2007.12.22  (スポーツクラブ銃乱射事件)
 この安全週記では犯罪などは取り上げないつもりであったが、このスポーツクラブ乱射事件に対しては一言述べさせていただきたい。
 事件当時は女性インストラクターが犠牲になり、葬儀が行われた時、父親は「舞衣のことを無念の死とか、かわいそうとは思わないでください。大好きな子供たちを最後まで守ったのですから」とあいさつされた。それを聞き、「舞衣さんは自分の危険をかえりみず子供を守ろうとしたんだ。立派な最後だったのだ」と、思いました。ところが、調べが進むほど、「舞衣さんが最初から狙われている可能性が高い。」となってきた。
 許せない。こんな事件は2度とあってはならない。
 どこに問題があったのだろうか。
 もちろん自殺した犯人に問題がある。
 でも、それだけではない。
 私は、日本国内の銃は、「警察官」と「不法所持の暴力団」と「特別に許可を得た一部の人」と思っていた。しかし、この「特別に許可を受けた一部」がとんでもない数であった。ライフル・散弾銃・空気銃等を合計するとなんと39万丁というのだ。39万と言われてもピンとこない。たとえば、この39万丁を私が住んでいる枚方市民に配ったら、幼児を除いて全員が持っているのと同じぐらいの数になる。
 そんな膨大な数を購入者の責任に任せているのである。これでは犯罪を食い止めることは困難だろう。
 2002年にも散弾銃で隣人を殺害して、自殺する事件があった。この時の犯人は、殺害目的で銃所持の特別許可を得ていたのだ。
 日本では護身用の銃所持は認められない。このことは、日本国民は銃を持つ人に対して無防備であるということだ。この機会に銃の管理方法を改める必要がある。
 そこで私の提案は
 銃にGPS機能を装着することです。
 身近な例では携帯電話にも採用されています。相手がどこにいるか、簡単に把握する技術はすでにあります。ドコモで市販されている子供用GPS携帯は故意に電源を切ることが出来ない構造になっています。
 したがって、銃が盗難にあった場合でも場所を突き止めることができるのです。その監視は警察が行う
 GPS機能があれば、銃を持ちだすと、たちどころに警察に情報が入ります。
 銃の所有者は事前に銃持ち出し申請を提出する必要があります。持ち出し申請には時間・通行ルート・持ち出し目的を明記します。そうすれば、警察でも使用目的の明確な銃の持ち出しと、不明な持ち出しの区別が可能であり、事前申請の無い移動があれば、GPS機能で即座に追跡できます。
 所有者にとっては迷惑な話であろうが、日本は銃の所持が認められない国であり、特別許可を受けた者はこのぐらいの申請は当然だと思います。
 しかし、このことはリスク低減措置の一つの方法にすぎません。
 ハザード(危険源となる銃)を無くすことが最大の防御になることは言うまでもありません。
                        ご安全に

2007.12.15  (偽)
 12月12日、「今年の漢字」に「偽」が選ばれた。私の予想通りです。みなさんもそう思ったと思います。
 清水寺で揮毫した森貫主は「このような字が選ばれることは恥ずかしく、悲憤にたえない。己の利ばかり望むのではなく、分を知り、自分の心を律する気持ちを取り戻してほしい。」と思いを述べられました。
 今年は本当に「偽」という文字が新聞の見出しに使われることが多かった。北海道で有名な「白い恋人」、伊勢の「赤福」など食品の賞味期限を改ざんしたり、産地を偽ったり、とても書ききれないほどの偽装がありました。
 働く現場では偽装請負も多く見受けられました。中には一流企業の名も多く報道されました。
 指揮命令が不明確になり、労働災害も多く発生しています。
 また、その労働災害を隠すような偽装もありました。
災害の原因を偽り、健康保険で治療を受けさせたりする「労災隠し」、労働災害が発生した場所を偽り、注文主に迷惑をかけないようにする「労災とばし」もありました。
 労働基準監督署は災害の発生状況を調査し、災害を防止する大切な職務があります。それが、隠ぺいされると、さらに災害が発生する。それを防止するために監督署は厳しく取り締まっています。「労災隠し」のような偽装には「書類送検」のような厳しい措置もとられています。
 偽装からは何もプラスになることはありません。偽装して、その場しのぎをしても、必ず、表面化するものです。表面化すれば、その代償はとても大きなものです。
被災した労働者は、もし、そのようなことがあっても黙認してはなりません。
会社に異議を申し立てても、受け入れられなければ、労働基準監督署に連絡してください。

これを書いている時にも、居酒屋のチェーン店で馬肉に脂肪を注入して「霜降り肉」としたり、野球選手の薬物使用などが報道されています。
今年も残り半月です。もし、みなさんの会社で偽装があるなら、今年中に、全て、吐きだしてください。
そして、来年は「偽装」という文字が無くなることを期待します。
                        ご安全に

2007.12.8  (インフルエンザ)
 今年のインフルエンザは例年より早く流行ってきている。
 テレビでもインフルエンザ対策として特集を組んでいます。
 私もインフルエンザに対しては例年にない対策を始めました。一つは予防接種です。インフルエンザの予防接種は、学校での集団予防接種以来やったことがなかった。今年のインフルエンザ予防接種は「Aソ連型・A香港型・B型」の3種混合です。
 皆さんはやりましたか?地元の病院ではワクチンの「品切れ」というところもあると聞いているので、早期の予防接種を勧めます。
 私は先月に予防接種をしました。しかし、もう安心ということはない。日頃の注意が必要です。外出から帰ったら、うがいと手洗いが一番です。次に睡眠と栄養です。それだけでなく、私は。家に加湿器を置きました。私が選んだ加湿器は三洋電機製のもので「ウィルスウォッシャー機能」が付いています。室内を加湿しながら、ウィルスを殺してしまうという優れものです。インフルエンザウィルスは低温と乾燥を好むので、加湿は十分にしましょう。加湿器が無い場合は、タオルを濡らして、室内に干しておきましょう。
 インフルエンザの感染で一番怖いのが、電車・バスなどの交通機関です。車内にインフルエンザの人が乗っていないとは言えません。私は、冬の間はいつもマスクをして乗ります。マスクの繊維の隙間はウィルスより大きいのでマスクでは防げないと思う人も居るでしょう。確かにウィルスはマスクを通して、体内に侵入することができます。しかし、マスクをすることによって、鼻・口の中の湿度を保つことができます。鼻・口の中の湿度が高いとウィルスの働きを鈍らせるので十分効果はあります。外出の際にはマスクをカバンに入れ、いつでも使えるようにしてください。
 インフルエンザと同じように怖いのがノロウィルスです。ノロウィルスにはワクチンのような抗体がありませんので自ら防御するしかありません。うがいと手洗いなど、インフルエンザと同じような自衛手段が必要です。
 みなさんのオフィスの湿度はどのくらいですか?。暖房すれば湿度が下がりやすくなります。オフィスの密閉度は高く、乾燥しやすい条件がそろっています。インフルエンザの鎮静化を図るために学校では学級閉鎖などで対応しています。
しかし、企業では閉鎖などできません。
 インフルエンザになっても、栄養ドリンクを飲んだり、薬・点滴をして頑張って会社に来ている人はいませんか?マスクをしてもウィルスを室内にばら撒いてしまいます。
 身体の不調を感じたら休んで安静にしましょう。そして、病院に行きましょう。
                        ご安全に

2007.12.1  (1万人に1人)
 今週は、香川・坂出であった、祖母と孫2人の殺人事件の報道を見ることが多かったです。犯人は逮捕されたが、金銭トラブルが元になった事件という報道です。その上、金銭トラブルには無縁の孫が2人犠牲になったことはとても悲しい。人間の生命は最も尊いものであり、それを3人も一度に奪った犯人は許せない。
 みなさんは「1万人に1人」という話を知っていますか?
 安全衛生の仕事をしている方はご存じの方も多いでしょう。

 ある製鉄会社の現場で若い作業員が命を落としました。
 その会社の部長が弔問に行ったときの話です。
 亡くなった作業員の奥さんが部長に尋ねました。
 「会社には何人の人が働いていますか?」
 部長は
 「1万人です」と答えました。
 奥さんは
 「会社は1万人のうちの1人を失ったわけですね。しかし、私は人生の全てを失いました」
 という話です。

 会社では、1人を失っても代わりをできる人はいるでしょう。また、すぐ補充できます。しかし、家族・親類の場合は、代わりの人なんて存在しない。

 この話は、私が安全衛生コンサルタントの道を選んだ一つの理由でもあります。
 「死亡事故を無くしたい。」
 「人命尊重」の精神でこれからもがんばってまいります。

 さて、今日から12月です。この時期は年末特有のあわただしさ等から年始にかけて災害が多い時期でもあります。
 12月15日からは年末年始無災害運動です
 「年末年始の安全管理 基本をしっかり 心にゆとり」
 さぁ、この年末年始に事故を起こさないように、今日から行動を起こしましょう。
                        ご安全に

2007.11.24  (火災 親子救出)
 一般市民による感動する救出がありました。
 11月19日、大阪市内で発生した火災は、3階建ての住居の2階から発生しました。3階には避難ができなかった、22歳の父親、25歳の母親、5か月の女児が残されました。火の回りは速く、階下に逃げることができなかったのです。親子は窓の外へ助けを求めました。消防レスキューはまだ到着できません。
 その時、近くに居た人が「子供を投げろ!下で受け止める」と叫んだのです。
3階は7メートルもの高低差があります。いくら、緊急事態でも子供を投げることは簡単にはできないでしょう。でも、ほんの一瞬の間に、信頼関係ができ、子供を投げました。下に居た男性も、見事に受け止めたのです。そして、路上に布団等を敷き詰め、両親に飛び降りるように指示しました。父親は着地に失敗し、骨折しましたが、無事でした。母親は無事に着地しました。
 この火災は、親子3人が命を失うような大惨事になるような状況でしたが、地域の方の協力で、親子3人が無事救出されました。
 本当に良かった。私はこのニュースを聞き、本当に感動しました。
 「子供を投げろ!」と指示し、子供を無事受け止めた男性を尊敬します。私にはとても真似できません。あらためて、私の近所の3階建の家のベランダを下から見ました。7メートルというとかなりの高さです。あのベランダから投げられたら受け止められるだろうか。もちろんミスは許されない。受け止めることに失敗したときのリスクを考えると、私にはできません。
 この事例はいい事例ですが、参考にしようとは思いません。
 救出することを考えるより、事故を発生させないことを考えましょう。今回の火元は何かわかりませんが、これから本格的な冬になります。部屋は乾燥し、いろんな場所で静電気が発生しやすくなります。「電源コードのコンセントは完全に刺し込められているだろうか?」、家・会社などの火の使用状況、電気配線など確認し、火災予防をしっかりやってください。
 火事を出さないことが第一です。火災予防には点検、監視が大切です。火災発生のリスクアセスメント・危険予知を実行し、火災防止を行いましょう
                         ご安全に

2007.11.17  (KY)
 2007年の流行語大賞のノミネートが発表された。その中に「KY」がある。なぜ、安全用語の「kY(危険予知)」がノミネートされたか疑問に思った人はいませんか? この「KY」は『危険予知』ではなく『空気が読めない』という意味なんです。意味は違うけど、「KY」がノミネートされたことはとても嬉しい。「KY」が大賞になれば、「ケー・ワイ」といういう音が身近な存在になる。職場の中でも「ケー・ワイ」という音が浸透しやすい。「KY」について関心を持ってもらえるだろう。
 そもそも、「KY(危険予知)」は特別な安全用語でもない。職場の中だけでなく、普段の生活にとけ込んでいるものだ。
 空を見た時、黒い雲が広がると「雨が降るかもしれない」と考えし、傘を用意する。
 道を歩いている時、向こう側から自転車が走ってくると「ぶつかってくるかも」と考えし、道の端に寄るだろう。
 誰もが自然に考えるものなのです。
 以前、私がバスに乗り、座った時の事ですが、隣の女性が刺繍をしていました。針を持っていたのです。バスは揺れるものであり、場合によっては急ブレーキをかけることもある。もしかしたら、針が私の方に向かってくるかもしれない。あるいは、私が揺れて、針に接近するかもしれない。針が私の服に刺さるようなヒヤリハットですむ場合もあるだろうが、私の顔・目に刺さるかもしれない。目に刺さると失明する危険がある。隣に座っているのだから可能性はとても高い。私は、自然と危険予知とリスクアセスメントをしていました。
 このままではリスクレベルが高い。何か方法を考えなければならない
 保護メガネもない。防護するものは何も持っていません。
 私の取った方法とは、席を立つことでした。「席を立つ」こんな簡単な方法で失明の危険から逃れることができました。
 『危険予知』『リスクアセスメント』を常に考え、安全を先取りしましょう。
                         ご安全に

2007.11.10  (有害物曝露報告)
 11月5日の告示(厚生労働省告示第373号)で有害物曝露作業報告の対象物質(労働安全衛生規則第95条の6)が44種類に増えました。
 この労働安全衛生規則第95条の「有害物曝露作業報告」が義務化されたのは平成18年でした。最初は5物質だけなので、対象となる企業も限られていましたが、平成19年にはそれが10種類になり、平成20年には44種類となりました。
 この44種類が1年間に500kg以上となるときは報告が義務となりますので、該当する企業はご注意ください。(なお、適用は平成20年1月1日からとなります)
 この規則は平成18年に作られました。有害物質の粉じん・蒸気・ミストに曝露される作業に従事されている場合は、管轄の労働基準監督署に報告が必要になります。有害性の高い化学物質の使用状況を監督しようとするものです。どの種類の化学物質が、どこで、どのくらい、どのように使用するか、その物質に曝露されている労働者数をを把握し、必要に応じて、監督指導するものです。
 作業環境の改善の第一歩は、有害物質を使わないことです。使わなければ、曝露されることはない。当たり前のことですが、多くの方は作業環境改善は排気だとか保護具を使うことを最初に考える場合が多いのではないでしょうか。局所排気装置を付けるとか、保護具を使用するのは、最後の手段と言えるかもしれません。
 先日、ある企業が、有機溶剤を含む接着剤の使用で、局所排気装置のフードに苦労されており、作業員は防毒マスクを着用しています。健康診断を受けていました。それが、非有機溶剤の接着剤に換えたことにより、劇的に作業環境改善ができました。局所排気装置が不要になり、防毒マスクも特殊健康診断も作業環境測定も不要になったのです。
 今回、追加された物質を使用している会社は、「報告が面倒だ」と言う前に、その化学物質を使用しないことを考えてみてください。
 きっと、劇的に作業環境が改善されるでしょう。
                         ご安全に

