2016年12月24日記(今年の10大ニュース)
 私が選ぶ今年の10大ニュースは下記の通りです。(発生順)

〇1月15日スキーバス転落事故
 乗客15人が死亡した事故では運転手の技量不足が問題になりました。
〇オルト-トルイジンによる膀胱がん
 今月、7人の労災が認定されました。皮膚からも曝露していました。
 MOCA(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン)による膀
 胱がんも問題になりました。
〇熊本地震
 震度7の地震が2回も発生するとは驚きました
〇化学物質リスクアセスメントの義務化
 今年の6月1日以降から新規に行う作業ではリスクアセスメントが義務
 化されました。全ての業種・全ての規模の事業所が対象になりますの
 でご注意ください。
〇ポケモンGOによる事故多発
 運転中にポケモンGOをして死亡事故も発生しています。運転スマホ
 歩きスマホは絶対にしないでください。
〇過労死(電通事件)
 10月7日に厚生労働省は過労死白書を発行しました。
 電通での自殺については、1990年の電通事件の反省が生かされておら
 ず残念です。長時間労働については、来年はもっと取り締まりが強化
 されるでしょう。
〇足場解体時に通行人が死亡
 東京で、解体作業中にパイプが落ちて、通行人を直撃しました。
 監視者が安易な判断をしたことや、落下防止対策が不十分でした。
〇明治神宮外苑での火災
 11月6日、学生が制作したオブジェの照明器具によって火災が発生し
 男児が死亡しました。危険の予測が不十分でした。
〇ブレーキペダル踏み間違い
 最近では12月初旬に福岡でタクシーが暴走して3人が死亡する事故が
 ありました。特に高齢者が踏み間違う事故が多発しました。
 高齢者ドライバーはますます増えています。
 歩道であっても安全地帯ではありません。事故を防ぐことが重要です
 が、事故に巻き込まれないように注意してください。
〇糸魚川火災事故
 強風によって150棟を超える家屋が焼失しました。強い風と乾燥した
 空気と狭い路地、消防車の不足によって拡大しました。
 原因は鍋のカラ焚きだったようです。

                    
来年も ご安全に!

2016年12月10日記(交通事故防止について)
 機関紙「まいんど」に掲載した内容を紹介します。(図等は省略)
 ■死亡災害の約2割は業務上の交通事故
 平成27年の労働災害発生状況(厚生労働省発表)によると、「交通事
故(道路)」が2番目に多い死亡災害となっています。交通事故による
死亡者数は全体の約2割を占めており、交通労働災害の防止は重要な課
題といえます。業種を問わず、交通安全対策に取り組みましょう。
 次の3点は、従業員に安全指導するうえで知っておきたい、交通災害
に関する基本的知識です。
①「業務上」ならではの事故要因に注意
 業務での運転には、プライベートでの運転とは異なる次のような切迫
した側面があり、事故の一因となっています。
 ●約束の時間までに到着しなければならない
 ●運転中にも仕事の電話やメールがくる
 ●睡眠不足や過労状態での運転が生じやすい
 また、自家用車はオートマ(AT)車で、商用車はマニュアル(MT)車
という場合、運転操作に慣れていない人がいるかもしれません。
②事故の6割以上は「運輸交通業以外」で発生
 平成27年交通労働災害の業種内訳をみると、4割以上が「顧客先の訪
問中などの第三次産業」、2割弱が「労働者送迎中などの建設業」で発
生しています。実は、常時運転している運輸交通業などの業種よりも、
発生割合が多いのです。「自社は関係ない」と思わず、危険性を再認識
しましょう。
③運転中のスマートフォン使用による事故が増加
 平成26年の警察庁調べによると、死亡事故原因として、「漫然運転」
と「脇見運転」が1位、2位を占めています。脇見運転のなかで近年増え
ているといわれているのが、「ながらスマートフォン(以下、スマホ)
運転」です。とくに昨夏にスマホの位置情報ゲームが流行して以降、運
転中のゲーム遊びが原因で交通事故が相次ぎ、死亡事故も発生。大きな
社会問題となりました。
■交通事故を防ぐために
 交通ルールの遵守に加えて、事業主が取り組むべき、交通事故防止策
のポイントをご紹介します。
 ①渋滞で遅れることも想定し、余裕をもったスケジュールを立てるよ
  う指導しましょう。
 ②健康診断を確実に実施して、運転者の健康状態を把握し、保健指導
  をしましょう。
 ③十分な睡眠時間をとるよう指導しましょう。
 ④ドライブレコーダーを取り付けましょう。
 ⑤交通危険マップを作成し、注意しなければならない場所の情報を社
  内で共有しましょう。
 ④のドライブレコーダーは、常に記録が残ることから、「見られてい
る」という意識が働き、安全運転に努めるようになり、事故防止につな
がります。また、あとから映像を見て、どこに問題があったかを検証で
きるので、運転者への注意喚起・意識向上に役立ちます。ぜひご検討く
ださい。
 交通事故は、従業員の命にかかわるとともに、一般の歩行者など第三
者にも危害を加えるおそれがあります。後悔しないためにも、安全運転
を徹底させて交通事故防止に努めましょう。

                       ご安全に!

2016年11月27日記(自動車運転)
 私は、仕事に行く時は、自動車を避け、できるだけ公共交通機関で行
くようにしています。それは
 ・事故の可能性がある
 ・加害者になってしまう可能性がある
 ・渋滞に巻き込まれ、約束の時間に遅れる可能性がある
 ・無謀な運転に巻き込まれる可能性がある
 事故を起こした時に、相手側に過失があったとしても、交通刑務所に
入れられるかもしれない。そのようなリスクを抱えて運転するのはでき
るだけ避けたいと思っています。しかし、訪問先の交通の便などの問題
で自動車を運転することもあります。「安全」を生業としているので、
交通事故を起こすと信用に関わりますので、とても集中して、危険予測
を続けながら運転しています。特に右折の際には、前方の車の陰には何
があるか、車道を逆走する自転車はないか、歩行者信号を無視する歩行
者は居ないかなど常に周囲に気を配ってビクビクしながら運転している
のでとても疲れます。
 私は、夜目(夜盲症・鳥目)の傾向があるので、特に日没後は注意し
ています。
 運転は自分の技量を過信せず、常に先読み・危険予知、周囲の観察を
怠らず、時間と車間距離に余裕を持って行いましょう。
 先日、テレビで交通刑務所の実態が放映されていました。自動車運転
は自分の人生や他人の人生を一瞬で変えてしまう可能性があります。
 12月は特に事故の発生が多い月です。安全運転でお願いします。

                       ご安全に!

2016年12月3日記(てんかん発作対策)
 12月2日の読売新聞に「てんかん発作スマホで警告」という記事があ
りました。心拍の微妙な変化を察知して、スマートフォンに送り、アラ
ームを鳴らすアプリを開発したということです。
 てんかんの発作では、2011年(栃木県)にクレーン運転中に発作が起
きて、小学生が6人死亡した事故や、2012年(京都府・祇園)に運転中
に発作が起きて、観光客ら19人が死傷した事故もあり、企業では労働者
の健康管理を強化するきっかけにもなりました。
 このアプリは発作の30秒前にアラームを鳴らすので、身の安全を確保
することができます。
 注意:このアプリがあれば運転などの危険な作業が可能になるという
ものではありません。


2016年12月3日記(ペダルの見張り番)
 自動車用品販売のオートバックスでは、急発進防止装置「ペダルの見
張り番」を発売しました。これは昨今話題になっている、ペダルの踏み
間違いによる事故を無くすための補助装置です。ペダルの踏み間違いは
高齢者の報道が多いのですが、高齢者特有の問題ではありません。若い
方でも数多く発生しています。
 http://www.autobacs.com/shop/g/g9501600016589
 現在の車に自動ブレーキを搭載していない場合は有効でしょう。
 ただし、人によっては危険性があるかもしれません。いつも急発進を
して前の車を追い越すような危険な運転をする人では、これを付けるこ
とによって、自分の意思通りに加速しないので逆に危険になるかもしれ
ません。
 ちなみに、私は別の方法でペダルの踏み間違いを防止しています。そ
れは靴を脱ぐ方法です。靴を脱ぐことによって、ブレーキとアクセルの
形状・位置が分かりやすくなります。しかし、靴という足を守るものが
ないので、別のリスクがあることを理解していなければなりません。
 別の方法として、右足でアクセル、左足でブレーキを操作して、踏み
間違いを防いでいる人もおられます。
 そのほか、ワンペダル(ナルセ機材有限会社)も踏み間違いには有効
です。
 http://www.onepedal.co.jp/products/
 ちなみに、国交省では自動ブレーキの評価結果を公表しています
 http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000234.html

                       
ご安全に!

2016年11月27日記(自動車運転)
 私は、仕事に行く時は、自動車を避け、できるだけ公共交通機関で行
くようにしています。それは
 ・事故の可能性がある
 ・加害者になってしまう可能性がある
 ・渋滞に巻き込まれ、約束の時間に遅れる可能性がある
 ・無謀な運転に巻き込まれる可能性がある
 事故を起こした時に、相手側に過失があったとしても、交通刑務所に
入れられるかもしれない。そのようなリスクを抱えて運転するのはでき
るだけ避けたいと思っています。しかし、訪問先の交通の便などの問題
で自動車を運転することもあります。「安全」を生業としているので、
交通事故を起こすと信用に関わりますので、とても集中して、危険予測
を続けながら運転しています。特に右折の際には、前方の車の陰には何
があるか、車道を逆走する自転車はないか、歩行者信号を無視する歩行
者は居ないかなど常に周囲に気を配ってビクビクしながら運転している
のでとても疲れます。
 私は、夜目(夜盲症・鳥目)の傾向があるので、特に日没後は注意し
ています。
 運転は自分の技量を過信せず、常に先読み・危険予知、周囲の観察を
怠らず、時間と車間距離に余裕を持って行いましょう。
 先日、テレビで交通刑務所の実態が放映されていました。自動車運転
は自分の人生や他人の人生を一瞬で変えてしまう可能性があります。
 12月は特に事故の発生が多い月です。安全運転でお願いします。

                       ご安全に!

2016年11月19日記(一酸化炭素中毒)
 11月16日、山口県下松市の工業用水トンネルで9人が一酸化炭素中毒
になりました。
 11月19日 長崎市の導水トンネル工事で一酸化炭素中毒で1人が死亡
し、4人が酸欠症になりました。
 上記の事故はいずれもトンネル内でガソリン式発電機を使っていまし
た。労働安全衛生規則では禁止されています。ただし、健康障害を防止
するため、十分な空気(酸素)を給気できる場合は認められています。
このような災害はかなり発生しており、現場の方は十分理解していると
思っていましたが、残念な事故です。
 上の2つの事故では、いずれも、排気装置を使っていました。
 排気装置を使っていたけど、中毒になった原因として、下記が考えら
れます。
 ・排気風量が不足していた
 ・排気により、トンネル内に風上と風下ができ、発電機側が風上にな
り、作業者が一酸化炭素を吸った
 ・送排風機の故障
 ・ダクトのねじれなどによって送風が途絶えた(量が減った)
 必要換気量は、作業者だけの場合と、発電機等を使っている場合は全
く変わります。単に、「換気しておけばいい」という安易な判断をした
のだと推察します。
 一酸化炭素は空気とほぼ同じ比重で、臭いも無いので、判りにくいも
のです。酸素不足状態も判りにくいものです。体調不調となってから気
が付いても、体の自由が利かなくなり逃げられなくなることもあります。
 これらの災害を防ぐには、酸素濃度計と一酸化炭素濃度計が必要です。
酸欠則では、作業開始前に酸素濃度を測定すればいいのですが、事故を
防ぐには作業中の酸素濃度および一酸化炭素を監視していなければなり
ません。
 酸欠症と一酸化炭素中毒は人間の五感で危険を感知できません。正し
い知識と濃度計が必要です。

                      
 ご安全に!

2016年11月12日記(明治神宮外苑で火災事故)
 11月6日、東京の明治神宮外苑で開催されていたイベント「東京デザ
インウィーク」で学生が作ったアート(ジャングルジムに似たもの)で
火災が発生し、5歳の男児が逃げ遅れ、焼死する事故がありました。
 原因は、照明用に使った投光器が熱くなり、木屑が燃えたと考えられ
ます。木屑は、カンナで削ったような、とても薄いリボン状のものでし
た。とても薄いカンナ屑のそばに投光器を置いたため、投光器からの熱
で発火してしまいました。一度発火してしまと、薄いカンナ屑ですから、
瞬く間に燃え広がりました。
 なぜ、出火の危険性が判らなかったのでしょう?
 その一つに、あのアートを作っていた時にも投光器を使っていたから
だと思います。制作途中に何も問題が無かったから、何の疑いも持たな
かったのでしょう。
 事故というのは、少しの条件の違いで発生することがあります。投光
器をジャングルジムから離して設置すれば火災は起こらないでしょう。
では、「どのくらいまでなら接近させていいか?」と聞かれると、答え
られません。それは投光器の放熱状態と、カンナ屑の量などにもよりま
す。今回のカンナ屑は、子供達の動きで状態が変わるからです。
 投光器は危険な機器ではありませんが、状況が異なると危険な機器に
なる可能性があります。その状況の変化をどのくらい想定できるかが、
「危険感受性」だと思います。
 今週、バス運転中にスマホを使っていたというニュースがありました。
運転中にスマホを見ると、必ず事故になると判っていたら誰もしないで
しょう。街中の条件は変化に富んでいます。その変化に対応できなくな
るから危険なのです。バス会社は、運転席への携帯持ち込みを禁止しま
したが、携帯がないと緊急地震速報が鳴りません。それも危険性を感じ
ます。

                      
 ご安全に!

