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ギャンプスのギターアンプ修理のページです。
修理・オーバーホール・MOD の実例は当サイトの情報に加え、ブログに多数記載しております。
そちらも参考になさってください。
・ギャンプス店主ブログ → Blog内の情報
・修理ご依時にお知らせいただきたい情報 → ジャンプ
・修理のプロセス → ジャンプ
・ギターアンプ修理の実例 → ジャンプ
youtube 動画 とんでもなく手間のかかった例
youtube 動画 軽微な修理で済んだ例(このアンプは5年前にギャンプスでオーバーホール済のため軽微で済んだ)
・ギターアンプ MOD ( 回路改善) の実例 → ジャンプ
VC508 基板アンプをハンドワイアードにした例
・真空管の交換について → ジャンプ
・バイアス調整について → ジャンプ
・オーバーホールの考え方と作業内容 → ジャンプ
【アルミ電解コンデンサーの交換】 → ジャンプ
【抵抗部品の交換】 → ジャンプ
【カップリングコンデンサーの交換】 → ジャンプ
【基板アンプについての解説】 → ジャンプ
・修理料金、オーバーホール料金の目安 → ジャンプ
ノイズの場合: そのノイズはボリュームを絞ると小さくなるのか、ボリュームに関係ないのか
音が出ない場合: 完全に無音でノイズも聞こえないのか、スピーカーから電気的なノイズは聞こえるのか
電源があがらない場合: Fuse 交換しても再度 Fuse が飛ぶのか、Fuse は飛んでいないがあがらないのか
上記の必須項目が無い場合、見積と納期について回答できません。よろしくお願いします。
必須項目( アンプの症状と履歴) に加えて以下のようなお客様の嗜好をお知らせくださいますと幸いです。
この情報によりお客様のアンプに対するお考えをなるべく正確に把握したいと考えています。
( 注: 回路設計上の制約やレイアウトの制約により、全てお望みどおりにはできない場合がございます)
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お預かりしたアンプは視認による外観検査を行います。 ギターをつないで試奏を行い、お客様のおっしゃっている症状の再現テストを行います。 症状が再現するまで丹念に条件を整えてテストを行います。 アンプの健康診断を行い、他に不具合があるか無いか、アンプ内部配線に安全上の問題が無いか厳重にチェックします。 |
受け入れテストの結果に基づいて、修理を実施します。 受け入れ検査で見つかった、お客さまが気づかれていなかった問題の解決策も実施します。 全ての作業が終わると、最後にバイアス測定を行います。必要であれば回路の微調整を行ないます。 |
最終確認のテストをし、確かに不具合が除去できたことを確認いたします。 万一、お客さま到着時に不具合がございましたら、無料で治るまで作業を行います。 |
アンプが到着いたしましたら、故障が直っていること、総合メンテナンスの場合は不具合がなく、良い音であることをご確認ください。メンテナンス・レポートにどのような作業をおこなったのかを写真入りで記載しております。ご参考になさってくたざい。 | ||
お預かりしたギターアンプ一台ごとにメンテナンス・カルテを作成しております。修理完了後にお客さまへ返送するメンテナンス・レポートと回路図を記録・保管し、将来のメンテナンス時に素早く診断を下します。 レアなアンプは回路図がないことがあります。その場合は修理完了時点で実配線から回路図を作製し、ギターアンプのカルテと一緒に保管いたしております。 |
メーカー・モデル名 | リンク | 作業の特徴・種類 |
ヴィクトリア・アンプ Victoria 20112【 Deluxe 5E3 回路 ツイードデラックス 修理 の実例 ![]() |
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ツイードアンプ 5E3 回路のオーバーホール実例 ツイードらしい音の再構築と音質改善 ノイズ低減、倍音増加、サステイン増加、音圧アップ ・Mercury トランス へのアップグレード ・WE スピーカー・ケーブル ヘのアップグレード |