2007.11.3  (プレス安全強調週間)
 11月1日から7日までの一週間は「プレス安全強調週間」である。
 大阪労働局ではスローガンを
  
『社長さん「アイツが悪い」ではあきません
   安全プレスに変えたって!』
として活動を推進しています。
 プレスによる災害は、安全プレスの普及により減少していますが、まだまだ、全数のプレスを安全プレスに置き換えるまでは至りません。昔、プレス工は「指を落として、一人前」と言われた時代がありました。プレスは堅い金属の形を一瞬に変えることができるし、金属の切断もできます。そのような巨大な力があるところに手を入れれば、一瞬に切断してしまいます。プレスの怖さは誰でも知っている。しかし、意図的や無意識に手を出すことがあり、大きな災害が発生する。労働者はプレスの怖さを知り、正しい作業・間違った作業も教育を受けているが、実際に手・指を切断してみないと、本当の怖さが分らない。だから、「指を落として、一人前」なんという言葉が生まれたのだろう。
 人間というものは無意識に作業手順を誤ったり、故意に禁止されていることをするものだ。
 労働者が指を切る災害が発生する前に安全プレスに変えましょう。
 さて、「故意に禁止されていることを行う」と言えば、今年6月23日に発生した、尼崎での飲酒運転による3人死亡事故の初公判がありました。この6月の事故では2か所続けて交通事故を起こし、2ヶ所目ではドライブレコーダーを搭載したタクシーと接触し、事故の瞬間が生々しく、放送されたので皆さんも覚えておられるだろう(この安全週記でも6月30日に取り上げました)。その運転手の初公判が10月31日に行われました。被告は24年前と8年前に飲酒運転による検挙歴があるのです。さらに驚くことは、2年前から、毎日のように酒を飲みながら運転していたことだ。そして仕事仲間もそのことを目撃していたというのだ。『驚く』を通り越して、『呆れる』
 これほど意識的な犯罪では、一般市民の安全が確保できない。
 ドライバーが飲酒をしていたらエンジンがかからなくなる自動車の開発に期待します。
                         ご安全に

2007.10.27  (コンサルタント試験)
 10月22日に労働安全コンサルタント試験と労働衛生コンサルタント試験の筆記試験がありました。労働安全コンサルタント試験には5種類の試験があります(1)機械(2)電気(3)化学(4)土木(5)建築。労働衛生コンサルタント試験には2種類の試験があります(1)保健衛生(2)労働衛生工学。試験は安全または衛生一般試験と関係法令と各専門ごとに記述試験があります。
 試験についての詳細は、安全衛生技術試験協会のホームページを参照ください。
http://www.exam.or.jp/index.htm
 試験については、以前は試験問題の持ち帰りが禁止されていたのですが、今は、試験問題の持ち帰りが許可されました。どんな試験が出たのかというと、
「労働安全コンサルタント受験応援」ホームページを見てください。
http://www.geocities.jp/rouankon/index.html
 小生もこれを見て、試験問題に挑戦しましたが、とても難解です。ちょっと驚いたのは産業安全一般の試験に労働衛生の問題が含まれていました。安全コンサルタントにも労働衛生の知識が求められているということかもしれません。
 試験問題は年々広範囲になり、細かい点にも触れられています。
 この試験問題を見て、コンサルタントは一生勉強しなければならない。と思いました。
 企業で安全衛生をやっておられる方は、コンサルタント試験に挑戦されていはいかがですか?
試験は年に一回です(毎年10月)
                         ご安全に

2007.10.20  (エスカレーター事故)
 今年はエスカレーターの事故が目立つ。
 エスカレーターに穴が開き、足の指を切断したり、靴が引っ掛かって怪我をしたり。。。今週16日には、手すりから首を乗り出した9歳の男の子が大けがをした。事故防止のためにつけたアクリル板が事故の原因にもなったのだから残念だ。
 事故防止のアクリル板は2枚あった。ひとつは可動式で、軽い力で動く。
 普通、人はこれに当たったらびっくりして首を引っ込めるから怪我はしない。
 次の1枚は固定式だが、建物の柱・壁に比べて弾力性があるので、もし、これに
当たっても大きな怪我は防げる。そういった目的で付けられていた。ところが、2枚目のアクリル板は長さが足らず、アクリル板の端と手すりの間に男の子の頭が挟まってしまったのだ。
 このアクリル板は昔からあった。私の少年時代にもあった。
 でも多くの災害から設置基準が定められ、2000年に設置義務ができた。
 アクリル板があと10センチ長かったら、「痛いっ」で済んでいたかもしれない。
 当初意識不明の重体だったが、今日、意識回復のニュースを聞き、安堵しました。
 なお、このエスカレーターは階段状ではなく、スロープなのです。上昇角度も10度ぐらいの緩やかなものです。なぜスロープなのかというと、ショッピングカートでも使える。ベビーカーでもそのまま利用できるということで採用されています。
 しかし、このスロープ・エスカレーターはいろんな危険がある。たとえば、ベビーカーの取っ手を放せば、下まで落ちていきます。斜面が緩やかということは距離が長くなるのです。事故のあったスロープ・エスカレーターは長さが32メートル。上り切るまで、1分5秒かかります。時間が長いと、注意力が散漫になりやすい。
 ベビーカーを押している、お母さん、1分ちょっとの間、しっかりベビーカーを押さえていてくださいね。
                         ご安全に

2007.10.13  (赤心慶福)
 300年の歴史を持つ老舗の赤福が製造日を偽装していた。
 小生も赤福のファンで、毎月1日に出る「朔日餅(ついたちもち)」が楽しみで、会社を休んで買いに行ったことさえあった。
 今回、残念なことに、余った赤福餅を急速冷凍し、解凍日を製造日と表示していた。それが34年前から行われていたことにとても残念に思う。さらに、偽装した量にも驚かされた。読売新聞によると2004年からの3年間で605万箱にも達する。この605万箱は出荷数の18%というから、5回買えば、1回ぐらいが偽装赤福という計算になる。確率から考えると、私も相当数の偽装赤福を買ったことになる。
 赤福は「赤心慶福(真心を尽くすことで、他人の幸せをよぶ)」から付けられた名前と聞く。「真心」を失ったのだろうか?とても残念だ。
 今年の8月には北海道の「白い恋人」の偽装が発覚したばかり、その「白い恋人」は現在も販売されていない。
 赤福もこのようになるのだろうか?
 一刻も早く、問題の急速冷凍器を処分し、再発防止をたて、復活して欲しい。
 さて、もう一つお話をしたいと思います。
 昨年11月にパロマ製湯沸かし器による一酸化炭素中毒で死亡災害が発生した。ほぼ1年という10月12日に元社長と元品質管理部長並びに不正改造した作業員(8月死亡)が書類送検された。
 ガス湯沸かし器は数10年前のガス爆発・ガス中毒を防止するために、フェールセーフ技術で安全な湯沸かし器に進化した。それなのに、その安全装置を無効にするような修理をした過失は大きい。
 安全装置の無効化はあってはならない重大な過失だ。「対岸の火災」と考えずに、安全対策を第一に考えてください。
                         ご安全に

2007.10.6  (「喝」と「愛の鞭」と「いじめ」)
 「パシッ」と、引っ叩く行為が「喝」の場合もあれば、「愛の鞭」の場合もあり、「いじめ」の場合もある。
 今週、相撲部屋の若い力士の急死が波紋を呼んだ。
 若い力士のお父さんは、プロの格闘家が厳しい世界だということを良く知っていて、若い力士が泣いて、家に帰ってきた時も、「かわいそう」と思いながらも、
「プロの世界は厳しいものだ。もっと頑張れ!」と突き放すように相撲部屋の戻した。
「あの時、引きとめておけば・・・・・・・・・・」
父親はさぞ残念に思ったことでしょう。
 毎年、相撲界に入門する者は何百といる。その何百・何千の中で横綱・大関の地位に昇るのはほんの少ししかいない。
 弱音を吐く、弟子を竹刀で叩き、鍛え上げる。弟子も、竹刀で叩かれないよう、気合を入れて頑張る。弟子は限界と思っても、師匠達は、叩き、無理にも立ちあがらせ、練習を繰り返す。その繰り返しで、強靭な肉体と強靭な精神力を作り上げていくものだと思う。
 これを書きながら、昔流行った、スポーツ根性ドラマ「巨人の星」「柔道一直線」「アタックNo1」を思い出す。厳しい世界で生き抜くために「もっと、がんばれ!」と喝を入れる。ライオンの子を崖から突き落とす「愛の鞭」は必要だと思う。
 特にスポーツの世界では学生スポーツも含めて、後輩を厳しく「しごく」のは当然あるものだ。必要なものだと思う。その「しごき」に耐えて、逆にそれをバネにして、成長していくものだと思う。
 私も学生時代に先輩からしごかれたものだ。
  ちょっとでも気を抜いていると、
  「なにサボっとんじゃ〜!」と一喝され、
  罰みたいな特訓をさせられたものだ。
 引っ叩かれることもある。地面に長時間の正座をさせられたこともある。
 それらは必要なことだと思う。後輩に対する愛情の裏返しなのだ。
 厳しい中で、先輩・後輩の気綱もできてくる。
 でも、今回の相撲部屋の報道を見ていると、「喝」や「愛の鞭」ではなさそうだ。
同じ引っ叩く行為でも意味合いが変わってくる。この騒動で、相撲界には再発防止が求められているが、全く叩かないようでは、強い力士は育たないだろう。
時と場合で使い分けていただきたい。
 さて、このような話はスポーツだけではない。
 安全衛生を考える上でも重要だと思う。
 昔は災害が多発していた。
 厳しい現場監督が「厳しく怒る・指導する」時には「殴る」こともあっただろう。
その厳しい現場監督が次々に引退してしまう年がこの2007年である。2007年問題は経験豊富なベテランが相次いで引退してしまうのだ。
 今の現場監督は、厳しく指導しているだろうか?
 部下の反発や、上司を無視する・影で悪口を言うなど、厳しい指導をやりにくい時代になってきたのではないか?
 厳しい指導が減って、災害が増えてしまっては大変だ。
 昨年の労働安全衛生法改正ではリスクアセスメント(危険・有害性の評価、改善)が追加された。労働者が気を抜いて、または、誤った行動によってどんな災害が発生するか、そのリスクの大きさを数値化し、対策をしていく。
 厳しい現場監督がいなくても、ハード的に災害を防止する仕組みが求められている。リスクアセスメントは今とても必要なものだ。
 法規制で義務化されてはいないが、是非導入して欲しい。
 やり方が解らない場合は、安全衛生コンサルタントを活用してください。
                         ご安全に

2007.9.29  (メンタルヘルス・過重労働対策)
 
10月1日から全国労働衛生週間が始まります
 この労働衛生週間では、職場環境・健康管理が主な取り組みになりますが、健康管理の中にはメンタルも含まれます。昨今、メンタルヘルスや過重労働が重視されていることはご承知の通りです。皆さん方はメンタルや疲労度のセルフチェックをしたことがありますか?

中央労働災害防止協会のホームページにはパソコンでできるセルフチェック「労働者の疲労度蓄積チェックリスト」「職業性ストレスチェックリスト」が掲載されています。
http://www.jisha.or.jp/web_ch/index.html
 この労働衛生週間の期間中に是非やってみてください。
 企業の総務・人事・安全衛生の担当の方は従業員にやらせてほしいと思います。でも、「やらせる」だけでは余り効果がありません。結果を見て、どういう状態ならば、どういうアクションをすればいいのかも指導してください。「健康管理室に相談に行く」でもいいし、「産業医に面談を申し込む」という指導です。 しかし、従業員に任せきりにしておくと、従業員の状況が把握できない。また、従業員が指示通り行動するとは限りません。疲労が蓄積するような人はチェックリストの判定に問題があっても、すぐに相談に行くなどの行動は取りにくいことが多いのです。
 そのため会社で、チェックリストを配布し、回収し、必要に応じて指導をしてください。
 指導というのはカウンセラー・医師・産業医などの面談等をいいます。カウンセラー・医師・産業医がおらず、対応が困難な場合は各都道府県の産業保健センターや地域を管轄する地域産業保健センターに相談してください。
問い合わせ先は労働者健康福祉機構http://www.rofuku.go.jp/sanpo/index.html
 個人への対応はもちろん重要なのですが、職場・グループなどの小さい単位でストレス状況・疲労蓄積状況の偏りがないかも比較してください。それは、対応が必要となる労働者がいる場合、氷山の一角ということがあるからです。メンタルヘルス不全の予備軍が隠れているかもしれないのです。
 また、会社が把握している労働時間と実際との差異があるかもしれません。
 チェックリストを配布回収する場合、気を付けてほしいことは、回収の方法です。
チェックリストを上司などが見れるような回収の仕方をしていると、従業員は本当の事を書きにくいものです。おそらく、多くの人は嘘のチェックをするでしょう。
 面倒でも封筒に入れて、封をさせ、人事・健康管理担当者など、限られた人だけが見れるようにする必要があります。
 メンタルヘルス不全・過重労働などの対策は、産業医などの面談指導・治療ではありません。早期発見が第一です。でも早期発見は総務・人事・産業医では困難です。労働者にとって一番身近な同僚・上司が鍵を握っています。したがって、その人たち(管理職・監督職・社員)へのメンタルヘルス教育が必要なのです。教育を受けていないような人では早期発見は困難です。この労働衛生週間の機会にメンタルヘルス対策・過重労働対策を検討してください。
                         ご安全に

2007.9.22  (南海電鉄での事故)
 
9月20日大阪の南海電鉄高野線でドアにベビーカーを挟み、宙づり状態で走行した事故があった。このベビーカーには1歳の男の子を乗せたままだった。乗客の非常停止ボタンの操作で、危うく難を逃れたが、大きな災害の1歩手前だった。ホームの端にはガードがあり、車両との隙間は50センチしかない。そのガードをギリギリでかわしていたことも分かった。ベビーカーがもう1センチか2センチ長ければ、ガードに激突するところだった。
 ベビーカーみたいな大きなものが、「見えなかった」という車掌の証言には驚かされる。「見えなかった」というのは信じがたい。「見なかった」のではないかと推測せざる得ない。これを機に安全対策を十分に行ってほしい。
 この事故で気になったのは、ドアを閉めた時の運転席の表示ランプである。ドアが閉まると、ランプが消えるというものだ。ランプがいつも正しく点灯・消灯すれば問題はないかもしれないが、ランプというのは切れることがある。
 電車の場合、ドアが閉まっていれば安全である。ドアが閉まっていなければ危険なのだ。
 南海電車の場合、ランプが消えたことを確認して、運転を開始することになっている
 もし、ランプの故障により消えた場合のことを考えてもらいたい。
 ドアが開いているにも関わらず、ランプが消えて、運転を開始したら大きな事故になるのは明らかである。
 ランプの消灯を確認して運転を開始するというのは危険だという事を分かっていただけたでしょうか。
 対策として、ドアが閉まった時にランプを点灯させるように、設定を逆にする必要があります。
 もうひとつ疑問なのが、ドアが閉まった場合、物が挟まるということが考えられる。南海電車の場合、3センチ未満の隙間はドアが閉まったと判断するようなセンサーになっていた。だからベビーカーの取っ手のような細いところが挟まってもセンサーは「ドア閉鎖完了」と判断するのである。
 なぜ、3センチは開いていてもOKと判断するのだろうか、おそらく、乗客の持ち物が挟まれたぐらいでは走行に支障はない。少しぐらい物が挟まれたからといって安全確認していたら運行に支障があると判断したのだろう。
 しかし、これも考え方が逆なのである。
 電車の中の乗客の荷物が挟まれる場合もあるが、電車を降りたホームに居る方の荷物が挟まれる場合もある。
 調べてみると、今年5月にホーム上の人の荷物を挟んだまま走行し、荷物を持った女性を引きづって走り、大けがを負わせたことがあった。
 この5月の事故に対して、十分な対策をしていたら、今回のベビーカーの事故は起こらなかったかもしれない。
                         ご安全に