2016年11月5日記(ポケモンGOから考える安全)
 私が所属する日本労働安全衛生コンサルタント会の機関紙に私の記事
が掲載されましたので、紹介します。(執筆したのは8月末です)

 スマホ(スマートフォン)が普及し始めたのは2008年にアップルが
iPhoneを販売を開始してからです。そして、2016年3月に従来の携帯電
話(ガラケー)を追い越しました。
 しかし、スマホの弊害もあります。2011年には歩きスマホによる駅の
ホームからの転落が11件ありました。NTTドコモが2014年に調査したと
ころ、「歩きスマホは危険」と答えた人は99%にも達します。誰もが危
険と感じているにも関わらず、多くの方が歩きスマホをしています。そ
して2016年7月にポケモンGOの配信が開始され、一気に歩きスマホが増
加し、中には車の運転中にポケモンGOをする人も増え、2016年8月には、
ポケモンGOのながら運転で交通死亡事故も発生してしまいました。
 なぜ歩きスマホ・運転スマホが危険と認識しながら、実際にやってし
まうのでしょうか。
 それは、「歩きスマホが危険」と思っている人のほとんどが、「自分
以外の歩きスマホが危険」と思っているからです。なぜ、自分は大丈夫
と思うのでしょうか? その一つに人間の視野が関係しています。人間
の視野は左右に約180度、上下に約150度あり、経験的にスマホの画面だ
けでなく、周辺の状況が見えていると思っているのです。しかし、人間
の眼は広い視野を持っていますが、視神経の数には限りがあり、視野の
全ての情報を脳に送っていません。そのため、視野には入っているが、
脳は認識しないことが発生するのです。その結果、周囲の状況を見てい
るつもりが、周囲の状況を認識できずに交通事故を起こしたりするので
す。
 産業の現場の事故も同じことだと思います。リスクがあるのは知って
いるが、自分ではそれを避ける技術も経験もあると過信してしまうので
す。職場の状況は刻一刻と変化していますが、人間は、いつも事故がな
い、いつも上手くいくと考えてしまいます。その作業の成功経験が多け
れば多いほど、危険を危険と感じなってしまうのです。
 多くの職場でリスクアセスメントを実施していますが、そのリスクが
現実になるのはどんな時か考えてください。自分自身のメンタルや疲労、
同僚の意図しない行動、機械・原材料の小さな変化、職場環境の変化を
考えてください。逆に言えば、どのような不安定要素が現実になるとそ
のリスクが現実に発生してしまうのか。その想像力が結果を左右します。
その想像力こそが危険感受性なのです。
 我々コンサルタントは、単に、リスクを指摘するだけでは、相手は受
け身になってしまい、その場限りの指導になってしまいます。現場を見
て、「ここではどんなヒューマンエラーがありますか?」と考えさせ、
自らリスクを感じさせることがポイントだと考えます。
 指導先が自らリスクを感じ、見付け、対策につなげて行く。その道案
内をするのが我々の使命だと感じています。

                       
ご安全に!

2016年10月30日記(勝手踏切)
 勝手踏切とは、本来は一般の人の立ち入りは禁止されており線路を横
切って人が通行することはできないが、実際には近隣の住民が勝手に通
行しており、事実上の踏切となっている。そのような場所を勝手踏切と
呼んでいます。
 10月25日長崎県佐世保市の松浦鉄道の泉福寺駅付近の線路に2歳の女
児が轢かれた事故がありました。松浦鉄道の運行する佐世保~有田駅間
(約94km)に勝手踏切が250か所もあります。
 松浦鉄道では、看板設置の他、警笛を鳴らして注意し、近隣住民に通
行自粛を要請していましたが、今回事故が起きてしまいました。松浦鉄
道のコメントでは「私たちが勝手に通行を禁止することはできないのが
現状だ。今は注意してもらうようお願いするしかない」ということでし
た。
 私は、このコメントを聞いて、これでは事故は繰り返されると感じま
した。危険と感じるなら、なぜ、通行禁止にしないのか。なぜ、遮断機
を付けないのか。なぜ、徐行しないのか。危険な行為と知りながら、黙
認しているところに問題を感じます。約100kmの路線に250か所も勝手踏
切があり、本来の踏切も120ほどあります。したがって、250mごとに線
路を横切る場所があることになります。
 高齢化が進む現在では線路の横切りで転倒することも増えてくるでし
ょう。利便性も考慮しなければならないでしょうが、安全が最優先であ
ること再確認してほしいと感じました。

                      
 ご安全に!

2016年10月22日記(52センチ)
 独立行政法人労働安全衛生総合研究所が「陸上貨物運送事業における
重大な労働災害を防ぐためには」というパンフレットを公開しました。
 http://www.jniosh.go.jp/publication/houkoku/houkoku_2016_02.html
 この中には、多くの死亡災害の事例が掲載されています。
 表題にあげた52cmというのは、その災害事例の中で、リアバンパー
から落ちて死亡事故になったもので、その高さはわずか52cmでした。
高さが2mを超える高所では、転落を防止する柵や、安全帯の着用等、
転落を防ぐ対策が義務付けられていますが、2m未満は何もしなくても
いいというものではありません。
 52cm以上の高さのところに上がることは多いかもしれません。棚の
上の方のものを取ろうとして、踏み台に上がることもあるでしょう。高
い場所から落ちる時というのは2種類あるでしょう。一つは、バランス
を崩して落ちる。もう一つは、足を滑らせて落ちるとか、もう少し横に
動くときに、台があると思ったけど、無かった場合です。前者の方は、
バランスを整えようとしながら落ちるので、時間的にも足から落ちるよ
うに着地の準備ができます。しかし、後者の場合は、予想外のことであ
り、着地の準備ができません。特に後ろ向きに落ちる場合は腰・背中・
頭から落ちてしまうでしょう。
 52cmの高さから落ちた人はヘルメットを着用していたらどうなった
でしょうか。おそらく、死亡することはなかったでしょう。
 「1メートルは1命取る」という言葉がありますが、1m以下であっ
ても死亡する場合もあることを踏まえて、職場の安全対策・安全保護具
を考えていただきたいと思います。
 現在、平成28年度厚生労働省委託事業 荷役災害防止担当者安全衛生
教育(荷主向け)を全国で開催しています。是非、足を運んで、荷役災
害防止に取り組んでください。
 下記は、説明会の開催日程一覧です。
 http://www.jashcon.or.jp/contents/niyakuworkshop2016

                       
ご安全に!

2016年10月15日記(東京 足場解体事故)
 10月14日、東京で足場解体作業中に鉄パイプが落ちてきて、下を通行
していた人の頭を直撃し、死亡させる事故がありました。
 これは作業員が手を滑らせたという作業ミスだけでは済まされません。
作業中の落下物を防ぐために“朝顔”という防護板を設置していました
が、資材の搬出のために、外してしまっていたということです。
 資材の搬出等で、足場の一部を一時的に外したりすることは違法では
ありませんが、その間は、作業者の転落や、物の落下を防ぐ措置をしな
ければなりません。
 今回の事故では、歩道(道幅約5m)の端に1m程の通路を区切って、
通行帯としていました。作業中は、その通行帯も通行禁止にしていたの
ですが、歩道の誘導員が上空を見て、「作業中断」と判断して、歩行者
を通した瞬間のできごとでした。
 この事故の要因として、誘導員はどうして「作業中断、通行可」と判
断したのでしょう。人通りの多いところですから、歩行者を長く待たせ
てはならない・通してあげたいという意識があったのでしょう。上空を
見て、今なら通してもいいと判断してしまったようです。
 ここで考えなければならないのは、歩道誘導員は歩行者の方に注視し
ており、作業の進捗状況は把握できません。足場の解体作業者は目の前
の作業に集中しており、歩道の状況は把握できません。地上と足場の上
では30mの距離がありますので、作業指揮者がコントロールしなければ
なりません。それぞれの判断で作業していたら、このような事故が発生
するのは当然でしょう。
 もう一つ気になるのは、朝顔が1段しかなかったことです。11階の建
物ですから、高さは30m以上あるでしょう。現場の朝顔の位置は地面
から5mぐらいです。ということは、一番上から、物を落としたら、朝
顔まで約25mありますので、防護板を突き破る可能性もあります。朝顔
は10mごとに必要です。  
 参考(足場の専門用語の一部)
 アンチ:作業床。足場板、踏み板ともいう
 建地(たてじ):地面と垂直に立てる支柱のこと
 根がらみ:足場の支柱の下部を横に連結する部材
 火打ち:足場の最上部のコーナーを補強するためにつなぐ単管パイプ
 道板:足場の沈み込み防止のためにジャッキの下に這わす板
 やらず:足場が倒壊しないように地面から単管パイプで突っ張るもの
 ちなみに、朝顔は、庇(ひさし)と逆の傾斜を付けた防護板で、花の
 朝顔から名付けられたそうです。

                       ご安全に!

2016年10月8日記(電通事件)
 初めての「過労死白書」が10月7日に発表がありました。また、その
日に、元電通社員の自殺が過労自殺と認定されたニュースが流れました
この社員は平成27年3月に東京大文学部を卒業後、4月に電通に入社し、
半年後には、100時間を超える残業があり、昨年12月25日に投身自殺し
ました。入社して、わずか8か月しかたっていません。なぜこんなこと
になったのでしょうか。また、電通では1991年に24歳の社員が自殺し、
2000年に判決が出て、1億6800万円という和解金が支払われました。そ
の和解の際には、企業の責任を全面的に認め、二度と同じことを起こさ
ないと誓いましたが、再び、同じ過ちを繰り返してしまいました。

 元電通社員のSNSの書き込みがありました。
 (記載日は昨年のものです。ネットから引用しています)
 10/13 休日返上で作った資料をボロくそに言われた。もう、体も心
    もズタズタだ
 10/14 眠りたい以外の感情を失った
 10/21 もう4時だ 体が震えるよ しぬ もう 無理そう。疲れた
 11/3 生きているために働いているのか、働くために生きているのか
    わからなくなった
 11/5 土日も出勤しなければならないことが決定し、本気で死んでし
    まいたい
 11/10 毎日次の日が来るのが怖くて寝られない
 11/12 がんばれると思ってたのに予想外に早くつぶれてしまって自
    己嫌悪だな
 11/18 毎朝起きたくない? 失踪したくない?
 12/9 働きたくない。1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる
 12/17 死ぬ前に送る遺書メールを誰に送るか考えてた
 (12月25日に自殺)
 これを見ると、2か月半の間とても苦しんでいたことが判ります。
 SOSを発信し続けていたにも関わらず、最悪の結果になってしまい
ました。誰かが適切なアクションをとっていたら、救えたのではないで
しょうか。とても残念な事件です。

                      
 ご安全に!

2016年10月2日記(フルハップ)
 私、中川は、日本フルハップの広報誌「まいんど」10月号に火災予防
について書きましたので、紹介します。

■出火原因第1位の「放火」に注意
火災は、一度に多くの被災者が出たり、財産を失い、操業停止に追いこ
まれることがあります。最悪の場合、取引先の信頼を失い、廃業危機に
陥るケースもあり、絶対に避けねばなりません。
火災原因といえば、かつてはたばこの不始末が1位でしたが、昨今は放
火に変わりました。可燃物を外から見えるところに放置すると、放火さ
れるかもしれません。事業主に非がなくても、実害を受けるのは事業所
です。とくに夜間は、外から見えるところに可燃物を放置しないように
気をつけましょう。
■火災の三要素を理解し、危険場所を把握する
防火管理(火災予防)を行うにあたり、火災(燃焼)の三要素を理解す
ることは欠かせません。火災の三要素とは、「酸素」「可燃物」「点火
源」です。三要素すべてが存在しなければ、火災は発生しません。つま
り、どれか一つを無くすだけで火災を防げるのです。しかし、酸素は空
気中に含まれていますし、可燃物は多くの事業所にあります。燃え上が
る炎だけでなく、火花や静電気、過熱状態も点火源ですから、実際に一
つを完全に無くすことはむずかしいかもしれません。重要なのは、「従
業員の知識と意識」です。どの作業で過熱状態が発生するか、火花が飛
ぶか、静電気が発生するかを知ることが大切です。溶接や溶断など直接
炎を上げる作業や、グラインダーの研磨作業で火花を飛ばすこともあり
ますが、それでも火災が発生しないのは、可燃物がないからです。仮に
その場所にシンナーなどの可燃性液体や、おがくず、段ボールがあれば、
たちまち火災になってしまいます。日常的な作業でも、条件が一つ加わ
ることで火災になることを知っておきましょう。また、火災の要因には、
慣れや、意識の希薄もあげられます。常に防火意識を持つようにしまし
ょう。
■火災が発生したら まずは周囲に知らせよう
万一、火災が発生しても、初期対応が万全であれば、致命的な災害とな
るのを防ぐことができます。その初期対応として最も大切なのは、火災
が発生した際に、「火事だ!」と大声で発することです。一人では何も
できなくても、その場に同僚が集まれば、何らかの対応ができるかもし
れないからです。初期消火の前に、まずは大声で叫びましょう。
大切なのは、普段から火災のリスクを認識し、危険場所を把握しておく
ことです。早期発見、早期対応ができれば、被害を小さくすることがで
き、事業再開も容易になることでしょう。

                      
 ご安全に!

2016年9月24日記(静電気対策)
 先日、微細な紛体を多く使用している会社に行きました。
 「粉じん爆発の危険があることは認識していますか?」と聞いたとこ
ろ、「粉じん爆発の危険は認識しており、作業者は帯電防止服を着用し
ていますので、大丈夫です」という回答でした。
 現場を見ると、作業者は帯電防止服を着用していました。しかし、靴
はゴム底の安全靴、床はごく普通の床でした。帯電防止服には金属線が
編み込まれていて、身体との摩擦等で発生した静電気を流しますが靴が
ゴム底であれば、足から地面には電流は流れません。帯電防止服の金属
線から自然放電しますが、すべて放電されるとは限りません。今まで、
ボヤも火災もなかったということですが、下着の素材や気温、湿度等、
静電気発生の条件は日々変わります。作業の内容によっても静電気の発
生は異なります。今まで事故が無かったから大丈夫とか、同業他社でも
事故が無かったから大丈夫とは言えません。万一発生した場合には、多
くの作業者が被災するかもしれません。機械設備が損傷して、生産活動
が止まってしまうかもしれません。
 静電気対策としては、アース線を接続したり、静電気リストバンドを
接続したり、静電気除去装置を使うなどいろいろありますが、まず、静
電気発生状況を確認(測定)する必要があります。考えられる作業行動
で測定して、リスクの可能性を評価する必要があります。

                       
ご安全に!

