで、法人としての同社と同工場のアシスタントマネジャーの男
性を神戸地検に書類送検した。 送検容疑は昨年8月23日、同工場内で
発生した機械の不具合を修理する作業の際、機械の運転を停止せずに行
わせ、危険防止措置を怠った疑い。男性作業員は腹部を挟まれ死亡した。
 同労働局によると当時、飲料をカップに入れる機械が不具合で停止し
たため、男性作業員は機械の間に入り、手作業で行っていた。しかし、
動力電源が切られておらず急に機械が動きだし、体を挟まれたという。
 アシスタントマネジャーは機械を停止させなかったことについて、
「修理方法を考えていて、気が回らなかった」と話しているという。

                        
  ご安全に!

2017年3月18日記(LED照明)
 朝日新聞DIGITALに「蛍光灯器具にLEDランプ、方式異なると出火
の恐れ」という記事がありました。
 http://www.asahi.com/articles/ASK3G6J5SK3GULBJ021.html
 40Wなどの直管蛍光灯は事業所でもよく使用されていると思います。
消費電力削減のため、LED照明に変えているところも多いでしょう。
 LED照明は電球型から普及してきました。電球のソケットの口金は
E26型であり、LEDランプも対応したので、取り換えるだけで、簡単
にLED化できました。直管型蛍光灯の場合には、スタータ形、ラピッ
トスタート形などがあり、型式が合わないと火災の危険があるため、L
ED専用器具と直管LED蛍光灯を同時に変えなければならず、なかな
か普及できませんでしたが、現在では、同じ口金のG13型の直管LED
蛍光灯も販売されています。直管LED蛍光灯には取扱説明書があり、
どの器具に対応できるかが記載されていますが、一般消費者は取扱説明
書を読まないことも多いでしょう。「電気店で販売されているし、形も
同じ」と判断すれば、何の疑いもなく取り換えてしまう可能性がありま
す。新聞記事のように火災事故も発生しています。
 職場で直管LEDに変えたものがあれば、器具とLEDが適合してい
るか確認していただきたいと思います。


2017年3月18日記(昨年10月の東京都内大規模停電の原因)
 昨年10月12日埼玉県内の送電ケーブルで火災が発生し、東京都内で大
規模な停電が発生しました。その原因報告がありました。下記をご確認
ください。
 
http://www.tepco.co.jp/tepconews/library/archive-j.html?video_uuid=k0vey19o&catid=61697
 
http://www.tepco.co.jp/tepconews/library/archive-j.html?video_uuid=fhp423r5&catid=69619
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1703/16/news111.html

                         
 ご安全に!

2017年3月11日記(飼い犬)
 先週は動物園の女性飼育員がライオンに襲われて重傷を受けたことに
ついてふれましたが、今週は犬を取り上げます。
 3月9日東京都八王子で生後10か月の女児が飼い犬に噛まれて死亡する
事故がありました。犬はゴールデンレトリバー(4歳オス、体重37kg)
でした。死亡した女児はハイハイを始めたばかりで、祖父母と3人で居
間に居る時、祖父母の飼っていた犬が突然嚙みついたということでした。
犬は普段から吠えたり噛んだりしないおとなしい犬だったそうです。
 女児は頭を噛まれたということでした。10か月では、まだ頭蓋骨も不
完全な状態でしょう。祖父母にとっても両親にとっても不幸な事故でし
た。
 環境省の統計では、犬の噛みつき事故は4,371件(2015年度)あった
そうです。統計に上がるということは、少なくても病院等で治療をした
ケガでしょう。
 大人にとっては小さいリスクかもしれませんが、生後間もない子供に
とっては大きなリスクです。
 私の家では犬や猫を飼ったことはありませんが、まだ免疫力の弱い子
供とどこでも舐めるような犬・猫が触れ合える状態を作ったことに疑問
を感じます。