2007.9.16  (首相のメンタル)
 この1週間で驚きのニュースといえば、安倍首相の辞任であった。
選挙での大敗で野党が退陣を求めるだけでなく、マスコミも退陣・続投に関する報道を連日繰り広げ、さらには自民党内でも退陣を求める声が上がっていた。それでも続投を表明し、テロ対策特別措置法の延長を職を賭して実現をすると宣言した。
 この世間が注目する中での国会で所信表明演説を行って、さー、「決戦の火ぶた」が切られようとした時に辞任を表明した。
 この辞任の背景には様々なことがあるだろうが、メンタル面の問題を抜きには考えられないだろう。政治家に限らず、トップのプレッシャーは相当のものであり、メンタルは大きな問題である。世の中の多くの党首・多くの社長はそれらを乗り越えて、成功してきた。トップに立つ者にはそれらのプレッシャーを跳ね返すことを求められる。数々のプレッシャーを跳ね返して成功したトップも多いだろうが、プレッシャーを返し切れなかったトップも多いはず。
 大阪に本社を持つ引越大手の松本引越センターでも、社長が自殺するという残念なことがありました。自殺の原因は明らかではありませんが、創業者を引き継いだ新社長のプレッシャーも大きかっただろう。
9月10日から9月16日までは自殺予防週間です。
キャッチフレーズは
「あなたの気持ち、話してください。心のサインに気づいてください。」
 自分自身のことも、身近な人のことも、同僚・部下など、広く眼を向けて欲しいと思います。
 「こんな事を感じた1週間でした。」と締めくくるところに思わぬニュースが飛び込んできました。
 ことし5月に死亡事故を起こしたエキスポランドで、9月15日に大きな、本当に大きなヒヤリハットがありました。それは、ジェットコースター「オロチ」が周回を終え、減速をしている時、に発生しました。周回が終わり、停止のために、減速して、「安全ベルトを外しなさい」とアナウンスした直後に、停止をしないまま、再び加速して2周目に入った。中には安全ベルトを外した人もいただろう、慌てて安全ベルトを締めて、事なきを得たが、こんな恐ろしいことはない。
 ジェットコースターは、係員が乗客の安全ベルト着用を確認して、「運転」の操作をして初めて運転を開始する。それが、勝手に動き始めたということなのです。
 まさしく機械の暴走です。機械には故障は起こりえますが、このような故障は絶対にあってはならない故障なのです。
 安全装置には、安全側に故障するという「フェール・セーフ」が必要なのです。

*「フェール・セーフ」とは、安全が確認できたときだけ運転を許可するものです。
 安全が確認できない時は機械が動かないシステムが必要だというものです。

 エキスポランドは点検整備のため、「オロチ」の運行を止めたが、私自身不安で一杯だ。
 点検整備が完了すれば運転再開ではなく、安全システムの改良をやっていただきたい。
 NHKのインタビューで関係者が「安全装置が過敏に反応した」というコメントを出したが、それは間違いだ。「安全装置」が作動したら止まらなければならない。
先月から営業が再開されたが、エキスポランドの安全管理はまだ不十分という証明となるトラブルだった。
                         ご安全に

2007.9.8  (開かずの踏切)
 
6日にJR東海道線摂津富田と茨木の間の踏切で電動車いすの男性が電車にはねられて死亡した事故があった。この踏切は「開かずの踏切」と呼ばれ、1時間に40分以上遮断機が下りたままになっている。遮断機が上がっている時間が短い上に長さが20メートルもある。遮断機が上がってすぐ渡っても、渡っている時に次ぎに電車が接近し、警報が鳴ることも多い。
 現場には非常ボタンが設置されているが、非常ボタンは踏切のところにあるため、立ち往生した男性が押すことはできない。
 この現場では2005年以降に4件の死亡事故があり、「開かずの踏切」ではなく、「魔の踏切」と呼ばれている。
 このように踏切の事故は全国各地で頻発している。
 ひとつの例をあげると、2005年3月に発生した東武伊勢崎線踏み切り事故では、開かずの踏切を踏切保安員が手動で操作し、勘違いにより電車接近にもかかわらず、踏切を上げたために4人が死傷する事故もあった。
 対策と言えば、「非常ボタン」の設置と「障害物検知装置」の設置が行われている。しかし、前にふれたように「非常ボタン」は踏切の外の人しか押せない。また、たとえ現場に居合わせても、「非常ボタン」を押す必要があるかないかは判断が困難である。おそらく、「大丈夫かな?渡れるかな?」と考えているうちに電車が接近し、「危ない!」と思って非常ボタンを押すだろう。しかし、それでは間に合わない。
 では、「障害物検知装置」はどうだろう。JR西日本では踏切約6300か所のうち、4分の1の1700か所しか設置していない。今回の歩行者専用踏切は設置の対象外である。それは、「障害物検知装置」は赤外線で障害物の有無を判断するものであるが、精度上、歩行者を感知するのが困難だからである。
 ということは何も対策ができないということと同じである。
 そもそも、「人と電車が交錯する場所」が存在することが間違っている。都市部では電車の本数が減ることはないだろう、ダイヤ改正のたびに本数は増えてくる。それは、人と電車が交錯する頻度が増えることと同じである。
 事故を防ぐために必要なのは、「非常ボタン」でも「障害物検知装置」でもない。完全な隔離である。人が地下を通るか高架を通るか、また、電車が地下を通るか高架を通るかということだ。
 これらの実施は膨大な費用と時間が必要なことはわかる。
 しかし、100トンを超える金属の塊が時速100キロを超える速さで駆け抜ける。その同じ場所を人が無防備な状態で通行するのだから「事故は起こる」と考えるべきだ、しかも安全装置は無いのも同然。
 「開かずの踏切」で長時間待つことの損害。事故処置の損害。事故により運休・遅延の損害。被災者の損害。鉄道利用者も事故により、遅れ・混乱など膨大な損害などがある。それらすべての損害と走行空間の隔離に必要な費用と比較すれば実現不可能なものではないはず。これから何十年・何百年と鉄道は存続するだろう。長期的な視点でみて安全のための施策を実行してください。
                         ご安全に

2007.9.1  (氷殺ジェットの自主回収)
 LION株式会社が今年発売した「バルサン氷殺ジェット」が320万本もの大ヒットになった。小生も購入しました。この商品の特徴は殺虫成分を含んでいないということです。殺虫成分で殺すのではなく、マイナス40度の極低温で瞬間的に凍らせるものです。本当に素晴らしい商品です。この商品が発売された時は感動さえしたものです。
 ゴキブリなどの害虫が良く出るのは台所が多い。しかし、台所には皿などの食器があり、できるだけ殺虫剤は撒きたくない。布団などの洗えないもの・薬を拭き取れないものがあっても気にしないで使える。小さい子供が居る家では、子供がアチコチ舐めるなんてことは良くある話だ。そんな家庭でも使いやすい。殺虫成分が無いからたくさん撒いても害がない。
 しかし、可燃性ガスを含む以上、どこでも安全に使えるものではなかった。大ヒットのカゲには小さなボヤ騒ぎが多く発生していた。この氷殺ジェットに限らず、ほとんどのスプレーには可燃性ガスが含まれています。「火にかけては危険・引火危険・火気厳禁」などの表示はこの氷殺ジェットに限らず、どの商品にも表示してある。
 今まで、鍋などをコンロにかけている調理中に害虫を見つけても、殺虫剤を撒く人は少なかっただろう。しかし、この商品は殺虫成分がないから、調理中のコンロがあっても使えると考えた人は多いだろう。そういう状態で可燃性ガスへの引火による火災が多く発生してしまった。ボヤだけならいいが、いつか、人命にかかる火災が生じるかもしれない。
 害虫を殺そうという状況を考えてほしい。スプレーの噴射ですぐ殺せればいいが、虫が逃げると、それを追いかける。もう、あなたの視線には害虫しかありません。近くで火気があっても噴射してしまう。
 いくら表示をしても、コマーシャルを流しても完全に無くするのは無理がある。
 LIONにとって、今回の自主回収は苦渋の選択だっただろう。
 しかし、この氷殺ジェットの長所は捨てがたい。25日の新聞で自主回収が発表され、慌てて買いに行ったけど、どこも売っていない。もっと買い置きをしておけば良かった。
 スプレー缶は以前はフロンが多く使われた。しかし、フロンはオゾン層破壊ガスであり、フロン全廃を業界が一致団結して実現した経過がある。
 可燃性ガスを含まず、オゾン層を破壊しない、地球にやさしいガスがあるばずだ。早く、不燃性ガスを使用した氷殺ジェットが商品化されることを強く望みます。

今日から全国労働衛生週間準備月間です。
スローガンは
   「こころにゆとり からだに余裕 みんなでつくる 健康職場」

2007.8.25  (福岡の飲酒運転事故から1年)
 一年前の8月25日に福岡で飲酒運転により3人の尊い命を失った。あれから早くも1年になる。飲酒運転は過去からあったが、あの事故は3人の幼い命を一度に失ったこと、大量の飲酒をした無謀運転だったこと、市の職員が起こした事故だったこと、この直後に飲酒による事故が繰り返されたことなどから、一気に飲酒運転追放の動きが広がってきた。
 しかし、あの事故からもうすぐ1年になる8月23日にまたしても市職員による飲酒運転事故が発生した。翌日には市職員を一堂に会し、「飲酒運転撲滅大会」が行われた。その中で福岡市長は「飲酒撲滅に組織を挙げて取り組んできたが、この1年間は何だったのかと言わざるえない。痛恨の極みである」と語った。
 今回の事故では市職員は懇親会のあと、電車で帰宅していた。電車から降りて、駅に停めてあるバイクで家路に向かった途中の事故である。当初はバイクを置いて帰る予定だったようだが、駐輪代が1日分余計にかかるし、翌日は公共交通機関で駅に行くという不便さを考えて、バイクに乗って帰ったということのようだ。
 お酒を飲むと、気が大きくなり、「大丈夫」と思ってしまうようだ。
 私も先日、懇親会があった。その日は仕事に行くのに荷物が多くなり、車で行った。そして駐車場を確保した。業務終了後に懇親会があるので、「今日は車を置いて帰ろう。明日取りにこよう」と思った。
 その時、私はあることが気になった。
 「私は度を越して飲酒すると、「昨晩はどうやって帰宅したか」思い出せなくなることがある。懇親会で冷静な判断ができる範囲で飲酒を止められるという保証はない。度を超えた場合、車に乗って帰宅する可能性がある。そう考えると、駅の近くに車を置いて飲みに行くのはリスクが高い。
 車が無いと、飲酒運転もあり得ない。私はその日、早く仕事を片付け、車で家に帰宅し、バスで懇親会に向かった。時間はかかったが、安心して、楽しく懇親会を過ごすことができました。
 昔、「酔えば酔うほど強くなる」という映画「酔拳」がありました。「酔えば酔うほど強くなる」というのは、この映画の場合、「拳法」である。しかし、一般に、「酔えば酔うほど強くなる」というのは「気」なのです。
 普段なら冷静な判断ができる人も、安易な判断をするかもしれない。
 車を運転して帰宅した方が時間もかかるし、面倒であれば、誰もそれを選択しない。しかし、バイク・車で行くのは便利で、早いからそれらを利用する。楽な方を選ぶのが普通なのです。
 車で帰るか、バス・タクシーを使うかという選択肢を課すのではなく、車は無い。バスかタクシーで帰宅するというようにしなければならない。
 飲酒運転による事故は被災者の命を奪うだけではない。被災者の生活・被災者の自由を奪い、被災者の家族を苦しめ、自分自身の財産を失い、家族を苦しめ、社会的な制裁を課せられ、仕事・生甲斐を失うものである。
 そんなハイリスクなことは「しないようにしよう」ではなく、「できなくすること」が重要です。
 飲酒による災害が無くなることを祈ります。
                         ご安全に

2007.8.18  (猛暑)(エスカレーター)
 
今週の猛暑は本当に驚いた。今まで、凄い暑さを経験しても、日本の最高気温は40.8度には遠く及ばず、40.8度なんて信じれない数値でした。それが、74年ぶりに更新されました。それも2箇所同じというものです。埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市です。双方に共通する点として、盆地という地形条件と、南側に大都市がある点です。東京と名古屋で発生した熱が海からの南風に乗って北上しているのです。
 この数日間の酷暑で30人を越える方が熱中症で尊い命を失いました。工事現場の方もあれば、学校でクラブ活動をしていた方も居られますが、一番多いのは室内で熱中症になった方です。
 「夏は暑いもの。体がだるいのは当然」と思い、「辛抱・辛抱」と思っているうちに限界を超えてしまうものです。熱中症には気をつけましょう。
 酷暑のピークは今日で終わりと報道されています。でも、今後も油断することないようにしてください。
 その他にもいろいろニュースの多い一週間でした。
 北海道の名産の「白い恋人」で有名な石屋製菓の商品から大腸菌が検出されたり、賞味期限を改ざんしたこともありました。
 ペルーで7.9の大きな地震があり、津波が日本にも達したことなど、ニュースには限りがありません。
 今週一週間の中で、私が非常に頭を悩ませているのは、12日に発生した川崎市のエスカレーター指先切断事件でした。エスカレーターに10センチ角ぐらいの穴が開いていたというのです。被災者は無意識にそこに足指を入れてしまい、親指の先端を1.5センチぐらいを切断してしまったというのです。
 なぜ穴が開いていたのだろう? 
 試しに、靴の先端が硬い安全靴を履いて近くの百貨店に行き、エスカレーターをコンコンと蹴ってみたけど、壊れるようには思えない。金属疲労と考えられなくも無いが、階段でいうと「け上げ」にあたるところであり、過重もかかりにくい。なぜこうなったのか判らない。
 被災者は本当に気の毒です。もう、二度と指先がでるような靴は履けないだろう。
 人間の歩行時には、踏み出した足は踵から降りて、親指で踏み出すようになっているが、親指の先に力が入らなくなる。その結果、逆の足に負担がかかり、歩行姿勢が乱れ、腰・肩にも影響が出てくることでしょう。
 エスカレーターは大阪の場合、右側に立ち、歩く人は左側を登るのが常識となっている。しかし、エレベーター協会では「歩行禁止」を呼びかけている。その定着は困難であろう。でも、登るときに足が引っかかるなどして躓く事は無いとは言えない。もし躓いて転倒すると将棋倒しのようになり、大きな災害もありうる。
 本日から私はエスカレーター利用時の静止を実行しよう。
                         ご安全に