Fender '68 Deluxe Reverb シルバーフェース デラックスリバーブ 修理 の実例 ![]() |
![]() Aブログ記事 |
シルバーフェース デラックスリバーブ 68年製 ・カビだらけの回路ボード修理の実例 ・ブラックフェース回路への MOD ブログ掲載したアンプも回路ボードはカビだらけでした。 |
リバーブ付きの Fender ギター アンプに共通。 5つのリバーブ故障事例 ![]() |
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リバーブの故障の原因とその修理についてまとめました。 「リバーブが鳴らない」という症状の原因はさまざまです。真空管が悪かったり、リバーブ・パンが悪かったり、リバーブ・トランスが悪かったり、リバーブケーブルが悪かったりとさまざまな原因で不具合がおきます。 代表的な 5 つの症例をまとめて掲載しました。 リバーブの不具合を起こす原因となる部品を 7つに分類し、それらをいくつかに絞込みむための方法掲載しています。 ユーザーができる簡単な絞込み方法です。 リバーブの不具合でお困りのときの参考になさってください。 |
ビブラート (トレモロ) のあるギターアンプ共通 ![]() |
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ビブラートの鳴らし方から、ユーザーでできるメンテナンス、 修理が必要な場合の修理方法についてまとめました。 ・ビブラート ( ヴィブラート, Vibrato ) の鳴らしかた ・フットスイッチの無い場合、代用品を使っての鳴らしかた ・ユーザーでできるメンテナンス ・修理が必要な場合のギャンプスでの修理方法、オーバーホール |
Fender Deluxe Reverb ブラックフェース デラックスリバーブ 修理 の実例 ![]() |
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ブラックフェース音質改善オーバーホールの例 |
Fender 135W Twin Reverb ツインリバーブ 修理 の実例 ![]() |
![]() Aブログ記事 |
@135W ツインリバーブの修理の実例 【他店で修理したのに音が鳴らないケース】 A異なる 135W ツインリバーブの実例 |
Fender Princeton Reverb U プリンストンリバーブ 修理 の実例 ![]() |
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リバーブ修理・真空管交換・スピーカー交換 |
Marshal 1987 マーシャル 1987 修理 の実例 ![]() |
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マーシャルの発振問題の解決の実例 |
改善の対象となるアンプ | ページリンク | MOD 改善の内容 |
'65 Deluxe Reverb Reissue | ブログ記事 | Hand Wired 基板を外しハンドワイアード化 |
Laney VC 30 | ブログ記事 | New Amp Build 基板・トランスを全て外し、キャビネットとシャーシーを生かし、新しいアンプを製作 |
Guyatone GA1030 | ブログ記事 | Guyatone のシャーシー上にデラックスリバーブのクローンを製作 |
Blues Jr. 注) 当MODは限定提供です。 |
ブログ記事 | 音が薄い、硬いといわれる Blues Jr.を使えるアンプにする回路 MOD のノウハウを提供 |
Trillium Amp Custom series 2x12 combo トリリウム アンプ 修理実例 ![]() |
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基板回路 ( PCB ) を外し、ハンドワイアード回路 ( ポイント・ツー・ポイント回路)に改良 【有料】 Trillium アンプは木の肌触りを残し非常に美しい外装をしています。 大きなキャビネットを使いつつも、ギターアンプ回路部はチャンプなどと同様のシングルアンプです。 残念なことに回路部は基板が使われております。 豪華なキャビネットにふさわしい回路に改良し、トランスもマーキュリーに変更する MOD のご依頼を賜りました。その内容を公開いたします。 ・基板 ( PCB ) を取り外し、ハンドワイアードに変更 ・トランスを Mercury に変更。 (PT と OT の両方) ・ WE スピーカーケーブルに変更 ・回路をチャンプ AA764回路にする。 |
