ギターアンプの真空管の交換方法  Players, Do It Yourself

GAMPS: Guitar Amplifier Manufacturing And Professional services

Guitar Amplifier Manufacturing And Professional Services

このページではギターアンプの真空管の交換方法をご紹介します。

慎重に作業をすれば誰でも交換は可能です。その昔、テレビの無い時代、ラジオの回路が真空管だった頃は家庭で真空管交換していたものです。高いお金を払ってアンプを修理に出したのに、戻ってきたら真空管の交換だけがされていて、肝心の故障は放置されているというケースがよくあります。プレイアー自らが真空管を交換して、少なくとも真空管で治る故障か、直らない故障かを見極めることができれば、手間とお金を節約可能です。当ページの情報をよく読んで DIY なさってください。
真空管の交換をしても治らないという故障はギャンプスで治します。

真空管はガラス菅でできています。力をかけすぎないことが肝心。
真空管の下にピン(金属の足)が何本も出ています。これはガラス菅に繋がっています。
このピンも曲がりやすいので、余分な力が加わらないように注意します。

「真空管の抜き方」、「ソケットのクリーニング方法」、「.真空管の挿入方法」と順を追って説明します。

当ページの各項目へのジャンプ
1. 真空管の抜き方
2.ソケット端子のクリーニング方法
3.真空管の挿入方法

1. 真空管の抜き方

【注意】
@ まずはじめに、アンプの電源は必ずきってください。電源オンの状態で真空管を抜くと、感電の危険性があるだけでなく、
  アンプに致命的なダメージを与えることがあります。
A 次に
コンセントから電源ケーブルを抜いてください。作業中に誤って電源スイッチがオンになることを防ぐためです。
B 
真空管が十分に冷えた状態で作業を開始してください。ガラス菅が熱い状態での抜き差しはしないでください。

真空管の交換で起こりやすい問題がピンの曲がりです。ピン曲がりは真空管を抜くときと挿入するときの両方で発生します。ピン曲がりを起こさないように注意しながら作業を行ってください。

最も大切なことは「自分の目で真空管とソケットを見ながら」抜き差しすることです。

真空管を抜くとき、安易に、目で見ずに、手探りに近い状態で、グイッと抜いてしまうと、ピン曲がりがおきてしまいます。
まずは真空管を見えないようにしている、アンプのバックパネルを取り外しましょう。下の写真。

Back Panel of the Fender Amp


バックパネルを外したら、すぐに真空管をぬくのではなく、アンプをさかさまにして、
ワークベンチの上に乗せましょう。
DIY センターで安価で売られているワークベンチを使うと楽にアンプをさかさまにできます。
2枚の天板がハンドルで動くため、アンプの取っ手をその2枚の天板の隙間に入れられます。
このことでさかさまにしてもアンプがグラつくことなく安定して置けます。
さらに台の上におくことで、真空管が目の位置に近づき見やすくなります。

【注意】
リバーブ付きのアンプはやさしく、ゆっくりとアンプをさかさまにすること。
急な衝撃をアンプに与えるとリバーブ・パンの中のスプリングが切れたり、リバーブ・パン内部の極細配線が切れたりします。

次に真空管を抜きます。

抜くときは垂直に真上に引き抜きます。

・しっかりと目で真空管とソケットを確認しながら作業を行います。(写真1.)
・ガラス菅を傷つけないようにやさしくガラス菅をつかみます。(写真2.)
・確実に垂直に真上に引っ張ります(写真3.)

写真1. 写真2. 写真3.

目で確認しながら真空管を抜けば、ピン曲がりは防ぐことができます。

2. ソケットのクリーニング方法

古い真空管を抜いた後、何もせずに新しい真空管を挿入するのは避けましょう。
ソケット付近についているゴミや異物をソケット端子の中に巻き込んでしまうことがあります。

真空管のピンとソケットの端子の間の接触は意外とデリケートです。
ゴミや異物が入り込み接触不良になると、ノイズや発振、音の振るえ、などさまざまなトラブルを引き起こします。
特定の音にだけ反応して影のような音がつきまとうゴースト・ノートはもっぱら、アンプ内のレイアウト不良による発振が原因です。しかし、真空管のピンに付着した粘着質の異物による接触不良が原因で、全くく同じ症状が起こった経験が過去にあります。
ピンの異物が原因であると突き止めるまでの話は長くなるのでやめておきます。
原因究明に、とてつもなく時間がかかったとだけお伝えしておきます。

クリーニングは以下の手順で行います。

ソケットの金属端子のゴミをブラシでかき出します。(写真1.)
ブラシは歯間ブラシが丁度良いサイズです。歯間ブラシを消毒用のアルコールに浸してからゴミをかき出すようにします。

次に細い綿棒でかき出した汚れをおとします(写真2)
綿棒の先端にも消毒用のアルコールを付けると、粘着質の異物を取り除くのに効果があります。

抜いた真空管のピンも同時に綿棒でクリーニングすると良いでしょう(写真3)
アルコールの付いた綿棒を使うときはくれぐれもガラス菅にアルコールが付かないように注意しましょう。真空管の型番を書いた文字がアルコールで消えることがあります。

クリーニングした後のブラシの先端や綿棒の先端を見てください。(写真4.)
いかにソケットやピンが汚れているかがわかります。
ソケットクリーニングの写真1.2.3.4.