2007.8.12  (エキスポランド再開)
 エキスポランドが97日ぶりに営業を再開した。あの5月5日に事故を起こした「風神雷神U」は撤去が決まり、すべての遊具について探傷試験を完了し、安全が確認されたということである。あの事故は全国の遊園地に大きな波紋を広げた。「風神雷神U」のような絶叫マシンから子供用のコースターまで探傷試験を義務付けた。その結果、数百万に上る点検費用が各地の遊園地を苦しめ、閉園や遊具撤去に追い込まれている。
 先日、ミネソタ州の高速道路が崩壊した。このように形あるものには老朽化問題は必ずついてまわる。
 安全確保のための費用は不可欠である。遊具の乗車券の価格設定は遊園地の収益を左右する重大な要素である。安いと収益を悪化するし、高いと敬遠される。安全のための費用を乗車券に上乗せするのも困難であろう。しかし、経費の見直しを進め、入園料・乗車券を据え置いて、安全のための費用を捻出し、営業を続けてほしい。
 さて、8月10日に再開したばかりのエキスポランドで、「ワイルドマウス」という小型コースターの安全装置が作動し、停止した。「安全を確保できない」とコンピューターが判断したのだから停止し、点検することについては問題ない。しかし、停止後の行動に疑問が残る。「ワイルドマウス」をチェーンで巻き上げる途中、安全装置が作動し、地上10mで停止した。この時、従業員が手動で頂上まで引き上げて、走行させ、その車両の走行後、すべてを停止して原因究明しているということである。
 ここで疑問になるのは、安全装置が作動をしたにも関わらず、従業員が手動で動かしていいものだろうか?
 止まった時点で、その場所から乗客を降ろすべきである。コースターの運行サイクルが途中で止まった場合、サイクルの最後まで動かさず、その時点で完全停止し、乗客を救出することが先決である。しかし、エキスポランドは手動で動かした。この行動に疑問を感じたので、エキスポランドの広報に問い合わせた。広報が言うには、止まった時点で、乗客を安全に降ろすことを優先した。一番安全に乗客を降ろすには、運行サイクルを最後まで行い、乗降場所で降ろすのが一番安全だと判断したというのである。
 エキスポランドがとった行動は一番簡単に乗客を降ろす方法だと思う。安全に対する考え方が少し違うように思われる。
 また、広報の方がおっしゃった「このコースター(ワイルドマウス)は小型で安全なコースターなのです」という言葉が、耳に残る。安全をアピールするのは結構だが、「小型」だからという表現に心配を感じました。

追記
 横綱朝青龍に関する報道が毎日絶えない。「急性ストレス障害」という診断結果となった。あとは医療スタッフに任せればよい。マスコミの報道は控えてほしい。報道が朝青龍にとってプラスになることはない。
 年内な出場停止であるが、来年は復活してほしいと思う。その復活のためには、今がとても重要である。
 マスコミの方は朝青龍を廃業に追い込みたいと思っているわけではないだろう。復活のためには情報・報道を封印することが一番の薬だと考えます。


                          ご安全に

2007.8.4  (ミネソタ州橋崩落)
 ことわざに「石橋を叩いて渡る」というのがある。用心の上にも用心を重ねることである。丈夫そうに見えても確かめて渡る。これは安全衛生を考える上でとても重要なことだ。実際に叩いて渡っている人を見たことがない。でも、それをしなければならないような事故が発生した。
 ミネソタ州の橋崩落のニュースは全世界の人が驚いたに違いない。あんな大きな橋が落ちるなんて誰も予想しなかっただろう。幹線道路であり、毎日何万台という車が通行している橋である。多くの車が橋ごと転落した。子供を乗せたスクールバスも落ちた。バスは20メートル以上を落ちたわけだが、多くの子供は大したケガもなくて良かった。
 なぜ、40年しかたっていない橋が落ちるのだろう。40年以上の橋は世界中に膨大な数がある。それらは危険な橋なのだろうか?
 後日のニュースによれば、この橋は金属疲労などが指摘され、改修の必要があることがわかっていた。それを先延ばしにしていたということだ。こうなれば、「人災」になってくる。
 ミネソタ州は北部に位置し、環境的に厳しい場所である。凍結防止のために「塩」も使われていた。環境的に厳しい場所にあり、高速道路で振動が大きく、金属疲労も起こしやすいのだろう。せっかく、点検して、金属疲労があることを指摘したにもかかわらず、事故を防げなかったのは残念なことである。
 国内において、エレベータや遊具機械の金属探傷試験の義務化を進めているところであるが、橋も必要なのではないか?。全ての橋で金属探傷試験を行うのは膨大な費用がかかり、実現は困難だと思われる。
 しかし、ミネソタ州の橋崩落の教訓を全世界が活かせるようになって欲しい。

                          ご安全に

2007.7.28  (クレーン転倒)(保育園児の熱中症)
 
26日、大阪の天王寺で長さ20メートルのアームがあるクレーン車が横転した。クレーンは35トンもある大きなものだ。これが倒れたのだから、もの凄い破壊力。幸い、車の中で休憩していた作業員が左足に軽症を負っただけで済んだ。
原因は地面に置いた鉄板の敷き方に問題があったのではないかと報道されている。
 私は、昨日、店の看板のペンキ塗り作業に出会わした。アスファルトの地面が傾いているところに高所作業車を止めて作業していた。アウトリガー(両サイドに足を出して、転倒防止を図るもの)が出されているが、左右同じように設置しているので地面の傾きのまま、高所作業車が傾いていた。水平を確認しなければならないのだが、その手順を省いたのだろう。
 今回の転倒事故であるが、工事現場では水平な地面が確保されている場合は少ない。たとえ水平であっても、地盤の強度は異なることが多い、地盤の強度は考えずに、鉄板さえ敷けば大丈夫だろうと判断したのだろう。
 建設機械の怖さを感じた事故でした。

 話は変わるが、27日に北九州市の保育園で幼児が熱中症で死亡した事故があった。車の中に置き去りにしてしまった事故である。
 保育士はおやつが一つ余ったことから、被災した幼児が居ないことに気づいたようである。近くの公園へ車で移動し、降ろし忘れたことが原因である。車の乗降時には人数確認をするという基本的なことができていなかったようである。
 子供は大人の意思通りに動くとは限らない。「降りろ」と言っても降りないだけでなく、「隠れる」という行動もあるのだ。「降りただろう」「みんな同じように行動しているだろう」などのように「○○だろう」ということがないように確認を怠らないで欲しい。
 保育士は子供と遊ぶことも仕事であるだろうが、子供の安全を守ることが第一なのである。
                          ご安全に

2007.7.21  (新潟中越地震と転落防止)
 
7月16日、日本列島を台風が通りすぎた直後、新潟を地震が襲った。
新潟といえば、平成16年10月の中越地震を思い起こす。あれからたった3年で
再び大きな地震が発生した。16日は海の日で多くの方が休みだっただろう。もし、これが平日なら、多くの労働者が被災した可能性がある。
 たとえば、建設業の方など、高所で作業をしている時に地震があれば、墜落・転落災害が多く発生したことだろう。高所作業では安全な防護柵がない場合は安全帯をしなければならない。足場の上の作業では転落を防止するために手すりを設置している。そのため安全帯をしない労働者を良く見かける。
でも、手すりがついた足場を想像いただきたい。手すりの下は何もない現場が多い。
 足場での作業時に地震がきたらどうだろうか?
地震がきたら、無意識にしゃがみこむだろう。しゃがみこんだら、からだは手すりより低くなる。そうなると、手すりの無いところから転落してしまう。
 労働災害というのは、あってはならないもの。たとえ、地震の場合もそうである。「足場があるから安全帯はいらない」「手すりがあるから安全帯はいらない」など理由をつけて安全帯のフックを掛けないのは、「災害の芽」である。
 安全最優先を考えていただきたい。
 これは地震だけではない。
 自然現象は地震だけではない。ダウンバーストのような突風が吹くこともある。足場の上にいる時、蜂が飛んでくるかもしれない。多くの方は思わず避けるだろう。避けた時も安全ですか?
 また、カラスなどの鳥が糞を落とすこともある。びっくりした時、姿勢が変わり、転落することはないですか?
 釘や工具を誤って落とした場合、人は慌てます。その時も転落することはないですか?
 足場の上で目まいを起こすことは考えられますよね。
 足場などの転落防止措置はイレギュラーな行為でも転落防止機能がなければならない。
 したがって、手すりがあるだけでは不十分なのです
 また、躯体(建物など)と足場が離れているものを良く見ます。足場を躯体に密着させると、作業が困難なので隙間を開けている足場を良く見ます。躯体と足場の間が30cm以上あれば、人間は落ちてしまいます。
 足場はあらゆる場面を想定して、転落防止措置をしなければならない。
 それができない場合は安全帯をさせてください。
 安全は全てに優先しなければなりません。
                          ご安全に

2007.7.14  (JR阪和線脱線事故)
 7月12日にJR阪和線の脱線事故があった。陸橋の下を高所作業車が通行する時に橋げたに衝突したものである。その衝撃で電車が脱線した。この事故は朝8時に発生し、運転を再開したのは午後8時である。その間、阪和線・関西空港線は運休した。出社時・帰宅時に困った人も多いだろう。
 陸橋には「防護工」というものがある。自動車で言えば「バンパー」と同じようなものと考えれば判りやすいと思います。自動車事故から搭乗者や車本体を守るために衝撃を吸収するようなものである。陸橋の場合は線路への衝撃を防ぐための防御をするものである。
 今回その「防護工」が破損するぐらいの大きな衝撃があり、線路を変形させることになり、走行していた電車が脱線したものである。高所作業車を運転していた運転手の過失である。
 このことから学ぶことは、「交通危険マップ」である。特に大型車両や特殊車両を走行させる場合は、「高さ制限のある区間」、「道路幅の制限がある区間」、「重量制限のある区間」などをマップにまとめ、走行ルートの選択に役立てるものである。運転手の過失の前に走行ルートの選択に間違いがあったのである。
 それにしても危険はどこにあるかわからないものだと考えさせられました。JRの運転手も、陸橋の下までは見れないし、いきなり線路が変形するなんて想像もできないだろう。
 「防護工」の設置についてはあらゆる可能性を加味する必要がある。衝撃に耐えられる構造なのか?また、自動車は絶対に制限速度を守るとは考えられない。
構造計算に使われる安全率の設定も困難であろう。
 この事故やJR福知山線の事故などのように先頭車両は危険度が高い。
 私は、JR福知山線の事故以来、先頭車両には乗らない。
 1両目・2両目・3両目までは危険と考えている。
 一番前に乗っても、到着時間は変わらないのだから。
 「そこまで神経質に考える必要は無い」と思うかもしれないが、実際に事故は発生している。
 自分の身を守るためには危険予知能力を高める必要がある。
 危険予知能力を高めるには多くの災害を見て・検証することが必要である。

 自分を守るのは自分自身である。法律も基準も「違反行為」には無力である。

                          ご安全に

2007.7.7  (“しょうがない”発言に思う)
 6月30日久間章生防衛相が原爆投下を「しょうがない」と発言した問題は日をおうごとに大きくなり、7月3日に辞任された。2007年1月9日に防衛庁が省に昇格したことによる初代防衛大臣であった。
 久間章生防衛相がインタビューに答えた時「“しょうがない”は口癖で・・・・・」という発言がありました。
 その時、私は思いました。
 私は長年、安全衛生の仕事をしてきましたが、その中で“しょうがない”と発言したり、思ったことは数しれません。
 作業現場には歴史がある。先輩たちが築いてきたノウハウがある。品質問題もある。要員問題もある。生産性もある。・・・ いろいろな理由があり、変えることができない問題もある。
 例えば、「この化学物質は有害性が高いから代替品を使おう」と提案しても、「過去にあらゆる化学物質で導入検討した。その結果、この化学物質が一番品質が良い。品質を落とすようなことは絶対できない」という回答が返ってくる。労働者の安全と健康が第一だが、メーカーにとってはユーザーであるお客様が第一である。そこで“しょうがない”。作業者がこの化学物質から発散する“蒸気”を吸わないよう作業環境改善を進めていくことになる。
いろんなケースで“しょうがない”と言うケースがある。

 昨今、被害の拡大しているアスベスト問題も同じだったのではないだろうか
 アスベストは昭和47年に発がん性が明らかになり、日本では昭和50年に吹付け作業を禁止しました。昭和61年にILO(国際労働機関)はアスベストの原則禁止を打ち出した。アフリカやカナダがアスベストの生産は経済発展に欠かせないと反発したことなどから“完全禁止”ではなく、“原則禁止”となりました。日本では当時、アスベストの優れた性能は代替物質がなく、国民の生活に支障が出る。したがって、「アスベストは管理して使用すれば問題ない」と判断しました。
まさに“しょうがない発言”と同じです。
“しょうがない”は“容認”と同じなのです。

作業者の安全と健康は代替の無いものです。安易な“しょうがない”は禁物です。
私たちは「安全文化」の確立を目指しています。
「安全文化」とは安全を一番に考える国民文化なのです。

お互いに「安全文化」を常に頭に入れて、安全衛生活動に力を尽くしましょう

                          ご安全に

2007.6.30  (JR福知山脱線事故&ドライブレコーダー)
 6月28日にJR福知山線脱線事故の事故調査委員会最終報告が示されました。
 改めて、当時の事故の悲惨さを思い出した。
 ミスを誤魔化し、遅れ時間を取り戻し、日勤教育から逃れようと、加速し続けた暴走による事故であった。結果的に暴走には違いないが、事故後のアンケートで運転士の半数以上が、あのカーブでの転覆限界速度を120キロと考えていた。
事故をした運転士が転覆限界速度を何キロと理解していたかは判らないが、仮に120キロと考えていたなら今回の事故時の速度(推測)116キロは許容された速度以内と考えていたかもしれない。そうすれば、この時の運転は命を賭けた無謀な運転ではなく、許容速度運転となる。
 もちろん、この論法は間違っている。
 なぜならこのカーブは制限速度が70キロであるからだ。「制限速度」とは文字通り、この速度を超えてはいけないというものである。しかし、運転士の頭の中には2つの制限速度が存在することになる。通常運転時の「制限速度70キロ」と回復運転時の「制限速度120キロ」となる。回復運転時には「制限速度70キロを超えても良い」とはなっていない。過密ダイヤにより回復運転が日常的になっていることがこの報告書から読み取れる。制限速度を超えたかどうかは運転士だけでなく、車掌も知っていることである。ということは組織全体が制限速度を超えることを黙認していることになる。
 事故の対策として、ATS-P(自動列車停止装置)の全線導入ということになっているが、これらは運転士の判断でOFFにすることも可能である。OFFにできるということは、回復運転時の制限速度まで加速することは可能となる。ATS-Pが全線に配備されても今回の事故は再発する可能性を秘めている。運転に人間による制御が可能な限り、この種の災害はなくならない。
 ではどうすればいいのか?
 答えはATOの全線導入である。ATOとは「自動列車運転装置」であり、無人化運転を進めるべきである。ATOによる無人化運転は新しい技術ではない。すでに関西には、神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)、神戸新交通六甲アイランド線(六甲ライナー)、大阪市交通局南港ポートタウン線(ニュートラム) など全国で導入されている。
 事故調査委員会には触れていないがJRの問題はまだまだある。例を挙げると
  一つは踏み切り未設置の場所があること。
  二つ目は駅のホームの通過である。急行や快速電車がホームを通過するということは、いつホームで電車待ちをしている人と接触するかもしれない。他にももっとあるだろう。
 いよいよ明日からN700系新幹線がデビューする。これにより新大阪-東京が5分短縮された。そのわずか5分の短縮のための開発コストで何箇所の安全対策が可能だろうか、踏み切りのない場所に踏み切りが設置できただろう。踏切内監視センサーの無い踏み切りにセンサーを付けることができるだろう
 事故から2年経過したが、今だに「安全」より早さ・サービス・利益優先という企業姿勢を感じます。
                         
