2013年12月29日(2013年10大ニュース)
 今年もお世話になりました。今年の安全週記の最後は安全衛生10大ニュ
ースを選びました。(順位は付けません。発生日順です)
6月 職場における腰痛予防の取組を!
   ~19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂
   http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/youtsuushishin.html
   介護従事者が増えています。腰痛予防は全ての方に共通の課題です。
8月 滋賀県 地域の消火訓練での火災事故
   消火訓練でエタノールが燃えていることに気づかず、エタノールを
   補充した際に引火(3名重症、7名軽傷)
8月 福知山花火大会露店爆発事故
   死者3名、負傷者59名。ガソリン携行缶の取扱に問題がありました。
8月 1.2ジクロロプロパンの規制強化(特化則)
9月 胆管がん印刷会社を書類送検…衛生管理怠った疑い
9月 JR北海道脱線事故
   レール幅が基準を超えていたことを隠ぺいおよび改ざん
10月 JR横浜線踏切事故
   助けようとした女性が死亡する結果になり、とても残念に思う。
10月 台風26号 伊豆大島で土石流による被害(39名死亡、4名不明)
10月 福岡市整形外科医院火災
   10名が死亡。防火扉が違法状態で機能しなかった。また、夜間の職
   員が不足していたため、対応できなかった。
11月 廃油精製工場爆発 廃エンジンオイルの精製時にガソリンが混ざっ
   た疑いがあります。
番外 PM2.5問題
   歩きスマホ問題
   道路交通法改正(自転車の逆走禁止)
   コンサルタント会大阪支部 緑十字展に出展
 今年1年ありがとうございました。良い年を迎えてください。

                         
  ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 82 ☆
 復電火災防止
  前号の復電火災防止には感震ブレーカーを付けるという方法がありま
  す。震度5程度以上の揺れを検知すると、ブレーカーを遮断するもの
  です。これがあれば、復電時でも操作しなければ、通電しないため、
  不在時などの場合の電気器具破損やケーブル破損による復電火災を防
  止できるでしょう。なお、ブレーカーを入れる際には十分に点検をし
  てください。
  「感震ブレーカーは高価で導入が難しい」という場合には、錘(おも
  り)落下式ブレーカーというものもあります。
  地震によって錘が落ちる時に、ブレーカーに取り付けられた紐が下が
  りブレーカーを落とすものです。
  http://j.tokkyoj.com/data/H01H/3103509.shtml
  (例)スイッチ断ボール
  http://www.bbk-nip.jp/swich/swich.htm

2013年12月21日(ボール盤の巻き込まれ防止)
 ボール盤は多くの事業所で使っている事でしょう。
 ボール盤作業で一番怖い災害は、手袋を着用したまま、作業し、手袋が
ドリルの先に引っ掛かり、巻き込まれ、指先、手、腕、上半身と順に巻き
込まれ、最悪の場合には命を失うこともあります。そのため、労働安全衛
生規則第111条では、ボール盤等、巻き込まれる恐れがある場合は手袋の
着用を禁止しています。
 ある会社からボール盤使用の事で相談をいただきました。
 その会社で扱っているワーク(加工物)にはバリやエッジがあり、素手
で使うと手・指を切る危険があるので、保護手袋は必要です。しかし、ワ
ークをバイス(万力)で固定したあと、ボール盤を起動する前に保護手袋
を外さなければなりません。加工が終わると保護手袋を着用することにな
り、頻度が多いと作業員がルールを守らないことがあるそうです。おそら
く、作業者は自分自身はケガをしないと考えていることでしょう。
 相談内容は手袋の着脱が無ければ作業も楽になり効率が良くなります。
手袋を付けたままボール盤作業を行う方法は無いかということでした。
 私たちコンサルタントは法に反した指導はできませんが、巻き込まれる
恐れを無くす方法は指導できます。巻き込まれる恐れを無くせば、手袋を
着用したまま作業しても何の問題もありません。その会社には、ボール盤
作業用の安全装置(ボール盤の改造を伴うもの)を提案しました。
 *興味ある方には説明させていだきますので、中川までメールでご連絡
ください。
 ちなみに、別の会社では、手の模型を作り、手袋を着用して、模型の手
をドリルビットに当てました。手袋が引っ掛かり、巻き込まれ模型の手は
ボロボロになていく状況を見ていただきました。
 ボール盤は比較的小さな機械ですが、手袋の先が巻き込まれると、人間
の力では止められないでしょう。ひっかかった手袋で指を締め付けるため、
手袋から手を引き抜くこともできません。非常停止ボタンも無いので、緊
急停止も困難です。
 ボール盤加工時に「手袋を外せ」と指示するだけでなく、なぜ手袋を外
さなければならないかを指導いただきたいと思います。
 ボール盤作業で手袋を着用した模型が巻き込まれる状況のビデオが必要
な方は、中川までメールでご連絡ください。
                           ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 81 ☆
 復電火災
  復電火災は地震時に停電したあと、復電(電力供給の再開)したこと
  による火災です。具体的には、地震で物が倒れ、ストーブの上に服や
  カーテンなどが掛った状態になった時に通電すると、加熱され、火災
  になることです。また、電気ケーブルの上にタンスなどが倒れ、ケー
  ブルが破損したままの状態で通電して、ショートして火災になること
  があります。
  阪神淡路大地震では、1週間経過した後に通電火災が発生した例があ
  りました。
  地震で停電した時は、ブレーカーを落として、点検してください。特
  にケーブルは丁寧に点検してください。地震で避難したあとは、通電
  が始まる前にブレーカーを落としに戻ることをお勧めします。
  (被害を受けた住居に入る際には余震等にご注意ください)

2013年12月14日(有機溶剤蒸気の排気)
 有機溶剤を使用する場合、局所排気装置またはプッシュプル換気装置が
必要になります。しかし、設置が困難なケースがあります。屋根の上での
排気ダクトを設置できない場合。また、排気によって空調管理が困難にな
る場合もあります。屋外に排出しなくても活性炭等で清浄化して再び室内
に循環することは可能です。昨年、胆管ガンが大量に発生した会社にも温
度・湿度を一定に保つため、活性炭による空気清浄装置が設置されていま
したが、活性炭を定期的に交換しなかったことが事故の要因になっていま
す。しかし。この方法は有機溶剤予防規則では認められておらず、昨年の
改正で、監督署長の許可を受けて設置することが可能になりました。しか
し、活性炭の破過(有害物質を限界まで吸着したため、清浄化できなくな
る状態を破過といいます)を検出することは容易ではありません。
 このたび、許可事例が公開されましたので、紹介します。
 http://www.jawe.or.jp/topics/2013/jimu20131210.pdf
 このシステムは、有機溶剤の使用量から有機溶剤蒸気発生量を計算して
破過する時間を推定して、活性炭を交換します。さらにセンサー(揮発性
有機物質(VOC)等を検出する)で汚染空気を検出し、予備の活性炭で清
浄化しているので、有効なシステムだと考えます。
 また、破過という問題は防毒マスクにも関係します。破過の状態は臭覚
では気が付きにくいので、破過の状態で使用していることも多いと想像し
ます。そのため、防毒マスクを使用する際には、空気中の有機溶剤濃度を
測定して破過曲線図によって使用時間を決めるのですが、空気中の有機溶
剤濃度は変化するため、管理は困難です。通常は使用限界時間を推定して、
安全率を掛けて交換時期を定めて使用しています。
 以前、某会社で、使用済みの防毒マスクの吸収缶に空気を流して、濃度
を測定したことがあります。測定すると、破過したか、清浄性能があるか
の判断ができます。その検証結果に基づいて吸収缶の交換時期を定めまし
た。(詳しく知りたい方はメールください)

                     
      ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 80 ☆
 水道設備の耐震化
  http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/taishin/index.html
  給排水設備を有する会社では地震によって配管の破損が考えられます。
  場合によっては、環境影響の高い物質が大気・河川・土壌に漏出しま
  す。地震発生直後は部品の手配・工事に日数がかかることもあります。
  その設備の重要性を評価し、リスクの高いものから、フレキシブル・
  耐震性の高い配管に換える必要があります。
  また、地中配管では漏洩に気が付かないこともあります。漏洩を検出
  する装置も必要になります。

2013年12月7日(サイロ爆発)
 11月30日、横浜市の横浜倉庫で大豆を貯蔵するサイロの上部が爆発し、
上空30mぐらいから落ちてきたコンクリート片が直撃して、社員1名が死
亡する事故がありました。(他1名軽傷)
 爆発したサイロは直径8m、高さ29mの円筒形で容量は600トンです。古
くなった飼料用の大豆約180トンを廃棄する作業中でした。
 事故を聞いた時に真っ先に考えたのは粉じん爆発です。大豆表面が擦れ
て多くの粉じんが発生したと考えられます。しかし、大量の大豆の中に蓄
積した粉じんで粉じん爆発が発生したとは考えにくいです。次に考えたの
は、メタンガスが発生したのではないかということです。古くなって廃棄
するものなので、腐敗によってメタンガスが発生したとしても不思議では
ありません。事故の情報を見ると、排出口が詰まったので、衝撃を与えた
時に爆発したというので、これが事故の原因ではないかと考えます。
 有機物は腐敗・発酵によってメタンガスが発生します。
 大豆をサイロに貯蔵すること自体のリスクは少なくても、それが、6か
月、1年、数年になると、状態が変化することを想定しなくてはなりませ
ん。長い間の貯蔵によって貯蔵したものの変化でリスクも変化することで
す。
 多くの事業所でリスクアセスメントを導入しているでしょうが、経年劣
化・経年変化について考慮しているでしょうか。

                        
   ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 79 ☆
 古いヘルメットの有効活用
  業務でヘルメットを使う方も多いと思います。ヘルメットは紫外線等
  で経年劣化するため、定期的に交換していると思います。その古いヘ
  ルメットでも、地震発生時には使えるかもしれません。会社で新しい
  ヘルメットを支給されたら、古い方は自宅に備え付け、避難時に活用
  するのも有効でしょう。でも、破損しているヘルメットは使わないで
  下さい。

2013年11月30日(そして父になる)
 今年、いくつか映画を見ました。その中で一番素晴らしい最高の映画と
思ったのは、是枝裕和監督、福山雅治主演の「そして父になる」でした。
この映画は、主演の福山が演じるエリートサラリーマンが6歳になる我が
子が自分の子でないことを知り、本当の息子と同居生活をして、親と子の
感情を描いた作品でした。とても良い映画でした。映画はいいけど、それ
がもし自分だったらと考えるとどうでしょう。とても想像つきません。
 それが今週、現実の事件として報道されました。それも60年前のことで
す。双方の両親はすでに他界しています。本当の両親に会うことはできま
せんでした。報道では、二人の育った環境があまりにも違うことにクロー
ズアップされていたようです。
 なぜ、こんな事になったのでしょうか。
 昔から取り違えというのはあったようです。今は、DNA鑑定があるの
で、高い確率で真偽が明らかになります。
 60年前の事なので、真相は明らかでないかもしれませんが、可能性の高
いものとして、生まれて初めての沐浴(もくよく)をした助産師と足の裏
に母親の名前を書いた人が別の人で、その時に間違えて違えて違うの母親
の名前を足に書いたと言われています。(現在は、分娩後、へその緒を切
る前に、性別・出生時刻・母親の名前を書いたバンドを新生児の足首など
に付ける取り組みが主になっているそうです)
 過去、何度も書きましたが、「人間は間違える動物」です。人間は、笑
って終わるような間違いも、笑えない深刻な間違いもするものです。
 産業の場には笑えない深刻な間違いが数多くあります。たとえば、生産
設備の中に人が居ることに気づかず、起動スイッチを入れてしまい、機械
に挟まれ死亡させた人。作業中ということに気がつかず、配電盤の電源を
入れ、感電死させた人。周囲の確認が不十分でフォークリフトを人を轢い
て死亡させた人など自分の不注意で作業者の命を奪ってしまい、家族に深
い悲しみを与えた人もいるでしょう。今も多くの方が過去の間違いに苦し
んでいることでしょう。
 会社は、作業員に被害者にならないように、また、加害者にならないよ
うに配慮しなければなりません。「間違えた人が悪い」ではなく、「間違
い」を起こしにくい職場を作らなければなりません。
 そんな方法を数多く知っている私たち安全衛生コンサルタントを利用し
てください。私たち安全衛生コンサルタントは「転ばぬ先の杖になりたい」
と思っています。

                           
ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 78 ☆
 首都直下型地震
  政府の中央防災会議では首都直下地震の被害想定を年内にまとめると
  発表しました。従来のM7級と、相模トラフ周辺で発生するM8級を検
  討するようです。
  首都直下の地震が発生すれば、ライフライン・交通網・物流・通信な
  ど大きな被害が発生するでしょう。みなさんの会社では首都圏がマヒ
  した場合の想定をしていますか?

2013年11月23日(廃棄物処理施設の爆発 2)
 11月15日、千葉県の廃棄物処理施設(再生油製造販売会社「エバークリ
ーン」のリサイクル工場)で大きな爆発があった件ですが、理解しにくい
要因が明らかになりました。
 この施設では主に廃エンジンオイルを回収して精製・再生油にしていま
したが、通常は200~300リットルぐらいしか回収しない取引先から7700リ
ットルを回収したというのです。
 エンジンオイルは1台当たり約4リットル交換します。200リットルとい
うことは約50台分です。それが7700リットルということは約1900台分のオ
イル交換に相当します。回収した7700リットルが廃エンジンオイルと考え
るのは不自然です。施設では引き受けた廃油が廃エンジンオイルなのかを
確認しているということですが、確認が漏れたということになります。
 異常だと感じる機会は次が考えられます
 ①引き取り量が異常なほど多いと判った時
 ②回収作業の時に臭いを感じた時
 ③回収して、持ち帰り、廃油の内容物を確認する時
 ④処理施設に投入する時
 施設側としては、内容を把握せずに処理槽に入れると、危険ということ
は認識しているはずだから、実際にはもっと多くの確認機会があると思い
ます。
 回収作業に携わる人は「自分は回収するだけ、処理は工場が行うもの」
と考えたのかもしれません。廃油回収時の車は普通のトラックを使うこと
も多いでしょう。静電気除去も何もない普通のトラックでガソリンを運ぶ
のはとても危険です。
 異常を感じる能力を高める教育が必要だと感じました。

                       
    ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 77 ☆
 インフルエンザ予防接種
  地震が発生して、住むところを失った場合、避難所生活を余儀なくさ
  れる場合があります。地震とインフルエンザの流行時期が重なると、
  避難所内で感染するリスクがあります。
  また、地震が発生すると、診察も十分に受けることができません。
  地震が無くても、インフルエンザの流行は事業に影響を与えます。
  この冬はどの程度被害が大きくなるか判りませんが、全く流行しない
  年はありませんので、流行することを想定して予防接種を受けてくだ
  さい。

2013年11月16日(廃棄物処理施設の爆発)
 11月15日、千葉県の廃棄物処理施設(再生油製造販売会社「エバークリ
ーン」のリサイクル工場)で大きな爆発があり、2人が死亡し、16人が重
軽傷を負い、周辺にも大きな被害を与えました。
 この会社は主にガソリンスタンドから回収したエンジンオイルなどの廃
油を精製し、再生油を製造しています。廃油はマイクロセパレーターと呼
ばれる分離器に入れ、不純物を取り外します。その工程で爆発が発生しま
した。報道ではこの分離器の回転によって生じた熱が気化した油に伝わり
引火した可能性があるということです。
 しかし、その程度で爆発するものでしょうか。扱っている廃油は主にエ
ンジンオイルです。エンジンオイルの多くは第4石油類です。第4石油類
の引火点は200℃以上です。分離器で200℃を超える高熱が発生したとは考
えにくいものです。
 そうすると、考えられる要因はガソリンスタンドから引き取った廃油が
エンジンオイルでない可能性が高くなります。たとえばガソリンです。
 ガソリンを廃液として出すことは無いでしょうが、もし、ガソリン車に
誤って軽油を給油した場合、そのガソリンタンクに入ったものは使い物に
なりません。ガソリンタンクから全て抜き取って廃棄するでしょう。その
廃棄したものを廃油(廃エンジンオイル)として出したらどうなるでしょ
う。今回のような爆発事故が起こるかもしれません。
 今回の原因は、ガソリンスタンドのスタッフが誤って給油して、その廃
液をそのまま処理業者に出したことが原因だと推測します。
 廃油を引き取る時には、廃エンジンオイルと思い込まず、疑うことも必
要です。疑うことを心がけていれば、ガソリン臭に気が付いたかもしれま
せん。
 廃棄物を排出する側は、廃液の種類と区分を従業員に教育し、誤った排
出が大きな事故を招くことを周知してください。
 廃液処理業者がどのような処理をするのか知っておかなければならない
でしょう。

                          
 ご安全に!
 
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 76 ☆
 スーパー台風
  昭和の三大台風として、1394年室戸台風、1945年枕崎台風、1959年伊
  勢湾台風がありました。フィリピンを襲った台風30号は、これらより
  気圧・風速・高潮などが勝り、より深刻な被害をもたらしました。
  地球温暖化などの影響により海水温が上昇し、昭和の三大台風を上回
  る「スーパー台風」が発生するのではないかと言われています。
  今回のような台風が日本を襲ってくることも想定しなければならない
  でしょう。

2013年11月9日(今週の書類送検事例:大阪)
 今年7月東大阪市の金属加工会社「栄鋼業」で男性従業員が石灰液の入
った槽に転落し、全身がただれるなどして、2週間後に死亡する事故があ
りました。所轄労働基準監督署は転落防止対策ができていないということ
で、同社と社長を労働安全衛生法違反容疑で書類送検しました。
 昨年12月大阪府島本町の染色加工会社「大阪染工」で男性従業員が機械
に服を巻きこまれ、首が締り、意識不明の状態になりました。現在も意識
は戻っていないということです。所轄労働基準監督署は事故防止対策が不
十分ということで同社と安全管理担当部長を書類送検しました。
 最初の事例は、落ちるとは思っていなかったかもしれないし、柵を付け
ると作業に支障があるから付けなかったかもしれません。しかし、転落と
は思わぬことで発生することがあります。熱中症などで体調が悪い場合、
人と接触して倒れたり、足元に躓くなどあります。
 普通に作業していれば落ちないでしょうが、普通でないことが発生する
のが職場です。
 製造業・化学製品製造業などでは、洗浄槽など数々の水槽を有している
ところがあります。もし、水槽に落ちたら、どうやって救助するか考えた
ことがあるでしょうか?たとえば、普通の水であっても、作業服や保護具
を付けた状態では泳ぐことも困難です。十分な柵があっても、清掃・点検
などで、柵を開けることがあれば転落の危険があります。安全帯を装着し
て作業する場合でも、安全帯のフックを忘れることもあります。そのよう
な緊急事態に対して対策を考えるようにしてください。
 次の事例は、機械に服が巻き込まれたということです。回転するところ
には、手などが入らないように防護カバーが必要です。私が知っている会
社では、髪の毛が機械に巻き込まれ、あわてて非常停止ボタンを押そうと
したが、うまく押すことができず、顔面を機械にぶつけた事故がありまし
た。
 手袋でも服でも巻き込まれたら、腕も身体も引き込まれます。回転する
ところの安全対策を確認してください。

                   
        ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 75 ☆
 燃料電池車
  トヨタが燃料電池車を発表しました。 
  http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/fcv/
  東京モーターショー(11/20~12/1)に出展します。
  二酸化炭素を発生することもなく、環境に優しい車です。
  この車は防災面からみてもよい車だと考えます。
  一般家庭の1週間分の電力供給が可能ということで、地震などで電気
  が止まっても1週間は通常の生活が可能です。
  http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1311/08/news022.html