3. 真空管の挿入方法

真空管を挿入するときにもピン曲がりは起きます。
ソケットの穴の配列パターンとピンの穴配列パターンとをしっかり合わせて挿入する必要があります。自分の目でしっかり確かめながら作業しましょう。

ソケットの穴の配列パターンに真空管のピンの配列パターンを合わせて真空管を持ちます。(写真1)

そのままソケットの穴にゆっくりと真空管をのせます。このとき真空管の自重で穴にピンがコトンと入り込む感じで乗せます。決して無理やり押し込んではいけません。宇宙ステーションに宇宙船がドッキングするときのように慎重に優しくドッキングさせてください。(写真2)

このままでは真空管ピンがソケットの穴の乗っているだけです。真空管のガラス菅を優しく持ち、少し力を加えてソケットにピンを押し込みます。(写真3)

How to insert a vacume tube

ここまでの作業で、真空管を抜いて、ソケットとピンをクリーニングし、真空管を入れることができるようになりました。
上記の説明に使用した写真は全て 12AX7 (9ピン)です。
この9ピンのプリ菅はピンが曲がりやすく慎重な作業が要求されます。

これよりも大きなパワー菅(8ピン)や整流菅(8ピン)もまったく同じ要領で交換します。
これら8ピンの真空管はピンも大きく曲がりにくいため、 12AX7 などのプリ菅よりも交換は楽に行えます。

ところが何事にも長所と短所があります。
パワー菅や整流菅は交換が楽な分、真空管がソケットから抜けやすく、自然落下する可能性があります。一方で、プリ菅は交換時に慎重を要する分、一旦ソケットに挿入すると、多少の振動でも抜けることはありません。

4. パワー菅や整流菅へのリテイナー(留め金具)の取り付け

パワー菅や整流菅はプリ菅と比較すると自重が重く、抜けやすい。特にフェンダー・アンプのように下から差し込む形のシャーシーのアンプは演奏中の振動による真空管の自然落下が起こりやすい。真空管ソケットが新品のうちはピンを挟み込むホールド力が強く簡単には抜けない。しかし、過去に何度か真空管の抜き差しをしたものはホールド力が衰えてくるので要注意です。

電源をオンしているときにパワー菅や整流菅が抜けてしまうと、アンプ回路にダメージを与えることがある。アルミ電解コンデンサーや OT, PT などのトランス類がその被害を受けやすい。

これを防止するためのものがリテイナー(留め金具)である。一般的なものが板バネで真空管のベース( 黒色の円筒形プラスチック)を挟み込むリテイナーです。

写真1. がリテイナーの付いていないソケットです。写真2.がリテイナーを取り付けたところ。
写真3. が真空管を挿入したところです。
リテイナーの取り付けは簡単です。ソケットをシャーシーに固定しているネジを外し、リテイナーをネジ穴にあわせてネジを留めればOK。
真空管を挿入するときは、片手でリテイナーのパネを開きながら、もう片方の手で真空管を挿入すること。抜くときも片手でリテイナーのバネを開きながらもう片方の手で抜くこと。この両手で行う作業により、リテイナーのバネの保持力をキーブできるのです。
決して片手だけで真空管わ無理に押し込んだり抜いたりしないこと。無理な力が加わり、リテイナーの板バネの力が効かなくなります。この板バネの効かなくなったアンプをよく見かけます。
交換が必要です。

Tube Retainer installation


スプリングを使ったリテイナーもあります。下の写真4.5.6.参照。
板バネ式は真空管のベースを挟み込む形で保持するのに対して、このスプリング式は真空管の頭を押さえつける形で保持します。
抜けやすさの観点からはこちらが勝ります。しかし、一点だけ注意が必要です。
ガラス菅の頭を押さえるリングは金属でできています。このリングが真空管のガラス菅を傷つけないように、シリコンのクッションをはさんで取り付けると安心です。写真5.の白色のリングがシリコン・ゴムで出来たクッションです。
スプリング式リテイナーの写真


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