  ご安全に
 ☆ ☆ ☆
 今週はもう一つの事故について触れます。
 6月23日に兵庫県尼崎でワゴン車運転手の飲酒によりタクシー運転手と乗客の2名が死亡したニュースがありました。タクシーにはドライブレコーダーが搭載されており、事故直前の映像を見た人も多いと思います。ビール・焼酎など10本も飲み、呼気中のアルコールは0.75ミリグラムにも達します。もう「酒酔い」という表現は適切ではなく、「酩酊状態」です。これだけ、飲酒運転が問題になっているにもかかわらず、いまだにドライバーの意識の低さには呆れます。
 しかし、今回の事故で改めてドライブレコーダーの価値を認識しました。
 ドライブレコーダーには今回のように正面だけ写すものだけでなくドライバーが事故の直前なにを見ていたかわかるようにドライバーの顔も写すものがあります。ドライブレコーダーが搭載されていると事故の原因も一目瞭然。本当に素晴らしい商品です。
 このように事故の原因が明確になるのであれば、自然とドライバー自身の安全運転意識も向上し、事故も少なくなるでしょう。
 さらに、ドライブレコーダーが作動すると、自動的に警察に時間と場所の連絡を入れることも技術的に可能でしょう。一瞬にして、どこで車の事故が発生したかが判ります。
 飲酒運転の撲滅とドライブレコーダーの普及およびドライブレコーダーの多機能化を期待しています。
 なお、今回のドライブレコーダーの映像が必要な方には送付しますのでメールでその旨を連絡してください。
                           ご安全に

2007.6.24  (渋谷温泉施設爆発事故)
 いつも小生の「安全週記」を読んでいただきありがとうございます。
 ある読者の要望により、温泉爆発事故を取り上げます。
 6月19日に東京都渋谷の温泉施設「渋谷松濤温泉シエスパ」の爆発がありました。
 以前にもこのページで触れたが、死亡災害は減っているものの重大災害(3人以上が死傷する災害)は増えている。労働災害は建設業や製造業のものと思われがちだが、全産業の中で第3次産業の災害が多く、その占有率は約50%に迫っている(平成17年は47.6%)。重大災害が増加している中で増加の割合が高いものは第3次産業なのです。今回の災害もその中に含まれます。建設業・製造業は先人の努力により災害が減少方向にありますが、今回のような業種では事業内容や環境も異なり、過去の災害が活かされにくいという特長がある。
 また今回のように運営会社、保守管理会社およびその保守管理も再委託されるというような責任体制にもさまざまな体系がある。
 運営会社は爆発の危険性を想定していないようだ。保守管理会社もリスク(災害の重大性および可能性)を把握しないまま保守管理業務を続けていた。換気扇が動いているかどうかという保守ではなく、メタンガスの漏洩を監視するという目的がなければならない。ガス感知器も無いようでは監視することができない。
(メタンガスは無色無臭だから人間の感覚では監視できない。)
 今回のメタンガス発生現場は地下室である。当然、漏れたメタンガスは地下室に溜まる。
 建物の構造に問題がある。開業して1年以上経過しているようだが、いままで災害が発生しなかったのは換気扇のお陰であろう。今回、なんらかの問題によって換気能力を失ったことが原因だろう。換気扇はいろんなことで止まるものである。
たとえば、停電・誤操作・換気扇の故障などがある。また、換気扇が動いていたとしても、排出口になんらかの障害があれば、排出は止まってしまう。実例をあげるとしたら、以前私が勤務した会社で、エアコンが効かないというクレームがあり、エアコンを見ても、原因が判らない。室外機を見に行くと、なんと、壁面塗装の業者が、室外機をプラスチックシートを包み込んで、養生していたことがあった。
 今回の場合、保守管理の対象物が換気扇だとしたら大きな間違いです。室内のメタンガス濃度を低位に保つことが目的であり、換気扇の動作確認はその一つの方法にしか過ぎないのである。「換気扇は一台だけだったから、二台設置すればいい。」と、考える人もあるだろうが、答えは「NO」だ。なぜなら、電気系統のトラブルなら二台同時に止まる。これは何台設置しても同じことである。
 感知器を設置したらいいかというと、そうでもない。感知器の故障もあるし、感知器だけでは安全確保ができない。給気・排気システムと感知器の連動およびフェールセーフシステムの採用により可能にはなるが、今回のガスセパレーターは室外に設置することが一番だと考えます。なぜなら、室外ではメタンガスが爆発下限濃度を超えることがない。でも、これで安心かというと、爆発下限濃度を超えることがなくても、引火・火災の危険はある。
 ちなみにメタンガスの和名は「沼気(しょうき)」である。字を見れば判るように自然界に存在するものだ。
 あなたはメタンガスが空気より重いか軽いか、判りますか?
 これが判らないなら感知器を付けるとしても、正しく設置することができない。
 空気の比重を1としたらメタンガスは0.55となります。したがって、感知器はメタンガスは空気より軽いため、発生源の上に設置しなければなりません。

 今回の報道には「法規制でガス検知器の設置義務がない」のは法律の不備だという指摘もあるようだが、それは違う。事業者は事業に伴うリスクを認識し、災害を防止するため、必要な措置を行う義務がある。

 事業に伴う危険が判らない場合は労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントにご相談ください。

                                     ご安全に! 

2007.6.16  (梅雨時の災害防止)
 今週、木曜日は朝から雨でした。「梅雨入り宣言」も出ました。
 雨というのは安全面で色々問題がある。
 たとえば、路面や事務所・作業場の床が濡れると滑りやすくなり、転倒事故が増える。
 車の運転についても、雨が降るとブレーキ時の制動距離が長くなる。道路は渋滞し、「焦り」により不安全行動も発生しやすくなる。
 歩行者は傘をさしているので、周囲の安全確認ができにくくなる。また歩行時は足元に注意力が集中し、前方・周囲の状況が判りにくくなる。
 脚立・はしご・足場が濡れると、足を滑らせることも増えてくる。
靴にも注意して欲しい。磨り減った靴は底が平になり、水の上に乗ると、地面・床と靴の間に水の膜ができるようになり、とても滑る。
 皆さんの会社の通路・作業場は濡れていませんか?
 「雨だから仕方がない」と思うかもしれませんが、個人個人が気をつけていたらかなり防げるものです。多くの場合、濡れた傘の持込が原因ではないでしょうか?
 入り口に傘立てがあっても利用されていないような職場はありませんか?
 濡れた傘を持ち込む・・・・・・通路に水がしたたり落ちる⇒水溜りになる⇒人が滑って転倒する。。。。ということは無いでしょうか?
 私は、百貨店等の入口にある「傘袋」を利用しています。いつも傘と一緒に傘袋を持っています。電車に乗る時は、傘袋に傘を入れます。そうすれば、自分の傘で自分のズボンを濡らすことも無く、人のズボンを濡らすこともありません。そして、電車の床に水滴を垂らすこともありません。職場の床を濡らすこともありません。
百貨店等に置いてある傘袋はとても重宝します。1回で捨ててはもったいない。ゴミが増えるだけです。
 あなたが垂らした水滴で、何人もの方が転倒するかもしれません。
 傘を職場に持ち込まない。また、持ち込む時は、傘袋に入れる。
 こんなことを徹底すると梅雨時の災害も減らすことができます。

        
雨の日も安全第一

2007.6.10  (高層建築現場からの落下事故)
 今週は本当にいろいろなことがありました。
 コムスンの事実上の営業停止、消えた年金問題。
 名古屋では100kgの鋼材が32階から落下したり、フジテック・日立などのエレベーターのワイヤーが破断して、国交省が全てのエレベーター(約40万基)の緊急点検を命じたり、公園の遊具が落下したりして子供がケガをしたり、自殺が9年連続して3万人を超えたことなど。。。。。。。
 今週の「安全週記」では、名古屋の鋼材落下事故を取り上げます。
 建物の写真を報道で見た方も多いと思います。「スパイラルタワーズ」という名の通り、らせんのようにねじれたような形の超高層ビルです。36階建ての32階付近から、長さ3.5メートル・重さ約100Kgの鋼材が落下したのです。
 この鋼材が地上に落ちた時の衝撃は約150トンにも達します。幸い、資材置き場に落ちたので大きな災害では無かったのですが、もし、歩道に落ちていたらと考えると、本当に恐ろしい。
 先月、重大災害が318件に達し、昭和49年ぐらいの水準に戻ったという報道があったばかりです。
 新聞報道によると、鋼材の吊り上げ作業中に、32階付近に鋼材が引っかかり、それを作業員が外そうとしていた時、ワイヤーをかけるボルトが壊れて、落下したということです。
 この事故では、なぜ、吊り上げ時に、途中で引っかかったのでしょうか?
  風が吹いてずれたのでしょうか、
  吊り上げながら、横移動をしたのでしょうか
  途中で引っかかるような部位があることに気が付かなかったのでしょうか
 さらに
  作業員が外そうとした作業は正しかったのでしょうか
  外そうとした作業方法は誰が決めたのでしょうか
 一般に正常作業は手順通り進められますが、今回のようにイレギュラーが発生すると
安全確認・事故防止などがおろそかになりがちです。
 今回、人命にかかわる災害にはなっていませんが、「ヒヤリ・ハット」に留めることなく、
落下防止対策を考え・実行して欲しいと考えます。
☆☆☆
 そんな事故があった直後の、9日には大阪の高層マンション作業現場からボルト(240g)落下がありました。近くを通行中の男性の腕に当り、骨折という事故が発生しています。もし、頭に当っていたら、人命にかかわる災害になっていたでしょう。
 「当らなかったから良かった」とか「ケガで済んで良かった」では済まされない。
 高層ビルでは小さなビスでも落としてはならないのです
 現場では「絶対安全」という言葉はありません。
 私たち歩行者は工事現場の近くを通らないように、工事現場があれば、迂回して通行するぐらいのゆとりを持って行動したいですね。
                                     ご安全に!

2007.6.2  (全国安全週間準備月間とコンサルタント推進月間)
 ♪負けないで
 今週、この名曲を作った坂井泉水さん(ZARD)が事故によって亡くなりました。
とても残念。
 人生には辛い時、厳しい時、いろいろあります。この曲で立ち直った。元気を出した人は私だけではないはず。この曲は、ずっと私の頭の中に残っているでしょう。
 さて、6月になりました。
 6月と言えば、全国安全週間準備月間です。それと同時に安全衛生コンサルタント推進月間でもあります。
 5月11日に平成18年の災害状況が確定しました。
詳細はこちら
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/05/h0511-2.html
 
死亡災害は前年を42件下回り、1472件となり、初めて1500人を下回り、過去最低となりました。過去最低とはなりましたが、喜べない数字です。減少率はわずかに2.8%です。しかも、建設・製造など災害撲滅重点業種は増加しているのです。
 私の住んでいる大阪では死亡者が100人を超えており、事態は深刻です。
 さらに、重大災害(死傷病者が同時に3人以上発生)は318件となり前年から53件も増加しています。増加率は20%にも達しております。重大災害が300件を超えたのは昭和49年以来ということです。昭和49年というのは約4000人の死亡災害が発生していたころのレベルです。
 死亡災害は減っているにもかかわらず、重大災害が増加しているのです。一体なぜでしょう?
 私は安全管理体制の機能不全が原因だと考えます。
 管理体制はできているが、現場責任者が安全衛生責任者を兼務していることが多いのではないでしょうか。
 現場責任者は生産計画・施工計画、進捗状況確認や、人員配置・要員確保など生産の能力が重視され、安全に関するスキルを持ち合わせいないのではない人を選任していませんか?現場責任者は安全管理が最重点であるはずが、安全管理が疎かになっているのではありませんか。生産効率を上げるために監視員を減らしたり、施工を急がしたり、関係会社・関連部署との連絡調整を疎かにしているからではありませんか。
 また、2007年問題に代表されるように安全管理のベテランからバトンタッチしたが、災害に直面した経験が少ないから、災害のリスク管理ができていないからではありませんか。
 この安全週間準備月間の機会に現状分析をして「安全先取り」を実践していただきたいと考えます。

でも「何をどうすればいいのか判らない?」という会社も多いのでは?
そんな時は安全・衛生コンサルタントを利用してください。
  6月は「コンサルタント推進月間」です
                                     ご安全に!

2007.5.26  (熱中症)
 
厚生労働省が5月18日に「熱中症の予防対策について〜熱中症による死亡災害発生状況(平成18年分)〜」を発表した。詳細は下記のアドレスで確認いただきたい。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei16/index.html

 熱中症は毎年15人から25人の尊い命を失うような重大な疾病です。5月から発生し始めて、7月がピークになります。熱中症は簡単に言うと、体の水分・塩分を失い、体温調節ができなくなるようなものです。
 発生の原因は職場環境と個人の健康状態が大きく左右します。職場環境を改善することが必要なのですが、炎天下の作業の時に「屋根をつける」ということは困難であり、やむを得ないばあいもあります。したがって、自分の安全を自分で守ることも必要です。
 暑ければ、汗をかく。同時に塩分も放出します。作業の前・休憩時間に十分な水分・塩分の摂取が重要なのです。
 現場監督者は作業前のミーティングで水分補給を指示することも必要ですし、ミーティング時に作業員の健康状態を把握することが必要です。作業開始前にもかかわらず、大量の汗をかいている人。顔色がすぐれない人。がいないか、確認してください。
 水分の摂取量は十分に行ってください。これからの作業でどのくらいの汗をかくか想定し、たとえば1リットル汗をかくと想定したら、1リットル以上の水分を摂る。作業の前に摂ることが必要なのです。汗をかいている時にいくら水分を摂っても、すぐ汗になり、体温調節のために使われてしまいますので、体の水分量の補充にはならないのです。
 水分を摂る場合、「ポカリスエット」や「アクエリアス」などのアイソトニック飲料が適しています。アイソトニック飲料は体への浸透性が良い。
 でも気をつける点もあります。それはカロリーが高いことです。「カロリーオフ」と書いてあっても、1リットル飲めば、200キロカロリーに達するものもあります。アイソトニック飲料を使用する場合、カロリーの低いものを選ぶ。または、水で薄めるなどの対応も必要となります。
 現場監督者は休憩時間の設定に十分配慮してください。
 特に石綿建造物解体作業の方は気をつけてください。通気性の悪い化学防護服を着て、防じんマスクを着用して作業する場合はとても条件が悪い。作業場では完全防備をしているから休憩が取り難い。休憩したらまた、防護服を着る必要があるので、ついつい無理をしてしまいます。
 現場監督者の配慮・注意力が必要になります。
 さらに緊急時の対応方法も重要です。
 小生の方に連絡いただければ必要な資料をおくります。
  *小生のホームページにも資料を入れています
   「安全衛生」クリック⇒「作業環境」クリックしてください

                                     ご安全に!