2016年9月17日記(荷役災害)
 荷役作業での災害が多く発生しています。厚生労働省では、本年度、
荷役作業に伴う災害を防ぐために、全国各地で、講習会を開催すること
になりました(大阪では11月21日に開催します。参加無料。大阪以外で
の日程は、把握しだい、週刊ご安全に!で紹介します)
 荷役作業は構内での荷物運搬や、トラックへの荷積み・荷卸しもあり
ますし、運送会社が荷積み・荷卸しすることもあります。運送会社の社
員が荷主が所有するクレーンやフォークリフトを使うこともあります。
この場合は、運送会社と荷主との間で荷役作業を安全に行うための意識
統一とルール化を進めなければなりません。
 もし、運送会社の作業員がケガをした場合、荷主側の責任はどうなる
でしょうか。会社が異なるから関係ないと言えるでしょうか?荷主側は
荷役作業を安全に行う環境を整える責任があるはずです。
 構内に運送業者が入って作業する会社は多いと思います。今まで、何
も災害が発生しなかったからといって、安全な作業だとは言えません。
事故が発生するまえに、災害の現状を知り、必要な対策を進めていきま
しょう。

                       
ご安全に!

2016年9月10日記(奈良 リサイクル会社)
 9月5日に奈良市の木材リサイクル会社で45歳の男性作業員が破砕機に
巻込まれて死亡する事故がありました。驚いたことに、一か月前の8月
2日に別の工場でベルトコンベアに巻き込まれて67歳の男性作業員が死
亡し、同じ月の8月20日には後退中のショベルカーとトラックに挟まれ
て56歳の男性作業員が死亡したばかりです。さらに2011年4月にもベル
トコンベヤーの清掃中にも死亡事故がありました。この会社の従業員数
は100人未満だろうと思います(2009年3月現在で49名)。そのような規
模で、約1か月に3人死亡、5年前にも1人死亡しています。なぜ、こんな
に死亡事故が続くのでしょう。9月5日に死亡した作業員はその日が破砕
機を使う初日でした。
 破砕機は大きな物でも堅い物でも砕く強力な物です。誰が見ても危険
な機械に見えるはずです。誰もが「近づかないようにしよう」と思いま
す。誰も近づかないのですから、災害は発生しません。インターロック
や安全柵等が付いていなくても、近づかないのですから災害が発生しま
せん。その結果、安全対策に不備があっても、危険な機械と認識されな
くなる可能性があります。被災者が死亡しており、目撃者もいませんの
で、状況は判りませんが、おそらく、破砕機に入れてはいけないものを
発見し、手で取ろうとして、接近したのでしょう。服か何かが引っかか
ったら、人間の力では引っ張っても取れません。悲鳴を上げたとしても
機械の騒音にかき消されてしまうでしょう。
 今まで事故が無かったというのは、「安全」ということではありませ
ん。考えられる災害の状況を特定して、安全対策を行い、手順書を整備
して、教育しなければなりません。
 9月8日には滋賀県にあるパナソニックの工場で、機械の故障を点検し
ていた59歳の男性社員が機械に挟まれて死亡しました。
 8月23日には神戸市にある森永乳業神戸工場で、機械が故障したが、
急に動き出して挟まれる事故も発生しています。この事故では、「機械
が止まった」と「機械を止める」という2つの状況の違いを理解しなけ
ればなりません。「止める」というのは、機械操作をしたので、次の起
動指示があるまで動くことはないでしょう。しかし、「止まった」は、
止まる原因が無くなれば動くものです。「止める」と「止まった」は、
目の前の状況は同じかもしれませんが、まったく異なるものです。
 機械安全の原則はたったの2つです。「停止」と「隔離」です。掃除
や点検等の時は、機械を止める。機械が動いている時は「誰も接近でき
ない隔離」です。

                       
ご安全に!

2016年9月3日記(受動喫煙防止対策)
 8月31日に厚生労働省は「たばこ白書」をまとめました。それによる
と、日本の受動喫煙防止対策は先進国で最低レベルである。屋内での喫
煙を禁止しなければならない」と提言しています。また、受動喫煙が原
因となる死亡者が1年間に約15,000人とも述べられています。
 受動喫煙防止が労働安全衛生法改正で追加されましたが、努力義務と
いうレベルであるために、まだまだ受動喫煙防止は道半ばです。労働安
全衛生法では努力義務ですが、民事訴訟で過去に3回(中川が把握して
いる回数)、受動喫煙が原因だという健康障害で損害賠償請求裁判も行
われました。その裁判の結果は全て、労働契約法に基づく、安全配慮義
務違反として、事業者側が敗訴になりました。ということは、受動喫煙
防止対策が不十分であれば、裁判すると必ず負けると考えなければなら
ないでしょう。事業所のリスク管理の点でも、受動喫煙防止対策は必須
の時代になったということです。
 職場での受動喫煙防止としては、①敷地内全面禁煙、②建物内全面禁
煙、③喫煙室内のみ喫煙可(分煙)となります。①が一番効果があるの
ですが、喫煙者の理解が得にくいという課題もあります。③は喫煙場所
を確保して、隔離して排出するなど費用が高く発生します。
 今だに受動喫煙防止策が進められていない事業所は、喫煙者の理解が
得られず、喫煙室スペースの確保と費用負担に課題があるのでしょう。
そこで、根本的な対策とは言えませんが、緩和する方法として、電子タ
バコの導入があるでしょう。電子タバコは受動喫煙で最も有害と言われ
る副流煙(たばこの先端から立ち上る煙)がほとんどありません。とい
うことで、フィリップモリス社のiQOS(アイコス)を実験しました。
 今回の実験では粉じん濃度の比較です。喫煙室より条件の悪い車の中
で測定しました。
 一般のタバコを5分間吸った時の粉じん濃度は、8.77mg/m3
 iQOSを5分間吸った時の粉じん濃度は、1.56mg/m3となりました。
 iQOSは一般のタバコの5分の1以下でした。この差は主流煙が無いか
らだと思います。あるタバコを吸わない人に聞いたところ、いままで、
職場の中でタバコを吸う人がいたけど、その人がiQOSに変えたら全然気
にならなくなったと言っていました。(個人の感想です)。ある喫茶店
ではタバコはダメだけど、iQOSはOKという店もあるそうです。
 また、日本たばこ産業ではPloomTECH(プルームテック)という電子
タバコを発売しました。アイコスもプルームテックも現在は入手が困難
ですが、タバコによる苦痛緩和にはなるでしょう(健康面での有害性は
まだ不明確です)。
                       ご安全に!

2016年8月27日記(奈良少年刑務所)
 今回は私の話で恐縮です。
 私の仕事の一つに奈良少年刑務所(若草技能訓練所)での石綿作業主
任者技能講習の講師があります。平成21年から続いており、先日12回目
が終了しました。
 ここでは再犯率を下げるために、職業訓練に力を入れています。出所
後、すぐに石綿作業主任者として現場で活躍することはないでしょうが、
資格を取得することにより、労働意欲につながっていると思います。
 この刑務所は日本一暑く、日本一寒い刑務所と言われており、冷暖房
設備はありません。先日(8月26日)は34度の中、扇風機だけで講習を
行いました。私も受講者も汗を流しながらの講習でした。
 実務の経験が乏しいため、内容の理解にはかなり難しい面も多いと思
いますが、受講者の態度はとてもよく、ひそひそ話も居眠りも全くあり
ません。中には眼光の鋭い人がいて、目が合うと、怖いと感じることも
ありましたが、皆、熱心に受講しています。その受講態度を見ると、
「なぜ彼らはここに居るのだろうか?」と疑問を感じるほどです。
 この場所での石綿作業主任者技能講習は今回で最終回となりました。
この施設は今年度末で閉鎖が決まったのです。奈良少年刑務所は明治41
年に竣工したもので、レンガ造りの建物はとても素晴らしいものです。
今年度末に閉鎖されますが、建物は保存する方向で、重要文化財にする
動きもあります。
 毎年、奈良矯正展が開催され、多くの方が見学に訪れています。最後
の奈良矯正展が9月10日・11日に開催されます。

                      
 ご安全に!

2016年8月20日記(焼き鳥チェーン店 鳥貴族)
 焼き鳥のチェーン店を全国展開している鳥貴族の南柏店(千葉県)で
食品添加物アルコール製剤をチューハイ用の焼酎と誤って使用して、
151杯を提供したというミスが判明しました。
 下記は鳥貴族のHP 
 https://www.torikizoku.co.jp/pdf/20160816_oshirase1.pdf
 なぜ、こんなミスが発生したのでしょうか。
 業務用の焼酎・食品添加物アルコール製剤・ドリンクサーバーを使用
していたため、一般の方には判りにくいかもしれませんが、焼酎といっ
ても普通の酒屋に置いてあるような一升瓶ではなく、ポリバックを段ボ
ールで囲い、先にノズルが付いたものです。普通は段ボールのまま使用
するのですが、衛生上の対策として、厨房内に段ボールを持ち込まない
ようにしていました。段ボールを外せば透明なポリバックで文字も何も
ありません。アルコール製剤も同様でした。焼酎もアルコール製剤も無
色透明な液体であり、ポリバックも無色透明なので、見分けがつかない
のです。それを取り間違えてドリンクサーバーに入れてしまいました。
焼酎とアルコール製剤はメーカーも異なり、ノズルの形状も違うのです
が、ちょっと無理して差し込むことが可能でした。メーカーは箱のまま
使用できるようにノズルを付けており、段ボールを外すことは想定して
いなかったのでしょう。
 馴染みの居酒屋で焼酎とアルコール製剤を飲ませて(少量)もらいま
したが、もちろん違いが判りますが、レモンやグレープフルーツで味を
つけると、気付かず飲んでしまうかもしれません。
 表示物を外すとこのような間違いが発生するかもしれません。


2016年8月20日記(東京メトロ 盲導犬連れ男性が転落)
 8月15日、東京メトロの青山一丁目駅のホームから男性が転落し、電
車に轢かれて転落する事故がありました。男性は視覚障害があり、盲導
犬をひいていましたが、なぜか盲導犬より線路側を歩いていました。不
明な点はあるのですが、ホームドアが設けられていたら、発生しなかっ
たでしょう。ホームからの転落は、酔って転落、歩きスマホで転落、躓
いて転落、押し出されて転落、自殺など以前から多く発生しており、そ
のたびにホームドアの設置が議論されていますが、まだまだ設置率は低
いです。費用や施工の問題で全ての駅に導入することは困難かもしれま
せん。しかし、このような事故はいつ発生するか予測できません。施工
が完了するまで「仕方ない」では済ませられません。
 一つの方法として、ホームドアの無い駅では、ホーム侵入時の制限速
度を時速5km以下に定めてしまえばいいのです。時速5km以下なら
何かトラブルがあっても、すぐに停車できます。
 すなわち、ホームドア設置を選ぶか、徐行を選ぶかです。
 ホームドア設置計画はあるが、それまでは現状という考え方でよいの
でしょうか。

                       
ご安全に!

2016年8月13日記(広島のトンネルでトラックが事故)
 今年3月に東広島市の山陽自動車道のトンネルでトラックが多重衝突
して2人が死亡した事故はまだ覚えておられると思います。
 今月12日にトラック運転手の所属する運送会社の運行管理者が道交法
違反(過労運転の下命)で逮捕されました。
 トラック運転手も過失致死傷・過労運転の違反で起訴されています。
 トラック運転手は今年1月5日から事故を起こした3月17日までに休み
が3日しかなく、事故1か月の拘束時間は国が定める上限の320時間を100
時間上回っていたということです。
 先日、私が車で仕事に行く時に、信号が変わっても前のトラックが動
かず変だなぁと思って追い越しざまに運転席を見ると、運転手が寝てい
ました。広島の事故は氷山の一角なんでしょう。
 居眠りというのは過労に限ったものではありません。普通に生活して
いてもしてしまうものです。運転中の居眠りを完全に防ぐ方法はありま
せん。また、体調の急変により意識を失うこともあります。
 居眠りや体調の急変時に事故にならないような運転支援システム(自
動ブレーキ等)の普及が必要です。もちろん、過労運転を命じることは
あってはなりません。


2016年8月13日記(数字に表れない過労)
 リオオリンピックは日本勢の活躍が目覚ましくとても嬉しくテレビを
見ている方も多いでしょう。
 その活躍の影には多くのスタッフ・指導者の努力があります。これは
スポーツだけではありません。先日のクローズアップ現代では吹奏楽部
の「ブラック部活」が放映されました。授業中以外はほとんど部活に拘
束され、指導者から体罰や暴言をはかれ、ブラック企業ではなく、ブラ
ック部活だというものです。しかし、逆の目線で見れば、指導者の長時
間労働でもあります。
 以前、学校の校医をしている産業医の先生と話しをする機会がありま
した。ストレスチェックが義務化されて、導入したけど、高ストレス者
が多くて困っているということでした。面談をして、状況を聞くと問題
点は数多くあるが、解決策の糸口が見えてこない。いっそのこと、スト
レスチェックの結果を校長に提出して、危機的状態であることを知って
欲しいとも言ってました。
 ストレスチェックで労働者がストレスの状態を認識することだけでは
効果が期待できません。ストレスチェックの集団分析を進め、ストレス
要因を解決・緩和していく組織(仕組み)が必要です。

                       
ご安全に!

2016年8月6日記(NHK朝ドラ)
 NHKで現在放送中の朝ドラは「とと姉ちゃん」。これは生活総合誌
「暮しの手帖」を創業した大橋鎭子氏をモデルにしたフィクションドラ
マです。先週は「あなたの暮し(番組中での雑誌のタイトル)」でホッ
トケーキの作り方を掲載する話でした。
 最初はレシピを文章にしてみましたが、人の理解の仕方が異なるため
おいしいホットケーキができませんでした。「堅くなるまで混ぜる」と
書いても、その堅さが読者には判りません。当時としては新しい試みの
連続写真を使ったレシピになり、生地の垂れ具合(堅さ)を写真で見る
ことができるので、誰でもおいしいホットケーキが作れるようになりま
した。
 私たちが職場で使う作業手順も同じことです。文字情報だけでは主観
が入ってしまいます。写真を使うなど、見て、比べられることが重要で
す。


2016年8月6日記(埼玉県での落雷事故)
 2016年8月4日、埼玉県の川越南高校のグランドで練習試合中に落雷が
あり、16歳の生徒が被災しました。(意識不明の重体)
 当時、落雷注意報は出ていましたが、雨も降っておらず、雷鳴もなか
ったところにいきなり落雷がありました。
 同じような事故で1996年8月にサッカーの試合中に落雷にあい、視力
を失い、手足が不自由になり後遺障害を受けました。その被災者と家族
が高校などに損害賠償を請求し、3億円の支払いの判決がありました
(2008年)。この時は雷鳴が聞こえており、上空の放電も見えていたの
で、競技を中断するという注意義務を怠ったと判断されたのです。
 今回の落雷事故は予兆はなかったという報道でしたが、雲が黒くなる
などの何らかの予兆はあったはずです。落雷注意報が発令されたら、全
ての屋外活動を止めるべきだとは言いませんが、落雷注意報が発令され
たら、雲の色や風などを注意深く観察するようにしてください。

                       
ご安全に!