2017年3月11日記(作業主任者)
 大阪労働局では3月6日に日進工業と代表取締役を労働安全衛生法違反
で書類送検しました。
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H29/soken/290306-tyuo.pdf
 この会社ではプレス機械を多数導入しており、代表取締役がプレス作
業主任者を兼務していました。安全装置の切り替えキーを作業主任者が
保管しなければならないのですが、それを怠り、作業者が手を挟まれて
切断する災害が発生しました。
 プレス機械を5台以上有する事業所ではプレス機械作業主任者技能講
習を修了した者の中から作業主任者を選任し、その職務を遂行しなけれ
ばなりません。
 作業主任者は法で定められているから選任しておけばいいものだ。と
安易に考えてはいけません。その職務を遂行する職務分担と権限を与え
る必要があります。
 私が指導した事業所でも、複数の作業場所で同じ作業主任者の名前が
掲出されていることがありました。法で作業主任者の兼務を禁止するも
のはありませんが、複数の作業場所を一人で担当するのは困難です。
 作業主任者を選任する際には、職務を遂行できる範囲としてください。
また、作業主任者に選任される労働者も自分の能力以上の範囲を引き受
けないようにしてください。
 また、24時間連続勤務の職場で作業主任者が一人しか選任されていな
い職場にも指導したことがあります。
 私はあるところで数種類の作業主任者技能講習の講師をしていますが、
いつも「事故があったら作業主任者が法による罰則を受けるし、被災者
に訴えられることもある。会社の命令だからと言って安易に受けてはい
けません。部下の生命を守る自信がなければ断ることも必要です」と話
します。
 しかし、実際に社長や上司から作業主任者として指名を受けたら断れ
ないでしょう。その時は、事故を防ぐために必要な権限と装備と要員を
与えてもらうようにしてください。

                          
ご安全に!

2017年3月4日記(一人作業の危険)
 2月26日長野県小諸市にある小諸市動物園のライオンの檻を掃除して
いた22歳の女性飼育員(22)がライオンに襲われ重傷を受けました。原因
は、ライオンを別の檻に入れ、鍵を掛け忘れたことが考えられます。発
見者は来園者でした。もし、来園者がいなかったり、来園者の通報が遅
れたらと考えるとぞっとします。
 同じく26日、東京にある府中消防署朝日出張所で訓練中の副士長(23)
が誤って首がロープに絡み死亡する事故がありました。
 2つの事故に共通するのは、“一人”です。一人作業では緊急事態へ
の対応が困難です。動物園の事故にしても、緊急事態は想定して訓練し
ているでしょうし、消防署はレスキューの専門家ですから、大きな事故
にはならなかったでしょう。飼育員は2015年から勤務しており、副士長
は役が付いているので経験も積んでいるでしょう。二人とも、自分一人
で大丈夫という過信があったのではないでしょうか。しかし、経験は積
んでいても、一人では緊急時の対応は困難です。
 以前、コンビニのワンオペ(一人勤務)で、夜間の強盗が多発するこ
とがありました
 産業の現場でも一人作業は多く存在しているかもしれません。いくら
定常作業に慣れていても、緊急事態への対応は困難です。緊急事態は機
械設備だけの問題ではありません。火災や健康状態の異常もあります。
 どうしても一人作業をしなければならない場合は、
 〇 監視カメラを付ける
 〇 転倒センサーをつける
  http://www.exsight.co.jp/sensor/index.html#tento
 などの対策が必要でしょう。
 そのためには、リスクを認識することが第一です。「いつも一人でや
っているから大丈夫」という感覚では、同じようなことが起こる可能性
があります。
 子供が通学時に持っている防犯ブザーが役にたつかもしれませんね。

                        
  ご安全に!