2013年11月2日(砥石破裂)
 今年6月に大阪府和泉市にある金属製品製造会社「木曽研磨工業所」に
おいて、機械砥石(直径44cm、厚さ5cm)が割れて、破片が作業員を直撃
し、死亡する事故がありました。拳大の破片が胸を直撃して、心臓挫傷で
死亡しました。
 10月28日、泉大津労働基準監督署は同社と社長を労働安全衛生法違反容
疑として書類送検しました。
 砥石が割れた原因は不明ですが、研削盤の周囲に事故防止のための覆い
を設置せずに作業をさせたということです。
 研削盤の回転速度は高速であるため、砥石が割れると、逃げることは不
可能です。
 砥石は金属を研磨することができるので強い物と思われているかもしれ
ませんが、とても割れやすいものです。何かにぶつけたりしてヒビが入る
と高速回転中に割れて飛散することもあります。そのため、破損しても、
作業者に激突しないように防護カバー等が必要になります。
 研削盤の使用については、使用前の点検と試運転が必要です。また、砥
石交換作業は特別教育を修了した者が行わなければなりません。
 「そんな事は知らなかった」というかもしれません。労働安全衛生法は
「知らなかった」で済むものではありません。中小企業では専門の安全担
当者を設置しないことも多いので、労働安全衛生法の内容まで理解して作
業することが困難かもしれません。
 そのような時には、労働安全コンサルタントに安全診断を依頼すること
をお勧めします。安全衛生法違反状態であるにも関わらず、そのまま使用
しているかもしれませんよ。もし、事故があってから、「知らなかった」
とならないようにしてください。

                        
   ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 74 ☆
 防寒対策(冬仕度)
  11月になり、肌寒くなってきました。
  地震が発生すると、電気やガスなどのライフラインが途絶える可能性
  があります。電気やガスが使えなくても、対応できる石油暖房の用意
  を検討してはいかがでしょうか。(石油暖房でも石油ファンヒーター
  などは電源が必要なものもありますのでご注意ください)
  特に、都市部の会社では交通機関が使えなくなり、帰宅できない人が
  出る場合には、会社で寝泊まりできるように毛布や暖房器具が必要に
  なります。(補助的なものとしてカイロも必要でしょう)

2013年10月26日(緑十字展)
 10月30日~11月1日までの3日間はインテックス大阪において緑十字展が
開催されます。(入場無料)
 日本労働安全衛生コンサルタント会大阪支部は、初めてこの緑十字展に
ブースを出展します。ブースでは無料安全衛生相談や無料口臭測定を行い
労働安全衛生コンサルタントの紹介をさせていただきます。ブースの場所
はインテックス大阪5号館の入り口を入ってすぐ左側の2番のところにあ
りますので、お気軽にお越しください。私中川はブースの責任者であり、
3日間とも現地で皆様のお越しを楽しみにしています。なお、ご来場者様
だけの特典もあります。
 この緑十字展のお勧めコーナーを3つ紹介します。
 1.大阪労働局
   大阪労働局では「安全見える化」に力を入れています。安全対策を
   見える形にしたものを展示しています。職場の災害防止等に是非参
   考にしていただきたいと思います。
 2.安全体感教育&機械安全コーナー
   危険感受性を高めるためには、災害の疑似体験が効果的です。疑似
   体験したいけど、設備が無い場合には、設備のレンタルなどもあり
   ます。是非、ご自身の五感で感じていただきたいと思います。
 3.安全衛生保護具体験道場
   保護具には防毒マスク、防じんマスク、安全靴、ヘルメットなど多
   種多様のものがあります。保護具は適切な使用方法を理解していな
   ければ意味がありません。たとえば防じんマスクの利用にしても、
   着用すれば100%防げるようなものではありません。どの程度の効
   果があるか、また自分自身の装着方法が正しいかも確認できます。
 この3つとコンサルタント会大阪支部のブースには是非見学していただ
きたいと思います。また、他にも保護具メーカー、機械安全装置、測定器
メーカーも多数展示しています。日頃当たり前と考えて使用しているもの
より良いものが見つかるかもしれません。たとえば、呼吸用保護具などは
メーカーによって、フィットや重量・重心の位置、装着感が異なります。
カタログだけで判断しないで、是非、ご自身で触って、着用して、適切な
ものを選んでいただきたいと思います。

                           
ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 73 ☆
 ゆうペール(簡易形トイレ)
  防災グッズとして、ゆうペールを紹介します。
  金属製のペール缶にクッションが付いているので、椅子としても使え
  ます。クッションを外すと中には、便座が入っているので、トイレと
  しても使えます。
  他の防災グッズを入れることもできます。
  詳しくは下記をご覧ください(使い方の動画もあります)
  http://www.yamato-nb.com/items/u-pail-toilet#movie

2013年10月19日(届出に思うこと)
 「既存不適格建築物」の意味は判りますか?
 建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都
市計画変更等によって現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のこと
をいいます。既存不適格は法的に、現行法に従って改修する義務はありま
せん。しかし、改装・増築の際には、現行法に従って改修する必要があり
ます。過日、火災で10人が亡くなった福岡市の診療所は増築をしています。
増築の際に、防火扉の仕様を現行法に従ったものに改修していたら、これ
ほどの事故にならなかったのかもしれません。
 診療所では増築の時には、現行法に従う必要があるので、その時点で、
建築基準法に基づき、防火扉を煙感知連動型にしなければなりませんでし
た。届出もしていませんでした。診療所ではそのような法律を理解するの
は困難です。施工会社が適切な指摘・指導をしていれば事故を軽減できた
かもしれません。
 法律では様々な規制により届出が義務付けられています。届出を行うこ
とにより確認審査が行われ、不備がある場合は指導が行われます。しかし、
届出があって初めて行政はそれを認識し、必要な措置を行えますが、届出
が無ければ、審査されません。その結果、違反状態が放置され、事故につ
ながる事もあります。注文主が行わなければならない事、も知らなければ、
放置されてしまいます。それを防ぐためには、施工会社が情報提供するべ
きだと考えます。
 今は機械設備を販売する会社、化学物質を販売する会社には、危険・有
害性情報の提供が義務付けられています。これと同じように、施工会社が
労働安全衛生法・建築基準法・消防法に基づいて、必要な情報を提供する
仕組みが必要なのではないでしょうか。
 法律は認識し、必要な措置を行わなければならないのですが、法律を全
て理解し、実行するのはとても困難です。元請けが注文主に対して、「こ
の工事には○○が必要です」。機械設備納入会社が「この設備は労働安全
衛生法第88条により機械設備設置届が必要です」というように、情報提供
の義務を法で定めるべきだと考えます。
 防火管理者の資格は一度講習を受けて取得すると、何十年でもその資格
は有効です。これで防火管理を任せっぱなしにするのでは同じような災害
が発生しても不思議ではないと感じます。

                         
  ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 72 ☆
 発電機(カセットボンベ用発電機)
  地震が発生した時には電力供給が止まります。停電に備えて発電機が
  必要になりますが、一般的な発電機はガソリンを使用します。ガソリ
  ンを携行缶等で備蓄しなければなりません。ガソリン携行缶は、福知
  山花火大会で事故が発生したように、取扱には十分注意が必要です。
  今回お勧めするのは、一般に使われているカセットボンベを使用する
  ものです。
  たとえば、次のような、三菱ポータブルガス発電機があります。
  http://www.mhi.co.jp/products/detail/gas_engine_power_generating_unit_mgc900gb_gp.html
  LPガスボンベを使っている会社ではガスボンベを燃料とするものも
  あります。
  http://carview.yahoo.co.jp/news/market/192793/

2013年10月12日(防火扉)
 10月11日早朝、福岡市の医院から火災が発生し、10人が命を失う大きな
火災事故となりました。
 火災発生の原因は特定されていませんが、温熱療法器具「ホットパック」
を温める器具のショートだと考えられています。(24時間通電していた)
 さて、被害が大きくなった要因として、防火扉が機能していなかったと
指摘されています。死亡原因は一酸化炭素中毒ということなので、防火扉
が正常に閉鎖していれば、被害は少なかったかもしれません。
 防火扉が機能しない要因として多いのは、扉を解放して固定している場
合です。防火扉は一般に重たく、反対側が見えないため、ドアの開閉時に
反対側の人にぶつかるからという理由で固定されることが多く見られます。
 また、通常は扉を開放したままで、火災警報に連動して閉鎖する防火扉
の場合は、扉の動く範囲内に物を置いている場合です。
 私が巡視した会社では、防火扉にフックが付けられ、壁に固定された物
がありました。担当者に聞くと、「これは温度ヒューズのフックなので、
加熱されると、切れて、扉が閉まります」と説明がありましたが、防火扉
は延焼を防ぐためと煙を防ぐ機能がありますので、煙に反応しない温度ヒ
ューズでは意味がありません。
 ハード的な対策をしていても、使う側がその機能を理解していなければ、
安易に物を置いたり、ストッパーを付けて解放してしまうと、万一の火災
時には機能せず、大きな事故になってしまいます。
 通行が多く、開閉が面倒な場合は、ストッパーで固定せず、火災警報器
と連動して閉まる扉や防火シャッターにするべきでしょう。
 なお、防火扉の開閉時に、反対側の人にぶつかる災害・ヒヤリハットを
防ぐには、人感センサーを付けて、扉の反対側の人にライトなどで存在を
知らせる方法も良いでしょう。できれば、特定防火設備の認定を受けてい
るガラス防火扉に変える方法が良いでしょう。
 ハード対策だけでなく、防災教育もお願いします。以前、避難訓練中で
防火扉が閉まると、「出られない」とクレームがありました。防火扉にド
アノブが無いので、出られない・閉じ込められたと思ったそうです。押せ
ば簡単に出られることを理解していなかったということもありました。

2013年10月12日(高速道路事故)
 10月5日、芸人“桜塚やっくん”が高速道路で後続車に激突され、死亡
する事故が発生しました。(マネージャーも死亡)
 中国自動車道を走行中、右カーブで中央分離帯に衝突しました。この衝
突事故は大したことはなかったのですが、車外に出た時に後続車に激突さ
れました。高速道路での死亡事故の5分の1は人と車の激突と言われていま
す。高速道路は人が歩くところでは無いのですが、車のトラブルなどでや
むなく、道路に出ることがあります。高速道路で車が止まった場合は、ま
ず、ハザードランプを付けて、発煙筒を使いながら、三角反射板を後ろに
設置することになっています。しかし、この行為自体とても危険なものな
のです。しかし、車から出るのは危険だからと車内で救援を待つことも危
険です(後ろから大型トラックが激突することもあります)。高速道路で
のドライバーからは、車は見えても、人間は見えない(認識できない)と
思って下さい。
 車外に出るのも危険、車内で待機するのも危険なのです。
 万一、高速道路で止まったら、何が一番安全なのか考えながら行動して
ください。車の中では飛行機での緊急姿勢で待機して、事故の軽減に努め
てください。
 その前に、適正スピード・車間距離・疲労の蓄積に気を付けて安全運転
してください。 

                      
     ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 71 ☆
 防災用ヘルメット“IZANO MET”
  DICプラスチック株式会社の防災用ヘルメットを紹介します。
  名前は緊急時の「イザ」という時のものということです。
  防災用ヘルメットに求められるものは、省スペースであることでしょ
  う。緊急時に取り出して着用しますので、机のところに置ける物が適
  しています。以前から折りたたみヘルメットなどが市販されていまし
  た。代表的なものとして、“タタメット”ありますが、収納性は良い
  が、見栄えが良くないという声もありました。
  今回紹介する“IZANO MET”は蛇腹のような構造で、タタメ
  ット程薄くなりませんが、見た目もヘルメットという感じがします。
  さらに、墜落時保護用としての国家検定も受けており、作業にも使用
  できます。さらに、良い点は、カラーバリエーションが多いことです
  (6種。特注色も可能)。カラーが多いと、隊長がどこにいるかなど、
  目立ちやすくなります。
  http://www.dic-plas.co.jp/products/helmet/ecatalog/images/top/izano_met.pdf
  ヘルメットではありませんが、衝撃吸収力のある、防災キャップもあ
  ります。“IZANO CAP”
  http://www.dic-plas.co.jp/products/helmet/ecatalog/images/top/izano_cap.pdf

2013年10月5日(人助け行為)
 10月1日、JR横浜線で、線路の上に倒れていた男性を助けに行った40歳
の女性が死亡したニュースはショックでした。しかも、電車に轢かれる瞬
間を見た父親の無念さは計り知れないものでしょう。
 9月16日、台風18号によって増水した淀川に小学生が流され、中国人留
学生が助け出すというニュースもありました。
 人を助ける行為は尊いものですが、その人が犠牲になることは本当に悲
しい。村田奈津恵さんは、紅綬褒章(自己の危難を顧みず人命の救助に尽
力したる者)を授与されるそうです。
 このような踏切事故は防げないものでしょうか。
 踏切には非常ボタンがあります。しかし、事故のあった踏切を通過する
速度は85km/hということです。踏切の近くはカーブがあり、運転手が踏切
での異常を発見してからでは、止めることができません。異常を感知して
からでは間に合わないというのであれば、その制限速度設定が間違ってい
るのではないでしょうか?
 踏切事故は何回も発生しています。いつまでも、急ブレーキを掛けたけ
ど間に合わなかった。と繰り返され、仕方無いと考えるのはどうなんでし
ょう。
 見通しの良い場所・悪い場所、踏切障害物検知装置の有無などを考慮し
て、制限速度を決めるべきだと考えます。早く走るためには、早く感知し
て、安全に止まる技術の両方が進歩しなければなりません。
 レールの上を金属の車輪が転がるのですから、制動距離の短縮は難しい
かもしれません。しかし、ブレーキング技術の進歩とスピードの進歩は差
がついているように感じます。
 自動車の技術は進んでおり、時速30kmまでなら、障害物を検知して、自
動でブレーキをかけて停止します。さらに、自動運転システムも実験が進
んでいます。センシング技術は進歩しているのです。
 リニアモーターカーのような夢のような速さを追求するより、安全に止
まる技術を追求していただきたいと感じました。
 なお、人助け行為で止めていただきたいものもあります。それは酸欠の
現場です。人が倒れたら、一刻も早く助け出したいと思うのは当然ですが、
呼吸用保護具を使わずに助けに行くケースが多く発生しています。酸欠と
いう、目に見えず、臭いも無いものが危険源なので、列車の接近や濁流と
違って、危険源に気がつかないから、助けに行った人が同じように倒れて
しまいます。酸欠の現場だけは、無防備で助けに行くことのないようにし
てください。

                        
   ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 70 ☆
 「フォールバー」(棚からの落下防止)
  大石製作所のフォールバーを紹介します。
  大石製作所は地震の際、棚から物が落ちないように、棚用のベルト固
  定具などの商品を開発・販売しています。棚用のベルト固定具などは
  地震時の落下防止にはとても効果があります。しかし、日常、物の出
  し入れのたびに、ベルトを取り付けなければならないので、忘れたり
  付けられなかったりしますので、実際の地震の時に、固定ベルトをし
  なかったために、物が落下するのが欠点でした。
  しかし、新しく、開発されたフォールバーは、通常は、取り出しの邪
  魔にならないところに落下防止バーがぶら下がっているのですが、強
  い地震があると、落下防止バーが揺れを感知して落ちてきて、棚の真
  ん中あたりで止まるので、落下防止できます。
  まだ、大石製作所ではフォールバーをHPで公開していないため、見て
  いただけないのは残念ですが、とても良い商品です。

2013年9月28日(鉄コーティング米)
 鉄コーティング米は新しい品種ではありません。新しい稲作法です。
 お米作りには、種もみを発芽させ、苗を育てます(育苗)。苗を田植え
機で植え、生育したら刈り取ります。この育苗にはビニールハウスが必要
になります。その苗を運ぶのが重労働です。10アール(1000㎡)当たり約
1000kgも運びます。運ぶのはトラックですが、ビニールハウスからトラッ
クに載せかえるのは、かなりの体力が必要になり、腰痛の原因にもなりま
す。
 育苗が大変なら、田んぼに直接、種もみを蒔けば良いのですが、鳥が食
べたり流れたりします。
 しかし、鉄でコーティングされた種もみは、堅いため、鳥が食べません。
また、重いため、水に浮かないので、流されません。だから、田んぼに直
接、種を蒔くことができるので、育苗のコスト・重労働が無くなります。
 育苗が無くなれば、腰痛の危険が低減します。
 鉄コーティング米の作り方は、種もみに、あらかじめ鉄と焼き石膏を混
ぜたものを混ぜて固めます。
 腰痛のリスクを削減するには、腰痛防止体操の実施や、腰痛予防教育で
はなかなか減少できません。「人力で運ぶ作業」を無くすことが一番効果
的です。
 「作業を無くす」という改善を考えましょう。作業を無くすと災害は発
生しません。生産コストも削減できます。
 作業を無くす例としては、雑草を刈り取る作業をやめて、羊を放して食
べさせる。というものがあります。これは、羊の餌代も削減できます。
 鉄コーティングの詳細は、クボタのホームページをご覧ください
 http://www.jnouki.kubota.co.jp/jnouki/html/agriculture_info/tetsuko/

  
                           
ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 69 ☆
 「ゆうペール」(防災用携帯洋式トイレ)
  防災グッズとして、ゆうペールを紹介します。
  金属製のペール缶にクッションが付いているので、椅子としても使え
  ます。クッションを外すと中には、便座が入っているので、トイレと
  しても使えます。
  他の防災グッズを入れることもできます。
  詳しくは下記をご覧ください(使い方の動画もあります)
  http://www.yamato-nb.com/items/u-pail-toilet#movie
  実物は、防犯防災総合展が10月17日・18日(インテックス大阪)で
  ご確認できます。
  http://www.tv-osaka.co.jp/bohan_bosai/

2013年9月21日(トラックから転落)
 6月7日、現場指揮者の男性がトラックの荷台の上で車載クレーンをリモ
コン操作して電線を積み込んでいた際転落して脳挫傷により死亡しました。
ヘルメットは着用していませんでした。
 そして、9月7日、労働基準監督署はその金属回収販売会社とその社長を
「ヘルメットの使用を確認させなかった」として、労働安全衛生法違反容
疑で書類送検しました。
 この会社ではヘルメット着用を定めていたのですが、守られていません
でした。
 ヘルメット着用は労働安全衛生規則により次のように定められています。
  事業者は、最大積載量が5トン以上の貨物自動車に荷を積む作業又は
  最大積載量が5トン以上の貨物自動車から荷を卸す作業を行うときは、
  墜落による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者
  に保護帽を着用させなければならない。(第151条の74)
 最大積載量が5トン以上であれば高さに関係なく保護帽の着用が必要な
ことに注意してください。トラックの大きさによって、ヘルメットを着用
が必要・不要などを決めると、現場では混乱するでしょう。荷台への積み
込み・降ろす作業者はトラックの積載量・高さにかかわらず、常にヘルメ
ットを着用させる方が良いでしょう。
 なお、陸運業での労働災害は荷台等からの墜落・転落災害が約7割を占
めています。厚生労働省では平成25年3月に「陸上貨物運送事業における
荷役作業の安全対策ガイドライン」を作成し、陸上貨物運送事業者と荷主
等が連携して荷役災害防止に取り組むことを推進しており、現場指導員が
事業所に訪問して指導する事業を無料で行うことになりました。現場指導
には労働安全コンサルタントが伺います。
 「現場指導を受けたい」「コンサルタントの目で、安全管理状況を評価
してもらいたい」「トラックからの墜落災害を防止する方法を知りたい」
などの希望があれば、日本労働安全衛生コンサルタント会大阪支部事務局
の中川(私)まで連絡ください。
 無料指導には限りがありますので、お早めに連絡ください。
  
                         ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 68 ☆
 危機管理産業展 
  危機管理産業展が10月2日から4日まで東京ビックサイトで開催されま
  す。震災対策をはじめとする国内外の危機管理に関する製品・技術・
  サービスを幅広く対象とした危機管理に関する総合展示会です。危機
  管理への取組は自治体の取組だけでは十分でなく、自助・共助・公助
  の精神で、地域・企業・行政が一体となって立ち向かわなければなり
  ません。機械があれば見学されてはいかかでしょうか?
  http://www.kikikanri.biz/
  また、大阪では防犯防災総合展が10月17日・18日、インテックス大阪
  で開催されます。
  http://www.tv-osaka.co.jp/bohan_bosai/
  来年ですが、パシフィコ横浜で2月6・7日に震災対策技術展がありま
  す。地震対策には多くの情報を集めるよう心がけてください。
  http://www.exhibitiontech.com/etec/

