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社会保険労務士田村事務所 事務所便り 『のぞみ』 平成18年2月号
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結婚しても子供を多く持てない
夫婦が増加
わが国の合計特殊出生率は低下し続け、04年には1.29となりました。しかし、多くの未婚者はいずれ結婚して子供を持ちたいと考えており、結婚に対する意欲が低下しているわけではありません。子供を持たない理由については、未婚者、既婚者を問わず多くの人が子育ての経済的な負担が大きいことをあげていますが、子育てにかかる費用が近年増大しているわけではありません。
◆ 子供を持つ余裕のない若年世帯が増加しつつある
近年、大学卒業者がパート・アルバイトとして就業する割合が増加しています。若年者のパート・アルバイトにおける年収は同年代の正社員の3割程度にあたる約120万円にとどまっており、特に近年増加しているパート・アルバイト同士の夫婦は、共働きをしても必要な所得を得ることが難しく、子供を持つ余裕がない状況にあると考えられます。一方、正社員として就業していても時間外労働の増加などにより長時間働くため、子育てに時間を割きにくくなっているのではないでしょうか。
◆子育てには総合的な支援が必要
アルバイト同士の夫婦をはじめとした低所得若年層においては、将来の収入見通しに対する不安が子育てをためらわせる大きな要因となっています。現在のような正社員かパート・アルバイトかという二者択一ではなく、多様な働き方および賃金体系が認められれば将来の収入の増加を見込むことができ、子育ての希望を持ち続けられるのではないでしょうか。
また、子育て支援に関する多様なサービスが十分かつ安価に供給されるようになり、育児休業制度の利用や男性の働き方を見直していくことなど、企業との協力の下で夫婦が子育てをしていくことが望ましく、出産、子育てが一段落した女性の再就職・キャリアアップに向けての教育環境が整備されれば子育てに対する負担の軽減につながることが期待できます。
◆子育ての社会化
今後、子育てが家族の責任だけで行われるのではなく、親世代、同世代の友人、会社の同僚、近隣に住む人々など社会全体で子育てに取り組む「子育ての社会化」、そして子育てにかかる個人の経済負担を軽減していくことが必要になってきているように思われます。
税制改正に地震保険導入
所得税の増税改革は、2004年の「配偶者特別控除」に始まり、今年はさらに「老年者控除の廃止」も加わり増税ムードは増すばかりです。さらに、すでに決まっているように、2007年度に、所得税と個人住民税の定率減税が廃止されます。所得税だけでなく企業に対しても、IT(情報技術)投資促進税制の廃止などが適用され、景気回復が鮮明になるにつれ、税金の負担がふえる話題ばかりです。その中で唯一、所得税控除項目に追加されるのが「地震保険料控除」です。「地震保険」とは、地震や噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による損害を補償する地震専用の保険です。火災保険では補償されない部分を対象とした保険となります。契約は火災保険への加入が前提となっています。
◆保険料区分
保険料は全国を4区分した4段階になっています。区分の方法は、過去500年間の間に起きた地震のデータにより、1等地(北海道、福島、島根、岡山、広島、山口、香川、福岡、佐賀、鹿児島、沖縄)、2等地(青森、岩手、宮城、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、石川、山梨、鳥取、徳島、愛媛、高知、新潟、富山、長崎、熊本県、大分、宮崎)、3等地(埼玉、千葉、福井、長野、岐阜、愛知、三重、滋賀、大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山)、4等地(東京、神奈川、静岡)に分けられています。保険料は木造建物に1,000万円の補償をつけた場合、改定後保険料で1等地12,000円、2等地16,500円、3等地23,500円、4等地35,500円となっています。
◆控除額
地震保険に加入することにより、2007年度以降、所得税で最大50,000円、2008年度以降、個人住民税で保険料の半分(最大25,000円)控除されることとなっています。ただし、今までのように、損害保険料控除の対象からは外します。今までは、10年以上の積立傷害保険(満期返戻金有)には最大15,000円、火災保険(満期返戻金無)などには最大3,000円の控除がありました。経過措置として、2006年度末までに契約した長期損害保険(10年以上)の控除制度は存続させ、利用者が選択できるようにしています。控除項目が増えるのは、いいことのような気がしますが、それが地震だけとなると、地震に備えて、「自分の財産は自分で守れ」と言われている気がします。
児童手当、小学6年まで支給へ
少子化対策の一環として支給されている児童手当ですが、2006年4月から支給対象が引き上げられ、所得制限も緩和されることが決まりました。現在は、仮に夫婦と子ども2人の世帯とすると、給与所得者で年収780万円未満、自営業者については年収596万円未満の方に支給され、0歳から小学3年生までの子どもの85%に支給されていますが、年収要件の緩和によって約90%の児童が対象となる見込みです。
◆児童手当とは
児童手当は児童を養育する方に手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成および資質の向上に資することを目的に、現在は小学3年生までの児童を養育している方に第1子、第2子に対して月額5,000円、第3子以降に対しては月額1万円が支給されています。
2006年4月からは支給対象が小学6年生まで引き上げられ、所得制限も夫婦と子ども2人の世帯で給与所得者については年収860万円未満、自営業者は年収780万円未満に引き上げられます。
◆必要な財源は
児童手当拡充のために必要な財源は2006年度から、たばこ税を1本につき85銭引き上げ、たばこの値段は1本1円の値上げでまかなうことが決まっています。
年金額試算サービス始まる
2005年12月から社会保険庁はインターネットに接続できる携帯電話から年金額を簡易に試算するサービスを始めました。一定の条件を満たせば誰でも利用でき、年金加入期間などを自分で設定して試算することができます。試算の対象は、社会保険庁が支払う老齢基礎年金、老齢厚生年金の年金額(つまり、「基金」の分は反映されません)ですが、将来の年金額を保障するものではありません。
◆アクセス方法
携帯電話で下のアドレスを直接入力し、「自分でできる年金額簡易試算」をクリックすると試算のために必要な項目を入力することができます。
このシステムを利用するには次のような前提条件があります。
@
簡易試算を行う時点で、60歳未満であること
A
簡易試算を行うには、加入期間が合計25年(300月)以上あること。
B
年金額は、60歳到達月に退職しているものとして計算します。
一部の機種では利用できない場合がありますが、その場合はパソコンから社会保険庁ホームページの「自分でできる年金額簡易試算」を使って試算することができます。
◆実際の試算の方法
@
生年月日と性別を入力します。
A
これまでの年金の加入期間と厚生年金の期間については平均給与額を入力します。
B
60歳までに見込まれる年金の加入期間と厚生年金の期間について平均給与額を入力します。
C
入力に間違いがなければ試算のスタートをクリックします。
D
1年間に見込まれる年金額、指定した年齢までのおよその累計額を求めることができます。
2月の税務と労務の手続
[提出先・納付先]
1日
○ 贈与税の申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
[公共職業安定所]
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>
[労働基準監督署]
15日
○ 所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
28日
○ 固定資産税<都市計画税>の納付<第4期分>[郵便局または銀行]
○ 法人税の申告<決算法人及び決算期の定めのない人格なき社団等について>[税務署]
○ じん肺健康管理実施状況報告の提出[労働基準監督署]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
社会保険労務士田村事務所
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所長 特定社会保険労務士 田村 幾男
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