2007.5.19  (道路標識の倒壊事故)
 5月17日午後、大阪市鶴見区で道路標識が根元から折れて倒れ、下校中の小学生を直撃したという事故がありました。
 5月5日にジェットコースターで金属疲労が原因の事故がありましたので、同じ金属の寿命を考えるということで今回はこれを取り上げます。
 この日、大阪では朝の通勤時間帯に、雷を伴う凄い雨でした。雨は午前中にやみましたが、昼からは、一転して強風でした。倒れた時間帯の平均風速は8mぐらいでしたが、市内には高層の建物が多く、ビル風が吹くから、実際には、30mを超えるような風も吹いたでしょう。倒れた原因は強風と腐食と思われます。
 鉄製の支柱は金属の厚みが約4mmもあるので、強度的には十分なものです。
腐食の原因は何かの接触により、塗装が剥げた上に雨水や犬などの小便によるものだと考えられます。
道路標識などの鉄製支柱はいたるところにあります。
報道によると今年4月に鶴見署が点検していたそうです。
しかし、膨大な数の点検になるから、小さな傷の中の腐食をチェックするのは至難の業になります。数が多いものほど、点検が困難になります。点検が十分できる状態なら鉄製でいいのでしょうが、ステンレス製にした方がいい。しかし、ステンレス製はコストが高いから敬遠される。でも点検コストを含めた設置および維持のコストを計算するべきだと
考えます。
 「形あるものは、いつかは滅びる」と言われるように、物には耐久限度があります。
昭和30年代、オリンピックや万博などの高度成長時代に作られたものが数多く存在しています。
 今、厚生労働省はリスクアセスメントを推進しています。事故を未然に防ぐために、事故が発生する前に危険度等を評価するものです。
その評価基準には構成部品の強度を評価することが必要です。
皆さんの会社の周りには何十年も存在するものはありませんか?
金属疲労や腐食による崩壊・倒壊についても危険予知が必要です

                                     ご安全に!


2007.5.12  (ジェットコースターの安全化)
 5月5日子供の日に子供の冒険心を高めるジェットコースターで事故があった。原因は金属疲労である。金属疲労というのは、許容限度を超える衝撃・荷重でなくても
繰り返しによって破断してしまうことである。
 1年に1回の超音波および磁界による探傷検査を受けなかったことと、取替えをしていないことが問題だと報道されている。
 安全を確保するためには、安全な設計と点検などの維持管理。さらに作業者の知識・経験など訓練・教育が必要である。
 今回の事故を踏まえ、事故防止には金属疲労の限度を見極め、定期的に交換することと、定期点検を基準に従って行うことが必要といわれています。
 でも、それだけで十分でしょうか?
 車や電車では常に運転士が乗務し、計器や五感で異常がないか確認しながら運行をしている。ジェットコースターでは乗務員を乗せることが困難であるから異常に気がつきにくい。(ジェットコースターに常時乗り込むのは乗務員の健康を考えると、非現実的だ)
 部品が安全に使える年数というのは計算上求めることができるだろう。(計算した結果に安全率を乗じて求める) しかし、それは通常走行の場合である。異常な状態が続けば、計算より早く破断することも十分考えられる。超音波・磁界探傷検査をしても、1年間の間に、破断することもあるだろう。
 そう考えると、点検などの維持管理だけでは不十分であり、安全な設計が求められる。
今回1本の車軸が折れた。その1本の破断により5個の車輪が脱落した。
 5個の車輪は貨車を支える2個の車輪と、横方向の荷重を支える2個の車輪、さらに、下側から浮き上がりの荷重を支える車輪が1個の計5個の車輪がある。5個の車輪は一体だったのである。
 もし、貨車を支える2個の車輪が独立した構造だとしたら、1個の車輪の脱落だけで収まり、1個の車輪は貨車を支え続けただろう。 安全設計にはバックアップ要素を持つ構造が必要なはずだ。今回の貨車は5個の車輪が1つのユニットとなっている。ユニットとした方がコスト的に安いだろう。
 しかし、安全が第一である。バックアップ要素をもった独立構造の車輪を複数つけた設計にするべきである。

 風神雷神Uの運行再開はとても困難が予想される。風神雷神Uだけでなく、全てのアトラクションが停止・入場さえ停止されている
 さらに死傷者の方への補償もある。今回の損失はいくらかかるだろう。その損失額で、何本の車軸が購入でき、何回の探傷検査が実施できるだろう。
・・・・・安全軽視の代償は計りしれない。
                                     ご安全に!

2007.5.5  (AED 自動体外式除細動器)
 パンパカパーン パン・パン・パン パンパカパーン
 今週のハイライト! 「AEDで高校球児の命を救う」

 4月30日に大阪府岸和田の飛翔館高校で行われた野球の試合で、胸に打球を受けた高校生が心肺停止状態になり、高校に設置してあったAEDで救命に成功した。
 高校に設置してあったAEDは2年まえの卒業生が卒業記念に設置したということである。しかも、現場には救急救命士が試合の応援にきていた。本当に良かった。
 AED(自動体外式除細動器)は2004年から一般の使用が認められ、空港・駅・デパート・学校・イベント会場にも多数設置されるようになった。一般の使用が認められた背景には、2002年の高円宮憲仁親王が心室細動で急逝したことがあった。
 心室細動は、心臓マッサージなどの救命措置では蘇生が困難であり、AEDの必要性が高まり、従来、医師だけに使用が認められていたが、救急救命士にも認められ、2004年7月からは一般市民の使用が認められた。翌年2005年2月20日には大阪の泉州国際マラソンで救命に使用されたことで話題になった。今年の東京マラソンでは25台に上るAEDが用意され、2名の救命に役立ったということである。
 ここで皆さんに伝えたいことは、AEDの訓練と普通救命の講習を受けて欲しい。
 もし、あなたの目の前で人が倒れ、そこにAEDがあったとしても、救命措置が行えますか?
 目の前に人が倒れているという状況は生涯に何度もあるようなことではありません。
誰でも使えるというAEDも、触ったことさえ無いような状態ではなかなか使用できないでしょう。
 生涯に一度あるか、ないかの状況にたった時、後悔しないように、心肺蘇生法・AED使用方法の訓練を受けましょう。
 その状況はいつ発生するかわかりません。1時間後かもしれませんね。
AEDの使用方法を知らない人は今すぐ、下記、日本光電工業のホームページにアクセスし、AEDの使用方法をビデオで学んでください。
http://www.nihonkohden.co.jp/aed/use.html

 使用方法は理解できたでしょうか?
 「見る」と「実演」とでは大きく違います。訓練は、お近くの消防署等で無料で行っていると思います。日程は市の広報やホームページを見てください。

                                     ご安全に!

2007.4.29  (エレベーターワイヤ破断の原因は?)
 
エレベーターでまた大きなトラブルが発覚した。
 場所は六本木ヒルズの森タワー
 森タワーといえば、2004年3月26日に発生した回転ドア挟まれ事故がすぐ頭に浮かぶ。この事故をきっかけに多くの回転ドアが停止になり、自動回転ドアの安全ガイドラインも作られるなど、大きな社会問題になった。
 その森ビルで今年の4月4日に火災があった。
 その原因はエレベーターワイヤーの破断であり、その部分が金属部品との摩擦により火花を発し、火災になったということでした。
 国土交通省は日本オーチス・エレベーターに対して、全国約5万6000基のエレベーターの緊急点検を指示しました。
 ワイヤー破断の写真を見たが、8本の束で構成するロープの1本が破断している。火災の前月に定期点検をしたばかりである。ワイヤーは当然点検項目にあり、見落としたとは考えられないような破断である。しかも、ワイヤーには赤さびが発生していたということである。さらに、同ビルにある他の10基を点検したら、細い鉄線が3本から9本切れたものが8基あったという
 これらから考えられることは「点検をしていない」。ということになる。
 エレベーターでは昨年6月3日にシンドラーエレベーターで死者を出す事故があり、「安全装置のかたまりで、最も安全な乗り物」といわれたエレベーターの信頼性が失われ、大きな社会問題となった。
 厳しい安全基準をクリアしたエレベーターでも消耗部品も維持管理がずさんであれば、安全は確保できない。
 日本オーチスエレベーターのホームページには火災発生の状況は詳細が出ているが、なぜ、点検で発見できなかったか、なぜ、点検済みのものから発生したか、などの
記載は無い。火事の原因は明らかにされたが、破断を見落とした原因を明らかにして欲しい。

                                     ご安全に!

2007.4.22  (遊具の安全)
 4月11日岐阜県の学校で「ワーワーロープ」という遊具の柱が折れ、13人が怪我をするというニュースがあった。
 1番高いところでは4メートルもあり、命にかかわるような高さである。
 この遊具は電柱と古タイヤの再利用ということだ。古タイヤを重ねたところは雨などが溜まりやすく、腐りやすい状態になっていたに違いない。
 安全のための点検はしていたというが、古タイヤで隠れて見えなくなったところまではできなかったのだろう。鉄筋コンクリートでも、劣化してくると、中の鉄筋が腐食し、壊れやすくなる。
 今月には大阪市住吉区の公園で「日よけ」の支柱が腐食し、倒れたというニュースがあったばかりである。
 ものには寿命がある。製作時には強度に安全係数を掛けて、十分な安全対策をしているだろうが、腐食した場合の安全保障はどこにもない。すぐ見える場所は、逆にいうと、すぐ乾燥する場所だから劣化が遅いし、直接目で見れるのでわかりやすい。見えない場所は、乾燥しにくく、状態も把握しにくい。遊具の製作には、安全に作ることと、安全を確認しやすい構造にすることが必要だと感じた。
 また、4月16日の新聞には「失敗学」の提唱者である畑村洋太郎教授(工学院大)が遊具の事故例を分析し、安全な遊具を開発するプロジェクトに乗り出した。
 畑村教授は「事故が起きると、管理者が責任を取り、遊具が撤去される。このままでは公園が遊具から無くなってしまう。」また、子供は多くのことに興味をもつ。たとえば、遊具の中に小さな穴を見つけたら、指を入れてみたくなる。そうした子供の行動パターンを予測し、指の入るような穴を作らない仕組みを作ると述べられている。
 このプロジェクトは3年後の究極安全遊具の製作を目標にしている。
 この活動を興味を持って応援したいと思います。

                                     ご安全に!

2007.4.15  (ヘリコプター墜落)
 
4月9日に10人が乗っていたヘリコプターが北アルプス水晶岳に墜落した。
 視界が悪くなり、操作を誤ったと見られた事故だが、信じられないようなことが分かってきた。
このヘリコプターは10人乗りだが、なんと、座席を3席外しており、3人の人は床にしゃがんでいたというのである。座席がないからシートベルトもない。その3人のうちの1人が亡くなった。あとの2人も重傷である。なぜ、このようなことが発生したのだろうか。
 乗り降りをスムーズにするために外したということなのである。それは問題ないのだが、この時点でヘリコプターは7人乗りになったのである。7人までは問題ないが、それ以上乗せる必要があれば、座席を戻さなければならない。それを怠り、乗客を床に座らせたのである。本当に信じられない。
 空の上ではどんなトラブルがあるか予想もできない。それを座席もない・シートベルトもない状態にするなんて安全管理の基本さえできていない。10人のうち4人が乗務員であった。3人を床に座らせるというのは機長の判断かもしれないが、他の3人はそれをとがめなかった。
これこそ社員の安全教育の欠如であろう。おそらく、床に座らせるということは過去にもあったのではないだろうか。
 このような事は読者の会社ではないでしょうか?
 機長・部長・課長などの現場責任者が安全を無視した指示をしたら、それをそのまま実行するようなことはありませんか?
 いろいろな箇所にフェールセーフ等のさまざまな安全装置がある。人間がミスをしても安全装置が安全を確保するシステムはあちこちにある。しかし、故意な不正はなかなか抑えることが困難である。
 間違った判断は人間ならやってしまうこともあるだろう。しかし、それを見た者はその誤りを正さなければならない。
 この事故から多くのことを学びました。
                                     
ご安全に!

2007.4.7  (インフルエンザ)
 
今週は風邪に悩まされた1週間でした。4月2日の夕方から体調の変化を感じ、夜はいつもより早く床についたが、夜中にブルブルと震える自分に気が付き、体温を測ると38.8度であった。「ヤバイ。インフルエンザにかかってしまった。」と感じ、翌朝、タミフルを処方してもらおうと病院に行った。病院では試験棒を鼻の中に入れ、粘膜を擦り取り、試験薬に入れて15分もすれば結果がでる。私は初めての経験でした。
 結果は“陰性”でした。で、タミフルはもらえず、総合感冒薬を処方してもらいました。
火曜と水曜はぐっすり寝ました。でも木曜・金曜も体調は回復できず、つらい一週間でした。
 私は、例年12月ぐらいから電車・バス・講習会場など、人が密集するところではマスクをしており、小まめにうがいもして、インフルエンザの感染を予防していました。4月に入って、ちょっと油断したのかな?
 でも、今年のインフルエンザは時期がずれているような気がして、調べてみました。


下の図は2006年1月30日から2月5日のインフルエンザマップである。赤が警報の度合い、黄色が注意報の度合いを示している。これが昨年のピークです。

次に今年の同時期を見ると

こうなっています。あきらかに色が違う。次ぎは今年のピークです

これは今年3月19日から25日の状況です。今年のピークは一ヶ月半ほど遅れているのです。なぜ、遅れるのかは分かりませんが、油断してはいけないということですね。
最後にうがいについて、一言
 うがいをするときは、舌を思いっきり前に出して、うがいをします。
 この方が、喉の奥まで、洗浄することができるからです。
 舌を入れたまま、うがいをすると、舌が喉に張り付いて、洗浄できないところが多くなるからです。
 なお、インフルエンザマップは国立感染症研究所のホームページから引用しました。
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
                      
健康に気をつけて、& ご安全に!

2007.3.31  (原子力発電所不正問題)
 3月29日の新聞に経済産業省の甘利大臣名で原発不正に関する記事が掲載されました。
見ていない方のために掲載します。これを見ていただいた後に私のメッセージを読んでいただくようお願いします。
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世界で一番安全安心な原子力立国を目指します。
    −なぜ今改ざんが明らかになるのか?