2013年9月14日(ブラック企業)
 今年の流行語として、「おもてなし」「じぇじぇ」「倍返し」「今でし
ょ!」などが候補となっていますが、中には、「ブラック企業」も流行語
という声もあります。
 厚生労働省では、平成25年9月1日(日)に、若者の「使い捨て」が疑われ
る企業・事業所に関する無料電話相談を行いました。たった1日の相談に
関わらず、全国で1,042件の相談が寄せられ、その結果が9月2日に公表さ
れました。
 相談者
  1 労働者本人 716件(68.7%)
  2 労働者の家族 223件(21.4%)
  3 その他   103件( 9.9%)
 相談の対象となった労働者の年齢(件数上位3項目)
  1 30~39才  253件(24.3%)
  2 20~29才 252件(24.2%)
  3 40~49才  182件(17.5%)
 相談が多かった業種(件数上位3項目)
  1 製造業 213件(20.4%)
  2 商 業 207件(19.9%)
  3 その他の事業  108件(10.4%)
 主な相談内容(件数上位3項目)
  1 賃金不払残業 556件(53.4%)
  2 長時間労働・過重労働 414件(39.7%)
  3 パワーハラスメント 163件(15.6%)
 詳細等はこちらをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000019371.html
 昔は、新卒者は「金の卵」と呼ばれる時代がありました。今でも人材は
企業の宝(財産)として、「人材」と言わず、「人財」という会社もあり
ますが、その半面「使い捨て」と呼ばれるような実態があることはとても
残念に思います。
 上記の統計では上位に入っていませんが、高い場所での作業で柵もなく、
安全帯も支給しない会社など安全対策が不十分な会社もあります。安全帯・
ヘルメット・安全靴などの保護具を作業員に買わせる会社もあります。
 今、視聴率が急上昇しているテレビ番組に「半沢直樹」があります。
「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」というような部下
を使い捨てることが実際にあるのでしょう。このようなドラマに人気が高
まるのも、今の世の中を反映しているのかもしれません。
 ブラック企業問題を世間に投げかけるドラマとして、私が注目している
のは、10月から放送が始まる「ダンダリン 労働基準監督官」です。
 http://www.ntv.co.jp/dandarin/
 労働者のメンタルヘルス・過重労働・パワハラ・賃金未払い・安全配慮
義務など今の労働問題を考えるきっかけになるようなドラマになることを
期待しています。

                          
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 67 ☆
 避難訓練
  大阪府では9月5日に「大阪880万人訓練」として11時に一斉にメール
  が送られました。ある会社ではそれを利用して、社員が一斉に建物か
  ら会社前の駐車場に避難したそうです。避難訓練をすることは非常に
  良いことですが、この訓練は正しいのでしょうか?
  南海トラフ巨大地震が発生した場合、大阪では緊急地震速報のあと、
  15~20秒ぐらい余裕があるので、建物から逃げ出す時間があるかもし
  れません。しかし、地震は南海トラフ地震だけではありません。緊急
  地震速報を聞いたときに、どこの地震か判りません。速報の1秒後に
  地震があるかもしれません。安易は避難行動は危険です。
  避難時に階段を降りる行動はとても危険です。階段を降りる途中で地
  震が発生した場合、一人なら手すりを持って身体を支えられるかもし
  れませんが、上から人が落ちてきたら支えきれません。
  地震を想定した訓練であれば、速報を聞いた瞬間に、「どこにいたか」
  「どういう行動をとったか」を記録し、その行動が適切かを検討する
  訓練が良いでしょう。
  速報を聞いた瞬間に、頭上・周囲を見て、即座に自分の身を守る行動
  が必要です。しかし、古い建物で建物崩壊の危険性が高ければ、すぐ
  に建物から出る行動が正解の場合もあります。
  化学プラントでは、緊急停止措置が最優先の場合もあるでしょう。
  その会社で一番適した緊急時行動を検討してください。


2013年9月7日(竜巻)
 今回、テレビで竜巻の映像をご覧になった人も多いと思います。その多
くは視聴者が提供した映像です。
 気になるのは、その多くが窓越しに撮影している点です。竜巻は風圧だ
けでも窓ガラスを打ち破るぐらいの破壊力を持っています。その風圧より
危険なのは、いろんな物を巻き上げて、吹き飛ばします。小石であっても、
家の壁を突き抜けるぐらいの威力をもって襲ってくるものです。竜巻から
離れていると思っても、時速100kmで移動する竜巻もあるので、竜巻の
撮影行為は止めていただきたいと感じます。
 たとえ、その映像が竜巻研究の貴重なデータになるかもしれませんが、
撮影は危険な行為には違いありません。
 一昔前なら、日本国内で竜巻は珍しいものでしたが、今週は1日に2カ所
で発生するなど、想定外とは言えないものになったように思います。
 竜巻に備えて何をするかと聞かれても難しいです。
 F4(Fは藤田スケール)になると、風速は秒速100mになります。秒
速100mということは、時速に直すと、時速360kmです。風速で飛ばされ
ますし、物が飛んでくると致命傷になります。
 私自身、竜巻を肉眼で直に見たことはありません。多くの方が見たこと
ないかもしれません。だからといって、映像を撮る行為は絶対に止めてい
ただきたいと考えます。
 竜巻は突然襲うものですが、竜巻の前兆は判ることもあります。真黒な
雲が広がり、冷たい風が吹き込んでくるそうです。時間的な猶予は判りま
せん。真黒な雲が広がると、ゲリラ豪雨が来るとか、竜巻が来るかもしれ
ないということは感じてください
 ではどうすれば良いのでしょう?
 まず、窓からは離れてください。窓が割れると、ガラスの破片が飛び、
致命傷を受けるかもしれません。あるテレビ番組を見ると、お風呂とかト
イレが良いとも言われます。しかし、お風呂もトイレもドアが吹き飛ばさ
れると無防備と同じです。また、2階よりも1階が良い。1階より地下が良
いとも言われます。あるテレビ番組では、押入れの中の布団の間に潜り込
むのが一番良いという実験結果の放送もありました。
 大事なのは、人間が逃げるスピードより早く移動することを理解してお
くことです。
 家自体が吹き飛ばされる危険がありますが、竜巻の発生を予測した時に、
瞬間的に一番安全な場所を見付けて、そこに逃げる判断力が重要です。竜
巻が発生したのを目で確認してから、逃げるのでは間に合わないかもしれ
ません。竜巻が身近な存在になったこと、竜巻は風だけでなく、物が飛ん
でくること、竜巻の接近を感じた時には逃げても間に合わないことを知っ
ていてください。

                          
 ご安全に

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 66 ☆
 AED(自動体外式除細動器)
  9月9日は救急の日です。
  緊急時の対応についても事前に考えてください。
  地震発生時には、救急車を呼んでもすぐには来ないと考えなければな
  らないでしょう。
  物やガラスが落ちてきて、大量に出血することもありますし、骨折の
  可能性もあります。止血の方法を学ぶ事も必要です。
  また、心停止になる方がいるかもしれません。心肺蘇生の知識習得も
  必要です。AEDの使い方も知っていてください。
  AEDの使い方を知っていても、機器がなければ役にたちません。
  AEDがどこにあるかを知っておくことも必要です。
  会社の近く、自宅の近くのAEDの位置を確認しておいてください。
  こちらのホームページから探しておくと良いでしょう。
  http://aedm.jp/

2013年8月31日(1.2-ジクロロプロパン)
 
昨年4月以降問題となった印刷業での胆管ガンでは1.2-ジクロロプロパ
ンが原因と言われていました。今回、この1.2-ジクロロプロパンの規制が
強化されました。
 まず、1.2-ジクロロプロパンが特定化学物質に追加されました。
 これに伴い、下記の内容の実施が必要になります。
 ①雇い入れ教育(作業内容変更時を含む)
  SDS(安全データシート)に基づき、危険有害性の周知、取扱方法の
  教育、応急措置等の教育が必要です。
 ②換気装置(局所排気装置、プッシュプル型換気装置)
  換気装置の設置により、気中濃度を下げ、作業者が吸引しないように
  しなければなりません。
 ③呼吸用保護具の着用
  有機ガス用防毒マスクなどが必要になります。
 ④作業主任者の選任
  有機溶剤作業主任者技能講習修了者の中から作業主任者を選任してく
  ださい。(注:特化物ですが、作業主任者の選任は有機溶剤作業主任
  者技能講習修了者から選任することになります)
 ⑤作業環境測定
  6か月に1回、空気中の濃度を測定しなければなりません。
 ⑥掲示物
  有害性等、必要な掲示物を良く見える場所に掲示してください。
 ⑦健康診断
  6か月に1回、健康診断を受けさせる必要があります。
 ⑧保護手袋の着用
  不浸透性の保護手袋が必要になります。
 ⑨作業の記録
  洗浄又は払拭の業務に従事する労働者について、作業の記録の概要を
  30年間保存しなければなりません。
 ⑩引火等の火災防止
  1.2-ジクロロプロパンの蒸気は容易に引火します。
  火気等の取扱にご注意ください。
 ⑪作業方法等の改善
  洗浄または払拭作業中に労働者が吸引しないように気中濃度を下げる
  よう、作業位置・作業姿勢・作業方法・作業時間を改善してください。
 ⑫代替え品
  発がん性の疑いがあるものなので、有害性の低いものに変えることも
  検討してください。
 これらの適用は、平成25年10月1日からになりますので、ご注意くださ
 い。ただし、作業主任者の選任および作業環境測定の実施は平成26年9
 月30日まで経過措置が定められています。
 なお、通達により、洗浄・払拭作業で使用する溶剤については、有機則
 や特化則で個別規制がなくても、曝露を防止するために必要な措置をと
 るよう定められました。
 詳細はこちらで確認してください
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/new/tsuchi/new.html


                        
   ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 65 ☆  
 備蓄食糧・水の保管
  食糧や水など緊急時の備蓄品をどこに保管するかは良く検討してくだ
  さい。災害時に水没や延焼、建物の崩壊などの可能性を考慮してくだ
  さい。リスクを低減するために、分散して保管する方法も良いと考え
  ます。また、食糧・水は消費期限があります。山積みにした食糧の中
  から消費期限に達したものを探し出すのは大変な労力を使います。消
  費期限ごとに分散して保管すれば入れ替えなどもスムーズになるでし
  ょう。
  まだまだ残暑厳しいですが、冬の災害に備えて、カイロなどの暖房機
  材も検討して備えて行きましょう。

2013年8月24日(福知山花火大会の事故)
 8月15日午後7時30分ごろ、京都府福知山市で、花火見物のお客が多数被
災した事故はご存じと思います。
 事故の原因を作ったと思われる露店商の店主の事情聴取はまだ実施され
ていませんが、目撃証言からいろいろなことが明るみになってきました。
 事故の当日、14時前には露店商が、事故のあった場所にベビーカステラ
の露店を出しました。ベビーカステラのコンロはプロパンガスで、照明を
確保するため、ガソリン式の発電機を露店から少し離れたところに置いて、
補充用のガソリン携行缶を発電機の近くに置いていました。
 午後7時半ぐらいに露店商の店主が発電機のガソリンを補充しようと思
い、発電機のガソリン投入口のキャップを開け、ガソリン携行缶のキャッ
プを開けた時に、中のガソリンがガソリン蒸気とともに勢いよく吹き出し
ました。この時の正しい行動は、ガソリン携行缶の内圧を下げるために、
圧力調整ボルトを緩め、ガソリン携行缶の圧力を十分に下げて、キャップ
を開けるべきでした。しかし、露店商の店主は、圧力調整ボルトを操作せ
ず、いきなり、携行缶のキャップを開けました。当日の気温は37度という
高温に加えて、直射日光の当たる場所で、なおかつ、発電機の排気口に近
いところに置いていました。ガソリン携行缶の表面温度は50℃以上にも達
していたと想像できます。
 ガソリン携行缶の中はガソリン蒸気がかなりの圧力になっていたでしょ
う。ガソリン携行缶のキャップを開けると、ガソリン蒸気に加えて、多量
のガソリンが飛び散ります。露店主は見物客にガソリンがかかったので、
あわてて、反対側の露店に向けました。しかし、そこはベビーカステラの
コンロです。コンロの火に引火して、大きく燃え上がりました。その炎は
最初にガソリンを掛けてしまった見物客に引火してしまいました。衣服に
ついたガソリンに引火したのだから、これほど多数の死傷者を出すような
結果になったのでしょう。
 なぜ、このような災害が発生したのでしょう?
 露店商の店主がガソリン携行缶の圧力調整ボルトを緩めることを忘れた
(知らなかった?)のが大きな問題ですが、その背景にはいろいろな問題
があります。
 ①ガソリン携行缶を直射日光の当たるところに置いたこと。
 ②発電機の近くにガソリン携行缶を置いたこと。があります。
 おそらく、露店商は長年、ガソリン式発電機とガソリン携行缶を扱って
いたと考えられます。露店ではプロパンガスコンロがあるので、コンロの
近くにガソリン携行缶や発電機を置いてはいけないということは理解して
いたのでしょう。そして、露店の場所から発電機とガソリン携行缶を離し
て置きました。その時、見物客が多いことは容易に想像できるので、露店
と発電機とガソリン携行缶を十分な距離を離して置くことができなかった
のでしょう。
 また、ガソリン携行缶からガソリンが吹き出すようなヒヤリハットを経
験していなかったと思います。ガソリン携行缶の圧力調整を忘れていたら、
必ず火災が発生する。と知っていたならこんなミスは無かったでしょう。
今まで、圧力調整をしなくても事故は発生しなかった。このような「結果
オーライ」的な行動が人間の判断を誤らせたのでしょう。
 人間は事故になるような失敗を糧として、成長します。しかし、たまた
ま事故にならないような、危険な状態も、事故にならなければ成功経験と
して脳裏に記憶されます。これがとても厄介な問題で、誤った行動でも事
故にならなければ「正しい行動」と認識してしまうものです。
 報道を見ていると、「危険物取扱者の資格を持っていなかった露店商が
ガソリンを扱った」とありました。危険物取扱者の資格が無くてもガソリ
ン200リットル未満なら違反ではありません。ガソリン携行缶は10~20リ
ットルなので、危険物取扱者でもガソリン携行缶の取扱方法を理解してい
ない場合もあります。このベビーカステラは露店商の主人と奥さんとアル
バイト従業員という事なので、誰もガソリン携行缶の圧力調整を教えるこ
ともなく、教えてもらうこともなかったかもしれません。ガソリンの危険
性も知らず、今まで、何もなかったから、取扱方法に問題ないと思ってい
たところにこの事故の盲点があったのでしょう。
 今回の事故では主催者(福知山市花火実行委員会)の放任主義も問題で
した。主催者は火気の使用を届けさせることもなく、全く管理していなか
ったようです。プロパンガスおよびコンロや発電機、ガソリンの持ち込み
量を把握していたら、リスクが大きいことも予測できたでしょう。
 事故のあと、発電機の持ち込みを制限するなどの動きがあるようですが、
そこまでして、花火大会などイベントを縮小する必要な無いと思います。
イベントには電力供給が欠かせません。発電機の主な用途は照明なのです。
照明器具を全てLED電球に変えれば、露店商の照明ぐらい賄えるはずで
す。電力消費量を抑えて、ガソリン式発電機を使わなくていいイベントを
開催して欲しいと考えます。
 どんなものでもリスクはあります。それを管理方法などのソフト的な対
策ではなく、そのリスクを無くしながらイベントが開催できるように考え
てください。乾電池式のLEDランタンを使わせていれば事故は無かった
し、照明用のコンセントを主催者が用意していれば、このような事故は無
かったのです。
 花火大会と言えば、2001年7月20日の明石花火大会歩道橋事故を思い出
します。この事故では11人の尊い命が失われ、247名が重軽傷を負いまし
た。
 いろんな失敗を糧に人間は成長していきます。福知山での失敗を繰り返
さないことを願います。

                        
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 64 ☆  
 8月30日から9月5日までは防災週間
  1923年9月1日11時58分に関東大震災が発生し、10万人を超える尊い命
  を失いました。この9月1日を防災の日とし、また、台風などの被害が
  多い時期として、この1週間を防災週間としています。
  防災週間では各地でいろいろなイベントもあります。
  (8月31日から9月1日防災フェア2013)  
  http://www.bousai.go.jp/kyoiku/fair/fair2013/index.html
  また、この期間中は災害伝言板の体験利用ができます。南海トラフ巨
  大地震への関心が高まる中、社員の意識付けとして、朝礼等で紹介し
  てください。

2013年8月17日(草刈り機での事故)
 8月11日午後4時ごろ、大分県竹田市の会社員が庭先の草をエンジン式の
草刈り機で刈っていたところ、長女(3歳)の首に刃があたり死亡する事
故がありました。亡くなったのが自分の娘であり、とてもかわいそうな事
故でした。
 事故を起こした草刈り機は円盤状の刃を持っており、エンジンで起動し
ているのでかなりのパワーがあります。
 刃は円周上にあり、円運動するのですから、右に振っても切れるし、左
に振っても切れる。前に押し出しても切れるし、手前に引っ張っても切れ
ます。
 しかし、安全に作業するためには、(回転刃が作業者から見て左回転の
場合)左へ振るときに草を刈り、右へ戻すときには刈らないようしなけれ
ばなりません。これは、高速回転している刃の右側が固い草や木の茎に接
触し、回転力により刃が押し戻されて作業者に接触する事故(キックバッ
ク事故)を避けるためです。今回の事故はおそらくキックバックによって、
思わぬ方向に刃が動いたからでしょう。使用時は地面すれすれのところで
使いますが、キックバックでは、ゴルフのバックスイングにように振れる
ので、顔の高さでも当たることがあります。
 調べてみると、草刈り機の事故はかなり発生しているようです。
 作業の際は、本来であれば刃の手元側に、シャフトを介して防護カバー
を装着し作業をする必要がありますが、刈った雑草類がシャフトとカバー
の間に挟まって、取り除く手間が増え作業効率が落ちるので、この防護カ
バーを外したままで刈払い作業を行なって、事故が発生しています。また
雑草類が挟まって、回転が止まった時に、手で引き抜こうとしますが、雑
草が外れた瞬間に回転を開始したときに、刃に触れる事故も発生していま
す。
 使用の際には、肩ひもで吊って使用しますが、肩に掛けるだけでは、キ
ックバックの際に身体から離れて飛んでしまうこともあります。肩と腰の
2本のベルトで固定しなければなりません。また、砂利等が飛散すること
もあるので、保護眼鏡も必要になります。エンジンを動力とする場合には、
排気ガスも出るので、保護マスクも必要になります。さらに、激しく震動
するものであり、長時間作業の場合は、防振手袋が必要となります。また
騒音も高いので、耳栓等も必要です。
(参考:ホンダ刈り払い機の取扱説明書)
 http://www.honda.co.jp/ownersmanual/pdf/power/trimmer/30VJ36130_LT.pdf
 今回の事故は自分の庭を自身の手で草刈りするので、労働安全衛生法の
適用はありませんが、これを業務として行う場合、草刈り機は、刈払機に
該当するので、特別教育に準ずる安全衛生教育が必要です。
 平成12年2月16日 基発第66号
 「刈払機取扱い作業者に対する安全衛生教育について」
 http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-41/hor1-41-24-1-0.htm

                  
       ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 63 ☆  
 発電機
  地震の被害から早期に事業を始めるためには電力が欠かせません。し
  かし、南海トラフ巨大地震が発生した場合
  被災直後で、最大約2,710万軒が停電すると予測されます。
  東海三県(静岡、愛知、三重)の約9割、近畿三府県(和歌山、大阪、
  兵庫)の約9割、山陽三県(岡山、広島、山口)の約3~7割、四国の
  約9割、九州二県(大分、宮崎)の約9割で停電すると想定されます。
  復旧には数日間から2週間とも言われています。
  停電の間は電力の回復したところで、事業再開をするか、自前で電気
  を確保するしかありません。ソーラーパネルもなく、電気自動車のバ
  ッテリーもない場合には発電機がもっとも適しているでしょう。
  その発電機の多くはガソリン式です。
  8月15日の福知山花火大会での火災の原因として考えられるのが発電
  機とガソリン携行缶の取扱による出火です。発電機を導入した場合に
  は、安全に使うための教育を怠らないようにしてください。