2017年2月25日記(アスクル埼玉倉庫での火災その2)
 アスクルでは2月22日に鎮圧を発表しましたが、24日に風が吹き込み
再度炎が出たという報道がありました。火災がこれほどまで長期間に渡
るとは思えませんでした。
 さて、今週、アスクルで火災現場に社員が荷物を取りにロッカー等に
戻っていたことが報道されました。
 出火後の16日~18日の間に社員数名が倉庫2階の個人ロッカーに戻っ
たということです。幸い無事でしたが、とても危険な行為でした。
 新聞報道では「一個人の判断ではなく、安全を確認した上で荷物を取
りに行った」ということです。消防の関係者が内部への侵入を許可する
はずもないので、どのように安全を確認したかが不明ですが、とても危
険な行為です。強風が吹き込んで大量の酸素が供給されると一気に燃え
上がることもあります。鉄骨等も熱によって強度が落ちて崩れる可能性
もあり、一酸化炭素中毒の危険もあります。倉庫の中には、リチウム電
池やスプレー缶も大量にあり、燃えていないところであっても危険な状
態でした。
 消火設備については、法に従って整備されていたようですが、あのよ
うな大きな倉庫では、それだけではリスクを回避できないのではないか
と感じました。煙感知器も熱感知器も火災を検知して、発報しますが、
天井が高いと検知までの時間や発報するまでの時間が長くなってしまい
ます。そんな時は炎検知器をお勧めします。炎検知器は赤外線を検知し
て発報までが1~2秒と短く、火災発生後すぐに感知することができ、初
期消火に役立ちます。(炎検知器は駅などのトイレに喫煙禁止のために
設けられることが多いので、皆さんも目にしたことがあると思います)
 
                          ご安全に!

2017年2月18日記(アスクル埼玉倉庫での火災)
 2月16日に埼玉県にあるアスクルという通信販売会社の倉庫で火災が
発生しました。1階で出火し、2階3階へと延焼しました。この記事を書
いている18日になっても、消火の目途が立たないようです。
(参考)アスクル埼玉物流センター 2013年7月稼働開始
  http://lnews.jp/2013/01/f010902.html
 原因は不明ですが、なぜこれほど大規模の火災になったのでしょうか。
 まったく情報がないのですが、下記が考えられます。
 〇自動梱包機など自動化が多く、作業者が少ないため、火災の発見に
  遅れる
 〇窓が少ないため、外からの放水消火がしにくい
 〇広いため、外からの放水では、中心部に放水できない
 〇長時間の火災が続いたため、防火シャッターが機能しても、輻射熱
  で火災が広がる。
 〇1階~3階がコンベアでつながっている
 また、搬送コンベアが多いため、火災に気が付いても、初期消火のた
めに、火元に接近できなかったのかもしれません。
 当日配達をする通販会社が増えていますので、自動化は必須になりま
す。同じような巨大な物流センターは各地にあります。一度火災が発生
すると、手が付けられない状態になる可能性があります。
 しかし、あれだけの火災が発生したにも関わらず、すぐに注文に対応
して全国配送できるということは、BCP(事業継続計画)が機能して
いるのでしょう。
 参考:アスクル(火災前の状況等)
 https://youtu.be/GT3Jt1G9CYU
 https://www.youtube.com/watch?v=4q__bNLIsK4&feature=youtu.be
 https://www.youtube.com/watch?v=zJOo42Z0OZQ
 今後、気を付けなければならない点として、社員による放火もリスク
として、考えなければならないでしょう。

                          
ご安全に!

2017年2月11日記(草加市での交通事故)
 2月8日、埼玉県草加市の交差点で、トラックが信号無視をして、衝突
多重事故を起こし、歩道を歩いていた母子をはねる事故がありました。
 トラックを運転していたのは、28歳のアルバイトでした。スマホのナ
ビを見ており、赤信号に気付かず、交差点に侵入し、左側から出てきた
トラックに激突し、歩道に乗り上げ、母子をはねてしまいました。交差
点にはトラックのブレーキ痕はありませんでした。
 平成27年の労働災害による死亡事故は972人。その4分の1は交通事故
によるものですが、今回のような場合は死亡者が労働者ではないため、
この統計には含まれません。業務中の交通事故は重大な問題です。
 毎年警察が発表している交通事故死亡者数は4000人を切り、約3900人
です。交通事故死亡者数は減少していますが、業務中の交通事故死亡者
は減少が見られません。なぜでしょうか?
 〇知らない道を走行することが多い
 〇約束の時間等があり、早く到着することが求められる
 〇業務の電話・メールが運転中にある
 〇過労状態でも運転しなければならないことがある
 〇プライベートの車と仕様が異なり、慣れていないことがある
 〇運転のストレスとプラスして、業務のストレスがかかっている
 一般に労働中の事故については、事業者に安全配慮義務があるが、運
転中の事故は運転者の責任になります。
 28歳のアルバイトは交通刑務所に入ることになるのでしょう。
 事故は一瞬の不注意から生まれます。皆さんも運転には特に注意して
ください。
 私も業務で運転することがありますが、運転は本当に疲れます。自転
車が目の前を走っていたら、“急に進行方向を変えるのではないか?”
“自転車が転倒して、車の前に倒れてくるのではないか?”“脇道から
自転車や歩行者が出てくるのではないか”など危険予知の連続です。雪
のシーズンでは、トラックが落とす雪の塊が落ちていないか?という危
険もあります。