5E3 回路 ツイード デラックス の改善 ・ Fender Tweed Delluxe ・ Victoria アンプ ![]() |
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Volume Pot の唐突な音量変化をなだらかにする MOD 【有料】 ツイードデラックスでボリューム目盛り2ぐらいから急に音が大きくなるのは、設計上の問題であり、故障ではありません。 この癖を直すにはポット配線を MODする必要があります。 当 MOD で小さいボリューム目盛りでの扱いが楽になります。 |
チャンプ の改善 ・Fender チャンプ ほぼ全ての Champ ・Fender ツイード 一部のツイードアンプ |
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ハムノイズ低減と安全性向上 【無料オプション】 真空管を余熱するヒーター回路は 6.3V の交流を使います。 通常はプラスとマイナスの2本の線で真空管のソケットに配線します。しかし、チャンプやツイードアンプではマイナス側の配線を省略し、シャーシーに落とされています。あたかもシャーシーがマイナスの配線として使われています。これは感電の危険性が高く現在では使われない配線方式です。 6.3V ヒーター配線の片側をグランドに落とす方式を改善し、アーティフィシャル・グラウンド回路方式に変更し、安全性向上を行ないつつハム・ノイズを大幅に低減する MOD です。 オーバーホールと同時適用の場合、無料で実施 |
ブラックフェースもしくはシルバーフェースの Fender ギターアンプでチャンネルが Normal とVibrato の2つあるモデル対象
ギターアンプの改造 ベースチャンネルの追加 ![]() |
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Normal チャンネルをベース・ギター用に MOD します。【有料】 ギターアンプにベース・ギターをつなぐと、 音程がぼやけてしまいます。特に Low E の音はバタバタとスピーカーがバタつく感じで、ベースらしからぬサウンドになってしまいます。 当 MOD は Normal チャンネルのプリアンプを ベース専用回路に MOD します。 このことにより、ベース・ギターの音程をくっきりとさせ、ベースらしいサウンドにします。 Vibrato チャンネルはギター用チャンネルです。 |
ブラックフェースもしくはシルバーフェースの Fender ギターアンプでチャンネルが Normal とVibrato の2つあるモデル対象 | ブログ記事 | Normal チャンネルにも Reverb が効くようにする MOD 【無料オプション】 通常は Reverb と Vibrato の機能は Vibrato チャンネルにしか効きません。 当 MOD は Normal チャンネルにつないだときにも Reverb と Vibrato が効くようにします。 Vibrato の揺れのスピードを通常よりもゆっくりにする MOD 【無料オプション】 |
真空管はガラス菅の中のヒーターを熱しながら、高い電圧をかけ続けるという構造上、アンプの使用の頻度と比例し、必ず劣化していきます。一方で、ほとんどのアンプはユーザー自らが真空管交換できる構造になっています。
ギャンプスでは真空管の交換はユーザーご自身で行なっていただくことが基本であると考えています。
ユーザーのみなさまのご参考に「真空管の交換方法について解説したページ」を設けております( →リンクヘ)。
ギターアンプが故障したと思われる場合、ご自分で真空管交換なさってお確かめになることをお勧めします。
真空管では直らないとお感じの場合に修理依頼なさることをお勧めします。