2013年8月10日(消火訓練での事故)
 8月4日午前6時40分頃、滋賀県東近江市で消火訓練の準備中にエタノー
ルを継ぎ足した際に爆発炎上し、3人が全身火傷の重傷、7人がやけどする
事故が発生しました。
 状況は朝のラジオ体操後150人ほどが集まって、消防団員の指導の元、
消火訓練をするもので、オイルパンとエチルアルコールと訓練用水消火器
を用意し、団員の一人が、炎が消えたので、エチルアルコールを継ぎ足し
たというものですが、実際は消えていなかったので、激しく炎上しました。
 この訓練では疑問に感じる点がいくつかあります。
 ①なぜ、エタノールを継ぎ足したのか
 ②なぜ、エタノールを使用したのか
 ③なぜ、水消火器を使用したのか
 なぜ、エタノールを継ぎ足したのか?
 おそらく、団員は炎が消えたと判断したのでしょう。しかし、エタノー
 ルの炎は青い炎であり、屋外では燃えているか、消えているかの判断が
 困難なものです。
 皆さんは小学校の理科の実験でアルコールランプを使った記憶があるか
 もしれません。アルコールランプの炎は赤く燃えていました。しかし、
 あのアルコールランプは燃料用なのです。エタノールだけでなく、メタ
 ノールなども含んでいます。純度の高いエタノールの場合、室内で部屋
 を暗くしなければ消火の確認は困難です。そのため、判断を誤ったので
 しょう。
 なぜ、エタノールを使用したのか?
 オイルパンを使用する消火訓練では灯油やガソリン、廃油などを使いま
 す。しかし、これらは大量のススが発生するので周囲に迷惑をかけてし
 まいます。
 なぜ、水消火器を使用したのか?
 オイルパンに引火性液体を入れて、水で消すのは危険だと考えなかった
 のでしょうか?これではまるで、天ぷら油火災に水をかけるのと同じで
 とても危険です。(油類の火災に水をかけるのはとても危険だというこ
 とを教えなければならないので、逆効果です)
 このような誤った訓練をした経過を想像すると、最初はオイルパンに灯
油を入れて、粉末消火器で訓練していた。しかし、ススや消火器粉末の処
理が大変なので、水消火器で的(まと)を狙って消火した。その後、的で
は臨場感がない・刺激が少ないから、炎を消しましょうという声があがっ
たと推測します。でも炎を消すとススが出るから、エタノールにしましょ
うということになったと考えます。
 水消火器を使う訓練なら、的を狙うか、木材などを燃やしましょう。
 灯油等を燃やすなら、粉末消火器を使いましょう。
 消火対象物と消火器のミスマッチがこの事故の背景にあると考えます。

                     
    ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 62 2013.8.10 ☆  
 緊急地震速報2013.8.8誤報
  2013年8月8日16時56分に携帯が鳴りました。「奈良県で地震発生強い
  揺れに備えてください(気象庁)」
  関西では2度目の速報であり、ある方は、「瞬時に対応したよ。速報
  を受けた時、2階にいたけど、急いで階段を降りて、駐車場に出た」
  と言っていました。
  瞬時に反応したのは良いのですが、この行動はどうでしょう?
  緊急地震速報が出た瞬間では、“何秒後”に強い揺れがあるかは判り
  ません。何秒後にくるか判らない状態で、階段を降りる行動はお勧め
  できません。
  速報を受けた時の自分の場所の危険性を判断し、より安全な場所へ移
  動することが必要なものです。階段を使っている時に大きな地震があ
  ると、階段を転げ落ちる可能性もあります。
  誤報ではありますが、自分自身がその瞬間にどんな行動を取ったか思
  い出してください。そして、その行動は良かったのか考えてください。

2013年8月3日(ヒューマンエラーを考える)
 ある事業所からヒューマンエラーの講演の依頼をいただきました。
 事業所の要望としては、ヒューマンエラーが身近な存在で、誰にでも起
こることをその場で体験できるような講演をして欲しいというものでした。
ヒューマンエラーが原因となった事故事例の説明をしても、受講者が「自
分はそんな愚かな失敗をしない」と思って聞くと教育効果が薄い。実際に
失敗させて、そこからヒューマンエラーについて指導して欲しいというの
です。私自身、ヒューマンエラーに関する講演は多数行いましたが、その
ような要望は初めてで苦労しました。
 講演の中でいくつか、机上でできるヒューマンエラー実験をしました。
 その一つを紹介しましょう。
 「指示ゲーム」
 二人で1組を作ります。
 その内の一人にだけ図形を見せます。その人はもう一人にその図形を書
かせるのです。簡単な図形(○と□の組み合わせ)でも、言葉だけでは簡
単に伝わりません。自分の頭の中にある図形を何も知らない相手に書かせ
るのは相当困難です。受講者はかなり苦労しながら書いていました。
 このゲームをすると、指示というものがどんなに難しいか理解していた
だけたと思います。自分が指示する事を相手に実現させるのは考えてみれ
ば難しいことなのです
 実際の作業では、○や□のような簡単なものではありません。相手が
「理解した」と言っても、本当に理解したかは判らないものなのです。
 安全の笑い話として、「アースをとれ」があります。職長が新人に「ア
ースをとったか、確認しろ」と指示をすると、新人はアースの接続を外し
てしまった。という話です。
 作業を教える場合には、「やってみせ 言って聞かせて させてみて 
褒めてやらねば人は動かじ」という山本五十六の言葉通りです。
 言って聞かせるだけの指示では事故が発生するのは必然と考えてくださ
い。
 ヒューマンエラーとは JIS Z8115:2000では、「意図しない結果を生じ
る人間の行為」と定義しています。意図しない結果を生じる原因は指導す
る側にもあります。
 「阿吽(あうん)の呼吸」「ツーカーの中」と思って指示していると思
わぬ結果になるかもしれませんよ。

                         
ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 61 ☆
 高圧洗浄機
  7月28日山口県を襲った豪雨は猛烈でした。「命を守る行動を」とい
  う警戒警告が出された通り、鉄橋や道路が流され、甚大な被害を受け
  たところもありました。
  各市町村の災害ハザードマップ等で浸水の恐れのある場所では、万一
  の際の復旧に向けて、高圧洗浄機を備え付けることをお勧めします。
  浸水があった場合、ホウキや雑巾では労力を使うだけで効率が悪いも
  のです。

  
2013年7月20日(スペイン高速鉄道脱線)
 スペインで高速鉄道が脱線し、80人もの死者が出ました。
 監視カメラの映像がテレビで放映されましたが、凄いというか、恐ろし
いですね。
 http://www.youtube.com/watch?v=IUuinz3koDw
 この事故の原因は制限速度(80km/h)の2倍以上の190km/hのスピードで
カーブに侵入したことと言われていますが、なぜ、そんな速度で侵入した
のか不明です。
 ・故意のもの(速度超過を楽しむ・スリルを楽しむ)
 ・故意のもの(遅れを取り戻すための無理な速度で運転)
 ・ブレーキの故障
 ・居眠り等による意図しない加速
 日本でも速度超過による脱線で多くの人の命を失いました。
  (2005年4月25日JR西日本福知山線脱線事故)
 この時の経験が生かされていなかったのは残念です。
 スペインの国鉄では、遅れた時間と乗客数を掛けた罰金制度があります。
JR西日本の日勤教育の重いペナルティと似ています。5分遅れて走行し
ていたとの報道もあるので、重いペナルティから逃れようとしていたのか
もしれません。また、JRで問題となったのは、自動列車制御装置(ATC)
が設置されていなかったことでした。スペインでの事故でカーブに設置さ
れていたのは、制限速度を超えた場合の警告音だけだったようです。
 列車の運転では故意にスピードを出すことも、居眠り等で制御できない
こともありますので、自動列車制御装置は必要なのです。今まで大きな事
故が無かったので整備が遅れたのかもしれませんが、日本では現実に発生
したのです。その経験を生かして、整備しておくべきでした。
 日本では発生したが、スペインでは発生しないと軽視したのかもしれま
せん。他で発生した災害を「対岸の火事」と思わず、リスクを分析して対
策することが必要だと考えます。

 話は変わりますが、7月22日さいたま市南浦和駅で女性が足を踏み外し、
電車とホームに挟まれ、利用客40人が車両を押し、救出されたニュースが
国内だけでなく、海外からも称賛されました。
 でも、ホームと電車の隙間が20cmもあるのは、異常です。隙間に人が落
ちたという事故は過去に何度もあります。対策を望みます。人命が失われ
てから対策するようなことでは遅すぎます。
 (2004年に発生した六本木ヒルズ森タワービルの回転ドア事故はそれま
 でに多数の人が挟まれてケガをしましたが、死亡事故が発生するまでは
 何も対策が取られませんでした。同じようなことがあってはなりません)

                         ご安全に!


☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 60 ☆
 壁うらセンサー(パナソニック EZ3802)
  パナソニックの壁うらセンサーを使ってみました。
  http://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=EZ3802
  転倒対策で壁に棚を固定することが必要ですが、壁にはクロスが貼っ
  てあり、べニア板またはボードの中の状態が判りません。せっかく、
  棚を壁に固定しても、ベニア板やボードでは効果は望めません。
  熟練の方なら、叩いただけで、中の状況が判るでしょうが、素人では
  音で判断するのは困難です。
  ある会社で、壁固定をする際にどこで固定すれば良いかを探す時に、
  この壁うらセンサーが役に立ちました。
  また、壁の中に電線があると、ねじ止めの際に電線を痛めるかもしれ
  ません。感電の危険もあります。この壁うらセンサーは壁の中の電線
  の位置まで調べることができます。お勧めのグッズです。

2013年7月20日(ネット上の写真)
 ツイッターやfacebookなどで面白い写真や不思議な写真を掲載して注目
を浴びようとすることが多々見られます。でも、情けないやら、悲しいや
ら、言葉を失うような残念な写真もあります。
 7月15日に問題となった写真がありました。
 コンビニエンスストア「ローソン」の店内でアイスクリームを販売する
冷蔵ケースの中に、店舗の従業員が寝転がっている写真が掲載されました。
すぐに市民が食べ物のショーケースの中に人間が入るなんて不衛生だとク
レームが入りました。調査の結果、高知鴨部店と判り、ローソンはフラン
チャイズ契約を打ち切り、店舗は休業になりました。冷蔵ケースに入って
いたのはオーナーの息子22歳と判りました。こんなバカなことは普通では
考えられないでしょう。従業員の非常識な行動で、事業が閉鎖されてしま
いました。オーナーは契約を打ち切られ、違約金も発生したことでしょう。
経営者にとっては泣くに泣けないような出来事だと思います。
 彼らには「注目される写真」と「笑われる写真・軽蔑される写真」との
区別ができていないのだと思います。
 こんな話はうちの会社ではあり得ないと思っているかもしれませんが、
ネット上の写真はどんどんエスカレートするものかもしれません。クレー
ンで人間を吊り上げ、バンジージャンプするとか、フォークリフトでドリ
フト運転するとか、産業用ロボットに挟まれたような写真を撮ろうとする
人が居るかもしれません。職場の中には、使い方を間違えると、命を奪う
ような機械はいっぱいあります。
 まさか、新入社員教育の中で、「クレーンでバンジージャンプをするな」
なんてことを教えることはないでしょう。クレーン・フォークリフト・産
業用ロボットなどは間違った使い方をすると命を失うかもしれないもので
あり、正しい使い方を教えてください。
 その行為が常識外れのことであっても、ネットの中では、「何でもアリ」
の無法地帯です。皆さん方の会社で、そんな事のないように祈ります。
 

2013年7月20日(労働局が逮捕した)
 7月18日、大阪府大東市にある金属プレス加工業「トーセパテック」の
工場長が労働安全衛生法違反の疑いで逮捕されました。
 「逮捕」というと警察のように思いますが、監督署の監督官は司法警察
官の資格があるので逮捕する権限を有しています。
 この会社では2011年に女性従業員がプレス機械で指を2本切断した事故
で、工場長は「自分には責任が無い」などといい、捜査に協力しなかった
などが理由のようです。
 逮捕というのは少ないようですが、中には悪質な例もあるようです。あ
る行政の方から聞いた話では「技能講習修了証の偽造」というものまであ
ったようです。
 万一、災害が発生して、監督署が立入り捜査した際には、ありのままを
説明するようにしてください。小細工をすると、その代償は大きくなって
しまいます。

           
              ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 59 ☆
 排煙設備
  宝塚市役所放火事件で職員5人が負傷しましたが、避難は速やかにで
  きたようです。その理由の一つに排煙設備(排煙窓)を効果的に使っ
  たといわれています。排煙設備を使って煙を屋外に排出できたため、
  視野が確保され、避難ができたようです。もし、排煙設備を使ってい
  なければ、瞬く間に煙が充満して、視野を失い、避難に時間がかかり
  もっと多くの方が負傷したかもしれません。
  * 排煙設備は天井近くの窓で、多くの場合、ハンドルを回すことに
    よって開閉できるものです。
  排煙設備を有する建物では、火災発生時の対応手順に加えて、操作方
  法等を教育し、担当を決めることが良いでしょう。
  なお、この排煙設備は煙を逃がして、避難を優先するものなので、火
  災時には、酸素の供給源になり、火災を大きくすることもありますの
  で、煙が充満していない時には開ける必要はありません。

2013年7月13日(熱中症)
 7月7日午後5時40分ごろ、大分県にある新日鉄住金大分製鉄所でクレー
ン運転手の男性社員(56)がぐったりしているのを同僚が見つけ、会社の
自衛消防隊が緊急搬送したが、翌日に死亡する事故がありました。男性は
工場内のクレーンを一人で操作しており、無線で連絡が取れなくなったと
いうことです。男性は30年以上のベテランで、当日は午後3時から勤務に
つき、クレーンが故障したため、電気室で倒れていたということです。
 この会社では熱中症については、特に指導・教育を徹底し、梅干し、塩
昆布、塩飴、ポカリスエットを常備していました。
 おそらく、責任感の強い社員で、一刻も早く通常運転できるように急い
でいたのでしょう。通風の悪い狭いところだったのではないかと思われま
す。
 熱中症の自覚症状としては、気分が悪くなる。頭痛、吐き気、めまいが
する。身体がだるい。手足がつる。というものです。
 男性は、いくつかの自覚症状があったかもしれませんが、早く措置を終
えようとして、休憩や水分補給などをしなかったのでしょう。
 トラブルなどで早期に集中して対応しなければならない場合は、自覚症
状があっても無理をしてしまうものだと思います。場所によってはトラブ
ル発生時が熱中症の最も警戒しなければならない時だと考えます。
 あなたの会社では熱中症の患者が出た時の対応について定めているでし
ょうか。上司・同僚が発見した場合、意識があれば、冷房の効いた休憩室
でポカリスエットを飲ませて、休ませ、付添い人が観察すれば良いでしょ
う。(症状が回復しなければ医療機関に搬送)
 意識が無い場合は、医療機関に搬送しなければなりませんが、救急車が
到着するまでにできる限りのことをしなければなりません。服を脱がせ、
体温を下げるために冷却が必要です。ポリ袋に氷を入れ、首、脇の下、鼠
蹊部(そけいぶ)を冷やしましょう。意識が無い場合は、体温が40度を超
えているかもしれません。体温調節ができない状態なので、急いで冷やさ
なければなりません。
 さて、皆さんの会社では冷却に使える氷はどこにありますか?
 (緊急時には、氷を取りに行くのではなく、製氷機の近くの人に持って
 来させることです。製氷機が無ければアイスノンなど化学反応によって、
 冷却できるものを備え付けておくと良いでしょう。)
 意識が無い場合の対応方法を教育されていますか?
 熱中症予防も重要ですが、緊急手当も重要です。 

                      
   ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 58 ☆
 宝塚市役所放火事件
  7月12日、宝塚市役所で市民が火炎瓶を投げるという信じられないよ
  うな事件がありました。そんな事まで想定する必要性があるかどうか
  は別にして、データの保存については考えなければならないかもしれ
  ません。保管が必要な物は紙での保管以外に電子データ化が適してい
  るでしょう。電子化していれば、小さく、持ち運びも可能です。また、
  別の場所のサーバーなどで二重保管していれば、万一のことがあって
  もデータを失うこともないでしょう。
  富士通のイメージスキャナー(ScanSnap SV600)なら、冊子の状態で
  も簡単にPDFデータとして保存できます。
  http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/sv600/

2013年7月6日(バス運転手が意識を失う)
 
7月1日三重県亀山市の東名阪自動車道を走行していた観光バスが蛇行し
異常に気付いた乗客3人が協力してバスを停止させました。バスの運転手
は急性大動脈解離で死亡しました。
 乗客はバスがガードレールに接触したので、運転席を見ると、運転手が
ぐったりとして気を失っていました。速度は時速80キロほど出ていました。
もし、発見が遅れ、対応できなかったら、大きな事故になっていたでしょ
う。
 急性大動脈解離ということなので、定期健康診断では見つけることはで
きないでしょう。本人でさえ、予兆を感じなかったかもしれません。
 軽微な接触で気が付き、すぐにハンドル操作を補助したので、大きな事
故にはなりませんでした。運転手には気の毒ですが、乗客の方が全員無事
だったのが救いです。
 このニュースを聞き、昨年4月29日の関越道で運転手が居眠りをしてバ
スが防音壁に衝突して、7人が死亡した事故を思い出しました。防音壁の
補修(ガードレールと防音壁の継ぎ目対策)は進んでいますが、今回の場
合も同様の事が起こったかもしれません。乗客ば無事で本当に良かった。
 高速道を走るバスは乗客のシートベルトは必須です。運転手が居眠りを
しないとは保証できません。万一に備えてバスでもシートベルトしてくだ
さい(路線バスではシートベルトの無いものが多い)。
 タクシーでも後部席はシートベルトの着用が必要です。しかし、中には、
シートベルトのバックルが無いものもあります。バックルがあると、客の
邪魔になるので、シートの下に押し込んであるのでしょう。
 先日も大阪市内でタクシーに乗り、シートベルトをしようと思うとバッ
クルがありません。運転手さんに「シートベルトのバックルがないよ」と
いうと、「お客さんはしなくてもいいです」と言われました。本当に困っ
た運転手です。運転手はエアバックとシートベルトで守られていますが、
後部座席にはエアバックはありません。さらにシートベルトが着用できな
ければ、事故の場合には大きなケガをします。
 以前、ある人とタクシーに乗った時、「中川さん、タクシーでシートベ
ルトするんですか、さすがですねぇ」と言われたことがありました。私は
「当然でしょ」と答えました。
 皆さんもシートベルトしていますよね。タクシーにはタクシー強盗除け
のアクリル板が取りつけられています。運転手が気を失った場合でも容易
にハンドルに手が届きません。シートベルトで自分を守るしか方法がない
のです。皆さまもお気をつけください。

                        
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 57 ☆
 整理整頓
  地震等の被害を減らすためにも整理はとても重要です。
  書類キャビネットは不要な書類で一杯になっていませんか?
  地震でキャビネットが倒れるかもしれません。震度7などの大きな地
  震なら、壁に固定していても倒れるかもしれません。
  要らない書類は廃棄すればキャビネットが少なくなるでしょう。キャ
  ビネットが少なくなれば、被害も小さくなります。
  キャビネットを固定する前に、「この中の書類は本当に必要なのか?」
  考えてください。また、PDFにして電子化して保存するのも良いで
  しょう。
  キャビネットの固定をする前に、中の物を廃棄することを考えましょ
  う。リスクが小さくなって、通路も確保でき、安全で作業効率も向上
  するでしょう。
  倒れないようにすることより、その物を無くす方が効果が高いです。

2013年6月29日(研削砥石事故)
 下記報道をご確認ください
   6月28日午前7時45分ごろ、大阪府和泉市の「木曽研磨工業所」で、
   同府忠岡町の男性社員(64)が鋳物の研磨作業中、研磨機の砥石が
   割れ、男性の胸を直撃した。男性は病院に運ばれたが、死亡が確認
   された。
   府警和泉署によると、研磨機の円形の砥石部分が大きなもので拳大
   ぐらいに割れていたという。当時工場内には10人ほどがいたが、異
   音がして男性の方を見ると、倒れていたらしい。
 詳細は不明ですが、ベビーサンダーのような小型のものではなく、両頭
グラインダーか、平面研削盤だと思われます。
 これらの機械に取り付けられる砥石は、とても硬いものですが、研磨材
などを焼き固めたもので、割れ物なのです。研磨時の高速回転していた物
が割れて、飛散すると、ピストルの弾が飛んでくるようなもので、致命傷
の可能性があります。特に、両頭グラインダーなどでは、正面に立って作
業しますので、砥石が割れたら、誰も避けられないでしょう。
 砥石が割れる要因はいろいろあります。
  ・砥石を取付け前に落としてヒビが入っている場合
  ・砥石に横からの力が加わった場合
  ・無理に加工物を押しつけた場合
  ・取付け時に歪み等があった場合
  ・機械の回転数に適合していない砥石を付けた場合
 砥石を交換する作業は取扱説明書を見れば誰でもできるような作業です
が、砥石破壊が生じると、人命を奪うような事故が発生するため、労働安
全衛生法では、砥石の交換および試運転業務は特別教育を修了した者でな
ければ、砥石の交換および試運転の業務をしてはならないと定められてい
ます。
 砥石を用いる機械には安全カバー・覆いの取付けが義務付けられていま
す。カバー等があれば、砥石が破壊してもケガの重大性を和らげることが
できるでしょう。
 両頭グラインダーで特に気を付けなければならないのは、「調整片」と
いうものです(カバーの上側に付いているもの)。名前だけ見ると、あま
り重要ではないと思われがちですが、とても重要な部品です。万一破裂し
た時には、この調整片の有無が生死を分けると言っていいほどの物です。
 仕事で多くの事業所を見ましたが、調整片が無いものや、調整片の位置
が不適切なものが非常に多いです。
 グラインダーを所有している場合は、特別教育を受けた者が交換および
試運転業務をしているか、使用前点検・試運転をしているか、確認してお
いてください。 

                         ご安全に!


☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 56 ☆
 階段の手すり
  地震はいつ発生するか判りません。あなたが階段の昇降の時に発生す
  るかもしれません。緊急地震速報を受信できれば、階段を降りること
  ができますが、緊急地震速報が間に合わなければ、階段から転がり落
  ちるかもしれません。
  階段には手すりが付いていますが、中には片方しか設置されていない
  建物もあります。地震に備えて、両側に手すりを設置することをお勧
  めします。
  手すりを新たに付ける場合は、「クネット」という波形手すりがいい
  と思います。真っすぐな手すりより、力を加えやすいので、しっかり
  と掴むことができると思います。
  http://kimurasangyou.com/category/1169794.html

    

2013年6月22日記(ドラマ:ガリレオ)
 フジテレビで現在放送中のドラマに「ガリレオ」がありますが、ご存じ
でしょうか?福山雅治が演じる天才物理学者の湯川学准教授(ドラマの中
では“変人ガリレオ”と呼ばれています)が警察の依頼を受けて、事件の
真相を科学の力で解決するドラマです。
 http://www.fujitv.co.jp/galileo/index.html
 5月6日に放送された第4回では、興味深い内容がありました。
 プロ野球選手の妻がソファーで眠っていて、一酸化炭素中毒で死亡する
事件です。原因は石油ストーブの不完全燃焼でした。誰が、ストーブを点
火して、殺したか?というのがポイントです。
 この謎を湯川学が解くのですが、結論は、違法電波によって誤動作して、
ストーブが点火したということで、殺人ではなく、事故となりました。
 本当にそんなことがあり得るのか?と思って調べると、実際に事故が発
生していました。下記参考にご覧ください。

 【不法無線局による火災発生の事例 】
 平成8年7月28日、東京都調布市内で発生した火災は、付近を通るトラッ
 クなどに設置された極めて高出力の不法無線機から発射された可能性の
 ある電波により、点火システムの電子回路が誤動作した石油ストーブが
 火元とみられています。
 これは、東京消防庁が、火災現場で使用されていた機種と類似のものに
 強力な電波を浴びせる実験をしたところ、実際に誤動作することが確認
 されたものです。
 1996年12月16日、TBS「ニュースの森」で、違法に改造されたCB無
 線の影響により国道沿いの家屋内の石油ストーブが誰も手を触れないの
 にボッと火がつくというショッキングなシーンが放映された。
 この学会誌には、その報道のもととなった火災の原因調査の結果が、東
 京消防庁予防部調査課により報告されている。
 同調査課およびストーブのメーカーが条件をさまざまに変えて念入りに
 実験し、こう結論している。
 「誤作動するのは、高いレベルの無線電波が、アンテナ代わりとなる
 『接続リード線』に乗り、電子回路を作動させてしまうためである」 
 「トラック等に設置された高出力に改造した無線機から発信された電波
 により、石油ストーブが誤作動して出火に至ったものと判明した」 
 「昨今、ワープロ等のVDT器機による人体への影響、携帯電話等によ
 る医療機器や電気器具への障害などがテレビ・新聞等のマスコミで報道
 されることは珍しくない。このように電波への関心が高まる中、今回の
 事例は、『違法』に出力をアップしたと推定される無線装置ではあるが、
 電波が火災と無縁でないことを実証した当庁でも初めての火災であった」

 このドラマは人気作家東野圭吾が書いたもので、放送では科学的な検証
をしているので、「実に面白い」
 今週末には映画が封切られます。「真夏の方程式」
 http://www.galileo-movie.jp/index.html

                        
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 55 ☆
 開き戸の地震対策
  食器棚などに入っている食器が散乱すると困りますね。棚は壁に固定
  しても、中の食器が震動で動き、戸を開けて飛び出すととても危険で
  す。開閉の都度、鍵を掛けるのも面倒ですし、忘れることもあります。
  それらの問題を解決するような商品を紹介します。
  ムラコシ精工の「開き扉用耐震ラッチ」
   http://www.murakoshiseikou.com/product/latch/
   震度5弱以上の震動により、振動センサーが揺れ、ラッチにロック
  が掛かります。震動が治まると、自動的に解除されます。
  1セットが378円と安いところが良いと思います。
  なお、樹脂製のため、職場などで重い書籍が入った棚では樹脂部分が
  破損するかもしれません。家庭向きや、職場にある食器棚用と考えて
  ください。

2013年6月15日(ブレーキ踏み間違い)
 6月14日、奈良県大和郡山市の立体駐車場の4階(高さ9m)から乗用車
が壁を突き破って転落し、運転手(59歳)が死亡する事故がありました。
運転手がバックで駐車する時に、アクセルとブレーキを間違えたようです。
アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は年間7000件程度あります。
 (参考:交通事故総合分析センター資料))
 http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info86.pdf
アクセルを踏むつもりでブレーキを踏んだ場合には事故になりにくいので
すが、逆ブレーキを踏むつもりでアクセルを踏み込むと急発進するのでと
ても危険です。
 運転者は危険と感じると、ブレーキを強く踏み込むものです。その時、
間違えてアクセルを強く踏み込むと壁も突き破ります。
 メーカーでは、そのようなトラブルを防ぐために、前方の障害物との距
離を測定し、危険な場合は、ブレーキをかけるものを開発し、販売してい
ますが、それは前方だけです。バックの時の停止は防げません。(スバル
社のアイサイト等)
 なぜ、アクセルとブレーキを間違うのでしょうか。
 バックをする時に、バックミラーを見る人と、身体をひねって、直接、
後を見る人の2種類があるでしょう。直接、後を見ようとして、身体をひ
ねると、足の位置がずれるものです。運転中に足元のブレーキペダルとア
クセルペダルを見ながら操作する人はほとんど居ないでしょうから、AT
車の場合、ペダルの大きさが全く異なっていても間違えるものです。
 読者の中には、何十年も無事故無違反の方もおられるでしょう。しかし、
人間は考えられないようなミスをすることがあります。「対岸の火事」と
思わぬようにして下さい。

                       
   ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 54 ☆ 
 HELPeee~!(ヘルピー)
  HELPeee~!はiPhoneに取り付ける笛の付いたケースです。
  http://www.helpeee.com/
  笛を持ち歩くことは地震発生などで閉じ込められた時に有効です。建
  物に埋もれて助けを求める時に、叫び声を出し続けるのは、難しいで
  す。そんな時は叫び声ではなく、笛を吹くのがいいでしょう。笛を携
  帯することをお勧めします。
  一番携帯する時間が多いものは携帯電話だと思います。その携帯電話
  に笛が付いていたらいいですね。私はストラップに大きな笛を付けて
  います。

    
2013年6月8日(熱中症予防強化月間)
 今年から、7月は熱中症予防強化月間となります。
   環境省:平成25年夏季における熱中症に関する政府の取組について
   http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16744
   厚生労働省:熱中症を防ぐために
   http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000335ag.html
 熱中症は、命にかかわる重大な事態になるかもしれません。昨日元気だ
った人でも、今朝元気だった人でも熱中症になる危険があります。
 熱中症の予防には、「水分・塩分補給」と「暑さを避けること」が重要
です。作業の前には、水分等の補給をしながら、ミーティングし、休憩時
には、快適な休憩室を使えるように配慮してください。
 作業中もスポットクーラー、扇風機などを上手く活用してください。ま
た作業場内の温度が上がらないように、打ち水や、屋根に水を撒いたり、
すだれや植物で陰にしたり、いろいろな工夫を重ねて対応してください。
 1番重要なことは、熱中症を予防する環境づくりと個人の健康管理です
が、早く異常を見つけることも重要です。夏は暑いのが当たり前だと考え
て頑張っていると、気づかぬうちに意識がもうろうとすることがあります。
また、個人差もあります。筋肉質でガッチリしている人、太っている人、
やせている人など体格などは関係ありません。見た目では判断できないの
です。そこで、効果的なのが、「声掛け運動」です。部下への声掛け、ま
たは、同僚同士での声掛けを頻繁に行ってください。声を掛けて、返事を
聞くと、相手の意識状態が判りやすいものです。
 そして、異常と思えば、すぐに処置をすることです。クーラーのある休
憩室などで、スポーツドリンクなどを飲ませて安静にしてください。安静
にさせている場合でも、決して一人にはしないでください。熱中症は涼し
いところに行くと、すぐに快方に向かうとは限りません。休憩室内で悪化
していくこともあります。クーラーで冷えた休憩室があればよいのですが、
無い場合は、体温を下げるために、首筋、わきの下、股間などを氷嚢で冷
やすことも必要になります。
 また、この時期は一人で、クーラーの無いような倉庫作業をさせないで
ください。クーラーの無い倉庫などで作業中に倒れるかもしれません。発
見が遅れると命にかかわります。
 なお、熱中症というと13時、14時という一番暑い時間帯に発生しやすい
と思われるかもしれませんが、16時台が一番多くなっています。

 参考:職場での熱中症による死亡災害の発生状況(平成23年)
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei45/

                       
   ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 53 2013.6.8 ☆  
 MR-NET(救助ネット:吊り下げ梯子タイプ)
  5月24日ポートメッセなごやで開催された防災危機管理展でとても興
  味深い商品を見つけました。
  http://www.futaba-k.co.jp/page/pickuplink/mr-net.html
  津波が予測される地域では高台に避難が必要ですが、登るための階段
  を設置するのは、費用もかかり簡単にはできません。
  このMR-NETなら吊り下げるだけで、避難に活用できます。
  もともとは、岸壁や船から転落した人を助けるために作られたものと
  聞いていますが、防災にも使えます。
  たとえば、津波から逃れるために、屋根に登る必要があればハシゴと
  して使えます。柔らかいため、あらゆる建物の形状に対応できます。
  また、地下ピットから脱出する時にも使えます。
  軽くて、柔らかくて、たためるので、いろいろな用途が考えられます。

2013年6月1日(水産会社で硫化水素中毒)
 5月30日、長崎県佐世保市の水産加工会社で硫化水素中毒で1人が死亡し、
2人が意識不明となる事故が発生しました。魚のうろこや内臓を捨てたり、
魚を洗った汚水を一時的に貯めておく地下タンクを清掃するために1人が
タンク内に入り、作業中に倒れ、それを助けるために2人が入って倒れま
した。
 作業者も救助者もマスクはしておらず、法で定められた硫化水素防止の
ための措置を怠っていたようです。
 この作業は定期清掃ということなので、以前から行っているようです。
腐敗しやすいものを入れたことのあるタンクでは、作業主任者の選任や、
作業前の硫化水素濃度・酸素濃度測定等をしていなければなりませんでし
た。
 地下タンクは魚のうろこなどが入っており、かなりの悪臭があったので
しょう。「臭い」と思っても、それが毎回のことですから異常とは認識し
なかったのだと考えられます。
 事故のあと、責任者は警察署内で長時間にわたり、事情聴取され、翌日
の朝、首つり自殺で発見されました。責任者は事故のあった昼から、夜の
10時まで事情聴取されました。長時間にわたる聴取のストレス、法令違反、
自身の責任などから死を選んだのかもしれません。
 3人の方が被災したことも残念ですが、責任者が自殺したことも残念で
す。
 物質が腐敗した時の悪臭はひどく、臭覚は麻痺し、腐敗臭か硫化水素の
臭いかなどは判断できるものではありません。腐敗臭がする時には、硫化
水素が発生しているかもしれない。と考え、濃度測定することを忘れない
でください。前回、硫化水素が無かったからといって、次も大丈夫とは言
えないのです。気を付けてください。

                         
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 52 ☆  
 車いすの緊急避難装置JINRIKI(じんりき)
  5月24日ポートメッセなごやで開催された防災危機管理展でとても興
  味深い商品を見つけました。
  車いすは平たんな道であれば問題なく動かすことができますが、小さ
  な凸凹などがあると、前輪を浮かして動かさなければなりません。ガ
  レキの上や液状化のドロドロの道を進まなければならない時には、前
  輪を浮かして進むのは困難です。また、時間もかかります。
  このJINRIKIは人力車のような態勢になり、引いて進みます。引く時
  には、前輪が持ち上がるので、道が悪くても楽に進むことができます。
  場合によっては津波から逃げるためにスピードを求められる場合があ
  るかもしれません。
  押すより引く方が何倍も速く進めます。
  また、自転車の後ろに接続して、リヤカーのような形のものも検討し
  ているようです。
  http://www.jinriki.asia/

2013年5月25日(製麺機械)
 5月17日、香川県(小豆島)の製麺業で小麦粉と塩・水を混合する機械
に全身を巻き込まれて、41歳の経営者が死亡する事故がありました。
 混合する機械は高さ60㎝、幅80㎝、奥行40cmで内側に撹拌するための2
枚の板が取り付けれられており、作業中に腕などを巻き込まれたようです。
 この事故が気になっていた時に、インテックス大阪で「関西うどん・そ
ば産業展」がありましたので、最新の機械を見てきました。
 メーカーの担当者も香川県での事故を知っていました。その担当者は、
「うちの機械ではあのような事故はありません。フタを閉めないと機械は
回転しません。回転中にフタを取り外すと、機械は止まります。フタを開
けたまま回転させたいときには、このボタンを押しながら、この手動スイ
ッチを操作したときだけ回転します。つまり、両手でスイッチ操作をした
時だけ回転しますので、まったく安全です。」と説明を受けました。
 そのボタンは埋没型のボタンであり、何かが当たった程度では機能しま
せん。手動スイッチは「運転」「止」「手動」の切り替えスイッチになっ
ており、それらの間隔は40cmほどあるので、故意に片手で操作しようとし
てもできないものになっています。
 フタの方には一部が突起状になっており、その突起が当たった時だけ、
“フタが閉まっている”と感知されます。フタが無ければ「運転」スイッ
チも無効になり、運転中にフタを開けると停止するインターロックの構造
になっています。
 これなら、マニュアル通りに操作すれば、人が巻き込まれるおそれはあ
りません。でも、「これなら安心」とはいえません。
 埋没型のボタンでも何かを当てて貼り付ければ、常にONの状態になり
ます。そうすれば、片手で手動スイッチ操作で運転できます。フタの方に
ついても、フタの突起物が当たるところに、何かの破片を挟み込むと、常
にフタが閉まったと同じ状態になります。安全よりも操作性を優先すると、
このように安全装置も簡単に無効化できるのです。
 でも、無効にできない仕組みがあれば、安全性は高くなります。
 たとえば、ボタンは1度解除(手を離す)しなければ、次の起動ができ
ないシステム。インターロックの誤感知を防ぐために、複雑な形の突起物
(鍵状にしたもの)、あるいは、形状とマグネットの両方で感知するシス
テムであれば、安全装置の無効化は困難になります。
 なお、操作盤にはメンテナンスのため安全装置の「有効・無効」の切り
替えスイッチが付いている場合があります。これは、「有効」側に固定し、
施錠する必要があります。
 しかし、いくら安全装置を多重化し安全性を高めても、それを使う人間
側に問題があれば、あり得ないと思われるような事故が発生するかもしれ
ません。
 ハード対策だけでなく、安全意識を高めるための教育は怠らないように
お願いします。

                         
 ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 51 ☆
 ウォーターサーバー 
  熱中症対策等でウォーターサーバーを置いている事業所が増えました。
  熱中症対策だけでなく、地震発生時の飲料水として適しています。水
  タンクを適量置いておくと、順次消費しますので、賞味期限が過ぎて
  無駄になることが防止できます。
  また、ペットボトルと違って、大きなタンクを使うので、省スペース
  で設置できます。
  導入する時には、停電時でも水が出るものを選んでください。
  (数社のウォーターサーバーを確認しましたが、全て停電時でも水が
  出るそうですが、念のため、確認してから導入してください)
  ちなみに、キリンビバレッジの「AQUWISH」は四角い水パックを使う
  ために貯蔵スペースが小さくすむと思います。(丸いボトルはデッド
  スペースができるため)
  http://www.beverage.co.jp/aquwish/

2013年5月18日(受動喫煙防止対策助成金)
 受動喫煙防止対策助成金制度が大きく改定されました。
 (2013年5月16日から実施)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000031xcl.html
   以前の制度と改正点
   1.業種:旅館業、料理店、飲食店→全業種に拡大
      (ただし、中小企業のみ。)
   2.補助率:費用の4分の1→費用の2分の1(上限は200万円)
   3.対象:新設の喫煙室のみ→排気量の増大のための改修を含む
 職場環境改善として喫煙室を設置した会社やこれから喫煙室を設置しよ
うと考えている方は是非検討してください。
 喫煙室を設置しているが、煙が流れ出ている。またはタバコの臭いが気
になるところはありませんか?その原因は排気量が少なく、室の入口での
風速が0.2m/s以下ではありませんか。その場合は、換気扇の増設費用の
半額が補助されます(上限200万円)。
 昨年度までは新設の喫煙室のみの補助でしたが、今回の改定により、排
気設備を追加し、境界での風速が0.2m/s以上にするための改修も適用さ
れます。
 この助成金以外に、「受動喫煙防止対策に係る相談支援業務」もありま
す。この支援業務は日本労働安全衛生コンサルタント会が委託事業として
実施しているので、相談料は無料です。相談だけでなく、コンサルタント
が現場に直接訪問し、喫煙室に必要な条件などをアドバイスいたします。
(実地指導も無料です) 相談ダイヤル:050-3537-0777
 この機会に是非ご利用ください。
(参考) 
 新たな職場における喫煙対策のためのガイドラインの策定について
 平成15年5月9日
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2.html 

                  
        ご安全に
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 50 ☆
 マッチ
  今、マッチの出荷量が増えているそうです。1970年代に発売された
  100円ライターが普及したため、年々マッチの出荷は減少してきまし
  たが、東日本大震災以降、備蓄用としてのマッチの需要が増えていま
  す。昔の喫煙率は高く、二人いればどちらかがライターを持っていま
  したが、今は、持っていない人が増え、家に一つもライターが無いと
  いう家も珍しくないでしょう。
  タバコを吸わなくても火は必要だと思います。ライターを備蓄してい
  ても、長期保存中にガスが無くなることもあります。備蓄品(避難場
  所でのサバイバル生活に備える)にマッチを加えた方が良いでしょう。