2016年7月30日記(御柱祭)
 長野県の諏訪大社の御柱(おんばしら)祭で今年5月に転落死亡事故
がありました。某弁護士が、「祭りのたびに、転落死が発生している状
況は人命軽視にあたるとして、中止の申し立て」をしました。御柱祭は
6年ごとに開催されていますが、毎回のように死亡者やケガ人が出てい
る状態でした。中止の申し立てを行いましたが、7月23日、最高裁はこ
の申し立てを棄却しました。
 作業の現場と違って、転落防止柵を設けたり、親綱を張って安全帯を
使用することができない場合もあるかもしれません。転落防止柵ができ
ないからといって、何もしないというのも問題でしょう。
 そんな時に役立つのが、プロップ社のライフジャケット“いつも”で
す。加速度センサーを内蔵しているので、転落を感知し、エアバックを
広げるのです。
 http://www.prop-g.co.jp/product_itsumo.html
 足場の作業とか、高所での作業でも使えると思いますが、安全保護具
ではありませんので、転落防止柵や安全帯が必要です。この“いつも”
は転落したときの重篤度を低減する可能性のあるもので、実際には、足
を骨折するなどの事故になることもあります。ただ、安全帯は、フック
を掛けなければ転落を防止できません。人間ですから、フックを掛け忘
れる可能性もあります。たとえば、外す予定の単管にフックを掛けて、
単管を外した時に一緒に転落する事故もありました。
 もし、作業者がフックを掛け忘れたからといって、その作業者の責任
だけとは言えません。事業者は安全帯を正しく使用していることを確認
する義務がありますので、事故が発生すれば事業者責任を問われます。
 以前、ある会社で1.8mの高さで作業している現場がありました。転
落防止措置はできていません。担当者に聞くと、2m未満であり、柵を
付ける場所もなく、作業者に注意するしか方法が無いということでした。
2m未満でも死亡することもあり、首や腰を骨折して、長期の休業にな
る可能性もあります。転落を防止することはできなくても、軽減するこ
とは可能です。たとえば、棒高跳びの競技で使うようなマットを周辺に
置くことも対策の一つです。
 作業者は落ちたくないと思っていますが、落ちる可能性があるなら、
何らかの対策をすることは必要です。

                       
ご安全に!

2016年7月23日記(モンスターにご注意)
 
ニュースでご覧になったでしょうが、「ポケモンGO」のアプリが日
本でも配信されました。遊ぶ人の事を「ポケモントレーナー」と言うそ
うですが、中には危険な行為をする人もいるそうです。この人達を「モ
ンスター」と呼びましょう。モンスターは、
 ○バイクを運転しながら、スマホを見ています
 ○車を運転しながら、スマホを見ています
 ○自転車を運転しながら、スマホを見ています
 ○歩きながらスマホを見ています。
 本当に危険な行為です。仕事中はもちろんですが、通勤途中のながら
スマホは絶対にしないように指導いただきたいと思います。業務で運転
中の交通事故がなかなか減少しませんが、これで、また増加に転じない
か心配です。
 また、運転中などにモンスターが急に車道に出てきたりするかもしれ
ません。安全運転に注意し、周囲に目を配るようにしてください。歩行
者の飛び出しでも、運転者に責任が及ぶ場合もあります。
 人間の視野はとても広いのです。スマホの画面を見ていても、周囲の
状況は視野に入ります。そのため、モンスターは周囲を見えていると思
っていますが、実際には見えていない(認識していない)ことが多いも
のです。みなさんがこのメールを読んでいる時に、読んでいる行の文字
を見ながら、2行下の文字、3行下の文字が読めますか? 読めないと
思います。注視している点から少し離れると、視野に入っていても脳は
認識できないものなのです。これが、ながらスマホの怖いところです。
 また、モンスターの怖いところは、立ち入り禁止区域に入ってくるか
もしれないという点です。夜間にフェンスを乗り越えて入ってくるかも
しれません。工事現場に入ってくるかもしれません。
 ゲームは安全な場所で仮想世界を楽しむものであり、現実の世界で移
動しながら、遊ぶものではないはずです。本当に厄介なゲームが出てき
たものです。
 モンスターにならないように、また、モンスターの被害にあわないよ
うに気を付けてください。


2016年7月23日記(水素風呂)
 
家庭でできる水素風呂という商品があります(美容に良く、身体の酸
化を防止できるそうです)。その水素風呂の商品の一部(薬剤を投入す
るタイプ)で火傷などが発生しています。生石灰(酸化カルシウム)を
お風呂に入れると水素が発生して水素風呂が楽しめるというものです。
生石灰を濡らすと発熱します。反応の途中でその商品を風呂から引き上
げると、表面温度は急上昇し、100℃にも達し危険です。説明書通りに
使えば、火傷することはないのでしょうが、読まない人も多いはずです。
危険なものは、取扱説明書を読まなくても安全、取扱説明書通りに扱わ
なくても安全なことが製品には求められると思います。もし、効果を求
めるために、たくさんの薬を入れたらどうなるでしょう?水素は水に溶
けにくいのでお風呂の上部に溜まります。何かの引火源があったら、爆
発ということも考えられるでしょう。          
   
                       
ご安全に!

2016年7月16日記(ポケモンGO)
 「ポケモンGO」というスマホ用のアプリをご存知でしょうか?
 まだ国内では配信されていませんが、アメリカなどでは配信が始まり
爆発的な人気になっています。
 このアプリは、GPSを利用して、歩き回ってポケモンを見付けて、
ゲットするものです。実際にポケモンが出没することはないのですが、
ある場所に近づくとポケモンが近くにいることを表示し、そのポケモン
を探すのです(私の文章力では上手く説明できないかもしれません)。
 このアプリは、私から見ると、非常に危険なものです。街中をスマホ
の画面を注視しながら歩く人が間違いなく増えます。今でさえ、歩きス
マホが問題視されているのに、これ以上増えたらどうなるのでしょう。
 先日、テレビで見ましたが、多くの方がスマホの画面に注目しながら
街中を歩いています。
 次の動画は7月13日の日テレニュースの映像です
 http://www.news24.jp/articles/2016/07/13/10335273.html
 「週刊ご安全に」を読んでいる方は歩きスマホをしないでしょうが、
あなたが運転中に、歩きスマホの人が車道に出てくるかもしれません。
もうすぐ、国内でも配信が始まるようです。運転時には、注意が必要に
なります。私の車にはドライブレコーダーが付いていますが、歩道側を
撮影するドライブレコーダーを追加した方がいいかと考えています。国
内配信が始まったら、職場でも注意喚起をしていただきたいと思います。
 ゲームを始める時には注意表示が出ます「周りをよく見て、常に注意
しながらプレイしてください」ということは、このゲームは危険性が高
いことを承知しているのです。それを世に出すとは企業の社会的責任を
疑います。
 ゲームは仮想世界での遊びであり、それが現実世界と仮想世界が混在
すると接触事故、転落事故につながるでしょう。本当に厄介なゲームが
出てきたものです。

2016年7月16日記(32億円の損害賠償)
 2008年8月3日、東京の首都高速道路での火災事故を覚えていますか?
ガソリンと軽油合わせて20キロリットルを積んだタンクローリーが首都
高速道路で転倒(スピードオーバーでカーブを曲がり切れずに転倒)に
より火災が発生し、2階建て構造の高速道路の上下が熱によって、変形
し、全面復旧に2か月を要しました。復旧工事に20億円、通行止めによ
る逸失利益25億円の合わせて45億円を運送会社に請求する訴訟を起こし
ました。
 今週7月14日に判決が出て、運転手と運送会社に32億8900万円の支払
いを命じる判決が出ました。
 運転手個人では払えないでしょう。運送会社がいくらの保険に入って
いるかは不明ですが、全額の支払いは困難でしょう。
 交通死亡事故は、昭和30年台に1万人を超え「交通戦争」という流行
語が生まれましたが、平成27年は4,117人となり、ピークの4分の1ほど
になりました。
 参考
  交通死亡事故が一番多い年は1970年
   死亡者数:16,765人(1年以内の死亡者数は約2万2千人)
 交通事故死亡者は年々減少方向にありますが、業務中の交通死亡事故
は増加または横ばい状態です。業務中の事故が減らないのは、運転中、
絶えず、時間に追われ、無理な運転をしたり、睡眠不足・ストレス、携
帯電話の対応などに気を取られるからでしょう。
 運転中は一人であり、誰の監視もありません。運転者への安全意識を
高めるための安全教育が重要です。

                        
  ご安全に!


2016年7月9日記(健康診断)
 7月6日の読売新聞に興味深い記事がありましたので紹介します。
 
「40歳以上のサラリーマンで、血圧や肝機能など健康診断の主要4項
 目が全て「基準値範囲内」の人はわずか2割にも満たないことが、健
 康保険組合連合会(健保連)の調査でわかった。
 健保連は、食事や運動など生活習慣の見直しによる改善を呼びかけて
 いる。
 健保組合は、大企業の会社員や家族約3000万人が加入している。この
 うち、433組合に加入する40~74歳の会社員270万4234人について、20
 14年度の血圧、脂質、血糖、肝機能のデータを調べた。
 その結果、4項目全て基準値範囲内の人は約45万人で全体の17%しか
 いなかった。半数にあたる約136万人は、1項目以上が「医療機関の受
 診を勧める数値」となっていた。「受診は必要ないが保健指導が必要
 な数値」の人は約89万人(33%)いた。(引用終わり)

 私はどうかというと、サラリーマンの時は健診項目すべて基準範囲内、
心電図等も問題なし。保健師も「中川さんみたいに何にもない人って、
数えるほどしかいませんよ」と言ってくれました。しかし、今は肥満で
基準超えもあります。あの頃は電車通勤で、日中は職場巡視でかなり歩
き回っていました。マラソンもしていました。
 ちょっと反省しています。


2016年7月9日記(歓送迎会のあとの労災)
 7月8日の最高裁の判決に興味深いものがありましたので紹介します。
 (7月8日:朝日新聞から引用)
 
会社の歓送迎会から残業に戻る途中、交通事故で死亡した男性が労働
 災害と認められるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法
 廷(小貫芳信裁判長)は8日、「労災に当たる」との判断を示した。
 原告は福岡県苅田町の金属加工会社に勤務していた男性(当時34)の
 妻。判決によると男性は2010年12月、居酒屋で開かれた中国人研修生
 の歓送迎会に参加。飲酒はせず、残業に戻る前に研修生を車で住居に
 送り届ける途中、大型トラックと衝突して死亡した。
 男性の妻は労災保険法に基づく遺族補償給付などを申請。国が「死亡
 は業務と関連しない」として支給しなかったため、処分の取り消しを
 求めていた。
 第二小法廷は、男性が一度は断ったが上司に促されて歓送迎会に参加
 したことや、会費が会社の経費で支払われたこと、送迎には社有車が
 使われたことなどから、会が「事業活動に密接に関連していた」と認
 定。「男性は会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ、事故の
 際も会社の支配下にあった」と判断した。
 一審・東京地裁は「参加は本人の意思」などとして妻の訴えを退け、
 二審・東京高裁も支持していた。(引用終わり)

 歓送迎会の参加は任意といいながら、立場上、参加しなければならな
いという例は多いでしょう。また宴会は全員参加を強制されている企業
もあるそうです。
 その宴会の帰りに、階段を踏み外して転落するなどのケガも多いかも
しれません。(宴会の帰り道は通勤災害とは認められません)
 今回の事故は、翌日社長に提出する書類作成で残業しなければならな
い状況であり、上司の命令により研修生を送り届けなければならなかっ
たことが労災の判断理由となりました。
 このような事は宴会以外にも運動会や球技大会などのレクリエーショ
ンでもあるでしょう。
 今回の判決では労災として認められましたが、労災の認定基準があま
くなったわけではありませんので、ご注意ください。

                          ご安全に!

2016年7月2日記(労災隠し)
 
下記は大阪労働局茨木労働基準監督署が発表した労災隠しによる書類
送検事例です。
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/soken/280630-ibaraki.pdf
 事故は足場組立等の工事中におきました。元請け、下請けが共謀して
死傷病報告を出していませんでした。
 このような死傷病報告を出さないことを「労災隠し」といい、多くの
場合、書類送検されるという厳しく処罰されます。なぜ、労災隠しを厳
しく取り締まっているかが書かれていましたので紹介します。
  「労働安全衛生法が労働者の業務上の負傷等について、事業者に対
  して労働基準監督署長への報告を義務付けているのは、労働基準行
  政として災害発生原因等を把握し、事業場に対して同種災害の再発
  防止対策を確立させることはもとより、以後における的確な行政推
  進に資するためであり、労働災害の発生状況を正確に把握すること
  が労働災害防止対策の推進にとって極めて重要なことであることか
  ら、その根底を揺るがしかねない報告懈怠に対しては、厳正に対処
  することとしている。」
 監督署の立ち入り調査は多くの事業場が遠慮したいと思っていること
でしょう。そのため、報告をしたくないという意識が働くのでしょうが
法に反することであり、厳しく罰せられます。
 これは会社の中でも同じことが言えます。誰も負傷していなくても、
少し位置がずれていたら。とか、ちょっと逃げ遅れたら重大なケガをし
たかもしれないというヒヤリハットを、ケガしなかったら上司に報告し
ないでおこう。報告したら怒られる。という意識が働く場合もあるでし
ょう。しかし、同じような状況が再現したら、ケガをするかもしれませ
ん。そのような情報を共有し、リスクアセスメントし、対策を進めるこ
とが重要です。

                          ご安全に!