「自分ではめんどうなのでオーバーホールの時点で同時に交換してほしい」というご要望にお応えいたしております。当方在庫の真空管を使う場合、市場で際安値のショップよりは値段が少し高くなり、最高値のショップよりは安い価格となります。あらかじめご了承ください。
オーバーホールを実施するアンプと同時に真空管を持ち込み(同時送付)なさり、交換する場合、交換手数料は無料です。
バイアス調整が必要な場合、バイアス調整代金も無料です。バイアス調整については下の項目を参照ください。
真空管を全数交換したただけでの作業をオーバーホールとは申しません。
オーバーホールとはリコンディショニングのことであると定義いたしております。
参照→オーバーホールの考え方と作業内容へのリンク
ギャンプスではバイアス調整料金は無料サービスです。
パワーチューブを交換するときに必ずバイアス調整が必要とは限りません。
お手持ちのギターアンプのバイアス方式によって異なります。
このバイアス方式の詳細な説明とバイアス調整の方法についてはこちら → ギターアンプのバイアス調整
以下に簡単に説明しておきます。
自己バイアス方式(カソード・バイアスとも呼ぶ)のパワーアンプをもつギターアンプはバイアス調整不要です。
例:ツイード・デラックス5C3~5E3、ツイード・プリンストン5C2~5F2、ツイード・チャンプ5C1~5F1、
プロ・アンプ 5E5、ほぼ全ての年代のチャンプ とバイブロ・チャンプ( チャンプIIを除く)
VOX AC15 と AC30 それに Marshall 18Wも自己バイアスです。
当然のことながら VOX AC30 のコピーである Matchless DC30 , BadCat DC30 も自己バイアスです。
Gibson GA5, GA15, GA30 も自己バイアスです。
固定バイアス方式ではあるものの、バイアス調節用の可変抵抗の付いていないギターアンプはバイアス調整はできない構造になっています。この場合はパワーチューブをマッチド・ペアに交換するだけで、バイアス調整は不要です。
もしもパワー真空管が壊れやすいという症状が出ている場合は、バイアス回路のオーバーホールを行ない、ダイオード・抵抗・アルミ段階コンデンサーを新しくすることにより、安定したバイアス電圧に戻すことができます。
例: ベースマン 5F6~6G6、ツイード・バンドマスター5E7~6G7、プロ・アンプ5E5A等のツイード・アンプ
あるいはブラウンフェース・アンプ
固定バイアス方式であり、バイアス調整用の可変抵抗の付いているモデルはパワーアンプ真空管を交換するときに同時にバイアス調整をすることができます。真空管のパフォーマンスを最大限に引き出したり、ノイズが少ない方向にしたり、なるべく寿命を長くするようにしたり、調整できます。
調節するには、電圧計と電流計をつなぎ、数値をみながら調節することが必要です。
例: ブラックフェース以降の Fender アンプ ( 自己バイアス方式のチャンプを除く)
Marshall 1959, 1987、ほとんどのメサブギー
シルバーフェース以降のアンプはバイアスの深さ方向の調節ではなく、2本のパワー間のバイアスのバランスを調節する回路です。この回路では2本の真空管のバラツキによるハムノイズを少なくする方向で調節します。
この場合はハムが少なくなるように耳で聴きながら調節することも可能です。
例: 70年以降のシルバーフェース( 自己バイアス方式のチャンプを除く)
バイアス調整可能なアンプでも、
バイアスの調整範囲の限度が狭まり、思うように調節できなくなり、パワー真空管が壊れやすいという症状が出ている場合は、バイアス回路のオーバーホールを行ない、ダイオード・抵抗・アルミ段階コンデンサーを新しくすることにより、安定したバイアス回路にする必要があります。
アンプのオーバーホールという言葉。徹底的に検査して悪いところを全て治すという意味です。
元々は自動車のエンジンの分解・点検という意味が発祥です。
私は リコンディショニング (Reconditioning) という言葉も使います。
Reconditioning とは一度使用された超大型コンピューターを分解・点検し、新品として再出荷できる状態に戻す作業のことです。壊れた部分を治すのはもとより、経年変化で劣化したり、磨耗したりする部品を事前交換し、故障率を新品と同等レベルまで下げることを意味します。