2013年5月11日(2007年シエスパ爆発事故)
 2007年に東京都渋谷区で発生した温泉施設シエスパ(SHIESPA)の爆発
事故(3人死亡、2人重傷、ケガ人数名)で、東京地方裁判所は2013年5月9
日の裁判で、大成建設の設計担当者に有罪判決(禁錮3年執行猶予5年)を
出しました。
 事故の原因は井戸からくみ上げた源泉にメタンガスが含まれ、そのガス
を排出するガス排出配管に結露水が溜まり、ガスが機械室内に充満し、制
御盤の火花で爆発したものです。
 この機械室には換気扇が取り付けられていましたが、事故当時は停止し
ており、メタンガスの排出ができませんでした。施設を管理するビル管理
会社は、メタンガスの発生を危惧し、ユニマット側にガス検知器の設置を
進言したが、結局、ガス検知器は取り付けられませんでした。
 ガス排出配管、換気扇、ガス検知器のどれか一つでも有効に機能すれば
事故は発生しませんでした。ガス排出配管が詰まり、換気扇は停止し、ガ
ス検知器は付けられなかったという要因が重なって事故が発生しました。
 裁判の判決理由を見ると、ガス排出配管には「水抜きバルブ」が取付け
られていましたが、設計担当者が結露水を抜く必要性をビル管理会社に伝
えていなかったことが重大事故の発生の要因として認定されました。
 設計担当者は、現場が「南関東ガス田」にあり、メタンガスが出ること
を想定し、ガス排出配管を設け、換気扇を設けました。ガス排出配管に結
露水が溜まり、排出が止まるというリスクも想定し、水抜きバルブを設け
ていたのですが、取扱者側で対応が必要な情報を伝えていなかったようで
す。
 機械や設備等の設計・製造者(メーカー)側がユーザーに提供する情報
は非常に重要なものです。ご注意ください。
 特に、会社によっては、設計・製造を自ら行い、自らの会社で使用して
いることもあります。自社で設計・製造・取扱を一貫している場合は、危
険情報が取扱者まで伝わっていないかもしれません。ご注意ください。

            
              ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 49 ☆
 一番先に逃げる人
  「一番先に逃げる人」と言うと、「無責任な人」と思うかもしれませ
  ん。しかし、一番先に逃げる人の存在の有無が、結果を大きく左右す
  るかもしれません。
  特に、南海トラフ巨大地震の想定域に近い海沿いの場合、地震発生後
  数分で津波が押し寄せると言われています。逃げる速さより津波の方
  が圧倒的に早いので、すぐに避難行動を取る必要があります。
  緊急地震速報を受信した直後の行動は、お互いに顔を合わせ「どうし
  よう?」と戸惑っていると、大きな揺れが襲い、逃げ遅れることも考
  えられます。
   (複数の人がその場所に居る場合、群集心理が働き、皆と同じ行動
    をしようと考えてしまします)
  緊急地震速報が鳴った瞬間に「逃げるぞ!」と言って、一番先に逃げ
  る人がいれば、自然に、それに付いて避難を始めれば、被害を小さく
  できます。(「逃げろ!」と指示をするより、「逃げよう」と大声で
  叫び、皆を引っ張る人が必要です)
  そのような「逃げるリーダー」を育てることが海沿いの企業には必要
  だと考えます。   

    
2013年5月4日(エチルベンゼン)
 平成24年10月、労働安全衛生施行令の改正および労働安全衛生規則の改
正に伴い、エチルベンゼンが特定化学物質に指定されました。
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei48/
 エチルベンゼンは発がん性や生殖毒性が指摘されており、規制が強化さ
れたのです。エチルベンゼンはキシレンの異性体であり、塗料などに含有
されることもありますので、塗料などの溶剤を使う事業所においては、特
にご注意ください。SDS(安全データシート)を新たに取り寄せたりし
て確認していただくようお願いします。

 エチルベンゼンを1%超含有するものは特化則の規制があります。
 (主なもの)
 ・蒸気の発散源対策
 ・呼吸用保護具の使用
 ・作業主任者の選任
 ・作業環境測定
 ・特殊健康診断
 この中で、「あれ?」と感じたのは作業主任者です。
 法令を見ると、「有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから
特定化学物質作業主任者を選任しなさい。と記載されています。これはち
ょっと紛らわしくなります。特定化学物質作業主任者技能講習を修了して
いなくても、エチルベンゼンに関しては特化物作業主任者になるのですか
ら、他の特化物も存在する場合には、作業主任者の業務の範囲を明確にし
ておかなければなりません。
 昨年、印刷業の中で胆管がん問題がありました。
 発がん性があることを作業者に説明するのは、不安を増長させるので、
作業者に説明するのを躊躇する事業所もあるかもしれませんが、情報は正
しく伝えることが事業者の責任でもあります。
 ご不明な点がありましたら、当社までメールにてお問い合わせください。

 
                  
        ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 48 ☆
 台車の取り扱い
  職場には、手押し台車、籠台車、キャッチャーパレットなど多種多様
  の重量物を運ぶ台車があると思います。
  もし地震が発生すると、重量物を搭載した台車が作業者に向かって突
  進してくるかもしれません。100kg超の重量物を積んでいるから動か
  ないと考えると危険です。関取が突進してくるようなものですから、
  普通の人間では支えることができません。建物の壁と台車に挟まれる
  と生命の危険さえあります。
  また、有毒性の高い化学物質を運搬することもあるでしょう。
  台車にはブレーキを備えているものもありますが、荷の積み込み、積
  み下ろしを安全に行うためのようなもので、地震の揺れでもその場に
  とどまるとは限りません。  
  地震発生時または緊急地震速報発令時にはどのように対応するか考え
  てください。万一の際には台車の固定について1台づつ指示をするの
  は、現実的に無理です。従業員一人一人が的確な行動を取れることが
  地震減災のポイントです。教育と訓練がとても重要なのです。

  
2013年4月27日(鳥インフルエンザ)
 鳥インフルエンザと新型インフルエンザの違いはご存じでしょうか?
 鳥から鳥に感染しているウイルスが人間に感染した場合は鳥インフルエ
ンザと言い、そのウイルスが人から人へ感染するように変化した新しいウ
イルスを新型インフルエンザと呼ばれるのです。
 先週のメルマガの冒頭で、「新型インフルエンザ」と表記してしまいま
した。申し訳ありません。
 さて、4月初めに中国で感染者からH7N9型インフルエンザウイルスが発
見され、中国国内で感染者が広がり、台湾でも感染者が見つかりました。
台湾の感染者は中国へ出張し、帰国後に感染が明らかになりました。台湾
の感染者は生きた鳥との接触が無かったことから、人から人へ感染する新
型インフルエンザに変化した可能性が考えられます。(台湾の感染者は江
蘇省のゴルフ場に行ったことが唯一の鳥類との接触の可能性と言われてい
ます。)
 中国で発生している鳥インフルエンザの死亡率の高さが注目されていま
すが、中国では診療費が高くて、重症にならないと病院に行かないそうで、
報道されている致死率をそのまま信用しなくてもよいのですが、鳥インフ
ルエンザから新型インフルエンザに変化する可能性もあり、警戒は必要で
す。
 GWを利用して、多くの旅行者が中国に行くようです。GWは10連休と
いう会社もあるかもしれません。報道に注視し、パンデミックに備えて準
備が必要と考えます。
 準備としては
 ①不急の中国等への出張は控える。
 ②中国からの帰国者の健康状況をチェックする。
 ③感染疑いの場合の出社禁止を徹底する。
 ④マスクや消毒液の常備をする。
 ⑤新型インフルエンザ発生宣言後、国内拡大時の行動計画を立てる。
  多数の社員が欠勤した場合の対応方法を検討する。
  対応が困難な場合は業務の優先順位を決める。
 ⑥社員の体温測定ができるように体温計を常備する。
 中国において感染者が急速に拡大した場合
 ①中国等への出張は延期し、テレビ会議などで対応する。
 ②やむを得ない場合はタミフルなどの薬を携帯する(服用時の注意事項
  は周知してください)
 ③中国からの帰国者については、5日程度自宅待機させる。
 ④帰国後、発熱時の出社を禁止する。
 ⑤帰国者の体温を毎日調べる。
 ⑥中国駐在者・出張者の体温測定や健康状態を調べる。
 世界的なパンデミックに備えて(日本国内での感染者発生等)
 ①在宅勤務が可能なところから在宅勤務にする。
 ②公共交通機関のリスクが高い場合には公共交通機関を利用しない人だ
  けでの業務を行う。
 ③業務の優先順位を決めて、優先度の高い業務に特化する。 
 ④休日の過ごし方について注意喚起する。コンサートや映画など長時間
  にわたり多数が集まる場所への参加を自粛させる。
 なお、インフルエンザ感染防止として【N95マスク】が有効と言われま
すが、入手が困難でしょう。防じんマスクDS2規格でも有効です。しかし、
N100を着用しても、N95を着用しても、顔面との隙間があれば、全く効果が
ありません。防じんマスク着用の注意事項を参考に教育周知してください。
 下記、呼吸用保護具メーカーの情報などを参考にしてください。
 重松製作所
 http://www.sts-japan.com/information/prevention/communicable_disease.html
 興研
 http://www.koken-ltd.co.jp/kansensyou/index.html

 
                          ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 47 ☆
 排水ポンプ(水中ポンプ)
  先週、高圧洗浄機が浸水被害時の掃除に適していると書きましたが、
  掃除の前に排水が必要な場合もあります。
  2011年のタイでの水害時には、防水フェンスを作り、浸水を防ぎなが
  ら、排水しながら生産活動を続ける会社もありました。

2013年4月20日(トウモロコシ サイロ事故)
 4月18日、静岡県富士市の食品加工工場「日本食品化工」で男性二人が
落ちてきたトウモロコシで生き埋めになり、一人が死亡する事故が発生し
ました。死亡したのは清掃請負業者の社員(32歳)でした。もう一人は、
17歳で腰を痛めた程度の災害でした。
 二人は、サイロ(直径約7m、高さ約30m)の下から4mほどある漏斗状
になった部分で壁の内面に付着したトウモロコシを剥ぎ落とす作業をして
いました。スコップ等で剥ぎ落とす時に、内面に付着したトウモロコシの
塊が落ちてきて、生き埋めになったと考えられます。日本食品化工には、
このようなサイロが50基あり、年に4~5回清掃作業をしていたということ
です。おそらく、過去にこのような事故もなく、リスクの高い仕事と認識
していなかったと想像します。
 サイロは円柱形ですが、漏斗状になっているため、トウモロコシ同士が
落下の際に激しくぶつかり、トウモロコシが持つ油分によって固着しやす
い状況になっていたと考えられます。
 トウモロコシの粒は小さなものですが、大きな塊が落ちてくると、押し
つぶされることも考えられます。過去には災害がなくても、ヒヤリ・ハッ
トはあったのではないかと考えられます。
 さて、頭上に付着したものを取り除く時に、下から、崩していくと、上
から落ちてくる危険があります。この作業はどうすれば良いか考えてみま
した。
 上の投入口からゴンドラで降ろしながら、上から崩す方法があります。
しかし、投入口は地上30mの場所にあるので、リスクは高くなります。投
入口から高圧洗浄機で洗い流そうとしても、途中で流速が落ちて衝撃が弱
くなり、付着した物を剥がすことは困難でしょう。
 排出口から、高所作業車で入ることができれば良いのですが、排出口の
直径は50cmしかないため、人が入るのがやっとの大きさです。
 また、視点を変えて、トウモロコシが内壁に付かない方法を考えること
も必要です。なぜ、内壁に付くのか、その原因は何か、どうすればその原
因を無くすことができるのか。
 改善方法はいろいろあるはずです。なぜ、内壁に付着するのか。なぜ、
塊が落ちたか。なぜ、埋もれたのか。なぜ、スコップで崩す方法を選んだ
のか。
 で判らない時は、上司や部下と一緒に、それでも判らない時は、チーム
を作って検討しましょう。それでも判らない時は安全衛生コンサルタント
に問い合わせてください。
 ちなみに今回の再発防止策として、3案程考えましたが、現場を見てい
ないため、ここでは紹介するのは差し控えます。

                         
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 46 ☆
 高圧洗浄機
  津波や河川の氾濫などで浸水した場合の掃除には多くの労力が必要に
  なります。ホウキやデッキブラシでは、人と時間がかかるばかりで復
  旧に支障が生じます。床の清掃や設備の清掃には高圧洗浄機が適して
  いるでしょう。
  高圧洗浄機なら、ホースで水を掛けながらホウキで掃除するより何倍
  も早く、楽に掃除できます。
  水を使う量もホースで水を掛けるより少なくて済みます。
  家庭用のものでも水圧が高いので、十分効果が望めます。
  しかし、電源・水が必要なので、備蓄などで確保してください。

2013年4月13日(4.13淡路島地震)
 4月13日午前5時33分に私の携帯電話が初めて、緊急地震速報を発しま
した。私は日常、携帯電話のバイブを目覚まし時計として使っているので、
最初は「起きる時間なんだな」としか思いませんでした。しかし、通常は
バイブの振動だけなのに、なぜ音が鳴るかと思って画面を見ると緊急地震
速報ということで、驚きました。5秒ほどして、小さな縦揺れが来て、大
きな揺れがきました。
 その瞬間「早すぎる。これは南海トラフ地震ではないし、大阪上町断層
地震でもない。」と感じました。(私の住んでいる大阪府枚方市の場合、
南海トラフ地震の時には、緊急地震速報から約20秒余裕があると考えられ
ます。また、上町断層地震の時なら、緊急地震速報は間に合わない)
 緊急地震速報を受信したのは、私の携帯と娘の携帯だけで、妻と息子の
携帯は旧の製品で、緊急地震速報に対応していません。娘の携帯は、居間
に置いてあったので、音は寝室まで届きませんでした。家族が寝ている時
間帯なので、テレビもラジオも消しています。ということは、今回の地震
で、緊急地震速報を受信したのは、私だけとなります。
 私が緊急地震速報を受けた時に取るべき行動は、家中に届くような大き
な声で叫ぶことだったのです。しかし、私がいつも家に居るとは限りませ
ん。家族の携帯電話を更新するか、警報機を付ける必要があります。
 地震減災コンサルティングをしていながら、自分の家族の地震対応が不
十分なことに反省をしました。

 
2013年4月13日(日本伸銅爆発事故)
 4月9日大阪府堺市の日本伸銅で爆発事故があり、社員2人が死亡し、2人
が軽傷を負いました。まだ原因等が明確になっていませんが、溶解炉の中
での爆発ということで、水分が誤混入した水蒸気爆発の可能性が高いと考
えられます。事故は、溶解炉の中に亜鉛を投入した時に発生したとういう
報道がありました。事故の数日前、急速に発達した爆弾低気圧により強い
雨と風がありました。それにより、雨水が亜鉛の容器の中に侵入し、それ
に気が付かずに溶解炉に入れたと推測します。
 溶解炉に水を入れてはならない。ということは、最初に教育しなければ
ならないことですが、この容器には亜鉛が入っている(亜鉛以外の物は入
っていない)と思い込んでいると、不良品ができたり、水分が誤混入して
いると水蒸気爆発になります。
 「いつもやっていることと同じだから」と考えることはとても危険です。
だれかが、飲料用のペットボトルを持ち込み、それが、容器の中に落ち込
んで、そのまま溶解炉に入れると、爆発事故が発生します。作業の前には
点検・確認を怠らないようご注意ください。

                         
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 45 2013.4.13 ☆
 SAFE+
  レーシングカーなどを開発しているタジマモーターコーポレーション
  が、浮揚式津波対策用シェルター「SAFE+(セーフプラス)を開発し
  ました。
  http://www.tajima-motor.com/index.html
  東日本大震災以降、津波から身を守るためのシェルターは多くの物が
  開発されてきましたが、このSAFE+は20人が乗れる大型のものです。
  (全長6.16m、幅2.33m、高さ2.3mの箱型 価格350万円程度)
  同社の研究開発室は海から数百mの場所にあり、近くに高台が無いた
  め、自社の社員・家族の命を守るために開発が始まったそうです。
  広さ・高さも十分にあるので、津波発生時だけでなく、集会場、休憩
  室、倉庫など通常の使用も可能です。また、ドアは広く作っているた
  め、車椅子での避難にも使えます。
  ただ、問題は、月に4~5台しか作れないということで、同社では製造
  協力会社を募っています。

2013年4月6日(点検とは)
 3月27日、愛知県の県営木曽川祖父江緑地にある遊具から飛び出ていた
ボルトで男児が頭を打ち、頭蓋骨陥没骨折した事故がありました。
 遊具は丸太渡りで丸太からボルトが15mm突き出ており、男児が丸太を
踏み外して転倒した時に、左こめかみ部分をボルトに打ちつけたというこ
とです。県は遊具の点検を月に1回実施していましたが、気付かなかった
ということでした。
 現場の写真を見ると、ボルトは丸太をえぐって、固定されていたようで
すが、ボルトの周囲が破損したため、ボルトが突きだしたようになってい
ます。
 毎月の点検では異常なしということですが、写真を見る限りでは1ヶ月
以内の破損ではないように見えます。
 点検というものは正常な状態と異常な状態を見分ける力量が必要です。
丸太の固定のボルトが丸太の中に埋もれているのが正常な状態というのを
認識していたのかを疑問に感じます。県の点検者は「ナットが外れている・
ボルトがぐらぐらしている・抜けている」を異常と考えていたのではない
かと考えます。
 昨年の中央自動車道の笹子トンネル崩落事故で尊い人命が失われました。
大阪のエキスポランドは点検を怠り、廃園になりました。点検の精度が企
業の生命線であるともいえます。
 点検記録の「異常なし」は、正常なのですが、その「異常なし」は、正
常と異常の状態を具体的に定めているか、正常と異常を見分ける力量を備
えているかが、とても重要なことです。
 企業の安全衛生診断に行くと、機械類の点検や職場パトロールの点検記
録を見せていただくと、「異常なし」の点検記録が多いです。本当に異常
がないのでしょうか?
 「異常なし」という報告書には、点検者の異常(合否の基準が不明確・
点検者の力量不足)が隠れているかもしれません。ご注意いただくようお
願いします。

                      
    ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 43 ☆
 高台の避難場所の確保
  津波の危険性がある地域ではどこに避難するかが重要になります。
  近くに高層マンションがあり、免振構造だからといって安心してはい
  けません。多くの場合、セキュリティにより入れません。その場合は
  管理人と事前協議し、緊急時には使えるように交渉しておくことも必
  要です。
  近くの会社を高台避難場所とすることも有効です。その場合は、休日
  が異なる場合もあります(その会社が休日であれば入れないでしょう)
  高台避難場所の確保は複数化することが必要です。
  また、通勤時間帯に地震および津波があるかもしれません。
  地震発生時の津波到達時間と最大津波高さは頭に入れていてください。

2013年3月30日(ミスタードーナツ)
 3月22日、ダスキンが運営するミスタードーナツ豊中駅前店で殺菌用の
塩素系漂白剤が入った水を提供し、飲んだ方が治療をする事故が発生しま
した。
 この事故からヒューマンエラーを考えてみたいと思います。
 事故の要因となったのは、前日の閉店後のことです。店員がピッチャー
(水差し)の中に漂白剤を入れて、フタをしたまま帰宅しました。翌日、
出勤してきた別の店員が、フタをしたピッチャーを飲料水として用意され
たものと思い込み、客に提供したのです。
 ミスタードーナツのマニュアルによると、シンクに水を張り、漂白剤を
入れる。そこにピッチャーなどを浸して殺菌する手順でした。しかし、事
故当日に行われたのは、ピッチャーに水と漂白剤を入れてフタをしたので
す。それを別の店員が飲料用と思いこんでしまったのです。
 なぜ、このような間違いが発生したのでしょうか。
 殺菌すべきピッチャーがたくさんあれば、マニュアル通り、シンクに水
を張ったでしょう。しかし、殺菌すべき、ピッチャーが1本だけであれば、
ピッチャーに直接、漂白剤を入れた方が簡単で早いと考えるのは当然考え
られる行為です。通常は、翌日出勤した店員がシンクに浸したピッチャー
を見ると、殺菌中と判断し、ピッチャーを洗浄して使用します。
 このようなファーストフード店は多くのアルバイト店員を使うことがあ
り、日々店員が変わります。「申し送り」も「引き継ぎ」もできないので、
マニュアルはとても重要です。
 前夜の店員がマニュアルに反し、翌日の店員も確認しないまま、なんの
疑いも持たず、飲料用と思い込んだことが事故につながりました。
 人間は楽をしようと考えるものです。しかし、食品衛生については厳重
な管理が必要です。ピッチャーに漂白剤を入れたぐらいでは、色も臭いも
なく、気が付かないでしょう。細菌に汚染されても眼には見えません。
 殺菌されたことが確認できないものは汚染されたものと認識する必要が
あります。
 前夜の店員と当日の店員のミスが重なった事故です。
 ミスタードーナッツのホームページ「お詫び文」を張り付けておきます。
 http://www.duskin.co.jp/whatsnew/2013/0325_01.html