  それは私が「事実を隠さず出すように」と指示したからです。
 平成15年に電力会社の不正問題を受けて、原子力発電の検査体制の抜本的強化を行ったところです。昨年秋、電力会社において平成15年以前のデータ改ざんが、次々に明らかとなってきました。過去のこととは言え、私は、このような問題が続く限り、国民の皆様の電力会社に対する信頼はいつまでも得られないと考え、昨年11月に、全電力会社に対して、全ての発電設備について、過去に遡りデータ改ざんや必要な手続きの不備その他同様な問題がないかの総点検を行うよう指示しました。これを受けて、各電力会社は、社内文書の再調査だけでなく、既に退職した社員も含め、聞き取り調査を行っています。その結果が3月30日(全)までに出てくることになっております。
 今回の総点検の作業の過程で極めて問題と言わざるを得ない事案も出てきており、国民の皆様にはご心配をおかけしています。今般の各電力会社からの報告書を精査して原子力発電のより一層の安全の確保を図ります。総点検の4つのねらいを達成するよう全力で取り組み、世界で一番安全で安心な原子力立国を目指します。
                 経済産業省 経済産業大臣 甘利 明
【総点検の4つのねらい】
○その1 過去の不正を清算

過去の不正を清算し、記録を改ざんし続けていくという悪循環を断ち切り正しい記録を残すため、過去に遡って不正を清算しておくことが必要です。
○その2 不正を許さない仕組み
基準などから逸脱したことがあった場合でも、その事実を改ざんしたり隠したりすることなく、正確な情報を、逸脱した原因や評価結果とともに開示していくよう、仕租みを作り上げることが必要です。
○その3 事故・トラブルの情報を共有
個々の事故やトラブルについて原因を究明し、再発防止対策を講じ、かつ、その情報を他社も含めて共有することにより、安全性を一層向上させます。
○その4 安全確保を大前提に
 電力会社の体質を改善させ、公益事業者として、安全確保を大前提に、電力を安定的に供給していく基盤を強固なものにします。
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 いかがでしたでしょうか?
 最近、連日のような過去のトラブルが明るみになっています。
 日本人は特に「原子力」には敏感です。
 電力会社は「原子力は正しく使えば安全であり、資源を有しない日本には必要不可欠なものだ」とアピールされていました。ですから、健康被害に関係しないことはできるだけ、公開しないようにしようという気持ちがあったと推測します。
 今回、いろいろなトラブルが公開され、原子力発電所の近くに住んで居られる方はとても不安を感じたことでしょう。でも、電子力発電所は生まれ変わろうとしているのです。全ての“ウミ”を出し切り、これを繰り返さないための強い意志の表れと読み取りました。
 発電施設のメーカ同士でも情報を共有し、安全化を進めようとしているのです。
 でも、“ウミ”を出しただけで終わらないで欲しい。電力を造るだけでなく、「安心・安全」を創造していただきたい。
 日本原子力発電株式会社のホームページには平成19年の経営の基本方針が示されています。http://www.japc.co.jp/index.htm

                                          
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2007.3.24  (石綿健康被害救済法施行1年)
 石綿健康被害救済法が施行され、1年が過ぎた。救済のための拠出金も決まり、平成19年度の労働保険料に盛り込まれ、法の運用も整備ができた。
 さらに、今月に入りTVコマーシャルも放映されるようになり、国民の認知も高まってきた。
 その一方では、認定基準が厳しく、救済されない人がクローズアップされている。
 法の制定時には、労災保険の認定を受けられない人を救済するためにできたが、実際には労災保険も受けられない。石綿健康被害救済法も受けられないという人が多い。
 この石綿健康被害救済法は「中皮腫」と「肺がん」が対象となる。中皮腫は2853件の申請に対し、約7割が認定されているが、肺がんは2割しか認定されていない。この差は、中皮腫が石綿が原因である可能性が高いため、基本的に診断書の添付で認定されるが、肺がんの原因は石綿に限らず、喫煙などの要因もあるので、原因が石綿とは限定できない。そのため、肺組織から石綿繊維の検出などの石綿吸引の証拠となるものの提出が必要になり、石綿の健康被害という証明が困難なことが、認定率の低さに表されている。
 石綿による健康被害を救済しようという主旨の法律であるが、認定までのハードルが高い。さらに、「石綿肺」のような業務上とのかかわりが高い疾病についても問題が発生している。主として中小企業などで、事業主であるため、労働保険に加入していないケースや、就労証明ができないなどの理由により、労災保険も受けられず、石綿健康被害救済法でも認定されないケースもある。
 施行して、1年。認定基準などを緩和して、多くの健康被害者を救済していただきたいと思う。
石綿は昨年、製造・使用の全面禁止になったが、これから何十年も健康被害は発生してくる。
石綿の9割は建築材料に使用されている。その建築物の全てが解体されるまで継続する問題であり、解体後も中皮腫の潜伏期間である40年近くは関係してくる。
私たちにできることは、石綿の吸引を防ぐことである。
@建築物等の解体時には石綿の含有を分析等により確認すること
A石綿が含有されている物は石綿障害予防規則に従い、解体すること
  (外部に飛散させない。作業者はそれを吸引しない)
B解体後の廃棄物は適正な処理を行い、二次発じんを防止すること
C全ての作業者が特別教育を受講し、石綿に対する十分な教育を受けること

                                          
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2007.3.18  (ボンバルディア機・北陸電力臨界事故・桜の開花予想)
 今週はいろいろな出来事がありました。ボンバルディア機の車輪故障による胴体着陸、7年前の臨界事故隠蔽、桜の開花予想の計算ミスなどに触れていきます。
 ボンバルディア機の事故は、まず、全員が無事着陸できて本当に良かった。パイロットの普段の訓練成果が生かされたことが良かった。新聞報道を見ると、機長が冷静に行動しているとうかがい知れる。
 「何度も訓練しているので安心してください」
 実際に、前輪無しの着陸訓練はできないが、シュミレーションによる訓練による裏づけによって、冷静に行動できるのだろう。着陸シーンを何度も見たが被害を最小限にする素晴らしい着陸でした。
 「教育を受けた」というのと「訓練を受けた」というのでは、受け止め方が変わってくる。「胴体着陸はどのパイロットでもできる」と関係者の証言も報道された。機械のトラブル防止には、メーカー、整備士の努力はあるが、それでも限界がある。その限界を超えたトラブルに対応できるのは人間かもしれません。安全に飛ぶことも大事ですが、安全に降りることが一番大切です。シュミレーターはあらゆるトラブルを想定し、一番安全な飛び方・降り方を訓練できる。今後も訓練を重ね、人命第一の飛行をお願いします。
 次ぎは、北陸電力での臨界事故です。
 発生は1999年6月18日だった。1999年といえば、JCO東海村での臨界事故が発生した年です。1999年9月30日に国内で初めての臨界事故が発生し、被爆による死者もだした。その3ヶ月前に臨界事故が発生していた。それは隠蔽され続けていた。
 憤りを感じます。6月18日に臨界が起これば、すぐさま、対策がとられ、全原発の点検が行われ、従業員教育も実施されていただろう。そうすれば、JCOで発生した臨界死亡事故は未然に防げたかもしれない。それを思うと非常に残念に思う。
 人類は失敗から多くのことを学び、成功へつなげる。それは過去の災害が証明し、畑山先生が提唱する失敗学にもあらわされている。隠蔽すると、失敗が生かされない。まさにJCOの事故はそれを証明している。
 隠蔽からは何も生まれない。逆に、隠蔽が隠蔽を呼び、隠蔽が拡大してしまう。
 この隠蔽は皆様の頭にインプットしていただくようお願いします。
 最後の話題は桜の開花予想ミスです。作業者のデータ入力ミスが原因のようだ。計算された結果を人間が確認している。例年よりかなり早いのはなぜか?そう思えば、計算内容を確認してミスを見つけることができる。しかし、今年のような異常気象であれば、早い開花予想も疑問に思わなかったのでしょう。

                                          
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2007.3.10  (石綿健康障害救済法)
 平成19年度から石綿健康障害救済法の一般拠出金の申告納付が行われます。
拠出金率は1000分の0.05です。
 くわしくは、厚生労働省のホームページで確認してください。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/chousyu/index.html
 石綿障害予防規則が制定されたのは2005年2月。2005年7月の施行直前にクボタさんの石綿健康被害の実態が発表され、日本中は「石綿ショック」というように連日、石綿の健康被害が報道されました。石綿の輸入総量は約1000万トンあります。その90%が建設材料に使われてきました。石綿は「耐摩耗性」「断熱性」「防音性」「耐薬品性」「絶縁性」「耐腐食性」「親和性」「紡織性」などに優れており、さらに「経済性」もあります。優れた性能があり、しかも安いということで多くの工業製品に使用されてきました。「アスベスト」という名前はギリシャ語で「永久不滅」という意味があります。「なくならない・消滅しない・劣化しない」ものなのです。ピラミッドが作られた古代からミイラを包み込む布に石綿布が使われていたのです。石綿と人間は長い付き合いがあったのです。1900年代には機械化も進み、応用範囲も広がり、膨大な量が使われました。石綿の代表的な疾病に「中皮種」があります。この中皮種は10年から40年経過してから発症するような、とても厄介なものです。「静かな時限爆弾」とも呼ばれています。
 石綿は0.01マイクロメートルという細い繊維で、髪の毛の10000分の1という細さです。それが空気中を漂い、直接作業していない人も石綿粉じんを吸引してしまい、発症することがあります。
 昨年、石綿救済法ができ、今年、一般拠出金が決まりました。労働保険に合わせて徴収されます。企業には負担がかかります。多くの会社は「石綿は扱っていない。だから、払わない」と思う会社も多いでしょう。
 直接扱っていなくても、石綿があるから、電気が供給される・水が供給されるなど多くの関係があります。
 一般拠出金を正しく納付して、健康被害にあわれた方の救済に役立てて欲しいと思います。厚生労働省ではテレビCMも導入するようです。多くの方が石綿に関心を持って欲しい。家庭にも石綿が使われた商品があるでしょう。廃棄するときはそれらを適正に処理することが必要です。また、全ての労働者が石綿障害予防規則を理解して欲しい。多くの建材に使用されてきました。ちょっとした改装でも、石綿の含有を確認して、発じん防止をしてください。使用済みのガスケットやパッキンも安易に廃棄しないようにしてください。
 安易な施工・取扱から石綿を空気中に飛散させることのないようにお願いします。そして、健康被害がこれ以上発生しないことを祈ります。

                                          
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2007.3.4  (美浜原発事故 書類送検)
 先週はスキーバスの事故の記事を書いた。今日は最高気温が20度にも達しようかとしている。もう、スキーシーズンも終息に近づいてきた。しかし、深夜バスの価格競争は止まりそうにない。最大手のJRハイウエーバスが84人乗りの超大型バスを導入した。全長は15mにも達する。「プレミアム号」のバスは28人乗りだから3倍の人が乗れる。関西と首都圏を結ぶ料金としては最安の3500円。ますます深夜バスの価格競争に拍車がかかる。競争の裏で、運転手の過密スケジュールなどが無いようにしていただきたい。
 さて、今週は2004年8月に発生した、美浜原発の配管破損事故で5人が亡くなり、6人が重軽傷を負った事故について述べる。
 今週、業務上過失傷害として6人の書類送検が行われた。送検されたのは、機械補修課の課長・係長・作業長・担当と検査会社の現場課長である。一般的に書類送検の対象となるのは会社のトップが多いのであるが、会社の幹部には事件の関与が認められないということで書類送検の対象にはならなかった。会社が大きいとこういうこともあるのだろう。
 しかし、逆に言うと、「幹部の指示が末端に届かない。」「現場の問題が幹部に届かない。」とも受け止められる。
 このような体制では、今回のような事故が再び発生してもおかしくない。安全衛生管理体制を再構築していただくことを強く求めます。安全衛生管理体制は労働安全衛生法に定められている。これを構築すればいい。というものではない。組織化したら、それを実効性のあるものにしないと意味がない。大きな会社は作業者の位置と幹部の位置が離れてしまう。指示命令系統の整備と、レポーティングラインの整備、安全衛生面における安全衛生総括管理者・産業医・安全管理者・衛生管理者・安全衛生委員会の役割・権限を明確にして、安全化を進めていただきたいと考えます。
                                          
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2007.2.25  (スキーバス事故)
 2月18日にスキーツアーバスの衝突事故があり、27人が死傷する事故があった。死亡したのは運転手の弟ということで本当に気の毒な事故でした。当初は運転手の居眠り運転ということで運転手の過失であったが、翌日からの報道では休みもない過重労働の実態があきらかになってきた。
 バス業界は2002年の規制緩和により3700にも事業者が増えている。その多くがバス所有台数10台未満の小規模業者である。
 小生も東京−関西の移動に夜行バスを利用したことがある。片道がたったの4000円である。新幹線を利用する場合の3分の1以下の料金だ。翌朝に目的地に到着する。前の日に大阪で仕事をして、翌朝には東京で仕事できるので時間効率がよい。どこでも熟睡できる小生には便利なものだ。利用したバスは運転手が2名乗車し、途中で交代していた。運転手が2名いて、40人ぐらいの乗客であった。40人が4000円払ったとしても16万円しかならない。運転手が2名いて、ガソリン・高速道路通行料がかかり、これで仕事になるのかな?と心配したことがある。毎回満席になるとは限らない。運転手を1人にしようという考えがおこっても不思議ではない。
 労働時間と休息日を適正にするぐらいしかないのだろうか、バス運転手の労働時間等の改善基準のポイント(パンフレット)平成18年4月作成があるので参考に掲載します。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-11.pdf

 われわれが運転するときには、ラジオを聴くコーヒーを飲みながら運転するが、バスの運転手はそうはいかないだろう。同乗者と話もできないし、タバコを吸うこともできない。車内の温度はお客様の快適な温度に設定しなければならないし、休憩場所は乗客に連絡しているから眠気を感じても簡単にサービスエリアにも入れない。眠気は生理的なものだから防ぐのは困難だ。
 居眠りセンサーもいろいろ開発が進んでいるようである。運転者の顔を監視し、まぶたを閉じている時間が設定時間を超えるとブザーがなるようなものもあるようだ。
 人間の意志でコントロールが困難だから、機械・センサーで未然に防ぐシステムが開発され、普及することを強く望みます。
                                          
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2007.2.17  (東武東上線 自殺未遂 警官死亡)
 2月6日に東武東上線で警官と女性が電車にはねられるという事故があった。宮本巡査部長は頭を骨折し、意識不明の重体が続いていた。宮本巡査部長が勤務する交番には千羽鶴が届けられ、多くの方が回復を祈っていた。
 しかし、残念ながらその意識はとうとう戻らずじまいだった。本当に残念に思う。
 この事故は防げなかったのだろうか?
 踏み切り内にはセンサーを備えているところが増えている。しかし、線路内にセンサーがあるというのは聞いたことがない。ホームには非常停止ボタンが備え付けられている。しかし、今回の場合、非常停止ボタンを押されたのは事故の一瞬前ということで、事故を防ぐにはいたらなかった。女性と警官が線路に入ってきた時点で誰かが非常停止ボタンを押せば間に合ったかもしれない。しかし、思ってもいないような行動が目の前で行われると、なかなか非常停止ボタンを押すという行動に結びつかないだろう。ホーム内には多くの人がいただろうが、目の前で何が起こっているのか、あっけに取られ、状況把握ができない状態だったと考える。
 電車を止めるためには、「駅員に連絡する」とか、「非常停止ボタンを押す」という行動が必要である。または、救出を応援することも有効だろう。
ホームに居た人の多くが、もっと早く非常停止ボタンを押していれば。。。。、救助の応援に行けば良かった。。。。。と後悔された方も多いと思う。
 今回の事故の前に女性は警官によって取り押さえられ、一時は交番に連れてきた。交番で警官と話しをしているうちに、飛び出したと聞く。事故にあった巡査部長は交番できっちり捕まえておけばよかったと後悔しているだろう。
 自殺者は全国で3万人を超えている。多くの企業ではメンタルヘルスケアに力を入れているがまだ始まったばかりである。今回の事故で感じたが、自殺を考えている人を止めるのはとても困難なことである。メンタル不全のできるだけ初期段階で治療・休養が大切である。初期段階で異常に気づくことが求められている。メンタルヘルスの知識を全員が持つこと。これが重要である。それと同時にストレスを発散させる方法を見つけよう。
 小生の場合は、ジョギングである。今日は京都議定書マラソンに参加してきた。鴨川の河川敷を走ってきた。マイペースマイペース。とてもいい汗をかいた。
 ちなみに京都議定書マラソンは地球温暖化防止に向けた世界の約束である「京都議定書」にみんなで取り組もうというイベントでした。
是非こちらのURLも見てください。http://www.eco100.jp/
                                          