最近、お客さまから「他の修理屋さんやメーカーに依頼したところ、真空管の交換とクリーニングだけでオーバーホールとして処理され、もどってきたら問題は治されていない」という事例をよく耳にしたり目にしたりします。
簡単な真空管交換とクリーニングはご自身でなさることが得策です。
真空管の交換はユーザーが自らできる修理です。当ウェブ・サイトに「自分でできる真空管の交換の方法とソケットのクリーニング方法」をアップしました。。そちらを参照なさってください。
バイアス調整が必要な場合、当方にご相談ください。本当に必要な場合にだけ承ります。
バイアス調整の必要なアンプであるかどうかの判断はこちらの記述を参照ください。( →当ページ内へジャンプ)
【アルミ電解コンデンサーの交換】
アルミ電解コンデンサーはアンプに使われている電気回路部品の中で最も劣化しやすい部品です。
長所は : 数十μF という比較的大きな容量を小型なパッケージにできます。
短所は : @ 電解溶液で膜を作るという構造により、溶液の劣化による寿命が約 6~7年と短いことです。
A 特に耐圧が高い(耐圧350V 以上) コンデンサーほど寿命が短くなります。
B 通電していても、していなくても寿命がやってきます。保存がききません。NOS は存在しません。
NOS という概念は New Old Stock つまり、過去に生産された未使用の古い部品のことです。
真空管であれば40~50年前に製造され、使われず保管されていた NOS を今日使用しても動きます。
しかし、古いアルミ電解コンデンサーは、その場で作動したとしてもあっという間に壊れてしまいます。
アルミ電解コンデンサーには賞味期限があるのです。
電源回路に使われるアルミ電解コンデンサーはアンプの増幅に必要なエネルギー供給源です。パワーアンプ、プリアンプ全ての増幅器の根幹を担う部品です。劣化するとノイズが大きくなったり、音が曇ってきたり、迫力のない音圧になってきたりします。最後には電源を上げるとヒューズが飛んだり、その瞬間に整流菅やダイオードを壊したり、パワーチューブ(出力菅)を壊したりします。逆もあり、壊れた整流菅やパワーチューブのせいでこのコンデンサーの劣化がひどくなることもあります。
ヴィンテージ・アンプであろうと、なかろうと、何年か使用して調子の悪くなったアンプのアルミ電解コンデンサーの交換は、オーバーホールの基本中の基本です。ギャンプスではこの交換なくしてオーバーホールをしたとはいいません。理由はコンデンサーの構造上の短所、「溶液が封入された部品」だからです。その場は他の部品交換の修理で治ったとしても、遅かれ早かれ交換せざるをえなくなります。作られた瞬間から劣化がはじまる部品だからです。もちろん他の修理屋さんにはその修理屋さんの考えがあり、この部品の交換無しでもオーバーホールという言葉を使用なさるところがあるようです。しかし、「オーバーホール済みなのに故障した」という理由でギャンプスに持ち込まれるアンプのほとんどがアルミ電解コンデンサーの劣化が原因であるにもかかわらず過去のオーバーホールで放置され、そのことが原因で壊れているというケースが非常に多いのは残念なことです。
電源をあげると必ずヒューズが飛ぶという故障の場合、整流回路(整流菅もしくはダイオード)、パワーチューブ、アルミ電解コンデンサーのどれかが壊れているというケースがほとんどです。これら3つの部品は電源回路故障に相互影響しあいます。ヒューズが飛ぶという故障を抱えたアンプのオーバーホールではこれら3つ全ての健全性を保証して、はじめて再発を防止することができます。
稀に電源トランスが壊れていたり、OT(アウトプット・トランス)が壊れていることもあります。その場合はMercuryMagnetics に交換なさることをお勧めします。
ギャンプスではオーバーホールに使用するアルミ電解コンデンサーの買いだめ(ストック)は極力少なくしています。手間はかかりますが、2~3台オーバーホールするごとに供給元に発注をして、鮮度の高いコンデンサーだけを使うようにしています。理由は、鮮度の高いコンデンサーを使用することによって次回のメンテナンスまでの期間をできるだけ長くとることができるからです。使い方と保存状態によつては、このまま一生交換しなくて済むことを願っての処置です。
【抵抗部品の交換について】
ヴィンテージ・アンプに使われているカーボン・コンポジット抵抗は以下の長所と短所があります。