                         
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 42 ☆
 津波てんでんこ
  「津波てんでんこ」という言葉があります。
  火災時避難訓練のように整列しながら避難するのではなく、「津波が
  来たら、取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでんばら
  ばらに一人で高台へと逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という意味
  です。
   東日本大地震の際の揺れは6分以上続きました。南海トラフ大地震の
  場合は、震源が東海・東南海・南海と広いので、10分以上大きな揺れ
  が続く可能性があります。地震時の避難の原則は揺れが止まってから
  避難することですが(揺れている時に移動するのは危険)、10分以内
  に津波が到達する地域もあるので、揺れが収まるまでは待てません。
  津波到達時間予測の短いところでは、大きな揺れに耐えながら、自分
  だけでも助かろうとしなければならないかもしれません。

  
2013年3月23日(内海造船 死亡事故)
 3月17日、広島県尾道市の内海造船でカーフェリー(1985トン)の試運
転の際、機関室でプロペラ軸に座って計器の点検作業をしていた58歳男性
社員が挟まれて死亡事故がありました。
 (死亡した男性社員は船舶推進装置メーカー「ナカシマプロペラ」)
 エンジンを始動した社員は、機関室で作業していたことに気づかず、エ
ンジンを始動したことにより挟まれて死亡しました。この事故はなぜ発生
したのでしょうか。
 2000トン近い大きなフェリーですから、操縦席からは、どこで誰がどん
な作業をしているのかは把握できません。だから誰かの誤った指示でエン
ジンを始動したことになります。
 推測する要因
 ・当日は機関室では何も作業をしない計画になっていたから確認しなか
  った。
 ・関係業者との打合せができていなかった。
 ・機関室は確認したが、被災者が機器の影で隠れて見えず、「誰もいな
  い」と誤った判断をした。
 ・被災者はエンジン始動を知っていたが、時間的に余裕があると判断し、
  誰にも連絡せずに、機関室に入って作業した。
 ・操縦席にいた社員がエンジン始動の指示が出ていると誤認した。
 このような、危険区域に人が居ることを知らずに起動して事故が発生す
るケースは造船に限らず、製造業でもあります。産業用ロボットの可動域
に人が居ないか確認したが、作業員が座り込んでいたため、見えず、誰も
居ないと判断して起動することもあります。
 大きなフェリーであり、全てを目で確認することはかなり困難です。事
前の連絡・調整は確実に行う必要があります。点検作業の場合は、他の工
程に影響ないからと判断して安易に作業することは禁物です。

                           
ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 41 ☆
 南海トラフ被害220兆円
  3月18日、政府の中央防災会議で、南海トラフ巨大地震の経済的被害
  は最悪の場合220兆円に達すると発表されました。東日本大震災の被
  害は約17兆円と見込まれているので、東日本大震災の10倍超になりま
  す。
  太平洋プレートは毎年少しづつ動いています。(ハワイ島は毎年8cm
  の早さで日本に接近していると言われています)
  だから何百年も南海トラフ地震が発生しないとは考えにくいものです。
  BCP(事業継続計画)はコストが必要だから、今は無理。と考えず、
  できるところからでも進めていきましょう。

  
2013年3月16日(ウッドテック3人死亡)
 3月12日午後0時半ごろ、岐阜県美濃市の木材加工会社「ウッドテック」
で3人が死亡する事故が発生しました。この会社ではフローリングなどの
木材を加工する会社です。
 報道によると、集じん用のパイプのつなぎ目から煙が出ていることに気
が付き、二人が直径約80cmのダクトを通って、集じん機に入りました。
その後助けを求める声を聞き、さらに二人が救出に向かったところ一人が
倒れたということです。
 後日の報道ではこの集じん機には炎や煙を感知すると二酸化炭素を放出
する自動火災消火設備を有しているということです。二酸化炭素消火設備
が稼働したのかどうかは定かではありませんが、煙が出るということは、
火災のような状況が考えられるので、空気呼吸器等を付けずに中に入るこ
とはとても危険なことです。なぜ、集じん機の中に入って行ったのでしょ
うか。有毒ガス・一酸化炭素が発生していることは予測できなかったので
しょうか。炎が見えないから大丈夫と判断したのでしょうか。炎が出る前
に消火しようとしていたのでしょうか。彼らがどのような判断で入ったの
かは不明ですが、軽率な残念な行動でした。
 でも、なぜ、煙が上がったのでしょうか?
 ・木材を切削・研削する際の火花が発生した。
 ・刃物が摩耗していたため、切れにくく、熱を持った切粉が生じた。
 ・樹脂塗装した木材切粉に静電気が発生した。
 ・ダクト等に粉じんが蓄積していたため、ダクト等の断面積が小さくな
  り、流速が早くなり、静電気が蓄積しやすくなった。
 ところで、木材の切粉等が大量にあるところで、火災が発生した際にど
のように消せば良いか判りますか?
 ABC粉末消火器を使う場合には注意が必要になります。火災の地点に
接近して、放射すると、放射の勢いで切粉を吹き飛ばしてしまいます。空
中に上がった切粉は表面積が大きくなるので、粉じん爆発のように火災が
爆発的に広がる恐れがあります。軽量な物が燃えている時の消火には特に
注意が必要です。

                        
  ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 40 ☆
 机の下の状況
  事務所などでは多くの会社でパソコンを使用しています。パソコンを
  使う仕事は、目・腰・肩に疲労が蓄積しやすくなります。そのため、
  作業姿勢を正しくすることは重要です。正しい姿勢をするためには、
  机の下に足が入るようなスペースが重要になりますが、中には押入れ
  のように色々な物が押し込められている机があります。足元のスペー
  スは疲労蓄積防止のために必要なのですが、同時に減災にも重要です。
  緊急地震速報が発令される前に地震の揺れが生じることがあります。
  その場合はすぐさま、机の下に潜ることが必要になりますが、その机
  の下に物が置いてあると、潜り込むことができません。頭を守ること
  ができるスペースを確保すれば良いと考えるかもしれませんが、頭だ
  けではありません。重量が100㎏を超えるようなキャスター付きコピ
  ー機が地震の揺れにのって激突してくるかもしれません。
  各自の机の下は、人間が十分に隠れるスペースがあるかチェックして
  指導してください。 

2013年3月9日(危険体感装置)
 3月5日から8日まで東京ビックサイトにおいてSECURITY SHOW2013が開催
され、その中に特別企画展として労働安全衛生EXPOがつくられました。
 小生も情報収集のため、見学してきました。その中で皆様に紹介したい
ブースは「アジアクリエイト株式会社」です。ここのブースでは危険体感
装置を展示・実演していました。危険体感教育には以前、記載したことが
ありますが、災害を疑似的に体感させるもので、座学の教育と合わせて教
育すれば効果は高いと考えます。しかし、災害を疑似的に体感する設備が
なければなりません。このアジアクリエイト株式会社ではそのような装置
を設計・製造・販売しています。
 当日、実演していた装置には
 「Vベルト巻き込まれ体感装置」
 「ロール巻き込まれ体感装置」
 「回転軸巻き込まれ体感装置」
 「溶剤爆発体感装置」
 「粉じん爆発体感装置」などがありました。
 装置の映像はホームページにもありますので、ご覧ください
 http://www.asia-create.jp/products/list/index.html
 自社で体感教育を実施したいけど、設備が無いという場合にはレンタル
で装置の貸出もしています。
 価格表はもらってきたのですが、ホームページに記載が無いので、この
安全週記での掲載は控えます。興味がある方は、アジアクリエイトに直接
連絡していただくか、小生までメールください。
 また、お客様のニーズに合わせた体感装置の制作もしています。

 もうひとつ紹介したいものとして、光明理化学工業のエアフローインジ
ケーター(品番:AF-2)です。これは気流測定器で、白い蒸気を出すこと
によって、空気の流れる方向を確認するものです。空気の流れを見るので
すから、タバコの煙でも良いかもしれませんが、現場で火を使うわけには
いきませんので、一般には発煙管の気流測定器を使用します。この発煙管
は空気中の水分に反応して煙を出すのですが、この煙が人体には有害であ
り、腐食性ガスのため、使う場所の制限が出てきます。しかし今回紹介す
るエアフローインジケーターはプロピレングリコールおよびグリセリンを
添加していますが、発煙管よりずっと有害性が少ないものです。
 発煙管より大量の白い蒸気が出るため、局所排気装置の点検や喫煙場所
の気流検査など幅広く使えると思います。
 http://www.komyokk.co.jp/kweb/pbtop.do?pbno=1160&je=0
 小生も購入する予定です。発煙管では煙が少なく、使うと咳き込むし、
腐食性ガスが発生するため、安易に持ち帰ることができません。使用後の
廃棄にも処置が必要になります。

                        
  ご安全に

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 39 ☆
 窓用フィルム
  2月15日にロシアで隕石の爆発がありました。4474棟の建物に被害が
  あり、1491人が負傷しました。負傷の多くは窓ガラスの破片で怪我を
  しました。窓ガラスにフィルムを貼っていたら、被害は少なくなった
  でしょう。地震時の窓ガラス飛散防止にも効果があります。
  そこで、3M社の窓用フィルムを紹介します。
  http://www.mmm.co.jp/cmd/scotchtint/professional/index.html
  ガラス片の飛散を防ぎ、紫外線は99%カット、赤外線は90%カットし
  ますので、地震対策にも冷房費(CO2)削減にもなります。
  ただし、窓に赤い三角印が付いた消防隊突入口のガラスに貼る場合は
  事前に消防署に確認した方が良いでしょう。

2013年3月2日(熱気球事故)
 2月26日にエジプトのルクソールで日本人と合わせて21人が乗った観光
熱気球が火災・爆発・墜落し、19人が命を失いました。
 熱気球の構造は単純なもので、球皮、バーナー(プロパンガスタンク含
む)、バスケットです。プロパンガスのバーナーといっても、家庭用の約
1000倍の火力があるそうです(家庭用と異なり、液体プロパンを熱交換コ
イルで加熱し、一気に蒸気に変えて爆発的に燃焼させる)。
 原因は不明ですが、報道などを参考に考えると、着陸のための誘導ロー
プを下に垂らした時に、ロープが燃料ホースに引っ掛かり、ホースが外れ、
引火したのだと考えられます。そして、バスケットに引火して、プロパン
ガスタンクが過熱して爆発したのだと想像します。着陸態勢に入っていま
したが、操縦士他約10名が次々に飛び降りたため、急上昇したようです。
 仮にホースが外れ、引火したとしても、タンクのバルブを閉めれば火は
消えます。しかし、火炎放射機のように燃え盛るホースの近くにあるバル
ブに接近するのは困難かもしれません。熱気球の操縦者はバルブを閉鎖す
ることは当然判っていたと考えられます。しかし、炎を浴び、何もできな
かったのでしょう。(報道では操縦者が一番先に逃げたということですが、
全身火傷に近い状態なので、逃げたのではなく、消火作業をしていたのだ
と考えます)
 このような事故は防げないものでしょうか?
 昔は、家庭のガス漏れ(誤ってガス栓をひねってガスが漏れるなど)で
爆発事故がかなり発生しました。ガスに臭いを付けて、漏れを感じるよう
にしたり、ガスヒューズ機能(ガスホースが外れている時など勢いよくガ
スが噴出する時はガスを止める機能)があれば、ホースの外れを感知し、
止めることが可能だと考えられます。
(参考)「ガスヒューズとは」下記ご覧ください。
 http://www.osakagas.co.jp/safety/0-system-d.html
 今回の事故を受けて、何らかの対策が進むでしょうが、ガスホースの取
りつけ状態を確認するとか、誘導ロープの取り扱い方法を徹底するなど、
ソフト的な対策ではなく、ホースが外れたらガスが止まる安全装置をお願
いしたいものです。
 このように書くと、「ガスが止まったら落ちる」と指摘されるかもしれ
ませんが、観光用途の熱気球では2系統のバーナーを備えているので、す
ぐに墜落することは避けられます。また、落ちる前に再点火すれば問題な
いでしょう。
 球皮の下側は炎に接近するので、難燃性の材料を使っているようですが、
バスケットは不燃性の材料が必要でしょう。
 消火器を常備していたかは不明ですが、日本国内では熱気球で飛行する
際には消火器を取り付けなければならないそうです。

                       
   ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 38 ☆ 
 防災用品のチェック
  地震に備えて、備蓄品を備えている会社は多いと思います。
  備蓄品には期限のあるものや、経年劣化するものもあります。食料品
  の消費期限や乾電池の液漏れ、緊急連絡網の変更などもあるでしょう。
  日常の点検といっても忘れることもあります。
  もうすぐ3月11日、このような日に合わせて点検すれば、忘れにくく、
  また、震災を再認識することもできるので、効果があると思われます。
  保管状態・数量確認など行ってください。
  特に、ガスコンロようのガス缶は底の部分が錆びると、使用時に破裂
  するかもしれません。発電機のガソリンも定期的に入れ替えが必要で
  す。緊急連絡先の電話番号やメールアドレスの変更も確認してくださ
  い。
  また、消費期限の迫った食品なら非常食の試食などをして、備蓄を再
  認識してはいかがでしょう。

2013年2月23日(騒音対策Ⅱ)
 231号(11月17日)の「騒音対策」の続きです。
 *231号の内容はこちらをご覧ください。
 http://www.oshms.net/diary2012.html
 騒音は職業性難聴の原因にもなり、聴覚で異常・危険を感じにくくなる
ため、災害の要因にもなり、また、ストレスの要因にもなることは説明し
ましたが、どのように対策すれば良いかを少し説明します。
 騒音対策には
  ・騒音発生源対策
  ・伝播経路対策
  ・受音者対策の3つがあります。それぞれを単独で行う対策もありま
すし、組み合わせて行う場合もあります。
 まず、「騒音発生源対策」について説明します。文字通り、騒音が発生
する箇所に直接対策するので、投資対効果が高いと言えます。
 騒音発生源対策の一番目には、その機械設備に異常が無いかを確認する
ことです。部品が摩耗しているとか、部品に欠損がある状態ではそれを修
理することが先決です。まず、異常が無いか確認してください。機械のメ
ンテ上、毎日給油が必要なのに、長期間、給油していないことは無いでし
ょうか?また、振動・騒音を止めるためのゴム部品が摩耗したり、外れて
いることはないでしょうか?
 その次に行うのは、「遮音」「消音」「防振」「制振」です。
 「遮音」は騒音発生源を囲んで外に出る音さえぎることです。
 「消音」はその囲みの内側に吸音材などを張り付け、囲みの中で音を小
さくするものです。
 「防振」は振動によって騒音が発生する場合、振動を吸収するための防
振ゴムなどを挟むことによって振動を伝えなくして音を小さくします。
 「制振」は振動が起こりにくい制振材を装着することです。
 また、「アクティブ制御」もあります。これは騒音の波形と逆位相の音
をスピーカーなどから発し、音の波形を消すものです。詳しくは下記等を
見てください。
 http://www.redec.co.jp/actncs.htm
 また、当然の事ですが、機械設備を低騒音型設備に変えるのも効果があ
ります。
 なお、音には高周波の音と低周波の音があり、高周波音の場合と低周波
音では対策方法の良否が異なることがありますので、どの周波数帯の騒音
が高いかを調べる必要があります。簡単に言うと、高周波音は遮音など音
の広がり・反射を遮ることが有効です。低周波音では防振など、音の原因
となる振動を抑えることが有効です。
 *「伝播経路対策」「受音者対策」は後日説明させていただきます。
                          ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 37 ☆ 
 簡易トイレ
  前回はエレベーター内の簡易トイレですが、今回は一般の場合です。
  会社にトイレがあっても水道が止まる可能性があるので、簡易トイレ
  は必需品です。(備蓄飲料水で流すことは可能ですが、飲料水確保が
  困難になりますので、トイレ排水に使うのはお勧めしません)
  各社から防災用簡易トイレが発売されていますが、ちょっと高いのが
  気になるのではないでしょうか?
  防災用の簡易トイレを買わなくても、黒いゴミ袋と凝固剤があれば十
  分です。ゴミ袋をトイレの便器にかぶせて、凝固剤をかければ良いで
  す。凝固剤は犬猫のようなペット用でも問題ないでしょう。液体がこ
  ぼれなければ十分です。ペット用の方が消臭性能が高いかもしれませ
  ん。(廃棄の時一般のゴミとして処分できることが必要でしょう)

2013年2月16日(踏切その2)
 2月12日の新聞で、東日本大震災の際、停電により鉄道の遮断機が降り
て、渋滞が多数発生した。と報道がありました。
 これは対策が難しい問題です。踏切は安全信号を受けて遮断機を上げる
もので、停電が発生したら、安全信号が届かず、遮断機を降ろすことが必
要(フェール・セーフ)です。地震が発生して停電すれば遮断機は降りる
必要があります。
 それが、遮断機が降りているということで避難を妨げるようでは別のハ
ザード(危険源)が発生するもので、これは設計時の思想には無いもので
しょう。停電の際は遮断機は降りますが、簡単に手で押し上げることが可
能です。しかし、地震直後には停電で遮断機が降りているのか、電車の接
近で遮断機が降りているのかは、一般の人には判断できません。
 通常運行時にはフェール・セーフ機能により安全が確保されない場合は
遮断機を降ろす。しかし、津波の接近などでその道路が避難路になる時は
遮断機を上げて避難路を確保するというのは相反した安全システムが必要
であり、両方を満足した安全な踏切の実現は困難です。どうすれば良いの
でしょう? その答えは鉄道と道路の分離(鉄道の高架等)しかないと考
えます。
 同じく2月12日に山陽電鉄の荒井駅の前の踏切で車両運搬車と接触して
脱線する事故がありました。この事故を検証してみたいと思います。
 事故の経過はご承知だと思いますが、車両運搬車が踏切を渡ったが、後
部に遮断機が降りたため、運転手があわてて遮断機を取り除くため、スロ
ープを降ろしました。そのスロープに特急電車が激突し、脱線しました。
 原因はこの運転手が安全なスペースを確保しないまま踏切を渡ったこと
(踏切を渡り終えると誤った判断をした)ですが、そのあとの措置に問題
があった(措置が適切なら事故の程度は低減できたかもしれません)と考
えます。報道によると、運転者は遮断機がスロープに引っ掛かったので、
あわててスロープを降ろしたということです。しかし、スロープを降ろす
前に非常ボタンを押していたらどうでしょう。山陽電鉄の運転手は車両運
搬車を見付ける前にブレーキを作動させ、激突の程度を下げることができ
たかもしれません。車両運搬車の運転手が取るべき行動は最初に非常ボタ
ンを押すことだったと考えます。しかし、その判断は困難かもしれません。
目の前に起こった事象を回避することを一番に考えるものでしょう。
 結果的に、この踏切では障害物検知装置がありました。障害物検知装置
は車両運搬車が危険区域にあることを確認できませんでした。これは車両
運搬車の後部は電車に激突するしなかったということになります。電車と
遮断機の間に車両運搬車が止まっていたことなります。車両運搬車の被災
状況をテレビで見る限りではスロープだけが電車に接触したと考えます。
運転手は何も行動を起こさず放置していたらニアミスで終わり、スロープ
を降ろしたことが事故につながったことになります。
 もちろん、そのような判断ミスが原因ではなく、前の車が通過するだろ
うと安易に判断したことが、車両運転手のミスだと言えます。人間は自分
の都合の良いように予測するものです。常に周囲の車を見て運転しましょ
う。
 2月11日、京都府宇治市のJR奈良線で78歳の男性が電車にはねられる
事故がありました。この場所は踏切ではなく、フェンスで囲まれたところ
ですが、一部フェンスが途切れていて、線路内に入れるようになっていま
した。保線員が入るための入り口だと考えられます。その場所には「線路
内立ち入り禁止」と看板を立てていましたが、住民にとって利便性が良く、
日常的に通り抜けており、地元自治会では「渡る前に、良く確かめよう、
右左」と看板を立てていました。
 内容が相反する看板が2個立ててあったということです。JR側も地元
住民も危険だという認識があったようです。看板だけでなく、施錠して
通行を禁止するか、遮断機および警報を付ければ良かったと考えます。