2017年2月11日記(防犯のポイント:カギ)
 普通、家の鍵は自分と家族だけが持っているものですが、中には、赤
の他人が同じものを持っていることがあります。鍵のメーカーと番号さ
え判れば、簡単に合鍵を作れます(ネットで合鍵を発注できます)。そ
んな事件が多々発生しています。
 鍵の番号は重要なものですから他人に知られないようにしましょう。
そのためには、鍵の番号を削り取ったり、鍵カバーを付けて番号が見え
ないようにしてください。

                        
  ご安全に!

2017年2月4日記(電通事件 続き)
 電通事件では、電通側の責任を認め、謝罪し、改善に向けた取組が進
められていますが、なぜ、最悪の事態を止めることができなかったのか
を考えなければなりません。
 なぜ、SOSを見逃してしまったのか?
 家族はどう対応しなければならなかったのか?
 社員向けのメンタルヘルス教育も必要ですが、家族に対するメンタル
ヘルス対策も必要だと感じます。
 週刊朝日に掲載された文面を引用させていただきます。(抜粋)

 2015年のクリスマスの朝、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当
時24)が過労の末に自殺した。昨秋、労災が認定され、厚生労働省から
強制捜査を受けた電通は社長が辞任。正式に遺族に謝罪した。まつりさ
んの母、幸美さん(54)が初めてインタビューに応じ、ジャーナリスト
の今西憲之氏に4時間、思いのたけを語った。
 「毎日、頭に浮かぶのはまつりのことばかり。仕事していても、寝る
時も、夢の中でもまつり。ついこの間まで元気だったまつり。死んでし
まったなんて信じられない」そう涙ながらに話すのは、大手広告会社、
電通の新入社員で、長時間労働、パワハラが原因で自殺に追い込まれた、
高橋まつりさんの母、幸美さん。
 電通に入社したのは2015年4月だった。まつりさんが残した「就活ノ
ート」には電通以外に、商社、マスコミ、証券会社など著名な会社のメ
モが数多く残されていた。そんな中から電通の内々定が出たのは入社1
年前のこと。「決まったよ、電通」まつりさんは幸美さんにとても弾ん
だ声で電話してきた。
 幸美さんはこう振り返る。実は電通と聞いて不安もあったという。ネ
ットなどで調べると、長時間残業や飲み会の強要など激務でブラック企
業という情報をいくつも目にした。出版社に未練があったまつりさんに、
不安を告げたところ、まつりさんはこう答えた。
 「でも年収が高いのでお母さんが定年まで仕事しなくていいように仕
送りしたいから」
 子どもの頃、両親が離婚。母子家庭で育ったまつりさんが、母親のこ
とを思いやってのことでもあった。
 15年4月に入社し、ホテルに泊まり込みで研修が始まった。週末も仕
事で厳しいが、頑張っている様子をまつりさんは、よく電話で幸美さん
に伝えてきた。
 新入社員が班ごとに分かれ実施された研修。CMのアイデアを競い合っ
た。まつりさんの班が制作した飲料メーカーのCMが最優秀賞に選ばれ、
後日、ラジオでオンエアされたという。
 そして、まつりさんの配属が東京本社となった。
 5月初め、幸美さんが引っ越したばかりの社員寮に行った時だった。
まつりさんはこう自慢げに言った。「週末も班のメンバーで集まってア
イデアを練って頑張ったんだよ。大変だったけどラジオで流れたんだ」
 だが、配属先はデジタル広告の担当。「営業」「クリエーティブ」な
どを希望していたまつりさん。
 「行きたくなかったデジタルだけど、これからは紙よりデジタル。優
秀な人が集まる部署だそうでやりがいがあるよ」と、幸美さんには話し
ていた。
 本格的に仕事が始まると、まつりさんは多忙を極めた。仕事に加え上
下関係が厳しい社風も、つらいものがあったようだ。
 夜遅くに仕事が終わってから、アイドルのコンサートに新入社員が連
れていかれ、スーツ姿でファンの中に入った。その時、先輩から言われ
たのが、「寝るな」だったという。