長所: @ 音に迫力を与えると同時にスゥイートで品のあるサウンドになる。
: A 耐パルス性能が良く、突入電圧から他の部品を保護する作用がある。
短所: @ 時がたつと抵抗値が高くなる
: A 劣化してくるとガサガサというノイズを発生させる
: B 高い電圧のかかる部分に使うと、劣化が激しく、短所@とAが出やすい
短所が顕著に出るか出ないかはアンプ回路内で使用される部位によって決まります。
プリアンプの中のプレート抵抗は劣化するとボソボソとつぶやくノイズや、バリバリッというクラッキングノイズの原因となります。
この部分に使われる1/2W 抵抗は音質重視のためにカーボン・コンポジット抵抗を使用して交換します。カーボン皮膜抵抗を使うと音がぼやけてしまいます。金属抵抗を使うと、音質が硬くなったり、高域がキンキンしたりすることがあります。
電源回路やパワーチューブのソケットに使われている 1W 耐圧の抵抗も劣化しやすく、ノイズの原因となります。
電源回路の複数のアルミ電解コンデンサーをつなぐために配線される 1W以上の 耐圧の抵抗をデカップリング抵抗といいます。パワーチューブの4番ピンにつながる
1W以上の耐圧の抵抗を SG (Secondary Grid) ストッピング抵抗といいます。これらの抵抗は劣化するとアルミ電解コンデンサーが劣化したときと同じくボリュームに関係ないノイズを発生させます。劣化が激しかったり完全に壊れてしまうと、整流回路やアルミ電解コンデンサーを壊したりもします。
1W以上の耐圧の 抵抗は耐久性の面から、カーボンではなくセラミック・コンポジット抵抗もしくは酸化金属皮膜抵抗を使って交換します。この部分の抵抗は材質の差による音質への影響はほとんどありません。そのため、耐久性重視の部品を使います。ヴィンテージ・アンプには元々は 1W 耐圧のカーボン・コンポジット抵抗が使われています。その理由はアンプが作られていた当時にはセラミック・コンポジットや酸化金属皮膜の抵抗は作られていなかったり、高価で入手できなかったりしたからです。
回路内のカソード抵抗やグリッドリーク抵抗は、上記に比べて寿命は少し長く、アンプ全体の劣化度合いに合わせて交換をしたり、残したりを判断しています。
【カップリング・コンデンサーの交換】
このコンデンサーの役目は増幅回路で増幅された電気信号から直流電圧を取り除き、交流であるところのギター信号だけを取り出し、次の増幅段に繋げることです。「つなげる」という意味でカップリングという言葉を使います。アンプのトーンコントロール部分(
Treble, Bass, Middle) も Treble, Bass, Middle に対応して各々カップリングコンデンサーが使われています。よくあるポットのガリの原因の約8割はこのトーン用のカップリング・コンデンサーの不良です。このことは不思議なことに日本ではあまり知られていません。ポット交換や洗浄だけが行われたり、接点復活材が噴射されたりしただけで修理したと思っている人が多いです。
直流電圧の取り除きが十分にできない不良のことを DC leak ( ディーシー・リーク)と言います。DC が取り除かれずにリークしている(漏れている)という意味です。
この不良があると、ポットを触れると大きなガリ・ノイズが出ます。ポットを廻すと、ある位置で急に音が小さくなり、クルクル廻しているうちに急に音が大きくなるという症状のときもあります。
ガリは出ないのだが、なんだか音がとても小さかったり、音圧が感じられないという場合は、ポットの増幅回路から遠い回路に使われているカップリング・コンデンサーの不良のことがあります。
アンプの音をすきっとクリアにし、ガリのないアンプにするにはカップリング・コンデンサーの交換が必要です。DC リークによるポットのガリが出ていたり、音圧の低下のどちらかの症状が出ている場合、直接原因の部分だけでなく他の部分もかなり疲弊していることを意味します。壊れたコンデンサーと同じ年に製造されている他のコンデンサーは今壊れていなくても、そろそろ寿命にさしかかっています。これを放置し壊れたコンデンサーだけを交換して、お客さまにお返しすると、数日後、数週間後、数ヵ月後には必ず他のコンデンサーが壊れます。アバランシェ、なだれのように部品が壊れていきます。ギターアンプのオーバーホールも