                         
 ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 36 ☆
 エレベーター内簡易トイレ
  昨年12月15日でもエレベーター内備蓄について触れましたが、キャビ
  ネットチェアも良い商品だと思います
  https://mylet.jp/item/ev_c.html
  (同様の商品は多数あります)
  これは平常時には椅子になり(飲料水等の備蓄容器でもあります)、
  エレベーターの中で腰掛ける事ができます。緊急時には飲料水の補給
  やトイレにもなります。(チェアが洋式トイレの形に変わります)
  中に入れる備蓄品を入れる時に忘れてはならないのが、目隠しシート
  です(付属されています)。トイレを使う時、エレベーター内の人に
  まる見えではトイレが使えません。
  緊急時であれば男性なら何もなくてもトイレが使えるでしょうが、女
  性はそうはいきません。目隠しシートは非常に重要です。導入する際
  には、是非、女性の意見も聞いて導入してください。

2013年2月9日(踏切)
 今年1月埼玉県行田市の踏切で小学5年生の男児が電車にはねられて死亡
した事故について、行田市が踏切を廃止することを秩父鉄道に伝えました。
この踏切は遮断機も警報もないことから、それらの設置も検討されました
が、見通しが悪いところであり、安全が確保されないと判断したようです。
遮断機があっても、簡単に侵入できるので、「安全でない」という判断は
適切だということです。
 しかし、地元の人にとっては踏切を廃止すると生活が不便になるという
ことで反対しています。
 秩父鉄道では遮断機や警報の無い踏切が約100か所あるということです。
事故が発生したから、廃止したり、遮断機を付けるというのも後手の対策
なので好ましくありません。
 平成19年の調査では遮断機も警報機も無い踏切が3528か所、警報機はあ
るが、遮断機が無い踏切が992か所あります。踏切と警報があれば安全と
は言えませんが、最低限の危険情報設備がないのは、問題だと考えます。
 2月7日、京都府京田辺市にあるJR学研都市線の八幡踏切で電車の接近
時に遮断機が下り、電車進入直前に遮断機が上がるという事態が発生しま
した。JRの発表では、信号ケーブルの損傷があったということです。 
http://www.westjr.co.jp/press/article/2013/02/page_3234.html
 しかし、これは危険な状況でもあります。
 遮断機は安全信号(電車の接近が無い)を受けて、遮断機を上げるもの
であり、ケーブルに損傷がある場合は、安全信号が届かず、遮断機は下が
る構造(フェールセーフ)でなければなりません。
 したがって、原因はケーブルの損傷ではなく、遮断機の安全システムの
不備だと考えます。
 私はフェール・セーフの例として、次のように踏切の遮断機を説明して
います。
   遮断機は電車が接近すると降りてくるように見えますが、システム
   上では、電車が接近していないという安全情報によって、遮断機を
   上げているものであり、安全情報が届かないと、遮断機の重力によ
   って下がっているものです。ケーブルの断線や停電があれば、遮断
   機は下がる。つまり、故障時には常に安全側に故障するものであり、
   これをフェール・セーフによる安全システムと呼ぶ。   
 今後は、フェール・セーフの事例として遮断機を説明するとフェール・
セーフの理解が困難になるかもしれません。困ったものです。
 (JR西日本にはメールで状況の問い合わせ中です)

                         
 ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 35 ☆
 動く災害対策本部
  大地震が発生したら災害対策本部を設置し、情報収集や安否確認が必
  要です。しかし、建物が浸水したり停電の場合は災害対策本部として
  は使えません。大きな会社であれば、支店や工場に災害対策本部を設
  けることも可能でしょうが、規模によっては難しいかもしれません。
  そんな場合の一つの提案として、キャンピングカーはどうでしょう。
  (EV車が適しています)
  避難する時に車を使うのは避けなければならないので矛盾するかもし
  れませんが、一つの選択肢としては検討する価値があると考えます。

2013年2月2日(中国の大気汚染)
 2月2日の読売新聞では「北京に1日居るとタバコ21本吸ったと同じ」と
いう記事がありました。中国の大気汚染についてはたびたび報道されてい
ますが、とても深刻なようです。PM2.5(微小粒子状物質)の濃度が、
300μg/m3を連日超えているというのです。日本の環境基準では1年
平均値が15µg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35µg/m3以下ですから、
とてもひどい状態です。
 北京ではスモッグで視界が悪くなったため、高速道路や空港が閉鎖して
いるそうですし、病院では気管支喘息等で患者が急増しており、死者が増
えていると聞きます。
 中国への駐在者や出張者が居る場合は健康状況の把握に努めてください。
中国ではマスクの着用者が増えていますが、PM2.5の微小粒子ではほと
んど効果がないでしょう。粉じん作業で使うようなPAPR電動ファン付
き防じんマスクが良いのですが、これを着用して外を歩くわけにもいかな
いでしょう。
 この微小粒子が風に乗って日本まで届いているというので無関心ではい
られません。中国では環境より生産(利益)重視の国なので、年々ひどく
なるかもしれません。

2013年2月2日(爆発事故多発)
 1月30日茨城県の鹿島火力発電所でガス配管の点検中、爆発事故が発生
して、作業員が1名死亡しました。
 1月31日には群馬県で鉄塔工事現場で爆発事故が発生し、2人が重傷を負
ったということです。この工事現場では前日にダイナマイトを使用してお
り、不発のダイナマイトが爆発したのではないかと考えられています。不
発の原因には、起爆装置の不良や接続ミスなどがあります。爆破作業のあ
とは不発の物が無いかを確認するのですが、そこで見落としがあったのだ
と考えます。
 近年、爆発事故が特に目立ちます。点検や作業の確認など基本的な部分
を疎かにしているのではないでしょうか。また、事故の予見など現場力の
低下を感じます。

                         
 ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 34 ☆
 PHS
  スマートホンや携帯電話はビジネスマンならほとんどの人が持ってい
  ます。場所を選ばない携帯端末は必須アイテムです。しかし、大規模
  な地震が発生すると、一斉に使用されるため、通信規制もあり、繋が
  りにくくなります。そこで注目されるのが、衛星携帯電話ですが、衛
  星携帯電話同士であれば問題ないのですが、一般回線への通話は同じ
  ようにつながりにくいものです。(料金も高額)
  そこで注目するのはPHSです。携帯電話など移動通信の中ではシェ
  アが低く、通信回線にも余裕があることから、東日本大震災の時でも
  つながりやすいということでした。
  ドコモなどの携帯電話からPHSに切り替えるというのも地震減災に
  なると考えます。しかし、PHSでは高速移動時には途絶え安いとか
  サービスエリアの問題もあります。
  個人用の約95%は携帯電話であり、会社用はPHSという2台持ちで
  あれば、万一の時の連絡も取りやすいと考えます。

2013年1月26日(インフルエンザ予防 マスク編)
 インフルエンザが急激に増加しています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/houdou20130125-01.pdf
 おそらく2月前半まで流行が続くでしょう。
 防護のためにマスクを着用している方を多く見かけますが、一般のマス
クはフィット性が悪いため、ウイルスの侵入を止める効果は薄いものです。
製品には99%カット等が記載されていますが、これは不織布の性能であり、
着用した時のカット率ではありません。着用状態が悪ければ、高価なマス
クであっても防護率0%ということもあります。
 ニュース等では「手洗いをしっかりしてください」と呼びかけられてい
ます。手洗いとインフルエンザの関係に疑問を感じることはありませんか?
ウイルスが手から体内に侵入して感染したということは聞いたことがない
です(手を怪我することもあるので、可能性はあります)。
 それならなぜ手洗いが必要なのでしょうか?
 それは、無意識に手で鼻の周りを触ったり、口の周りを触るからです。
 さらに手はいろんなところを触ります。触りながらウイルスを広げてし
まうのです。だから手洗いが重要なのです。
 先ほど、一般のマスクはフィット性が悪いので、ウイルス侵入対策とし
ては不十分と書きましたが、マスクをすることによって、手で鼻や口を触
ることを防ぐので、マスクの効果はあると言えます。
 さて、一般のマスクでもウイルス侵入を防止するコツをお教えしましょ
う。(立体マスクではなく、四角いプリーツ型のマスク)
 ワイヤー(針金)が入っています。これを曲げるようになっていますが、
この曲げ方が重要です。単に曲げれば良いものではありません。鼻の高い
ところのカーブを合わせて山折りに曲げます。そして、鼻と頬の谷の部分
に合うように谷折りに曲げます。だから鼻の上の方に当てる場合と下の方
に当てる場合では角度が異なるのです。この鼻と頬の間あたりの漏れ込み
が一番多いところです。
 次に多いのは、頬の外側です。頬の外側の2か所から紐があり、耳に掛
けますが、この頬の外側が以外に隙間ができるものです。この隙間はマス
クのサイズと顔のサイズが合っていないことが多いです。子供用・大人用
の2種類しかないことが多いので、全ての人に合うわけがありません。こ
の場合はできるだけ、いろんなメーカーを試して自分に合うのを選んでく
ださい。しかし、マスクを試着して買うことはできませんので、合ってい
ないと思えば、紐に結び目を作って、耳に掛ける輪を小さくしたり、引っ
張って広げるのも良い方法です。
 最後に顎です。下に引っ張って、顎の周りとマスク面が広く接するよう
に取り付けてください。
 この3つの注意点に気を使えば、かなりフィット性は向上しますが、漏
れを完全に防げるものではありません。
 マスクには、鼻・口を触らないという効果以外に、鼻腔内、口内の乾燥
を防ぐ効果もあります。あなたは口呼吸をしていませんか?口呼吸をする
と口内が乾燥してしまいます。乾燥状態はウイルスにいい環境になるので、
鼻・口の乾燥を防ぐ意味でも効果はあります。
 インフルエンザに気を付けてください。もし、感染したら、無理しない
で会社を休んでください。

                        
  ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 33 ☆
 担架(タンカ)
  皆様の会社ではどんな担架を備え付けておられますか?
   ・一般的な2本の棒に布を張っている一般型
   ・船の形をしたカヌー型(バスケット型とも言う)
   ・布だけのハンモック型
   ・車輪がついた搬送型(救急隊員が使うストレッチャー型)
   ・階段も降りる事が出来るキャタピラ型搬送担架
  通常の使用であればどれでも役に立ちますが、地震時を想定した担架
  も必要になります。地震の時にはエレベーターが使えないとしたら、
  階段を使うことになります。一般型の場合は棒が邪魔になって運びに
  くい場合もあります。その場合は、ハンモック型やキャタピラ型搬送
  担架が適しているかもしれません。また、夜間時など人手が足らない
  ケースもあるでしょう。その場合は、最悪1人でも運べるようなカヌ
  ー型(引きずって運ぶ)や車輪がついた担架が適している場合もあり
  ます。事業所の階層などを考慮して選んでください。
  なお、車輪が付いた事務椅子も、時としては担架の代用に使うことも
  できます。
  また、消防法に基づいて設置している救助袋も被災者を速やかに地上
  に降ろすには有効な場合もあるでしょう。

2013年1月19日(コンビナートクライシス)
 1月16日、NHKクローズアップ現代で「コンビナートクライシス」と
いう番組がありました。全国のコンビナートで大規模な事故が相次ぎ、そ
の件数は10年で10倍にもなります。その原因は主に設備の老朽化と技術力
の低下ということです。
 古いものは高度成長期に作られたものもあり、40年以上経過しているも
のもあります。老朽化といえば、記憶に新しい笹子トンネルの天井落下事
故があります。日本の道路・橋・トンネルなど老朽化が問題になっていま
す。老朽化は避けられない課題でありますが、設備の更新や補強工事は多
額の費用が必要になり、簡単には実施できません。そのため、点検は今ま
で以上に行わなければならないのです。「今までトラブルが無いから点検
を簡素化しよう」ではなく、逆に点検内容を充実させなければなりません。
しかし、点検コストも関係しますので、可能性とリスクを評価し、効果的
な点検が必要になります。たとえば、ストレート配管でも、振動の影響や
雨水による腐食や流体の流れにより損傷具合もことなります。効果的な点
検を低コストで行う工夫が必要になります。
 また、番組では技術力の低下として、昨年4月に発生した三井化学岩国
大竹工場の爆発事故が取り上げられました。電磁弁が故障したことにより
プラントが緊急停止をしました。それを経験のない技術者が緊急停止を解
除したことにより爆発しました。
 緊急事態での対応教育が不十分だったようです。団塊の世代の引退によ
る技術力低下の対応が問題になっています。設備の一つ一つの故障や作業
者のミスによってどんなリスクが発生するか、全てピックアップし、その
対応を考え、マニュアル化しなければなりません。膨大な作業ですが、や
らなければならない課題だと感じます。
 参考:NHKクローズアップ現代「コンビナートクライシス」の詳細 
 http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3294_all.html

   
                       ご安全に!
☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 32 ☆
 ブルーシート
  先日、JR長尾駅の近くで事件があったようで、警察が来て規制線を
  張り、ブルーシートでふさがれていました。
  ブルーシートは色々使えて震災時役に立つかもしれません。避難の時
  に下に敷いたり、雨除けに使えたり、避難時にはプライベート空間を
  作ったり、花見をする時には場所取りにも使えます。
  地震で屋根が壊れた時の応急処置にも使えます。
  防水性があり、視界を遮り、大きくても安価なので、備えておいては
  いかがでしょうか。

2013年1月12日(交通事故死者数)
 1月7日に平成24年の交通事故死者数の発表がありました。死亡者数は全
国で4,411人(前年比201人減少。減少率4.4%)でした。
 死亡者が一番多い年は昭和45年でした。昭和45年というと、大阪で万国
博があった年です。
 交通事故による死者が1万人を超えたのは昭和34年(10,079人)でした。
その年に「緑のおばさん運動」が始まりました(横断歩道で黄色い旗を振
って学童を守る運動)。昭和35年には「交通戦争」という言葉が流行語に
なり、その後も高度成長期で車が増加し、死者もどんどん増えました。
 死者の減少に一番効果があったのはシートベルトだと思います。最初は
運転席だけだったものが、助手席も対象になり、後部座席も対象になりま
した。さらにエアバックなどがあります。医療が進歩していることも死者
数減少の要因でもあります。(死者は減っていますが、重度後遺障害者は
増加しています)
 死者はピークの4分の1程度に下がりましたが、交通事故件数は減ってい
ないのです。昭和45年は約70万件の事故が発生しました。平成23年は約66
万件です。最悪の年と比べてほとんど変わっていないのです。交通事故の
死者が減った報道を見て、交通事故は減っていると思ってはいけません。
 最近、事故要因で増えたと感じるのが、携帯電話の使用です。自動車も
バイクも自転車の運転でもあります。特に自転車が多い。特に最近ではス
マホの普及により、画面を注視することが増えているように感じます。
 車を運転する時は周囲の運転者と意志疎通を図る方法がありません。あ
るのはブレーキ・ウインカーぐらいです。周囲の運転者がどう考えて、ど
のように行動するのか分からないのです。その上、周囲の運転者が、こち
らの走行に注視しているとは限りません。ですから、事故が発生するのは
当たり前とも言えます。そのような中で、運転して移動しなければならな
いのですから、リスクの中を突き進んで走るようなものです。事故を起こ
さないためには、交通法規を守り、常に危険予知を働かせながら運転しな
ければなりません。
 私は、安全運転のコツは「臆病な運転」だと思います。臆病な運転では、
さまざまなリスクに備えるよう、スピードを落として、車間距離を空けて、
周囲に絶えず目を配る運転です。慣れた道でも気を抜かず、いつもリスク
の中を走行していると感じてください。
 仕事でも通勤でも、プライベートでも交通事故の加害者にならないよう、
被害者にならないよう願っています。
 新年会の多い季節でもあります。飲酒運転は絶対にあってはなりません。
                          ご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 31 2013.1.5 ☆ 
 身体障害者の避難
  職場には身体障害者の居られる会社もあると思います。地震時の初動
  手順には身体障害者の措置を入れておいてください。たとえば車いす
  の場合、ブレーキがかかっていると、転倒のおそれもありますし、ブ
  レーキが外れていると、職場内を突進するかもしれません。その人の
  近くに居る人に初動手順を教え、また、避難については、エレベータ
  ーが使えないので、避難方法をあらかじめ定め、協力者も定めておく
  必要があります。同様に、聴力障害などその人に合った初動手順を定
  め周知する必要があります。
  また、怪我などで一時的に松葉杖が必要な方がおられる場合は、搬送
  を兼ねた車いすを用意することが効果的だと考えます。

2013年1月5日(箱根駅伝に学ぶ)
 1月2日、3日に箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)がありました。
 今年の優勝は日本体育大学でした。日本体育大学はH24大会では19位
(H23年は8位。シード権獲得)でしたから、昨年は散々な負け方をしまし
た(1位の東洋大学とは約31分も遅れたので、距離にして、10km程離さ
れたことになります)。
 なぜ、1年でこんなにも急成長したのでしょうか?
 昨年の惨敗後、3年生の服部君を主将にしました。当然4年生からは反発
があったようですが、話し合いを繰り返し、3年生の主将を支えるように
なったそうです。そして、4月から高校駅伝の名監督である渡辺氏をを特
別強化委員に招聘しました。渡辺氏は走る基本というより生活の基本を徹
底的に指導したそうです。朝の挨拶、練習前のグランドの草取り、掃除、
食事、睡眠、スリッパの揃え方まで徹底しました。当たり前の事を当たり
前にし、見えないところも徹底して指導しました。その結果、箱根駅伝大
会では、各選手が自分の仕事をきっちりこなし、前年優勝した東洋大学に
5分近い差を付けて優勝しました。
 この事は多くの方がニュース等でお聞きになったと思います。生活の基
本は安全衛生の基本と重なるところがあります。挨拶から始まり、職場の
整理整頓、決められた手順を確実の行うことと同じです。
 年頭の挨拶に「初心に帰ろう」「基本に戻ろう」などをよく聞きますが、
単なるスローガンで終わってしまってはなりません。幹部、管理職、監督
者が適切な指示をし、確認し、指導を繰り返し、定着させなければならな
いのです。定着させるためには指示をするだけでは無理でしょう。たとえ
ば、スリッパの揃え方を指導すると、「なぜ、こんなことまで叱られるの
か」と思う人も多いと思います。それを話し合って、納得させなければ直
せません。しかし、話し合って納得させることは簡単な事ではありません。
昨年ベストセラーになった阿川佐和子さんの「聞く力」がありますが、納
得させるためには、相手の考えを聞き出す能力が必要なのです。
 「初心に帰ろう・基本に戻ろう」をスローガンで終わらせず、職場生活
の基本を守ろうという意欲を持たせるために、「話しかける」「声を聞く」
のコミュニケーションを図り、監督者が目指す理想の職場と部下が求める
理想の職場が一致し、それに向けて邁進すれば、いい職場ができるでしょ
う。その結果として、無災害が達成できるのではないでしょうか。

             
           2013年もご安全に!

☆ 地震減災のワンポイントアドバイス 30 ☆
 ガソリン備蓄
  自動車用のガソリンを備蓄している会社は少ないと思います。
  東日本大震災の時には、ガソリン不足が深刻でした。ガソリンスタン
  ドは全て売りつくし、入荷の予定が立たないため営業できず、また、
  営業しているところでも長蛇の列でした。
  もしかしたら今後はもっと深刻になるかもしれません。ガソリンスタ
  ンドは6年前には全国で47000店あったのですが、昨年は37000店まで
  減りました。減った要因は燃費の良い車が増えたことなどで需要が減
  っているからです。さらに今年2月の消防法改正で地下タンクの油漏
  れ対策が義務になり、対応できない店舗は廃業するかもしれません。
  ガソリンスタンドの店舗数に注意してみてください。
  近くでガソリンスタンドの閉店が相次いだら、警戒レベルかもしれま
  せん。その時はガソリン備蓄も考える必要があるでしょう。
  ガソリン備蓄の際は消防法令等を順守し、安全に取り扱ってください。
  常に満タンを維持する方法もあるのですが、常に満タンで走ると燃費
  が悪くなることに注意しなければなりません。
  なお、ガソリンの需要低迷により、製油所も操業停止や縮小を進めて
  います。(エネルギー供給構造高度化法も関係しています)

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