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2007.2.10  (携帯型デジタルミュージックプレーヤー)
 2月7日にニューヨークにおいて、携帯型デジタルミュージックプレーヤー(iPod等)や携帯電話などの道路横断中の使用を禁止する法案を出すと報道されました。
 理由は、若者二人が音楽を聞きながら横断した時に交通事故にあったということです。
 法案にするかどうかは別にして、音楽を聴きながらの歩行について迷惑を受けた記憶があるのは私だけではないでしょう。聞いている人たちは、「誰にも迷惑をかけていない」と主張するでしょう。でも、迷惑をかけていることを自覚できないことが困りものです。たとえば、狭い歩道の真ん中をその人がゆっくり歩いている場合、追い越そうと思っても、両側に空きがないので追い越せない。普通であれば、後ろから人が近づいたことを察知し、端に寄って、道を譲ることができるが、音楽を聴きながら歩いている人はそれが理解できない。「ちょっと通して」と言っても聞こえないから通じない・道を空けてもらえない。後ろから歩いている人はとても迷惑だ。音楽を聴いている人はそれが分からない。だから迷惑を掛けていると思わないのです。
 人間の耳は優れたものです。耳に聞こえる音を全て聴くというわけではない。必要なものだけを聴くことができます。たとえば、騒音が激しい場所でも会話を理解することができる。普通は聞こえないような遠くのヒソヒソ話でも、聴き取ることができる。また、2つあるから、音源の位置が右なのか、左なのか、後ろなのか、前なのか理解することができる。とても高性能であります。そして必要な音を選択して聴き取るというのは、機械化できないものです。
(もちろん、耳が必要な音源を選択しているわけではありません)
 道路の話に戻りますが、音楽を聴いているときは、音楽が必要な音であり、そばを走る自動車などの音は不要な音として認識されないのです。だから危険性が高い。
 損保保険のCMでもありますが、外に出ると、どんな災難に出会うか分かりません。危機を察知する一番のセンサーは耳です。音楽を聴くというのは、一番有効な危険感知センサーを無効にしていることと同じです。
 あなたは、自転車運転中に危険なことを感じたこと、「ヒヤリハット」したことはありませんか
 あなたは、歩行中・横断中に危険なことを感じたこと、「ヒヤリハット」したことはありませんか?
 ある人は言うでしょう。「それは加害者が悪いんだ。私は悪くない」
 確かにそうでしょう。でも、事故に遭ったら困るのはあなたですよ。治療費や慰謝料をもらったところで、何も解決しません。
 危険を防ぐ(リスクを回避する)のは被害者にならないために必要なことです。
 携帯音楽プレーヤーは良い商品です。でも事故にあうようなことがあってはなりません。
 どうか、この事を理解して、歩行中・自転車走行中は携帯音楽プレーヤーのスイッチを切ってください。
 
                                          
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2007.2.3  (高額の損害賠償)
 2月2日に飲酒運転による交通事故で3億6千万円もの高額は損害賠償が和解した。と報道されました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070203i401.htm
2001年10月に発生したもので、被災者は5年たった今も意識不明の状態です。
東京高裁で和解が成立しました。その額は3億6千万円です。自動車保険には多くのドライバーが損害賠償限度額「無制限」の保険に入っていると思います。しかし、このドライバーは飲酒運転のために保険給付が受けられません。普通の方はとうてい支払いができる金額ではありません。
 たった一瞬の出来事だったでしょう。万が一の事故に備えて、自動車保険にも加入していたと思われます。しかし、飲酒運転が原因の事故については支給がされないのです。加害者は軽い気持ちで飲酒のあとにハンドルを握ったのでしょう。「このくらい飲んでも運転できる」「家は近い」。そんな気持ちがあったのでしょう。そんな軽率な判断が、一生の収入を超えるような巨額な賠償責務を負ってしまいました。加害者は服役中です。仕事も名誉も財産も失ったのでしょう。
 こんなニュースが昨日ありましたが、日本中で多くの方が昨夜もお酒を飲んで車を運転していたかもしれません。仕事も名誉も財産も全て掛けるような重要な運転なんて世の中にはありません。
 この加害者があの日、酒を飲まなかったら、事故は無かったかもしれません。そうすれば、今頃は家族そろって、節分を楽しんでいることでしょう。
 被害者の方は節分どころか、意識さえないのです。
 交通事故を無くすのはみんなの願いです。しかし、判断間違いなど事故を無くすことは非常に困難です。車の安全化・道路の安全化など簡単にできるものではありません。
 しかし、意志さえあれば飲酒運転は防げます。
「飲んだら乗らない」「乗るなら飲まない」。この二つは当然ですが、もう一つ「飲酒運転を阻止する勇気」を持ちましょう。
 友人が飲んだ時は「絶対に運転させない」。それが友情です。
 奥様は、旦那が飲酒運転しそうな時は絶対に止めてください。それが愛情です。

                                          
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2007.1.27  (宝塚 カラオケBOX火災)
 1月20日に宝塚のカラオケBOXで火災が発生し、少年3人の命を奪ってしまった。
その後の報道によると、たくさんの問題点が明らかになってきた。
重要だと思われることは
・カラオケへの用途変更の届出をしていない(消防署が防災設備の確認をできなかった)
・防災設備の不備があった
・消火器が一本しかなく、その消火器は使用済みのものだった
・発見者が通報しなかった。
などがある。
通報したのは、2階にいた12歳の少女であった。
この12歳の少女が電話しなかったらどうなっただろうと考えると、とても恐ろしい。
逮捕されたアルバイト店員は消火器が使えないことがわかると、バケツで水をかけようとした。これは幸い、近くにいた63歳の客が静止したが、もし、バケツで水をかけると、アルバイト店員は燃えた油を浴びて大火傷をしただろう。
アルバイト店員は油を火にかけたまま、場所を離れ、火災発見後の通報もできず、避難誘導もできなかった。
なぜ、消火器が使えなかったかというと、使用済みだったからである。昨年のボヤで消火器を使用して、そのままにしておいたということだ。なんとも情けない。
防災教育の不備と防災設備の不備から大惨事になった、人災である。
店長は、防災教育をしなければならなことや、避難訓練をしなければならないこと。さらには、防災設備の基準を知っていたのだろうか。
全てを理解していたとは思えない。知らないことぐらい恐ろしいものはない。
消防署などは提出されたものは確認・指導ができるが、提出がないものは把握さえ困難である。
ほんとうに、「知らなかった」では済まされない。
従業員を雇う、お客様に施設を利用してもらうなら、安全・防災の知識は必須である。
各自治体では管轄内のカラオケ店の一斉点検を始めたようであるが、是非とも、お店の店長・従業員の知識の確認を行って欲しい。
点検を受けるカラオケ店も「不適格にならないよう」祈るのではなく、せっかく消防のプロが店に来たのだから、防災について質問し、指導を受けて欲しい。
『聞くは一時の恥、知らざるは一生の恥』を心得ていただきたい。

                                          
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2007.1.20  (不二家 洋菓子 2)
 1月12日に公表された、不二家の問題はさらに大きくなってしまった。まさに雪印事件の再来になってきた。
 現在、不二家のホームページにはお詫びの文面しか表示されていません。日本のどこに工場があって、どこの工場では何を作っているのか、どこの工場ではISO9001を取得しているのか全くわからない。従業員は何人いるのか。。。。なぜ、情報を隠すのだろう。なぜ、ホームページで「○○商品は安全です。」と言わないのだろうか、隠されると、どの商品も品質の保証ができないという意味にしか受け取れない。
 マスコミでは、雪印事件と同じように報道されているが、違う点は人的被害の有無である。雪印の時には13000人を超える食中毒が発生した。今回の不二家では実害は報告されていない。そこに大きな違いがある。しかし、マスコミ報道や食料品店商品締め出しは雪印の時と同じです。
 この違いは、それだけ食の安全が重要視されているということです。
 社会の要求が厳しくなっているのです。社会の要求は食品だけではありません。これからはクレーム社会になるでしょう。品質を厳しくチェックできる企業だけが生き残れる社会になってきたのです。
 私の専門である安全衛生も以前は、労働者が業務中に災害にあったとき、その補償は労災保険だけというものが大半でした。しかし、今は、労災保険だけでなく、民事裁判にまで発展するケースが増えてきました。
 事業者の義務である労働保険(労災保険・雇用保険)だけ払えばよいとは言えないのです。もしもの時に従業員を補償する生命保険の加入も必要かもしれません。お金の面だけでなく、安全を保証する労働安全衛生マネジメントシステムも必要になってきます。
 2005年の業務災害の死亡者は1514名、2006年は減ると思われますが、2007年問題といわれる今年は、増えるかもしれません。
 多くの会社が労働安全衛生マネジメントシステムに積極的に取り組んで欲しい。と考えます。

                                          
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2007.1.13  (不二家 洋菓子)
1月12日に不二家の洋菓子で消費期限の切れた牛乳の使用した「シュークリーム」。細菌が基準の10倍を超えた「シューロール」。賞味期限の過ぎたりんご加工品を使用した「アップルパイ」。消費期限を1日長く表示した「プリン」。などの問題が公表された。それに伴い、工場は操業停止、700を超えるフランチャイズ店は休業となった。
まさに雪印問題の再来である。
しかも、昨年11月に事実を把握しておきながら、公表されなかった責任も大きい。なぜ、公表が遅れたのか。洋菓子といえば、クリスマスケーキに代表されるクリスマス商戦がある。もし、11月に公表していたなら、クリスマス商戦で敗北するのは必然。それでなくても不二家の洋菓子部門は2003年から営業赤字が続いている。クリスマス商戦の前には公表できなかったのではないかと推察する。
私は「再春館製薬所」のコマーシャルが大好きです。1日4時間かけて、機械設備を分解して、洗浄して、再組み立てをする。そこまでしないとお客様の満足は得られない。
このように取り組んでいる会社があるなかで、今回の実態には驚きました。埼玉の工場ではねずみが一ヶ月に50匹も捕獲されている。50匹は捕獲数だから、発生数はもっと多いと想像できます。
不二家の操業再開がいつになるかわからないが、今回の信頼を回復するのは困難が予想される。
「食の安全」を宣言するだけでなく、消費者に「見える、食の安全」を示して欲しい。
どのように衛生管理をしているのか。消費者の工場見学を受け入れ、問題発覚前は「こうだった」と過去をさらけ出し、今は「このように改善した」というように見せていただきたい。

                                          
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2007.1.6  (交通事故死)
1月2日に昨年1年間の全国の交通事故死者数の報道がありました。昨年の交通事故死者は6352人(前年比519人減)ということです。
昨年は飲酒運転の事故が連日のように新聞を「また」「今度は」などの見出しで飾っていましたので、昨年より増えていると思っていたら、逆に減っていたというデータを見て、少し安心をしました。
交通事故死は1970年に1万6765人という記録が残っています。「交通戦争」という言葉も生まれました。それから比べると3分の1に近い減少になります。
この減少にはいろいろの対策がありました。道路交通法の改正によりシートベルトが義務になり、チャイルドシートも義務になった。また、飲酒運転の基準が厳しくなり、同時に罰則も厳しくなりました。
メーカーもこの問題に対しては真剣に取り組んでいます、エアーバックの標準装備化、最初運転手側だけだったのが、助手席にも、また、側面追突に備えて、側面のエアーバックまであります。さらにボディの剛性が強化され、万一の際にも人間を守る機能を備えています。単に「走ればいいんだ」という車はどのメーカーも作っていません。「安全に走る車」、さらには「環境にやさしく、安全に走る車」というように「走る」機能だけでなく、安全のためのコストをかけることが常識となり、ユーザーも「安全」を重視した購入をしています。
このように交通事故防止には、国・メーカー・ユーザーが共通意識を持った行動をしています。その結果が死者の減少を達成した原動力でもあります。
このように労働災害も交通事故も死者は減少を続けています。しかし、「自殺」「過労死」はどうだろうか。残念ながら増加傾向にあります。交通事故や労働災害のようにハード的な対策が立てにくいものです。人間関係が希薄になり、職場の中での孤立、社会の中での孤立が一層増していきます。
これに歯止めをかけるべく、昨年、労働安全衛生法が改正されました。国が動いているのだから、企業が真剣に取り組み、従業員に必要な教育(情報提供)をしなければ、決して改善はできません。メンタルヘルス・過重労働対策も企業にとっての必要なコストなのです。従業員の「こころ」に投資を惜しんではなりません。

                                          
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2007.1.1  (2007年スタート)
あけましておめでとうございます。
今年の年間標語は
「ベテランが 次代にたくす宝物 技と誇りと安全第一」
「2007年問題」と言われるように団塊の世代が退職を迎えます。団塊の世代の人は、年間に5000人ぐらい労働災害で命を失うような時代を経験しています。
職場で怒鳴り声を上げるような勢いで熱心に指導していた人たちです。
彼らのノウハウを失ってしまう。これが2007年問題です。
このノウハウの損失をカバーすることができるのは、リスクアセスメントだと思います。
彼らが長年に積み重ねた経験・知識を継承することは容易なことではありません。
今は災害が減り、災害から学ぶこともできなくなってきました。これからは、「安全先取り」なのです。リスクアセスメントで危険・有害な作業を特定し、事前にリスクを低減する。
これが徹底できると、2007年問題は回避することができる。と、私は思います。
リスクアセスメントの普及が今年の課題です。
2007年問題は安全衛生だけに限ったことではありません。営業にも技術にもあることです。今、団塊の世代を再雇用して、経験を生かそうという動きが各業界に進んでいます。
団塊の世代の知識を経験を継承しつつ、リスクアセスメントを完成させていく。このスムーズな移行を各社で実施して欲しいと思います。
さて、今年は何があるでしょう?
政府の答申では「労働時間規制の一部除外」が検討されています。
もちろん、それによる効果も期待できます。しかし、過重労働による災害が増えている現状ではどうなのでしょうか?労働時間を把握していない企業もまだ多いと思います。労働時間を把握できていないところに、労働時間規制の除外をすると、過重労働が増えてしまうことが予想されます。労働時間規制に除外があっても、労働時間は把握し、過重労働防止のための面談など、確実にやって欲しい。でも、過重労働による疾病は面談では防げません。「過重労働をなくす」という事を真剣に取り組んで欲しい。
また、昨年、流行語にもなった「メタボリックシンドローム」 健康診断の法改正が近づいています。これにより「有所見者」が大幅に増加するのではないかと言われています。
健康診断の意義は「異常の早期発見」ですが、異常を見つけて、対応するのは当然ですが、健康においても「健康先取り」が必要なのです。
健康管理は
第一段階:全員が必要な健康診断を確実に受ける
第二段階:有所見者に対する。早期フォロー
第三段階:異常になる前に健康意識を高める、健康教育
だと考えます。
企業は健康教育にもっと、金と時間をかけて欲しいと思います。
「安全」も「健康」も先取りがキーワードです。

今年もよろしくお願いいたします。
                                          
ご安全に

2007年 安全週記

一週間を振り返る