2016年6月25日記(「心の病」労災請求)
 朝日新聞より引用
  
厚生労働省が24日、15年度の「過労死等の労災補償状況」を公表し
  た。精神障害で労災請求した人は1,515人で、前年度比59人増。比
  較できる1983年度以降で最も多かった。
  労災認定された人は472人で25人減ったが、過去3番目に多かった。
  6割が30~40代で、うち自殺や自殺未遂者は93人だった。
  業種別で多かったのは道路貨物運送業や介護など医療・福祉、小売
  業など。原因別では、「仕事内容・仕事量の変化」「月80時間以上
  の残業」「2週間以上の連続勤務」など仕事量に関するものが目立
  ち、長時間労働が原因になっていることがうかがえる。
  「脳・心臓疾患」で労災認定された人は、前年度比26人減の251人
  (うち死者96人)だった。減少は3年連続。業種別では道路貨物運
  送業が3割。労災認定された人の9割が月80時間以上の残業をしてお
  り、長時間労働の影響が出ている。(以上引用終わり)

 今年、3月17日、広島の山陽自動車道のトンネルで2人が死亡し、67人
が負傷する事故がありました。トラックの運転手は過労が事故の背景に
あったともいえます。価格競争で、会社の利益が減り、給料も減る。給
料が減るから人が集まらない。その結果、過労状態になっていく悪循環
になっているように感じます。
 介護も労働者不足になっているところが多いようです。少ない労働者
で回すから過労になる。誰かが休んでシフトが空くと、他の誰かが無理
をしなければならない状態があると聞きます。
 原因は判っているけど、対策・改善が進んでいない問題です。
 昨年からストレスチェックが義務化されましたが、企業の数が多い50
人未満の事業所は義務化されていません。

                          
ご安全に!

2016年6月18日記(自動ドア事故)
 (ニュース記事を引用しています:6月17日読売新聞)
  
スーパーマーケットの透明なガラス製自動ドアにぶつかって前歯が
  欠けたとして、堺市内の女児(9)がスーパー経営会社に治療費など
  約20万円の賠償を求めた裁判の判決で、地裁は15日、「ドアの存在
  を示す注意表示が不十分だった」として会社側に約6万円の賠償を
  命じた。判決によると、女児は2014年10月、堺市内のスーパーの店
  内に入ろうとして、自動ドアにぶつかった。比嘉一美裁判長は「注
  意力が十分ではない子供を含む多数が頻繁に出入りする施設では、
  ガラス部分全体に自動ドアの存在を示す表示をすべきだった」と指
  摘。そのうえで、前をよく見ていなかった子供にも過失があったと
  して、賠償額を減額した。(引用終わり)

 職場巡視をしている読者も多いと思います。小学生等の見学を受け入
れている会社は注意が必要ですね。
 職場巡視は歩き回ることが多いのですが、作業者が座っている場合に
は座った状態での目線で見るなど注意が必要ですね。
 人間の見やすい角度とはどのくらいでしょうか?
 ネットで調べてみると、20度以内ということでした。安全に関する表
示をいろいろ実施していると思います。自然に視界に入る位置にあるこ
とが重要です。ある会社では、ボール盤(ドリル加工)の操作ボタンの
横に「手袋禁止」の表示がありました。スイッチを入れる時には必ず見
える場所です。
 ある会社では安全衛生年間計画を掲示していましたが、A4サイズの
紙に小さな文字でぎっしり書かれていました。手に取って見ても見えな
い小さな文字です。それを掲示して何の役にたつのでしょうか?
 ある会社では、SDS(安全データシート)を壁に貼っていました。
全部で6ページほどあります。またある会社ではSDSの要約をA3サイ
ズ1ページにまとめて表記して掲示していました。どちらが役にたつか
は明かです。
 ある会社では、「歩行喫煙禁止」と大きな表示がありました。今どき
歩行喫煙している会社はないでしょう。全員が守っている表示は必要あ
りません。ある会社ではトイレに「吸いがら、ガムを捨てないでくださ
い」と貼っていました。私はそれを見たとき、「この会社はレベルが低
いなぁ」と感じました。
 必要な情報は見やすい場所に、見やすい大きさが必要です。
 不要な情報は取り去りましょう。

                           ご安全に!
2016年6月11日記(双腕スカラロボット duAro)
 先日、東京ビックサイトで川崎重工業株式会社の双腕スカラロボット
duAro(デュアロ)を見てきました。
 
https://robotics.kawasaki.com/userAssets1/productPDF/japan/Dual-Arm_Scara_Robot.pdf
 産業用ロボットなのに、ロボットを囲む柵がありません。展示会であ
っても柵がないのは危険と思っていましたが、説明を聞くと、80W未満
の動力しかなく、労働安全衛生規則で定める基準以下のため、柵などは
必要ありません。
 80W未満でも、挟まれたりする危険がありますが、本体には柔らかい
素材のカバーで覆われており、人などが接触すると停止する安全装置が
組み込まれています。
 双腕とは腕が2本あるので、人と同じように、左右の手で物を持って、
それらを組み合わせることも可能になります。
 また、このロボットは人のサイズに近づけて作られており、生産ライ
ンの作業者との入れ替えもスムーズになります。
 しかも、プログラミングはタブレットで行います。
 機能と安全を兼ね備えたということですが、本質安全とは言えません。
パワーは弱くても、半田コテを持たせた場合には、火傷の危険がありま
すし、誤動作の危険もあります。致命的は傷害を与える可能性が少ない
というだけで、安全なロボットとは言えません。
 法的に、いろいろな面が免除されますが、メーカーのリスクアセスメ
ントデータと、実際の作業でのリスクアセスメントを行って、安全に使
うことがユーザーの責任となりますのでご注意ください。

2016年6月11日記(自転車運転)
 信号無視や一時停止など自転車の危険行為を取り締まる改正道路交通
法が施行されて、1年が経過しました。この1年で摘発した件数は13,455
件で、そのうち、大阪府は4,594件でワースト1になりました。多くの方
が摘発されましたが、1年経過しても良くなったようには思えません。
 1年前の施行時には、マスコミ報道もあり関心が高まっていましたが、
1年経過すると、忘れられることも多いでしょう。安全週間準備月間の
取組として、自転車通勤時の危険行為について周知していただいた方が
良いと感じます。
 (参考:大阪労働局)
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/anzen/280601-1.pdf
 また、業務で自転車を使う場合は、ヘルメット着用を検討していただ
いた方が良いと感じます。交通ルールを守っていても、無謀な運転に巻
き込まれることも考えられます。社員の誰かが大きなケガをしてから、
ヘルメット着用を検討するより、事故にあう前に検討していただきたい
と感じます。
 ちなみに、頭を守る自転車用のエアバックもあります。
 http://matome.naver.jp/odai/2142798364874045201

                          
 ご安全に!

2016年6月4日記(虐待・指導・教育・躾(しつけ))
 北海道で、7歳の男児が置き去りにされて、行方不明になった事件は
毎日のように報道されていたので、ご存じだと思います。結果的に、3
日に無事見つかりましたので、ほっとしましたが、あの置き去りにした
行為は、虐待なのでしょうか、指導・教育なのでしょうか、躾なのでし
ょうか、または怒りなのか、叱りなのかという点がネットの中で論議さ
れています。
 私が小学校4年の時の担任は、よく生徒にビンタしていました。左手
で首元の服を掴んで右手でビンタしていました。左手で支えているから、
殴り飛ばされて、どこかに頭をぶつけて致命傷を与えることは無いと言
っていました。とても厳しい先生だったのでよく覚えています。しかし、
学校の中で一番殴る先生だったけど、一番笑う、いい先生でした。
 私の親父は私や兄を押し入れに閉じ込めていました。かすかな記憶で
すが、「押し入れに入って、(なぜ押し入れに入れられたか)よく考え
ろ」と言われたように覚えています。小学校では、「バケツ持って廊下
に立っとけ」ということが多々あったと記憶しています。共通する点は、
自分の管理下に置いていることです。
 今回の置き去りは、教育・躾というより虐待に近いと思います。親や
先生の管理下ではありませんから、身の安全はありませんでした。もし
かしたら、熊に襲われたかもしれません。閉じ込めと置き去りは全く違
うと思います。置き去りは反省を促す意図があったとしても、本人には、
生存の欲求が一番であり、反省させるというものではないでしょう。
 知識を広げ、技能を向上させるためには、アメとムチのアメだけを与
えても向上しないかもしれません。ムチも必要でしょう。そのムチの与
え方が判らない人が増えています。教育的なビンタと虐待的なビンタを
使い分ける人も、少なくなりました。
 どうすればいいのでしょうか?
 小学4年の時の担任の先生を思い出して考えてみると、コミュニケー
ションと根気よく継続する事がポイントだと感じます。

                           
ご安全に!

2016年5月28日記(実弾と空包)
 北海道十勝管内鹿追町の陸上自衛隊然別演習場での実弾と空包の間違
い事故には驚きました。幸い軽傷で済みましたが、悲惨な事故になる可
能性のある事故でした。
 実弾については、とても慎重に扱っていました。保管については、ま
ったく別のところで保管しており、実弾を渡す際には、幹部ら複数が立
ち合い、数を数えて渡します。使い終わった後には、全て数えて、数が
合わなければ大捜索するほどです。
 実弾も空包も使う場合には、申請書を作成し、決裁を得たのち、申請
書に基づき、立ち合いの上で渡します。つまり、倉庫から隊員に渡すま
でには何回もの確認をしているのです。しかし、誤って実弾が使われま
した。実弾と空包は、写真で見ても判るくらいの違いがあります。
 なぜ、このような間違いが発生したのでしょうか?
 気が付かなかった原因は“思い込み”だったと考えます。全員が「今
日は空包」と理解していたら、実弾が届くとは予想しない訳ですから、
弾を見れば空包と思い込んでしまうのでしょう。
 産業の場ではこのような事はないのですが、使い間違いということは
多々あるかもしれません。
 私が指導した会社では、防毒マスクを使用していますが、有機溶剤と
酸性の液体を使っていました。使う場所は違うのですが、吸収缶の置き
場は同じところにあります。2つの箱に分けて入れられていました。吸
収缶は袋に入っています。担当者に「これは使い間違いのおそれがあり
ませんか?」と聞いたところ、「大丈夫です。袋に有機ガス・酸性ガス
の表示があります」と答えてくれました。しかし、実際に文字を読んで
いるでしょうか。有機用と書いた箱には有機ガス用が入っていると思い
込むので、何人が文字を読むでしょうか?。吸収缶は色のついたラベル
が貼られています(有機ガスは黒色、酸性ガスは灰色)。日常から、袋
の文字を読んで確認し、中を開けて色を確認する手順を指導しているの
でしょうか?購入した吸収缶を間違えて箱に入れる可能性も、戻す時に
間違えて戻す可能性もあります。
 ある会社では、吸収缶が少なくなったら補充しているので、古いもの
が底にたまり、使用期限が切れているということもありました。
 日常的な作業では文字を読まない可能性もあります(確認したと思い
込む)、色分けしていても、色の意味を知らなければ、認識されません。
 似たような物を確実に区別できる仕組みが重要です。
 例えば、防毒マスクのメーカーを分けて、有機ガス用はA社、酸性ガ
ス用はB社とすれば、吸収缶を間違えて取り付けること自体ができませ
ん。

                           
ご安全に!
2016年5月21日記(安全見える化)
 今年の全国安全週間スローガンは
 「見えますか? あなたのまわりの 見えない危険
    みんなで見つける 安全管理」
 人間には五感があり、目・耳・手指・舌・鼻(視覚、聴覚、触覚、味
覚、嗅覚)があり、危険を感じる能力がありますが、産業の場には、見
るだけでは分からない危険がいっぱいあります。
 たとえば、電気による災害もそうです。微弱電流なら、しびれる・痛
いと感じるのですが、10mAを超えるような電流に感電すると、生命の
危険があります。電球が光っているとか、機械が動いている際には、通
電状態であることが分かりますが、なにも見えるものがなくても、通電
していることもあります。それを判断するために、検電器があります。
検電器を当てると通電か停電かが判ります。しかし、検電器を当てた時
の状態しか判りません。またそれは、電流の有無を確認したいと判断し
た時だけ行うので、「今は停電状態だ」と判断したときには測定しませ
ん。人間だから判断ミスはあるものです。感電事故が発生して、まさか
こんな場所に電流が流れているとは思わなかったというケースがありま
す。感電事故には、測らなかった、判らなかったということが原因にな
っていることもあります。この見えない電気の危険から身を守る方法は
ないかと思っていたら、長谷川電機工業のリストアラームがありました。
 http://www.hasegawa-elec.co.jp/catalog.php?cd=28
 これは手首に装着し、電源を入れると、危険場所に接近したら、警告
するものです。価格は約1万円ほどです。(キュービクル作業用)
 時計型ですが、両手に付けないと効果がありませんのでご注意くださ
い。しかし、万能ではないのでご注意ください(手首に付けているので
頭や足への接近では感知できない場合があります)
 さて、見えない危険は電気だけではありません。静電気や反応槽内の
温度もあります。また、ドアの反対側に人が居るとか、通路の曲がり部
に人が居るとか、フォークリフトの走路に突然飛び出してくるなど気が
ついた時には事故になっているものも多いでしょう。
 みなさんの職場に見えない危険はありませんか?
 6月は安全週間の準備月間です。見えない危険・気が付きにくい危険
を見える化していきましょう。

                          
 ご安全に!