 「今思えばその頃からもう寝てなかったのでしょうね。入社が1年違
うだけで『海より深い』と言われるハードな上下関係も苦痛だったよう
です」
 そして9月末、まつりさんは、時間をやりくりして、幸美さんと北ア
ルプスの鹿島槍ケ岳へ登山に出掛けた。「『お母さんが喜ぶから』と一
緒に登ってくれました」この時も仕事が終わらず新幹線に間に合わず、
深夜バスで駆け付けた。山登りの時、まつりさんは、こんな不安を口に
した。「試用期間が終わり本採用になる。今は夜10時までだけど、これ
からは何時まで働かされるのか怖い」
 そして10月1日午後、幸美さんにまつりさんからLINEでメッセージが
届いた。<会社辞めたい>この時は、なんとか励ました幸美さん。まつ
りさんは、ツイッターでも厳しい状況に悲鳴をあげていた。
<神様、会社行きたくないです>
<一生残業してそう>
 幸美さんにはLINEで<死にそう>とまで訴えた。
 10月18日、まつりさんは電通の福利厚生でチケットをもらいディズニ
ーランドに幸美さんを招待した。アトラクションで並んでいた時だった。
「ナチスドイツで寝させない拷問があった。寝ないって拷問だよね」
 まつりさんはこうつぶやいたという。
 ツイッターでも<眠りたい以外の感情を失った>と綴っていた。
 同じような時期に、まつりさんは私に電話をくれた。
 「2日間徹夜とか、電通はおかしすぎます。」
 仕事をしても、ダメ出し、やり直し、残業ばかりで休日も出勤。深夜
に帰宅し、2時間程度しか毎日眠る時間はない。飲み会への出席も「義
務」とされたようだ。上司から「女子力が足りない」と言われ、ひどく
傷ついたそうです」
 パワハラ、セクハラ、いじめ……。まつりさんはうつ病を発症し、追
い込まれていく。幸美さんは、毎日電話やLINEで励ました。
※週刊朝日  2017年2月10日号より抜粋

                        
 ご安全に!

2017年1月28日記(登録講習機関の取り消し)
 宮崎労働局は、宮崎労働局長登録教習機関「加藤浩一郎」の登録取り
消し処分をしました。
 
http://miyazaki-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0111/0411/2017119133457.pdf
 加藤浩一郎(個人名ではなく、登録教習機関の名前です)では、2014
年から玉掛け技能講習と小型移動式クレーン運転技術講習を行っていま
したが、法で定められた講習を実施していないにも関わらず、修了証を
発行したということで、昨年6月に6か月の業務停止処分を受けました。
 その間に発行した修了証の回収をするように改善命令を受けましたが
回収を怠ったため、登録機関の取り消しとなりました。
 なお、「法で定められた講習を実施していない」の表記は、全く実施
していない場合と、一部が抜けている場合があります。
 宮崎労働局が調査した結果、学科教育を開催したとされる宮崎県門川
町の会場は借りた形跡がなく、宮崎県延岡市の実技講習の会場では実技
ができない状態だったということです。信じがたい内容ですが、事実な
のでしょう。
 なぜ、実施されてないのに、修了証を発行し、また、受けてないのに
修了証を受け取ったのでしょうか。
 私の推測では、この登録機関は宮崎県内しか実施できません。おそら
く宮崎県以外で実施し、書類上は宮崎県内で実施したように見せかけた
のでしょう。
 そういう細工をした場合、受講者は気が付かないでしょう。しかし、
受講者にとっては大変なことです。所有している修了証が無効になるわ
けですから、当然、作業できません(無資格での作業となってしまいま
す)。もう一度、講習を受け直す必要があります。
 おそらく、対象者の方には連絡があったでしょうが、心配なのは、資
格取得後、会社を変わった場合です。再就職先まで連絡が届いていない
可能性があります。ご注意ください。

                        
 ご安全に!