Reconditioning の概念で行なう必要があるのは部品の劣化が避けられないためです。
カップリング・コンデンサーの交換にはポリエステル・フィルム、ポリプロピレン・フィルム、マイカ・コンデンサーやセラミック・ディスク・コンデンサーを用途に応じて使いわけて交換します。交換する場所に応じてどういう材質のどういうタイプのコンデンサーにするのか、どこのメーカーのものを使うのかでアンプのサウンドが大きく異なります。つまり、回路内の使用部位と材質・タイプとメーカーの3つの関係で音の差が出るのです。スプラーグのオレンジ・ドロップはポリプロピレンとポリエステルの2種があります。マロリーはポリエステルです。
アンプの回路のどの部分にどのコンデンサーを使うかのノウハウは実験してみて音の違いを知っていないと得られません。 SOZO は値段の高いコンデンサーです。しかし、ギターアンプの全ての回路で威力を発揮すとる限りません。ブラックフェースのアンプに
SOZOのマスタード・コンデンサー(黄色)だけを使うと、元気の無い音、色気の無い音になってしまいます。ときどきそんなアンプが私のところにやってきます。
以上述べた部品交換に加え、バイアス回路のオーバーホールをし、Vibrato 回路のオーバーホールをし、トランスやスピーカーの健康診断をし、劣化した配線材料の交換をし、リバーブ・タンクが壊れていないかをチェックし、リバーブ・ケーブルの端子のクリーニングとインプットジャックのクリーニングそして真空管ソケットの全端子のクリーニングをして、ようやくオーバーホールが完了します。
【オーバーホールをお引き受けするアンプ】
ポイント・ツー・ポイント配線のアンプを優先してお受けいたします。
ギャンプスのオーバーホールの考え方をご理解くださったうえで、詳細はこちらにおまかせくださいますと、きっとご満足いただける仕上がりになると信じております。
【オーバーホールをお受けできないアンプ】
基板配線(PCB)を使用したアンプのオーバーホールは残念ながらお引き受けできません。【×】
基板を取り外し、ポイント・ツー・ポイントに変更する MODについて【○】
機種によってはお受けいたします。 機種の詳細はお問い合わせください。
【基板アンプではあるものの、ご事情によってはお引き受けする可能性のあるアンプ】【△】
ご予約の状況によってはお断りいたすことがあります。あらかじめご了承ください
a) Marshall の 1987, 1959, JCM800 SuperLead, Plexi (チャネル・スイッチングの付いていない機種)
b) Fender Twin reverb Reissue, Deluxe reverb Reissue, Vibroverb Reissue
c) Fender Pro Jr. Blues Jr., Blues Delluxe ( Blues Deville は含みません、HotRod
シリーズは含みません)
d) Gibson GA15 もしくは Trace Eriott
e) Guyatone や ELK の古い All Tube アンプ
【基板アンプについての解説】
基板 (PCB: Print Circuit Board )のテクノロジーはコンピューターの回路として発展してきた実装技術です。
コンピューターのほかにも大量生産・大量消費の家電やオーディオに使われてきました。
その長所は
1. 故障したとき、部品を一個づつ交換するのではなく基板ごと交換することにより素早いメンテナンスができる。
2. 安価なコストで生産できる。基板に部品を載せ、ベルトコンベヤーに乗せ、ハンダ泉の上を通過させ、一気にハンダ付けし、人件費を節約できる。
長所1.の素早いメンテナンスを生かすには部品搭載済みの予備の基板を常備する必要があります。
近年、基板を使用したアンプを製造するメーカーが増加しています。その狙いは長所2.の安いコストで生産することだけです。長所1.の素早いメンテナンスには目をつぶっているようです、予備の基板を供給していないメーカーがほとんどといっても過言ではないでしょう。
一方で基板の短所は
1. 基板上の部品が壊れた場合の部品交換に際し、ハンダを外し、再度ハンダ付けするという作業により、基板上の銅配線の信頼性が著しく低下する。
2. 部品を乗せる基板上のスペースが狭かったり、部品の足の入る穴の径がちいさかったり、ある一定以上の大きさのコンデンサーや抵抗は簡単には取り付けられない。