2016年5月14日記(熊本地震の被災ゴミ)
 熊本地震から1か月経過しました。
 今回、お話しするのは、廃棄物のことです。地震による廃棄物は130
万トンに達する見込みです。これは熊本県内で発生する廃棄物の2年分
に相当します。しかも、ゴミ処理施設が被災しているため、県外でも処
分していますが、全量の処理には年単位を有すると見られています。
 家内はそのニュースを見て、直ぐに整理を始めました。もし地震があ
った時、崩壊した建物から壊れたり汚れたりしたものを処分するより、
今、処分をした方が作業が楽です。
 家内が言うには、整理のコツは「要るか要らないか?」で考えるので
はなく、「使っているか使っていないか?」で考えることだそうです。
仕事先で、5S活動の整理整頓を指導している私ですが、整理に関して
は家内の方が上手なのかもしれません。
 私の事務所にもたくさんの書籍・書類がありますが、見ていない書籍
等は処分しました。これはもしかしたら使うかもと思ったものは、PDF
データに変換して保存しています。
 物が減ると被災時の無駄な仕事が減り、建屋の揺れも低減できるはず
です。整理も減災の一つの活動です。
 その中で、廃棄して後悔したものとして、靴があります。もう、この
靴は履かないと思ったので捨てましたが、被災時には、どの部屋から避
難するか判りません。玄関が被災したら、窓から逃げます。建物が被災
したら、どこから逃げるか判りません。靴だけは複数の場所置いておけ
ば良かったです。(今、2階に避難用の靴を置いていますが、1か所だけ
です)
 さて、整理が悪くて、事故があった例を紹介します。
 昨日(5月13日)長崎市にある魚市場で酸素ボンベが破裂して、4人が
被災しました。魚のいけす用の酸素ボンベですが、10年以上使用されて
いませんでした。魚市場ですから、塩分の多いところです。錆びが発生
して、腐食して破裂してしまいました。
 仕事先の職場巡視でも錆び付いた1斗缶を見かけます。消火器の底面
が錆びているものも見かけます。古くなると、危険性が増すものもあり
ます。ご注意ください。

                         
  ご安全に!

2016年5月7日記(韓国加湿器殺菌剤事件)
 韓国で加湿器による死傷者が多数いるというニュースがありました。
 加湿器に殺菌剤を入れ、この殺菌剤が原因で肺疾患による死亡者が約
100人、死傷者は1,500人とも言われています。
 韓国は日本より空気が乾燥しているため、加湿器は多くの家庭に普及
しているそうです。その加湿器が空気中に発散する水に雑菌が入ってい
ると健康に有害だということで、殺菌剤を投与した水を使っていたよう
です。この殺菌剤には、PHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)やPGH
(塩化エトキシエチルグアニジン)が含まれていました。これらは、皮
膚への有害性は少ないのですが、吸い込むことで、肺の中の肺胞が線維
化(簡単に言えば、固くなる)し、肺疾患につながると言う事です。
 2000年頃から使用され始め、肺疾患との因果関係が不明のまま2011年
まで使用されていました。
 加湿器のタイプは主に三種類あります
 ○スチーム式
 ○超音波式
 ○気化式
 日本でも超音波式が問題になったことがありました。超音波式は、超
音波で水を細かく砕いて吹き出すものだと思ってください。水そのもの
を空気中に放出するので、古くて腐ったような水だとその水を部屋中に
拡散してしまします。
 スチーム式や気化式にもデメリットがあります。スチーム式では電気
代が高くなり、蒸気による火傷の可能性があります。気化式は、フィル
ターにカビが生えると、そのカビの胞子を吹き出すことがあります。
 どれも新しい水を使い、掃除をしていれば、健康に問題はありません。
水さえ入れれば、何年でもメンテナンスフリーというものではありませ
ん。
 今回の事件では、某大学が、殺菌剤「オキシー・サクサク」と肺疾患
の関係は認められないという報告書を出したことが、ねつ造だったこと
がわかり、人々の反感を強めています。
 ちなみに私の事務所の乾燥対策は、タオルを湿らせ、部屋にかけてお
くだけです(タオルは乾燥後、お風呂上がりに使って洗濯しますので衛
生的だと思います)

                          
 ご安全に!

2016年4月30日記(スマホの事故)
 スマホの事故というと、歩きスマホを想像されるでしょうが、今回は
火災の話題です。 
 製品評価技術基盤機構(NITE)は4月28日にスマホ関連の火災等
の事故が5年間で239件も発生しており、重傷者も5件あったことを発表
しました。
 http://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2016fy/prs160428.html
 主な事故としては
 ○充電用コネクター部に力を加えたため、コネクターが変形して内部
  で接触状態となり、スパークが生じ、コネクター樹脂が焼損。
 ○充電用コネクターに液体(汗や飲料水等)が付着していたため、コ
  ネクター内部でショートして異常発熱し、スマホやその周辺を焼損。
 ○AC アダプターの電源プラグとタップのすき間に金属等の異物(ネッ
  クレス、コイン等)が入り込んだため、電源プラグ刃間がショート
  し、スパークが生じて焦げた。
 ○携帯電話機を犬がかんだことにより電池パックが変形したため、内
  部の電極がショートして、異常発熱が生じ破裂して、火災に至った。
 リチウムイオン電池は衝撃に弱いものです
 (参考映像:2014年9月4日)
  https://www.youtube.com/watch?v=tMWJsIOum0g
 もし、コンベアなど機械に携帯やスマホが落ちて挟まれたらどうなる
でしょう? 製造現場などでは私物の携帯・スマホを持ちこむことは少
ないでしょうが、業務用の携帯は使っているでしょう。
 新入社員にスマホを職場内に持ち込むとこんな危険(バッテリー部に
傷や衝撃が加わって、発火または爆発)があることを教育することも必
要だと感じます。

                           
ご安全に!

2016年4月23日記(三菱自動車)
 三菱自動車工業の燃費偽装が明らかになりました。私もですが、多く
の方が、“また三菱が問題を起こした”と感じたことでしょう。
 「また」という表現を使いましたが、2000年と2004年にリコール問題
で大きく信頼を落としました。
 今回と同じような偽装をしたフォルクスワーゲンは全車買い取りを検
討しています。もし、三菱自動車工業も同じことになると、その額は、
6000億円にもなります。さらに、この影響は他の車にも及ぶことかもし
れません。ルールの重要性を改めて感じます。
 さて、私事ですが、ある企業から安全大会の講演テーマとして「ルー
ルを守る重要性」について講演するよう依頼を受けています。ルールを
守ることは基本中の基本ですが、これがかなり難しい課題とも言えます。
多くの方がコンプライアンスを守っていると思っていることでしょう。
しかし、「自動車運転の時に制限速度を守っていますか? 横断歩道で
は赤信号の時に、立ち止まっていますか? 自転車運転時にルールに反
する運転をしたことはありませんか?」と聞くと、ほとんどの方が守っ
ていないと答えます。
 世の中に守らなくてもいいというルールはありませんが、ルールに反
しても問題無しと思っている人が多いかもしれません。
 たとえば、
 ・麻雀やゴルフでお金を賭ける
 ・業務時間中に私用電話をする
 ・エスカレーターを使う時に、立ち止まらずに歩く
 「ルールを守れ!」と言うのは簡単でしょうが、全てのルールを守る
のは難しいものかもしれません。
 今日から、ご自身の行動を常に「ルールを守っているか?」を考えな
がら行動してみてください。
 私もルールを考えながら行動し、もし、反することがあれば、それは
なぜ、ルールに反したか? その原因・背景を考えてみます。
                           ご安全に!

2016年4月16日(受動喫煙防止対策)
 日本労働安全衛生コンサルタント会では厚生労働省の委託事業として
職場における受動喫煙防止対策支援事業として、相談窓口、実地指導、
説明会、講師派遣を無料で行っています。
 http://www.jashcon.or.jp/contents/second-hand-smoke
 昨年の実地指導の例を紹介します。
 相談内容は「喫煙室を作って、換気装置を設けたのですが、喫煙室の
外に煙がひろがっています。なぜ不完全なのか調べて欲しい」というも
のでした。
 私が、実地指導に行きました。その会社では、四方を仕切った喫煙室
を設けてあり、排気装置もあるのですが、開口部(出入り口)のドアを
開けた状態で気流(空気の流れ)を見ると、ほとんど吸っていない(喫
煙室内が負圧になっていない)状態でした。有効な排気装置があれば、
喫煙室内は負圧(気圧が低い状態)になり、開口部から喫煙室に向かっ
て空気が流れ込み、タバコの煙が外に流れるのを防ぐのですが、この喫
煙室は逆に、開口部から煙が外に出ています。いろいろ調べてみると、
ブラインドカーテンを取り付けてあるところの上部に、天井裏に続く大
きな隙間がありました。天井裏から空気が流れ込んでいるのです。その
ため、喫煙室の中の煙が外に流れ出てしまうことが判りました。(天井
付近の穴を塞ぐことによって改善できました)
 喫煙室を設けたけど、タバコの煙が事務所に広がるという相談は多い
です。その多くは、排気能力が不足している場合です。ある会社では、
事務所に煙が流れてくるので、事務所の方に、排気装置を増設していま
した。その結果、喫煙室の排気より、事務所の排気が強いので、タバコ
の煙を逆に吸い寄せていました。
 また、別の会社では、喫煙者が窓を開けてタバコを吸っていたため、
外からの風が吹き込んで、喫煙室内のタバコの煙を外に押し出していた
例もあります。
 みなさんの会社で喫煙室を設置していても、タバコ臭が気になること
はありませんか?
 中小企業向けに、受動喫煙防止対策助成金の相談・説明も行います。
 企業の安全衛生委員会に出席して受動喫煙防止説明会をします。

                           ご安全に!

2016年4月2日(教育)
 NHKの朝ドラ「あさが来た」が最終回を迎えました。主人公の“白岡
あさ”は実在の廣岡淺子をモデルにしたものです。彼女は実業家である
と同時に女子教育に熱心で、日本女子大学の設立に尽力されました。
 私が、安全衛生コンサルタントとして独立して10年目になりますが、
今、“教育”がもっとも重要な永遠の課題だと感じます。
 多くの会社で新入社員を迎えたことでしょう。その新入社員はこれか
らの仕事には経験もなく、知識もありません。何が安全で、何が危険か
も知りません。作業のコツも知りません。
 一つ質問をします。
 ドライバー(手工具のネジまわし)でビスを締める作業があるとしま
す。この時、ドライバーを押しながら、回しますが、押す力と回す力の
比の理想は?
 ①押す力=3:7=回す力
 ②押す力=5:5=回す力
 ③押す力=7:3=回す力
 あなたは判りますか?
 作業を指示する時は、「ビスを締めろ」と言うだけでしょう。
 押す力が弱いとビスの頭のプラス溝を痛めてしまいます。答えは③で
す。こんなことは、教育しなくても、経験を積むと自然に理解するかも
しれませんが、プラスドライバーの先はNo1、No2、No3等の種類があり
ます。また、スパナには裏と表があり、ボルトを本締めする時には、ど
ちらを使うかも教えてあげないと判らないかもしれません(スパナの図
が無いので、判りにくいと思います。申し訳ありません)。
 また、カッターナイフを使う時に、「定規に当てて切れ」と言うのと
「刃が定規を乗り越えると、左手を切るので、厚みのある定規または、
カッター専用定規を使って切れ」というのでは、災害の可能性が違うは
ずです。
 労働災害の発生の状況を見ると、経験の少ない未熟練労働者の事故が
多発しています。厚生労働省では、未熟練労働者に対する安全衛生教育
マニュアル」を作成し、公表しました。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html
 職場の安全教育の参考にしてはいかがでしょうか?


2016年4月2日
(パートタイム労働者の健康管理マニュアル)
 厚生労働省ではパートタイム労働者の健康管理マニュアルを作成しま
した。近日、パート労働ポータルサイトでダウンロードできるようにな
ると思いますが、冊子が必要な方は中川まで連絡ください。
1冊は無料で送ります(複数の場合は、送料を負担いただきます)。
 パート労働ポータルサイト
 http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/

                         
  ご安全に!

2016年3月26日記(送検事例)
 今週は大阪労働局のHPに労働安全衛生法違反による送検事例が4件も
掲載されました。
 ○作業床の端に墜落防止措置を行わなかった
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/soken/280325-2.pdf
 ○集合住宅の屋上から墜落して重症
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/soken/280324minami.pdf
 ○フォークリフトの用途外使用
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/soken/280324higashiosaka.pdf
 ○コンクリート圧砕機に労働者が接触フォークリフトの用途外使用
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/soken/280328tyuo.pdf

 3番目に記載した(フォークリフトにパレットを乗せて、労働者を上
げてテントに溜まった雨水を落とす作業)事例と同じことを私自身やっ
たことがあります(テントは5mぐらいの高さ。私はパレットの上に乗
る方です。しかも、ヘルメット等の保護具なし)。フォークリフトが無
い時は、ヘルメットも安全帯も無しでテントによじ登って、雨水を落と
していました。あの頃は入社して5年ぐらいだったと思います(今から
約30年前)。その頃の私は労働安全衛生法など全く判りませんでした。
上司の指示で、フォークリフトに上がったり、テントの屋根に上がって
いました。私の上司はフォークリフトの資格を持っていながら私をフォ
ークリフトで持ち上げていました。高いところが苦手は私は「怖いです」
と言ったら「パレットの真ん中に立っていれば大丈夫」と言われたのを
今も覚えています。
 幸い、私は無事でしたが、もし、落ちていたら、誰かが書類送検され
損害賠償の民事事件になっていたかもしれません。
 最悪の事にならないように、労働安全衛生法を守り、リスクアセスメ
ントして、リスク低減し、無事故で仕事してください。

                           ご安全に!