2017年1月21日記(電通と遺族側の合意書)
 
電通の元社員だった高橋まつりさんが過労自殺した件では何度か書き
ましたが、1月20日に遺族側と合意しました。解決金の金額は公表され
ていませんが、弁護人は2000年の電通事件(1億6800万円の賠償)にも
携わった方なので、相当な金額だったと思われます。
 今回、合意に至ったのは、電通側が自殺の原因を、過重な労働による
過労とストレスと認めて謝罪したこと。再発防止を約束し、毎年12月に
再発防止策の実施状況を報告することになりました。
 その再発防止策のポイントは
  ・従業員の実労働時間を正確に記録し、上司らが把握する
  ・新入社員の残業は月間65時間以内とする
  ・ハラスメント予防や心の健康対策を充実する
  ・鬼十則を使用して過度の精神主義を強調しない
  ・研修や懇親会などによる過度の負担をなくす
 いかがでしょうか?これで同様の事故が無くなればよいのですが、残
業の上限は65時間でいいのでしょうか?労働基準監督署は45時間以内に
抑えるように指導しています。報道によると65時間は新入社員となって
います。また、広告業界では接待も多いと聞きます。接待を労働時間に
入れるかどうかは別の問題として、接待時間も拘束される訳ですから、
その時間も考慮する必要があるでしょう。
 再発防止策をみると、過労自殺を防ぐことが目的になっているように
思えます。
 心理カウンセラーを常駐させ、自由にカウンセリングを受けることが
できるようにするとか、ストレスチェックの面談とは別に産業医面談を
実施することが必要ではないかと感じます。
 また、午後10時に全館消灯を継続するということですが、何があって
も10時には消灯というのもストレスの要因になるでしょう。
 同じ日、関西電力の改善が報道されました。社長をトップとする「働
き方改革・健康経営委員会」を設置し、社員の時間外労働や健康状態を
把握する仕組みを作ることを決めました。
 「健康経営」とは。「企業が従業員の健康に配慮することによって、
経営面においても大きな成果が期待できる」というものです。
 (参考:健康経営研究会)
 http://kenkokeiei.jp/whats

                         ご安全に!

2017年1月15日記(軽井沢バス転落事故から1年)
 昨年の軽井沢バス転落事故から1年が経ちました。私が講演する時、
ヒューマンエラーを防ぐには、知識、技量、安全意識が必要不可欠とい
う話をすることがあるのですが、バスの運転手には「技量」が不足して
いたと思われます。
 事故のあった大型バスはフィンガーシフトを採用していました。小型
バスの多くはロッドシフトです。フィンガーシフトは電子制御式で、規
定の速度を超えた状態でシフト操作をするとニュートラルになってしま
います(エンジンの破損を防止するため)。ニュートラルになると、エ
ンジンブレーキは効かず下り坂では加速してしまいます。事故を起こし
た運転手はフィンガーシフトの技量が乏しかったと考えられています。
 このようなことは、他にもあります。たとえば、AT車のシフトには
いろいろ種類があります。トヨタのプリウスなどのシフトには「B」レ
ンジがあります。Dレンジではエンジンブレーキが効かないため、長い
下り坂などではBレンジが必要になります。運転に慣れている方はシフ
トレバーを見なくても操作できるでしょうが、普段運転している車と違
う車を運転する時には、注意が必要です。


2017年1月15日記(トイレの改装と高齢化)
 先日、あるお客様のところに訪問しました。すると、トイレが改装さ
れ、とても明るくきれいになっていました。きれいになるのは良いこと
なのですが、そこの会社は省エネのため、通路は暗いです。トイレは事
務所なみの明るさです。私は50代後半になり、明るさの差が激しいと目
が慣れにくくなっているので、そのトイレと通路の明るさの違いがとて
も気になりました。トイレを改装したのに、トイレが暗いというのも問
題でしょうが、トイレ以外の場所の明るさとの差が大きすぎるのも問題
です。明るいところから急に暗いところに行くと床面の凸凹などに気が
付きにくくなります。
 省エネのため、照度を落とすことは、間違っていませんが、バランス
に気を付けていただきたいと感じました。

                         
ご安全に!