短所1.については基板の銅配線の厚さが薄くなるほど顕著です。
MusicMan やメサ・ブギーは高価なアンプであるにもかかわらず、この短所が顕著に出るようです。
当然のことながら、その他の低価格のアンプのほとんどはこの短所を抱えています。
銅配線の厚みが薄く、再ハンダ付けの熱により信頼性が大幅に低下します。同じ個所を 2回以上はんだ付けするとランドの銅配線がはがれる危険性があります。
上のアンプと比較して、「古いグヤトーン製のオール・チューブアンプ」「ELK 製のオールチューブアンプ」「 Marshall の JCM800までの機種」「Fender
のリイシュー・シリーズ」などは銅配線の厚みがあり、部品交換のための再ハンダ付けの熱に耐えられます。しかし、何度も何度も同じ場所をハンダ付けするとやはり信頼性は低下します。繰り返しのハンダ付けの熱に弱いというのは基板というテクノロジーの宿命です。
ポイント・ツー・ポイントはボード上に取り付けられたリベットやスタッドで部品間や配線のハンダ付けをします。このリベットやスタッドはハンダの熱には強くできており、何度でもハンダ付けができます。
下の写真、短所1.の例: 熱で銅配線が剥がれた基板の実例 ( MusicMan 112RD )
基板上の茶色い焼けこげの部分は、トランジスターの発する熱によってできたものです。
配線が薄く、熱ストレスで配線の「はがれ」が起きています。
短所2.で困るのはCTSのポット、オレンジドロップのコンデンサー、カーボン・コンポジット抵抗や Sprague ATOMや F&T のコンデンサーが大きすぎて取り付けられないことです。現状付いている部品はコストを安くするため、安価な部品が付いています。安価な部品は壊れやすかったり、音質がいまいちであったりします。それを改善しようにも、現状付いている部品よりも高性能の部品を乗せられない設計なのです。アンプ専用の形状の部品を使い、市販のいかなる部品もとりつけられない設計にしてあるアンプもあります。
短所2.の例: 市販のコンデンサー(取り付け困難) と基板アンプ専用のアルミ電解コンデンサー(極端に背が低い)
ギャンプスでは基板アンプであっても誠意を持ってさまざまな工夫を凝らして、過去に修理してまいりました。
しかし、基板を壊さないように慎重な作業をするためには、あまりにも余分な時間がかかります。より良い音質を追求し、エレキギター・システムの一部としてふさわしい品質への改善を行うためにはさらに膨大な時間が必要です。しかし、お客さまが低価格で入手されたアンプに対して、膨大な修理工賃を請求するわけにはまいりません。
このような基板アンプの修理責任はメーカーもしくは輸入総代理店にあります。そちらにお問い合わせくださるようお願いします。
その他、ご不明の場合はお問い合わせください。
アンプのタイプ | オーバーホール料金 | 機種の例 |
シングル・アンプ 7W未満の出力 パワーチューブ 1本 |
\48,000 ~ | チャンプ、バブロチャンプ、Tweed プリンストン Gibson GA-5 |
リバーブ無し 小型プッシュプル・アンプ 12W ~ 25W 出力 パワーチューブ x2本 |
\68,000 ~ | ブラウンフェィス以降のプリンストン ハーバード、デラックス( Tweed ~ Black Face ) Marshall 1974X、Gibson GA15、VOX AC15 etc. |
リバーブ付 1x チャンネル 12W ~ 30W 出力 パワーチューブ x2本 |
\78,000 ~ | プリンストン・リバーブ |
リバーブ付き 2 x チャンネル 20W ~ 50W パワーチューブ x2本 |
\88,000 ~ | デラックス・リバーブ、 Tweed プロ、ツイン、ベースマン、バンマス プロリバーブ、バイブロラックス・リバーブ、ベースマン50 etc Marshall: 1987, 2061x, JTM45 etc |
大型プッシュプルアンプ 30W ~ 100W パワーチューブ x4 本 |
\98,000 ~ | ツインリバーブ Marshall: 1959, 2203 Matchless: DC30(30W回路が多い) VOX: AC30 (30W 回路が多い) |