2016年3月19日(山陽自動車道事故)

 3月17日、東広島市の山陽自動車道八本松トンネルで2人が死亡し、70
人が負傷する大きな事故がありました。
 報道ではかなりの過重労働があったようです。
 さて、このようなトンネル火災は過去何度も発生しています。もし、
このような場に遭遇したらどのように避難するのが良いか判りますか?
 ①すみやかに車を降りて、出口に向かう
  煙に巻き込まれたら、視界がゼロになります。できるだけ早く行動
  しましょう。
  煙に巻き込まれたら、姿勢を低くして、鼻・口を覆いながら、壁に
  沿って逃げましょう(隅の方は煙が広がりにくい)
 ②車はカギを付けたまま逃げましょう(ドアをロックしない)
 私は、トンネル火災で心配なことがあります。昔と違って、ハイブリ
ット車や電気自動車が増えています。最近では水素で走る燃料電池車も
あります。これらの車にはリチウム電池が使用されています。トンネル
にはスプリンクラーを設置しているところもあります。事故で損傷して
いなければ、水がかかっても問題ないでしょうが、車体が大きく損傷し
た場合でも問題ないのでしょうか? 従来のバッテリーと違って、電圧
も電流も高いです。感電の危険はないでしょうか?さらに燃料電池車に
は水素タンクもあります。大量の水素が発生したらどうなるのでしょう
か? 過去に例がありませんので、どの程度の災害になるか予測できま
せん。心身が健全な状態で安全運転に努め、万一の際にはできるだけ早
く避難してください。 
 将来的には、全ての車に自動ブレーキが設置されるでしょうから、こ
のような事故は少なくなると思います。


2016年3月19日(コンベアの事故)
 
(ニュース引用)
  17日午後2時半ごろ、堺市西区築港新町の日用品大手「ライオン」
  の大阪工場で、出荷作業をしていた運送会社員田中孝典さん(34)
  がリフトに挟まれた。府警によると、田中さんは約8時間半後に搬
  送先の病院で死亡が確認された。
  府警によると、商品の下に敷く木製パレットがベルトコンベヤーに
  引っかかって動かなくなったため、田中さんは取り外す作業にあた
  っていた。その際、突然動き出したベルトコンベヤーに連動してリ
  フトの重り(重さ約1トン)が上から下りてきて、田中さんはリフ
  トと床の間に挟まれた。当時、周囲には複数の従業員がおり、府警
  はベルトコンベヤーが動き出した原因などを調べている。
 
 残念ながら死亡事故になりました。この事故のポイントとして
 ①コンベアは停止状態ではなかったこと
  ベルトコンベアーは止まっていたけど、動力が止まったのではなく
  引っ掛かりによって動かない状態だった。この状態で引っかかった
  パレットを外したのだから、当然動き出します。
  コンベアは停止操作をせずに止まっているだけで、何かの止まる状
  態がなくなれば、元通り動きます。
  “止まっている=安全”と考えると大きな事故になりますのでご注
  意ください。
 ②外部(運送会社)の従業員だったこと
  社内では機械設備のリスクについて教育訓練ができますが、社外の
  方への教育訓練は難しい面があります。
  この作業で運送会社と工場はどのような業務範囲だったのか判りま
  せんが、運送会社の人が親切で手伝うということもあります。この
  「手伝う」という行為が危険とも言えます。リスクや取扱注意事項
  を知らない人が安易に手伝うと、誤った操作をすることもあります。
  業務範囲を明確にするとともに、外部の社員が仕事先の機械の取扱
  う場合は必要な教育をするとともに、責任の所在を明確にする必要
  があります。  

                         
  ご安全に!

2016年3月12日記(野球賭博問題)
 プロ野球の巨人軍から4人目の野球賭博が発覚しました。高木京介投
手は、初登板から139試合無敗のプロ野球記録を持っているそうです。
この記録は継続中ですが、今後の登板はないかもしれません。無敗のま
ま引退になりそうです。
 皆さんは、「なぜ巨人だけ?」と思いませんか。
 ネットの中の記事では、練習の時も、エラーの数を賭けるとか、日常
的に賭けごとをしていると書かれていました。麻雀もゴルフも賭けの対
象になっているかもしれません。賭けごとが日常的に行われると、違法
行為という認識が薄れるのではないでしょうか。
 皆さんの会社ではコンプライアンスが重要だといいながら、麻雀・ゴ
ルフで賭けごとをやっていませんか?
(参考)
 ギャンブル依存症チェック(大石クリニック)
 http://www.ohishi-clinic.or.jp/gambling3.html

 さて、日常的になってくると、安全衛生の視点でも同じです。異常を
異常に感じなくなると、社風が乱れ、災害の要因になっていきます。
 ・通路を歩かずに作業場の中を歩く(近道)。
 ・高所で作業する時に、安全帯を着けない(面倒)。
 ・ヘルメットは邪魔なのでかぶらない。
 ・通路に物を放置している。通路に物がはみ出している。
 ・安全カバーは作業の邪魔になるので、外している。
 これらは、5S活動の「躾」になります。ルールを守らないことが日
常的になってくると、労働災害に結びつくでしょう。


2016年3月12日記(メタノール殺人疑惑)
 
 3月9日、兵庫県警は48歳の女性を殺人容疑で逮捕しました。女性は、
夫に燃料用アルコールを混ぜたお酒を飲ませたということです。夫の身
体からメタノールが検出されました。
 メタノールとエタノールは名前はよく似ていますが、毒性はメタノー
ルの方が強いです。
 戦後、お酒が手に入らずに、工業用アルコールを水で割ったような偽
造酒がありました。多くの方が失明したとも聞きます。
 インドでは、2011年、2013年、2015年に工業用アルコールから作った
密造酒が原因で100人ほどが死亡する事件も発生しています。
 私もお酒が好きですが、お酒にメタノール入れられても気が付かない
でしょう。
 私が指導した先で、払拭作業にメタノールを使っている会社がありま
した。「なぜ、メタノールを使うのですか?」と聞くと、「別に理由は
ありません。昔からずっと使っています」ということでした。有機則の
適用があるので、局所排気装置や健康診断が必要です。エタノールに変
えた方がいいですよと指導しています。しかし、エタノールに変えたら
安心というわけではありません。エタノールは有機則の適用ではありま
せんが、毒性はあります。お酒が飲めない人には、臭いだけで体調を崩
すかもしれません。

                         
 ご安全に!

2016年3月5日(安全衛生管理体制図)

 過日、ある会社が労働基準監督署から「安全衛生管理体制図を提出し
てください」と指示を受けました。担当の方から、「中川さん、これで
いいでしょうか?」と相談を受けました。
 事業所長が総括安全衛生管理者になっており、安全管理者、衛生管理
者、産業医が記入され、安全衛生委員会の名簿がありました。実際、こ
のような安全衛生管理体制図を作っている会社は多いと思います。
 気になったのは、安全衛生管理体制図に部門(部・課・係等)が記載
されていません。その事を伝えると、「それは、組織図で別に作成して
あります」という回答でした。しかし、組織図には部長、課長等が記載
されているだけです。その職場の安全衛生推進担当者や、リスクアセス
メント推進者、職場パトロール委員、5S推進者などを決めているはず
です。そこまで記載するのが、安全衛生管理体制図だと考えます。
 もちろん、そこまで細かく書くと安全衛生管理体制図が複雑になりす
ぎて見にくくなるかもしれませんが、○○部や△△課では誰が何の役割
をしているのか、明確になっているでしょうか?
 職場には、会社全体の安全衛生組織図も必要ですが、職場の中の安全
衛生管理体制図を掲示し、周知するとともに、各人の役割を明確にして
おくことが必要です。 
 会社によっては、安全管理者や衛生管理者を複数選任している会社も
あるでしょう。その安全管理者等が担当する範囲は定めているでしょう
か?
 管理職が任命するだけでは、職場内に周知されないでしょう。
 安全衛生の担当者を見える化することも重要だと考えます。  


2016年3月5日(認知症JR事故)

 2007年、愛知県で徘徊の91歳男性が列車にはねられて死亡する事故が
あり、JRは介護する家族に720万円の損害賠償を求めたが、3月1日、
最高裁は家族に監督義務は無いと判決を出しました。
 高齢化社会では、このような事故は増えていくでしょう。
 先日、JR三ノ宮で電車を待っている時、ホームを貨物列車が通過し
ました。ホーム柵が無いところで、何十両もの貨物列車は減速せずに通
過していきます。列車が巻き起こす風は、ホーム上で渦を生み、吸い込
まれていくようです。
 防護柵の無いところで、目の前を高速で通過していく車輛に危険を感
じたことはありませんか?
 駅のホームも踏み切も、利用する人の注意力に頼っているだけでは、
いつまで経っても事故は減りません。これからも何十人、何百人もの命
を奪い、何億、何十億もの損害を出していくことでしょう。
 安全は人の信頼性に頼ることでは確保できません。ハードの改善によ
る本質安全化が求められています。

                          
ご安全に!

2016年2月27日(梅田繁華街暴走事故)
 25日、大阪の繁華街で歩道に車が突っ込んで、複数の方が死亡・負傷
した事件は衝撃的でした。翌26日は現場を見てきました。事故のあった
ホテルの花壇には献花がたくさんあり、マスコミの方も多くいました。
車が激突した花壇、歩道、横断歩道、ガードレール・縁石、一旦停車し
たところなど全部見てきました。
 ガードレールが変形しているから、ガードレールにぶつかったと報道
がありましたが、あれは間違いだと思います。確かに変形していました
が、車が接触したような変形ではありませんでした(ガードレールには
大きな傷はなく、押し込んだような変形でした)。
 縁石には黒い接触痕がありました。縁石とガードレールは離れている
ので、縁石に接触しながら、ガードレールに接触することはありません。
もし、ガードレールに接触したなら、縁石には痕跡はのこらず、植木の
地面にタイヤ痕が残るはずですが、地面にタイヤ痕はありませんでした。
 私が見たのは17時ぐらい(事故は12時34分ぐらい)でしたが、事故車
両が走った車線はいつも車が信号待ちをしていました。もし、事故車両
の前に他の車が信号待ちしていたら、あの事故は無かったはずです。
 事故の状況は、おそらく、胸の痛みを感じて、路側に止めて、ハザー
ドをつけていたが、約70秒後に発作が起こった時に、背筋が伸びたの
でしょう。発作で、全身が痙攣して足が伸びた時に、アクセルを踏んだ
ようです。異常を感じて、路側に止めて、ハザードを点けるまではよか
ったのですが、エンジンキーを切っていなかったことが残念です。
 このような事故を防ぐ技術はすでにあります。自動ブレーキやハンド
ルを持っていない時間を検出してエンジンを切る。または、運転者の視
線が前方を見ていない時間を検出して、エンジンを切ることが可能です。
しかし、これらの技術は車のセールスポイントにはなりにくいものです。
車の運転に自信がある人しか車を買わないので、車を買うときに考慮さ
れにくいでしょう。これらの安全対策車両は社会の仕組みに組み込まな
ければ普及しないでしょう。安全対策車以外は販売できないとか、自動
車税の軽減、自動車保険の割引などが必要です。
 今回の事故で、ナルセペダルを改めて注目しました。
 http://www.onepedal.co.jp/products/
 ナルセペダルはアクセルとブレーキを一つにしたペダルです。踏み込
むとブレーキ、横に押すとアクセルです。今回のように無意識の状態で
踏み込んでもブレーキがかかるだけです。
 なお、今回現場では別のことも気になりました。スクランブル交差点
というのは、歩行者専用です。しかし、現実には自転車も多く走ります。
横断する方向が多方向なので、様々な角度から自転車が接近してきて、
危険を感じます。自動車の暴走事故ばかりが注目されていますが、自転
車の暴走事故の方が圧倒的に多いはずです。

                         
 ご安全に!

2016年2月20日(化学熱傷)
 20日の朝日新聞ニュースより(引用)
  20日午前7時55分ごろ、兵庫県姫路市内の高校から、2年の女子生徒
  (16)が登校中にJR山陽線の電車内のぬれた席に座ってけがをした、
  と119番通報があった。生徒は病院に運ばれ、やけどのような軽傷。
  座席から消毒薬のような臭いがする直径15センチ程度の染みが見つか
  り、姫路署は化学物質の可能性もあるとみて調べている。
 その化学物質が何かはまだ報道されていませんが、硫酸のような刺激性
の強いものではないでしょう。クレゾール類でしょうか。(イソジンのよ
うな一般的な消毒薬でも人によっては火傷のような症状が出るかもしれま
せん)
 今年の6月1日から化学物質のリスクアセスメントが義務化されます。そ
の義務化の背景には、大阪の印刷業で発生した胆管がんがありましたが、
化学物質リスクアセスメントは疾病防止だけでなく、皮膚刺激性(化学熱
傷)、爆発・火災の危険リスクも評価しなければなりません。
 化学物質リスクアセスメント導入実施は準備していますか?
 ご不明な点は、弊社までご連絡ください。
  ○ リスクアセスメント導入指導
  ○ 社内講習会
  ○ リスク低減措置のアドバイス

                         
 ご安全に!

2016年2月13日(映画:オデッセイ)
 映画「オデッセイ」を見てきました。
 http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/
 ストーリーの概要は、火星探査で事故があり、宇宙飛行士が1人取り残
されました。水も酸素もありません。食料は31日分しかありません。その
絶望的な状況で生き延びるサバイバルと助けにいくという映画です。
 どうやって生き延びるのかに興味があり、見てきました。
 水と酸素と食料をどのようにしたのか、興味があれば見に行ってくださ
い。とても良い映画でした。

2016年2月13日(ペットボトルの危険)
 2月10日、神奈川県で80歳の男性が住む木造住宅が全焼する火事があり
ました。状況は水を入れたヤカンをコンロにかけて、暖房の代わりにして
就寝したところ、ヤカンが空焚きになり、慌ててペットボトルに入れた水
をかけたのですが、ペットボトルは水を入れたものと灯油を入れたものが
あり、誤って灯油をかけてしまいました。
 ペットボトルはとても便利なものです。タダ同然で、割れたりしないし
シンナーを入れても溶けたりしません。しかし、飲み物を入れる容器なの
で、飲み物以外のものを入れていると、水と間違って飲んでしまう誤飲の
可能性があります。今回の事故では、おそらく、ペットボトルに「水」と
か「灯油」とか記載してあったと思われますが、間違えてかけてしまった
ことで大きな火災になってしまいました。
 人間だから間違うこともあります。私が以前勤めていた会社でも、飲料
容器にシンナーを入れていた人が、それを誤って飲んだという事故があり
ました。その経験もあり、私は、現地指導で職場のペットボトル容器の使
用禁止をお願いしています。先日もある会社で半田コテの近くに水のペッ
トボトルがありました。ラベルは市販の水のラベルです。中身は普通の水
道水です。半田コテの先を拭き取るための水として用意したものです。元
は水道の蛇口から出た飲み水ですが、何日も放置された水なので、危険な
水とも言えます。
 しっかり表示をすればいいと思うかもしれませんが、表示を確認して飲
むとは限りません。表示が消えることもあります。先ほどの会社では職場
で使うペットボトル等の飲用容器を全部無くしてもらいました。

                         
 ご安全に!