2017年1月7日記(交通事故)
 警察庁が平成28年の交通事故死亡者数を発表しました。
 http://www.npa.go.jp/
 昨年は、3,904人ということで、死亡者数だけを見ると、昭和24年なみ
の数字です。しかし、事故件数は昭和24年の約20倍にもなります。
   昭和24年データ 発生件数25,113件、死亡者数3,790人
   平成28年データ 発生件数499,232件、死亡者数3,904人
 このことから、ハード的な対策が進化していることが判ります。
  ・座席スペースの剛性
  ・安全ガラスの採用
  ・エアバックの採用
  ・ブレーキ性能、タイヤ性能の向上
  ・チャイルドシート
 ソフト対策
  ・シートベルトの義務化
  ・取り締まり強化、交通安全意識の向上
 また、医療の進歩もあるでしょう。
 4000人を割ったといっても、毎日10人が命を失っています。2時間に1人
が死亡しているので、楽観できません。ここ数年では、高齢者の運転操作
ミス、急病等による暴走運転、電話や携帯などのながら運転が目立ちます。
これらはこれから増加傾向にあるでしょう。
 また、無くせるはずの飲酒運転死亡事故件数は213件あり、まだまだ多
い状況です。
 1日の無災害は、朝、玄関を出た時から始まります。今日一日を無災害
に、そして、1年を無災害にしましょう。

                        
 ご安全に!

2017年1月2日記(立体駐車場からの転落)
 あけましておめでとうございます。今年も安全週記をよろしくお願い
します。
 さて、今年、最初に驚いた事故は12月31日の横須賀市の立体駐車場か
ら乗用車が転落して3人死亡(2人重傷)した事故です。
 5階の高さから転落なので、15mほどの落差があります。車は空中で
半回転したようで、車の天井面から落下し、上半分が大破しました。
 運転手が誰だったか報道はありませんが、56歳の男性か、46歳、81歳
の女性が運転していたと思われます。運転手が死亡しているため、原因
の特定には時間がかかりますが、おそらく、ブレーキとアクセルを踏み
間違えたのでしょう。駐車の際に速度が速すぎたので慌ててブレーキを
踏んだつもりがアクセルを全開にしてしまったのでしょう。車止めを乗
り越え、鉄製の柵を倒し、金網のフェンスを突き破ってしまいました。
 昨年、特に同様の踏み間違い事故が多発しており、安全週記でも対策
を記してきました(ナルセペダルやオートバックスのペダル見張り番な
ど)。
 最近考えていることは、事故の原因は左足にあるのでは?ということ
です。ATの場合、左足は何も操作しませんので、左足を伸ばしても、
膝を曲げても問題ないように思えますが。左足は身体の安定を保つため
に重要だと思います。もし、左足を床面から上げていれば、ハンドルを
持つ手とお尻で体の安定を保つことになります。ハンドルは回しますし、
お尻の向きの角度は変わりやすい(特にバック操作時に後ろを向く)、
右足はブレーキを踏んだり、アクセルを踏むので、決まった位置はあり
ません。つまり、両手、お尻、右足は常に動いているのです。動いてい
る状態でブレーキを踏もうとして、アクセルを踏んでしまうことがある
のです。それに対して、左足がいつもフットレストを踏んでいたら、両
足の広がる間隔と感覚から、ブレーキの位置を認識しやすいはずです。
 左足が原因の全てだとはいいませんが、左足をいつも同じ位置を踏ん
でいたら、そこが支点になり、ブレーキ操作の安定性が保てて、信頼性
が向上すると考えます。(MT車ではあまり問題になっていないことか
ら左足がフリーになっていることが原因のひとつと考えます)
 ただ、それだけでは事故を無くすことはできません。異常を検知して
制御する装置が必要です。
 車が低速で動いていても、急発進の可能性もあるのですから、車を誘
導する時には、車の正面や真後ろには立たないようにしてください。

                      
ご安全に!

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