2016年2月6日(ジカウィルス)
 ブラジルでジカ熱が流行しています。世界保健機関(WHO)では緊急事
態宣言を出しました。その最中、リオのカーニバルは5日から開催されま
した。人から人への感染は無いと考えられているし、死亡率も低い(今回
の流行での死亡例はありません)ことがあるのでしょう。日本人の中にも
行っている人も多いはずです。でも、そのウイルスが国内に入っても、今
は媒介する蚊が少ないので、大きな問題にはならないかもしれません。し
かし、8月にはオリンピックが開催されます。オリンピックを見に行って、
感染して、蚊に刺されると、その蚊が他の人を刺すことによって感染拡大
が危惧されます。しかも、感染しても、症状が出ない人が多いのです。症
状がでないということは、ウイルスを持ったまま、外で活動するので、蚊
に刺され、ウイルスを持った蚊が増えてしまいます。
 症状が出ないことや症状が軽いことは良いのですが、妊婦が感染すると
「小頭症」の子供が生まれやすくなります。
 蚊というのは、人間にとって、とても脅威な生物です。毎年、マラシア
やデング熱で命を失う人が100万人以上いるとも言われています。殺人事
件、交通事故、テロ、戦争より怖いものと言えるかもしれません。しかし、
その蚊を絶滅させる方法があるそうです。遺伝子操作によって、オスしか
生まれない方法や、ボウフラから蚊に羽化できないなどの方法があるそう
です。(蚊の絶滅は、生態系への影響や植物の受粉にも影響があります)
 海外への渡航者(ビジネス・プライベート)への注意喚起が必要になり
ますのでご注意ください。(予防ワクチンは存在しないので、虫よけスプ
レーの使用や、肌の露出をさけることしか対策がありません)

2016年2月6日(産業医選任)
 2月1日に出されたパブリックコメント(意見募集)では産業医選任時の
禁止事項があります。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150336&Mode=0
 多くの事業所では問題ないのですが、医療法人・病院では理事長や院長
が産業医の資格を有していることが多く、事業主が自ら、産業医として選
任している実態があるようです。
 事業主が産業医を兼務すると、労働者の健康管理より経営優先になって
しまうおそれが生じます。そのため、昨年10月30日に通達がありました。
 http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-56/hor1-56-43-1-0.htm
 今回、産業医の選任時の禁止事項が法律化される予定になりました。し
かし、同様のことは多くの企業に関係あるかもしれません。例えば、中小
の製造業では社長が安全管理者を兼務していることがあるでしょう。また
は社長が衛生管理者を兼務していることもあるでしょう。産業医と安全管
理者・衛生管理者とは資格が全く異なりますが、改正法案をみると同じと
考えます。昔と違って、安全衛生に係る安全配慮義務は強く求められてお
り、実害は無いとは思いますが、社長は経営に集中し、安全や衛生スタッ
フは別に養成することが必要だと考えます。 

                          
ご安全に!

2016年1月30日(アルコールインターロック)
 
「アルコールインターロックシステム」を聞いたことがありますか?
 これは、自動車の運転時に、アルコール検査検査をして、呼気にアルコ
ールが含まれない時だけエンジンがかかるものです。アルコールが検出さ
れると、エンジンはかかりません。
 日本では東海電子が製造販売しています。
 http://www.tokai-denshi.co.jp/
 私は、今まで、アルコール検査しなければエンジンが掛けられない装置
を設置しても、不正が行われたら意味が無いと思っていました。たとえば、
酒を飲んでいない人と共謀した場合(飲んでない人が息を吹き込む)や、
自転車用空気入れで空気をセンサーに吹きかけるとアルコールは検出され
ません。
 しかし、東海電子のアルコールインターロックはその不正も防げるので
す。その方法は、アルコール検査の際の映像が記録されるのです。センサ
ーに息を吹きかける状況の映像が撮影され、運転管理者がその検査の有効
性を確認できるので不正ができません。
 皆さまの会社では、社用車で仕事先から家に直帰することを認めている
場合もあるかもしれません。仕事先から居酒屋に行って飲んで運転する場
合も検査結果と検査の状況が記録されるので、確実に飲酒運転を防ぐこと
ができます。

2016年1月30日(寒波による断水)
 福岡県では25日からの寒波により水道管の破裂が相次ぎ、一時は13万世
帯で断水がありました。大規模な断水だったので、復旧まで相当な日数が
かかりました。福岡県だけでなく、多く場所で断水があったでしょう。生
産活動で水を使わない会社でも、従業員のトイレの問題があるので、従業
員に「トイレを我慢しろ」とは言えないので、休みにした会社もあったで
しょう。
 BCP(事業継続計画)対策で簡易トイレを備蓄していた会社では断水
でも事業を継続できたことでしょう。また、寒波による断水を想定したB
CP対策を再検討した会社も多いことでしょう。
 私の家では10年ほど前に凍結して断水したので、今回は緩衝材(通称:
プチプチ)を水道管に巻きつけ、無事でした。
 まだまだ寒波があるかもしれません。準備を怠らないようにしてくださ
い。

                        
  ご安全に!

2016年1月24日(夜行バス交通事故2)
 この1週間、スキーバスの事故に関する報道が連日ありました。
 バスの運行に適正価格というものがあることを知りませんでした。NH
Kの報道を見ていると、適正価格の半額でも、「バスを遊ばせるわけにい
かない」と受けている業者もあることに驚きました。
 報道の中で気になるのは、「ギヤはニュートラルだった」ということで
す。ニュートラルではエンジンブレーキも排気ブレーキも効きません。ほ
ぼ満員の大型バスで長い下り道です。フットブレーキだけでは制御できな
いでしょう。運転手は大型バスの経験はないものの、中型バスは運転して
いたから排気ブレーキを扱う技量はあったと思います。
 排気ブレーキは左手で操作します。ギアも左手で操作します。速度が出
過ぎて焦っている時に、排気ブレーキとエンジンブレーキのためのシフト
ダウンを同時にはできません。パニックになり、シフトチェンジができず
事故になったのではないかと考えます。
 さて、労働災害を防ぐためには、作業者の「力量(知識・経験等」を課
題とする場合があります。力量を上げるためには、教育と訓練が必要です
が、適正価格を下回る請負金額では運転者の力量を高めるコストは出てき
ません。ということは、国内に4000社を超えると言われているバス運行会
社の多くに同じような問題が潜んでいるかもしれません。さらに昨年末、
国内で数件発生したバスの火災事故は20年以上の老朽車でした。車は古く、
運転手は力量不足となると、事故は必然とも言えます。
 今回、全国のバス運行会社に監査が入り、業界の悪しき状態を是正して
いただきたいと思います。
 以前、ある方の乗用車に乗せてもらうと、「シートベルト付けてくださ
い」と言われました。「この人はいい人だ」と思ったのですが、実は、そ
の車は、後の席でもシートベルトしていないと警告音が出るのです。
 世の中はだんだん、安全化が進んでいるものです。将来、バスも自動車
も自動運転になり、このような事故は起こらなくなるでしょう。しかし、
その実現はまだまだ先のことです。事故を防ぐためには、運転者を取り巻
く環境改善(教育訓練・給与等)の重要性が問われる事故でした。


                          
ご安全に!

2016年1月16日(夜行バス交通事故)
 15日、東京を出発したスキーバスは長野県の峠道で車線をはみ出し、転
落し、運転手2人を含む14人が命を失い、27人が重軽傷を負いました。道
路には雪も凍結もありませんでした。霧などの障害もありません。
 この事故はなぜ発生したのでしょう?
 2012年、関越自動車道でバスが防音壁に追突し、7人が死亡するなど、
過去から何度もバス事故が発生しています。事故が発生するたびに、運転
手1名での最長走行距離を定めたり、労働時間管理を徹底するなど多くの
規制が実行されています。しかし、惨事は繰り返されてしまいました。
 今回事故を起こした運転手は、長距離の深夜バスの経験は少なかったよ
うです。さらに気になるのは、長さ9mのバスの運転は経験が多いが、今
回の長さ12mの経験はほとんどなかったようです。碓氷バイパスのような
カーブが多いところではかなり横揺れの激しい雑な運転だったとの証言も
ありました。そし、緩やかなカーブの下りになりました。9mのバスと12
mのバスでは車重が全く違います。照明もほとんどない場所では加速して
いることに気が付きにくかったのかもしれません。スピードが出過ぎてい
ると判った時には、車重が大きいためにコントロールが難しくなり、ガー
ドレールにぶつかり、片輪走行になり、制御不能のまま、ガードレールを
なぎ倒して、転落したのでしょう。
 テレビで他のバス運転手へのインタビューで気になる発言がありました。
「バスの長さで9mと12mでは運転感覚の次元が違う・・・・」私はサラ
リーマンだった時、マイクロバスを運転したことがありましたが、「乗用
車とバスはこんなに違うのか・・・」と思ったことがありました。
 バスの運転管理の問題がいろいろ明らかになってきました。走行ルート
を明確にしていなかったり、運転前の健康確認がなかったり・・・・
 長距離バスの運転手不足という問題もありました(運転手不足というよ
り、低価格ツアーのため、給料が安過ぎるという問題もあるようです)
 さて、乗客12人もの死亡があった半面、比較的軽症者もいました。この
差は席の場所の違いでしょうか? シートベルトの有無が大きく影響した
と思われます。バスから投げ出された人も居ましたので、シートベルトを
装着していない人も多数おられたのでしょう。全員がシートベルトをして
いたら、死亡者はもっと少なかったかもしれません。
 私はタクシーに乗る時、必ずシートベルトをします。すると、運転手は
気を使っているのか、「シートベルトしなくてもいいですよ」と言う人が
多い。そう言われると、「この運転手って大丈夫か?」と、ちょっと心配
になります。

                          
ご安全に!

2016年1月9日(交通事故)
 平成27年中の交通事故の発表がありました
 死者数4,117人(前年比+4人:+0.1%)残念ながら増加しました。平成
13年から14年連続して減少傾向だったものが増加しました。
 発生件数は536,789件(前年比 -37,053件 -6.5%)となりました。
 発生件数が減少しているにも関わらず、死者数が増えるということはど
うしてでしょうか? 一度の事故でに何人もが死亡する事故が増えたのか、
高速道路での事故が増えたのか、自転車・歩行者などの事故が増えたこと
が考えられます。
 もう一つ考えられるのは、スマホが原因の事故が増えているのではない
でしょうか? 歩きスマホは街中いたるところで見られますが、同じよう
に運転スマホもかなり多いのだと思います。歩きスマホをしている人は、
周囲も見えていると思っているでしょうが、視界に入っていても見えてな
い(認識していない)ことが多いのです。
 企業では事故防止にドライブレコーダーを導入しているところが増えて
いますが、前方だけでなく、運転手も写るような2カメラ型が望ましいで
しょう。


2016年1月9日(文書交付を怠る等)
 1月7日の送検事例で文書交付を怠るという事案がありました。
 
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H28/soken/280107sakai.pdf
 
 法令では、労働安全衛生規則第662条の4 
 法第31条の2の注文者は、次の事項を記載した文書を作成し、これをその
 請負人に交付しなければならない。
 一 法第31条の2に規定する物の危険性及び有害性
 二 当該仕事の作業において注意すべき安全又は衛生に関する事項
 三 当該仕事の作業について講じた安全又は衛生を確保するための措置
 四 当該物の流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の
   措置

 この文書交付の規則が守られていない場合はかなりあるのではないでし
ょうか。解体等の作業をする場合は、事前に打ち合わせだけして進めるこ
とが多いかもしれません。場合によっては、注文主より請負先の方が知識
がある場合もあるかもしれません。
 特に運転を止めた化学設備でも、配管に残圧が残っているかもしれませ
ん、また、施工前に液を抜き取ったつもりでも抜き取り忘れがあるかもし
れません。特に中の見えない配管を取扱う場合は、十分な打ち合わせと確
認が必要です。

                           
ご安全に!

2016年1月2日(今年の課題)
 明けましておめでとうございます。本年も「安全週記」をよろしくお願
いします。
 平成28年には安全衛生上、大きな課題があります。(今回は3点)
 一つは、昨年12月より施行されているストレスチェックです。昨年12月
に実施した会社もあるようですが、まだ手が付けられないという会社もあ
るように聞いています。1年に1回以上ということなので、遅くても11月末
までに完了する必要があります。なお、50人未満の中小企業では「しなく
てもいい」と誤った判断をしている会社があるかもしれません。「罰則は
無いけど、実施すべき」と考えてください。産業医を選任しておらず、体
制が整わなくても、会社のパソコンやスマホで自分自身のストレス状態を
判定するサイトもあります。
 http://kokoro.mhlw.go.jp/check/

 次の課題は、化学物質のリスクアセスメントです。これは、業種・規模
に関わらず、全ての事業所が対象となります。
 厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」ではwebで評価する方法を紹介
していますので、活用ください。
 http://anzeninfo.mhlw.go.jp/ras/user/anzen/kag/ras_start.html
 このコントロールバンディングの方法は簡単で良いのですが、職場の作
業環境改善の状態や、作業場所の広さ、保護具の使用状況等が評価されな
いため、安全側に評価されてしまうので、安全衛生活動が困難になるなど
の問題もあります。
 私が属している日本労働安全衛生コンサルタント会の有志と検討を重ね
ている最中です。3月ぐらいには、説明会を開催したいと考えています。
日程が決まれば、このメルマガで紹介していきます。

 最後の一つは、PM2.5(大気汚染を引き起こす微小粒子状物質)です。
何年も前から話題になっているので、ご承知と思います。北京が大きな問
題になっていますが、インドの首都ニューデリーの方がはるかに高くなっ
ています(北京の約3倍)。中国やインドへの駐在者が多い会社もあるで
しょう。もし、呼吸器系等の疾患が出た時、安全配慮義務を問われるかも
しれません。
 2008年の北京オリンピックでは男子マラソンの世界記録保持者である
ゲブレシラシエ選手(エチオピア)が大気汚染を理由にオリンピックを辞
退したことがありますが、駐在者個人の判断で帰国することは難しいので
現地とのコミュニケーションを密にして、常に社員の健康状態を把握して
ください。


2016年1月2日(エスカレーター)
 昨年暮れに関西空港に行く機会がありました(旅行ではありません)。
駅を降りて、エスカレーターを見ると、スーツケースを横に置いた旅行者
が大勢登っていました。もし、エスカレーターに乗っている時に、その中
のスーツケースの一つが落ちると、玉突きのように全部のスーツケースが
雪崩のように落ちてくるでしょう。もし、そうなれば、致命傷の危険もあ
ります。私は、無論、階段で上がりました。
 エスカレーターでは加害者にも被害者にもならないようご注意ください。
 (そう言えば、昔、下りのエスカレーターでベビーカーを降ろしていた
 人を見た・・・・・恐ろしい)

                           
ご安全に!




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